出勤簿テンプレート【無料】法的要件・記載項目・業種別運用を完全解説
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- 出勤簿テンプレートの法的要件と必須記載項目がわかる
- Excel・Word・スプレッドシートの形式別特徴と業種別運用ポイントを解説
- 著作権・法改正への対応など失敗しないための注意点を紹介
出勤簿は労働基準法が定める法定帳簿のひとつで、従業員を雇用するすべての事業者に作成・保存が義務づけられています。様式に法的な指定はないため、Excel・Word・Google スプレッドシートなど自社の運用に合った形式を選べます。この記事では、出勤簿テンプレートの選び方・各形式の特徴・法令を満たす記載項目・業種別の運用ポイント・よくある失敗パターンを、公的ガイドラインに基づいて解説します。テンプレートをダウンロードする前にチェックしておきたい法的要件も整理しているので、個人事業主から従業員数十名規模の企業まで、現場ですぐ活かせる内容です。
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出勤簿とは?法的根拠と作成義務の概要
出勤簿は労働基準法第109条が定める法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)のひとつで、すべての雇用主に作成・保存が義務づけられています。様式は任意ですが、記載内容と保存期間には法令上の要件があります。
労働基準法は「使用者が労働者の労働時間を適正に把握する責務を有する」と定めており、この義務を具体化したものが厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)です。同ガイドラインは企業規模を問わず全事業場に適用されます(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」2017年1月20日、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html、2025年12月取得)。
保存期間は労働基準法第109条の改正により原則5年(民法改正の経過措置として当分の間3年)とされています。雇用形態はパート・アルバイト・派遣社員を含むすべての従業員が対象です。退職者についても退職日から起算した保存期間が満了するまで保管が必要なため、廃棄タイミングの管理が実務上のポイントになります(出典:厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A」令和2年4月1日、https://www.mhlw.go.jp/content/000617980.pdf、2025年12月取得)。
出勤簿・賃金台帳・労働者名簿の違い
三帳簿はそれぞれ役割が異なります。出勤簿は「いつ何時間働いたか」の実績記録です。賃金台帳は労働日数・総労働時間数・割増賃金の内訳を含む給与支払記録で、出勤簿データを集計して作成します。労働者名簿は氏名・住所・採用年月日などの基本属性記録です。三帳簿を連携させて整備することで、労働基準監督官の臨検対応や労務トラブルの証拠保全がスムーズに進みます。
法令を満たす出勤簿の必須記載項目
出勤簿に様式の定めはありませんが、厚生労働省の労働時間把握ガイドラインが求める要件を満たすため、少なくとも「労働日ごとの始業・終業時刻」「休憩時間」「実労働時間」を記録できる設計が必要です。
ガイドラインは「使用者が始業・終業時刻を確認・記録する方法は、原則として①使用者が自ら現認する、または②タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間記録等の客観的な記録を基礎とする」と規定しています。従業員が自己記入するExcel出勤簿は「自己申告制」に当たり、客観的記録の補完措置(実態調査・乖離確認など)が別途必要になる点に注意が必要です(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html)。
| 項目 | 法的根拠・必要度 | 補足 |
|---|---|---|
| 従業員氏名・所属 | 労働者名簿と連携 | フリガナも推奨 |
| 出勤日(年月日) | 必須 | 曜日・祝日の識別が便利 |
| 始業時刻 | 必須(ガイドライン) | 分単位で記録 |
| 終業時刻 | 必須(ガイドライン) | 分単位で記録 |
| 休憩時間 | 実労働時間算出に必要 | 途中取得も含めて記録 |
| 実労働時間 | 賃金台帳記載に必要 | (終業−始業)−休憩 |
| 時間外労働時間 | 割増賃金計算の根拠 | 36協定上限管理にも活用 |
| 深夜労働時間(22〜翌5時) | 割増賃金計算の根拠 | 深夜は25%割増 |
| 休日労働の有無 | 割増賃金計算の根拠 | 法定休日は35%割増 |
| 欠勤・遅刻・早退 | 賃金控除根拠として必要 | 理由欄も設けると管理しやすい |
| 有給休暇取得日 | 年5日取得義務確認に必要 | 時間単位有給も記録 |
| 確認者署名欄 | 自己申告制の場合に推奨 | 上長の確認印で客観性を補完 |
出勤簿テンプレートの形式別比較:Excel・Word・Googleスプレッドシート
出勤簿テンプレートの主流はExcel・Word・Googleスプレッドシートの3形式です。規模・IT環境・運用スタイルに合わせて選ぶと、記録ミスや集計工数を大きく削減できます。
出勤簿テンプレートのステップ別導入手順
テンプレートをダウンロードしてすぐ使い始める前に、自社の就業規則・給与計算サイクルに合わせた5つの設定ステップを踏むことで、後から修正が必要になるリスクを大幅に減らせます。
ステップ3の就業規則照合が特に重要です。変形労働時間制(1ヵ月・1年単位)を採用している場合、所定労働時間の上下限が変動するため、標準の8時間固定テンプレートをそのまま使うと残業計算が誤ります。36協定の締結時間数も月次でモニタリングできる設計にしておく必要があります。
業種別の運用ポイント:小売・飲食・製造業
変形労働時間制・シフト制・36協定の内容は業種によって大きく異なります。小売・飲食・製造業では、標準テンプレートに業種固有の設定を追加しないと法令遵守が難しくなる場面があります。
小売業・飲食業(シフト制・週変形)
シフト制の小売・飲食業では、出勤日ごとに始業・終業時刻が異なるため、「曜日固定」の標準テンプレートではなくシフト入力欄がある形式を選びます。週40時間を超えるシフトが発生しやすいため、週単位の合計時間を自動集計できるExcelテンプレートが実務上有利です。また、1ヵ月変形労働時間制を採用している場合、変形期間中に法定労働時間を超えない計画表をあわせて整備する必要があります。
製造業(1年単位変形・交替勤務)
製造業では1年単位の変形労働時間制を採用するケースが多く、労使協定で定めた「特定期間(繁忙期)」の1日の労働時間上限(10時間)や1週の上限(52時間)を出勤簿で管理する必要があります。交替制勤務では深夜帯(22時〜翌5時)の時間数を別途集計できる欄が必須です。建設業では現場ごとに従業員が異なるため、現場名・工事番号を入力できる「出面管理」対応テンプレートが適しています。
個人事業主・フリーランス(自己管理型)
個人事業主が従業員を雇っている場合も法定帳簿の整備義務は変わりません。従業員数が少ない段階では、カレンダー型のシンプルなExcelまたはGoogleスプレッドシートで十分対応できます。ただし、従業員が5名を超えたあたりから手作業集計の工数が増えるため、勤怠管理システムへの移行を検討するタイミングです。
著作権・利用規約の確認:テンプレート流用時の法的注意点
無料テンプレートをダウンロードして利用する場合、著作権法上の「二次利用」に該当するケースがあります。特に商用利用・社内配布・改変の可否は、各サイトの利用規約で必ず確認してください。
著作権法第2条は「著作物とは思想又は感情を創作的に表現したものをいう」と定めており、独自性の高いデザインテンプレートは著作物と判断される可能性があります。一方、出勤簿のような事務書類テンプレートは「単純な表形式」として著作物性が認められないケースも多いですが、グラフィカルなデザインや説明文が付属している場合は著作権が発生することがあります。利用規約に「商用利用可」「改変可」の記載があるものを選ぶか、厚生労働省・都道府県労働局が公開する書式見本(パブリックドメイン相当)を参考にして自社作成する方法が最も安全です。
また、テンプレートに含まれる関数やマクロ(VBA)を外部に提供する場合は、プログラムの著作権(著作権法第10条第1項第9号)の観点でも確認が必要です。テンプレート制作会社が別途ライセンスを設けているケースでは、社内展開だけでも許諾が必要なことがあります。
出勤簿テンプレートでよくある失敗パターン3つと回避策
出勤簿テンプレートの導入で多いのは「法的要件の確認不足」「著作権・利用規約の見落とし」「古いテンプレートによる法改正への未対応」の3パターンです。それぞれの原因と実務的な回避策を解説します。
失敗パターン①:テンプレートが法的要件を満たしていない
ガイドラインが求める「始業・終業の時刻(分単位)」や「時間外労働・深夜労働の区分記録」が省略されているテンプレートが多くあります。特に「出勤○/欠勤×」のマル・バツ形式テンプレートは、出勤の事実は記録できますが労働時間を把握できないため、ガイドライン遵守の観点で不十分です。導入前に厚生労働省のガイドラインで必須項目を確認し、記載欄が揃っているかチェックリストで検証してください。
失敗パターン②:著作権・利用規約を確認せずに商用利用してしまう
ダウンロードサイトの利用規約を読まずに使い始め、「商用利用禁止」のテンプレートを業務用途で使用してしまうケースがあります。著作権侵害は親告罪(著作権者の告訴が必要)ですが、損害賠償リスクが生じます。利用規約に「商用利用可・改変可・登録不要」と明記されているテンプレートか、省庁・自治体が公開する参考様式を使うことで回避できます。
失敗パターン③:古いテンプレートで法改正に対応していない
2020年の民法改正に伴い、出勤簿等の労働関係書類の保存期間が3年から原則5年(当分の間3年)に延長されました。また、2019年施行の働き方改革関連法により年次有給休暇の年5日取得義務が課されたため、有給休暇の取得状況を管理できる欄が実質的に必要になっています。数年前のテンプレートを更新せずに使い続けると、最新の法令に対応できていないリスクがあります(出典:厚生労働省スタートアップ労働条件「賃金台帳等の保存期間」、https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/syuugyoukisoku/q6.html、2025年12月取得)。
出勤簿テンプレートから勤怠管理システムへ切り替えるタイミング
Excelテンプレートで問題なく運用できる限界は、おおむね従業員15〜20名・月次集計に3時間以上かかるラインといわれます。それを超えると手作業ミスのリスクと管理工数がともに急増するため、勤怠管理システムへの移行を検討する時期です。
勤怠管理システムはICカード・スマートフォンアプリ・PC打刻などの客観的記録方法と直結しており、厚生労働省ガイドラインが要求する「客観的な記録を基礎とした確認」の要件を満たしやすくなります。また、時間外労働の上限(原則月45時間・年360時間)に近づいた社員をアラートで検出する機能や、有給取得状況の一覧管理機能を備えるシステムが多く、コンプライアンス管理の工数を大幅に削減できます(出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」、https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kaizen/gaikyo/index.html)。
| 判断基準 | テンプレート継続 | システム移行を検討 |
|---|---|---|
| 従業員数 | 〜15名 | 15名以上 |
| 月次集計時間 | 1〜2時間以内 | 3時間以上 |
| シフトパターン数 | 3パターン以下 | 4パターン以上 |
| テレワーク・複数拠点 | なし | あり |
| 36協定の上限管理 | 余裕がある | 月40〜45時間に達する社員が複数 |
| 年次有給休暇の管理 | 手動で追える | 個人管理が困難 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 出勤簿の様式は法律で決まっていますか?
A. 様式の指定はありません。厚生労働省のガイドラインが求める記載内容(始業・終業時刻、労働時間、休憩時間など)を満たしていれば、紙・Excel・システムいずれでも構いません。ただし労働基準監督官の臨検時に即座に提出できる状態で保管する必要があります(厚労省FAQ参照)。
Q2. 出勤簿の保存期間はいつから数えますか?
A. 労働基準法第109条の改正により原則5年(当分の間3年)です。起算日は「記録の完結日」または「当該記録に係る賃金の支払期日のいずれか遅い方」となります。例えば当月分の給与を翌月10日に支払う場合、タイムカード等は翌月10日から3年(当分の間)の保存が必要です(出典:厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A」)。
Q3. パート・アルバイトも出勤簿の作成が必要ですか?
A. 必要です。雇用形態(正社員・パート・アルバイト・派遣等)にかかわらず、すべての労働者が対象です。派遣社員については、実際の就業場所を管理する派遣先が就業記録を整備し、派遣元も確認・保管する体制が求められます。
Q4. Excelの出勤簿は「自己申告制」に当たりますか?
A. 従業員が自分で記入する場合は自己申告制に当たります。厚生労働省ガイドラインは自己申告制について「適正に自己申告を行うことへの説明」「実態調査の実施」「事業場内にいた時間との乖離確認」などの補完措置を使用者に求めています。ICカード・タイムカード等の客観的記録と突き合わせる運用が推奨されます。
Q5. 無料テンプレートを商用利用してもよいですか?
A. テンプレートごとに利用規約が異なります。「商用利用可・改変可・登録不要」と明記されているものを選んでください。厚生労働省・都道府県労働局が公開する参考書式はパブリックドメイン相当であり、商用利用・改変ともに問題ありません。利用規約が不明なテンプレートは使用を避けるか、配布元に問い合わせることを推奨します。
まとめ:出勤簿テンプレート選びの3つのポイント
出勤簿テンプレートを正しく運用するために、最初に押さえておきたいポイントをまとめます。
- 法的要件をクリアしているか確認する:ガイドラインが求める始業・終業時刻(分単位)・時間外・深夜・休日労働の区分記録欄が揃っているテンプレートを選ぶ
- 利用規約・著作権を先に確認する:商用利用可・改変可の記載があるか、または省庁公開の参考様式を参考に自社作成する
- 就業規則・36協定に合わせてカスタマイズする:変形労働時間制やシフト制を採用している場合は、標準テンプレートをそのまま使わず業種・自社規則に合わせた設定を行う
従業員数が少ない段階では無料テンプレートで十分対応できますが、15〜20名を超えたあたりから勤怠管理システムへの移行が現実的な選択肢になります。大切なのは「記録さえあればよい」ではなく、記録の精度と法令上の適正手続きを同時に担保することです。出勤簿の整備を起点に、採用・接客・営業など隣接業務の属人化解消にも着手すると、成長フェーズでの業務停滞を防ぎやすくなります。
参考資料
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年1月20日)、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html(2025年12月取得)
- 厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A(令和2年4月1日)」、https://www.mhlw.go.jp/content/000617980.pdf(2025年12月取得)
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「賃金台帳等の労働契約関係書類の保存期間」、https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/syuugyoukisoku/q6.html(2025年12月取得)
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