勤怠管理システムとは?機能・導入メリット・選び方をわかりやすく解説
Check!
- 自社の勤務形態(シフト制・フレックス・裁量労働制など)に合ったタイプを選べているか確認する
- 労働時間の客観的な把握や記録保存など、法務・労務面の論点を導入前にチェックする
- 既存の給与・労務システムとの連携方法を確認してから比較検討を進める
勤怠管理システムは、従業員の出退勤時刻や休暇取得状況を電子的に記録・集計し、労働時間の把握や給与計算との連携を効率化するためのクラウドサービスです。働き方改革関連法によって使用者に客観的な労働時間の把握が求められるようになったことや、テレワーク・シフト勤務など働き方が多様化したことを背景に、紙のタイムカードやExcel管理から移行する企業が増えています。本記事では、勤怠管理システムの基本機能や導入が進む背景、タイプ別の選び方、業界別の活用ポイント、導入前に確認しておきたい法務・労務の注意点までを整理して解説します。
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
勤怠管理システムとは?基本機能と仕組み
勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤・休憩・休暇取得の状況をシステム上で記録し、労働時間の集計から給与計算への連携までを一元的に管理するためのツールです。従来は紙のタイムカードや自己申告の出勤簿、Excelでの手作業集計が中心でしたが、こうした方法は入力ミスや集計の手間、労働時間の実態と記録のズレが生じやすいという課題を抱えていました。
クラウド型の勤怠管理システムには、主に次のような機能が搭載されています。
- ICカード・スマートフォン・パソコンなどからの出退勤打刻
- 労働時間・残業時間・深夜勤務時間の自動集計
- シフト作成・シフト管理
- 休暇申請・残業申請の承認ワークフロー
- 給与計算システムや会計ソフトとの連携
- 労働時間の異常値(長時間労働の兆候など)を知らせるアラート機能
厚生労働省が定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録など、客観的な方法で労働時間を確認・記録することが原則とされています(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」2026年8月8日取得)。勤怠管理システムは、この客観的な把握を仕組みとして実現する手段のひとつと位置づけられます。
なぜ今、勤怠管理システムの導入が進んでいるのか
勤怠管理システムの導入が進む背景には、大きく2つの要因があります。1つは、働き方改革関連法による労働時間の上限規制や客観的な把握の要請です。もう1つは、テレワークやフレックスタイム、シフト勤務など、働き方そのものが多様化したことです。オフィスに常駐しない従業員の労働時間を紙のタイムカードで管理することは実務上難しく、クラウド型の勤怠管理システムへの移行が加速しています。
厚生労働省が2024年12月に公表した「令和6年就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年間休日総数は116.4日となり昭和60年以降で過去最多を記録し、年次有給休暇の平均取得率も65.3%と昭和59年以降で過去最高となりました(厚生労働省「令和6年就労条件総合調査の概況」2024年12月、2026年8月8日取得)。休暇取得や労働時間の適正化が進むほど、手作業での集計は現場の負担が大きくなり、システム化によって集計・申請・承認のプロセスを効率化するニーズが高まっています。
また、中小企業庁「2025年版中小企業白書」のデジタル化・DXに関する章でも、業務のデジタル化に取り組む中小企業が増えている一方で、取り組みの定着度には企業間で差があることが指摘されています(中小企業庁「2025年版中小企業白書」第5節 デジタル化・DX2025年、2026年8月8日取得)。バックオフィス業務のなかでも勤怠管理は毎月・毎日発生する定型業務であるため、比較的取り組みやすいデジタル化の入り口として選ばれやすい領域です。実際に、会計・労務ソフトと一体的に使えるクラウド型の勤怠管理サービス(マネーフォワード勤怠など)を含め、単体特化型・バックオフィス統合型など多様なサービスが登場しています。
勤怠管理システムの主なタイプと選び方の基本軸
勤怠管理システムは提供形態や機能範囲によっていくつかのタイプに分けられます。自社の規模や既存の業務環境に合わせて、どのタイプが向いているかを最初に整理しておくと、後の比較検討がスムーズになります。
| タイプ | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| クラウド型 | インターネット経由で利用。サーバー管理が不要で導入が早い | 中小企業、複数拠点・リモート勤務がある企業 |
| オンプレミス型 | 自社サーバーに構築。カスタマイズ性が高いが運用負荷も大きい | 独自の勤務ルールが多い大企業、セキュリティ要件が厳格な組織 |
| 単体特化型 | 打刻・集計機能に特化。他システムとの連携はAPIや外部連携で対応 | 既に給与・労務システムを利用中で、連携性を重視する企業 |
| バックオフィス統合型 | 給与計算・労務・会計など複数の業務を1つのサービス群でカバー | バックオフィス業務をまとめて効率化したい中小企業 |
業界別に見る勤怠管理システムの活用ポイント
勤怠管理システムに求められる機能は業界によって異なります。ここでは代表的な3業界の活用ポイントを紹介します。
製造業(交代制勤務・多拠点)
製造業では、工場ごとに交代制勤務や深夜勤務が組まれることが多く、拠点をまたいだ労働時間の集約管理が課題になりやすい業界です。厚生労働省の労働時間関連の実態調査でも、業種によって労働時間制度の運用実態に差があることが確認されています(厚生労働省「労働時間制度等に関する実態調査」2026年8月8日取得)。複数拠点のデータを本社側でリアルタイムに集約できる機能が重視されます。
医療・介護(夜勤・シフト管理)
医療・介護業界は夜勤や交代勤務が常態化しており、夜勤手当や変則的なシフトの組み替えに対応できる柔軟なシフト管理機能が求められます。人員配置の見直しが頻繁に発生するため、シフト作成から労働時間集計までを一貫して管理できるシステムが選ばれる傾向にあります。
士業・個人事業主・小規模事業者(裁量労働・シンプル運用)
士業事務所や個人事業主、従業員数の少ない小規模事業者では、複雑な機能よりも、少人数でも運用の手間がかからないシンプルな打刻・集計機能が重視されます。裁量労働制やフレックスタイム制を採用している場合は、標準的な労働時間との差分を分かりやすく可視化できる機能があると管理がしやすくなります。
勤怠管理システム導入時に確認したい法務・労務の論点
勤怠管理システムは労働時間や個人情報を扱うため、導入時には次のような法務・労務の論点を確認しておく必要があります。
- 労働時間の客観的な把握:前述のとおり、厚生労働省のガイドラインではタイムカードやICカードなど客観的な方法での記録が原則とされています。自己申告制を採る場合は、実態調査など追加的な措置が必要になる場合があります。
- 労働時間関連記録の保存:労働基準法では、賃金台帳や出勤簿などの労働関係の記録について一定期間の保存が義務付けられています。保存期間の運用は法改正の影響を受けることがあるため、最新の取り扱いは所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認することをおすすめします。
- 個人情報の取得と説明:GPSによる位置情報や生体認証データなどを取得する場合は、利用目的を従業員に説明し、必要な同意を得るなど、個人情報保護法の趣旨を踏まえた運用が求められます(個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」2026年8月8日取得)。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の法解釈や対応方法については、社会保険労務士や弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
勤怠管理システム導入でよくある失敗パターン3つ
1. 機能が多すぎて現場が使いこなせない
高機能なシステムを選んだものの、実際に使う機能はごく一部で、多くの設定項目が現場の負担になってしまうケースです。導入前に、自社が本当に必要とする機能を絞り込み、必要最小限の範囲から使い始めることが回避策になります。
2. 既存の給与・労務システムと連携できず二重入力が発生する
勤怠管理システムを単体で導入した結果、既存の給与計算システムとデータ連携できず、集計結果を人の手で転記する二重入力が発生してしまう失敗です。導入前に、既存システムとの連携方法(API連携、CSV出力対応など)を確認しておくことが重要です。
3. 現場への説明・運用ルールの整備が不足し定着しない
システムを導入しても、打刻ルールや申請フローの説明が現場に十分に行き届かず、旧来の自己申告と併用されてしまい形骸化するケースです。運用開始前にルールを明文化し、管理者・従業員双方への説明期間を設けることが定着のポイントになります。
勤怠管理システムの選び方|比較検討を進めるときの視点
ここまで見てきたように、勤怠管理システムはクラウド型かオンプレ型か、単体特化型かバックオフィス統合型かといったタイプの違いに加え、業界特有の要件によっても向き不向きが変わります。そのため、1社の情報だけで決めるのではなく、複数のサービスを同じ軸で横並びに比較することが失敗を避ける近道になります。
比較検討の際は、少なくとも次の4つの軸を確認するとよいでしょう。
- 自社の勤務形態(シフト制・フレックス・裁量労働制など)に対応しているか
- 既存の給与計算・労務ソフトとどこまで連携できるか
- 導入後のサポート体制(電話・チャット・専任担当の有無)
- 無料プランやトライアル期間が用意されているか
これらの軸で複数サービスを比較したい場合は、勤怠管理システムのおすすめ比較記事も参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 勤怠管理システムとは何ですか?
A. 従業員の出退勤時刻や休暇取得状況を電子的に記録・集計し、労働時間の把握や給与計算との連携を効率化するためのクラウドサービスです。紙のタイムカードやExcelでの手作業管理に代わる仕組みとして導入が進んでいます。
Q2. 勤怠管理システムを導入するとどんなメリットがありますか?
A. 労働時間の集計作業が自動化されることで、担当者の作業負担が減り、集計ミスも減らせます。また、客観的な記録が残ることで、労働時間の適正な把握という観点でも管理体制を整えやすくなります。
Q3. クラウド型とオンプレ型の違いは何ですか?
A. クラウド型はインターネット経由で利用でき、サーバー管理が不要なため導入が早いのが特徴です。オンプレ型は自社サーバーに構築するためカスタマイズ性が高い一方、運用の負荷も大きくなります。
Q4. 勤怠管理システムの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. クラウド型であれば数週間程度で運用を始められるケースが多いですが、既存システムとの連携範囲や従業員数、打刻方法の切り替え方法によって準備期間は変わります。運用ルールの周知期間も含めて計画するとスムーズです。
Q5. 勤怠管理システムはどのように比較検討すればよいですか?
A. 対応する勤務形態、既存の給与・労務ソフトとの連携範囲、サポート体制、無料プランやトライアルの有無といった軸で複数サービスを横並びに比較するのがおすすめです。詳しい比較は勤怠管理システムのおすすめ比較記事も参考にしてください。
Q6. 勤怠管理システムの運用でよくある失敗は何ですか?
A. 機能を使いこなせない、既存システムと連携できず二重入力が発生する、現場への説明が不足して定着しないといった失敗が代表的です。導入前に必要機能の絞り込みと運用ルールの整備を行うことで回避しやすくなります。
まとめ|今日からできる4つのこと
- 自社の勤務形態(シフト制・フレックス・裁量労働制など)を整理し、必要な機能を絞り込む
- 労働時間の客観的な把握や記録保存など、法務・労務面で確認すべき論点をチェックする
- 既存の給与・労務システムとの連携方法を導入前に確認する
- 勤怠管理システムのおすすめ比較記事などを参考に、複数サービスを横並びで比較検討する
勤怠管理システムは、導入して終わりではなく、自社の勤務形態や既存システムとの連携を踏まえて選び、現場に定着させるまでが本当のスタートです。比較検討の段階で複数サービスを見比べておくことで、導入後のギャップを減らせます。
参考文献
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html(2026年8月8日取得)
- 厚生労働省「令和6年就労条件総合調査の概況」2024年12月 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/173-1.html(2026年8月8日取得)
- 中小企業庁「2025年版中小企業白書」第5節 デジタル化・DX 2025年 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_5.html(2026年8月8日取得)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/(2026年8月8日取得)