納品書テンプレートの選び方|記入例・目的別の型とインボイス・電帳法対応

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  • 作成方法ごとの違いを比較表で確認できる
  • 書く項目と記入例、目的別の型がわかる
  • インボイスの端数処理と保存ルールがわかる

納品書のテンプレートは1つ選べばすぐ使い始められますが、インボイス制度の記載事項、消費税の端数処理、電子データの保存まで考えると、見た目だけでは選べません。納品書とは、商品やサービスを引き渡したときに品名・数量・金額などを相手に知らせる書類で、法律で一律に発行を義務づけられているものではありません。ただ、請求書や発注内容と照合する取引の証拠になるため、多くの企業が発行しています。本記事では、納品書テンプレートを作成方法の違いから選ぶ考え方、書く項目と記入例、請求書兼用・領収書兼用などの目的別の型、インボイスと電子帳簿保存法の注意点、ファイル名での管理、よくある失敗までを、国税庁などの公開情報をもとに解説します。

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Q1. 納品書づくりでいちばん気になることは?

目次

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  1. 納品書テンプレートの選び方【作成方法の比較表】
  2. 納品書とは?請求書・受領書・検収書との違い
  3. 納品書に書く項目と記入例
  4. 目的別の納品書テンプレートの選び方
  5. インボイス制度対応の記載事項
  6. 納品書テンプレートの書き方と使い始めの手順
  7. 電子帳簿保存法における保存期間・保存要件
  8. ファイル名管理の実務ルール
  9. 納品書テンプレートでよくある失敗パターン
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ
  12. 参考文献

納品書テンプレートの選び方【作成方法の比較表】

納品書テンプレートは、月の発行件数と、請求書を同じデータで作るかどうかで選びます。件数が少なければExcelやスプレッドシート、件数が多い場合や請求書と合わせて管理したい場合は請求書発行システムが選択肢です。

テンプレートの見た目はどれも似ていますが、計算の自動化、登録番号や税率の反映、保存とファイル名管理のしやすさは、作成方法によって大きく変わります。下の表は、納品書を作る代表的な方法を、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応のしやすさで比べたものです。

作成方法 強み 留意点 向いている規模・件数
Excelテンプレート 数量と単価、税率ごとの合計を関数で自動計算できる。配布元が多く、源泉徴収欄付きや軽減税率対応など種類が豊富 計算式の上書きや行の追加で式が壊れやすい。ファイル名や保存先の管理は手作業になる 月に数件から十数件程度の発行
Wordテンプレート 書面としてのレイアウトが安定し、印刷して手渡す場合に見栄えを整えやすい 計算の自動化が弱く、金額や消費税額を手入力すると転記ミスが起きやすい 品目が少なく金額計算が単純な取引
Googleスプレッドシート クラウド上で複数人が同じファイルを編集でき、変更履歴も残る 共有範囲の設定を誤ると取引先情報が外部から見えるおそれがある。PDF化と保存のルールは別に決める必要がある 複数の担当者で発行する小規模なチーム
会計ソフトの書類作成機能 仕訳や売上計上と連動できる製品があり、登録番号や税率の設定を一度で反映できる 納品書のレイアウトの自由度は製品によって差がある 会計処理まで一連で行いたい事業者
請求書発行システム 納品書と請求書を同じ取引データから作成でき、送付後のデータの保存や検索まで一括で扱える製品が多い 利用料がかかり、取引先への送付方法を切り替える調整が必要になる場合がある 発行件数が多い、または請求書と合わせて管理したい事業者

テンプレートで運用する場合、月の発行件数が増えるほど、計算式の破損、登録番号の記載漏れ、ファイル名の付け忘れといったミスが増えます。納品書を発行したあとに月末の請求書を作る運用では、同じ取引の数量や金額を2回入力することになり、どちらかだけを修正して書類どうしの金額がずれる、という事態も起きやすくなります。

納品書を発行するたびに請求書へ同じ内容を転記している場合の一例が、株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド請求書」です。商品ページでは、見積書・納品書・請求書・領収書をあらかじめ用意されたテンプレートで作成できること、書類を変換して見積書から請求書までの流れをつなげられること、複数の納品書をまとめて1枚の請求書に変換する合算請求書機能があること、インボイス制度と電子帳簿保存法に対応していることが紹介されています。注意したい点として、個人や小規模から中小企業向けのソフトとして紹介されており、請求書の郵送代行はオプションの扱いです。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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納品書とは?請求書・受領書・検収書との違い

納品書とは、売り手が買い手に商品やサービスを引き渡したときに、その内容と数量、金額を知らせるために発行する書類です。法律で一律に発行が義務づけられているわけではありませんが、何をいつ引き渡したかを示す取引の証拠になるため、商慣行として発行するのが一般的です。

取引の流れの中では、見積書、発注書、納品書、請求書、領収書の順に登場するのが一般的です。見積書の書き方は「見積書とは?書き方・記載項目・記入例と備考の例文」で解説しています。納品書は「何をいつ引き渡したか」を示す役割を担い、相手は発注した内容と届いた内容が合っているかを確認できます。

書類 発行する側 主な役割 納品書との関係
発注書 買い手 注文する商品や数量、条件を伝える 納品書の内容が発注どおりかを照合する基準になる
納品書 売り手 引き渡した商品や役務の内容、数量、金額を知らせる (この書類)
受領書 買い手(売り手が用意することも多い) 商品を受け取ったことを確認する 納品書と2枚複写で作り、受領印をもらって返送する形式が多い
検収書 買い手 内容を検査して問題がないことを確認する 検収をもって売上計上する取引では、納品書とあわせて保存する
請求書 売り手 代金の支払いを求める 月締めの場合は複数の納品書をまとめて1枚の請求書にする

テンプレート配布サイトの多くは、納品書と受領書、検収書をセットにした書式を用意しています。取引先が受領印を返送する運用をしている場合は、納品書単体ではなく受領書付きのテンプレートを選ぶと、控えの管理がしやすくなります。一方、物品の引き渡しがないコンサルティングやシステム保守などの役務では、納品書を省略して請求書だけを発行する取引も少なくありません。自社の取引で納品書が何の証拠として使われているかを先に確認しておくと、テンプレートに必要な欄が見えてきます。

納品書に書く項目と記入例

納品書には、宛先、納品日、納品書番号、発行者の情報、品名・数量・単価・金額の明細、小計・消費税・合計を書きます。インボイスとして使う場合は、登録番号と税率ごとの合計・消費税額も加えます。

納品書の書式に法律上の決まりはありませんが、請求書や発注書と照らし合わせて使われるため、記載する項目はおおむね共通しています。テンプレートを選ぶときは、次の項目の欄が揃っているか、自社の取引に必要な欄を追加できるかを確認します。

項目 書く内容 テンプレートで確認すること
タイトル 「納品書」と明記する。請求書や領収書を兼ねる場合は「納品書兼請求書」のように書く 兼用にするときにタイトルを書き換えられるか
宛先 納品先の会社名、部署、担当者名。会社や部署あてなら「御中」、個人あてなら「様」 宛名欄に敬称が固定されていないか(二重の敬称を防ぐ)
納品書番号 納品書を管理するための通し番号 年や月と連番を組み合わせた番号を付けられるか
納品日 引き渡した日。発送する場合は発送日を書くのが一般的 日付の書式が統一されているか
発行者の情報 会社名、住所、電話番号、担当者名。インボイスとして使うときは、Tから始まる13桁の登録番号 自社情報をまとめて入力し、固定できるか
件名 納品の内容がひと目で分かるタイトル 1行で足りるか、納期や支払条件の欄を足せるか
明細 品名、数量、単価、金額。軽減税率の対象品目には「※」などの印を付けて示す 行を追加しても計算式が壊れないか
小計・消費税・合計 税抜の小計、消費税額、合計金額 合計の計算が自動か、手入力か
税率ごとの合計と消費税額 10%対象と8%対象を分けて合計し、税率ごとの消費税額を示す(インボイスとして使う場合) 消費税額の端数処理が、1枚につき税率ごとに1回になっているか
備考 返品や交換の連絡先、補足事項、お礼の一言など 空欄でも使えるか、行数を増やせるか

納品日はいつにするか

納品日は、手渡しなら引き渡した当日、発送する場合は出荷した日(発送日)にするのが一般的とされています。取引先に届く日を納品日にしなければならないわけではありません。検収をもって売上を計上する取引では、納品書の日付と検収書の日付が別になるため、取引先と決めた基準に合わせて書きます。

記入例(10%対象と軽減税率8%対象が混在する納品)

次の表は、10%対象の資材と、軽減税率8%対象の飲料を納品した場合の記入例です。会社名・番号・金額は説明用の仮のものです。

項目 記入例
タイトル 納品書
宛先 株式会社サンプル商事 御中
納品書番号 N-2026-0012
納品日 2026年10月15日
発行者 株式会社テスト商店(住所・電話番号・担当者名も記載)/登録番号 T1234567890123
件名 イベント用資材と飲料の納品
明細1 資材A(10%)10個、単価1,000円(税抜)、金額10,000円
明細2 飲料B(8%、※)5ケース、単価400円(税抜)、金額2,000円
小計 12,000円(税抜)
税率ごとの合計と消費税額 10%対象 10,000円、消費税1,000円/8%対象 2,000円、消費税160円
合計 13,160円(税込)
備考 ※印は軽減税率の対象品目です。ご不明な点は担当までご連絡ください。

備考欄には、返品や交換の受付期間、担当者の連絡先、納品物に関する補足などを書きます。とくに書くことがなければ、お礼の一言を添える程度でも問題ありません。金額の合計は、明細の合計と税率ごとの消費税額から逆算して食い違いがないか、発行前に必ず確認してください。

目的別の納品書テンプレートの選び方

納品書テンプレートには、納品書だけを発行する基本型のほか、請求書兼用、領収書兼用、金額なし、値引き・繰越・源泉徴収・英語・軽減税率対応といった型があります。自社の取引で足りない欄を基準に選びます。

型 向いている取引 追加で確認したい点
基本型(納品書のみ) 納品のたびに納品書を渡し、請求は月末にまとめる取引 通し番号の欄と、明細の行数が足りるか
納品書兼請求書 納品のたびに請求する取引、都度払いの取引 インボイスの記載事項がすべて揃っているか。支払期限と振込先の欄があるか
領収書兼納品書 入金を確認してから商品を発送する取引 タイトルに「領収書」と明記するか。受取金額が5万円以上の場合は印紙税を確認する
金額なしの納品書 納品物の内容と数量の確認が目的で、金額は請求書で別に知らせる取引 インボイスとしては使えない(税率ごとの金額と消費税額の記載がない)
値引き対応 キャンペーンや取引条件による割引がある取引 値引き後の金額が、税率ごとの合計と消費税額に正しく反映されるか
繰越対応 前回までの未払い残高をあわせて示したい取引 繰越額を明細の金額と区別して表示できるか
源泉徴収対応 源泉徴収の対象になる報酬を含む取引(業務委託、フリーランスとの取引など) 源泉徴収税額と差引額の欄があるか
英語の納品書 海外の取引先との取引 通貨の表記、日付の書式、項目名の英語表記が取引先に合っているか
軽減税率対応 8%と10%の品目が混在する取引 軽減税率の対象品目を示す印、または税率別の区分があるか。税率ごとの合計欄があるか

領収書を兼ねる場合は印紙税を確認する

入金を確認してから発送する取引では、納品書を「領収書兼納品書」として使うことがあります。領収書を兼ねる書式にすると、営業に関する売上代金の受取書にあたり、印紙税の対象になる場合があります。国税庁の印紙税額の一覧表では、売上代金に係る金銭の受取書は、記載された受取金額が5万円未満であれば非課税、5万円以上100万円以下であれば200円とされています。書面で交付する場合の取り扱いですので、具体的な判断は国税庁の「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)」や税務署で確認してください。領収書の書式そのものについては「領収書テンプレートの選び方」で解説しています。

インボイス制度対応の記載事項

納品書をインボイス(適格請求書)として使う場合は、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した合計額と適用税率、税率ごとの消費税額、宛名の記載が必要です。インボイスは請求書だけでなく、納品書などの書類も対象になります。

国税庁のタックスアンサーでは、取引の相手方に交付する請求書、納品書等の記載事項として、次の6つが示されています。

記載事項 テンプレートで確認するポイント
書類作成者の氏名または名称および登録番号 Tから始まる13桁の登録番号を記入する欄があるか。自社情報の欄にまとめて固定できると記載漏れを防げる
取引年月日 納品日を記入する欄があるか。一定の期間内の取引をまとめて記載する方法も認められている
取引内容 軽減税率の対象品目には、その旨を示す記号や注記を付けられるか
税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率 8%と10%の品目を分けて合計する欄があるか
税率ごとに区分した消費税額等 税率ごとの消費税額を表示する欄があるか
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 取引先名の欄があるか

出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

なお、同ページには、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられると案内されています。税率の欄を8%と10%の2区分だけで組んでいるテンプレートは、税率の欄を追加・変更できるかも確認しておくと安心です。

消費税額の端数処理は「1枚につき税率ごとに1回」

テンプレート選びで見落としやすいのが、消費税額の計算方法です。国税庁のインボイス制度に関するQ&A(問57)では、消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行うこととされています。切上げ、切捨て、四捨五入のどれにするかは任意ですが、個々の商品ごとに消費税額等を計算して端数処理をし、その合計額を記載することは認められません。無料配布のExcelテンプレートの中には、明細行ごとに消費税額を計算する関数が入っているものもあるため、インボイスとして使う場合は、税率ごとの合計額に税率を掛けてから端数処理をする式になっているかを確認してください。

違いは、次のような計算で確かめられます。10%対象の品目が税抜1,055円で3つあり、端数は切り捨てとした場合の例です。

計算方法 計算 消費税額 判定
明細行ごとに計算する 1,055円の10%は105.5円で、切り捨てて105円。3行分を合計 315円 インボイスとしては認められない方法
税率ごとの合計に対して1回だけ計算する 税抜の合計3,165円の10%は316.5円で、切り捨てて316円 316円 インボイスで求められている方法

このように、明細が多いほど、行ごとの計算と税率ごとの計算では消費税額に差が出ます。取引先の計算と数円合わないという問い合わせの多くは、この違いが原因です。

納品書と請求書を合わせてインボイスにする方法

インボイスは、1枚の書類ですべての記載事項を満たす必要はありません。国税庁のQ&A(問65・問67)では、交付された複数の書類相互の関連が明確で、取引内容を正確に認識できる方法(たとえば、請求書に納品書番号を記載するなど)で交付されていれば、複数の書類の全体で記載事項を満たすことになるとされています。たとえば、納品書に税率ごとに区分した合計額・適用税率と消費税額を記載し、請求書に登録番号を記載すれば、納品書と請求書を合わせて記載事項を満たします。この場合、納品書に税率ごとの消費税額を記載するため、端数処理は納品書につき税率ごとに1回行います。

この方法を使うと、請求書に取引の明細をすべて書かなくてもよくなりますが、その代わり、納品書に通し番号を付け、請求書側でその番号を参照する仕組みが必要です。テンプレートを選ぶ段階で、自社がどのパターンで運用するかを決めておきましょう。

運用パターン 納品書テンプレートに必要な欄 向いている取引
納品書そのものをインボイスにする インボイスの記載事項すべて 都度払いで請求書を発行しない取引、店頭での引き渡し
請求書だけをインボイスにする 通常の納品書の項目でよい 月締めで請求書を発行する一般的な企業間取引
納品書と請求書を合わせてインボイスにする 通し番号、取引年月日、品目、数量、税率ごとの合計と消費税額など 納品が頻繁で、請求書の明細を簡略化したい取引

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請求書側の記載事項と作成の手順は、「請求書作成の手順と必須9項目」で詳しく解説しています。本記事の内容は制度の一般的な説明であり、個別の取引に対する税務上の助言ではありません。自社の取引に当てはめて判断する際は、税理士などの専門家や税務署に確認してください。

納品書テンプレートの書き方と使い始めの手順

Excelの納品書テンプレートは、自社情報の入力と計算式の確認をしてから使い始めると、ミスを減らせます。パソコンで作るなら、表計算ソフト、Word、会計ソフト、請求書発行システムから選びます。

ダウンロードしたテンプレートをそのまま使うのではなく、次の手順で自社用に整えてから実務に使うと、後のミスを減らせます。

  1. 自社情報を入力して固定する:会社名、住所、電話番号、登録番号、振込先などを入力し、編集できないようにシートを保護しておきます。
  2. 計算式を確認する:数量と単価を入力して合計額が正しく出るか、税率ごとの合計と消費税額の端数処理が1回になっているかを、手計算の結果と照らして確認します。
  3. 通し番号の付け方を決める:年や月と連番を組み合わせた番号にすると、請求書との照合や検索がしやすくなります。
  4. 送付方法を決める:印刷して郵送や手渡しをするか、PDFにしてメールで送るかで、保存のルールが変わります。
  5. 保存先とファイル名のルールを決める:発行した控えをどのフォルダに、どの名前で保存するかを、使い始める前に決めておきます。

業種によって追加しておきたい欄もあります。物販や製造業では品番やロット番号を記載しておくと、返品や交換の問い合わせに対応しやすくなります。IT保守やコンサルティングなどの役務では、提供期間と成果物の内容を記載する欄が役立ちます。フリーランスのデザイナーやライターとの取引では、源泉徴収税額を記載する欄があるテンプレートを選ぶと、取引先側での処理が円滑になります。デザインを整えたい場合は、デザインツールのテンプレートを使う方法もありますが、登録番号や税率ごとの合計といった記載事項の欄が足りているかを先に確認してください。

押印の要否と納品書の送り方

納品書への押印は、法律で求められているものではありません。ただし、取引先によっては社印(角印)のある書類を求める慣行が残っているため、押印するかどうかは取引先との取り決めに合わせるのが現実的です。テンプレートに印影画像を貼り付けて使う場合は、画像ファイルの管理者を決め、誰でも押せる状態にしないよう注意しましょう。

送り方は、主に「商品に同梱する」「郵送する」「PDFにしてメールで送る」の3通りです。総務省の「信書のガイドライン」では、請求書の類の類例として納品書が挙げられており、納品書は信書に当たる文書です。信書は、郵便や信書便など法律上認められた方法で送る必要があります。一方、貨物の送付と密接に関連し、その貨物を送付するために従として添付される無封の添え状・送り状は、貨物に添えて送ることができるとされています(総務省の「信書に該当する文書に関する指針 Q&A集」Q6)。商品に同梱するときは封をしない形にし、取り扱いに迷う場合は配送事業者に確認してください。納品書だけを別に送るときは、郵便や信書便を使い、送付状を添えると丁寧です。メールでPDFを送る場合は、次に説明する電子取引データ保存の対象になる点も押さえておきましょう。

電子帳簿保存法における保存期間・保存要件

納品書の保存期間は、法人は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間、事業所得のある個人事業主は原則5年間です。メールで送ったPDFなどの電子データは、電子データのまま保存します。

納品書は、発行した側では控え(写し)として、受け取った側では取引の証拠として、どちらも保存の対象になる取引書類です。保存期間と保存方法のルールを押さえておきましょう。

保存期間の目安

事業者の区分 保存期間の目安 補足
法人 原則7年間 確定申告書の提出期限の翌日から起算。青色申告で欠損金が生じた事業年度などは10年間とされる(国税庁No.5930)
個人事業主(事業所得などがある方) 原則5年間 業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類(国税庁No.2080)
消費税の仕入税額控除に使う請求書等(インボイス) 7年間 課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から起算。6年目と7年目は、帳簿または請求書等のいずれか一方を保存すればよい(国税庁No.6625)

出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」「No.2080 記帳・帳簿等保存や青色申告の承認」

紙で発行した納品書と電子で送った納品書の違い

電子帳簿保存法では、保存の区分が「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分かれています。納品書で特に注意が必要なのは電子取引データ保存です。メールに添付したPDFや、クラウドサービス上でやり取りした納品書のデータは、受け取った側だけでなく、交付した側も控えを保存する必要があります。所得税・法人税の取り扱いでは、電子データを書面に出力して保存することで代えることはできず、電子データのまま保存します。

納品書のやり取り 保存の区分 主な保存方法
紙で発行し、紙で渡した 紙での保存(任意でスキャナ保存も可) 控えを紙のまま保存する。スキャナ保存を選ぶ場合は解像度などの要件を満たす
PDFをメールで送った、または受け取った 電子取引データ保存 電子データのまま保存し、改ざん防止の措置と検索できる状態を整える
会計ソフトや請求書発行システムで作成した控え 電子帳簿等保存の対象となる場合がある 作成したシステムの要件や設定を確認する

電子取引データ保存で求められる要件は、大きく分けて2つです。1つ目は改ざん防止の措置で、タイムスタンプを付与する、訂正や削除の記録が残るシステムを使う、訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する、といった方法から選びます。2つ目は検索できる状態の確保で、取引年月日その他の日付、取引金額、取引先の3項目を検索条件に設定できるようにします。日付や金額は範囲を指定して検索でき、2つ以上の項目を組み合わせて検索できる必要があります。

なお、電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)では、売上高が5,000万円以下の事業者(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度の売上高で判定)や、電磁的記録を出力した書面を取引年月日などと取引先ごとに整理して提示・提出できるようにしている事業者は、税務職員からのダウンロードの求めに応じられることを条件に、検索機能の確保が不要とされています。自社が対象になるかどうかは、国税庁の「電子帳簿保存法一問一答(Q&A)」や「電子帳簿保存法の概要」で確認してください。本記事の内容は一般的な情報提供であり、税務上の助言ではありません。

ファイル名管理の実務ルール

専用のシステムを使わずに検索の要件を満たす方法は、ファイル名に取引年月日、取引先、金額を入れて規則的に管理する方法です。国税庁の一問一答にも、ファイル名に「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」を統一した順序で入力する例が示されています。

テンプレートで納品書を発行する小規模な事業者にとっては、取り組みやすい方法の一つといえます。

ルールの項目 決め方の例 決めておく理由
ファイル名の並び順 取引年月日_取引先名_金額(例:20261015_株式会社サンプル商事_13160.pdf) 日付順に並ぶため、フォルダ内での確認がしやすい
日付の書き方 西暦8桁で統一し、スラッシュや和暦は使わない 和暦と西暦が混在すると、抽出や並び順が崩れる
取引先名の書き方 株式会社の位置や略称をあらかじめ決める 同じ取引先が別名で保存されるのを防ぐ
金額の書き方 税込か税抜かを統一し、カンマは付けない 帳簿の処理方法に合わせると、帳簿と同じ金額で探せる
フォルダの分け方 年度別、または発行と受領を分けたフォルダにする。取引先ごとのフォルダにして、ファイル名は日付と金額にする方法もある 保存期間の管理や、発行した控えと受け取った書類の区別がしやすい

ファイル名で検索要件に対応する場合は、あわせて索引簿を作成したり、訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付けたりすることも検討します。国税庁のウェブサイトには事務処理規程のサンプルも掲載されているので、自社用に修正して使うとよいでしょう。ファイル名ではなく、Excelなどの表計算ソフトで取引年月日、取引金額、取引先を入力した一覧表を作り、通し番号でファイルと対応させる方法も、国税庁の一問一答で示されています。

ただし、この方法は、納品書を1通発行するたびに担当者が正しいファイル名を手入力することが前提です。発行件数が増えたり、複数の担当者が関わったりすると、日付の書き方や取引先名の表記がずれ、検索できないファイルが混ざりやすくなります。受け取った納品書と発行した納品書の両方を同じルールで管理する必要があることも、手作業の負担を大きくします。

納品書の発行、請求書との突き合わせ、送付、保存を手作業でどこまで行っているかを、次のチェックで確認してみましょう。

納品書の発行と保存、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

納品書テンプレートでよくある失敗パターン

テンプレートを使い始めてから気づく失敗の多くは、選ぶ段階や使い始めの段階で確認しておけば防げるものです。代表的なパターンを表にまとめました。

よくある失敗 起きる原因 防ぎ方
インボイスとして使う納品書に登録番号がない インボイス制度の開始前に作られたテンプレートを使い続けている 自社情報の欄に登録番号を追加し、シートを保護して固定する
消費税額が取引先の計算と数円合わない 明細行ごとに消費税額を計算して端数処理している 税率ごとの合計額に対して1回だけ端数処理をする式に直す
納品書と請求書の金額が一致しない 同じ取引を2つのファイルに別々に入力している 納品書の通し番号を請求書に記載し、同じデータから作成する
メールで送ったPDFの控えが残っていない 紙で保存すればよいと思い込んでいる 送信したPDFを電子データのまま、決めたフォルダに保存する
ファイル名がばらばらで探せない 担当者ごとに名前の付け方が違う 取引年月日_取引先名_金額の形式を社内ルールとして文書化する
領収書を兼ねた納品書に印紙が必要か確認していない 兼用の書式を使っているが、受取金額と印紙税の関係を見ていない 受取金額が5万円以上になる取引では、印紙税の要否を国税庁の一覧表で確認する
配布サイトの規約に反した使い方をしている 無料であれば自由に使えると判断している 商用利用、改変、再配布の可否を規約で確認してから使う

いずれの失敗も、原因は「手作業で同じ情報を何度も扱っていること」に行き着きます。発行件数が少ないうちはチェックリストで防げますが、件数が増えたら、入力を1回で済ませる仕組みへの切り替えを検討する時期といえます。納品書と請求書を同じデータから作り、送付から保存までを一つの流れで管理したい場合は、請求書発行システムの資料で機能を比べてみてください。マネーフォワード クラウド請求書の商品ページでは、見積書・納品書・請求書・領収書を作成し、送付・保管までを一元管理できる点が紹介されています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 納品書には何を書けばよいですか?

A. 宛先、納品日、納品書番号、発行者の情報、品名・数量・単価・金額の明細、小計・消費税・合計を書くのが一般的です。法律で書式が決まっているわけではありませんが、インボイスとして使う場合は、登録番号と、税率ごとに区分した合計額・適用税率・消費税額も必要です。記入例は本文の「納品書に書く項目と記入例」を参照してください。

Q2. エクセルで納品書は作れますか?

A. 作れます。数量と単価から金額を、税率ごとの合計から消費税額を計算する式が入ったExcelテンプレートを使い、自社情報と登録番号を入力して使い始めます。インボイスとして使う場合は、消費税額の端数処理が1枚につき税率ごとに1回になっているかを確認してください。件数が増えると式の破損やファイル名の付け忘れが起きやすくなるため、保存のルールもあわせて決めておきます。

Q3. 納品書をインボイス(適格請求書)として使えますか?

A. 登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の合計額と適用税率、税率ごとの消費税額等、交付を受ける事業者の名称といった記載事項を満たせば、納品書でもインボイスとして扱えます。納品書と請求書のように複数の書類を合わせて記載事項を満たす方法もあります。実務では、月締めの請求書をインボイスにし、納品書は通常の書式とする運用が多く見られます。

Q4. 納品書の保存期間は何年ですか?

A. 法人は、確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間(欠損金が生じた事業年度などは10年間)です。事業所得などのある個人事業主は、請求書や納品書などの書類を原則5年間保存します。消費税の仕入税額控除に使う請求書等は7年間の保存が必要です。自社の条件は国税庁のタックスアンサーで確認してください。

Q5. メールで送った納品書のPDFも保存が必要ですか?

A. 必要です。電子帳簿保存法の電子取引は、受け取った側だけでなく、交付した側にも関係します。メールやクラウドで送付した納品書のデータは、控えとして、改ざん防止の措置と検索できる状態を整えたうえで電子データのまま保存します。

Q6. 無料の納品書テンプレートは商用利用できますか?

A. 配布サイトの利用規約によって異なります。業務で使う前に、商用利用、改変、社内での共有の可否を利用規約で確認してください。デザイン性の高いものを選ぶ場合も、登録番号や税率ごとの合計といった記載事項の欄が足りているかを先に確認します。規約が見当たらない場合は、利用条件が明示されている配布元のテンプレートを選ぶほうが安全です。

まとめ

納品書テンプレートは、ファイル形式の好みではなく、書く項目、取引に合う型、請求書とのつなぎ方、保存の方法から選ぶと失敗しにくくなります。本記事のポイントを整理します。

  1. 作成方法は、月の発行件数と、請求書も同じ仕組みで作るかどうかで選ぶ。件数が少なければExcelやスプレッドシートで十分に運用できる。
  2. 納品書の項目表と記入例で、宛先・納品日・番号・明細・税率ごとの合計の欄を確認し、請求書兼用や領収書兼用など、取引に合う型を選ぶ。
  3. インボイスとして使う場合は、登録番号と税率ごとの合計・消費税額を確認し、端数処理は1枚につき税率ごとに1回にする。納品書と請求書を合わせてインボイスにする方法もある。
  4. 保存期間は法人で原則7年、事業所得のある個人で原則5年。メールで送ったPDFは、発行側も電子データのまま保存し、ファイル名を取引年月日_取引先名_金額に統一する。
  5. 件数が増えて転記・突き合わせ・保存の手間が重なってきたら、納品書と請求書を同じデータから作れる請求書発行システム(例:マネーフォワード クラウド請求書)の資料で、機能が自社に合うかを確認する。

制度の細かな取り扱いは改正されることがあるため、運用を始める前と見直しの際には、国税庁の最新情報もあわせて確認してください。

参考文献

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