IaaS・PaaS・SaaS・DaaSの違いを図解|住宅の例えと責任分担で整理
Check!
- IaaS・PaaS・SaaS・DaaSの違いを住宅の例えと表でつかめる
- DaaSがSaaSと違い、デスクトップ環境一式を届ける仕組みだとわかる
- どの形態でもデータとアカウント管理は利用者の責任として残ることを確認できる
IaaS・PaaS・SaaS・DaaSは、どれもクラウドサービスの提供形態を表す言葉です。名前が似ているうえに「as a Service」という同じ語尾が付くため、説明を聞いた直後は分かったつもりでも、いざ社内で説明しようとすると境目があいまいになりがちです。4つの違いは、ひとことで言えば「サービス提供者がどこまで用意してくれて、利用者がどこから自分で管理するのか」という線の引き方の違いです。
この記事では、4つの分類を住宅の例えと表を使って図解的に整理したうえで、米国国立標準技術研究所(NIST)のクラウド定義に沿ってIaaS・PaaS・SaaSの提供範囲を確認し、SaaSと混同されやすいDaaSの仕組みを解説します。さらに、提供者と利用者の責任分担をマトリクスで一覧化し、「SaaSなら自社の責任はない」といった誤解を避けるための見方も紹介します。
あなたに合う読み方を診断
Q1. クラウドの分類で、いちばんわかりにくいのは?
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
SaaSの実例をクラウド型CMSで確認|「完成品を借りる」感覚を比較表で見る
SaaSを最もイメージしやすい実例の一つが、Webサイトの更新・管理に使うクラウド型CMSです。CMS(コンテンツ管理システム)には、ソースコードを自分で設置するオープンソース型、自社サーバーにソフトウェアを入れるインストール型、インターネット経由で利用するクラウド型があります。このうちクラウド型は、サーバーやソフトウェアの運用を提供者が担い、利用者はブラウザから記事やページを編集するだけで済みます。まさに「完成したソフトウェアを借りて使う」SaaSの典型です。
同じクラウド型CMSでも、得意な使い方はサービスごとに違います。お名前.comビジネスコンシェルジュのクラウドCMS比較記事で紹介されているサービスのうち、方向性の異なる3つを並べると次のようになります。
| サービス名(運営会社) | 強み | 留意点 |
|---|---|---|
| Jimdo(株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ) | アクセス解析など、ページを運用するための機能を搭載。無料のプランも選べて手軽に始められる | カスタマイズ性はあまり高くなく、日本で使いやすいテンプレートもそこまで多くない |
| HeartCore(ハートコア株式会社) | 国産のオールインワンパッケージ型で導入実績が多く、カスタマイズ性も高い。デジタル資産を一元管理できる | ライセンス費用がやや高く、操作方法も複雑 |
| A-BiSU(株式会社ユニソンプラネット) | AIを搭載し、レコメンドエンジン・SEO対策機能・A/Bテストなどのマーケティング機能が使える。見たまま編集が可能 | オールインワンのため、一部の機能だけ使いたい場合には不向き |
3つを見比べると、SaaSに共通する特徴と、SaaSならではの限界の両方が見えてきます。どのサービスもサーバーの調達やソフトウェアの更新は提供者が行うため、利用者は中身の作成に集中できます。一方で「カスタマイズ性が高くない」「一部機能だけ使うには不向き」といった留意点は、提供者が作った完成品を借りるSaaSの性質そのものです。自由度を求めるほどPaaSやIaaSに近い選択肢が候補になり、手軽さを求めるほどSaaSが向く、という関係はこの後の章で詳しく整理します。まずはSaaSの具体例として、クラウド型CMSの種類や選び方を一覧で確認したい場合は、次の記事が参考になります。
クラウド3層モデルを住宅で例えると|SaaSは家具付きの建売住宅
IaaS・PaaS・SaaSは、住まいの借り方に例えると違いがつかみやすくなります。ポイントは「どこまで出来上がった状態で借りるか」です。出来上がっている範囲が広いほど手間は減りますが、自分好みに変えられる範囲は狭くなります。
| 形態 | 住宅の例え | 借りる側がすること | 自由度 |
|---|---|---|---|
| オンプレミス | 土地を買って家を建てる | 土地・建物・内装・家具のすべてを自前で用意し維持する | 最も高い |
| IaaS | 電気・水道が引かれた更地を借りる | 建物(OS)から上を自分で建て、住み方も自分で決める | 高い |
| PaaS | 骨組みと設備が完成した注文住宅を借りる | 間取りの中身(アプリ)を自分で作り込む | 中程度 |
| SaaS | 家具付きの建売住宅(ホテル)に住む | 用意された部屋をルールに沿って使う | 低い |
| DaaS | どこからでも入れる「自分専用の書斎」を借りる | 書斎(デスクトップ)の中で好きな道具を使う | 提供条件による |
この例えで大切なのは、上の行に行くほど「自分で決められること」と「自分で面倒を見なければならないこと」が同時に増えるという点です。更地を借りれば好きな家を建てられますが、雨漏りの修理も自分の責任です。建売住宅なら修理は大家さんが対応しますが、壁を抜いて間取りを変えることはできません。クラウドの分類も同じで、自由度と管理負担は常にセットで動きます。
一方で、例えには限界もあります。ホテルに泊まる人でも、部屋の鍵をなくせば自分の責任になるように、SaaSを使う企業にも「誰にアカウントを渡すか」「どんなデータを入れるか」といった管理責任は残ります。この点は後半の責任分担マトリクスで具体的に確認します。
IaaS・PaaS・SaaSとは|NISTの定義で見る提供範囲の違い
IaaS・PaaS・SaaSの3分類は、NISTが2011年に公表した「The NIST Definition of Cloud Computing(SP 800-145)」で整理されたサービスモデルが広く参照されています。NISTの定義では、利用者が「どのレイヤーを管理・制御できるか」によって3つを区別しています。ここでは、それぞれの定義のポイントと代表的な使われ方を順に見ていきます。
IaaS(Infrastructure as a Service)|インフラを借りる
IaaSは、サーバー・ストレージ・ネットワークといった計算資源をインターネット経由で提供する形態です。利用者はOSやミドルウェア、アプリケーションを自分で選んで載せられます。NISTの定義でも、利用者は基盤となるクラウドインフラそのものは管理しない一方、OS・ストレージ・デプロイしたアプリケーションは制御できるとされています。自社で物理サーバーを買わずに、必要な分だけ仮想サーバーを用意できるのが特徴で、既存システムをほぼそのままクラウドへ移す場合や、構成を細かく設計したい場合に選ばれます。
PaaS(Platform as a Service)|開発・実行の土台を借りる
PaaSは、アプリケーションを開発・実行するための土台(OS、ミドルウェア、実行環境、データベースなど)をまとめて提供する形態です。利用者は自社で作ったアプリケーションとその設定に集中でき、OSのパッチ適用やミドルウェアの更新は提供者が担います。業務アプリを自社開発したいが、サーバーの保守要員までは確保できないというケースに向いています。最近はノーコード・ローコードの開発基盤もPaaSの一種として語られることが増えています。
SaaS(Software as a Service)|完成したソフトウェアを借りる
SaaSは、完成したアプリケーションをインターネット経由で利用する形態です。メール、Web会議、会計、勤怠管理、そして冒頭で見たクラウド型CMSなど、身近な業務ツールの多くがSaaSとして提供されています。利用者はブラウザや専用アプリからログインするだけで使い始められ、インフラからアプリケーション本体まで提供者が管理します。NISTの定義では、利用者が制御できるのは限られたユーザー単位の設定程度とされており、そのぶん導入の手軽さが最大の利点になります。SaaSとクラウドという言葉の関係そのものを整理したい場合は、SaaSとクラウドの違い|包含関係を整理もあわせて参考にしてください。
| 項目 | IaaS | PaaS | SaaS |
|---|---|---|---|
| 提供されるもの | サーバー・ストレージ・ネットワーク | 左記に加えOS・ミドルウェア・実行環境 | 左記に加えアプリケーション本体 |
| 主な利用者 | インフラエンジニア | アプリ開発者 | 業務部門の一般ユーザー |
| 導入までの手間 | 大きい(構成設計が必要) | 中程度(アプリ開発が必要) | 小さい(申し込み後すぐ使える) |
| カスタマイズ性 | 高い | 中程度 | 設定の範囲内に限られる |
| 代表的なサービスの種類 | 仮想サーバー、クラウドストレージ、仮想ネットワーク | アプリの実行基盤、マネージドデータベース、ノーコード・ローコード開発基盤 | グループウェア、Web会議、会計・勤怠管理、クラウド型CMS |
| 主なメリット | 構成の自由度が高く、使った分だけの従量課金で機器を持たずに済む | OSやミドルウェアの保守が不要になり、開発に集中できる | 導入が早く、専門人材がいなくても運用しやすい |
| 主なデメリット | 構築・保守に専門知識が必要で、管理範囲が広い | 使える言語やミドルウェアが提供者の用意したものに限られる | 業務に合わせた改修が難しく、提供者の障害やサービス終了の影響を受ける |
メリットとデメリットは表裏一体です。IaaSの自由度の高さは、そのまま管理範囲の広さとして跳ね返ってきます。反対にSaaSの手軽さは、提供者の仕様に業務を合わせる必要があることや、提供者側の障害・サービス終了に左右されることと引き換えです。特にSaaSでは、ほかのシステムとデータを連携できるか(APIやCSV出力に対応しているか)、サービス終了時にデータを取り出せるかを契約前に確認しておくと、後から乗り換える際の負担を抑えられます。料金面では、IaaSやPaaSは利用したリソース量に応じた従量課金、SaaSは利用人数やプラン単位の月額課金が一般的で、課金の考え方も提供範囲によって変わります。
DaaSとは|デスクトップ全体を仮想化して届ける仕組み
DaaS(Desktop as a Service)は、パソコンのデスクトップ環境そのものをクラウド上に用意し、手元の端末には画面だけを転送して利用する仕組みです。利用者は自宅のパソコンやタブレットからログインすると、会社で使っているのと同じWindowsなどのデスクトップが表示され、そこでメールや業務アプリを操作できます。データやアプリはクラウド側で動いているため、手元の端末には原則としてデータが残りません。
DaaSはNISTの3分類には含まれていない言葉で、IaaS・PaaS・SaaSと同じ一本の階段の上に並ぶものではありません。仕組みとしては、提供者が仮想マシンや仮想デスクトップ基盤(VDI)を運用し、それを完成したサービスとして届けるため、「インフラの上に作られたサービス」という意味ではSaaSに近い位置にあります。ただし、SaaSが「特定の業務アプリ」を届けるのに対し、DaaSは「アプリを動かすためのデスクトップ一式」を届ける点が決定的に違います。
| 比較項目 | SaaS | DaaS |
|---|---|---|
| 届けられるもの | 特定の業務アプリケーション | OSを含むデスクトップ環境一式 |
| 使えるアプリ | そのサービスの機能のみ | デスクトップに入れた複数のアプリ |
| 利用者が管理するもの | アカウント・データ・設定 | アカウント・データに加え、デスクトップ内のアプリやOSの一部設定(契約形態による) |
| よく語られる用途 | 業務ごとのツール導入 | テレワーク、端末紛失時の情報漏えい対策、事業継続(BCP) |
DaaSがよく話題になるのはテレワークの文脈です。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」でも、テレワークの方式として仮想デスクトップ方式が整理されており、端末にデータを残さない点が特徴として挙げられています。社外で使う端末を完全には管理しきれない企業にとって、デスクトップごとクラウドに置くDaaSは、情報を手元に持ち出さずに働ける選択肢の一つです。
なお、「as a Service」を付けた言葉はDaaS以外にもあります。データベースを提供するDBaaS、認証機能を提供するIDaaSなどは、多くの場合、IaaS・PaaS・SaaSのいずれかの一部を切り出して名前を付けたものです。新しい略語に出会ったときは、「提供者がどのレイヤーまで面倒を見るのか」を確認すれば、3層モデルのどこに近いかを判断できます。
責任分担マトリクス|どこまでが提供者で、どこからが利用者の責任か
4つの分類を実務で使い分けるうえで最も重要なのが、責任分担の考え方です。クラウドサービスでは、提供者と利用者がセキュリティや運用の責任を分け合います。これは一般に「責任共有モデル」と呼ばれ、利用者の管理範囲はSaaS、PaaS、IaaS、オンプレミスの順に広がっていきます。下の表は、代表的な管理項目ごとに一般的な分担を整理したものです(実際の分担は契約や利用規約によって異なるため、導入時には必ず個別に確認してください)。
| 管理項目 | オンプレミス | IaaS | PaaS | SaaS | DaaS |
|---|---|---|---|---|---|
| データの中身・分類 | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 利用者 |
| アカウント・アクセス権限 | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 利用者 |
| アプリケーション | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 提供者 | 利用者(デスクトップ内のアプリ) |
| ミドルウェア・実行環境 | 利用者 | 利用者 | 提供者 | 提供者 | 契約による |
| OS | 利用者 | 利用者 | 提供者 | 提供者 | 契約による |
| 仮想化基盤・サーバー | 利用者 | 提供者 | 提供者 | 提供者 | 提供者 |
| 物理設備(建物・電源・回線) | 利用者 | 提供者 | 提供者 | 提供者 | 提供者 |
この表から読み取れる最大のポイントは、どの形態を選んでも「データの中身」と「アカウント・アクセス権限」は利用者の責任として残るということです。SaaSはアプリケーションからインフラまで提供者が管理しますが、退職者のアカウントを削除し忘れたり、共有範囲を誤って設定したりした結果の情報漏えいは、提供者ではなく利用者側の管理の問題になります。「クラウドに任せたから安心」ではなく、「任せた範囲と、自社に残った範囲」を切り分けて把握することが、責任分担マトリクスを見る目的です。
もう一つの見方は、表の「利用者」の欄が少ないほど、社内に専門人材がいなくても運用しやすいということです。例えばWebサイトの更新を担う担当者がIT専任でない場合、サーバーやOSの保守を自社で抱えるインストール型CMSより、提供者が運用するクラウド型CMSの方が、責任分担の面で無理のない選択になりやすくなります。自社で担える範囲を踏まえてCMSの種類を比較したい場合は、次の記事で種類ごとの特徴と選び方を確認できます。
SaaS・PaaS・IaaSの責任分界を、契約やSLAの確認観点まで含めてさらに詳しく知りたい場合は、SaaS・PaaS・IaaSの違いと責任分界で解説しています。本記事はDaaSを含めた4分類の全体像を図解的につかむことに重点を置いています。
4つの分類の使い分け早見表|目的から逆算して選ぶ
どの分類を選ぶかは、技術的な好みではなく「何をしたいか」と「社内で何を担えるか」から逆算するのが基本です。よくある目的ごとに、候補になりやすい分類を整理しました。
| やりたいこと | 候補になりやすい分類 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| 会計・勤怠・Web会議などの業務ツールをすぐ使いたい | SaaS | 完成品のため、申し込み後すぐに使い始められる |
| Webサイトを専門知識なしで更新したい | SaaS(クラウド型CMS) | サーバー保守を提供者に任せ、更新作業に集中できる |
| 自社独自の業務アプリを作りたい | PaaS | 開発に集中でき、OSやミドルウェアの保守が不要 |
| 既存の社内システムをそのままクラウドへ移したい | IaaS | OSから上の構成を自由に再現できる |
| 社外の端末から、社内と同じパソコン環境で働きたい | DaaS | デスクトップごと届けるため、端末にデータを残しにくい |
| IT担当者が少なく、運用負担を最小にしたい | SaaSを優先 | 利用者の管理範囲が最も狭い |
実際の企業では、1つの分類だけを選ぶことはまれです。業務ツールはSaaS、自社開発のアプリはPaaS、古い基幹システムはIaaS、テレワーク用の環境はDaaS、というように組み合わせて使うのが一般的です。その場合も、それぞれのサービスで「利用者の責任範囲がどこか」を一覧にしておくと、管理の抜け漏れを防げます。
よくある混同パターン4つ|理解のBefore/After
4つの分類は言葉だけで覚えようとすると、いくつかの典型的な誤解が生まれます。よく見かける混同パターンを、誤った理解と正しい理解の対比で整理しました。
| 混同パターン | Before(よくある誤解) | After(正しい理解) |
|---|---|---|
| 1. SaaSの責任範囲 | SaaSなら自社のセキュリティ責任はない | アプリより下は提供者だが、データとアカウント管理は常に利用者の責任 |
| 2. DaaSの位置づけ | DaaSはSaaSの一種で、1つのアプリを使うもの | DaaSはデスクトップ環境一式を届けるもので、中で複数のアプリを使える |
| 3. IaaSとPaaSの境目 | どちらもサーバーを借りるだけで同じもの | OSやミドルウェアの保守を誰が行うかが分かれ目 |
| 4. クラウドとSaaSの関係 | クラウドとSaaSは同じ意味 | クラウドは大きな概念で、SaaSはその提供形態の一つ |
中でも実務で影響が大きいのは1つ目の誤解です。SaaSの提供者がどれだけ堅牢なインフラを運用していても、利用者側で推測されやすいパスワードを使っていたり、共有リンクを誰でも見られる設定にしていたりすれば、情報漏えいは防げません。2つ目のDaaSについても、「デスクトップの中に入れたアプリの更新は誰が行うのか」を確認しないまま導入すると、古いソフトウェアが放置される原因になります。3つ目と4つ目は用語の問題に見えますが、社内の説明資料で誤った使い方をすると、導入判断や予算の議論がかみ合わなくなるため注意が必要です。
クラウド活用の効果をどう確認するか|導入後に見る3つの観点
4つの分類を理解したうえでクラウドを導入したら、その効果を定期的に確認することが大切です。総務省の情報通信白書でも、企業のクラウドサービス利用は広がっており、利用する理由として資産や保守体制を持つ必要がないことなどが挙げられています。一方で、導入しただけで効果が出るわけではありません。導入後は次の3つの観点で振り返ると、分類の選び方が適切だったかを判断しやすくなります。
| 観点 | 確認すること | 見直しのサイン |
|---|---|---|
| 運用負担 | 保守・更新作業に使っていた社内の工数が減ったか | IaaSで想定以上にOS保守の手間がかかっている |
| 業務スピード | 更新・共有・承認などの作業にかかる時間が短くなったか | SaaSの機能が業務に合わず、手作業が残っている |
| 責任範囲の管理 | アカウントの棚卸しやデータの共有設定を定期的に見直せているか | 退職者アカウントや不明な共有リンクが残っている |
例えばWebサイトの運用では、「ページの更新依頼から公開までにかかる日数」や「サーバー保守に使っていた作業時間」を導入前後で比べると、クラウド型CMSに移行した効果が具体的に見えてきます。反対に、機能不足でHTMLの手修正が残っている、担当者ごとの権限設定が複雑で運用しきれない、といった状態であれば、自社の運用体制に合ったサービスへの見直しを検討するタイミングです。機能・操作性・サポート体制の観点でクラウド型CMSの選び方を確認したい場合は、次の記事を参考にしてください。
また、官公庁や公共分野との取引がある企業では、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に登録されたクラウドサービスかどうかが選定の目安になることもあります。登録の有無はISMAPポータルで確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. IaaS・PaaS・SaaSの違いを一言で言うと何ですか?
A. 提供者がどこまで用意してくれるかの違いです。IaaSはサーバーなどのインフラ、PaaSはアプリを動かす土台まで、SaaSは完成したアプリケーションまでを提供します。利用者が管理する範囲はIaaS、PaaS、SaaSの順に狭くなります。
Q. DaaSとSaaSは何が違いますか?
A. SaaSは特定の業務アプリケーションを届けるのに対し、DaaSはOSを含むデスクトップ環境一式をクラウドから届けます。DaaSではデスクトップの中で複数のアプリを使えるため、テレワークや端末にデータを残さない運用の文脈でよく使われます。
Q. SaaSを使えば自社のセキュリティ対策は不要ですか?
A. 不要にはなりません。アプリケーションからインフラまでは提供者が管理しますが、入力するデータの中身、アカウントやアクセス権限の管理は、どの分類でも利用者の責任として残ります。退職者アカウントの削除や共有設定の見直しは自社で行う必要があります。
Q. クラウド型CMSはIaaS・PaaS・SaaSのどれにあたりますか?
A. 一般的にはSaaSにあたります。サーバーやソフトウェアの運用を提供者が担い、利用者はブラウザからページの作成や更新を行うだけで済むためです。一方、自社でサーバーを用意して設置するオープンソース型やインストール型のCMSは、SaaSには含まれません。
Q. IaaS・PaaS・SaaSの分類は誰が決めたものですか?
A. 米国国立標準技術研究所(NIST)が2011年に公表したクラウドコンピューティングの定義(SP 800-145)で整理されたサービスモデルが、広く参照されています。DaaSはこの定義の3分類には含まれておらず、後から使われるようになった呼び方です。
Q. 4つの分類はどれか1つを選ぶ必要がありますか?
A. 1つに絞る必要はありません。業務ツールはSaaS、自社開発アプリはPaaS、既存システムはIaaS、テレワーク環境はDaaSのように、目的ごとに組み合わせて使うのが一般的です。その際は、サービスごとに利用者の責任範囲を一覧にしておくと管理の抜け漏れを防げます。
まとめ|4分類は「提供範囲」と「責任分担」で理解する
IaaS・PaaS・SaaS・DaaSの違いは、提供者がどこまで用意し、利用者がどこから管理するかという線の引き方の違いです。住宅に例えれば、IaaSは更地、PaaSは注文住宅、SaaSは家具付きの建売住宅、DaaSはどこからでも入れる自分専用の書斎にあたります。自由度が高いほど管理の手間も増えるという関係を押さえておくと、新しい略語に出会っても位置づけを判断できます。
- 1. 自社で使っているクラウドサービスを書き出し、それぞれがIaaS・PaaS・SaaS・DaaSのどれにあたるかを整理する
- 2. 責任分担マトリクスを参考に、サービスごとに自社の責任範囲(データ・アカウント管理など)を確認する
- 3. Webサイト運用など、保守の負担が大きい業務はSaaS(クラウド型CMS等)への切り替えで負担を減らせないか検討する
参考文献
- NIST「SP 800-145, The NIST Definition of Cloud Computing」https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/145/final
- 総務省「情報通信白書」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
- 総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/
- ISMAPポータル(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)https://www.ismap.go.jp/