勤怠管理システムの打刻方法とは?拠点・働き方別の選び方

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  • IC・GPS・顔認証など打刻方式ごとの特徴と適した働き方がわかる
  • テレワーク・複数拠点運用で打刻漏れを防ぐ選び方のポイントを紹介
  • 導入前に確認すべき法務論点と失敗しやすいパターンを解説

勤怠管理システムの「打刻方式」とは、従業員が出退勤の時刻を記録する手段の種類を指し、ICカード・GPSスマホ・顔認証・PCログオンなど複数のタイプがあります。1つの拠点・1つの働き方だけを前提にした打刻方式を選ぶと、テレワークの拡大や複数拠点運用が始まった段階で「打刻できない従業員」が発生し、労働時間の把握に穴が生まれます。本記事では、打刻方式の種類と仕組み、拠点・雇用形態別の選び方、導入前に確認すべき法務論点、よくある失敗パターンまでを公的データをもとに整理します。個人事業主から複数店舗・複数拠点を持つ中小企業の担当者まで、自社の働き方に合った打刻運用を検討するための判断材料として活用してください。

目次

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  1. 勤怠管理システムの打刻方式とは?主な種類と仕組み
  2. なぜ打刻方式の多様化が必要なのか|テレワーク・複数拠点の広がり
  3. 拠点・雇用形態別に見る打刻方式の選び方
  4. 打刻方式を比較するときの5つのチェックポイント
  5. 導入前に確認すべき法務・労務の論点
  6. 打刻運用でよくある失敗パターン3つと回避策
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ|今日からできる4個のこと
  9. 参考文献

勤怠管理システムの打刻方式とは?主な種類と仕組み

打刻方式とは、従業員が始業・終業時刻を記録する手段のことで、ICカード・GPSスマホ・顔認証・PCログオンなど複数のタイプに分類されます。 どの方式が適しているかは、勤務場所が固定か流動的か、従業員が現場作業者かオフィスワーカーかによって変わります。

打刻方式 特徴 向いている環境
ICカード・NFC 既存の社員証・交通系ICカードをそのまま利用可能 オフィス・工場など固定拠点への出入りが多い企業
GPSスマホ打刻 位置情報付きで打刻場所を記録できる テレワーク・直行直帰・複数の訪問先がある営業職
顔認証・指静脈認証 なりすまし打刻を防止しやすい 出入管理を厳格にしたい工場・医療施設
PCログオン連動 PC起動・終了と連動して自動記録 デスクワーク中心のオフィスワーカー
チャットツール連携 LINEやビジネスチャットから打刻操作が可能 現場に専用端末を置きにくい小規模拠点

1つの打刻方式だけで全従業員をカバーしようとすると、必ずどこかの働き方に無理が生じます。複数拠点・複数の雇用形態を抱える企業ほど、拠点やチームごとに異なる打刻方式を併用できる仕組みが重要になります。

なぜ打刻方式の多様化が必要なのか|テレワーク・複数拠点の広がり

テレワークの普及と複数拠点展開の広がりにより、単一の打刻方式では従業員の労働時間を正確に把握できないケースが増えています。 働き方が多様化した企業ほど、打刻方式の選択肢を柔軟に組み合わせる必要があります。

総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」によると、テレワークを導入している企業の割合は50.1%となり、前年(47.3%)から増加しました(総務省、2026年8月8日確認)。オフィス勤務・テレワーク・直行直帰の営業活動が同一企業内で混在する状況が一般化しており、勤務場所を問わず正確に打刻できる仕組みへの需要が高まっています。

厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、始業・終業時刻の確認・記録をタイムカード・ICカード・パソコンのログ等の客観的な記録を基礎とすることを原則としています(厚生労働省、2026年8月8日確認)。テレワークやフレックスタイム制のように勤務場所・時間帯が固定されない働き方では、自己申告だけに頼らず、客観的な記録手段を確保できる打刻方式を選ぶことが法令対応の観点でも重要です。

拠点・雇用形態別に見る打刻方式の選び方

打刻方式は、拠点数と雇用形態の組み合わせによって最適解が変わります。 以下のような業種・組織形態別のポイントを踏まえて検討してください。

【複数店舗を展開する小売・飲食業】店舗ごとにICカードやタブレット設置型の打刻端末を用意しつつ、本部側では全店舗の打刻データをクラウド上で一元集計できる仕組みが必須です。パート・アルバイトなど雇用形態が混在するため、雇用形態別の勤怠ルール設定機能も確認しましょう。

【複数の建設現場を持つ建設業】現場が日々変わるため、GPSスマホ打刻や位置情報付きの打刻機能が有効です。現場ごとの入退場記録が必要な場合は、建設業向けの入退場管理と連動できるかも確認ポイントになります。

【夜勤・交替制がある医療・介護施設】顔認証や指静脈認証など、なりすまし打刻を防ぎやすい方式が向いています。深夜割増賃金の自動計算やシフト表との連携機能も重要な比較ポイントです。

【全社的にテレワークを導入するオフィス企業】PCログオン連動やスマホアプリ打刻を軸に、在宅勤務者の労働時間を客観的に記録できる方式が中心になります。オフィス出社者とテレワーク者が混在する場合は、拠点ごとに異なる打刻方式を1つの管理画面で統合できるかが選定の分かれ目です。

ただし、自社の拠点構成・雇用形態にどの打刻方式が本当に適合するかは、各サービスの対応方式や複数拠点管理機能を具体的に比較しなければ判断できません。特に「店舗ごとに異なる打刻方式を併用したい」「テレワークと出社が混在する組織で運用を統一したい」という段階では、複数の勤怠管理システムを横並びで比較した情報が欠かせません。

打刻方式を比較するときの5つのチェックポイント

打刻方式を比較する際は、対応端末・複数拠点管理・打刻漏れ対応・データ連携・コストの5点を確認することが選定の失敗を防ぐポイントです。

(1) 対応端末・打刻方式の種類

ICカード・GPS・顔認証・PCログオンのうち、現場に必要な方式を複数併用できるか

(2) 複数拠点・複数部門の一元管理

拠点ごとに異なる打刻方式でも、本部側の管理画面で集計・確認できるか

(3) 打刻漏れ・修正申請への対応

打刻忘れ時の申請フローや、承認者への通知機能があるか

(4) 給与計算システムとのデータ連携

打刻データを給与計算ソフトへ自動連携できるか、API連携の対応範囲

(5) 端末費用・運用コスト

打刻端末のレンタル費・複数拠点分の追加費用まで含めた実質コストを確認する。具体的な料金は各サービスの公式サイトで最新情報を確認してください

導入前に確認すべき法務・労務の論点

打刻方式を選ぶ際は、客観的な記録把握義務・賃金台帳の保存義務・個人情報保護の3つの法務論点を必ず確認してください。 打刻手段が変わっても、法令上の義務そのものは変わりません。

【論点1:客観的な記録による把握義務】2019年4月施行の改正労働安全衛生法第66条の8の3により、労働時間の把握は客観的な方法によることが全事業者に義務化されています。自己申告のみに依存する運用は例外的措置とされ、実態調査や乖離の補正が求められます(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」、2026年8月8日確認)。どの打刻方式を選んでも、この客観性の要件を満たせるかを基準に選定してください。

【論点2:賃金台帳・出勤簿の保存義務】労働基準法第108条・第109条により、賃金台帳と出勤簿・タイムカードなどの記録は原則5年間(経過措置として当分の間3年間)の保存が義務付けられています。打刻データがどの形式で、どの期間保存されるかを事前に確認しておく必要があります。

【論点3:顔認証・GPS等の個人情報の取り扱い】顔認証データや位置情報は、氏名・勤務実績と結びつく個人情報として個人情報保護法の対象になります。特に顔認証は生体情報にあたるため、取得目的の説明や保管方法についてサービス提供事業者のセキュリティ対策(個人情報保護委員会のガイドライン等)を確認してから導入してください(2026年8月8日確認)。

※本記事の法令・制度に関する記述は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。実際の運用にあたっては、社会保険労務士や弁護士等の専門家、または管轄の労働基準監督署にご確認ください。

打刻運用でよくある失敗パターン3つと回避策

打刻方式の導入失敗は「拠点間の運用不統一」「打刻漏れの放置」「なりすまし打刻の見逃し」の3パターンに集約されます。

【失敗パターン1:拠点ごとに異なるルールで運用が分断される】本部が把握しないまま各店舗・各現場が独自の打刻ルールで運用してしまい、集計時に整合性が取れなくなるケースです。回避策は、拠点展開前に打刻方式の運用ルールを本部側で統一し、管理画面上で全拠点の打刻状況を一括確認できる体制を先に整えることです。

【失敗パターン2:打刻漏れ・修正申請が放置される】打刻を忘れた際の修正申請フローが整備されておらず、月末に手作業での確認・修正が発生するケースです。回避策は、打刻漏れを検知した際に本人・上長へ自動通知される機能があるかを導入前に確認し、修正申請の承認フローをシステム上で完結させることです。

【失敗パターン3:なりすまし打刻や打刻代行を見逃す】ICカードの貸し借りやPCログオンの代理操作など、なりすまし打刻が発生しても発見できないケースです。回避策は、出入管理を厳格にしたい拠点では顔認証・指静脈認証など生体認証の打刻方式を優先し、定期的に打刻ログの異常値をチェックする運用を組み込むことです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 打刻方式は1つの企業で複数併用できますか?

A. 多くのクラウド型勤怠管理システムでは、拠点や部門ごとに異なる打刻方式を併用できます。例えばTouch On Time(タッチオンタイム)のように、ICカード・GPSスマホ・顔認証など複数の打刻方式を1つのシステム内で組み合わせられるサービスもあり、本部拠点はICカード、外回りの営業職はGPSスマホ、といった使い分けが可能です。導入前に、自社が想定する打刻方式の組み合わせに対応しているかを確認してください。

Q2. テレワーク中の従業員の打刻はどう管理すればよいですか?

A. テレワークの場合は、PCログオン連動やスマホアプリからの打刻が一般的です。労働時間の客観的な把握が法令上の要件となるため、自己申告のみに頼らず、PCの起動・終了ログや打刻アプリの記録と組み合わせて運用することが推奨されます。オフィス出社者とテレワーク者が混在する場合は、両方のデータを1つの管理画面で確認できる仕組みを選びましょう。

Q3. 複数店舗・複数拠点がある場合、打刻データはどう一元管理しますか?

A. クラウド型の勤怠管理システムであれば、各拠点で記録された打刻データがリアルタイムでサーバーに集約され、本部の管理画面から全拠点の状況を一括確認できます。拠点ごとに打刻方式が異なっていても、集計上は統一されたフォーマットで確認できるサービスを選ぶことが、複数拠点運用を効率化するポイントです。

Q4. ICカードと顔認証、どちらの打刻方式を選ぶべきですか?

A. ICカードは既存の社員証や交通系ICカードをそのまま活用できる手軽さが利点ですが、カードの貸し借りによるなりすまし打刻のリスクがあります。顔認証は生体情報を用いるためなりすましを防ぎやすい一方、生体情報の取り扱いについて個人情報保護の観点での確認が必要です。出入管理の厳格さを重視するなら顔認証、導入の手軽さを重視するならICカードが向いています。

Q5. 打刻方式を変更・追加する際に注意すべき点は何ですか?

A. 打刻方式を変更・追加する際は、従業員への周知期間を十分に確保し、変更後しばらくは旧方式と新方式を並行運用できるようにすることをおすすめします。また、賃金台帳や出勤簿への反映形式が変わらないか、既存の給与計算システムとの連携に影響がないかを事前に確認してから切り替えてください。

Q6. 打刻方式ごとの導入コストはどのくらい異なりますか?

A. PCログオン連動やスマホアプリ打刻は専用端末が不要なため比較的低コストで始められる一方、ICカードリーダーや顔認証端末を設置する方式は端末費用が別途発生します。拠点数が多いほど端末費用の合計が大きくなるため、複数拠点で導入する場合は端末費用も含めた総コストを比較することが重要です。具体的な料金は各サービスの公式サイトで最新情報を確認してください。

まとめ|今日からできる4個のこと

打刻方式は単なる出退勤の記録手段ではなく、複数拠点・多様な働き方に対応しながら法令上の客観的な記録義務を果たすための運用基盤です。自社の拠点構成と雇用形態を整理し、以下のステップで段階的に検討を進めてください。

  1. 自社の拠点数・雇用形態・テレワークの有無を整理し、必要な打刻方式の組み合わせを特定する
  2. 「対応端末」「複数拠点管理」「打刻漏れ対応」「データ連携」「コスト」の5つのチェックポイントで候補を絞り込む
  3. 候補が固まったら、複数の勤怠管理システムを打刻方式の対応範囲や料金体系で横並びに比較し、自社に合う製品を選定する
  4. 本導入前に無料トライアルで実際の打刻運用を試し、拠点間での運用ルールを統一してから全社展開する

打刻方式の選び方は、拠点数や働き方の多様性によって最適解が変わります。まずは自社の運用実態を棚卸しし、必要な打刻方式の組み合わせを明確にしたうえで、複数の製品を比較検討する流れを踏むことで、導入後の運用トラブルを大きく減らすことができます。

参考文献

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