シフト表 テンプレートの作り方と無料活用ガイド|業種別選び方も解説
Check!
- シフト表テンプレートの種類と自社に合った選び方がわかる
- 厚労省ガイドに基づく法的必須項目と著作権確認のポイントがわかる
- Excel運用の限界とクラウド型シフト管理システムへの移行タイミングを判断できる
シフト表を手作業で作るたびに「ミスが怖い」「共有が面倒」「毎月最初から作り直し」という悩みを抱えていませんか。小売・飲食・介護・製造業など多くの現場でシフト管理の負担は深刻で、厚生労働省が2022年1月に公表した「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」でも、法令に基づく適切な運用が事業者に求められています。本記事では、業種別のシフト表テンプレートの選び方から、Excelでの具体的な作成手順、法務・著作権上の確認ポイント、そしてExcel運用が限界を迎えたときの移行判断まで、実務担当者が今日から使える情報を整理して解説します。個人事業主から中堅・大企業の人事担当者まで、規模を問わず役立つ内容です。
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
シフト表テンプレートとは?基本と3つの種類
シフト表テンプレートとは、従業員の勤務スケジュールを効率よく管理するために、日付・氏名・勤務時間帯などの基本項目をあらかじめ設定した雛形ファイルです。ゼロから作る手間を省き、法令に沿った項目を漏れなく記録できるのが最大のメリットです。ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトで運用するものが主流ですが、近年はクラウド型のシフト管理システムの普及により、スマートフォンから希望を提出して自動でシフト案を作成するタイプも増えています。
| 種類 | 管理単位 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 日間シフト表 | 1日単位のタイムシフト | 飲食・サービス業で時間帯ごとの人数を把握したいとき |
| 週間シフト表 | 7日間の一覧管理 | 従業員10名以下で短期の調整を行いたいとき |
| 月間シフト表 | 1か月分を一括管理 | 人件費管理・給与計算と連動させたいとき |
テンプレートの選び方は、従業員数と勤務形態から逆算すると失敗しにくくなります。従業員10名以下であれば週間・月間のシンプルな形式で十分ですが、15名を超える多拠点運営や、夜勤・変形労働時間制を含む業種では、業種専用のテンプレートやクラウド型のシフト管理システムを検討する段階に入ります(クラウド化のタイミングは後述の「Excelシフト表の限界とクラウド型シフト管理システムへの移行タイミング」で詳しく解説します)。
Excelでシフト表テンプレートを作る5ステップ
Excelでシフト表を作るには、レイアウト設計・日付と曜日の自動化・勤務区分の設定・集計関数の組み込み・印刷設定の5ステップが基本です。既存のテンプレートをカスタマイズする場合も、この流れを理解しておくと改修の判断が早くなります。
ステップ2の日付自動化では、年・月のセルに数字を入力するだけで1か月分の日付と曜日が表示されるよう設定します。DATE関数で月初の日付を算出し、WEEKDAY関数で対応する曜日を取得するのが基本です。ステップ4の集計関数では、早番・遅番の人数を日ごとに自動カウントするCOUNTIF関数が特に役立ちます。人件費の概算が必要な場合はVLOOKUP関数で別シートの時給データと連動させると、毎月の人件費管理が格段に楽になります。ただし、この5ステップを自社で組み上げるには一定のExcelスキルと保守の手間がかかる点も認識しておく必要があります(この手間が負担になってきた場合の選択肢は、後述の「Excelシフト表の限界とクラウド型シフト管理システムへの移行タイミング」で解説します)。
業種別シフト表テンプレートの選び方と注意点
業種ごとに求められるシフト表の要件は大きく異なります。飲食・小売業では時間帯別の人数管理が最優先で、医療・介護では夜勤回数の管理と施設基準への対応が必須です。製造業では変形労働時間制への対応が欠かせません。汎用テンプレートをそのまま使うと、業種特有の法令要件を満たせないケースがあるため注意が必要です。
| 業種 | シフト表の特徴 | 必須チェック事項 |
|---|---|---|
| 飲食・小売 | 時間帯別人数のガントチャート型。ランチ・ディナーのピーク対応が中心 | 休憩の一斉付与・交代取得(業種例外あり)、深夜労働割増の確認 |
| 医療・介護 | 日勤・準夜勤・深夜勤の3交代。夜勤回数・連続勤務日数の管理が必要 | 施設基準の常勤換算、夜勤上限の目安、36協定の特別条項 |
| 製造業・工場 | 2交代・3交代制。ラインごとのポジション管理が必要 | 変形労働時間制の週平均40時間、法定休日(週1日)の確保 |
厚生労働省の「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和4年1月)によると、シフト制労働契約の締結時点で始業・終業時刻が確定している日については、労働条件通知書に単に「シフトによる」と記載するだけでは不足であり、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、シフト表を併せて労働者に交付する必要があります。テンプレートに始業・終業時刻の欄が設けられているかを必ず確認してください。(出典:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」令和4年1月7日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html 2026年8月確認)
小売・飲食・製造業におけるシフト表の実務ポイント
変形労働時間制や36協定が絡む小売・飲食・製造業では、シフト表の作り方が労務リスクに直結します。業界特有のシフト設計のポイントを理解しておくことで、テンプレートの改修漏れや法令違反を防げます。
| 業種 | シフト設計の重要ポイント |
|---|---|
| 小売業 | 1か月単位の変形労働時間制を活用すれば、週平均40時間の範囲内で特定の週に長めの勤務を組める。時間外労働は月45時間・年360時間が上限の目安。休憩の一斉付与には労使協定による交代取得の例外がある |
| 飲食業 | 22時から翌5時は深夜割増賃金が発生するため、テンプレートに深夜時間帯の列を設ける。ランチ・ディナーごとの最低配置人数を記録し、年5日の年次有給休暇取得義務にも対応した管理欄を用意する |
| 製造業 | 日勤・準夜勤・夜勤の3交代制では連続勤務は原則6日が上限。スキル・資格別のライン配置をテンプレートに登録し、精算期間終了時に変形労働の超過時間を時間外として集計する |
小売業で広く採用される1か月単位の変形労働時間制では、変形期間平均で週40時間を超えなければ、特定の週に40時間を超えて労働させても時間外労働扱いになりません。ただしこの制度を導入するには就業規則への記載と労働基準監督署への届出が必要です。シフト表のテンプレートを導入する際は、月内の合計労働時間が変形労働の上限内に収まっているかを自動集計できる欄を設けるとよいでしょう。(参考:厚生労働省「労働基準法 第32条の2 変形労働時間制」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/index.html)
シフト表テンプレート使用前に確認すべき法務・著作権の論点
無料で公開されているシフト表テンプレートを利用する際は、著作権の利用規約と労働法上の必要記載事項を必ず確認する必要があります。特に商用利用の可否や改変条件の確認を怠ると、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。
著作権・利用規約の確認ポイント
インターネット上で配布されているテンプレートには、「個人利用のみ可」「商用禁止」「改変不可」などの利用条件が付いているものがあります。事業として使用する場合は必ず「商用利用可」の条件を確認してください。テンプレートを自社サービスに組み込んで再配布する場合は、さらに厳格な条件が課されることがあります。著作権法第2条の定義に基づき、著作物に当たる創作性があるデザインや文書は著作権保護の対象となります。(出典:文化庁「著作権法」https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/ 2026年8月確認)
労働基準法上の必要記載事項
シフト表と労働条件通知書のセットで交付義務がある項目は、(1)労働契約の期間、(2)就業場所・従事業務、(3)始業・終業時刻・休憩・休日、(4)賃金の決定方法・締め切りと支払い、(5)退職に関する事項です(労基法第15条第1項、労基則第5条)。特にシフト制では始業・終業時刻を「シフトによる」と一括りにせず、確定している日はシフト表と併せて具体的に明示する必要があります。テンプレートに労働条件の明示欄が用意されているかどうかを導入前に確認しましょう。(出典:厚生労働省「労働基準法」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/index.html 2026年8月確認)
なお、本記事の法令に関する記載は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別事案への法的助言ではありません。実際の運用にあたっては、社会保険労務士や弁護士など専門家への確認、または管轄の労働基準監督署への相談を推奨します。
Excelシフト表の限界とクラウド型シフト管理システムへの移行タイミング
Excelのシフト表は、従業員数がおおむね15名を超えたあたりから運用の限界が現れやすくなります。希望シフトの収集に時間がかかる、関数エラーで集計が崩れる、複数店舗・複数拠点の情報を1つのファイルで管理しきれない、といった状態が続くと、担当者の負担がシフト作成以外の業務を圧迫し始めます。ここまで解説してきた「業種別の必須チェック事項」や「変形労働時間制の集計」を、Excelの関数だけで漏れなく維持し続けるのは、拠点数や従業員数が増えるほど現実的に難しくなっていきます。
| 比較項目 | Excelテンプレート | クラウド型シフト管理システム |
|---|---|---|
| シフト希望の収集 | メール・口頭・紙ベースが中心 | スマートフォンアプリからの直接入力に対応 |
| シフト作成の自動化 | 関数を組み込んだ半自動運用が中心 | 希望や条件を踏まえた自動作成機能を持つものが多い |
| 法令チェック | 項目を自分で設定・維持する必要がある | 36協定や連続勤務のアラート機能を搭載するものがある |
| 勤怠管理との連携 | 別のExcelファイルで管理し転記が発生しやすい | 打刻データと自動連携できるものが多い |
| 適正な運用規模 | 従業員15名程度まで | 15名程度から大規模・多拠点まで対応しやすい |
移行を検討すべき目安は、「希望シフトの集計に30分以上かかる」「スタッフから確認の電話やメッセージが増えた」「ミスによる給与計算のやり直しが月1回以上発生する」のいずれかに当てはまるときです。管理者向けのシフト管理システムを使えば、シフトの作成・変更・共有をアプリ上で完結させられるだけでなく、従業員同士のコミュニケーション機能や、勤怠管理システムとの連携機能を備えているものもあり、Excelでは手動運用に頼らざるを得なかった部分を仕組みとして解消できます。どのような機能を備えたシフト管理アプリがあるのか、選び方のポイントも含めて詳しく整理した記事がありますので、Excel運用の限界を感じている場合は参考にしてみてください。
シフト表テンプレートでよくある失敗パターン3つと回避策
シフト表テンプレートの運用で陥りやすい失敗は、法的要件の不備、著作権確認の漏れ、古い法改正への未対応の3つです。それぞれ具体的な回避策を理解しておくと、テンプレートを安心して業務に使い続けられます。
| 失敗パターン | 内容 | 回避策 |
|---|---|---|
| 法的要件の不備 | 始業・終業時刻の欄がないテンプレートを使い、労基法第15条の記載義務を満たせない | 必須5項目が揃っているか厚労省の様式と照合してから使用を開始する |
| 著作権確認の漏れ | 「商用禁止」のテンプレートを事業用に流用し、著作権侵害のリスクが生じる | 利用規約で「商用利用可」を確認してからダウンロードする。自社でゼロから作成する選択肢も検討する |
| 法改正への未対応 | 数年前のテンプレートのままで、年5日の年次有給休暇取得義務や改正された36協定の内容に対応していない | 年1回は厚労省サイトで法改正情報を確認し、テンプレートを更新する |
3つの失敗の中でも特に影響が大きいのが「法改正への未対応」です。2019年の働き方改革関連法施行により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して年5日の取得を義務付ける制度(労基法第39条第7項)が導入されました。シフト表上で有給取得日数を管理しておかないと、義務違反の状態に気づけないまま半年以上が経過するケースがあります。(出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」に関する周知資料 2026年8月確認)
シフト表テンプレートに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 無料のシフト表テンプレートを事業で使っても問題ありませんか?
A. テンプレートの利用規約を確認することが前提です。多くの無料テンプレートは「個人・商用利用可」と明示されていますが、「個人利用のみ」「改変禁止」の条件がつくものもあります。事業用に使う場合は必ず「商用利用可」を確認してからダウンロードしてください。条件に反した利用は著作権侵害となる可能性があります。
Q2. シフト表と労働条件通知書は別々に作る必要がありますか?
A. 原則として別々に作成が必要ですが、厚生労働省の留意事項(令和4年1月)によると、始業・終業時刻が確定している日については、労働条件通知書に原則的な始業・終業時刻を記載した上で、その期間のシフト表を併せて労働者に交付する方法も認められています。ただし退職や賃金に関する事項など、シフト表に含まれない必須記載事項は別途労働条件通知書で提示する必要があります。
Q3. Googleスプレッドシートでシフト表を作るメリットは何ですか?
A. リアルタイムでの共同編集と、スマートフォンからの閲覧・入力がExcelより優れている点が主なメリットです。スタッフが希望シフトを自分で入力できるシートを作ることで、管理者のメール・電話対応コストを削減できます。一方で、複数人が同時編集すると競合が起きやすく、データ保護の観点からはシート保護機能を適切に設定する必要があります。
Q4. 変形労働時間制のシフト表はどう作ればよいですか?
A. 変形労働時間制(1か月・1年単位)のシフト表では、精算期間内の合計労働時間の自動集計欄が必須です。1か月単位の場合、カレンダー月ごとに合計労働時間が週平均40時間以内に収まっているかを確認できる集計欄を設けてください。特定の週の勤務時間が長くなっても、精算期間平均で40時間以内であれば時間外扱いになりません。就業規則への記載と労働基準監督署への届出も忘れずに行ってください。
Q5. シフト表で年次有給休暇の管理はどうすればよいですか?
A. 年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員については、使用者が年5日以上を時季指定して取得させる義務があります(労基法第39条第7項)。シフト表には各スタッフの有給取得済み日数を記録する欄を設け、年間5日未満の従業員には計画的に有給を割り当てられる運用を組み込むのが実務上のポイントです。
Q6. Excelのシフト表からシフト管理システムに切り替える目安は?
A. 従業員15名程度、またはシフト希望の集計に30分以上かかるようになったタイミングが移行の目安です。クラウド型のシフト管理システムには、スマートフォンからの希望提出、条件を踏まえた自動作成、法令アラート、打刻データとの連携など、Excelでは手動設定が必要な機能が備わっているものが多くあります。自社に合うアプリの選び方や具体的な特徴を確認したい場合は、下記の記事もあわせてご覧ください。
まとめ|シフト表テンプレートを賢く活用するための4つのポイント
- テンプレートを選ぶ際は、利用規約(商用利用可否)と必要記載事項(始業・終業時刻・休日)の確認を最初に行う
- 業種・規模・シフトパターンに合ったフォーマット(日間・週間・月間・業種別)を選び、変形労働時間制や夜勤管理に対応した集計欄を設ける
- 厚労省の留意事項や労基法上の必須記載事項を踏まえ、法改正情報を年1回は確認してテンプレートを更新する
- 従業員15名を超え、希望シフトの集計や法令チェックの負担が大きくなってきたら、クラウド型のシフト管理システムへの移行を検討する
シフト表テンプレートは「とりあえず使える雛形」ではなく、適切に設計・運用することで労務トラブルを防ぎ、現場の生産性を高める業務インフラです。まずは自社の業種・規模に合ったテンプレートで運用を始め、従業員が増えてきたタイミングでクラウド型のシフト管理システムへの移行を視野に入れながら、段階的にアップグレードしていくのが着実な進め方です。
参考文献
- 厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」令和4年1月7日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html(2026年8月確認)
- 厚生労働省「労働基準法 第32条の2 変形労働時間制」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/index.html(2026年8月確認)
- 厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」に関する周知資料(2026年8月確認)
- 文化庁「著作権法」https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/(2026年8月確認)