勤怠管理システムの管理者権限とは?設定できる機能と失敗しない運用ポイントを解説
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- 勤怠管理システムの管理者権限は、業務上必要な担当者に限定し、変更履行を確認できる体制にしておく
- 退職・異動が確定した時点で、管理者権限の削除・移譲を必ず行う
- 承認フローの最終承認者と代理承認者を事前に決めておく
勤怠管理システムの「管理者」とは、勤務パターンの設定や打刻ルールの変更、承認フローの管理、従業員アカウントの権限管理など、システム全体の運用にかかわる操作を行える利用者を指します。クラウド型の勤怠管理システムでは、管理者権限で設定できる範囲がサービスによって異なり、権限設計を誤ると承認の滞留や退職者アカウントの放置といった運用トラブルにつながります。本記事では、勤怠管理システムにおける管理者の役割と設定できる主な項目、業種別の使い分け、導入前に確認すべき法務上の論点、よくある失敗パターンまで整理して解説します。
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勤怠管理システムにおける「管理者」とは
勤怠管理システムの利用者は、大きく「管理者」と「一般従業員」の2つの権限区分に分かれるのが一般的です。一般従業員は自分の打刻・休暇申請・残業申請といった個人の操作に限定されるのに対し、管理者は勤務パターンの登録、打刻ルールの設定、承認フローの管理、従業員の権限区分の変更など、システム全体の設定操作を行えます。
クラウド型の勤怠管理システムには、ジョブカン勤怠管理(株式会社DONUTS)をはじめ多くの製品があり、いずれも「管理者」に相当する権限区分を設けている点は共通しています。ただし、設定できる項目の細かさや、権限を階層的に分けられるかどうかはサービスによって差があるため、自社の組織体制に合っているかを事前に確認する必要があります。
管理者権限で設定できる主な項目
管理者権限では、次のような項目を設定できるのが一般的です。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 勤務パターンの登録 | 固定時間制・シフト制・フレックスタイム制など、従業員ごとに異なる勤務形態を登録する |
| 打刻ルールの設定 | 打刻方法(ICカード・GPS・ブラウザ打刻等)や、打刻を許可する時間帯・場所の制限を設定する |
| 承認フローの管理 | 残業申請・休暇申請の承認者や承認の段階数を設定する |
| 有給・休暇の管理 | 有給休暇の付与日数・残日数の管理、取得状況の一覧確認 |
| 権限の階層設定 | 統括管理者・部門管理者・店舗管理者など、権限を階層的に分ける |
複数の部門や店舗を持つ企業では、本社の統括管理者がすべての設定を一元管理する運用だけでなく、各拠点の管理者に一部の権限を移譲する運用も選択肢になります。拠点ごとにシフトの傾向や打刻方法が異なる場合、統括管理者だけで細部まで管理しようとすると設定変更が滞りやすく、現場の実情に合わない勤務パターンが残ってしまうことがあります。拠点数が多い企業ほど、権限を何段階まで分けられるか、拠点管理者にどこまでの設定権限を持たせられるかが、勤怠管理システムを選ぶ際の重要な確認ポイントになります。
業種別に見る管理者権限の使い分け
管理者権限の使い分け方は、業種によって傾向が異なります。代表的な3業種の例を紹介します。
小売業・飲食業:店舗ごとの管理者権限
複数店舗を展開する小売業・飲食業では、各店舗の店長やシフトリーダーに店舗単位の管理者権限を持たせ、シフト作成や打刻データの一次確認を店舗側で行う運用が一般的です。本社の統括管理者は、全店舗の勤務パターンの統一ルールや、最終的な承認・集計業務を担う役割分担になることが多く見られます。
建設業:現場ごとの直行直帰と勤怠承認
建設業では、現場に直行直帰する従業員が多く、GPSやスマートフォンからの打刻を活用するケースが増えています。現場監督や工事担当者に現場単位の管理者権限を持たせ、現場ごとの勤怠データを確認したうえで本社に報告する二段階の承認フローを組む運用が見られます。
IT・専門サービス業:フレックスタイム制・裁量労働制の管理
フレックスタイム制や裁量労働制を採用するIT・専門サービス業では、標準的な勤務時間の概念が薄く、管理者は個々の従業員の総労働時間や深夜・休日労働の有無を中心に確認する運用になります。勤務パターンの設定を柔軟に行えるかどうかが、管理者権限を使ううえでの重要な確認点になります。
管理者権限の設定で確認すべき法務上の論点
勤怠管理システムの管理者権限を設定・運用するにあたっては、次のような法務上の論点を事前に確認しておく必要があります。
- 労働時間の適正な把握義務:厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)において、使用者が労働者の労働時間を客観的な方法で把握する原則的な考え方を示している。管理者権限で設定する打刻ルールや勤務パターンは、この考え方に沿った記録方法になっているかを確認する必要がある(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html 2026年8月8日取得)
- 労働者名簿・賃金台帳等の保存義務:労働基準法第109条は、労働者名簿・賃金台帳その他労働関係に関する重要な書類について、原則5年間の保存を義務づけている。同法第143条の経過措置により当分の間は3年間の保存でも認められているが、勤怠管理システムで記録するデータの保存期間の設定は、この法定保存期間を踏まえて確認しておく必要がある
- 従業員の勤怠・健康関連データの個人情報保護:勤怠データには従業員の労働時間や休暇取得状況などの個人情報が含まれ、健康情報を伴う場合はより慎重な取扱いが求められる。個人情報保護委員会は雇用管理分野における健康情報の取扱いに関する留意事項を公表しており、管理者権限を持つ担当者がアクセスできる範囲を必要最小限に設定することが望まれる(個人情報保護委員会「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」、https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ryuuijikou_health_condition_info/ 2026年8月8日取得)
本記事の法務論点に関する記載は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的判断については弁護士や社会保険労務士等の専門家に確認してください。
管理者権限の設定でよくある失敗パターン
失敗パターン1:管理者権限を必要以上に多くの従業員に付与してしまう
「念のため」といった理由で多くの従業員に管理者権限を付与すると、誰がいつ設定を変更したのかが分かりにくくなります。管理者権限は業務上必要な担当者に限定し、変更履行を確認できる体制にしておくことが回避策になります。
失敗パターン2:退職・異動した従業員の管理者アカウントを放置してしまう
退職や異動が発生しても管理者アカウントをそのまま残してしまい、不要な権限が残ったままになるケースがあります。退職・異動の手続きの中に、管理者権限の削除・移譲を必ず含めておくことが必要です。
失敗パターン3:承認フローの最終承認者を決めずに運用を始めてしまう
誰が最終的な承認者になるのかを明確にせずに運用を始めると、休暇・残業申請が月末に滞留し、給与計算の遅れにつながることがあります。承認フローの各段階の担当者と、不在時の代理承認者まで事前に決めておくことが回避策になります。
勤怠管理システムの選び方
管理者権限の観点から勤怠管理システムを選ぶ際は、次の点を確認すると判断しやすくなります。
| 確認観点 | 確認のポイント |
|---|---|
| 権限階層の柔軟性 | 統括管理者・部門管理者・店舗管理者など、何段階まで権限を分けられるか |
| 承認フローの設定範囲 | 承認者を複数人・多段階で設定でき、代理承認者も指定できるか |
| 打刻方法の対応幅 | ICカード・GPS・ブラウザ打刻など、現場の運用形態に合った打刻方法に対応しているか |
| 設定変更の履行管理 | 誰がいつ設定を変更したかを履行として確認できるか |
| サポート体制 | 導入時の設定支援や、運用中の問い合わせ対応の体制 |
特に複数の部門・店舗を抱える企業では、権限階層の柔軟性と承認フローの設定範囲が、日々の運用負荷を大きく左右します。自社の組織体制と照らし合わせて、どこまで権限を分けられるサービスが必要かを整理したうえで、複数の勤怠管理システムを横並びで比較検討することが有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 勤怠管理システムの「管理者」と「一般従業員」の権限はどう違いますか。
A. 管理者権限では勤務パターンや承認フローの設定、打刻ルールの変更、従業員アカウントの管理などシステム全体の設定操作が行えます。一般従業員の権限は、自分の打刻や休暇申請など個人の操作に限定されるのが一般的です。
Q2. 管理者権限は何人に付与すればよいですか。
A. 人数の目安は組織体制によって異なりますが、権限を持つ人数が多いほど設定変更の履行者が分かりにくくなります。業務上必要な担当者に限定し、変更履行を確認できる体制にしておくことが望まれます。
Q3. 部門や店舗ごとに管理者権限を分けることはできますか。
A. 多くのクラウド型勤怠管理システムでは、本社の統括管理者と部門・店舗ごとの管理者を分けて設定できる機能を備えています。拠点数が多い企業では、権限を何段階まで階層的に設定できるかが選定時の確認ポイントになります。
Q4. 退職した従業員の管理者アカウントはどう扱えばよいですか。
A. 退職・異動が確定した時点で速やかに権限を削除するか、他の担当者に権限を移譲することが基本です。放置すると不要な権限が残り、セキュリティ上のリスクにつながります。
Q5. ジョブカンなどのクラウド型勤怠管理システムでも管理者権限の考え方は共通していますか。
A. ジョブカン勤怠管理(株式会社DONUTS)をはじめとする主要なクラウド型勤怠管理システムでは、勤務パターンの設定や承認フローの管理を行う「管理者」に相当する権限区分が設けられている点は共通しています。ただし、設定できる項目の細かさや権限の階層数はサービスによって異なるため、導入前に比較検討することが重要です。
Q6. 管理者権限の設定を誤ると、どのような問題が起きますか。
A. 承認フローの最終承認者が決まっていないと申請が滞留したり、権限を持つ人数が多すぎると誰の操作か分からなくなったりするなど、運用上のトラブルにつながります。事前に権限設計を整理しておくことが重要です。
まとめ|今日からできる4つのこと
- 管理者権限で設定できる項目(勤務パターン・承認フロー・打刻ルール・権限階層)を洗い出す
- 部門・店舗ごとに権限を分ける必要がある場合は、権限階層の柔軟性を基準に複数の勤怠管理システムを比較検討する
- 労働者名簿・賃金台帳の保存義務や、従業員の勤怠・健康関連データの個人情報保護上の留意点を確認する
- 退職・異動者の管理者アカウント整理と、承認フローの最終承認者・代理承認者を事前に決めておく
勤怠管理システムの管理者権限は、勤務パターンや承認フローといった運用の土台を左右する重要な設定項目です。権限を必要最小限の担当者に限定し、退職・異動時の整理ルールを決めておくことで、日々の運用トラブルを防ぎやすくなります。部門・店舗が複数ある企業では、権限階層の柔軟性を基準にシステムを比較検討することが、長期的な運用負荷の軽減につながります。
参考文献
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」平成29年1月20日策定
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html 2026年8月8日取得 - 個人情報保護委員会「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ryuuijikou_health_condition_info/ 2026年8月8日取得 - 労働基準法第109条・第143条(労働者名簿・賃金台帳等の保存義務・経過措置)