SaaSの死とは|利用者の3つのリスク

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  • 「SaaSの死」議論の意味と背景がわかる
  • 利用者が注意すべき3つのリスクがわかる
  • リスクへの具体的な対策がわかる

「SaaSの死」という言葉を聞いて不安になっても、実際に利用者として何に気をつければよいのかが分からないことがあります。議論の意味を正しく理解し、実務上のリスクに備えることが重要です。本記事では、SaaSの死の意味・背景と、利用者が注意すべき3つのリスクを解説します。議論の発端や一次情報を詳しく確認したい場合は「SaaSの死」は本当かを整理した記事もあわせてご覧ください。

目次

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  1. 「SaaSの死」とはどういう意味か
  2. 利用者が注意すべき3つのリスク
  3. 利用者視点から見た「SaaSの死」の実態
  4. サービス終了リスクを見極める具体的なチェックポイント
  5. 「SaaSの死」への対応でよくある失敗パターン3つ
  6. SaaS棚卸しの具体的な進め方
  7. 企業規模別に見るSaaSの死への向き合い方の違い
  8. AI代替リスクを見極めるための視点
  9. 契約前に確認しておきたいデータ移行の手順
  10. 海外の議論から日本企業が学べること
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ|今日からできる3つのこと

「SaaSの死」とはどういう意味か

「SaaSの死」とは、2022年ごろ米国のベンチャーキャピタルから始まった議論で、従来のSaaSビジネスモデル(月額課金型・クラウド完結型)が構造的な転換点を迎えたことを指す言葉です。SaaS自体の消滅ではなく、バリュエーション評価の変化、AI代替、ビジネスモデル転換という論点を含んでいます。

利用者が注意すべき3つのリスク

サービス終了リスク、コスト肥大化リスク、AI代替リスクという3つが、SaaS利用者が実務上注意すべきリスクです。議論の背景を理解するだけでなく、こうした実務上の備えを進めることが重要になります。

リスク 対策
サービス終了リスク 実績重視の製品選択、データエクスポート機能の確認
コスト肥大化リスク 年1回以上のSaaS棚卸しと利用率確認
AI代替リスク 代替不可の業務特化型SaaSに投資を絞る
図1:利用者が注意すべき3つのリスクと対策

特にコスト肥大化リスクは、複数のSaaSを導入するうちに重複・未活用のライセンスが発生しやすいことが背景にあります。社内のスケジュール共有やファイル管理を担うグループウェアのように、多くの従業員が日常的に使うSaaSであれば、利用率の把握や棚卸しの効果を実感しやすくなります。

利用者視点から見た「SaaSの死」の実態

利用者にとって重要なのは議論の是非そのものではなく、上記3つのリスクに対する実務上の備えができているかどうかです。議論の全体像を理解しつつ、自社の契約状況を定期的に見直す姿勢が実践的です。

サービス終了リスクを見極める具体的なチェックポイント

契約中のSaaSがサービスを終了するリスクを完全にゼロにすることはできませんが、契約前・契約中にいくつかの兆候を確認しておくことで、リスクの高さをある程度見積もることができます。

契約前の確認ポイントとしては、そのサービスの運営会社の設立年数、資金調達の実績、導入企業数の推移などが挙げられます。特にスタートアップ企業が提供する新しいSaaSは、機能面で魅力的でも、事業として軌道に乗る前にサービスを終了してしまうリスクが相対的に高くなります。すでに数年以上の運用実績があり、一定規模の導入企業数を公表しているサービスであれば、事業の継続性という観点では比較的安心材料になります。

契約中の確認ポイントとしては、サービスのアップデート頻度や、公式ブログ・お知らせページの更新状況を定期的にチェックすることが挙げられます。長期間にわたって機能アップデートの告知がない、サポートへの問い合わせ対応が遅くなっているといった兆候が見られる場合は、そのサービスの事業継続性に注意を払う必要があるかもしれません。こうした兆候に早めに気づければ、他のサービスへの移行を計画的に進める時間を確保しやすくなります。

「SaaSの死」への対応でよくある失敗パターン3つ

議論の内容だけを追い、実務対応を怠る、データエクスポート機能を確認せず契約する、SaaSの棚卸しを行わないという3つが、「SaaSの死」への対応でよく見られる失敗の典型です。

失敗パターン1:議論の内容だけを追い、実務対応を怠る。背景を理解しても、自社のリスク対策に活かせないケースです。3つのリスクへの対策を実際に行うことが回避策になります。

失敗パターン2:データエクスポート機能を確認せず契約する。サービス終了時にデータを取り出せず困るケースです。契約前にエクスポート機能を確認することが回避策になります。

失敗パターン3:SaaSの棚卸しを行わない。重複・未活用のライセンスに気づかず、コストが肥大化するケースです。年1回以上の棚卸しを実施することが回避策になります。

SaaS棚卸しの具体的な進め方

コスト肥大化リスクへの対策として挙げられる「SaaSの棚卸し」は、具体的な手順を決めておかないと、忙しさを理由に先延ばしにされがちです。以下のような手順を社内ルール化しておくと、継続的に実施しやすくなります。

まず、現在契約しているすべてのSaaSを一覧化し、契約プラン・月額費用・契約担当部署・利用人数を一つの表にまとめます。次に、各SaaSについて実際のログイン頻度やアクティブユーザー数を確認し、契約している利用人数に対して実際に使われている割合を算出します。利用率が著しく低いSaaSがあれば、契約プランのダウングレードや解約を検討する候補としてリストアップします。

また、複数の部署がそれぞれ独自に契約している類似機能のSaaSがないかも確認しておきたいポイントです。部署ごとにバラバラに契約が進むと、同じような機能を持つSaaSを複数契約してしまい、無駄なコストが発生していることに誰も気づかないというケースがあります。棚卸しの際は、情報システム部門が全社のSaaS契約状況を一元的に把握できる体制を整えておくと、こうした重複契約を早期に発見しやすくなります。棚卸しの実施頻度は年1回以上を目安にしつつ、契約更新のタイミングに合わせて確認するという運用も現実的です。

企業規模別に見るSaaSの死への向き合い方の違い

「SaaSの死」への向き合い方は、企業規模によって重視すべきポイントが異なります。従業員数十人程度の中小企業と、複数部署・複数拠点を抱える中堅企業とでは、リスクの現れ方も対策のしやすさも変わってきます。

従業員数が少ない企業では、SaaSの契約数自体が限られているため、棚卸しの負担は比較的軽くなります。一方で、担当者が一人で複数のSaaSを兼任管理しているケースが多く、担当者の異動や退職によって契約状況の把握が属人化しやすいという弱点があります。小規模企業がSaaSの死への対策を進める際は、契約一覧・請求書・ログイン情報などを個人のメモではなく、部署として共有できる形で管理しておくことが重要です。担当者が変わっても契約状況をすぐに把握できる仕組みを作っておけば、サービス終了やアップデート停止といった兆候にも組織として気づきやすくなります。

これに対して、複数部署・複数拠点を抱える企業では、部署ごとに個別契約が進みやすく、コスト肥大化リスクが顕在化しやすい傾向があります。営業部門と管理部門がそれぞれ似た機能のSaaSを別々に契約していた、といったケースは珍しくありません。このような企業では、情報システム部門やコーポレート部門が全社のSaaS契約状況を一元管理する体制を整え、新規契約の際には既存契約との重複がないかを確認するフローを設けることが有効です。契約数が多いほど、年1回の棚卸しだけでは十分に把握しきれないこともあるため、四半期ごとに主要SaaSの利用状況を確認するといった、より頻度の高い運用も検討に値します。

AI代替リスクを見極めるための視点

「AIによって代替されやすいSaaS」と「代替されにくいSaaS」を区別する視点を持っておくと、今後の投資判断がしやすくなります。代替されやすいSaaSの特徴としては、業務プロセスが比較的単純で、入力から出力までの流れが定型化されているものが挙げられます。たとえば、簡単な文章生成や定型的なデータ集計・要約といった機能だけを提供するSaaSは、生成AIの汎用的な機能で代替されやすい部類に入ると考えられます。

一方で、代替されにくいSaaSの特徴としては、業界固有の複雑な業務フローに深く組み込まれていること、社内の他システムとの連携が前提になっていること、法令対応や監査対応など専門性の高い要件を満たしていることなどが挙げられます。たとえば、社内のスケジュール共有・情報共有・ファイル管理といった複数の業務を横断的に支える基盤的なSaaSは、単純な入出力の代替では済まない複合的な機能を持つため、AI代替の影響を相対的に受けにくいと考えられます。新規にSaaSへ投資する際は、その機能が生成AIの汎用的な能力だけで再現できるものかどうかを一度検討してみることが、無駄な投資を避ける一助になります。

ただし、AI技術の進歩は速く、現時点で代替されにくいと考えられる機能であっても、将来的に状況が変わる可能性は否定できません。特定の判断を断定的に下すのではなく、定期的に業界動向や自社が利用するSaaSのアップデート内容を確認しながら、必要に応じて投資判断を見直していく姿勢が現実的といえます。

契約前に確認しておきたいデータ移行の手順

サービス終了リスクへの備えとして「データエクスポート機能の確認」がしばしば挙げられますが、実際には機能の有無だけでなく、移行の手順まで事前に把握しておくことが重要です。エクスポート機能自体は用意されていても、出力形式が特殊で他システムに取り込みにくかったり、一部のデータ項目がエクスポート対象外になっていたりするケースがあるためです。

契約前の確認事項としては、エクスポートできるデータの範囲、出力形式が汎用的な形式(CSVなど)に対応しているか、添付ファイルや画像といった付随データも含めて取り出せるかといった点が挙げられます。また、実際にサービスを解約した場合に、データの保存期間がどの程度設けられているかも確認しておくと安心です。解約後すぐにデータが削除される契約になっていると、移行作業の途中で必要なデータを取り損ねるリスクが高まります。契約書やサービス利用規約の該当箇所を事前に読み込んでおき、不明な点があれば契約前に運営会社へ問い合わせておくことが、いざというときの移行作業をスムーズにする備えになります。

海外の議論から日本企業が学べること

「SaaSの死」という議論は米国のベンチャーキャピタル業界から始まったものですが、その背景には日本企業にとっても参考になる視点が含まれています。米国では、SaaS企業が高いバリュエーションで評価されてきた一方、金利環境の変化や投資家の期待収益率の見直しにより、従来ほど高い評価を得にくくなったという事情があります。これは主に投資家・SaaS事業者側の論点であり、利用者である企業に直接的な影響を与えるものではありません。

しかし、この議論の中で語られている「AIによる機能代替」「収益モデルの転換」といった論点は、日本企業がSaaSを選定・契約する際の視点としても参考になります。具体的には、契約するSaaSが特定の機能だけに依存したシンプルな設計になっていないか、逆に業務プロセス全体を支える基盤的な役割を果たしているかを意識して選ぶことが、長期的に安定して使い続けられるサービスを見極める一つの手がかりになります。海外の議論を鵜呑みにして不安を抱くのではなく、自社の契約状況を見直すきっかけとして活用する姿勢が実務的です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「SaaSの死」とはどういう意味ですか?

A. 2022年ごろ米国のベンチャーキャピタルから始まった、従来のSaaSビジネスモデルが転換点を迎えたことを指す議論です。

Q2. SaaSは本当に消滅しますか?

A. SaaS自体の消滅ではなく、評価やビジネスモデルの変化を指す議論です。

Q3. 利用者が注意すべきリスクは何ですか?

A. サービス終了リスク、コスト肥大化リスク、AI代替リスクの3つです。

Q4. サービス終了リスクへの対策は何ですか?

A. 実績重視の製品選択と、データエクスポート機能の確認です。

Q5. コスト肥大化を防ぐにはどうすればよいですか?

A. 年1回以上のSaaS棚卸しと利用率確認が有効です。

Q6. AI代替リスクへの対策は何ですか?

A. 代替が難しい業務特化型SaaSに投資を絞ることが効果的です。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. データエクスポート機能を確認する:契約前に見落としません。
  2. SaaSの棚卸しを定期的に行う:コストの肥大化を防ぎます。
  3. 代替されにくいSaaSを見極める:AI代替リスクに備えます。

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