相見積もりとは?取り方のコツと依頼メールの書き方を解説|断り方の例文と取適法の注意点も

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  • 相見積もりの意味と、失礼・違法にならない取り方がわかる
  • 依頼・検討中・断りの各メール例文と、避けたいタブーがわかる
  • 取適法の注意点と、契約前に確認したい点がわかる

相見積もりとは、同じ内容の仕事や商品について複数の取引先から見積もりを取り、金額だけでなく納期・品質・対応範囲まで比べて発注先を決める手順のことです。「あいみつもり」と読み、略して「あいみつ」とも呼ばれます。取ること自体は一般的なビジネスの手順で、失礼にはあたりません。ただし、条件をそろえずに依頼する、相見積もりであることを伝えない、結果を連絡しないといった進め方をすると、比較できない、社内で決め手を説明できない、取引先との関係がこじれるといった問題が起こります。この記事では、相見積もりの意味と目的、取り方の手順、そのまま使える依頼・断りメールの例文、よくある失敗とタブー、取適法(旧下請法)を踏まえた注意点、契約前に確認したいことまでを、発注する側の実務の流れに沿って解説します。

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Q1. 相見積もりのどの段階で迷っていますか?

目次

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  1. 相見積もりとは|意味と、決めた条件を契約書に残すまでが1セット
  2. 相見積もりを取る目的とメリット・デメリット
  3. 相見積もりの取り方の基本手順
  4. 相見積もりの依頼メールの書き方・例文
  5. 相見積もりでよくある失敗パターンとタブー
  6. 相見積もりは違法?取る際の注意点(法務・公正性)
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ
  9. 参考文献

相見積もりとは|意味と、決めた条件を契約書に残すまでが1セット

相見積もりとは、複数の取引先に同じ条件で見積もりを依頼し、価格と条件を比べて発注先を選ぶ手順です。

相見積もりの目的は、条件のよい取引先を選ぶことです。ただし、見積書を比べて発注先を決めた時点で仕事が終わるわけではありません。見積書と契約書は別の書類で、見積もりでは「修正対応込み」と聞いていたのに契約書では修正回数に上限がある、成果物の権利が受注側に残る、損害賠償の範囲が限定されているといった違いが見つかることがあります。比べた条件が契約書に残っていなければ、相見積もりで比べた意味が薄れてしまいます。

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相見積もりを取る目的とメリット・デメリット

相見積もりを取る目的は、価格の妥当性の確認、取引先の選定、社内への説明責任の3つです。メリットは相場と提案の違いが見えること、デメリットは依頼から比較までの手間です。

相見積もりは、発注する側が適正な条件で取引するための通常の手順であり、それ自体が失礼にあたるものではありません。むしろ、社内規程で一定金額以上の発注には複数社の見積もりを求めている企業も多く、受注する側も相見積もりを前提に提案を準備するのが一般的です。問題になるのは相見積もりを取ることではなく、相見積もりであることを伝えない、条件をそろえない、結果を連絡しないといった進め方の部分です。

「合見積もり」との違いと言葉の使い方

「相見積もり」は「合見積もり」「合い見積もり」と書かれることもありますが、意味は同じで、どちらの表記も誤りではありません。送り仮名を省いた「相見積」「相見積り」も使われます。ただし、社内の規程や稟議書、取引先へのメールで表記が混ざると、別の手続きを指しているように読めてしまうため、社内ではどれか1つに統一しておくと安心です。本記事では「相見積もり」で統一します。

会話や文書では、「今回の発注は3社から相見積もりを取ります」「あいみつの結果をもとに稟議を上げます」「本件は相見積もりでのご依頼となります」のように使います。「あいみつ」は社内の会話では広く通じる略語ですが、くだけた響きがあるため、取引先に宛てたメールや正式な文書では「相見積もり」または「複数社へのお見積もり依頼」と書くほうが丁寧です。

相見積もりを取る3つの目的

  • 価格の妥当性を確かめる:1社の見積もりだけでは、その金額が市場の水準に比べて高いのか安いのかを判断できません。複数社の金額を並べることで、相場の幅が見えてきます。
  • 取引先を選ぶ:金額に加え、納期、品質、担当者の対応、アフターサポートなどを比べ、自社の目的に合う取引先を選びます。
  • 社内の説明責任を果たす:なぜその取引先に決めたのかを、比較の記録をもとに決裁者や監査に説明できるようにします。

相見積もりのメリットとデメリット

観点 メリット デメリット・負担
費用 相場を把握でき、極端に高い発注を避けやすい 最安値だけで選ぶと品質や対応範囲で損をすることがある
提案内容 各社の提案から、自社が気づいていなかった進め方や論点を知れる 提案の形式がばらばらだと比較に手間がかかる
手間・期間 比較の記録が残り、社内承認がスムーズになる 依頼・質疑・比較の時間がかかり、発注までの期間が延びる
取引先との関係 競争があることで、各社が条件や提案の質を高めやすい 依頼の仕方や断り方を誤ると信頼関係を損なう

相見積もりは、発注額が大きい案件、初めて外部に依頼する業務、長く付き合う取引先を選ぶ場面で特に効果を発揮します。一方で、少額で急ぎの発注や、仕様がまだ固まっていない段階では、相見積もりの手間が効果に見合わないこともあります。その場合は、まず1社に相談して仕様を固め、そのうえで複数社に見積もりを依頼する二段構えにすると、比較の精度が上がります。

概算見積もりと正式見積もりの違い

相見積もりで取る見積もりには、大きく分けて概算見積もりと正式見積もり(確定見積もり)があります。概算見積もりは、仕様が固まる前に相場や規模感をつかむためのおおよその金額で、条件が変われば金額も変わります。正式見積もりは、作業内容・数量・単価などを詳しく書いた、発注の判断に使う見積もりです。

相見積もりで比べるときは、全社に同じ種類の見積もりを依頼します。概算と正式が混ざると金額の精度がそろわず、比較になりません。仕様が固まっていない段階では、まず概算見積もりで依頼先を絞り込み、残った数社に正式見積もりを依頼する進め方もあります。

相見積もりの取り方の基本手順

相見積もりの取り方は、要件をまとめる、依頼先を数社に絞る、全社に同じ条件と期限で依頼する、評価表で比べる、結果を全社に連絡する、の順に進めます。ポイントは、各社の見積もりを同じ物差しで比べられる状態をつくることで、依頼を出す前の準備が比較のしやすさを大きく左右します。基本の流れを6つのステップで整理します。

ステップ やること ポイント
1. 目的と要件を整理する 発注する目的、仕様、数量、希望納期、予算の目安をまとめる 「必須の条件」と「あればよい条件」を分けて書く
2. 依頼先を選ぶ 実績・得意分野・所在地などから依頼先の候補を絞る 比較の手間を考え、数社に絞る。社内規程で社数が決まっていればそれに従う
3. 同じ条件で依頼する 全社に同じ要件書・同じ回答期限で見積もりを依頼する 相見積もりであることを最初に伝える
4. 質問に公平に答える 依頼先からの質問に回答し、必要に応じて全社へ共有する 1社だけに有利な追加情報を渡さない
5. 評価表で比較する 金額の内訳、条件、有効期限などを評価表に並べて点数化する 評価項目と重み付けは見積もりを受け取る前に決めておく
6. 結果を連絡し契約へ進む 採用先と不採用先の両方に結果を伝え、採用先と契約内容を確認する 見積もりで合意した条件が契約書に反映されているかを確認する

見積もりで確認したい項目

見積書を受け取ったら、合計金額だけを見るのではなく、次のような項目を1つずつ確認します。各社で書き方が違う場合は、依頼の段階で「この項目を分けて記載してください」と指定しておくと比較が楽になります。見積書そのものの記載項目や請求書との違いは、見積書とは?記載項目と書き方、請求書との違いや保存期間まで解説で詳しく説明しています。

  • 金額の内訳:作業ごとの単価と数量、諸経費、交通費、消費税の扱い
  • 対応範囲:どこまでが見積もりに含まれ、どこからが追加費用になるか
  • 納期と体制:スケジュール、担当者の人数、連絡の窓口
  • 支払条件:支払時期、前払いや分割の有無
  • 保証・サポート:不具合があったときの対応、保守の期間
  • 見積もりの有効期限:いつまでに発注すればこの条件が有効か

評価表をつくって点数で比べる

相見積もりの比較でよく起こるのが、見積もりを見てから評価の基準を決めてしまい、結果として担当者の印象で選んでしまうことです。これを防ぐには、依頼を出す前に評価項目と重み付け(どの項目をどれだけ重視するか)を決めておき、届いた見積もりをその表に当てはめて点数化する方法が有効です。点数の根拠が残るため、社内承認の場面でも「なぜこの会社なのか」を説明しやすくなります。

評価項目 重み A社(5点満点) B社(5点満点) C社(5点満点)
金額 30% 5 3 4
対応範囲・品質 30% 2 5 4
納期・体制 20% 3 4 4
サポート・実績 20% 3 4 3
加重合計 100% 3.3 4.0 3.8

上の表は計算の仕方を示す架空の例です。加重合計は「各項目の点数に重みを掛けて足した値」で、たとえばA社は5点が30%、2点が30%、3点が20%、3点が20%なので3.3になります。金額だけならA社が最も有利でも、対応範囲や体制まで含めるとB社の評価が高くなることがわかります。重みは案件の性質によって変えます。たとえば、備品の購入のように品質の差が小さいものは金額の重みを大きく、システム開発や業務委託のように品質の差が大きいものは対応範囲・品質やサポートの重みを大きくするのが一般的な考え方です。評価表は案件ごとにゼロからつくるのではなく、社内のテンプレートとして保存しておくと、次回以降の相見積もりの手間を減らせます。

回答期限は余裕を持って設定する

見積もりの回答期限が短すぎると、取引先は内容を十分に検討できず、概算のまま提出したり、安全を見て高めの金額を出したりすることがあります。結果として各社の見積もりの精度がそろわず、比較がしにくくなります。回答期限は依頼の内容によって変わりますが、現地調査や設計が必要な案件ほど長めに取るのが基本です。期限は全社で同じ日にそろえ、「〇月〇日(〇)17時まで」のように日付と時刻で伝えると行き違いを防げます。あわせて、自社がいつまでに結果を連絡するかの予定も伝えておくと、取引先も人員や在庫の予定を立てやすくなります。

見積もり後に条件を相談するときの進め方

見積もりを比べた結果、「この会社に頼みたいが予算を少し超えている」という場面はよくあります。このとき、条件の見直しを相談すること自体は問題ありません。避けたいのは、他社の見積書や金額をそのまま見せて値下げを迫る進め方です。他社の見積もり内容を明かすことになるうえ、無理な値下げは作業の範囲や品質を削る形で跳ね返ってくることがあります。相談するときは、次の点を意識すると話が進みやすくなります。

  • 自社の予算と事情を伝える:他社の金額ではなく、自社の予算の上限や社内の事情を理由として伝える。
  • 金額だけでなく条件の組み替えを提案する:仕様の一部を減らす、納期に余裕を持たせる、発注の数量や契約の期間をまとめるなど、相手にも利点のある譲歩案を用意する。
  • 決められる条件を具体的に示す:「この金額と範囲であれば社内決裁を進められる」のように、判断の基準をはっきり伝える。
  • 相談は採用を前向きに考えている会社に絞る:発注するつもりのない会社にまで見直しを求めると、相手の負担だけが増える。
  • 応じてもらえたらお礼を伝える:見直し後の条件は口頭で済ませず、見積書を再発行してもらい書面で残す。

相談の結果として金額や範囲が変わった場合は、評価表の点数も更新し、どの時点の見積もりで比べたのかを記録しておきます。なお、取引の内容によっては一方的な代金の決定が法令との関係で問題になる場合があるため、後述の注意点もあわせて確認してください。

相見積もりの依頼メールの書き方・例文

相見積もりの依頼メールは、相見積もりであることの明記、全社に同じ条件を伝えること、回答期限を示すことの3点を押さえれば書けます。相見積もりであることを伏せると、相手は受注が決まったものと受け取り、後から断ったときに不信感を持たれるおそれがあります。複数社に同じ内容を送る場合でも、宛名や担当者名は1社ずつ正しく書き換えます。一斉送信で他社のアドレスが見える状態にするのは、情報管理の面からも避けましょう。

初めての取引先への依頼メール例文

件名:【お見積もりのお願い】社内研修動画の制作について 株式会社(自社名)

株式会社(取引先名)
営業部 (担当者名)様

突然のご連絡失礼いたします。株式会社(自社名) 総務部の(担当者名)と申します。
貴社のWebサイトで制作実績を拝見し、ご連絡いたしました。

このたび、社内研修用の動画制作を検討しており、お見積もりをお願いできればと存じます。
なお、今回は複数の会社様にお見積もりをお願いしておりますので、あらかじめご了承いただけますと幸いです。

■ご依頼内容
・内容:新入社員向け研修動画の企画・撮影・編集
・本数・尺:3本(各10分程度)
・希望納期:〇月〇日
・ご予算の目安:〇〇円程度
・お見積もりの記載:作業項目ごとの内訳と、修正対応の範囲を分けてご記載ください

■ご回答期限
〇月〇日(〇)までにご返信いただけますと幸いです。

詳細は添付の要件書をご確認ください。ご不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。
お忙しいところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

既存の取引先への依頼メール例文

付き合いのある取引先に相見積もりを依頼するときは、社内のルールで複数社から見積もりを取ることになっている事情を添えると、相手も受け止めやすくなります。

件名:【お見積もりのお願い】来期のオフィス清掃業務について

株式会社(取引先名)
(担当者名)様

いつも大変お世話になっております。株式会社(自社名)の(担当者名)です。

来期のオフィス清掃業務について、お見積もりをお願いしたくご連絡いたしました。
弊社では一定額以上の契約更新の際に、複数社からお見積もりを取る社内規程がございます。今回も数社にお願いしておりますこと、ご理解いただけますと幸いです。

条件は添付の仕様書のとおりで、現在の契約内容から清掃頻度を一部変更しております。
〇月〇日(〇)までにご回答いただけますと助かります。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

相見積もりであることを伝える一文の言い換え

相見積もりであることは、メールの冒頭近くに一文添えるだけで伝わります。取引先との関係や、依頼前に電話で話しているかどうかに合わせて、次のように言い換えられます。

場面 伝える一文の例
初めての取引先 今回は複数の会社様にお見積もりをお願いしておりますので、あらかじめご了承ください。
既存の取引先 社内の規程により、数社からお見積もりをいただく運びとなっております。
電話で先に話したあと 先ほどお電話でお伝えしたとおり、本件は複数社様へのご依頼となります。
相手から他社を聞かれたとき 他社様のお名前や内容はお伝えできませんが、同じ条件で数社にお願いしております。

見積書を受け取ったあと、検討中と伝えるメール

見積書を受け取ったら、まず受領のお礼と、結果をいつまでに連絡するかを伝えます。比較には時間がかかるため、返事がないまま待たせると、相手は受注の見込みが立たず準備を進められません。検討中であることと連絡の予定日を知らせておくだけで、相手の不安を減らせます。

件名:お見積書受領のご連絡 株式会社(自社名)

株式会社(取引先名)
(担当者名)様

お世話になっております。株式会社(自社名)の(担当者名)です。
このたびは、お忙しい中お見積書をご提出いただき、誠にありがとうございます。

内容を拝見し、現在社内で検討を進めております。
結果につきましては、〇月〇日(〇)までにご連絡いたします。

ご不明な点がございましたら、あらためてお問い合わせいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

お断りのメール例文

採用しなかった取引先にも、結果が決まった時点でできるだけ早く連絡します。見積もりの作成には相手の時間と労力がかかっているため、お礼を伝えたうえで、今回は見送る旨を簡潔に伝えます。理由は「費用面や条件面を総合的に検討した結果」程度にとどめ、他社の社名や金額は伝えません。他社の見積もり内容を明かすことは、取引先の情報を漏らすことになり、信頼を損なう原因になります。

件名:お見積もりの件につきまして 株式会社(自社名)

株式会社(取引先名)
(担当者名)様

お世話になっております。株式会社(自社名)の(担当者名)です。
先日は、社内研修動画の制作についてお見積もりをご提出いただき、誠にありがとうございました。

社内で慎重に検討いたしました結果、誠に恐縮ながら、今回は見送らせていただくこととなりました。
ご多忙の中、丁寧なご提案をいただいたにもかかわらず、ご期待に沿えず申し訳ございません。

また別の機会にご相談させていただくこともあるかと存じます。その際はどうぞよろしくお願いいたします。

相見積もりでよくある失敗パターンとタブー

相見積もりのタブーは、相見積もりであることを伏せる、条件をそろえない、他社の金額を見せて値下げを迫る、結果を連絡しない、の4つが代表的です。失敗はマナーの問題と比較の方法の問題に大きく分けられ、どちらも依頼の前にひと手間かけることで防げるものがほとんどです。よくあるパターンと改善のしかたをBefore/After形式でまとめます。

失敗パターン Before(よくある進め方) After(改善した進め方)
条件がそろっていない 電話や口頭で各社に説明し、伝えた内容が会社ごとに少しずつ違う 要件書を1つつくり、全社に同じ文書で依頼する
比較の軸がぶれる 見積もりを見てから何を重視するか考え、印象で決めてしまう 依頼前に評価項目と重み付けを決め、点数で比較する
相見積もりを伏せる 相見積もりと伝えずに依頼し、断ったときに相手が不信感を持つ 依頼メールの冒頭で、複数社に依頼していることを明記する
依頼先が多すぎる 10社近くに依頼し、質問対応と比較だけで数週間かかる 事前に候補を絞り、比較できる範囲の社数に依頼する
他社の金額を交渉材料にする 「A社はこの金額でした」と他社の見積もりを見せて値下げを迫る 自社の予算や条件を伝えたうえで、見直しの余地を相談する
結果を連絡しない 採用先とだけやり取りし、不採用の会社には連絡しない 結果が決まったら、全社にお礼とあわせて連絡する
契約で条件が変わる 見積もりの条件で決めたのに、契約書の内容を確認せずに締結する 見積もりで合意した条件が契約書に書かれているかを突き合わせる

このうち、実務で見落とされやすいのが最後の「契約で条件が変わる」パターンです。相見積もりでは多くの時間をかけて条件を比べるのに、契約書の確認は相手の雛形にそのまま署名してしまうケースが珍しくありません。見積書と契約書は別の書類であり、見積書に書かれた条件が自動的に契約の内容になるとは限らない点に注意が必要です。取引先の雛形を、過去に結んだ契約書や自社の標準的な条項と見比べると、見積もりにはなかった制限が入っていないかに気づきやすくなります。こうした見比べを効率化したい場合の選択肢の1つが、過去の契約書や条項をAIが提示するLAWGUEのようなサービスです。

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相見積もりは違法?取る際の注意点(法務・公正性)

民間企業どうしが複数社から見積もりを取ること自体は、一般的な商取引の手順として行われています。ただし、見積もりを取ったあとの代金の決め方や、情報の扱い方によっては、取適法などとの関係で問題になる場合があります。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取引に関する法的助言ではありません。具体的な判断が必要な場合は、所管の行政機関の窓口や専門家に確認してください。

取適法(旧下請法)の対象になる取引か確認する

下請法を改正した法律が2026年1月1日に施行され、名称が「取適法」(中小受託取引適正化法)に変わりました。公正取引委員会によると、改正では、従来の資本金の基準に加えて従業員数の基準が追加され、製造委託等は従業員数300人、役務提供委託等は従業員数100人を基準とするなど、適用対象が広がりました。製造や修理、情報成果物の作成、役務の提供などを中小規模の事業者に委託する取引は、この法律の対象になる場合があります。

取適法では、発注する物品や役務に通常支払われる対価に比べて著しく低い代金を不当に定める「買いたたき」が禁止されています。加えて、改正により、受注する側から価格の協議を求められたのに協議に応じない、必要な説明をしないなど、一方的に価格を決定する行為も禁止されました。相見積もりで得た金額を背景に、協議に応じないまま一方的に代金を決めるような進め方は、取引の内容によってはこうした規定との関係が問題になるおそれがあります。

見積もりを使った価格の決め方で問題になりやすい例

公正取引委員会の「よくある質問コーナー(取適法)」には、見積もりを使った代金の決め方についての問答があります。取適法の対象になる取引では、次のような進め方が買いたたきに該当するおそれがあるとされています。

  • 受託側と十分に協議せず、一方的に単価を指定する(いわゆる指値):Q&Aでは、通常支払われる対価より低い単価をこの方法で定めることは買いたたきに該当するおそれがあるとされ、代金は受託側から見積書を提出してもらったうえで十分に話し合い、双方が納得する額とすることが肝要とされています(Q108)。
  • 見積書の提出後に作業内容が大幅に増えたのに、見積書を取り直さずに当初の単価で発注する:十分な協議が行われたとはいえず、買いたたきに該当するおそれがあるとされ、最終的な作業内容を反映した再見積りを取って単価を見直す必要があるとされています(Q111)。

相見積もりの場面に置き換えると、「見積書を比べて決めたあとで、仕様を追加したのに見積もりを取り直さない」「相見積もりで最も安い金額を示して、協議なしにその金額で発注する」といった進め方に注意が必要です。仕様が変わったときは、全社または採用先に再見積もりを依頼し、変更後の条件で比べ直すのが安全です。

公平な情報提供と機密情報の扱い

  • 質問への回答や追加の条件は、原則として全社に同じ内容を共有する。
  • 各社から受け取った見積書や提案書は、社外に漏らさず、比較の目的以外に使わない。
  • ある会社の提案に含まれる独自のアイデアを、別の会社に伝えて実行させない。
  • 自社が開示する仕様や社内情報に機密が含まれる場合は、依頼前に秘密保持契約を結ぶことを検討する。

公的機関の入札・見積合わせとの違い

国や自治体の契約には、民間の相見積もりとは別の決まりがあります。国の契約では、会計法第29条の3第1項が、契約を結ぶときは公告して申込みをさせる競争に付すことを原則としています。随意契約によろうとする場合については、予算決算及び会計令第99条の6が「なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない」と定めています。自治体の契約では、地方自治法第234条が、契約の方法を一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りとし、指名競争入札・随意契約・せり売りは政令で定める場合に限ると定めています。

民間企業どうしの相見積もりは、こうした公的調達の規定の対象ではありません。そのため、社内規程で金額に応じた社数や承認の手順を定めておくと、公正さと説明責任を保ちやすくなります。一方、官公庁から見積もりを求められる側になる場合は、価格や条件を他社と事前にすり合わせたりせず、発注元の仕様書と提出期限に従って自社だけで見積もりを作成してください。

取引でトラブルになったときの相談先

相見積もりをきっかけに、取引条件や代金の決め方で困ったときは、第三者の窓口に相談する方法があります。中小企業庁は、取引上の悩みを抱える中小企業向けに、全都道府県に無料の相談窓口「取引かけこみ寺」を設置しています。取適法の対象になるかどうかや、具体的な考え方は、公正取引委員会の「よくある質問コーナー(取適法)」でも確認できます。

契約締結前に契約書の内容を確認する

相見積もりの最後のステップとして、採用した取引先と結ぶ契約書の内容を確認します。特に、業務の範囲、追加費用が発生する条件、納期が遅れた場合の扱い、損害賠償の範囲、成果物の権利の帰属、契約の解除の条件は、見積もりで比べた内容と食い違いやすい項目です。取引先の雛形をそのまま使う場合でも、見積もりで合意した条件と1つずつ突き合わせましょう。契約書を取り交わす段階では、契約の種類や金額によって収入印紙が必要になる場合や、押印の作法で迷う場合もあります。それぞれ契約書の収入印紙 金額表、契約書の割印の位置はどこ?で確認できます。社内に法務の担当者がいない場合や、契約書の数が多く確認が追いつかない場合は、次のセルフチェックで今の運用を確かめてみてください。

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導入事例の一例として、株式会社Medii(医療、従業員42人。2025年10月末時点)の事例ページでは、導入前の課題を「担当弁護士のスケジュールにより返答に時間がかかることや、タイムチャージにばらつきがありました」と紹介しています。

出典:クラウドリーガル 導入事例 株式会社Medii

よくある質問(FAQ)

Q1. 相見積もりとは何ですか?

A1. 同じ内容の仕事や商品について、複数の取引先から同時に見積もりを取り、価格や納期、対応範囲などの条件を比べることです。「あいみつもり」と読み、略して「あいみつ」とも呼ばれます。適正な条件で発注先を選ぶための一般的な手順です。

Q2. 相見積もりは失礼・マナー違反にあたりますか?

A2. 相見積もりを取ること自体は失礼にもマナー違反にもあたりません。ビジネスでは一般的に行われており、受注する側も相見積もりを前提に提案を準備しています。失礼になりやすいのは、相見積もりであることを伝えない、結果を連絡しない、他社の金額を見せて値下げを迫るといった進め方です。

Q3. 相見積もりは違法ですか?

A3. 民間企業どうしが複数社から見積もりを取ること自体は、一般的な商取引の手順として行われています。問題になるのは進め方で、たとえば取適法の対象になる取引で、協議に応じないまま一方的に代金を決めると、買いたたきなどに該当するおそれがあります。国や自治体の契約には会計法や地方自治法などの定めがあるため、発注元の手続きに従ってください。個別の判断は、専門家や公的な窓口に確認しましょう。

Q4. 相見積もりのタブーは何ですか?

A4. 相見積もりであることを伏せる、全社に同じ条件で依頼しない、他社の社名や金額を見せて値下げを迫る、結果を連絡しない、各社の見積書や提案を比較以外の目的で使う、の5つが代表的です。いずれも取引先の信頼を損ない、比較の精度も下げます。

Q5. 相見積もりであることはどう伝え、断るときはどう伝えればよいですか?

A5. 依頼メールの冒頭近くに「複数の会社様にお見積もりをお願いしております」と一文添えます。断るときは、結果が決まったらできるだけ早く、見積もり作成へのお礼を述べたうえで今回は見送る旨を伝えます。理由は「条件面を総合的に検討した結果」程度にとどめ、他社の社名や金額は伝えません。

Q6. 相見積もりで取引先を決めた後、契約前に何を確認すべきですか?

A6. 見積もりで合意した条件が契約書に正しく書かれているかを確認します。業務の範囲、追加費用の条件、納期、損害賠償の範囲、成果物の権利、解除の条件は食い違いやすい項目です。法務の担当者がいない場合は、契約書レビューサービスを活用して確認の負担を減らす方法もあります。

まとめ

相見積もりは、適正な条件で取引先を選び、その理由を社内に説明するための基本的な手順です。失礼にあたるものではありませんが、条件のそろえ方、比べ方、伝え方、断り方を誤ると、比較の意味が薄れたり取引先との関係を損なったりします。最後に、相見積もりを進めるうえで押さえたい6つのことを整理します。

  1. 目的と要件を要件書にまとめ、全社に同じ条件で依頼する。
  2. 依頼の前に評価項目と重み付けを決め、届いた見積もりを点数で比較する。
  3. 依頼メールで相見積もりであることと回答期限を明記し、結果は全社に連絡する。
  4. 取適法(旧下請法)の対象になる取引では、見積もりを使って一方的に代金を決めず、協議の姿勢を持つ。
  5. 採用先と契約する前に、見積もりで合意した条件が契約書に反映されているかを確認する。
  6. 契約書の確認を担当者だけで抱えきれないときは、契約書レビューサービスの資料を取り寄せ、自社に合う方法を比べる。

参考文献

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