契約書の収入印紙とは|課税文書の判定基準と号分類の考え方
Check!
- 契約書が課税文書に該当するかどうかの判定基準と号分類の考え方がわかる
- 業種別(建設・製造業/IT・フリーランス/不動産/継続取引)の注意点と、電子契約システムでの解決の考え方がわかる
- 収入印紙の貼り忘れ・判定ミスなど、よくある失敗パターンと回避策がわかる
契約書を作成するたびに「これは収入印紙が必要か」「どの号文書に当たるか」と迷った経験はありませんか。印紙税法が定める課税文書のルールは複雑で、契約の種類・金額・形式によって判断が変わります。貼り忘れると本来の納付額の3倍の過怠税が課されるリスクがある一方、判定の考え方さえ押さえれば自社で正確に判断できるようになります。この記事では、国税庁の公的資料を根拠に、課税文書の判定基準・号分類の考え方・業種別の注意点・失敗パターンと回避策、そして印紙税の悩みを根本から解消する電子契約システムの選び方までを体系的に解説します。契約書の種類ごとの金額早見表は契約書の収入印紙 金額表【種類別早見表・2025年最新】、電子契約への移行手順は収入印紙は電子契約でゼロにできる|移行手順と電帳法対応チェックリストで詳しく解説しています。
あなたの契約書、印紙税リスクを診断
Q1. 印紙税で一番不安なのは?
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印紙税の悩みを根本から解消する電子契約システムの比較
貼り忘れ・金額誤り・判定ミスという印紙税の3つの失敗パターンは、契約を電子化すればそもそも発生しなくなります。電子契約は印紙税法上の課税文書に該当しないため、収入印紙が一切不要になるためです(詳細は後述の「印紙税法上、電子契約が課税対象外になる法的根拠」を参照)。以下に、特徴が異なる3サービスを比較の一部としてご紹介します。
| サービス名 | 特徴 |
|---|---|
| 電子印鑑GMOサイン | 立会人型・当事者型どちらの署名方式にも対応。自社開発技術で低コスト・高機能を実現し、送信料も他社と比較して抑えられている |
| マネーフォワード クラウド契約 | 送信料・契約書保管料が0円。紙の契約書と電子契約をまとめて一元管理でき、他のマネーフォワードクラウドプロダクトとも連携できる |
| Contract One | 紙・PDF・電子契約を問わずAI-OCRで契約書をデータ化(主要項目の精度約99%)。全文検索・契約期限アラート・AIエージェント機能で契約データを活用できる |
貼り忘れ・件数管理が課題ならコストを抑えて紙と電子を一元管理できるサービス、金額区分や判定の正確性が課題なら契約書自体をデータ化して管理できるサービスを軸に検討すると選びやすくなります。なお、不動産取引・継続的な取引基本契約書等、契約の種類によってはさらに専門性の高いサービスが適する場合もあります(業種別の注意点で後述)。
比較検討の際は、機能の多さだけで選ばず「自社が今抱えている課題は何か」を先に整理することが重要です。契約件数が少なく、まずは電子契約自体を試してみたい場合は無料プランやトライアルの有無を確認するとよいでしょう。逆に契約件数が多く、紙の契約書と電子契約が混在している場合は、両方を一元管理できる機能があるかどうかが選定の分かれ目になります。署名方式についても、立会人型(メール認証で完了する簡易な方式)と当事者型(電子証明書による本人確認を伴う、より高い法的効力を持つ方式)のどちらが必要かによって、適したサービスが変わってきます。
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
オプションが豊富で自社にあった機能を選びたい方におすすめ

実際に使用してみたレビューはこちら

【レビュー】『GMOサイン』を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、GMOサインの利用経験ゼロの筆者が、ゼロからGMOサインの無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- スタンダードプランでも機能が充実しており、提供機能を無駄なく活用できる
- 立会人型電子署名は1件あたり100円で送信でき、他社と比較してほぼ半額で利用できる
ここが少し気になる…
- 機能やオプションが豊富でマルチに使えるが、全て必要な場合はオプション料金が高額になってしまう
-
紙の契約書の管理や郵送の手間が大きな課題でしたが、このサービスを導入したことで契約締結のスピードが向上し、業務効率が大幅に改善しました。また、電子署名による法的効力の確保や契約書の一元管理が可能になり、コンプライアンスの強化にもつながりました。さらに、リモート環境でも契約手続きが完結できるため、業務の柔軟性が向上し、取引先とのやり取りもスムーズになりました
-
契約などの書類関係のアポが減り、移動時間が削減した。
-
とにかく面倒だった紙面契約が全て電子に置き換わり契約業務がスピーディになった。紙面契約の場合、保管場所も圧迫されるがクラウド上で保存されるため物理的スペースが不要に。

実際に使ってみたレビューはこちら

【正直レビュー】『マネーフォワードクラウド契約』のメリットや機能は?実際に導入してわかったリアルな感想【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、電子契約システム利用経験ゼロの筆者が、マネーフォワードクラウド契約の無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- 契約書の作成、申請・承認、締結、保存、管理までマネーフォワード クラウド契約ひとつで完結
- 契約書送信料・契約書保管料は0円だから契約書が増えても追加課金なし!
ここが少し気になる…
- ハンコの印影にもう少し工夫ができると良い
-
契約書紙で印刷し、さらに契約先に郵送するなどしていた。近頃は郵便料金が値上がりしているため、印刷から郵送までの工程のコストがかさんでいたという課題があった。ところが、このサービスを利用することで、これらのコストが全くかからなくなった。大変大きなメリットだと感じている。
-
契約書のやり取りがオンラインで完結し、郵送や印刷の手間がなくなったのが大きなメリットです。また、契約書の管理がクラウド上で一元化され、必要な書類をすぐに検索できるため、契約関連の業務時間が短縮されました。電子署名機能も搭載されており、契約締結がスムーズになった点も便利です。
-
契約締結までの時間が大幅に短縮され、印紙代や郵送コストも削減できました。契約書の一元管理が可能になり、検索性も向上したため、必要な時にすぐにアクセスできます。また、契約更新のリマインダー機能のおかげで、更新漏れのリスクも軽減されました。テレワーク環境下でも、場所を選ばずに契約業務を進められるようになったことも大きなメリットです。

ここがおすすめ!
- あらゆる契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用することで、法務部門に限らず全社での契約データの活用を促し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
ここが少し気になる…
- 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も
収入印紙とは何か|印紙税との関係と基本の仕組み
収入印紙とは、印紙税法に基づいて課税文書に貼り付けることで印紙税を納付したことを証明する、政府発行の証票です。収入印紙そのものが税金ではなく、印紙税という国税を「切手形式で前払いする手段」として位置づけられています。
印紙税は、経済取引に伴って作成される特定の文書(課税文書)に対して課される国税です。国税庁の「印紙税額の一覧表」(令和6年5月現在)では、第1号文書から第20号文書まで合計20種類の課税文書が列挙されており、それ以外の文書は非課税です(出典:国税庁「印紙税額の一覧表」、2026年8月9日取得)。
収入印紙は1円から10万円まで31種類が発行されており、必要な金額分を組み合わせて貼付します。郵便局・法務局・市区町村役場などで購入できます。購入の際は、種類と数量を事前に確認してから窓口へ行くとスムーズです。
印紙税が課される理由については、経済取引に伴って作成される文書は、当事者間で権利義務関係を明確にする効力を持ち、経済的利益を生み出しやすいという考え方が背景にあります。文書を作成すること自体に一定の負担能力があるとみなされ、税負担を求める仕組みになっているというのが基本的な整理です。この考え方を踏まえると、なぜ「文書」の作成という行為に税が課されるのか、そしてなぜ電子データによる契約締結には課税されないのかが理解しやすくなります(後述の「印紙税法上、電子契約が課税対象外になる法的根拠」で詳しく解説します)。
契約書と収入印紙|課税文書の判定フローと金額早見表
課税文書に該当するかどうかは、「文書の名称」ではなく「文書の実質的な内容」によって判定されます。タイトルが「委任契約書」であっても、内容が請負契約の要素を含んでいれば第2号文書(請負に関する契約書)として扱われます。同様に、「覚書」「念書」「合意書」といったタイトルであっても、記載内容が請負や不動産譲渡等の課税事項に該当すれば、正式な契約書と同様に課税文書として扱われる点に注意が必要です。
課税文書の判定には以下の3要件をすべて満たす必要があります(出典:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」、2026年8月9日取得)。これらの要件は一見シンプルですが、実務上は「課税事項の記載」の有無をどう判断するかが難しく、複数の契約類型が1つの文書に混在しているケースでは、記載内容全体を精査した上で最も重い課税区分が適用される場合もあります。
- 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられた20種類の文書の課税事項が記載されていること
- 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
- 非課税文書(印紙税法第5条)に該当しないこと
主要な契約書の課税区分と印紙税額(早見表)
中小企業・個人事業主がよく作成する契約書がどの号文書に該当するかを、以下の表に整理しました。第1号・第2号文書は契約金額に応じて税額が段階的に上がり、第7号文書は金額にかかわらず一律です。なお、不動産売買契約書と建設工事請負契約書には軽減措置が適用される場合があります(適用期限は改正の可能性があるため、契約時点で国税庁の公式情報を確認してください)。
| 契約書の種類 | 該当号文書 | 課税区分の要点 |
|---|---|---|
| 不動産売買契約書・金銭消費貸借契約書・土地賃貸借契約書 | 第1号 | 契約金額に応じた段階税額。不動産譲渡は軽減措置あり |
| 工事請負契約書・業務委託契約書(請負型) | 第2号 | 契約金額に応じた段階税額。建設工事は軽減措置あり |
| 業務委託基本契約書(継続取引型) | 第7号 | 金額にかかわらず一律。期間3か月超かつ更新条項ありが対象 |
| 雇用契約書・委任契約書(準委任含む)・動産リース契約書・使用貸借契約書・建物賃貸借契約書 | 非課税(原則) | 委任契約書は内容によって第2号に該当する場合あり。土地の賃貸借契約書は第1号文書として課税される点に注意 |
具体的な税額の区分・金額は、国税庁「印紙税額の一覧表」で号文書ごとに定められています。なお、第1号文書・第2号文書は、契約金額の記載がない場合や記載金額が1万円未満の場合は非課税となりますが、第1号・第2号の両方に該当し通則で第2号文書に所属が決定される契約書は、この1万円未満の非課税規定が適用されない特例があるため注意が必要です(出典:国税庁「印紙税額の一覧表」、2026年9月16日確認)。契約金額の端数によって税額の区分が変わるため、全号文書・全金額帯を網羅した早見表は契約書の収入印紙 金額表【種類別早見表・2025年最新】で確認してください。収入印紙の券面(1円から10万円までの31種類)の一覧・購入場所・貼り方の実務手順を知りたい場合は収入印紙の種類とは?号分類の全体像と購入・貼り方の実務手順もあわせてご覧ください。
消費税額を明記した場合の特例
請負に関する契約書(第2号文書)について、税抜価格と消費税額をそれぞれ明確に記載している場合は、税抜金額を基準に印紙税額を判定できます。契約書の記載方法を工夫するだけで、適用される税額区分が変わる場合がある合法的な手法です。
中小企業・個人事業主が特に注意すべき業種別の印紙税
中小企業・個人事業主にとって印紙税の判定が特に難しいのは、業務委託契約書と売買取引基本契約書です。契約の目的が「成果物の完成」か「業務の遂行」かによって課税区分が異なるため、契約書の文言を精査する必要があります。
不動産売買契約書は専門サービスの活用も選択肢
不動産売買契約書は第1号文書として課税されるだけでなく、2022年5月の宅地建物取引業法改正で電子契約が解禁されて以降、国土交通省の実施マニュアルへの対応が求められる特殊な領域です。不動産・建設業界向けには、国土交通大臣から適法である旨の回答を取得した専門の電子取引サービスも登場しています。汎用的な電子契約サービスではなく、不動産取引に特化した仕組みを検討する余地があります。宅建業法の改正はグレーゾーン解消制度の活用によって実現したもので、事業者署名型の電子契約サービスとして日本で初めて正式な回答を取得した事例もあります。不動産取引を多く扱う事業者にとっては、法令適合性が明確なサービスを選ぶことが、後々のトラブル回避につながります。
株式会社PICK
PICKFORM

ここがおすすめ!
- 「国内で唯一」国土交通大臣から宅建業法に適法との回答を得ている
- ※電子契約で宅建業法や国交省のマニュアルに対応する運用は難しい
- ストレージ機能やフォルダ共有機能・顧客管理機能なども利用可能
- 印紙代のコストカットはもちろん、デジタル化推進により企業活動の効率化と生産性の向上も促進
ここが少し気になる…
- 料金や詳しい機能を確認するには問い合わせが必要
IT業・フリーランスの委任と請負の判定
ウェブ制作・システム開発・デザイン等の業務委託では、「仕事の完成に対して報酬を支払う請負型」か「業務の遂行に対して報酬を支払う委任型(準委任型)」かによって課税区分が変わります。一般的にシステムの納品・完成に対して報酬を支払う場合は第2号文書(請負)として課税され、コンサルティング・顧問業務など業務遂行に対して報酬を支払う場合は委任・準委任として非課税となります。
ただし、タイトルが「業務委託契約書」であっても実質的な内容が請負であれば課税されるため、契約書の文言そのものが判定の分かれ目になります。契約の実質を正確に見極めるには、契約条項の一文一文が「完成義務」を定めているか「遂行義務」を定めているかを丁寧に読み分ける必要があり、自己判断だけでは見落としが生じやすい領域です。法務面に不安がある場合は、日本の法律に特化し弁護士監修を受けている電子契約サービスを使うと、契約書の管理と合わせて安心感が得られます。
フリーランス・個人事業主の場合、1つの業務委託契約書の中に「成果物の納品」と「継続的なサポート業務」の両方が含まれるケースも少なくありません。このような複合的な契約では、契約書全体を1つの号文書として扱うのではなく、主たる目的が請負か委任かで判定するのが基本的な考え方です。契約書を分割して作成する(納品物に関する請負契約と、継続サポートに関する委任契約を別文書にする)ことで、それぞれの課税区分を明確にできる場合もありますが、契約実務が複雑になるため、件数が多い場合は契約書のひな形自体を専門家に確認してもらう方が効率的です。

ここがおすすめ!
- AI契約書管理機能搭載
- メガバンクの厳格なセキュリティ基準が採用されている
ここが少し気になる…
- フォルダ管理の自由度が低い
売買取引基本契約書・代理店契約書の第7号文書判定
継続的な取引の基本となる契約書は第7号文書として一律の印紙税が課されます。具体的には売買取引基本契約書・下請基本契約書・代理店契約書などが該当します。ただし、「契約期間が3か月以内」かつ「更新条項がない」場合は第7号文書に該当しないため非課税です。取引開始時に「まず3か月間の短期契約から始める」という実務上の工夫で印紙税を抑えることもできますが、継続取引が予定されている場合は実態と乖離しないよう注意が必要です。継続的な企業間取引が多い場合は、取引にかかる書類全体をワンストップで管理できるBtoBプロセスプラットフォームを検討すると、印紙税の判定だけでなく事務処理全体の負担を減らせます。
株式会社フォーカスシステムズ
Biz Connection
株式会社フォーカスシステムズ
Biz Connection
取引を明確化・効率化!生産性向上・コスト削減を目指す企業におすすめ
料金:要問い合わせ
ここがおすすめ!
- 取引書類のワンストップ管理によって業務を効率化できる
- 業務の自動化により、手作業によるミスゼロを実現
- 年間定額制・従量課金制からの見直しで大幅なコスト削減が可能
ここが少し気になる…
- 詳しい料金やプランについては問い合わせが必要
収入印紙の貼り方・消印は「原本のみ」「消印必須」が原則
収入印紙は「貼るだけ」では納税は完了しません。印紙税法第8条第2項により、収入印紙を貼付した後に必ず消印(割印)を押す義務があります。消印のない収入印紙は「印紙の再利用を試みた」と税務当局に見なされ、過怠税の対象になります。また、収入印紙は原本(当事者が署名押印した文書)にのみ貼付するもので、写し・副本・謄本への貼付は不要です。原本を1部だけ作成しコピーを渡す運用にすれば印紙代を抑えられますが、原本の紛失リスクへの対策が必要になります。契約書を電子データで保管する場合とは異なり、紙の原本は保管場所の確保や経年劣化への対応も必要になるため、原本を作成する契約書の範囲自体を見直す企業も増えています。消印済みの収入印紙は還付対象外ですが、未使用のまま貼付した収入印紙や非課税文書に誤って貼付した収入印紙は、税務署に申請すれば還付を受けられます。購入場所・貼付位置・消印の具体的な手順や還付請求の実務は収入印紙の種類とは?号分類の全体像と購入・貼り方の実務手順で詳しく解説しています。
印紙税法上、電子契約が課税対象外になる法的根拠
電子契約(電子データによる契約締結)は、印紙税法上の「課税文書」に該当しないため、収入印紙は一切不要です。これは国税庁の見解で確認されています。印紙税基本通達第44条では、課税文書の「作成」を「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使すること」と定義しています(出典:国税庁「法令解釈通達 第7節 作成者等」、2026年8月9日取得)。電子データの送信は「用紙等への記載・交付」に当たらないため、電子契約は課税対象外となります。
この法的根拠を踏まえたうえで、電子帳簿保存法・電子署名法との関係、実際の移行手順、電子契約移行のメリット・注意点まで体系的に知りたい方は収入印紙は電子契約でゼロにできる|移行手順と電帳法対応チェックリストで詳しく解説しています。合法的に印紙税コストを抑える方法としては、電子契約への切り替えのほか、第2号文書で税抜価格と消費税額を分けて記載する(税抜金額を基準に判定できる)、原本を1部のみ作成しコピーで運用する、といった手法もあります。
収入印紙でよくある失敗パターン3つと回避策
印紙税の実務では、貼り忘れ・金額誤り・判定ミスの3つが典型的な失敗パターンです。いずれも税務調査の際に発覚すると過怠税の対象になるため、事前の確認体制が重要です。
失敗パターン1:印紙の貼り忘れ。担当者交代やリモートワーク環境下で確認プロセスが崩れやすく、税務調査で指摘されて初めて発覚するケースが多い。
失敗パターン2:印紙金額の誤り。契約金額の区分を誤って過少な印紙を貼るケース。工事請負契約書で区分を1段階低く見誤る等。
失敗パターン3:課税文書の判定ミス。「委任契約書」という名称でも内容によっては請負契約(第2号文書)と判定され課税される。
もう一つの根本対策は、契約書の条項そのものの文言精度を上げておくことです。税務署への事前照会は個別の契約書について都度行う必要がありますが、契約書のひな形自体を見直しておけば、同種の契約を繰り返し結ぶたびに同じ判定ミスが再発するのを防げます。とはいえ、これらの失敗パターンはいずれも紙の契約書だからこそ発生するものです。契約自体を電子化すれば、貼り忘れ・金額誤り・判定ミスという確認作業そのものが不要になります。特に、複数の担当者が契約書作成に関わる組織では、確認体制を個人の注意力に依存させず、仕組みとして「印紙税の判定が発生しない状態」を作ることが、最も再発防止効果の高い対策になります。
印紙税コストを数値で確認する
年間の契約書作成件数と平均的な印紙税額を掛け合わせると、電子契約に移行した場合の削減額を見積もることができます。以下のシミュレーターで、自社の契約件数を入力して簡易的に試算してみてください。
簡易シミュレーター:電子契約移行による印紙税削減効果を試算
よくある質問(FAQ)
Q1. 業務委託契約書に収入印紙は必要ですか?
A. 業務委託契約書が「請負」に関するものか「委任・準委任」に関するものかによって異なります。成果物の完成に対して報酬を支払う請負型は第2号文書として課税され、業務の遂行に対して報酬を支払う委任型は原則非課税です。また、継続的な取引の基本となる基本契約書(売買取引基本契約書・下請基本契約書・代理店契約書等)は、第7号文書として一律の印紙税が課されます。文書のタイトルではなく内容で判断するため、判定に迷う場合は税務署への事前照会を推奨します。
Q2. 電子契約にした場合、収入印紙は本当に不要ですか?
A. はい、電子契約(電子データによる締結)は印紙税法上の課税文書に該当しないため、収入印紙は一切不要です。これは国税庁の公式見解で確認されています。ただし、電子契約後に紙に印刷して署名・押印した場合は新たな課税文書の作成と見なされ、印紙税が発生する可能性があります。電子契約と紙の混在運用には注意が必要です。
Q3. 収入印紙を貼り忘れた場合、どうなりますか?
A. 収入印紙の貼り忘れが発覚した場合(主に税務調査の際)、本来の印紙税額の3倍に相当する過怠税が課されます(印紙税法第20条)。なお、契約書そのものの法的有効性は収入印紙の貼付の有無に関わらず失われません。自主的に申告した場合は過怠税が軽減される仕組みがあります。
Q4. 雇用契約書に収入印紙は必要ですか?
A. いいえ、雇用契約書は印紙税法上の課税文書に該当しないため、収入印紙は不要です。雇用関係に関する文書は印紙税法別表第1に列挙された20種類の課税文書に含まれません。ただし、雇用関係の文書であっても業務委託的な要素がある場合は個別の判断が必要です。
Q5. 電子契約システムはどう選べばよいですか?
A. まず自社の契約件数・管理体制を整理し、貼り忘れや件数管理が課題ならコストを抑えて紙と電子を一元管理できるサービス、金額区分や判定の正確性が課題なら契約書自体をデータ化できるサービスを軸に検討すると選びやすくなります。不動産取引や継続的な取引基本契約書等、専門性の高い契約を多く扱う場合は、その分野に特化したサービスも候補になります。
Q6. 契約書の文言が請負か委任か判断に迷う場合、どうすればよいですか?
A. 契約書の実質的な内容によって判定が変わるため、文書名だけで判断せず、契約条項を精査する必要があります。判断に迷う場合は税務署への事前照会が有効ですが、これは個別の契約書ごとに都度行う手続きです。繰り返し使う契約書のひな形自体の判定ミスを根本から防ぎたい場合は、契約書をデータ化・管理できる電子契約サービスの活用も一つの方法です。
まとめ|今日からできる4つのこと
収入印紙の正しい管理は、契約書の規模が小さいうちは手動でも対応できますが、取引量が増えると判定ミスや貼り忘れのリスクが累積します。根本解決として電子契約への移行が最も有効です。
- 既存の契約書フォーマットを課税文書かどうか確認する:よく使う契約書を国税庁「印紙税額の一覧表」に照らして分類し、課税区分・税額・消費税の明記状況を確認します。
- 電子契約サービスの導入を検討する:電子帳簿保存法対応・電子署名法対応のサービスを選び、まず新規契約から電子化を始めます。印紙税ゼロになるだけでなく、郵送コスト・保管コストの削減効果もあります。
- 契約書のひな形自体を見直す:委任か請負かの判定ミスは、契約書のひな形そのものの文言が原因になっているケースが多いため、都度の税務署照会に加えて、ひな形の文言精度を確認しておくことで再発を防ぎます。
- バックオフィス全体の属人化を解消する:契約管理・印紙税判定を担当者1名に依存している状態は、成長フェーズで急激に破綻するリスクがあります。早い段階で確認体制を整えることを推奨します。
契約書と収入印紙の関係は、印紙税法という法律に根拠を持つルールです。判定に迷う場面では必ず国税庁の公式情報や税務署への照会を活用し、架空の判断で対応することは避けてください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断については税理士または税務署にご相談ください。電子契約への移行は一度投資すれば継続的なコスト削減につながるため、取引量が増えてきたタイミングで積極的に検討することをお勧めします。
参考文献
- 国税庁「印紙税額の一覧表」(令和6年5月現在)、2026年8月9日取得
- 国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」、2026年8月9日取得
- 国税庁「法令解釈通達 第7節 作成者等(第44条)」(印紙税基本通達)、2026年8月9日取得