Google Workspaceと連携できるビジネスチャットとは|機能・プランの違いと失敗しない選び方

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  • Google Workspaceと連携できるビジネスチャットの仕組みと主な機能がわかる
  • プランごとの違いと、無料の個人アカウントで業務利用する場合の注意点がわかる
  • 失敗しないスペース設計と、グループウェアとの使い分けの考え方がわかる

グーグルチャット(Google Chat)は、Googleが提供するビジネス向けのチャットツールです。Gmailやカレンダー、Googleドライブと同じアカウントで使えるため、「すでにGoogle Workspaceを使っているので、社内連絡もGoogleのツールでそろえたい」と考える企業で導入が広がっています。一方で、「無料の個人アカウントと会社のアカウントで何が違うのか」「Slackや LINE WORKSとどう違うのか」「チャットだけで社内の情報共有は足りるのか」と迷う担当者も少なくありません。

本記事では、Google Chatの基本的な仕組みと主な機能、Google Workspaceのプランごとの違い、無料で使う場合の制限、導入でよくある失敗パターン、他のビジネスチャットとの違い、定着させるための運用ルールまでを、Googleの公式ヘルプと総務省の公開資料をもとに整理します。まずは下の診断で、自社がいま感じている課題のタイプを確認してみてください。

社内チャットの課題タイプを診断

Q1. Google Chat(または社内チャット)で、いま一番気になっていることは?

目次

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  1. チャットだけで足りる?グループウェアと比べて考える社内の情報共有基盤
  2. Google Chatとは|Google Workspaceのビジネスチャット
  3. 主な機能|スペース・ハドル・AI要約(Gemini)
  4. 料金プラン|Google Workspaceのプランごとの違い
  5. 無料版と有料版の違い
  6. 導入でよくある失敗パターン
  7. Slack・LINE WORKS・Microsoft Teamsとの違い
  8. スペース設計と導入の進め方
  9. 情報漏えいを防ぐ運用ルール
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ|Google Chat導入前に確認したい4つのこと
  12. 参考文献

チャットだけで足りる?グループウェアと比べて考える社内の情報共有基盤

Google Chatは「会話」を速くするツールで、申請・承認や掲示板、設備予約まで一元管理したい場合はグループウェアの方が守備範囲が広くなります。自社に必要なのがチャットだけか、業務全体の基盤かを先に決めるのが選定の近道です。

ビジネスチャットを導入した企業がしばらくして直面しやすいのが、「連絡は速くなったが、申請書は紙のまま」「大事なお知らせがチャットの流れに埋もれる」「会議室の予約は別の表で管理している」といった、チャットの外側に残った業務です。Google ChatはGoogle Workspaceの一部として、Gmail・カレンダー・ドライブ・Meetと組み合わせて使う設計になっています。そのためGoogle Workspace全体を使いこなせる企業には強力ですが、日本企業に多い稟議や各種申請の電子化までを1つの画面で完結させたい場合は、グループウェア製品が候補に入ります。代表的な選択肢を、中小企業での使いやすさという観点で並べると次のとおりです。

サービス(提供元) 強み 留意点 向いている企業
Google Workspace(グーグル合同会社) Chat・Gmail・ドライブ・Meetなどが同じアカウントで連携し、AI(Gemini)も組み込まれている 申請・承認などのワークフローは標準機能だけでは作り込みにくく、別サービスとの組み合わせを検討する場合がある メール・文書作成もGoogleでそろえたい企業
desknet’s NEO(株式会社ネオジャパン) 情報共有から申請・承認、スケジュール管理まで1つで使える多機能型 業務アプリ作成ツールAppSuiteは上位プランのみ標準対応 紙の申請や稟議を電子化したい企業
サイボウズ Office(サイボウズ株式会社) 操作がわかりやすく、モバイル対応で外出先からも確認しやすい 利用には最低5ユーザーの契約が必要 拠点が離れていてスケジュールと申請を共有したい企業
GroupSession(日本トータルシステム株式会社) 掲示板・チャット・申請を用途に応じて使い分けられ、無料版もある データ移行は旧バージョンの条件により制約がある まずはコストを抑えて始めたい小規模な企業
表1:社内の情報共有基盤の主な選択肢(特徴・留意点は送客先記事の掲載内容をもとに整理。料金や機能は変わるため、最新情報は各公式サイトで確認してください)

表のとおり、どれが優れているかではなく「どこまでを1つのツールに任せたいか」で答えが変わります。Google Chatを軸にしつつ、申請や掲示板だけグループウェアで補う併用型も現実的な選択肢です。中小企業向けに、グループウェアの選び方と代表的なサービスを詳しく比べた記事があるので、チャット以外の業務基盤も整えたい場合は参考にしてください。

Google Chatとは|Google Workspaceのビジネスチャット

Google Chatは、Googleアカウントで使えるメッセージングツールです。1対1やグループでのメッセージ、話題ごとに会話をまとめる「スペース」、ファイル共有などの機能を備え、Google Workspaceの各アプリと連携して使えます。

ビジネスチャットとは、社内外の業務連絡を目的に設計された、メッセージのやり取り・ファイル共有・オンライン会議などの機能をまとめたツールの総称です。個人向けのメッセンジャーと違い、部署やプロジェクトごとに会話を整理でき、過去のやり取りを検索しやすい点に特徴があります。ビジネスチャット全般の基本や種類については、ビジネスチャットとは?特徴と選び方をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。

Google Chatはこのビジネスチャットの一種で、単体のアプリとしてもGmailの画面の中からも使えます。最大の特徴は、Google Workspaceを契約している組織であれば、メールやカレンダーと同じアカウントのまま追加のログインなしで使える点です。Googleドライブのファイルをチャット上で共有したり、Google Meetのビデオ会議にチャットから移ったりといった動きが、ツールを切り替えずに行えます。

チャットツールが求められている背景には、働く場所の多様化があります。総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」によれば、テレワークを導入している企業の割合は47.3%にのぼります(総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」2025年、2026年9月時点で参照)。オフィスにいない相手とも、メールより気軽に、電話より記録が残る形でやり取りしたいという需要が、ビジネスチャットの普及を後押ししています。

メールとの使い分け

Google Chatを導入してもメールが不要になるわけではありません。メールは宛先・件名を明記した正式なやり取りや、社外の取引先との連絡に向いています。一方でGoogle Chatは、社内のちょっとした確認、進行中のプロジェクトの相談、複数人での短いやり取りに向いています。「社外と正式な依頼はメール、社内の進行連絡はChat」のように、最初に使い分けの目安を決めておくと、どちらで連絡すべきか迷う場面が減ります。

主な機能|スペース・ハドル・AI要約(Gemini)

Google Chatの中心となる機能は、1対1・グループのメッセージ、話題ごとにまとめる「スペース」、スレッド、ファイル共有、他のGoogleアプリとの連携です。上位プランではGeminiによるチャットの検索・要約・翻訳も使えます。

機能 概要 主な利用シーン
ダイレクトメッセージ 1対1、または少人数でのメッセージのやり取り 上司への確認、担当者同士の短い相談
スペース トピックやプロジェクトごとに複数人で話し合う場。ファイル共有やタスクの割り当て、アプリの追加ができる 部署・プロジェクトごとの継続的なやり取り
スレッド 特定のメッセージに返信して話題を分ける機能。メインの会話が見づらくなるのを防ぐ 1つのスペースで複数の案件が並行する場合
お知らせ用スペース オーナーや管理者が投稿し、メンバーはリアクションや返信のみできる形式(仕事用・学校用アカウントで利用可) 全社通知、総務からの連絡
ハドル・Meet連携 チャットの会話から音声・ビデオでの打ち合わせに移れる 文字では伝わりにくい相談を短時間で済ませる
Gemini in Chat AIを活用してチャットを検索・要約・翻訳する機能(Standard以上のプラン) 休み明けに未読の多いスペースの要点をつかむ
表2:Google Chatの主な機能(Google Chatヘルプ・Google Workspace公式サイトをもとに作成。機能の提供状況は時期やプランで変わる場合があります)

スペースは「公開範囲」の設定が要になる

Google Chatヘルプによると、仕事用または学校用アカウントでは、スペースを組織内のユーザーに対して非公開にするか、検索して見つけられるようにするかを選べます。非公開のスペースは招待されたメンバーしか参加できず、チームやプロジェクト単位の話し合いに向いています。検索可能にしたスペースは、組織内の人が名前や説明を見て参加をリクエストできるため、特定の部署に限らない話題(社内のIT相談、福利厚生の質問など)に向いています。

この設定を意識せずにスペースを作り続けると、「どのスペースに何の情報があるかわからない」「関係者が参加していない」という状態になりがちです。スペースの作り方そのものより、どの単位で作り、誰に公開するかを決めておくことが、Google Chatを使いこなすうえで最も効果の大きいポイントです。

他のGoogleアプリとの連携

Googleドライブのドキュメントやスプレッドシートをスペースに共有すると、メンバーは同じファイルを同時に編集できます。添付ファイルを何度も送り直す必要がなく、最新版がどれかわからなくなる問題を避けられます。また、スペースに外部のアプリを追加して、通知や簡単なワークフローをチャット上に集めることもできます。ただし、こうした連携の効果が大きいのは、社内の資料や予定がGoogle Workspaceに集まっている場合です。ファイルが社内サーバーや別のクラウドストレージに分散している状態では、Chatの連携機能を活かしきれない点には注意が必要です。

始め方と覚えておきたい基本操作

Google Chatは、パソコンではWebブラウザからGoogle Chatの画面を開くか、Gmailの画面内のチャット欄から使えます。スマートフォンやタブレットでは、Google Chatのアプリをインストールし、業務で使うGoogleアカウントでログインします。会話を始めるときは、新しいチャットの作成画面で相手の名前やメールアドレスを入力して選ぶだけで、1対1のメッセージを送れます。複数人で継続的に話すなら、前述のスペースを作成してメンバーを追加します。

日々の使い方で差が出やすいのは、メッセージを引用して返信する機能、メッセージからタスクを作成して担当者と期限を決める機能、通知をオフにして作業に集中するためのサイレントモード(通知の一時停止)です。とくに通知は、スペースが増えるほど量が多くなるため、スペースごとに通知の受け取り方を調整しておくと、重要な連絡を見落としにくくなります。操作の細かな手順は画面の更新で変わることがあるため、最新の手順はGoogle Chatヘルプで確認してください。

料金プラン|Google Workspaceのプランごとの違い

Google Chatは単体では販売されておらず、法人ではGoogle Workspaceの各プランに含まれる形で使います。チャット機能自体は全プランで使えますが、AI機能・ストレージ容量・会議の参加人数などがプランによって異なります。

Google Workspaceの公式料金ページでは、Starter、Standard、Plus、Enterpriseの4つのプランが案内されており、いずれもユーザー単位の月額料金です(2026年9月時点)。14日間の無料試用や、年間契約による割引が用意されている場合もあります。料金は改定やキャンペーンで変わるため、本記事では具体的な金額は記載せず、プランを選ぶ際の判断軸に絞って整理します。

項目 Starter Standard Plus Enterprise
Chatでのメッセージのやり取り 利用可 利用可 利用可 利用可
Gemini in Chat(検索・要約・翻訳) 対象外 利用可 利用可 利用可
ドライブの容量(ユーザーあたり) 30GB 2TB 5TB 5TBに加え追加も可能
Meetの参加人数(上限) 100人 150人 500人 1,000人
会議の録画(ドライブ保存) 対象外 利用可 利用可 利用可
表3:Google Workspaceのプラン別の主な違い(Google Workspace公式料金ページの掲載内容をもとに作成、2026年9月時点。最新情報は公式サイトで確認してください)

プラン選びは「チャット以外」で決まる

表を見るとわかるように、チャットのやり取りそのものはどのプランでも変わりません。プランの差が出るのは、ファイルをどれだけ保存するか、会議を録画したいか、AIでチャットやメールを要約したいかといった、チャットの周辺の使い方です。たとえば社員数が少なく、ファイルの多くを別のストレージで管理している企業であれば、下位プランでも十分な場合があります。反対に、スペースの未読が多く要点をすばやくつかみたい、会議を録画して欠席者と共有したいといったニーズがあれば、Standard以上が検討対象になります。

また、プランはユーザー単位の課金のため、全社員を同じプランにそろえる必要があるかも確認しておきましょう。契約形態によってはプランの混在に条件がある場合があるため、導入前に販売代理店や公式サポートに確認すると安心です。

無料版と有料版の違い

Google Chatは個人のGoogleアカウント(Gmailアドレス)でも無料で使えますが、業務で使うならGoogle Workspaceの有料プランが前提です。無料版には独自ドメインのアドレスや管理者による一元管理がなく、お知らせ用スペースなど一部の機能も使えません。

観点 個人のGoogleアカウント(無料) Google Workspace(有料)
アカウントの管理 各自が個人で管理。会社側で停止・削除できない 管理者が発行・停止・削除を一元管理できる
メールアドレス Gmailのアドレス 自社のドメインのアドレス
スペースの種類 コラボレーション用のスペースのみ お知らせ用スペースや、組織内での公開範囲の設定も可能
退職・異動時の対応 本人のアカウントに履歴やファイルが残り続ける アカウントの停止やデータの引き継ぎを管理者が行える
サポート ヘルプページなどのセルフサポートが中心 プランに応じたサポートを受けられる
表4:個人アカウントとGoogle Workspaceの主な違い(Google Chatヘルプ・Google Workspace公式サイトをもとに作成)

無料で使える個人アカウントは、試しに操作感を確かめるには便利です。しかし業務で使う場合に最も問題になるのは、機能の差よりも「会社がアカウントを管理できない」点です。社員が個人のアカウントで取引先の情報や社内資料をやり取りしていると、その社員が退職した後も、会社側ではやり取りの内容を回収することも、アクセスを止めることもできません。少人数の会社ほど「とりあえず無料で」と始めがちですが、業務の連絡に使うと決めた時点で、組織として管理できるアカウントに切り替えることをおすすめします。

導入でよくある失敗パターン

Google Chatの導入でつまずく原因の多くは、ツールの機能ではなく運用ルールの不足です。無料版の制限への気づき遅れ、スペースの乱立、重要連絡の埋没、チャット外に残る業務の4つが代表的なパターンです。

失敗パターン Before(よくある状態) After(改善の方向)
無料版の制限に気づかない 社員が個人アカウントで始め、退職者のアカウントに業務のやり取りが残る 業務利用は組織のアカウントに限定し、退職・異動時の停止手順を決める
スペースが乱立する 誰でも自由にスペースを作り、似た名前のスペースが並ぶ 命名ルールと作成の単位(部署・案件・全社)を決め、使われなくなったスペースを定期的に整理する
重要な連絡が流れて埋もれる 全社通知も雑談も同じスペースに投稿され、読まれない 全社通知はお知らせ用スペースや掲示板に分け、返信不要の連絡と区別する
チャット外の業務が残る 連絡はチャット、申請は紙、予約は表計算ソフトと管理場所がばらばら 申請・承認や設備予約も含めて、情報共有の基盤をどこに置くかを決め直す
表5:Google Chat導入時の失敗パターンと改善の方向

とくに見落とされやすいのが、最後の「チャット外の業務が残る」パターンです。チャットの導入で連絡のスピードが上がるほど、紙の申請書や別管理の予約表との差が目立ち、「連絡はチャットで来たが、申請書はどこにあるのか」という確認が増えてしまいます。お知らせの埋没も、チャットの流れの中に重要な情報を載せていることが原因です。チャットは流れる情報、掲示板や申請は残す情報と役割を分けて考えると、どの機能をどのツールに任せるべきかが見えてきます。

こうした「残す情報」の管理までまとめて整えたい場合は、掲示板・ワークフロー・スケジュールを一体で扱えるグループウェアが有力な選択肢になります。Google Workspaceと併用できる製品もあるため、業務全体の情報共有を一元化したい企業は、中小企業向けの比較記事で候補を確認してみてください。

Slack・LINE WORKS・Microsoft Teamsとの違い

Google ChatはGoogle Workspaceとの一体性、SlackはITサービスとの連携の幅広さ、LINE WORKSはLINEに近い操作性、Microsoft TeamsはMicrosoft 365との統合が主な特徴です。優劣ではなく、自社が普段使っている業務ツールとの相性で選ぶのが基本です。

ツール 強み 留意点 相性のよい企業
Google Chat Gmail・ドライブ・カレンダー・Meetと同じアカウントで連携できる Google Workspace以外の業務ツールとの連携は、他ツールより選択肢が限られる場合がある Google Workspaceを主に使う企業
Slack チャンネルで会話を整理しやすく、外部サービスとの連携が豊富 メールや文書作成は別のツールと組み合わせる前提になる 多数のSaaSを組み合わせて使う企業
LINE WORKS LINEに近い操作感で、ITに不慣れな従業員も使い始めやすい 高度な外部連携や文書の共同編集は他ツールとの組み合わせが必要になる場合がある 現場・店舗スタッフが多い企業
Microsoft Teams Word・Excel・Outlookなどとの統合、会議機能の充実 機能が多いぶん、使う範囲を決めないと操作に迷いやすい Microsoft 365を主に使う企業
表6:主なビジネスチャットの特徴(各サービスの機能は更新されるため、最新情報は公式サイトで確認してください)

判断に迷ったときは、「社員が毎日いちばん長く開いている業務ツールは何か」から考えると整理しやすくなります。メールや文書作成がGoogleなら、Chatを使えば画面の切り替えが最小限で済みます。Microsoft 365中心ならTeams、現場スタッフのスマートフォン利用が中心ならLINE WORKSといったように、既存の環境に寄せるほど定着しやすくなります。なお、取引先が別のチャットツールを使っている場合、社外とのやり取りは相手に合わせることになるため、社外連絡の頻度も判断材料に含めましょう。ビジネスチャット各製品をさらに横断的に比べたい場合は、ビジネスチャットおすすめ13選を徹底比較も参考になります。

スペース設計と導入の進め方

Google Chatを定着させるには、全社一斉に切り替えるより、スペースの設計ルールを決めてから小さなチームで試し、改善してから広げる進め方が確実です。とくに「どの単位でスペースを作るか」を最初に決めることが重要です。

競合する解説記事の多くはスペースの作り方(操作手順)を中心に紹介していますが、実際の運用で差が出るのは、スペースをどの単位で、誰に公開し、いつ閉じるかという設計のほうです。次の表は、中小企業で使いやすいスペースの分け方の一例です。

スペースの種類 公開範囲の目安 命名の例 見直しのタイミング
全社お知らせ 全員参加、投稿は管理者のみ(お知らせ用) 【全社】お知らせ 年1回、投稿者の範囲を確認
部署 部署メンバーのみ(非公開) 【営業部】連絡 異動・組織変更のたび
案件・プロジェクト 関係者のみ(非公開) 【案件】取引先名_内容 案件終了時に閉じる、またはアーカイブ扱いにする
相談窓口 組織内で検索可能にする 【相談】IT・PCの困りごと よくある質問をまとめて掲示する
表7:スペース設計ルールの例(自社の組織構成に合わせて調整してください)

段階的に広げる4つのステップ

1つ目のステップは、現在の連絡経路の洗い出しです。メール、電話、別のチャットツール、紙の回覧など、部署ごとにどの手段で連絡しているかを一覧にすると、Chatに置き換えるべき連絡と、そのまま残すべき連絡を切り分けやすくなります。社外とのやり取りは相手の環境に左右されるため、まずは社内連絡から移行するのが現実的です。

2つ目は、試験導入するチームの選定です。日常的に連絡が多く、新しいツールへの抵抗が比較的少ないチームで先に運用を始め、スペースの作り方や通知の設定で困った点を集めます。3つ目は、そこで得た知見をもとにした運用ルールの文書化です。どの連絡をチャットに切り替えるか、急ぎの連絡の送り方、社外ユーザーを招待できる範囲、退職・異動時のアカウント停止の手順など、判断に迷いやすい項目を先に決めておきます。

4つ目は、全社展開後の定期的な振り返りです。使われていないスペースが残っていないか、スペースが細かく分かれすぎて情報を探しにくくなっていないかを、数か月ごとに確認します。導入して終わりではなく、業務の変化に合わせて設計ルールを更新し続けることが、ツールを形骸化させないための要点です。

情報漏えいを防ぐ運用ルール

チャットは手軽なぶん、誤った相手への送信や社外ユーザーの招待ミスが起きやすいツールです。管理者設定で外部との共有範囲を制限し、退職者のアカウントを速やかに停止するなど、ルールと設定の両面で対策しておきましょう。

総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」では、テレワーク時にチャットやオンライン会議などのツールを利用する際、ルール・技術・人の3つの観点でバランスのとれた対策を講じる必要があるとされています(総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」2021年5月、2026年9月時点で参照)。Google Chatに当てはめると、ルールとして「機密情報を含むファイルはチャットに直接添付せず、アクセス権を絞ったドライブのリンクで共有する」、技術として「組織外のユーザーとチャットできる範囲を管理者が制限する」、人として「送信前に宛先のスペースを確認する習慣を研修で伝える」といった対策が考えられます。

また、クラウドサービスの利用が広がるなかで、総務省の「情報通信白書」でもクラウドサービスの活用状況が継続的に取り上げられています。クラウド型のチャットは場所を問わず使える便利さがある一方、アカウントが第三者に使われると社内のやり取りがまとめて見られてしまうおそれがあります。2段階認証の設定を必須にするなど、アカウントの保護も運用ルールに含めておきましょう。なお、本記事の内容は一般的な留意点の紹介であり、個別の法的判断やセキュリティ対策の要否については、専門家や社内のセキュリティ担当者に確認することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. Google Chatは無料で使えますか?

A. 個人のGoogleアカウントがあれば無料で使えます。ただし、会社によるアカウント管理や独自ドメインのアドレス、お知らせ用スペースなどは使えないため、業務で継続的に使う場合はGoogle Workspaceの有料プランを検討してください。

Q. Google Chatの「スペース」とは何ですか?

A. トピックやプロジェクトごとに複数人で話し合うための場です。メッセージのやり取りに加えて、ファイルの共有やタスクの割り当て、アプリの追加ができます。仕事用アカウントでは、組織内に対して非公開にするか、検索して参加できるようにするかを選べます。

Q. どのプランならGeminiでチャットを要約できますか?

A. Google Workspaceの公式料金ページでは、チャットの検索・要約・翻訳を行うGemini in ChatはStandard以上のプランで利用できると案内されています(2026年9月時点)。提供範囲は変わることがあるため、契約前に公式サイトで確認してください。

Q. SlackやMicrosoft Teamsとはどう選び分ければよいですか?

A. 社員が普段使っている業務ツールに合わせるのが基本です。GmailやGoogleドライブが中心ならGoogle Chat、Microsoft 365が中心ならTeams、多数の外部サービスと連携させたいならSlackが候補になります。試験導入で実際の使い勝手を比べることをおすすめします。

Q. 社外の取引先ともGoogle Chatでやり取りできますか?

A. 管理者の設定によっては、組織外のユーザーとチャットしたりスペースに招待したりできます。ただし情報漏えいを防ぐため、社外ユーザーを招待できる範囲や、社外とのスペースで扱ってよい情報を運用ルールで決めておくことが大切です。

Q. 申請・承認や掲示板もGoogle Chatでまとめて管理できますか?

A. Google Chatは会話とファイル共有が中心のため、稟議などの申請・承認や掲示板、設備予約を一元管理したい場合は、グループウェアとの併用や乗り換えが選択肢になります。チャットで扱う流れる情報と、掲示板や申請で残す情報を分けて考えると選びやすくなります。

チャットと合わせて、申請や掲示板も含めた社内コミュニケーション基盤を見直したい場合は、中小企業向けのグループウェア比較もあわせて確認してみてください。

まとめ|Google Chat導入前に確認したい4つのこと

Google Chatは、Google Workspaceを使う企業にとって、追加のログインなしで始められる手軽なビジネスチャットです。導入を検討する際は、次の4点を順に確認しておくと進めやすくなります。

  1. 業務利用は個人アカウントではなく、組織で管理できるGoogle Workspaceのアカウントで行う
  2. チャット以外に必要な機能(AI要約、ストレージ、会議の録画)からプランを選ぶ
  3. スペースの単位・公開範囲・命名ルールを決めてから、小さなチームで試す
  4. 申請・承認や掲示板などチャットの外に残る業務は、グループウェアとの併用も含めて基盤を決める

チャットは連絡を速くするための道具であり、社内の情報共有全体を1つで解決するものではありません。自社の業務のうち何をチャットに任せ、何を別の仕組みで残すのかを整理したうえで、ツールの組み合わせを選んでいきましょう。

参考文献

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