IVRとは?コールセンターでの仕組み・選び方・費用の内訳を解説

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  • IVRの仕組みとACDとの役割分担がわかる
  • 費用の内訳と見積もりの確認項目がわかる
  • 規模別の使い方と導入後の指標がわかる

IVR(Interactive Voice Response)とは、かかってきた電話に音声ガイダンスで自動応答し、発信者のボタン操作や発話に応じて適切な窓口やオペレーターへ振り分ける自動音声応答システムです。コールセンターでは、用件を聞いて転送する一次受けを自動化し、取次ミスや待ち時間を減らす役割を担います。

費用は初期費用・月額費用・通話料・オプションの組み合わせで決まり、大企業だけの仕組みでもありません。この記事では、コールセンターでのIVRの仕組みと機能、メリットとデメリット、規模別の使い方、クラウド型とオンプレミス型の違い、費用の内訳と見積もりで確認する項目、ボイスボットやナビダイヤルとの違い、導入後に見る指標とカスハラ対策までを、公的資料も確認しながら整理します。

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目次

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  1. IVRとは|コールセンターでの仕組み
  2. IVRの種類と主な機能|着信・発信・ビジュアルIVR
  3. IVRのメリット・デメリットと向いている窓口
  4. IVRの導入形態|クラウド型とオンプレミス型の違い
  5. IVR選び方のポイント|料金(費用)の内訳とチャネル数・拠点数の関係
  6. IVRとボイスボット(AI電話・AI自動応答)の違い
  7. IVR導入でよくある失敗パターンと、導入後の見直し方
  8. IVR導入前のコスト試算とセルフチェック
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

IVRとは|コールセンターでの仕組み

IVRはInteractive Voice Responseの略で、着信に自動で音声ガイダンスを流し、発信者の番号入力や発話に応じて適切な窓口へ案内する仕組みです。コールセンターでは、オペレーターが最初に用件を聞いて転送する「一次受け」を自動化する役割を担います。

着信から応答までの基本的な流れ

一般的なIVRの処理は、次の4段階で進みます。

  1. 着信すると、「お問い合わせ内容に応じて番号を押してください」といった音声ガイダンスが自動で流れる
  2. 発信者がプッシュボタン(または音声)で用件を選ぶ
  3. 選択内容に応じて、担当部署やスキルを持つオペレーターのグループへ振り分ける
  4. 担当者が埋まっている場合は待ち受けのガイダンスを流す、または折り返し予約や営業時間外の案内に切り替える

この流れのうち、1と2をIVRが、3以降をACD(Automatic Call Distribution、着信呼自動分配)が担うのが一般的な役割分担です。ACDは、空いているオペレーターや特定のスキルを持つオペレーターへ着信を割り当てる機能で、IVRで集めた用件の情報と組み合わせることで、より精度の高い振り分けができます。最近のクラウド型サービスでは、IVRとACDが1つの製品にまとまっていることも珍しくありません。

プッシュ式から音声認識型へ|IVRの進化

初期のIVRは、電話機のボタン操作で用件を選ぶ方式が中心でした。現在は、音声認識で発信者が話した用件を聞き取って振り分ける方式や、スマートフォンの画面でメニューを選ぶビジュアルIVRもあります。方式が変わっても、用件を聞き取って適切な窓口へつなぐという基本の役割は同じです。種類ごとの違いは次の章で整理します。

ただし、IVRで用件を正しく振り分けても、つながった後の会話の中身は別の課題として残ります。通話の録音や応対内容の振り返りまで含めて見直したい場合の一例が、株式会社RevCommのMiiTel Phoneです。商品ページ(2026年10月15日確認)によると、すべての通話を自動で録音・文字起こしでき、任意の日付や担当者で絞り込んで振り返れます。過去のデータから電話がつながりやすい曜日や時間帯も確認できるため、発信を伴う窓口では通電率の改善にも役立つとされています。一方で、サポート対応は平日9時から18時までと記載されているため、夜間や土日も稼働するセンターでは、トラブル時の社内対応もあわせて確認しておくと安心です。料金は契約条件によって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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IVRの種類と主な機能|着信・発信・ビジュアルIVR

コールセンターで使われるIVRは、着信を振り分ける着信IVR、企業から自動で電話をかける発信IVR、画面で選んでもらうビジュアルIVRの3種類に大きく分けられます。自社の課題が受電の振り分けなのか、架電の負担なのか、電話そのものの件数なのかによって、検討すべき種類が変わります。

種類仕組み主な用途注意点
着信IVR 受電に音声ガイダンスで応答し、番号入力や発話に応じて振り分ける 用件別の振り分け、営業時間外の案内、折り返し予約の受付 メニューが多いと途中で切られやすい
発信IVR(オートコール) 登録したリストへ自動で発信し、録音した音声で案内する 予約日の確認、支払期日の案内、アンケートなど定型の連絡 機械音声だと気づいた時点で切られることがあり、冒頭の名乗りと用件の伝え方が重要
ビジュアルIVR Web画面やSMSで届いたURLからメニューを表示し、画面のタップで選んでもらう FAQやチャット、Webフォームへの誘導による自己解決 固定電話からの発信者やスマートフォンの操作に不慣れな層には使いにくい

IVRの主な機能と確認したいこと

IVRの機能はサービスによって異なります。次の表は、各社の解説でよく挙げられる機能を、確認したい点とあわせて整理したものです。標準機能かオプションかは、見積もりの段階で必ず確かめましょう。

機能できること確認したいこと
時間外・休業日の案内 曜日や時間帯で自動応答メッセージを切り替える 祝日や臨時休業の設定を、自社で変更できるか
あふれ呼・放棄呼の対策 席が埋まっているときに待機の案内を流す、または折り返しを受け付ける 待ち時間の案内や折り返し予約に対応しているか
折り返し電話の予約 待たせる代わりに、発信者の番号を登録して後からかけ直す 予約の一覧を管理画面で確認できるか
SMS送信 手続きページのURLなどを、通話中にSMSで送って通話を終える 送信数の上限や、送信ごとの費用はどうなっているか
通話録音 通話を録音し、応対内容の確認や教育に使う 保存期間と容量、検索のしやすさ
顧客情報の表示(CRM連携) 着信時に顧客情報を画面に表示する 自社の顧客管理システムと連携できるか
担当者への通知 メールやチャットで着信を知らせる 通知先の設定を誰が変更できるか
ウィスパリング オペレーターにつながる前に、用件などの情報を伝える 対応していない製品もあるため、必要性を事前に整理する
アンケート 通話の最後に満足度などを自動音声で尋ねる 結果を集計できる画面があるか

表のうち、あふれ呼は、オペレーターが対応できずに待たせている状態の着信、放棄呼は、オペレーターにつながる前に発信者が切った、またはシステムにより切断された着信を指します。どちらも後述する導入後の指標で数えられるため、導入前の段階から件数を把握しておくと効果を比べやすくなります。

IVRのメリット・デメリットと向いている窓口

IVRのメリットは一次受けの自動化と取次ミスの削減、デメリットは発信者の操作の負担が増えることです。用件が定型的に分かれている窓口ほど、導入の効果が出やすくなります。

コールセンターにIVRを導入するメリット

メリット具体的な効果
一次受けの自動化 用件を聞いて転送する作業がなくなり、オペレーターが本来の対応に集中できる
取次ミスの削減 用件ごとに決まった窓口へつながるため、たらい回しや転送ミスが減る
営業時間外の対応 夜間や休日でも案内の音声や折り返し予約で受け付けられる
データの蓄積 どの用件の電話がいつ多いかを記録でき、人員配置の見直しに使える

とくに見落とされがちなのが、最後のデータの蓄積です。IVRで選ばれたメニューの件数を時間帯別に集計すると、「月末は請求に関する問い合わせが集中する」「新商品の発売直後は使い方の質問が増える」といった傾向が見えてきます。これをシフト表や研修計画に反映できるかどうかで、IVRの投資効果は大きく変わります。

IVRのデメリットと、向いている窓口・向いていない窓口

IVRには、発信者の側から見たデメリットもあります。ガイダンスを最後まで聞いて番号を押すという操作の負担が増えること、すぐに人と話したい発信者にとっては遠回りに感じられること、自分の用件がどのメニューに当たるのか分からないと途中で電話を切ってしまうことの3点です。企業側の効率だけを見て導入すると、かえって顧客満足度を下げる結果になりかねません。

区分窓口の特徴理由
向いている 用件の種類がはっきり分かれている、定型的な問い合わせが多い、窓口や担当部署が複数ある、営業時間外の着信が多い メニューで用件を切り分けやすく、振り分けや自動案内の効果が出やすい
向いていない 相談内容が1件ごとに異なる、用件を番号で分類しにくい、着信件数が少なく1人から2人で受けきれている メニューに当てはまらない着信が多くなり、操作の負担だけが増える

向いていない側に当てはまる窓口でも、営業時間外の案内だけにIVRを使う、最初の選択肢を2つに絞るといった限定的な使い方であれば、発信者の負担を増やさずに導入できます。デメリットを抑える具体的な設計の考え方は、後半の失敗パターンの章で解説します。

IVRは大企業だけのもの?|中小企業と大企業での使い方の違い

IVRは大企業だけの仕組みではありません。代表電話の振り分けや営業時間外の案内だけであれば、数席の窓口や、コールセンターを持たない中小企業でも使えます。規模が大きくなるほど、求められる設計が変わります。次の表は、窓口の規模ごとの典型的な使い方を、本記事で整理したものです。

規模主な使い方設計で気をつけること
小規模(10席未満、コールセンターを持たない企業を含む) 代表電話の振り分け、営業時間外の案内、折り返し予約 メニューは2つか3つに絞り、設定の変更を自社で行えるようにする
中規模(10席から50席程度) 用件別の振り分けとACDの組み合わせ、通話録音 スキル別の振り分けと、応対履歴の検索のしやすさ
大規模(50席以上・複数拠点) 拠点をまたぐ振り分け、CRM連携、必要に応じてボイスボットや通話解析 拠点や在宅オペレーターの扱い、障害時の切り替え、データの管理体制

大企業では、IVRを入れること自体より、拠点や席数が増えたときに設計を変え続けられるかが課題になります。費用の面での違いは、後述の費用の章で扱います。

IVRの導入形態|クラウド型とオンプレミス型の違い

IVRの導入形態は、ベンダーのサーバーをインターネット経由で使う「クラウド型」と、自社内に専用の設備を置く「オンプレミス型」の2つに大別されます。初期費用を抑えてすぐに始めたいならクラウド型、独自の業務システムとの深い連携や厳格な社内規程が必要ならオンプレミス型が候補になります。

比較項目クラウド型オンプレミス型
初期費用 抑えやすい 設備購入や構築費で高くなりやすい
導入までの期間 短い(設定だけで始められる場合が多い) 長い(設計・構築・試験が必要)
カスタマイズ性 提供される機能の範囲内 自社の要件に合わせて作り込める
席数・拠点の増減 契約変更で柔軟に対応しやすい 設備の増強が必要になる場合がある
保守・運用 ベンダーが担う 自社または保守契約先が担う
在宅勤務との相性 パソコンやスマートフォンから利用でき、相性がよい 社外からの接続にはVPNなどの追加対応が必要

近年は、在宅オペレーターや複数拠点の運営が広がったことで、新規導入ではクラウド型を選ぶ企業が多くなっています。オンプレミス型は、既存の交換機や基幹システムと密接に連携している大規模センターや、社内規程で通話データを外部に置けない業種で引き続き使われています。

どちらの形態でも、電話窓口は止まると業務に直結します。サービス側や回線の障害に備えて、予備の回線や切り替えの手順をどう用意するかは、冗長化の仕組みと費用の考え方 で考え方を整理しています。

クラウド型を選ぶ場合に確認しておきたいのが、通話録音などのデータの保存場所と管理体制です。通話内容から特定の個人を識別できる場合は個人情報にあたり、個人情報取扱事業者には利用目的を通知または公表する義務があります。一方、録音していること自体を相手に伝える義務までは負わないと、個人情報保護委員会のQ&A(Q1-10) に示されています。通話の冒頭で録音を案内するかどうかは、利用目的の示し方とあわせて、自社の方針として決めておくのが一般的です。具体的な対応が自社のケースで十分かどうかは、法務担当者や専門家に確認してください(本記事は法的助言を目的としたものではありません)。

IVR選び方のポイント|料金(費用)の内訳とチャネル数・拠点数の関係

IVRの費用は、初期費用・月額費用・通話料・オプション費用の組み合わせで決まり、チャネル数や席数、拠点数で総額が変わります。定価のあるサービスではないため、自社の運用規模に当てはめた総額で見積もりを比べることが大切です。

IVRの料金(費用)の内訳

項目主な内容確認のポイント
初期費用 契約時の手数料、番号の取得、音声ガイダンスの収録や初期設定。オンプレミス型では設備の購入と構築 初期設定を自社で行うか、ベンダーに依頼するか
月額費用 利用料や保守費。サービスによって、席数・チャネル数・番号数などを単位に課金される 課金の単位は何か、最低契約期間はあるか
通話料 着信や転送にかかる通話料。ガイダンスを流している間の通話も含まれる場合がある 従量課金か込みか、転送先の料金はどうなるか
オプション費用 通話録音、文字起こし、CRM連携、ビジュアルIVR、SMS送信など 標準機能かオプションか、あとから追加できるか

公開されている比較記事や各社のサイトには費用例が載っていますが、チャネル数、席数、契約期間、オプションの条件がそれぞれ異なるため、金額だけを並べても比較になりません。本記事では具体的な金額は掲載せず、費用が決まる仕組みと見積もりで確認する項目を整理します。実際の金額は、各社の公式サイトや見積もりで確認してください。

費用が変動する主な要因

要因費用への影響確認のポイント
チャネル数 同時に受けられる通話数が増えるほど高くなる ピーク時の同時着信数を過去の記録から確認する
席数(ユーザー数) 1席ごとの月額課金が多い 繁忙期だけ増やせる契約かどうか
拠点数 拠点をまたぐ振り分けで追加費用が発生する場合がある 在宅勤務者を1拠点として数えるかどうか
音声ガイダンス プロのナレーターによる収録は別料金になりやすい 音声合成で作れるか、変更時の費用はいくらか
オプション機能 通話録音・文字起こし・CRM連携などで加算される 標準機能とオプションの境目を見積もりで確認する
通話料 着信課金の番号を使う場合は通話量に比例する IVRのガイダンスを聞いている時間も通話料に含まれる点

とくに注意したいのが最後の通話料です。フリーダイヤルなどの着信課金の番号を使っている場合、ガイダンスが長いほど1件あたりの通話料が増えます。メニューの階層を深くしすぎると、顧客の負担だけでなく企業側のコストも増えるため、ガイダンスの長さは費用の観点からも見直す価値があります。

見積もりを取るときに確認する項目

複数社の見積もりを同じ条件で比べるために、次の項目を、そろえて質問しておくと比較しやすくなります。

確認項目質問の例
契約の単位 席、チャネル、番号のどれで課金されるか。増減はいつ、どの手続きでできるか
初期設定 メニューやガイダンスの設計と収録は誰が行うか。どこまでが初期費用に含まれるか
変更の費用 営業時間やメニューの変更を自社で行えるか。依頼する場合は都度費用がかかるか
通話料の扱い ガイダンス中や転送中の通話料はどちらの負担か
録音の保存 保存期間、容量、ダウンロードの可否、上限を超えた場合の費用
契約期間と解約 最低契約期間、途中解約の条件、更新の方法
サポート体制 受付の曜日と時間、問い合わせ窓口、障害時の連絡方法
導入までの期間 申し込みから利用開始までの標準的な日数

これらは、IVR(電話自動対応システム)おすすめ15選の比較記事 のように製品を並べて比べる前の準備としても使えます。

コールセンター規模別の選び方

費用の構造をふまえると、規模別の考え方は次のように整理できます。

規模おすすめの構成重視したい機能
小規模(10席未満) クラウド型IVRのみで開始 シンプルなメニュー設定、営業時間外の案内、スマートフォン対応
中規模(10席から50席程度) クラウド型IVRとACD、通話録音 スキル別の振り分け、応対履歴の検索、CRM連携
大規模(50席以上・複数拠点) IVRとACDにAI解析を加え、必要に応じてボイスボット 拠点横断の振り分け、応対品質の分析、自己解決率の向上

小規模の窓口では、高機能な製品を入れても使い切れないことが多く、まずは振り分けと時間外案内だけで十分な効果が出ます。中規模になると、オペレーターごとの応対のばらつきが問題になりやすいため、録音と検索の機能が役立ちます。大規模になると、人手による聞き取りでの品質管理は現実的でなくなるため、AIによる文字起こしや解析の価値が高まります。規模が大きくなるたびに製品を入れ替えるのは負担が大きいため、2年から3年先の席数を想定して、段階的に機能を追加できるサービスを選んでおくと安心です。

電話対応そのものを外部に任せる選択肢もあります。委託範囲やKPIの考え方は、コールセンターBPOの委託範囲とKPI で整理しています。

IVRとボイスボット(AI電話・AI自動応答)の違い

IVRは用件を選んでもらって人につなぐ仕組み、ボイスボットはAIが会話して用件そのものを完結させる仕組みです。IVRが「振り分け」の自動化なのに対して、ボイスボットは「応対」の自動化まで踏み込む点が最大の違いです。AI電話やAI自動応答と呼ばれるサービスも、考え方はボイスボットに近いものです。

比較項目IVRボイスボット
操作方法 主にプッシュボタン 自然な発話
役割 窓口への振り分け 問い合わせへの回答や受付の完結
向いている用件 用件の種類が明確で、最終的に人が対応するもの 住所変更、予約受付、残高照会など定型的なもの
導入費用 比較的抑えやすい シナリオ設計や調整を含めて高くなりやすい
運用上の注意 メニュー階層が深くなりすぎないように設計する 認識できなかった場合に人へ切り替える導線が必須

ボイスボットは導入費用が高くなる傾向がありますが、定型的な問い合わせが全体の多くを占めるセンターでは、オペレーターの対応時間の削減や応答率の向上といった効果が期待できます。一方、問い合わせ内容が個別性の高いものばかりの窓口では、ボイスボットで完結できる割合が低く、費用に見合わないこともあります。まずはIVRで用件別の件数を集計し、定型的な用件がどれだけあるかを把握してから、ボイスボットの導入を判断する進め方が堅実です。

また、IVR、通話録音・AI解析型のクラウド電話、ボイスボットは排他的な選択肢ではありません。振り分けはIVR、定型の用件はボイスボット、人が対応した通話はAI解析で品質改善、というように組み合わせて使うのが大規模センターでは一般的です。AIを業務に組み込む際の留意点は、総務省と経済産業省がまとめたAI事業者ガイドライン(第1.2版)が参考になります。AI事業者が共通して意識する指針や、リスクへの向き合い方が整理されているため、AIの回答に誤りがあった場合の扱いや顧客への説明を事前に決める際の土台になります。

IVR導入でよくある失敗パターンと、導入後の見直し方

IVR導入の失敗は、メニューの作りすぎ、オペレーターへの逃げ道の欠如、導入後の見直し不足の3つに集約されます。いずれも設計段階と運用ルールで防げるものです。スイッチを切り替えると、失敗例と回避策を見比べられます。

よくある失敗 回避策

失敗パターン1:メニューを細かく分けすぎた。用件を網羅しようと3階層・10項目以上のメニューを作った結果、発信者が途中で電話を切ってしまい、放棄呼が導入前より増えた。

失敗パターン2:オペレーターにつながる選択肢がない。どのメニューにも当てはまらない用件の発信者が行き場を失い、苦情の電話が別の番号にかかってくるようになった。

失敗パターン3:導入後にメニューを見直さない。商品やサービスが変わってもガイダンスが古いまま残り、誤った窓口への振り分けが増えた。

3つの失敗に共通するのは、IVRを「一度設定すれば終わり」の設備として扱ってしまう点です。IVRは顧客が最初に接する窓口であり、その使いやすさは企業の印象そのものに直結します。導入時に完璧なメニューを作ろうとするより、シンプルに始めて、実際の件数や離脱の記録をもとに改善し続けるほうが、結果として顧客にもオペレーターにも使いやすい仕組みになります。

IVR導入後に毎月見る5つの指標

見直しを続けるには、毎月同じ指標を見る必要があります。次の表は、IVRとACDの履歴から確認できる代表的な指標と、その見方です。呼び方や集計の単位は製品によって異なるため、導入前に出力できるレポートを確認しておきましょう。

指標計算の考え方見るときのポイント
応答率 応答した着信数を、全着信数で割った値 時間帯別に見て、席が足りない時間を探す
放棄呼率 放棄呼の数を、全着信数で割った値 メニューの途中で切られていないか、待ち時間が長すぎないかを確認する
メニュー別の選択件数 IVRの各メニューが選ばれた回数 件数の少ないメニューを統合し、多い用件を先頭に置く
転送率 他部署へ転送した件数を、応対件数で割った値 高い場合は、メニューの名前や分け方が用件に合っていない可能性がある
平均処理時間 通話時間と通話後の作業時間を合わせた、1件あたりの平均 用件別に見て、長い用件の手順や教育を見直す

指標を毎月見ていても、数字の裏にある応対の中身までは確認できません。たとえば転送率が高い理由が、メニューの分け方にあるのか、オペレーターの案内にあるのかは、実際の通話を聞かないと分からないためです。

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通話録音の案内とカスハラ対策|2026年10月から事業主の義務に

2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、事業主は顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)について、雇用管理上必要な措置を講じることが義務になりました。措置の内容を定めた指針は、令和8年厚生労働省告示第51号として示されています。企業向けの対策マニュアルも、厚生労働省の「職場におけるハラスメントの防止のために」のページ で公開されています。

電話窓口では、暴言が続く場合の対応と管理者への引き継ぎの手順を決めておくことが、対策の中心になります。IVRの使い方としては、通話の冒頭で録音している旨を案内する、営業時間外は音声案内にして長時間の対応を避ける、といった運用を検討できます。通話の録音は、事実関係の確認や、現場の担当者を守るための材料にもなります。録音の扱いについては、前述のとおり利用目的の通知または公表が必要になる点にも注意してください。個別の対応が法令に適合するかどうかは、法務担当者や専門家に確認してください(本記事は法的助言を目的としたものではありません)。

IVR導入前のコスト試算とセルフチェック

IVR導入の費用対効果は、一次受けと取次にかかっている時間を人件費に換算すると見積もりやすくなります。月間の着信件数と1件あたりの取次時間、オペレーターの時給を動かして、自社の目安を確認してみましょう。

月間の着信件数:3000件

1件あたりの一次受け・取次の時間:40秒

オペレーターの時給:1500円

一次受け・取次にかかる時間:時間/月

半分を自動化できた場合の削減額の目安:円/月

取次時間の50%をIVRで自動化できると仮定した簡易計算です。実際の効果は問い合わせ内容やメニュー設計によって異なります。

例えば月3,000件の着信で、1件あたり40秒を一次受けと取次に使っている場合、月におよそ33時間になります。時給1,500円と仮定して計算すると、その半分を自動化できれば月2万5,000円程度の人件費に相当する時間を、本来の応対に回せる計算です。この数字には、取次ミスによる再入電や、待ち時間に耐えきれず電話を切った顧客の機会損失は含まれていません。実際の効果はこれより大きくなることもあれば、メニュー設計が合わずに小さくなることもあります。

社内で導入を提案する際は、このシミュレーション結果と、見積もりで確認した月額費用を並べて示すと、判断材料として伝わりやすくなります。あわせて、通話録音やAI解析による応対品質の改善効果は金額に換算しにくいため、「新人の育成期間」「苦情件数」など、自社で計測できる指標を導入前に決めておくと、導入後の振り返りがしやすくなります。

ここまでの内容を、自社の状況に当てはめて確認してみましょう。振り分けの数え直しや、通話内容の確認を毎回人手で行っているなら、その手間は仕組みで減らせる可能性があります。当てはまる項目を選ぶと、次に取り組む順番の目安が表示されます。

電話窓口の運用、IVRで変えられる点はある?セルフチェック

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よくある質問(FAQ)

Q1. IVRとは何ですか?どういう意味ですか?

A. Interactive Voice Responseの略で、日本語では自動音声応答システムと呼ばれます。着信に音声ガイダンスで応答し、発信者のボタン操作や発話に応じて適切な窓口へ振り分ける仕組みです。コールセンターでは、用件を聞いて転送する一次受けの自動化に使われます。

Q2. IVRとACDの違いは何ですか?

A. IVRは音声ガイダンスで発信者の用件を聞き取る仕組み、ACDはその着信を空いているオペレーターやスキルを持つオペレーターへ割り当てる仕組みです。組み合わせて使うことで、用件に合った担当者へ効率よくつなげられます。

Q3. IVRの料金(費用)はいくらですか?

A. IVRに定価はなく、初期費用・月額費用・通話料・オプション費用の組み合わせで決まります。チャネル数、席数、拠点数、録音などの機能によって総額が変わるため、具体的な金額は各社の公式サイトや見積もりで確認してください。見積もりで確認する項目は、本文の費用の章にまとめています。

Q4. IVRとナビダイヤルの違いは何ですか?

A. ナビダイヤルは、「0570」で始まる番号で電話を受け付けるサービスで、NTTドコモビジネスの公式サイトでは通話料金が発信者負担とされています。IVRは、その番号などに着信した電話へ音声で応答して振り分ける仕組みです。ナビダイヤルにも案内ガイダンスや振り分けのオプションがあるため、目的に応じて組み合わせて検討します。

Q5. 中小企業や小規模な窓口でもIVRを使えますか?大企業向けの仕組みですか?

A. 大企業向けだけの仕組みではありません。代表電話の振り分けや営業時間外の案内であれば、数席の窓口や中小企業でも使えます。席数や拠点が増えるほど、ACD連携やCRM連携、通話解析まで含めた設計が必要になります。

Q6. IVRとボイスボットはどう使い分ければよいですか?

A. 最終的に人が対応する用件の振り分けにはIVR、住所変更や予約受付など定型的な用件を無人で完結させたい場合はボイスボットが向いています。まずIVRで用件別の件数を集計し、定型的な用件の割合を把握してからボイスボットを検討すると判断しやすくなります。

まとめ

コールセンターのIVRは、一次受けと取次を自動化し、オペレーターが本来の応対に集中できる環境を作る仕組みです。導入を検討する際は、次の6つを押さえておきましょう。

  1. IVRとACDの役割分担を理解し、用件とスキルに合った振り分けを設計する
  2. IVRは大企業だけのものではなく、窓口の規模と用件の分かれ方に合わせて使い方を決める
  3. クラウド型とオンプレミス型の違いを、費用・拡張性・データ管理の観点で比較する
  4. 費用は初期費用・月額費用・通話料・オプションの内訳と、見積もりで確認する項目をそろえて総額で比べる
  5. 導入後は応答率や放棄呼率などの指標を毎月見て、メニューを見直し続ける。録音の扱いとカスハラ対応の方針も決めておく
  6. 振り分けの先の応対品質まで見直したい場合は、通話録音と文字起こしを備えたMiiTel Phoneなどの資料も取り寄せて比較する

まずは、自社の用件別の着信件数と放棄呼を1か月分集計するところから始めてみてください。

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