顛末書の書き方|5ステップで迷わず完成させる実務ガイド【テンプレート付】

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  • 顛末書と始末書・謝罪文の違いと正しい使い分けがわかる
  • 5ステップの作成手順と7つの記載項目を網羅的に解説
  • 電子化の法的注意点と失敗パターン3つの回避策を紹介

「顛末書を書いてと言われたが、どこから手をつければいいかわからない」——そんな状況に追い込まれると、焦りだけが先立ち、本来の目的を見失いがちです。顛末書(てんまつしょ)とは、業務上のトラブルやミスの経緯・原因・対応策・再発防止策を客観的に報告するための公式文書です。謝罪が主目的の始末書とは異なり、事実の正確な記録と組織としての改善を示すことに重きが置かれています。個人事業主から中堅企業の管理職まで、初めて作成する方でも迷わないよう、書き方の全ステップをテンプレート付きで解説します。電子化による管理方法や、紙ベースのままで起きがちな法令上のリスクにも触れながら、提出後に「よく書けている」と評価される顛末書の作り方を、実務目線でお伝えします。

🔧 顛末書を書き終えたら、次に整備したい業務インフラ

トラブル報告の仕組みを整えると同時に、再発防止に直結する「業務管理体制」の見直しも効果的です。

目次

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  1. 顛末書とは何か——始末書・謝罪文との違いを整理する
  2. 顛末書の基本構成——7つの記載項目と書き方のルール
  3. ステップ別・顛末書の書き方——実務で使える作成手順5ステップ
  4. 中小企業・個人事業主向けの業界別ポイント
  5. 顛末書の電子化と保管——法令上の確認ポイント
  6. 顛末書でよくある失敗パターン3つと回避策
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ——信頼を回復する顛末書のポイント

顛末書とは何か——始末書・謝罪文との違いを整理する

顛末書とは、業務上のトラブルや事故の「発生から収束まで」の一部始終を、客観的な事実として組織に報告する公式文書です。「顛末(てんまつ)」は「物事の始めから終わりまで」を意味し、ミスを謝罪する文書ではなく、経緯を正確に記録する文書だという点が最大の特徴です。混同されやすい類似文書との違いを把握しておくことで、状況に応じた正しい選択ができます。

顛末書・始末書・謝罪文の違い比較図 顛末書は事実報告、始末書は反省と謝罪、謝罪文は社外向けお詫びの違いを示す比較図 顛末書 主目的 事実の正確な記録 経緯・原因・対応 謝罪は含まない 宛先:会社・上長 vs 始末書 主目的 反省と謝罪の表明 個人の責任を明示 経緯報告も含む 宛先:直属の上司 vs 謝罪文 主目的 誠意を伝える お詫びの意思表示 経緯説明は簡潔 宛先:社外・取引先

図1:顛末書・始末書・謝罪文の目的と宛先の違い

ポイントは、顛末書が「事実の客観的な報告書」であるのに対して、始末書は「個人の反省と謝罪を含む文書」という違いです。顛末書は問題が収束した後に作成するのが一般的で、内容に主観的な感情表現や「たぶん」「おそらく」といった曖昧な表現を含めてはいけません。また、謝罪文は顧客や取引先といった社外への文書であるため、社内報告を目的とする顛末書とは性質がまったく異なります。

顛末書が必要になる代表的なシーンとしては、誤納品・二重発注・システム障害・情報漏えい・事故・クレーム対応の遅延などが挙げられます。問題の深刻度にかかわらず、「事実を正確に記録して再発を防ぐ」という目的は共通しています。

顛末書の基本構成——7つの記載項目と書き方のルール

顛末書の基本構成は、タイトル・提出日・概要・発生日時・関係者・経緯・原因・対応状況・再発防止策の7〜9項目です。決まったフォーマットは会社によって異なりますが、この骨格を押さえておけば、どのような書式に対応しても迷わず書くことができます。

顛末書の基本構成7項目 顛末書に必要な7つの記載項目とそれぞれの注意点を示す構成図 顛末書の基本構成——記載必須7項目 1 タイトル・提出先・提出日・作成者 誰が・いつ・誰に提出するかを明記 2 概要(サマリー) 3〜5行で事案の全体像を簡潔に説明 3 発生日時・場所・関係者 YYYY/MM/DD HH:MM まで細かく記録する 4 経緯(時系列) 発生〜収束まで、時系列で事実のみを記述 5 原因分析 直接原因と背景要因を分けて客観的に記述 6 対応状況(損害含む) 取った対応・損害の金額・影響範囲を明記 ※ 最後に「再発防止策」を具体的かつ実行可能な形で記載して完成

図2:顛末書の記載必須7項目と各ポイント

各項目を書く際の重要なルールが「事実と推測を明確に分ける」ことです。根拠のある事実は断定的に記述し、推測が含まれる場合は「〇〇と考えられる」と明示します。「おそらく〇〇だと思われる」といった表現は、読み手に不信感を与えるため避けましょう。また、感情的な表現や責任転嫁を示唆する言い回しも一切使用しません。

損害状況の欄では、具体的な金額や影響を受けた取引先数など、数値化できるものは積極的に記載します。「多少の損害が出た」ではなく「〇〇円の損害が発生した(〇社への影響)」と書くことで、報告書としての信頼性が大きく上がります。

ステップ別・顛末書の書き方——実務で使える作成手順5ステップ

顛末書の作成は「事実収集→時系列整理→原因分析→対応記録→防止策立案」の5ステップで進めると、抜け漏れなく完成させることができます。ミスが発生した直後は気持ちが乱れがちですが、このステップに沿って粛々と進めることで、提出期限を守りながらも内容の充実した顛末書が書けます。

顛末書作成の5ステップ 事実収集・時系列整理・原因分析・対応記録・再発防止策の5ステップフロー 1 事実 収集 証拠確保 2 時系列 整理 分・秒単位 3 原因 分析 直接/背景 要因を分離 4 対応 記録 損害を数値化 5 再発 防止策 具体的に

図3:顛末書作成の5ステップ(Step 3「原因分析」が核心)

📋 顛末書作成後に整えておきたい業務管理の仕組み

ミスが起きる背景には「手動管理・属人化」があります。業務のデジタル化で再発リスクを根本から下げましょう。

ステップ1:事実収集 まず行うべきは、メールの送受信履歴・システムログ・チャット記録・関係者のヒアリングなど、客観的な証跡の収集です。記憶だけに頼ると、後から矛盾が生じる可能性があります。入手したデータは整理前にバックアップを取っておきましょう。

ステップ2:時系列整理 収集した証跡をもとに、「いつ(YYYY/MM/DD HH:MM)」「誰が」「何をした」「その結果どうなった」を時系列で一覧化します。Excelや表形式で整理すると、前後関係のチェックがしやすくなります。

ステップ3:原因分析(最重要) 単に「確認が不足していた」で終わらせず、「なぜ確認が不足したか」を深掘りします。「直接原因(何が起きたか)」と「背景要因(なぜそうなったか)」を明確に分けることで、再発防止策の根拠が強くなります。システムの問題か、プロセスの問題か、コミュニケーションの問題かを特定しましょう。

ステップ4:対応記録 問題発生後に取った対応を、時系列に沿って詳細に記録します。損害が発生した場合は具体的な金額・影響を受けた当事者数・復旧にかかった時間など、数値で示せるものはすべて記載します。

ステップ5:再発防止策の立案 「確認を徹底する」「注意を払う」といった抽象的な表現ではなく、「〇〇のタイミングで、〇〇が、〇〇の手順でダブルチェックを実施する」という、第三者が見ても実行可能な内容を記載します。中小企業庁が公表する「中小企業の事業継続力強化計画」でも、具体的な対策の明文化が再発防止の鍵として強調されています(出典:中小企業庁「中小企業白書2024年版」、2024年、https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/、2025年6月取得)。

中小企業・個人事業主向けの業界別ポイント

中小企業や個人事業主が顛末書を作成する際は、大企業とは異なる業務特性——少人数体制・兼任担当・口頭確認の多さ——を踏まえた書き方が求められます。背景要因として「担当者が1名のため属人化していた」「書面での手順書がなかった」などが顕在化しやすく、それが再発防止策の核心にもなります。

中小企業庁「中小企業白書2024年版」によると、中小企業の約6割が業務のデジタル化において「手順書・マニュアルの整備」を課題に挙げています(出典:中小企業庁「中小企業白書2024年版」、2024年、https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/、2025年6月取得)。顛末書の作成をきっかけに、口頭確認をシステム上の記録に切り替えるだけでも、再発リスクは大きく下がります。

業種・業態顛末書でよく見られる事案再発防止策の方向性
小売・EC在庫の誤入力・二重出荷在庫管理システムへの一元化
飲食・サービス予約の二重登録・注文ミス予約管理ツール導入、オーダー記録のデジタル化
士業・コンサル期限超過・情報漏えいタスク管理ツールとアクセス権限の整備
製造・建設納期遅延・仕様違いの発注工程管理ツールと承認フローの明文化
IT・Webシステム障害・コード誤適用デプロイ手順書とテスト環境の整備

個人事業主の場合、提出先が自社の顧客や取引先になるケースもあります。その際は、社内報告用の顛末書を作成したうえで、社外向けには別途「謝罪文」を作成するのが適切な対応です。顛末書を謝罪文代わりに使い回すと、かえって相手に不信感を与えることがあります。

顛末書の電子化と保管——法令上の確認ポイント

紙で作成・保管していた顛末書を電子化する際は、「電子帳簿保存法」と「個人情報保護法」の2つが特に関わってきます。いずれも中小企業・個人事業主を対象にした法的要件があり、対応を誤ると税務調査や行政指導のリスクを招くことがあります。

顛末書電子化の法令確認2ポイント 電子帳簿保存法と個人情報保護法の確認事項を示す図解 電帳法 対応 電子帳簿保存法 ✔ 訂正・削除の履歴が確認できるシステムで保存 ✔ タイムスタンプの付与(改ざん防止) ✔ 検索要件(日付・取引先で検索可能)を充足 ※ 顛末書が「税務書類」に該当する場合に適用 個情法 確認 個人情報保護法 ✔ 顛末書に含まれる個人情報のアクセス権限管理 ✔ データを第三者に無断提供しない運用の整備 ✔ 保存期限の設定と期限後の廃棄手順の明文化 ※ 顧客・従業員情報が記載されている場合に必須

図4:顛末書の電子化で確認すべき2つの法的ポイント

国税庁が提供する「電子帳簿等保存制度特設サイト」では、電子取引データの保存要件が詳細に解説されています(出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」、2024年1月改正対応版、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm、2025年6月取得)。顛末書が税務書類に該当するかどうかは事案によって異なるため、判断に迷う場合は税理士や所轄税務署への確認が推奨されます。

個人情報保護の観点では、顛末書に顧客氏名・連絡先・取引情報が含まれる場合、個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に沿ったアクセス権限の設定と保存期間の管理が必要です(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2022年4月改正、https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/、2025年6月取得)。また、紙で保管していた文書を電子化してスキャナ保存する際には、解像度や色再現などの要件も確認が必要です。

顛末書でよくある失敗パターン3つと回避策

顛末書の品質を下げる失敗は大きく3つのパターンに集約されます。いずれも「急いで書いた」「確認しなかった」「紙ベースのまま管理した」という共通の背景があり、事前に対策を知っておくだけで防げるものばかりです。

失敗パターン1:ステップを飛ばして法的要件を満たさない 「急いで書かなければ」と焦るあまり、事実確認が不十分なまま提出してしまうケースです。内容の誤りが後から発覚すると、報告書の信頼性だけでなく、組織全体の信頼性にも影響します。回避策は「まず2時間、証拠収集に充てる」というルールを組織内で決めておくことです。事実の正確さは時間をかけてでも守るべき最優先事項です。

失敗パターン2:関係者への共有・押印プロセスを忘れる 作成して提出者が上長に渡しただけで、関係部署への回覧や承認フローを経ていないことがあります。後で「内容を知らなかった」というトラブルに発展するケースも少なくありません。回避策は、顛末書の提出前に「誰に・何のために・いつまでに」共有するかをフローとして定めておくことです。

失敗パターン3:保管・管理が紙ベースのままで電帳法違反になる 電子メールでやり取りした取引関連の顛末書を、プリントアウトして保管しているケースです。2024年1月以降、電子取引データは原則として電子データのまま保存することが義務化されており、印刷して紙保存するだけでは法令上の要件を満たしません。回避策は、クラウドストレージや文書管理システムを活用して、検索性のある電子保管体制を整えることです。IPA「DX白書2025」でも、中小企業のデジタル文書管理の遅れが生産性低下の一因として指摘されています(出典:IPA「DX白書2025」、2025年、https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/、2025年6月取得)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 顛末書はいつまでに提出すべきですか?

A. 問題が収束したタイミング、かつ提出を求められてから原則5営業日以内が目安です。社内規定がある場合はその期限を優先してください。深刻な事案では緊急の経緯報告書を先に提出し、詳細な顛末書は調査完了後に提出する形でも構いません。

Q2. 顛末書にはワードとエクセル、どちらを使うべきですか?

A. 自由記述が多い場合はWord(ワード)、項目ごとに数値や日時を管理したい場合はExcel(エクセル)が一般的です。社内に統一フォーマットがある場合はそちらに従ってください。クラウドツールを使用する場合は電子帳簿保存法の要件(検索性・改ざん防止)も合わせて確認しましょう。

Q3. 顛末書に「謝罪の言葉」を入れてはいけないのですか?

A. 顛末書の本来の目的は事実の報告と再発防止策の提示です。謝罪表現を入れること自体は禁止されていませんが、主旨が事実報告から謝罪に変わると「始末書」に近い文書になります。社内向けの顛末書では事実・原因・対策を中心に記述し、謝罪は口頭または別途謝罪文で行うのが適切です。

Q4. 個人事業主も顛末書を書く必要がありますか?

A. 顛末書の提出が社内ルールとして義務化されているのは主に法人ですが、個人事業主でも取引先からトラブルの経緯報告を求められることがあります。その場合は「顛末書」という表題にこだわらず、「経緯報告書」や「インシデントレポート」として同等の内容をまとめて提出することで、対応の誠実さを示すことができます。

Q5. 顛末書の保管期間はどのくらいですか?

A. 法的な定めは事案の性質によって異なります。労働関係のトラブルなら労働基準法上の書類保存期間(5年、経過措置により当面3年)が参考になります。税務書類に関わる場合は法人で7〜10年、個人事業主で5〜7年が目安ですが、顧問税理士や弁護士に確認するのが確実です。

まとめ——信頼を回復する顛末書のポイント

  1. 顛末書は「謝罪」ではなく「事実の客観的報告」が目的——始末書・謝罪文との違いを理解したうえで作成する
  2. 7項目の基本構成を押さえ、タイトル・概要・発生日時・関係者・経緯・原因・対応・再発防止策の順で記述する
  3. 5ステップ(事実収集→時系列整理→原因分析→対応記録→防止策立案)で迷わず完成させる
  4. 電子化する際は電子帳簿保存法(検索性・改ざん防止)と個人情報保護法(アクセス権限・廃棄手順)の要件を確認する
  5. 「保管が紙のまま」「謝罪表現で埋めてしまった」「関係者への共有を忘れた」の3大失敗を事前に防ぐ

顛末書の質は、組織としての再発防止意識の高さを示す文書です。書き方を一度身につけておけば、万が一のトラブル発生時にも冷静に対処できます。また、顛末書を提出したあとで、業務管理の手動化・属人化が露わになったと感じた場合は、業務システムの導入も含めた根本的な改善が再発防止につながります。

✅ トラブル対応後に取り組む業務改善のヒント

顛末書を書いたことで「属人化」「手動管理」の課題が見えてきた方へ。次のステップをご参照ください。

⚠️ 後回しにすると起きがちな失敗ケース

「業務改善は後で考える」と対策を先送りにした企業が経験した課題です。

  • 同じミスが繰り返され、顛末書作成が習慣化——手動管理を続けた結果、根本原因が解消されないまま類似トラブルが再発
  • 採用・予約管理のExcel運用が崩壊——スタッフ増員や業務拡大のタイミングで、手書き・手動管理の限界が露呈
  • 予約管理システムとは?導入のメリットや選び方のポイントも解説——予約の二重登録や漏れを防ぐ具体的な手段を解説

【参考文献】
・中小企業庁「中小企業白書2024年版」、2024年、https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/(2025年6月取得)
・国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」、2024年1月改正対応版、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm(2025年6月取得)
・個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2022年4月改正、https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/(2025年6月取得)
・IPA「DX白書2025」、2025年、https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/(2025年6月取得)

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