ロジックツリーとは?4つの種類と作り方5ステップ、実行に移すコツを解説
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- ロジックツリーの意味と4つの種類の違いがわかる
- 作り方5ステップと弱点、イシューツリーとの違いがわかる
- 業務改善などの活用例と、打ち手を実行管理する方法がわかる
ロジックツリーとは、1つのテーマを木の枝のように階層的に分解し、原因や打ち手を漏れなく洗い出すためのフレームワークです。「売上が伸びない原因がわからない」「業務改善を進めたいが、何から始めればよいのか決められない」といった漠然とした課題を、手を動かせる大きさまで分けて整理できます。コンサルティングの現場だけでなく、業務改善・営業・人事・企画など日常の仕事でも広く使われています。この記事では、ロジックツリーの意味とメリット、What・Why・HowとKPIの4つの種類、作り方の5ステップ、MECEと切り口の選び方、弱点とよくある失敗、イシューツリーやマインドマップとの違い、業務別の活用例を解説します。あわせて、分解した結果を実行に移すところまでを順に説明します。
ロジックツリーの使いどころを診断
Q1. ロジックツリーで、まず何を整理したいですか?
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ロジックツリーとは|意味とメリット、描いたあとの課題
ロジックツリーとは、1つのテーマ(問題・目標・対象)を頂点に置き、それを構成する要素や原因、打ち手へ階層的に分解して整理するフレームワークです。大きくて扱えない問題を、手を打てる大きさの問題に置き換えるのが役割で、分解した形が木の幹から枝が広がるように見えることから、この名前で呼ばれています。
たとえば「残業が多い」という問題は、そのままでは手の打ちようがありません。しかし「業務量が多い」「1件あたりの処理時間が長い」「手戻りが多い」と分け、さらに「手戻りが多い」を「依頼内容が曖昧」「確認の工程がない」と分けていくと、具体的に直せる箇所が見えてきます。上の階層と下の階層が「なぜ」「何で構成されるか」「どうやって」といった論理でつながっていることが、ロジックツリーの条件です。
ロジックツリーを使う4つのメリット
- 問題の全体像を把握できる:頭の中の論点を1枚の図に並べ、検討が済んだ箇所と抜けている箇所が一目でわかります。
- 根本原因にたどり着きやすい:階層を掘り下げることで、本当に手を打つべき箇所を特定しやすくなります。
- 優先順位をつけやすい:打ち手が同じ粒度で並ぶため、効果や実行のしやすさを比べて着手の順番を決められます。
- チームで認識をそろえやすい:「なぜその施策をやるのか」を上の階層にさかのぼって説明でき、議論のすれ違いが減ります。
ロジックツリーが「描いて終わり」になりやすい理由
ロジックツリーは検討のための道具であり、描いた打ち手が実行されたかどうかを追う機能は持っていません。会議で原因や打ち手をきれいに分解できても、末端の枝に担当者と期限がついていなければ、翌週には誰も動いていないという状況が起こります。打ち手が複数の部門にまたがったり、案件ごとの作業時間やコストまで把握したりする必要がある場合は、表計算の一覧では更新が追いつかなくなります。
そこで、ツリーの末端の打ち手をタスクとして登録し、担当・工程・作業時間の実績まで同じ場所で追うために使われるのが、プロジェクト管理・工数管理のシステムです。IT・広告・コンサルティングなどのプロジェクト型の事業で、ロジックツリーの打ち手を案件の工程と原価まで含めて管理したい場合の一例が、株式会社オロのZACです。ZACは案件・プロジェクト型ビジネスに特化したクラウドERPで、ガントチャートで進み具合を見る工程管理と、プロジェクトや作業工程別に作業時間を集計する工数管理を備えています。一方で、商品ページでは導入完了まで最短で3か月、平均で半年ほどかかるとされているため、導入を急ぐ場合は担当者と時期のすり合わせが必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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マインドマップ・ピラミッドストラクチャー・イシューツリーとの違い
ロジックツリーと形が似ている図に、マインドマップ、ピラミッドストラクチャー、イシューツリーがあります。見た目は近くても目的が異なるため、場面に応じて使い分けます。
| 手法 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| ロジックツリー | 問題の分解・原因や打ち手の洗い出し | 上から下へ論理的に分解する。漏れや重複がないことを重視する |
| マインドマップ | 発想を広げる・アイデア出し | 中心から連想で自由に広げる。論理の厳密さは求めない |
| ピラミッドストラクチャー | 結論を説得力をもって伝える | 結論を頂点に置き、根拠を下から積み上げて支える |
| イシューツリー | 取り組むべき論点(問い)を整理する | 「解くべき問い」を小さな問いに分解する。ロジックツリーの一形態として説明されることが多い |
アイデアが出そろっていない段階ではマインドマップで発散し、出てきた論点をロジックツリーで整理し、上司や顧客に説明するときはピラミッドストラクチャーで組み立て直す、という順で使うと、それぞれの長所を活かせます。マインドマップの描き方は、マインドマップとは?描き方とツールの選び方・費用相場を解説でも説明しています。
イシューツリーは、ロジックツリーのうち「問い(イシュー)」の分解に特化したものと整理されることが一般的で、コンサルティングの文脈では両者をほぼ同じ意味で使う場合も多いとされています(コンサル用語集)。ただし、定義は書き手によって異なります。チームで使うときは、どちらの呼び方で何を分解するのかを、最初にそろえておくと安全です。
ロジックツリーの種類|What・Why・HowとKPIツリー
ロジックツリーは、何を明らかにしたいかによって、Whatツリー(要素分解)、Whyツリー(原因追求)、Howツリー(問題解決)の3種類に分けられ、数値目標を分解するKPIツリーを加えた4種類で紹介されることが一般的です。作り始める前に、どの種類を使うのかを決めておくことが、途中で論点がぶれないための第一歩です。
| 種類 | 目的 | 分解するときの問い | 使う場面の例 |
|---|---|---|---|
| Whatツリー(要素分解ツリー) | 全体を構成要素に分けて把握する | 何で構成されているか | 業務の棚卸し、顧客層の整理、費用項目の洗い出し |
| Whyツリー(原因追求ツリー) | 問題の根本原因を特定する | なぜそうなっているか | 受注率の低下、離職の増加、納期遅れの分析 |
| Howツリー(問題解決ツリー) | 課題に対する打ち手を具体化する | どうやって実現するか | 業務効率化の施策立案、DXの着手順の検討 |
| KPIツリー | 最終目標を測れる指標に分解する | どの数字の組み合わせで決まるか | 売上目標の分解、Webサイトの成果指標の設計 |
Whatツリー(要素分解ツリー)
Whatツリーは、対象を「何でできているか」で分けていく型です。たとえば「経理部門の業務」を「日次業務」「月次業務」「年次業務」に分け、さらに日次業務を「入出金の記録」「経費精算の処理」「請求書の発行」と分けていきます。原因も解決策もまだ考えず、まず全体像を漏れなく並べることが目的です。業務の棚卸しや、次に紹介するWhyツリー・Howツリーの下準備として使われます。
Whyツリー(原因追求ツリー)
Whyツリーは、起きている問題に対して「なぜ」を繰り返し、根本原因まで掘り下げる型です。「問い合わせへの回答が遅い」という問題であれば、「担当者が気づくのが遅い」「回答の作成に時間がかかる」「承認に時間がかかる」と分け、それぞれについてさらに「なぜ」を問います。1つの枝だけを深掘りする「なぜなぜ分析」と違い、考えられる原因を横にも広げて並べる点が特徴で、思い込みで原因を1つに決めつけるのを防げます。
Howツリー(問題解決ツリー)
Howツリーは、達成したい状態に対して「どうやって」を繰り返し、実行できる行動まで具体化する型です。「問い合わせへの回答を早くする」であれば、「気づくまでの時間を縮める」「作成時間を縮める」「承認時間を縮める」と分け、作成時間については「回答のひな形を用意する」「過去の回答を検索できるようにする」といった行動に落とします。末端が「明日から誰かが着手できる行動」になっていれば完成です。
KPIツリー
KPIツリーは、最終的な目標数値(KGI)を頂点に置き、それを構成する指標(KPI)へ計算式で分解していく型です。売上であれば「客数」と「客単価」の掛け算に分け、客数を「新規客」と「既存客」の足し算に分ける、というように、四則演算でつながる関係になるのが特徴です。数字で検証できるため、どの指標を動かすと目標への影響が大きいかを判断する材料になります。
ロジックツリーの作り方|5ステップ
ロジックツリーは、テーマを決める、種類と切り口を決める、分解する、行動できる粒度まで掘り下げる、検証して優先順位をつける、の5ステップで作ります。ここでは「DXを進めたいが何から始めるか決まらない」という中小企業の例を使って、順に説明します。
ステップ1. テーマ(頂点に置く問い)を具体的に決める
最初に、ツリーの頂点に置くテーマを1文で書きます。ここが曖昧だと、その下の分解がすべてぼやけます。「DXを進める」では広すぎるため、「受発注業務にかかる時間を半年で減らす」のように、対象の範囲と目指す状態が入った文にします。数字や期限を入れられる場合は入れておくと、後で打ち手の効果を比べやすくなります。
ステップ2. ツリーの種類と最初の切り口を決める
次に、What・Why・How・KPIのどれで分解するかを決めます。原因がまだわからないならWhy、原因が特定済みで打ち手を考えたいならHowです。そのうえで、最初の階層を分ける切り口を選びます。受発注業務であれば、「受注、在庫確認、出荷、請求」という業務の流れで分けるのが自然です。最初の切り口がツリー全体の見通しを決めるため、複数の案を出して比べる価値があります。
ステップ3. 仮説を持って1階層ずつ分解する
切り口が決まったら、1階層ずつ分解していきます。このとき、すべての枝を同じ深さまで機械的に掘るのではなく、「おそらくここに原因がある」という仮説を持って、重要そうな枝を優先して掘り下げます。たとえば現場の声から「受注の入力に時間がかかっている」という見立てがあれば、受注の枝を先に「電話・FAXの内容を手入力している」「取引先ごとに書式が違う」「入力後の確認が二重になっている」と分けます。仮説が外れていたら、別の枝に戻って掘り直せば問題ありません。
ステップ4. 行動に移せる粒度まで掘り下げる
分解をどこで止めるかの目安は、「末端の枝を見て、誰が何をすればよいかがわかるか」です。「入力作業を効率化する」ではまだ動けませんが、「主要取引先5社にWeb受注フォームの利用を依頼する」まで具体化すれば、担当と期限を決められます。階層の数に決まりはありませんが、3階層から5階層程度に収まることが多く、それ以上深くなる場合はテーマが大きすぎる可能性があります。
| 第1階層(業務の流れ) | 第2階層(時間がかかる原因) | 第3階層(打ち手) |
|---|---|---|
| 受注 | 電話・FAXの内容を手入力している | 主要取引先にWeb受注フォームの利用を依頼する |
| 在庫確認 | 在庫表が担当者のパソコンにしかない | 在庫表を共有の場所に移し、更新ルールを決める |
| 出荷 | 出荷指示を紙で回している | 出荷指示をチャットで共有し、完了報告を残す |
| 請求 | 受注データを請求書に転記している | 受注データから請求書を作成できる仕組みを検討する |
この表は、テーマ「受発注業務にかかる時間を半年で減らす」を分解した例です。実際のツリーでは第2階層に複数の原因が並びますが、ここでは流れをつかみやすいよう1つずつに絞っています。
ステップ5. 論理を検証し、優先順位をつける
最後に、ツリー全体を見直します。確認するのは、下から上に読んだときに「だから」でつながるか、同じ階層の粒度がそろっているか、漏れや重複がないかの3点です。そのうえで、末端の打ち手を「効果の大きさ」と「実行のしやすさ」の2つの観点で評価し、着手する順番を決めます。効果が大きく実行しやすいものから始め、効果は大きいが時間がかかるものは中期の計画に回します。すべての枝に同時に取り組もうとしないことが、DXの最初の一歩を踏み出すうえで大切です。優先順位の付け方は、優先順位の付け方|使えるフレームワーク5選と個人・チームでの使い分けでも整理しています。
ロジックツリーを描く道具の選び方
ツリーを描く道具は何でも構いませんが、検討の段階と共有・更新の段階で向く道具が変わります。1人で考える段階では手書きが速く、チームで共有して更新していく段階ではデジタルの道具が向いています。
| 道具 | 向いている場面 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 紙・ホワイトボード | 1人または少人数で、考えながら素早く描く段階 | 保存や共有、あとからの更新に手間がかかる |
| 表計算ソフト | 階層を列で表し、担当や期限の列を足して一覧にする場面 | 枝の広がりが見づらく、階層が深いと読みにくい |
| プレゼンテーションソフトの図形機能 | 会議資料として見せる場面 | 枝を足すたびに図形を動かす手間がかかる |
| 作図ツール | テンプレートから階層図を描き、チームで共同編集する場面 | ツールごとに機能や料金が異なるため、公式情報で確認する |
| プロジェクト管理ツール | 末端の打ち手をタスクにして、担当・期限・進捗を追う場面 | 思考の整理(分解)そのものには向かないため、ツリーを描いたあとに使う |
ロジックツリーを身につける練習のしかた
ロジックツリーは、知識として読むだけでは身につきにくく、身近なテーマで最後まで描く練習を重ねるのが近道です。勉強の進め方の一例を挙げます。
- 「朝の準備に時間がかかる」のような身近な悩みを頂点に置き、Whyツリーを3階層まで描く
- 同じテーマで、切り口を「手順の流れ」から「かかる時間の内訳」に変えてもう一度描き、分け方で見え方が変わることを確かめる
- 他の人が描いたツリーを読み、同じ階層の粒度がそろっているか、漏れや重複がないかを確認する
- 仕事のテーマに移り、5ステップに沿って、末端が行動になるところまで描く
ロジックツリーを描いたあとの管理、今のやり方で足りていますか?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
MECEの考え方と切り口の選び方
MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字で、「漏れなく、ダブりなく」を意味し、ロジックツリーの質を左右する考え方です。同じ階層に並ぶ要素が互いに重ならず、合わせると上の階層の全体を覆っている状態を指します。漏れがあると重要な原因を見落とし、重複があると同じ対策を二重に検討することになるため、分解のたびにMECEになっているかを確かめます。
MECEに分けるための代表的な切り口
| 切り口 | 分け方 | 例 |
|---|---|---|
| 対立する概念で分ける | AとA以外に二分する | 新規と既存、社内と社外、固定費と変動費 |
| 計算式で分ける | 掛け算・足し算の関係に因数分解する | 売上を客数と客単価に、利益を売上と費用に分ける |
| 層別で分ける | 対象をカテゴリーに分類し、どこに問題が集中しているかを見る | 離職を年代別・部署別・残業時間別に分ける |
| プロセスで分ける | 時間の流れや業務の工程で区切る | 認知、検討、購入、継続。受注、出荷、請求 |
| 既存のフレームワークで分ける | 広く使われている枠組みを借りる | 3C(顧客・競合・自社)、4P、人・モノ・金・情報 |
数値が絡むテーマでは計算式、業務改善ではプロセス、原因が見当もつかないときは対立概念から入ると、漏れの少ない分解になりやすいです。どこに問題が集中しているかを探したいときは層別が向いています。同じ階層の中で切り口を混ぜないことも重要です。たとえば顧客を「法人」「個人」「新規」と並べると、分類の軸が混ざり、法人の新規顧客がどちらにも入ってしまいます。
公的な診断ツールの項目を切り口として借りる
「自社の経営課題」や「DXの進み具合」のように範囲が広いテーマでは、切り口を一から考えるより、公的機関が公開している診断ツールの項目を借りる方法が有効です。経済産業省のローカルベンチマーク(通称ロカベン)は、企業の経営状態を把握する「企業の健康診断」のためのツールで、財務面の6つの指標、商流・業務フロー、非財務面の4つの視点という3枚組のシートで構成されています。経営課題のWhatツリーを作るとき、この構成を第1階層に置けば、財務だけ、あるいは現場の業務だけに偏った分解を避けられます。
DXに関しては、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が案内している「DX推進指標」が参考になります。経営者や事業部門、IT部門などの関係者が自社のDXの現状と課題を共有するための自己診断で、現在のレベルと目標をレベル0からレベル5の6段階で評価する仕組みです。指標の項目を切り口にすれば、「DXで何から始めるか」のツリーを、経営の仕組みとITの仕組みの両面から漏れなく組み立てられます。専門家が整理した枠組みを借りることで、MECEの精度を上げつつ、切り口選びにかける時間を減らせます。
完璧なMECEにこだわりすぎない
実務では、厳密なMECEを追求すると時間がかかりすぎることがあります。重要な論点が漏れていないこと、明らかな重複がないことを確認できれば、先へ進んで構いません。どうしても分類しきれない要素は「その他」としてまとめ、その他が大きくなりすぎていないかだけを確認します。ロジックツリーは意思決定のための道具であり、図の完成度を競うものではないという前提を忘れないようにしましょう。
ロジックツリーの弱点とよくある失敗パターン
ロジックツリーの弱点は、新しい発想を生み出す用途に向かないこと、ツリー通りに物事が進むとは限らないこと、描くこと自体が目的になりやすいことの3点です。それぞれの補い方を整理します。
ロジックツリーの弱点(デメリット)と補い方
- 新しい発想には向かない:既存の要素を論理で分解する道具のため、これまでにない案を生み出す用途には向きません。ブレーンストーミングやマインドマップで発散してから、出てきた案をロジックツリーで整理すると補えます。
- ツリー通りに進むとは限らない:仮説をもとに描いた枝は、実行してみると状況が変わることがあります。ツリーは一度で完成させるものではなく、実行の結果をもとに見直す前提で使います。
- 描くこと自体が目的になりやすい:きれいな図を仕上げて満足し、末端の打ち手に担当も期限もつかないまま止まることがあります。末端をタスクとして登録し、進捗を定期的に確認する運用までを1つの流れにします。
このほか、事実の裏付けがないまま思い込みで枝を作ると、もっともらしい図でも結論を誤ります。重要な枝については、データや現場へのヒアリングで確かめる工程を入れましょう。
よくある失敗パターン|重複・漏れ・切り口のズレ
ロジックツリーは形だけなら誰でも描けますが、使える図にするにはいくつかの落とし穴を避ける必要があります。代表的な失敗パターンと、改善後の状態を整理しました。
| 失敗パターン | Before(よくある状態) | After(改善後) |
|---|---|---|
| 1. 要素が重複している | 「人手不足」と「残業が多い」を同じ階層に並べ、同じ対策を二重に検討する | 原因と結果の関係を整理し、片方をもう片方の下の階層に置く |
| 2. 重要な要素が漏れている | 売上低下の原因を「新規客の減少」だけで掘り下げ、既存客の離脱を見落とす | 計算式や対立概念で分け、全体を覆っているかを確認してから掘り下げる |
| 3. 切り口や粒度がそろっていない | 同じ階層に「営業部」「30代」「Web経由」のように異なる軸が混ざる | 1つの階層は1つの切り口で分け、抽象度をそろえる |
| 4. WhyとHowが混ざっている | 原因を並べている途中で「研修を実施する」などの対策が紛れ込む | 原因のツリーと対策のツリーを分けて作り、原因が確定してから対策に進む |
| 5. 作ること自体が目的になる | きれいな図を仕上げて満足し、末端の打ち手に担当も期限もない | 末端の打ち手をタスクとして登録し、進捗を定期的に確認する |
業務改善・営業・人事・企画での活用例
ロジックツリーの活用例は、業務改善ではWhyツリーとHowツリーの組み合わせ、営業ではKPIツリーとWhyツリーの組み合わせ、人事ではWhyツリーとHowツリーの組み合わせ、企画ではWhatツリーとHowツリーの組み合わせが基本です。それぞれ、使うツリーの種類と最初の切り口に注目してください。
業務改善|残業を減らすロジックツリーの例
業務改善の代表的な題材が、残業の削減です。まずWhyツリーで「なぜ残業が多いのか」を分け、原因が絞れたらHowツリーで打ち手に落とします。最初の切り口は、「業務量」「1件あたりの処理時間」「手戻り」のように、残業時間を左右する要素で置くとMECEに近づけやすくなります。
| 第1階層(原因の切り口) | 第2階層(原因の仮説) | 打ち手(Howツリー) |
|---|---|---|
| 業務量が多い | 見直されないまま続いている定例業務や会議がある | 定例業務と会議を棚卸しし、廃止や頻度の見直しを決める |
| 1件あたりの処理時間が長い | 転記や手入力が多い | 入力項目の共通化や、転記をなくす仕組みを検討する |
| 手戻りが多い | 依頼内容が曖昧で、確認の工程がない | 依頼のひな形と、確認するタイミングを決める |
この表は流れを示すための例です。実際には、勤怠の記録や業務の記録、現場へのヒアリングで原因の仮説を確かめてから、打ち手を決めます。打ち手が決まったら、担当と期限を決めて実行し、数か月後に残業時間の変化を見て、ツリーに戻って見直します。
営業|受注件数が伸びない原因をWhyツリーとKPIツリーで探る
営業では、まずKPIツリーで受注件数を「商談数」と「受注率」に分け、商談数を「問い合わせ数」と「商談化率」に分けます。数字を当てはめて、前年より落ちている指標を特定したら、その指標についてWhyツリーで原因を掘り下げます。たとえば商談化率が下がっているなら、「初回の連絡が遅い」「問い合わせ内容と提案がずれている」「担当者によって対応の質に差がある」と分け、それぞれの裏付けを取ります。数字で場所を絞ってから原因を考えることで、感覚に頼った議論を避けられます。
人事|離職の原因と対策をWhyツリーとHowツリーで整理する
人事では、「入社3年以内の離職が増えている」といった問題にWhyツリーを使います。最初の切り口を「仕事内容」「人間関係」「待遇・評価」「働き方」のように置き、退職時の面談記録や社内アンケートを根拠に、当てはまる枝を掘り下げます。原因が「配属後の教育が担当者任せになっている」と特定できたら、Howツリーに切り替えて「教育計画のひな形を作る」「面談の頻度を決める」「教育担当者の負荷を調整する」といった打ち手に落とします。
企画|新しい施策の全体像をWhatツリーとHowツリーで設計する
企画では、新サービスの立ち上げやイベントの開催のように、やるべきことの全体像をつかむ場面でWhatツリーが役立ちます。「展示会への出展」であれば、「出展の申込・契約」「ブースの設計」「配布物の制作」「当日の運営」「出展後のフォロー」と分け、それぞれをさらに作業に分解します。こうして洗い出した作業の一覧は、プロジェクト管理の分野でWBS(作業分解構成図)と呼ばれるものとほぼ同じ形になり、そのまま計画表の土台として使えます。
分解した打ち手を実行に落とし込む
4つの例に共通するのは、ツリーの末端に並ぶのが「誰かが実行する作業」だという点です。ここから先は、思考の整理ではなく実行の管理の領域になります。打ち手を実行に移す際は、次の4点を決めておくと、ツリーが絵に描いた餅になるのを防げます。
- 末端の打ち手ごとに担当者を1人決める(複数人の連名にしない)
- 完了の条件と期限を決める
- 上の階層を親タスク、末端を子タスクとして登録し、ツリーの構造を残す
- 週次など決まった間隔で進捗を確認し、状況が変わったらツリーに戻って見直す
打ち手が数個であれば表計算ソフトの一覧でも管理できますが、複数の部門にまたがり、打ち手が数十個に増えると、誰が何をどこまで進めたかを把握しきれなくなります。更新のたびにファイルが分かれ、どれが最新かわからなくなるのもよくある問題です。タスクの親子関係、担当、期限、進捗を1か所で共有できるツールを使えば、ロジックツリーで整理した構造を保ったまま実行を追いかけられます。タスク管理の考え方は、タスク管理とは?やり方・ToDo管理との違いとツールのタイプ別選び方を解説で詳しく解説しています。
実行管理の仕組みを選ぶときは、管理したい範囲(タスクだけか、工数や原価まで含めるか)、関わる部門と人数、自社の運用に合わせて管理項目を変えられるか、の3点を先に決めておくと比べやすくなります。工数管理を軸に、自社の運用や分析したい項目に合わせて組み立てたい場合の一例が、株式会社ビーブレイクシステムズのMA-EYESです。MA-EYESは、予算や企業規模、運用ニーズに合わせて導入できるERPで、導入前から導入後までのサポート体制を備え、標準機能へのカスタマイズや分析設定への独自項目の追加にも柔軟とされています。一方で、工数管理に特化しているため、工程管理まで1つで行いたい場合は、対応範囲を事前に確認してください。その場合は、ガントチャートで進み具合を見る工程管理を備えた前述のZACも選択肢になります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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気になる…
- 工数管理に特化しているため、工程管理には対応していなそう
「データが一元管理されたため、提案状況、プロジェクトの進行状況の把握が簡単にできるようになりました。」
Web制作会社 C様の導入事例、2015年11月時点のインタビュー(出典:https://www.bbreak.co.jp/maeyes/case/interview23.html)
よくある質問(FAQ)
Q1. ロジックツリーとは簡単に言うと何ですか?
A. 1つのテーマを頂点に置き、それを構成する要素や原因、打ち手へと階層的に分解していくフレームワークです。大きくて扱いにくい問題を、具体的に手を打てる大きさの問題に置き換えるために使います。
Q2. ロジックツリーにはどんな種類がありますか?
A. 全体を構成要素に分けるWhatツリー、原因を掘り下げるWhyツリー、打ち手を具体化するHowツリーの3種類が基本です。これに、目標数値を指標に分解するKPIツリーを加えて4種類とすることもあります。
Q3. ロジックツリーはどのような手順で作りますか?
A. テーマを具体的に決める、ツリーの種類と最初の切り口を決める、仮説を持って1階層ずつ分解する、行動に移せる粒度まで掘り下げる、論理を検証して優先順位をつける、の5ステップで作ります。
Q4. ロジックツリーとマインドマップの違いは何ですか?
A. ロジックツリーは問題を論理的に分解して原因や打ち手を洗い出すための図で、漏れや重複がないことを重視します。マインドマップは中心から連想で自由に広げ、発想を出すための図です。発散にはマインドマップ、整理にはロジックツリーが向いています。
Q5. ロジックツリーの弱点は何ですか?
A. 新しい発想を生み出す用途に向かないこと、ツリー通りに物事が進むとは限らないこと、描くこと自体が目的になりやすいことの3点です。発散にはマインドマップを併用し、実行の結果をもとにツリーを見直し、末端の打ち手に担当と期限をつけて進捗を管理することで補えます。
Q6. ロジックツリーとイシューツリーの違いは何ですか?
A. イシューツリーは、解くべき問い(イシュー)を小さな問いに分解する図で、ロジックツリーのうち問いの分解に特化したものと説明されるのが一般的です。コンサルティングの文脈では両者をほぼ同じ意味で使う場合も多く、定義は書き手によって異なります。
まとめ
ロジックツリーは、複雑な問題を階層的に分解し、原因や打ち手を漏れなく整理するための思考の道具です。最後に、実務で使うための5つのポイントを整理します。
- ロジックツリーは、1つのテーマを論理的なつながりで階層的に分解するフレームワークで、全体像の把握、原因の特定、優先順位づけ、認識の共有に役立つ。
- 種類はWhatツリー(要素分解)、Whyツリー(原因追求)、Howツリー(問題解決)が基本で、数値目標を分解するKPIツリーも使われる。
- 作り方は、テーマを決める、種類と切り口を決める、仮説を持って分解する、行動できる粒度まで掘り下げる、検証して優先順位をつける、の5ステップ。
- MECE(漏れなく、ダブりなく)を意識し、対立概念・計算式・層別・プロセス・既存のフレームワークや公的な診断ツールの項目を切り口に使う。弱点を知り、描くこと自体を目的にしない。
- 末端の打ち手には担当と期限を決め、表計算では追いきれなくなったら、工数や進捗を1か所で管理できるシステムの資料を取り寄せ、自社の管理項目に合うかを確認する。
参考文献
- 経済産業省「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX推進指標のご案内」 https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/about.html
- コンサル用語集「ロジックツリー・イシューツリー(論点ツリー)」 https://www.concord-career.com/dictionary/logic-tree/
- 株式会社オロ「ZAC 導入事例 トリオシステムプランズ株式会社」 https://www.oro.com/zac/casestudy/trio.html
- 株式会社ビーブレイクシステムズ「MA-EYES 導入事例 Web制作会社 C様」 https://www.bbreak.co.jp/maeyes/case/interview23.html