家計簿アプリの選び方|タイプ別比較と個人事業主が事業と家計を分けて管理する方法
Check!
- 家計簿アプリは支払い方法と目的で選ぶ
- 口座連携は登録とAPI方式を確認する
- 生活費は家計簿、事業は会計ソフトで管理
家計簿アプリは、収入と支出をスマートフォンやパソコンで記録し、費目別の集計やグラフ化を自動で行うサービスです。選ぶときは、入力方式(自動連携か手入力か)、連携できる金融機関、セキュリティ、無料プランの範囲の4点で見ると失敗しにくくなります。本記事では、家計簿アプリのタイプ別と目的別の違い、選び方、使い始めの手順、費用相場、口座連携の安全性の確かめ方を整理します。あわせて、個人事業主やフリーランスの人が、生活費は家計簿アプリで、事業の収支は会計ソフトでと分けて管理する方法も解説します。
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個人事業主の家計簿アプリ、次の一歩は事業収支を会計ソフトに任せること
個人事業主が家計簿アプリを使うなら、生活費は家計簿アプリ、事業の取引は会計ソフトと役割を分けるのが基本です。家計簿アプリは支出の傾向をつかむための道具で、費目の付け方は自由です。これに対して事業の帳簿は確定申告の根拠になる記録で、国税庁は事業所得などがある人に、取引の記帳と帳簿書類の保存を求めています(出典:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」)。家計簿アプリの「食費」「交通費」といった費目は勘定科目とは別物のため、アプリの記録をそのまま申告に使うことはできません。
| 比較項目 | 家計簿アプリ(プライベートの家計管理) | 個人事業主向け会計ソフト(事業収支の管理) |
|---|---|---|
| 管理する対象 | 生活費、貯蓄、個人の資産 | 売上、仕入、経費、事業用の資産と負債 |
| 記録の形式 | 自由な費目での分類 | 勘定科目による仕訳(複式簿記に対応) |
| 得られるもの | 費目別のグラフ、予算との差、資産の推移 | 帳簿、決算書、確定申告書類 |
| 長所 | 入力が手軽で、毎日の支出を意識しやすい | 申告に必要な書類まで一続きで作れる |
| 短所 | 申告書類は作れず、事業の取引を混ぜると仕分け直しが必要 | 勘定科目など最低限の用語に慣れる必要がある |
会計ソフトにも家計簿アプリと同じように、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む機能を持つ製品があります。家計簿アプリの操作に慣れている人なら、同じ感覚で事業の記帳を始めやすいはずです。ここでは、家計簿アプリの次に事業の記帳を整える場合の一例として、1つのサービスを取り上げます。
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注意したい点もあります。AIが誤った仕訳を学習する可能性があるため、入力内容の確認は欠かせません。また、請求書や経費精算など同じシリーズの他の製品と組み合わせて使うほど効果が大きくなる設計のため、どの業務まで任せたいかを先に整理しておくと選びやすくなります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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-
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実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
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出典:マネーフォワード クラウド導入事例「個人事業主から法人成り!マネーフォワード クラウドが支えるシステム開発会社の成長ストーリー」(株式会社はためき)
プライベートの家計だけを管理したい人は、ここから先の家計簿アプリの基本と選び方に進んでください。事業の収支がある人も、生活費の側は家計簿アプリで管理するため、以降の内容がそのまま役立ちます。
家計簿アプリとは?できることとできないこと
家計簿アプリとは、スマートフォンやパソコンで収入と支出を記録し、費目別の集計やグラフ化を自動で行うサービスです。紙の家計簿やエクセルと違い、集計の計算を自分でする必要がなく、外出先でもその場で記録できます。
主な機能は次の5つです。
- 入力:手入力、レシートの撮影、銀行口座やクレジットカード、電子マネーとの連携による明細の自動取得
- 分類:取引の内容から「食費」「通信費」などの費目を自動で割り当てる
- 分析:月ごとや費目ごとの支出をグラフで表示し、前月との差を確認できる
- 予算:費目ごとに予算を決め、使いすぎたときに知らせる
- 共有と資産管理:家族と記録を共有する、預金や投資の残高をまとめて確認する
メリットは、記録の手間が小さいことと、支出の傾向がすぐに見えることです。一方でデメリットもあります。自動連携型は金融情報の登録が前提になること、無料プランでは連携数や閲覧期間に上限があること、通知やグラフを眺めるだけで行動が変わらなければ効果が出ないことです。
個人事業主にとって重要なのは「できないこと」の把握です。家計簿アプリは、複式簿記の帳簿、貸借対照表や損益計算書、確定申告書を作る機能を基本的に持っていません。家計簿アプリの提供会社が会計ソフトも提供している場合でも、両者は別のサービスとして設計されているのが一般的です。家計簿アプリは生活費の見える化までを担当する道具だと理解しておくと、選ぶ基準がはっきりします。
家計簿アプリのタイプ別比較
家計簿アプリは、入力の方法と使う目的によって大きく5つのタイプに分けられます。1つのアプリが複数のタイプの機能を兼ねていることも多いため、どの機能を中心に設計されているかで見分けるのがポイントです。
| タイプ | 長所 | 短所 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 自動連携型 | 口座やカードの明細を自動で取り込み、入力の手間がほぼない。資産全体を一覧できる | 金融情報の登録が必要。無料プランでは連携数に上限があることが多い | キャッシュレス決済が中心の人、口座やカードが複数ある人 |
| 手入力型 | 会員登録や金融情報の登録なしで始められるものがあり、操作が単純 | 入力を忘れると記録が抜ける。取引が多いと負担になる | 現金払いが多い人、金融情報を預けたくない人 |
| レシート撮影型 | 撮影するだけで店名や金額を読み取り、品目単位で記録できるものもある | 読み取りの誤りを確認する手間がある。レシートの出ない支出は別途入力が必要 | スーパーなど店頭での買い物が多い人 |
| 共有型 | 夫婦や家族で同じ記録を見られる。個人用と共有用の財布を分けられるものもある | 相手が使わないと効果が出ない。見せる範囲の話し合いが必要 | 共働きの世帯、生活費を分担している人 |
| ポイント連動型 | 特定のカードやポイントサービスの利用状況をまとめて確認できる | 対象のサービス以外の支出は管理しにくい場合がある | 特定の経済圏に支払いを集約している人 |
自動連携型は「明細が自動で集まる」ことが最大の利点
自動連携型は、銀行、クレジットカード、電子マネー、証券口座などの明細を定期的に取得して記録します。支払いのほとんどがキャッシュレスで完結している人なら、入力作業はほぼ不要です。個人事業主にとっては、後述するように事業用の口座とカードを連携の対象から外しておけるかどうかが、使いやすさを左右します。
手入力型とレシート撮影型は「預けない安心」と手間の交換
手入力型は、金額と費目を選ぶだけの単純な操作で、金融情報を外部に預けずに使えます。レシート撮影型は、その手入力をカメラで置き換えたものです。どちらも記録の習慣が前提になるため、1日1回や週1回など入力するタイミングを決めておくと続きやすくなります。自動連携型と併用し、現金払いだけを手入力や撮影で補う使い方も一般的です。
共有型は「どこまで見せるか」を先に決める
共有型は、家族で同じ家計を見ながら話し合える点が強みです。ただし個人事業主の場合、事業用の口座まで共有の対象に入れてしまうと、事業の入出金が家族の画面にも流れ、家計の数字が読みにくくなります。共有するのは生活費の口座に限り、事業のお金は共有の対象から外すと整理しやすくなります。
目的別に見ると、重視する機能が変わる
家計簿アプリは、タイプだけでなく「何のために記録するか」でも選び分けられます。目的ごとに重視したい機能と、合いやすいタイプを整理すると次のとおりです。
| 目的 | 重視したい機能 | 合いやすいタイプ |
|---|---|---|
| 生活費の全体像をつかみたい | 口座とカードの自動連携、費目の自動分類、月ごとのグラフ | 自動連携型 |
| 節約したい | 費目ごとの予算設定と超過の通知、固定費と変動費を分けた集計 | 自動連携型、手入力型 |
| 貯金したい | 貯金の目標額の設定、給料日に取り分ける費目を作れること | 手入力型、自動連携型 |
| ポイントを無駄にしたくない | 対象のポイントサービスとの連携、ポイントの有効期限の通知 | ポイント連動型 |
| 家族や配偶者と一緒に管理したい | 共有する口座の範囲の指定、個人用と共有用の財布の分離 | 共有型 |
| 確定申告の書類まで作りたい | 帳簿や決算書の作成(家計簿アプリではなく会計ソフトの役割) | 会計ソフトとの併用 |
目的が複数ある場合は、いちばん優先する目的を1つ決め、その目的に必要な機能が無料プランで使えるかを先に確認します。最初から全ての目的を1つのアプリで満たそうとすると、機能の多さに迷って記録が続かなくなりがちです。
具体的なアプリごとの機能や料金プランの違いは、家計簿アプリ おすすめ比較7選|選び方・費用相場・法務論点を解説で整理しています。
家計簿アプリの選び方のポイント【セキュリティ・連携】
家計簿アプリは、機能の多さではなく、自分の支払い方法と続けやすさに合うかどうかで選びます。確認する順番は、入力方式、連携できる金融機関、画面の見やすさ、共有の要否、セキュリティの5点です。
1. よく使う支払い方法に合う入力方式か
まず、直近1か月の支払いを振り返り、現金とキャッシュレスのどちらが多いかを確認します。キャッシュレスが中心なら自動連携型、現金が中心なら手入力型かレシート撮影型が合います。両方が混ざる人は、自動連携を主にして、現金払いだけ撮影や手入力で補える製品を選ぶと記録の抜けが減ります。
2. 使っている金融機関やカードに対応しているか
自動連携型を選ぶ場合、自分の銀行、クレジットカード、電子マネー、コード決済が連携の対象に入っているかを公式サイトの対応一覧で確かめます。対応数の多さよりも、自分が使っているものが入っているかが重要です。あわせて、無料プランで連携できる件数の上限も確認しておきます。上限を超える分を手入力で補うのか、有料プランにするのかを、使い始める前に決めておくと迷いません。
3. 画面が見やすく、毎日開けるか
家計簿アプリは、開かなくなった時点で効果がなくなります。グラフの見やすさ、入力までのタップ数、広告の表示量は、実際に数日使ってみないと分かりません。アプリストアの口コミや評判は、機能の良し悪しよりも「続いたかどうか」「どこで使うのをやめたか」という観点で読むと参考になります。更新の直後は不具合の指摘が増えやすいため、新しい投稿だけでなく一定期間の傾向を見るのがおすすめです。
4. 家族と共有する必要があるか
家族と生活費を分担しているなら、共有機能の有無と共有できる範囲を確認します。全ての口座が相手に見える方式か、共有用の財布だけを見せられる方式かで、使い勝手は大きく変わります。1人で管理するなら共有機能は不要なので、その分だけ単純な製品を選べます。
5. セキュリティ対策と連携方式を確認する
口座と連携する家計簿アプリでは、連携の方式と事業者の登録状況を確かめておくと安心です。預金口座の残高や利用履歴を銀行から取得して家計簿を自動で作るサービスは、銀行法上の「電子決済等代行業」に当たり、財務局の登録を受けた事業者だけが国内で行えるとされています。登録を受けた事業者には、利用者に損害が生じた場合の賠償責任に関する事項や苦情、相談の窓口を利用者に示すこと、銀行との間で情報の安全管理に関する契約を結ぶことが義務付けられています(出典:金融庁「電子決済等代行業に関する新しい制度がはじまりました」)。
同じ資料で金融庁は、預金口座のIDやパスワードを第三者に預けることはセキュリティの観点から必ずしも望ましくないとし、銀行のAPIに接続するなど、IDやパスワードを預ける必要のない事業者のサービスを利用するほうがより望ましいという考え方を示しています。利用をやめたときにパスワードを変更するなど、自分でIDとパスワードを管理することの重要性にも触れています。これを踏まえた確認項目は次のとおりです。
- 提供会社が電子決済等代行業者として登録されているか(金融庁のWebサイトで登録事業者を確認できる)
- 自分の銀行との連携が、IDやパスワードを預けないAPI方式か
- 二段階認証、アプリ起動時のパスコードや生体認証が使えるか
- 通信とデータの暗号化、第三者認証の取得状況が公式サイトで説明されているか
- プライバシーポリシーで、データの利用目的と第三者提供の範囲が明示されているか
- 退会するときのデータ削除と連携解除の手順が案内されているか
家計簿アプリの「API連携」とは、銀行が公開している接続の仕組み(API)を通じて、利用者が許可した範囲の残高や明細だけを取得する方式を指します。金融庁の資料が望ましいとしているのは、この方式のようにIDやパスワードを預ける必要がないサービスです。アプリの公式サイトで、自分の銀行との連携がAPI方式か、IDとパスワードを入力する方式かを確かめてから連携を始めてください。
個人事業主は、取引先の名前や入金額といった事業上の情報が明細に含まれる点にも注意が必要です。事業用の口座を家計簿アプリに連携する場合は、取引先の情報が共有相手や外部に見える状態にならないかを確認してください。個人情報の取り扱いに不安があるときは、個人情報保護委員会が公開している情報や相談窓口も参考になります(出典:個人情報保護委員会)。なお、本項は一般的な情報の整理であり、法的な助言ではありません。
家計簿アプリの使い始め方|目的設定から月末の振り返りまで
家計簿アプリは、目的を決める、予算を決める、記録する、月末に振り返る、の4ステップで使い始めると続きやすくなります。選んだあとにやることを先に決めておくと、入れただけで開かなくなる状態を避けられます。
1. 目的を1つに絞る
「年間で貯金したい金額」「食費を月いくらに抑えたいか」「固定費を見直したい」など、記録の目的を1つ決めます。目的が決まると、記録の細かさや見る費目が決まり、入力の負担も減ります。
2. 費目ごとに予算を決める
直近1か月の支出を一度見渡し、食費、日用品、交通費、通信費などの主な費目に予算を置きます。費目は10個前後までに絞ると、分類の修正に追われずに済みます。自動連携型なら、連携後の最初の1か月は予算を厳しくせず、実際の支出の傾向を知ることを優先します。
3. 記録のタイミングを決める
手入力型やレシート撮影型は、1日1回や週1回など入力するタイミングを固定します。自動連携型は、明細が自動で入るぶん、未分類の取引に費目を付ける作業を週に1回だけ行えば十分です。
4. 月末に1つだけ見直す
月末に、予算との差が最も大きい費目を1つ選び、翌月の予算か支払い方法を見直します。すべての費目を一度に直そうとせず、毎月1つずつ改善するほうが続きます。個人事業主は、この月末の見直しを事業の締めと同じ日に行うと、家計と事業の動きを同時に確認できます(次の章で解説します)。
個人事業主の家計簿と事業収支の管理術
個人事業主の家計管理は、口座を分ける、移動を1行で記録する、兼用の支出に目印を付ける、月に1回締める、の4つで回ります。家計簿アプリだけで事業まで管理しようとせず、家計簿アプリと会計ソフトの間でお金の出入りがつながるように設計するのがこつです。
事業用と生活用で口座とカードを分ける
最初に行うのは、事業用の銀行口座とクレジットカードを、生活用とは別に用意することです。売上の入金と経費の支払いを事業用に集めれば、事業用の口座とカードは会計ソフトに、生活用の口座とカードは家計簿アプリに連携するだけで、取引が自動的に振り分けられます。同じ口座を両方に連携すると、家計簿アプリには売上が収入として現れ、家計が実際より豊かに見えてしまうため、連携先は重ならないようにします。
生活費の移動は「事業主貸」と家計の収入を対にする
事業用の口座から生活用の口座へ毎月お金を移すとき、会計ソフトの側では「事業主貸」という勘定科目で処理するのが一般的です。家計簿アプリの側では、同じ金額を「事業からの生活費」といった名前の収入として記録します。反対に、生活用のお金で事業の支払いを立て替えたときは、会計ソフトの側で「事業主借」として処理します。移す日と金額を毎月固定すると、家計の側は給与をもらっているのと同じ感覚で予算を立てられます。
自宅兼事務所など兼用の支出は、目印を付けて年末に按分する
自宅で仕事をしている場合の家賃や電気代、仕事と私用で兼用しているスマートフォンの通信費は、家計と事業の両方に関わる支出です。国税庁は、こうした家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られるとしています(出典:国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識)。
実務では、兼用の支出を生活用の口座から支払い、家計簿アプリで「兼用」などのタグやメモを付けておく方法が扱いやすいでしょう。年末にタグで絞り込めば年間の合計額がすぐに分かり、使用する面積や時間など説明のできる基準で事業分を計算して、会計ソフトに入力できます。按分の割合が妥当かどうかは個別の事情で変わるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
月に1回、家計と事業を同じ日に締める
| 手順 | 家計簿アプリで行うこと | 会計ソフトで行うこと |
|---|---|---|
| 1. 明細の確認 | 未分類の取引に費目を付ける | 取り込まれた明細の勘定科目を確定する |
| 2. 移動の突き合わせ | 事業からの生活費が収入に入っているか確認する | 同じ金額が事業主貸になっているか確認する |
| 3. 混在の修正 | 生活用のカードで払った事業の支出に目印を付ける | その支出を事業主借として経費に計上する |
| 4. 振り返り | 予算との差が大きい費目を1つ決めて見直す | 売上と経費の推移、納税のための資金を確認する |
月に1回、同じ日に両方を開くと、家計と事業の間のお金の動きにずれがないかをその場で確認できます。所得税や消費税、国民健康保険料の支払いに備える資金は、事業用とも生活用とも別の口座に取り分け、家計簿アプリでは資産として眺めるだけにすると、使ってよいお金との区別がはっきりします。
働き方別の使い分けの例
- 在宅のフリーランス(ライター、デザイナー、エンジニアなど):現金の取引が少ないため、家計は自動連携型で管理しやすい。家賃や通信費など兼用の支出が多いので、タグ付けの運用が効果的
- 店舗を持つ個人事業主(飲食店、美容室、小売店など):店の現金と生活費の現金が混ざりやすい。店の売上金は店の口座に入金してから生活費を移す流れを徹底し、家計の現金払いはレシート撮影型で補う
- 副業をしている会社員:給与は家計簿アプリ、副業の入出金は専用の口座に集める。取引の件数が少ないうちから口座を分けておくと、申告が必要になったときにそのまま会計ソフトへ連携できる
記帳と保存のルールは家計簿アプリでは満たせない
青色申告は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成できるような正規の簿記によることが原則とされ、帳簿書類は原則として7年間の保存が求められます。正規の簿記で記帳した場合は最高55万円、あわせてe-Taxによる申告か電子帳簿保存を行う場合は最高65万円の青色申告特別控除を受けられるとされています(出典:国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度、令和8年4月1日現在の法令等に基づく記載)。こうした帳簿や決算書は、家計簿アプリでは作成できません。
また、メールやWebサイトで受け取った請求書や領収書などの電子取引データは、電子帳簿保存法の定めに沿って保存する必要があります(出典:国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト)。家計簿アプリにレシートの画像を残しているだけでは要件を満たさない可能性があるため、事業の証憑は対応機能を持つ会計ソフトなどで保存するのが確実です。制度の内容は改正されることがあり、適用の可否は個別の事情で異なります。本項は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務や法律の助言ではありません。具体的な対応は税務署や税理士に確認してください。
事業と家計のお金の管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
家計簿アプリの費用相場(無料プランと有料プランの違い)
家計簿アプリの費用は、基本機能は無料、連携数の上限解除や広告の非表示などは月額制の有料プランという構成が一般的で、まず無料で試してから有料にするかを決める流れが無駄になりません。
家計簿アプリの多くは、基本機能を無料で使え、一部の機能を月額制の有料プランで提供する形をとっています。有料プランの料金は月額数百円程度のものが中心ですが、金額やプランの内容は改定されることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。年払いにすると月あたりの負担が下がる製品や、アプリストア経由とWeb経由で料金が異なる製品もあります。
| 比較項目 | 無料プランで多い仕様 | 有料プランで多い仕様 |
|---|---|---|
| 連携できる口座やカードの数 | 数件までの上限がある | 上限がなくなる、または大きく増える |
| 過去のデータの閲覧期間 | 直近の一定期間に限られる | 過去の全期間を見られる |
| 明細の更新 | 更新の頻度が低い、または手動 | 自動で更新される、まとめて更新できる |
| 広告 | 表示される | 表示されない |
| データの出力 | 使えない、または制限がある | CSVなどの形式で出力できる |
無料プランで足りるのは、生活用の口座とカードが数件に収まり、直近の支出が分かれば十分という人です。口座やカードが多い人、数年単位で資産の推移を追いたい人は、有料プランのほうが手間に見合う場合があります。まず無料で1か月使い、上限に当たって不便を感じた機能があるかどうかで判断するのが無駄のない進め方です。
個人事業主は、家計簿アプリの料金だけでなく、会計ソフトと合わせた全体の費用で考える必要があります。事業用の口座まで家計簿アプリに連携するために有料プランへ上げるより、家計簿アプリは無料の範囲で生活用の口座だけを連携し、事業用の口座は会計ソフトに任せるほうが、役割の重複がなく費用も整理しやすくなります。会計ソフトにも基本機能を無料で使える製品や無料の試用期間がある製品があり、事業のために使う会計ソフトの利用料は、一般に必要経費として扱われます。家計簿アプリの利用料は生活費の管理のための支出なので、同じようには扱えない点にも違いがあります。経費として認められる範囲は個別の事情で異なるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
家計簿アプリのよくある失敗パターン
家計簿アプリの失敗は、アプリ選びよりも使い方の設計で起こり、多くは「事業の口座まで連携する」「連携しただけで見ない」など5つのパターンに当てはまります。それぞれの対処を整理しました。
| 失敗パターン | 起こりがちな状態 | 対処 |
|---|---|---|
| 事業の口座まで連携する | 売上や仕入が家計の収支に混ざり、どちらの数字も読めなくなる | 事業用の口座は会計ソフトに連携し、家計簿アプリには生活用だけを連携する |
| 連携しただけで見ない | 明細は集まるが、未分類の取引がたまり、支出が変わらない | 月に1回、締める日を決めて分類と振り返りを行う |
| 費目を細かくしすぎる | 自動分類の修正に時間がかかり、開くのが面倒になる | 費目は10個前後に絞り、気になる費目だけ後から分ける |
| 無料の上限を知らずに始める | 一部の口座だけが連携され、合計が実態と合わない | 連携する口座に優先順位を付け、足りない分の扱いを先に決める |
| やめた後も連携を放置する | 使っていないアプリに金融情報が残り続ける | 連携を解除し、アカウントを削除する。IDやパスワードを預けていた場合は変更する |
個人事業主に特に多いのが1つ目のパターンです。家計簿アプリの画面では順調に記録が続いているように見えても、確定申告の時期に1年分の明細から事業の取引を抜き出す作業が発生します。売上が立ち始めた段階で口座を分けておけば、この作業はそもそも発生しません。
事業用の口座とカードを分けたら、事業用の側は会計ソフトに連携する運用に切り替えます。銀行やカードの明細を自動で取り込み、勘定科目の提案まで任せられる会計ソフトであれば、確定申告の時期に1年分の明細を見直す作業を減らせます。一例として、商品ページで機能と対応範囲を確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無料で簡単に使える家計簿アプリはありますか?
A. あります。手入力型やレシート撮影型には、会員登録や金融情報の登録なしで始められるものがあり、操作も単純です。自動連携型にも無料プランがありますが、連携できる口座数や過去データの閲覧期間に上限がある製品が多いため、まず1か月使い、不便を感じた機能があるかどうかで有料プランを検討してください。
Q2. 無料で使える家計簿アプリは安全ですか?
A. 無料か有料かと、安全かどうかは別の問題です。確認したいのは、運営している事業者、データの利用目的と第三者提供の範囲、二段階認証やパスコードの有無です。口座と連携する場合は、電子決済等代行業者としての登録とAPI方式かどうかもあわせて確かめてください。
Q3. 家計簿アプリを使うのは危険ですか?
A. リスクがゼロとはいえないため、確認したうえで利用することが大切です。口座の情報を取得して家計簿を作るサービスは電子決済等代行業として登録制になっており、金融庁はIDやパスワードを預ける必要のないAPI接続のサービスの利用がより望ましいとしています。登録の有無、連携方式、二段階認証の有無を確認し、使わなくなったら連携を解除してください。
Q4. 一番人気の家計簿アプリは何ですか?
A. 「一番人気」は、ダウンロード数、利用者数、口コミの評価のどの指標で見るかによって変わるため、1つに決めることはできません。人気のアプリが自分に合うとも限らないので、支払い方法に合う入力方式、使っている金融機関への対応、無料プランの範囲の3点で候補を2つほどに絞り、無料の範囲で試してから決めるのがおすすめです。
Q5. 個人事業主は家計簿アプリだけで確定申告ができますか?
A. 家計簿アプリだけで確定申告を済ませるのは難しいでしょう。家計簿アプリは複式簿記の帳簿や決算書、申告書を作る機能を基本的に持っていないためです。事業の取引は会計ソフトで記帳し、家計簿アプリは生活費の管理に使うという役割分担が現実的です。
Q6. 家計簿アプリから会計ソフトへ切り替えるタイミングはいつですか?
A. 切り替えるのではなく、事業の売上が立ち始めた時点で会計ソフトを追加し、併用するのがおすすめです。国税庁は事業所得などがある人に記帳と帳簿書類の保存を求めているため、年末にまとめて整理するより、早い段階で事業用の口座を分けて会計ソフトに連携しておくほうが負担は小さくなります。
まとめ|家計簿アプリを使いこなすための6つのポイント
- 家計簿アプリは、支払い方法と目的に合わせて、自動連携型、手入力型、レシート撮影型、共有型などのタイプから選ぶ
- 口座と連携する場合は、電子決済等代行業者としての登録、API方式かどうか、二段階認証の有無を確認する
- 無料プランの連携数や閲覧期間の上限を先に把握し、1か月使ってから有料プランの要否を判断する
- 目的と費目ごとの予算を決め、月末に1つだけ見直す
- 個人事業主は口座とカードを事業用と生活用に分け、生活用だけを家計簿アプリに連携する
- 事業の取引は会計ソフトで記帳し、取引が増えたら会計ソフトの資料やトライアルで機能を確かめる。月に1回、家計簿アプリと同じ日に締めてお金の移動を突き合わせる
家計簿アプリは、生活費の流れを手間なく見える化できる便利な道具です。ただし、事業のお金まで背負わせると、家計の数字も事業の数字も読みにくくなります。生活費は家計簿アプリ、事業の収支は会計ソフトという役割分担を早めに作り、家計の見直しと確定申告の準備を両立させていきましょう。家計簿アプリ全般の選び方と費用相場をあらためて確認したい人は、家計簿アプリおすすめ比較の記事もあわせてご覧ください。
参考文献
- 金融庁「電子決済等代行業に関する新しい制度がはじまりました」 https://www.fsa.go.jp/common/about/pamphlet/dendaigyo_start.pdf
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
- 国税庁「No.2210 必要経費の知識」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
- 個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/
