出勤簿テンプレート【無料】記載項目・Excel計算式・業種別の運用を解説
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- 出勤簿に必要な記載項目と、そのまま使える列構成・Excel計算式がわかる
- 保存期間と起算日、テンプレート形式の選び方と業種別の運用ポイントを確認できる
- よくある失敗パターンと、勤怠管理システムへ切り替える目安がわかる
出勤簿は、労働者名簿・賃金台帳とともに「法定三帳簿」と呼ばれる書類で、パート・アルバイトを1人でも雇っていれば作成と保存が必要です。様式に決まりはないため、無料のExcelテンプレートで作っても問題ありません。ただし、始業・終業時刻を記録する欄がない、残業や深夜労働を分けて集計できないといったテンプレートを選ぶと、給与計算の誤りや労務トラブルにつながります。本記事では、出勤簿に必要な記載項目、そのままExcelに写せる列構成と数式の例、Excel・Word・Googleスプレッドシートの違い、建設業や店舗などの業種別の運用ポイント、よくある失敗パターンを、厚生労働省のガイドラインをもとに解説します。
出勤簿の悩みタイプを診断
Q1. 出勤簿の運用でいちばん悩んでいることは?
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出勤簿テンプレートと勤怠管理システムの比較|小規模事業者はどちらを選ぶか
従業員が数名までで勤務時間が固定なら、無料の出勤簿テンプレートで十分に運用できます。一方、シフト制で残業や深夜労働が発生する、月末の集計に何時間もかかるといった状態なら、打刻から集計までを自動化できる勤怠管理システムも選択肢になります。
出勤簿テンプレートを探している方の多くは、個人事業主や家族経営の店舗、従業員10人前後の会社など、経理と総務を1人で兼ねている事業者です。テンプレートは費用がかからず、すぐに使い始められる点が最大の利点です。ただし、テンプレートはあくまで「記録する器」であり、従業員が正しい時刻を書き込み、担当者が毎月集計して賃金台帳に転記する作業は残ります。小規模事業者向けの勤怠管理システムは、スマートフォンやICカードで打刻した時刻がそのまま記録され、残業時間などの集計も自動で行われる仕組みです。
以下は、手作業のテンプレート運用と、個人事業主・小規模企業向けに紹介されている勤怠管理システムの一部を、強みと留意点で並べたものです。どれが優れているかではなく、自社の人数や勤務形態でどこまで手作業を許容できるかを判断する材料として使ってください。
| 方法・サービス名(提供会社) | 強み | 留意点 |
|---|---|---|
| 無料の出勤簿テンプレート(Excel・スプレッドシート等) | 費用がかからず、自社の就業時間に合わせて列や数式を自由に変えられる | 自己申告の記録になりやすく、集計・転記・数式の管理は担当者の手作業のまま残る |
| ジンジャー勤怠(jinjer株式会社) | スマホアプリで場所を問わず打刻でき、初期設定から定着まで電話・チャット等でサポートを受けられる | スマホアプリでは申請や修正の画面が分かりにくいという声がある |
| KING OF TIME(株式会社ヒューマンテクノロジーズ) | 打刻方法が豊富で、アラートや自動通知で時間外労働や休日勤務を把握しやすい | 起動の速さや操作性が利用するPCのスペックに左右される |
| レコル(中央システム株式会社) | 勤怠管理に必要な機能をシンプルな価格設定で使え、画面が直感的で従業員への説明が少なく済む | 電話サポートの利用には予約が必要 |
※各サービスの特徴は、下記リンク先の比較記事の掲載内容をもとに要約しています。料金や機能の詳細は、各社の公式情報で最新の内容を確認してください。
テンプレートとシステムのどちらが合うかは、この先の記載項目や業種別の運用ポイントを読むと判断しやすくなります。すでに「毎月の集計がつらい」と感じている方は、個人事業主・小規模企業に絞った勤怠管理システムの比較記事で、無料トライアルの有無やサポート体制を先に確認しておくと検討が早く進みます。
出勤簿とは|法定三帳簿としての位置づけ
出勤簿とは、従業員が何日に出勤し、何時から何時まで働いたかを記録する書類です。労働者名簿・賃金台帳と並んで「法定三帳簿」と呼ばれ、労働時間を把握した記録として一定期間の保存が求められます。
労働基準法には「出勤簿」という名前の帳簿を作れという条文はありません。労働者名簿は第107条、賃金台帳は第108条で作成が義務づけられており、出勤簿やタイムカードは、第109条が保存を求める「労働関係に関する重要な書類」に当たると解されています。また、使用者には労働時間を適正に把握する責務があり、その具体的な方法を示したのが厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)です(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。
| 帳簿 | 主な根拠 | 記録する内容 | 出勤簿との関係 |
|---|---|---|---|
| 労働者名簿 | 労働基準法第107条 | 氏名、生年月日、住所、雇入れ年月日、退職日など | 誰の出勤簿かを特定する基本情報 |
| 賃金台帳 | 労働基準法第108条 | 労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜労働時間数、賃金の内訳など | 出勤簿を集計した数字を転記する先 |
| 出勤簿(タイムカード等) | 労働基準法第109条(保存)、上記ガイドライン(把握方法) | 出勤日、始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働など | 三帳簿のうち日々の実績を残す元データ |
三帳簿の関係で押さえておきたいのは、出勤簿が賃金台帳の「元データ」だという点です。賃金台帳には時間外労働や深夜労働の時間数を書く欄があるため、出勤簿の段階でそれらを分けて記録していないと、賃金台帳を正しく作れません。出勤簿テンプレートを選ぶときは、単に出勤の有無を丸で付けるだけの様式ではなく、時刻と時間数を残せる様式かを確認してください。
保存期間は原則5年、当分の間は3年
労働関係の重要な書類の保存期間は、2020年4月の改正労働基準法で3年から5年に延長され、経過措置として当分の間は3年とされています(出典:厚生労働省 スタートアップ労働条件「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」)。起算日は、記録が完結した日か、その記録に関係する賃金の支払期日のいずれか遅い日とされています(出典:厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A」)。月末締め翌月25日払いの会社なら、3月分の出勤簿は4月25日から数えることになります。
Excelで管理している場合、保存期間中のファイルを上書きしてしまう事故がよく起こります。月ごとにファイルを分けて「2026年03月_出勤簿.xlsx」のように名前を付け、締め処理が終わった月のファイルは読み取り専用にするか、PDFに書き出して別フォルダに保管しておくと安心です。退職者の出勤簿も同じ期間の保存が必要です。
管理職も「労働時間の状況」の把握が必要
上記のガイドラインは、管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者を対象から除いています。そのため「店長や課長は出勤簿がいらない」と考えがちですが、労働安全衛生法では、長時間労働者への医師による面接指導を行うため、管理監督者も含めて労働時間の状況を把握することが事業者に求められています。管理職の分だけ記録が抜けている出勤簿テンプレートの運用は、健康管理の面で不十分になる可能性があるため、管理職も同じ様式で出退勤時刻を残しておくのが無難です。
出勤簿の記載項目|そのまま使える無料テンプレートの列構成
出勤簿には、日付、出勤・欠勤の別、始業時刻、終業時刻、休憩時間、実労働時間、時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間を記録するのが基本です。この9項目があれば、賃金台帳の労働時間に関する欄を埋めることができます。
市販やWeb上の無料テンプレートは見た目がさまざまですが、中身として必要な項目は共通しています。以下は、Excelやスプレッドシートの1行目にそのまま見出しとして入力すれば出勤簿として使える列構成の例です。1人1シート、1か月1シートで作ると、給与の締め単位と揃って集計しやすくなります。
| 列 | 項目 | 入力・計算のしかた | 必要な理由 |
|---|---|---|---|
| A | 日付・曜日 | 月初の日付を入れ、以降は前日に1を足す | 労働日数の集計、法定休日の判定 |
| B | 勤怠区分 | 出勤・欠勤・有給・特別休暇・振休などを選択式で入力 | 欠勤控除の計算、有給休暇の取得日数管理 |
| C | 始業時刻 | 実際に業務を始めた時刻を分単位で入力 | ガイドラインが記録を求める項目 |
| D | 終業時刻 | 実際に業務を終えた時刻を分単位で入力 | ガイドラインが記録を求める項目 |
| E | 休憩時間 | 実際に取った休憩の合計を入力 | 実労働時間の算出、休憩付与の確認 |
| F | 実労働時間 | 終業から始業と休憩を差し引いて自動計算 | 賃金台帳の労働時間数 |
| G | 時間外労働時間 | 1日の法定労働時間(8時間)を超えた部分を自動計算 | 割増賃金、36協定の上限管理 |
| H | 深夜労働時間 | 22時から翌5時までに働いた時間を入力または計算 | 深夜割増賃金の計算 |
| I | 休日労働時間 | 法定休日に働いた時間を入力 | 休日割増賃金の計算 |
| J | 確認欄・備考 | 上長の確認印や修正理由を記入 | 自己申告内容の確認、修正履歴の保全 |
表の上部(見出し行の上)には、事業所名、従業員氏名、対象年月、所定労働時間を書く欄を設けます。所定労働時間を欄として持っておくと、所定は7時間半で法定は8時間といった会社で、法定内残業(所定を超えて8時間までの部分)と法定外残業を区別しやすくなります。
Excelで使う計算式の例
上の列構成で、C列からE列を「時刻」の表示形式にしている場合、実労働時間と時間外労働時間は次のような式で計算できます。いずれも2行目に入力し、下の行へコピーして使います。
| セル | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| F2(実労働時間) | =IF(C2=””,””,(D2-C2+(D2<C2))-E2) | 終業が日付をまたぐ場合も含めて、拘束時間から休憩を引く |
| G2(時間外労働時間) | =IF(F2=””,””,MAX(0,F2-TIME(8,0,0))) | 1日8時間を超えた部分だけを取り出す |
| 月合計(時間数) | =SUM(F2:F32)*24 | 時刻形式の合計を、給与計算で使う「時間」の数値に変える |
合計欄を時刻形式のまま表示すると、24時間を超えた分が切り捨てられて「5:30」のように表示されることがあります。時刻形式で見たい場合は表示形式を「[h]:mm」にし、時給を掛ける場合は上の式のように24を掛けて数値に直してください。なお、この式は1日8時間を基準にした簡易的なものです。週40時間を超えた分の時間外労働や、変形労働時間制の場合の判定は、1日ごとの計算だけでは正しく出せない点に注意が必要です。
出勤簿の書き方|使い始める前に決めておく記入ルール
同じテンプレートを使っていても、書き方が人によって違うと集計の段階で数字が合わなくなります。様式を配る前に、次の点を社内で統一しておきましょう。特に手書きやExcelへの手入力で運用する場合、月末にまとめて記入すると記憶に頼ることになり、実際の時刻とずれやすくなります。出勤簿はその日のうちに記入するのが基本です。
| 決めておくこと | ルールの例 | 決めていないと起こること |
|---|---|---|
| 記入のタイミング | 出勤時と退勤時に、その日のうちに本人が記入する | 月末のまとめ書きになり、退勤時刻の記入漏れや実態とのずれが増える |
| 休憩時間の書き方 | 所定の休憩時間ではなく、実際に取った時間を書く | 休憩を取れなかった日も一律に差し引かれ、実労働時間が少なく計算される |
| 勤怠区分の表記 | 有給・欠勤・遅刻・早退・休日出勤・振替休日の書き方を1種類に決め、選択式にする | 「有休」「年休」「休み」などの表記が混ざり、日数を数え直すことになる |
| 締め日と対象期間 | 給与の締め日に合わせて、1日始まりか21日始まりかなどをシートの単位にする | 月の途中で集計を区切る必要が生じ、転記ミスが起こりやすくなる |
| 修正の方法 | 元の記録を消さず、修正後の時刻と理由を備考欄に残す | 誰がいつ直したか分からなくなり、記録の信頼性が下がる |
| 確認する人と時期 | 上長が週1回や締め日に内容を確認し、確認欄に記録する | 記入漏れが締め日まで見つからず、給与計算が遅れる |
出勤簿は従業員本人が書かなければならないものではなく、事業主や店長が出退勤を確認して記入する運用でも構いません。ただし、その場合もシフト表やレジの開閉記録、パソコンの使用時間など、ほかの記録と突き合わせられるようにしておくと、記録の確かさを説明しやすくなります。法定休日を何曜日とするかは就業規則などの定めによるため、休日労働時間の列を使う前に、自社の法定休日を確認しておくことも大切です。
出勤簿と勤怠表・勤怠管理表の違い
テンプレートを探していると、「出勤簿」のほかに「勤怠表」「勤怠管理表」「出勤表」といった名前の様式も見つかります。これらに法律上の定義の違いはなく、いずれも日々の出退勤と労働時間を記録するという役割は同じです。一般的には、行政の資料で使われる呼び方が「出勤簿」、社内の実務で使われる呼び方が「勤怠表」「勤怠管理表」と考えておけば差し支えありません。名前で選ぶのではなく、上の列構成にある項目を記録できるかどうかで選ぶことが大切です。「勤怠管理表」という名前でも出勤の有無しか書けない様式は出勤簿として不十分ですし、「出勤表」という名前でも始業・終業時刻と時間外労働を残せる様式なら出勤簿として使えます。なお、シフト表は勤務の予定を示すもので、実績を記録する出勤簿の代わりにはなりません。
Excel・Word・Googleスプレッドシート|テンプレート形式の選び方
出勤簿テンプレートの形式は、自動計算をしたいならExcel、紙に印刷して手書きで運用するならWordやPDF、複数の拠点や在宅勤務の従業員とリアルタイムで共有したいならGoogleスプレッドシートが向いています。
| 形式 | 向いている使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| Excel | 実労働時間や残業時間を自動計算したい、オフラインで使いたい | 共有すると版が分かれやすく、数式を誤って消すと気付きにくい |
| Word・PDF(印刷用) | パソコンを使わない現場で、紙に手書きして確認印を押したい | 集計はすべて手計算になり、給与計算時に転記ミスが起こりやすい |
| Googleスプレッドシート | 複数人で同時に入力したい、変更履歴を残したい | 共有範囲の設定を誤ると、他の従業員の勤務記録まで見えてしまう |
無料テンプレートをダウンロードして使う場合は、配布サイトの利用規約も確認しておきましょう。多くのテンプレートは業務での利用や改変が認められていますが、再配布を禁止しているもの、会員登録を条件にしているものもあります。社内の複数店舗に配る、社労士や取引先に渡すといった使い方をする場合は、規約で認められている範囲かを事前に見ておくと安心です。
テンプレートを選ぶ際のチェックポイントをまとめると、次の5点です。
- 始業・終業時刻を分単位で書ける欄があるか(出勤の丸付けだけの様式は避ける)
- 時間外・深夜・休日の労働時間を分けて集計できるか
- 締め日と支払日が自社の給与サイクルに合わせられるか
- 管理職やパート・アルバイトなど、全員に同じ様式を使えるか
- 利用規約で、自社の使い方(改変・社内配布)が認められているか
業種別の出勤簿運用|建設業・店舗・製造業・家族経営
出勤簿に必要な項目は業種を問わず同じですが、勤務の実態によって「どこを細かく記録すべきか」は変わります。汎用のテンプレートをそのまま使うのではなく、自社の働き方に合わせて列を足したり、集計の単位を変えたりするのがポイントです。
建設業|現場名と移動時間を記録する
建設業では、同じ従業員が日によって別の現場に出るため、出勤簿に現場名の列を追加しておくと、現場ごとの人工(にんく)集計にも同じデータを使えます。事務所に集合してから現場へ向かう場合、その移動時間が労働時間に当たるかどうかは、会社の指示の有無など実態によって判断が分かれるため、少なくとも事務所の出発時刻と現場からの帰着時刻は残しておきましょう。また、建設業は2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。これまで以上に月ごとの時間外労働の合計を確認できる様式にしておくことが大切です。
飲食店・小売店|シフトと実績を並べて記録する
シフト制の店舗では、曜日ごとに出勤時刻が変わるため、「予定(シフト)」と「実績」の2列を並べる様式が便利です。予定と実績を並べると、閉店作業で終業が延びた日や、開店準備で早く出勤した日がひと目で分かります。深夜営業をする店舗では22時以降の勤務が発生するため、深夜労働時間の列は必須です。アルバイトが多い店舗では、従業員が自分で時刻を書き込む運用になりやすいため、店長が毎日確認欄に印を付けるルールを決めておきましょう。
製造業|交替勤務と変形労働時間制に注意する
2交替・3交替の工場では、夜勤が日付をまたぐため、「どの日の勤務として記録するか」を先に決めておく必要があります。一般的には始業した日の勤務として1行で記録すると、集計がぶれにくくなります。1年単位の変形労働時間制を採用している場合は、日ごと・週ごとの所定労働時間が一定ではないため、1日8時間固定で残業を判定するテンプレートでは時間外労働を正しく計算できません。所定労働時間の列を日ごとに持たせる必要があります。
個人事業主・家族経営|家族従業員の扱いを確認する
個人事業主が人を雇う場合も、出勤簿の作成・保存のルールは会社と変わりません。一方、事業主と同居している親族だけで営んでいる事業は、労働基準法の適用が除外されています。ただし、親族以外の従業員を1人でも雇えば、その人については出勤簿が必要です。家族と従業員が一緒に働く店舗では、家族の分も同じ様式で記録しておくと、青色事業専従者給与の実態を説明する資料としても役立ちます。人数が少ないうちは、日付の入っていない「万年型」のシンプルなテンプレートでも十分に運用できます。
自動計算機能付きテンプレートの活用と限界
自動計算機能付きのExcelテンプレートを使えば、始業・終業時刻と休憩を入れるだけで実労働時間や残業時間が計算されるため、手計算に比べて集計の手間とミスを大きく減らせます。ただし、記録そのものの正確さや、週単位・月単位の上限管理までは自動化できません。
自動計算テンプレートで楽になるのは、1日単位の足し算・引き算です。一方で、次のような作業はテンプレートを使っても担当者の手元に残ります。
| 作業 | 自動計算テンプレート | 勤怠管理システム |
|---|---|---|
| 1日の実労働時間・残業時間の計算 | 自動化できる | 自動化できる |
| 時刻の記録 | 本人の自己申告(手入力) | スマホ・ICカード等の打刻で記録 |
| 週40時間超・月の上限の確認 | 別途の集計や目視確認が必要 | アラート機能を持つサービスが多い |
| 全従業員分の集計・給与計算への受け渡し | ファイルを開いて転記 | CSV出力や給与ソフト連携に対応するものがある |
| 数式や様式の保守 | 担当者が自分で管理 | 提供会社が法改正に合わせて更新 |
特に見落としやすいのが時間外労働の上限です。36協定を結んでも、時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限とされています(出典:厚生労働省 スタートアップ労働条件「時間外労働の上限について」)。1日単位で計算するテンプレートでは、月の途中で上限に近づいていることに気付きにくく、締め日に集計して初めて超過が分かるという事態が起こりがちです。テンプレートで運用する場合は、月の累計残業時間を毎日表示する欄を設け、30時間を超えたら色が変わるように条件付き書式を設定しておくと、早めに気付けます。
また、厚生労働省のガイドラインは、始業・終業時刻の確認方法として、使用者自らが現認するか、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録など客観的な記録を基礎とすることを原則としています。従業員が自分で時刻を書き込むExcelの出勤簿は自己申告制にあたり、自己申告制で運用する場合は、正しく申告するよう説明することや、必要に応じて実態調査を行うことなどの措置が求められます。従業員が増えて、この確認作業まで手が回らなくなってきたら、テンプレートから打刻型の仕組みへ切り替える目安です。月末の集計や転記に毎月数時間かかっているなら、手作業の集計をなくせる勤怠管理システムも比べておくとよいでしょう。
出勤簿テンプレートでよくある失敗パターン
出勤簿テンプレートの失敗は、様式そのものよりも、記録の仕方や保管の仕方で起こることがほとんどです。代表的なパターンと対策を表にまとめました。
| 失敗パターン | 起こる問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 出勤に丸を付けるだけの様式を使っている | 労働時間が分からず、残業代を計算できない | 始業・終業時刻を分単位で記録する様式に変える |
| 所定の時刻(9時から18時など)を毎日同じように書いている | 実態と記録がずれ、未払い残業を指摘されるおそれがある | 実際の時刻を書くルールを周知し、上長が確認する |
| 残業時間を15分や30分単位で切り捨てている | 切り捨てた分の賃金が支払われない | 1日単位では1分単位で記録し、端数処理は月合計で行う |
| 深夜・休日の時間を分けていない | 割増率の違う時間がまとめられ、賃金台帳を作れない | 深夜・休日の列を追加し、別々に集計する |
| 過去月のファイルを上書きしている | 保存期間中の記録が失われる | 月ごとにファイルを分け、締め後はPDF化して保管する |
| 管理職の記録を付けていない | 長時間労働を把握できず、健康管理が不十分になる | 管理職も同じ様式で出退勤時刻を記録する |
残業時間の端数処理は特に誤解が多い点です。1か月の時間外労働などの合計に1時間未満の端数がある場合に30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理は、事務の簡便化のために認められているとされています。しかし、日ごとに15分未満を切り捨てるような処理は、働いた時間の賃金を支払わないことになるため避けるべきです。テンプレートの数式に端数処理が組み込まれている場合は、どの単位で丸めているかを確認してください。
また、労働基準法第109条に基づく記録の保存を怠った場合は、同法第120条により罰則(30万円以下の罰金)の対象となります。罰則を避けるためだけでなく、従業員との間で「言った・言わない」のトラブルが起きたときに事実を示す証拠として、出勤簿を正しく残しておくことが事業者自身を守ることにつながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 出勤簿の様式は法律で決まっていますか?
A. 決まった様式はありません。始業・終業時刻、休憩時間、時間外・深夜・休日の労働時間など、労働時間を把握できる内容が記録されていれば、紙・Excel・Googleスプレッドシート・勤怠管理システムのいずれでも構いません。無料テンプレートを自社の就業規則に合わせて修正して使う方法も一般的です。
Q2. 出勤簿は何年保存すればよいですか?
A. 労働基準法では原則5年とされていますが、経過措置により当分の間は3年とされています。起算日は、記録が完結した日か、その記録に関係する賃金の支払期日のいずれか遅い日です。退職した従業員の出勤簿も、同じ期間の保存が必要です。
Q3. パート・アルバイトや管理職にも出勤簿は必要ですか?
A. パート・アルバイトも正社員と同じく出勤簿の対象です。管理監督者は労働時間の適正把握に関するガイドラインの対象外ですが、労働安全衛生法に基づく労働時間の状況の把握は必要とされているため、管理職も同じ様式で出退勤時刻を記録しておくのが無難です。
Q4. 従業員が自分で書くExcelの出勤簿でも問題ありませんか?
A. 従業員が自分で時刻を書き込む方法は自己申告制にあたります。厚生労働省のガイドラインは客観的な記録による確認を原則としており、自己申告制による場合は、正しく申告するよう説明することや、必要に応じて実態調査を行うことなどの措置を求めています。上長が毎日確認するルールを設けたうえで運用しましょう。
Q5. 無料の出勤簿テンプレートを会社で使っても大丈夫ですか?
A. 多くの無料テンプレートは業務での利用や改変が認められていますが、再配布の禁止などの条件がある場合もあります。ダウンロードする前に配布サイトの利用規約を確認し、社内の複数拠点に配る場合は、その使い方が認められているかを見ておきましょう。
Q6. 出勤簿テンプレートから勤怠管理システムに切り替える目安はありますか?
A. 月末の集計や給与計算への転記に毎月数時間かかる、シフトや勤務場所がばらばらで確認が追いつかない、時間外労働が上限に近い従業員がいる、といった状態が目安です。小規模事業者向けには、無料トライアルがあり少人数から使える勤怠管理システムもあるため、テンプレートと並行して試してから切り替える方法もあります。
出勤簿の作成から集計、保存までをまとめて仕組み化したい場合は、少人数の事業者に合う勤怠管理システムを比較した記事も参考にしてください。
まとめ|出勤簿テンプレートは「時刻が残る様式」を選ぶ
出勤簿テンプレートを選ぶ・使ううえで押さえておきたいポイントは、次の4つです。
- 始業・終業時刻、休憩、時間外・深夜・休日の労働時間を分けて記録できる様式を選ぶ
- 建設業の現場名、店舗のシフト予定、工場の交替勤務など、自社の働き方に合わせて列を足す
- 月ごとにファイルを分け、原則5年(当分の間3年)の保存期間中は上書きせずに保管する
- 集計や確認の手間が増えてきたら、打刻から集計まで任せられる勤怠管理システムへの切り替えを検討する
従業員が少ないうちは、無料の出勤簿テンプレートで十分に法令に沿った記録を残せます。大切なのは、様式を用意することではなく、実際の時刻を正しく記録し、賃金台帳や給与計算まで一続きで使える状態にしておくことです。なお、本記事は労働関係法令の一般的な内容を解説したもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。自社の運用が適切か判断に迷う場合は、社会保険労務士や最寄りの労働基準監督署に相談してください。
参考文献
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
- 厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/content/000617980.pdf
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/syuugyoukisoku/q6.html
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「時間外労働の上限について」https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html