文章校正とは?やり方・チェックリストとツールの選び方を解説

Check!

  • 文章校正で確認する10項目のチェックリストと、精度を上げる7つのコツがわかる
  • 文書の種類に応じて校正の深さを3段階で決める方法を押さえられる
  • 文章校正ツールの種類・選び方・料金相場と、導入時の注意点を確認できる

文章校正は、書き上げた文章の誤字脱字や表記のばらつきを見つけて正す作業です。メール1通、提案書1枚、Webサイトの1ページでも、誤りが残っていると内容そのものの信頼まで下がってしまいます。一方で、校正に時間をかけすぎると本来の業務が進まず、担当者ごとに確認の深さが違うと品質もそろいません。

本記事では、文章校正の意味と校閲・推敲・添削との違い、確認する項目のチェックリスト、精度を上げるやり方、文書の種類に応じた校正の深さの決め方、文章校正ツールの種類と選び方、料金相場の考え方までを順に解説します。あわせて、校正の手間そのものを減らすために、文章を作る段階から見直す方法も紹介します。

あなたに合う読み方を診断

Q1. 文章校正でいちばん解決したいことは?

目次

開く

閉じる

  1. 文章校正と合わせて検討したい、文章作成そのものの効率化とAIライティングツールの比較
  2. 文章校正とは|校閲・推敲・添削との違い
  3. 文章校正で確認する項目|誤字脱字・表記ゆれ・文体の違いとチェックリスト
  4. 文章校正のやり方|精度を上げる7つのコツ
  5. 文書の種類で変える校正の深さ|3段階の決め方
  6. 文章校正ツールとは|種類と主な機能
  7. 文章校正ツールの選び方|5つのポイント
  8. 文章校正ツールの料金相場|無料から法人向けプランまで
  9. 文章校正の活用シーン|社内文書・Webコンテンツ・広報物
  10. 生成AIで文章校正を行うときの進め方
  11. 文章校正ツール導入時の注意点とよくある失敗
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ|今日からできる4つのこと
  14. 参考文献

文章校正と合わせて検討したい、文章作成そのものの効率化とAIライティングツールの比較

文章校正の負担は、校正の前の工程で決まる部分が大きいものです。構成が固まらないまま書き始めた文章や、締め切り直前に急いで仕上げた下書きは、誤字脱字も言い回しの乱れも増え、校正で直す箇所が多くなります。校正のやり方やツールを見直すのと同時に、構成案づくりや下書きといった文章作成そのものを効率化できれば、校正にかかる時間も短くなります。

その選択肢の1つが、構成案や下書きの作成を支援するAIライティングツールです。以下は、ビジネスコンシェルジュの比較記事に掲載されている16のツールのうち、文章の品質チェックや社内文書への活用に関わる特徴を持つ3つと、ツールを使わない場合を並べたものです。

サービス名(運営会社) 文章作成まわりの強み 確認しておきたい点
EmmaTools(株式会社EXIDEA) 記事の構成からライティングまでAIが自動生成し、コピペチェックやファクトチェックなどのチェック機能を備える 3ヶ月間の導入支援プログラムは、基本的にはオプション対応
トランスコープ(シェアモル株式会社) 社内情報を学習させ、企画書やメール作成などにも活用できる カスタマーサクセスによるサポート内容は問い合わせで確認
ラッコキーワード(ラッコ株式会社) 無料から使え、AIによる記事タイトル・見出し・本文の草案生成機能がある AI記事生成内容の正確性は保証されないため、ファクトチェックが必要
ツールを使わず人が一から書く 追加費用がかからず、書き手の意図をそのまま反映できる 構成づくりと下書きに時間がかかり、書き手によって品質がばらつきやすい

AIライティングツールを使えば校正が不要になるわけではありません。表にあるとおり、AIが作った文章には事実の誤りが含まれることがあり、人による確認はむしろ欠かせなくなります。向いているのは、記事や資料を継続的に作っていて、構成づくりや下書きに時間を取られている場合です。作成する文章の量が少ないなら、人が書いて校正ツールで確認する方法で十分なこともあります。各ツールの特徴と選ぶ際のポイントは、比較記事でまとめて確認できます。

文章校正とは|校閲・推敲・添削との違い

文章校正とは、文章の誤字脱字、表記のばらつき、文法の誤りといった表記上の誤りを見つけて正す作業です。もともとは印刷物の制作で、元の原稿と試し刷りを照らし合わせて誤りを正す工程を指す言葉でしたが、現在はメールや社内文書、Webコンテンツなど、あらゆる文章の表記を整える作業を広く指して使われています。

似た言葉に校閲、推敲、添削があります。実務ではまとめて「校正」と呼ばれることも多いのですが、見る対象と行う人が異なります。違いを押さえておくと、誰がどこまで確認するのかを決めやすくなります。

作業 主に見るもの 主に行う人
校正 誤字脱字、表記ゆれ、文法の誤りなど表記上の誤り 書き手本人、または確認担当者
校閲 事実関係、数値、固有名詞、内容の矛盾など中身の誤り 内容がわかる確認担当者
推敲 表現や構成をより伝わる形に練り直すこと 書き手本人
添削 他人の文章に手を入れて、より良い形に直すこと 上司や指導役など書き手以外の人

校正と校閲の違いは校正とは?校閲との違いと効率化の方法で、添削との違いは添削とは?校正・校閲との違いを解説で詳しく扱っています。本記事では、文章校正を実際にどう進めるか、ツールをどう選ぶかという実務に絞って解説します。

なぜ文章校正が必要なのか

文章校正が必要な理由は大きく3つあります。1つ目は信頼の維持です。社名や人名の誤り、金額や日付の誤記は、相手に不快感を与えるだけでなく、取引上のトラブルにつながることがあります。2つ目は読みやすさです。同じ言葉の表記が文中でばらついていると、読み手は内容より表記の違いに気を取られます。3つ目は手戻りの防止です。公開後や送付後に誤りが見つかると、訂正の連絡や差し替えに、校正にかけるはずだった時間以上の手間がかかります。

文章校正で確認する項目|誤字脱字・表記ゆれ・文体の違いとチェックリスト

文章校正で確認する項目は、誤字脱字、表記ゆれ、文体・文法の3つに大きく分けられます。それぞれ原因も見つけ方も違うため、まとめて一度に見ようとすると見落としが増えます。項目ごとに分けて確認するのが基本です。

区分 内容 よくある例 見つけやすい方法
誤字脱字 文字の誤り、抜け、余分な文字、変換の誤り 「以外」と「意外」の取り違え、助詞の抜け、同じ文字の重複 音読、校正ツール
表記ゆれ 同じ言葉の書き方が文中でそろっていない状態 「問い合わせ」と「問合せ」、「サーバー」と「サーバ」、全角と半角の混在 検索機能、校正ツールの辞書登録
文体・文法 語尾の不統一、主語と述語のねじれ、助詞の誤りや重複 「です・ます」と「だ・である」の混在、「の」の連続、二重否定 時間を置いた読み直し、第三者の確認

そのまま使える文章校正チェックリスト10項目

確認する項目をあらかじめ決めておくと、担当者が変わっても同じ深さで校正できます。以下は、ビジネス文書やWebコンテンツで共通して使える10項目です。

  1. 誤字、脱字、余分な文字がないか
  2. 社名、人名、商品名、役職などの固有名詞が正式な表記になっているか
  3. 日付、曜日、金額、数量、電話番号などの数字に誤りがないか
  4. 同じ言葉の表記がそろっているか(漢字とひらがな、送り仮名、カタカナ語の長音)
  5. 全角と半角、数字と単位の書き方がそろっているか
  6. 語尾が「です・ます」か「だ・である」のどちらかにそろっているか
  7. 主語と述語が対応しているか、1文が長すぎないか
  8. 助詞の誤りや、同じ助詞・同じ語尾の連続がないか
  9. 敬語の使い方が適切か、二重敬語になっていないか
  10. 差別的な表現や、誇大な表現、根拠のない断定が含まれていないか

2と3は校閲に近い項目ですが、誤ったときの影響が大きいため、校正の段階でも必ず確認しておきたい項目です。10は、広告や広報物など社外に出す文章で特に重要になります。健康や医療、金融などの分野では表現に関する法令上のルールがあるため、該当する文章は専門部署や専門家の確認もあわせて行ってください。

文章校正のやり方|精度を上げる7つのコツ

文章校正の精度は、注意力よりも進め方で決まります。書いた直後の本人は内容を頭の中で補って読んでしまうため、誤りがあっても正しく読めてしまいます。この思い込みを外す工夫が、以下の7つです。

  1. 時間を置いてから読む:書いた直後ではなく、少し時間を空けてから読み直すと、読み手に近い目線で確認できます。急ぎの文章でも、別の作業を1つ挟むだけで違いが出ます。
  2. 声に出して読む:音読すると、黙読では飛ばしてしまう助詞の抜けや、リズムの悪い文、長すぎる文に気づきやすくなります。
  3. 表示を変えて読む:印刷する、文字の大きさや書体を変える、別の端末で開くなど、書いたときと見え方を変えると誤りが目に入りやすくなります。
  4. 確認する項目を1つずつ分ける:1回目は誤字脱字、2回目は数字と固有名詞、3回目は表記の統一というように、見る項目を絞って複数回読みます。
  5. 数字と固有名詞は元の資料と照らし合わせる:記憶に頼らず、見積書や名刺、公式サイトなどの元の情報と1つずつ突き合わせます。
  6. 検索機能と校正ツールを先に使う:表記ゆれや単純な誤字は、機械的な確認のほうが速く正確です。先にツールで拾い、人は文脈の確認に集中します。
  7. 書いた本人以外が読む:社外に出す重要な文章は、もう1人が読むダブルチェックを行います。内容を知らない人ほど、わかりにくい箇所に気づけます。

7つすべてを毎回行う必要はありません。次の章で説明するように、文書の種類に応じてどこまで行うかを決めておくのが現実的です。

文書の種類で変える校正の深さ|3段階の決め方

すべての文章を同じ深さで校正しようとすると、時間が足りなくなるか、重要な文書の確認が浅くなるかのどちらかになります。誤りがあったときの影響の大きさと、あとから訂正できるかどうかを基準に、文書を3段階に分けておくと、限られた時間を重要な文書に振り向けられます。

段階 文書の例 校正の進め方
軽い確認 社内チャット、社内メール、議事メモ 送信前に本人が1回読み直す。宛先と数字だけは必ず確認する
標準の確認 社外メール、提案書、マニュアル、ブログ記事 校正ツールで確認したうえで、本人がチェックリストに沿って読み直す
厳密な確認 契約関連の文書、プレスリリース、印刷物、料金や条件を示すページ 校正ツール、本人の確認に加えて、別の担当者によるダブルチェックと元資料との照合を行う

印刷物のように配布後の訂正が難しいもの、料金や契約条件のように誤りが金銭に直結するものは、厳密な確認に分類します。Webページのように公開後に修正できるものでも、多くの人の目に触れるページは標準以上の確認が必要です。この区分を部署内で共有しておくと、「どこまで確認すれば出してよいか」を担当者が毎回迷わずに済みます。

社内の表記ルールは公的な基準を土台にする

表記ゆれをなくすには、どちらの書き方に統一するかを決めた表記ルールが必要です。一から作るのは負担が大きいため、公的な基準を土台にして、自社特有の言葉だけを追加する方法が効率的です。漢字を使う範囲の目安としては、文化庁が公開している「常用漢字表」(平成22年内閣告示)があります。また、文化審議会が令和4年1月に建議した「公用文作成の考え方」は、読み手に伝わる文章を書くための考え方や、漢字とひらがなの使い分け、符号の使い方などを整理しており、民間の文書でも参考にできます。

これらを土台に、社名や商品名の正式表記、業界用語、カタカナ語の書き方など、自社でよくばらつく言葉を一覧にしておきます。最初から完全なものを目指さず、過去に実際に指摘された表記から登録していくと、使われるルールになります。

文章校正ツールとは|種類と主な機能

文章校正ツールとは、文章を入力すると、誤字脱字や表記ゆれ、文法の誤りなどを自動で検出して指摘するツールです。人の目による確認を置き換えるものではなく、機械的に見つけられる誤りを先に拾い、人が文脈の確認に集中できるようにするためのものです。仕組みと提供のされ方によって、次の4種類に分けられます。

種類 得意なこと 確認しておきたい点
文書作成ソフトの標準機能 追加費用なしで、書きながら誤字や表記ゆれの指摘を受けられる 指摘できる範囲は基本的なものが中心で、補助として使う位置づけ
ルールベース型の校正ツール 辞書とルールに基づいて、表記ゆれや禁止表現をもれなく検出する ルールにない誤りや、文脈に依存する誤りは検出しにくい
AI型の校正ツール 文脈を踏まえて、同音異義語の誤りや不自然な言い回しを指摘する 誤りでない箇所を指摘することがあり、採用するかは人が判断する
汎用の生成AI 指示の出し方しだいで、校正から言い換えの提案まで幅広く対応する 指示によって結果が変わり、意図しない書き換えが起こることがある

現在は、ルールベースとAIを組み合わせた校正ツールが増えています。主な機能としては、誤字脱字の検出、表記ゆれの検出、文法や敬語の確認、読みにくい表現の指摘、自社独自の言葉を登録できる辞書機能、チームで辞書やルールを共有する機能などがあります。公開されているほかの文章と似すぎていないかを調べる機能を備えたものもあります。AIを使った添削や判定ツールとの違いは、AI文章添削とチェッカーの違い|使い方と業務フロー・指示文の例で整理しています。

文章校正ツールの選び方|5つのポイント

文章校正ツールは、検出の精度だけでなく、誰がどの文書に使うのかを基準に選びます。確認しておきたいポイントは次の5つです。

1. 用途と確認できる範囲

誤字脱字の検出が中心なのか、表記の統一や表現の改善まで求めるのかで、合うツールは変わります。扱う文書の形式も確認します。貼り付けたテキストだけを確認するもの、文書ファイルやPDFを読み込めるもの、1回に確認できる文字数に上限があるものなど、対応範囲には差があります。

2. 辞書登録とルールのカスタマイズ

社名、商品名、業界用語など、自社独自の言葉を登録できるかを確認します。登録した辞書やルールをチーム全員で共有できれば、書き手が増えても表記をそろえやすくなります。使ってはいけない表現を登録して検出できる機能があると、広報物の確認にも役立ちます。

3. 対応言語

日本語の校正は、漢字とひらがなの使い分けや敬語など固有の難しさがあるため、日本語を前提に作られたツールかどうかで精度が変わります。英語の文書も扱う場合は、英語の校正に対応しているか、あるいは英語用のツールを併用するかを決めておきます。

4. ふだんの作業環境やAPIとの連携

校正のたびに別の画面へ文章を貼り付ける運用は、忙しいときほど省かれがちです。文書作成ソフトやブラウザ、メール、CMSなど、ふだん文章を書く場所でそのまま使えるかを確認します。自社のシステムに校正機能を組み込みたい場合は、APIが提供されているかも判断材料になります。

5. セキュリティとデータの取り扱い

入力した文章が提供元のサーバーに保存されるか、AIの学習に利用されるか、通信が暗号化されているかを、利用規約やプライバシーポリシーで確認します。未公開の情報や個人情報を含む文書を扱う部署では、この点が最も重要になります。

文章校正ツールの料金相場|無料から法人向けプランまで

文章校正ツールの料金は、無料で使えるものから、1人あたり月額数千円程度の個人・チーム向けプラン、利用人数や機能に応じて個別に見積もる法人向けプランまで幅があります。料金は改定されることがあるため、以下は執筆時点の一般的な目安とし、契約前に各サービスの公式サイトで最新の情報を確認してください。

区分 料金の目安 向いている使い方 確認しておきたい点
無料 0円 個人での試用、短い文章の確認 文字数や回数の上限、辞書登録の可否、業務利用が認められているか
個人・少人数向けの有料プラン 1人あたり月額数千円程度まで 日常的に文章を書く担当者、小規模なチーム 初期費用の有無、最低利用人数、契約期間
法人向けプラン 人数や機能に応じて変動、個別見積もりの場合もある 部署や全社での利用、辞書の共有や権限管理が必要な組織 管理機能、サポート体制、セキュリティ要件への対応

無料のツールから有料プランへ切り替える目安は3つあります。確認したい文章が文字数や回数の上限を超えるようになったとき、自社の言葉を辞書に登録して表記をそろえたくなったとき、複数人で同じルールを使いたくなったときです。料金体系には、利用者数に応じた定額のものと、確認した文字数に応じた従量課金のものがあります。月ごとに確認する文章の量が大きく変わる場合は、どちらが合うかを試算してから選ぶと、想定外の費用を避けられます。

文章校正の活用シーン|社内文書・Webコンテンツ・広報物

文章校正で重視する点は、文書の種類によって変わります。代表的な3つの場面で、どこに注意すればよいかを整理します。

社内文書・ビジネスメール

報告書、マニュアル、社外へのメールでは、宛名と敬称、日付、金額といった誤ると失礼や損害につながる箇所を優先して確認します。マニュアルや規程のように長く使われる文書は、書き手が複数になりやすく、表記ゆれが目立ちます。表記ルールと校正ツールの辞書をそろえておくと、改訂のたびに一から確認する手間を減らせます。

Webコンテンツ

自社サイトのページやブログ記事は、複数の書き手や外部のライターが関わることが多く、文体や表記のばらつきが出やすい場面です。公開後に修正できるとはいえ、誤りを含んだまま検索結果やSNSで広がることもあるため、公開前の確認手順を決めておきます。記事の数が増えるほど、校正だけでなく構成づくりや下書きにかかる時間も積み上がっていきます。

広報物・印刷物

プレスリリース、パンフレット、チラシなどは、配布後の訂正が難しく、誤りの影響が大きい文書です。日時、場所、価格、問い合わせ先は元の資料と照らし合わせ、別の担当者によるダブルチェックを行います。効果や性能に関する表現は、根拠のない強調になっていないかも確認が必要です。

作成から校正までを1つの流れで考える

3つの場面に共通するのは、校正の負担が、作る文章の量と下書きの質に比例して増えることです。特にWebコンテンツのように継続して記事を作る業務では、構成案を考える、下書きを書く、校正する、公開するという流れのうち、校正だけを速くしても全体の時間はあまり変わりません。構成案や下書きの作成をAIライティングツールで支援し、人は事実確認と仕上げの校正に時間を使うという分担にすると、同じ人数でも確認の質を保ちやすくなります。ツールによって、記事の品質を点数で示す機能、ほかの文章との重複を調べる機能、社内の情報を学習させて企画書やメールの作成に使える機能など、得意分野が異なります。

生成AIで文章校正を行うときの進め方

生成AIを文章校正に使う場合は、AIを1回目の確認役とし、最終確認は人が行うという役割分担が基本です。汎用の生成AIは、指示の出し方によって結果が大きく変わります。次の3点を指示に含めると、意図しない書き換えを防ぎやすくなります。

  • 作業の範囲を限定する:「誤字脱字と表記ゆれだけを指摘し、文章の内容や言い回しは変えない」と明示します。範囲を示さないと、校正を頼んだつもりが文章全体を書き換えられることがあります。
  • 修正箇所を一覧で出させる:修正後の全文だけを受け取ると、どこが変わったのかを確認できません。「修正前、修正後、理由」を一覧で出すよう指示し、採用するかどうかを人が1つずつ判断します。
  • 自社の表記ルールを渡す:統一したい表記の一覧をあわせて示すと、表記ゆれの指摘の精度が上がります。

生成AIは、数値や固有名詞の正しさを保証するものではありません。もっともらしい誤りを含むことがあるため、事実関係の確認は元の資料に当たって人が行います。AIに文章そのものを作らせた場合は、校正に加えて内容の確認がより重要になります。文章作成にAIを使う際の基本と注意点は、AI文章作成とは?使い方と法律上の注意点も参考にしてください。

文章校正ツール導入時の注意点とよくある失敗

導入時に最も注意したいのは、入力する文章に含まれる情報の取り扱いです。校正する文章には、未公開の事業情報や、取引先・顧客の個人情報が含まれることがあります。個人情報保護委員会は2023年6月に公表した「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」で、事業者が生成AIサービスに個人情報を含む内容を入力する場合には、利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認することなどを求めています。また、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、AIを業務で利用する事業者に向けて、適正な利用やプライバシー保護、セキュリティ確保などの考え方を示しています。

実務では、入力してよい情報の範囲を社内ルールとして決めること、会社として利用を認めるツールを定めること、利用規約でデータの保存や学習への利用の有無を確認することが基本になります。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の取り扱いについては、各法令やガイドラインの原文を確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

よくある失敗パターンと対策

失敗パターン 起こること 対策
ツールの結果をそのまま信じる 指摘されなかった誤りが残る。主語と述語のねじれや事実の誤りは検出されにくい ツールは1回目の確認と位置づけ、重要な文書は人の目で仕上げる
指摘をすべて反映する 誤りでない箇所まで直し、意味が変わったり不自然な文になったりする 指摘は提案として扱い、採用するかどうかを1つずつ判断する
表記ルールを決めずに導入する 表記ゆれを指摘されても、どちらに統一するか決まらず放置される よく使う言葉から統一表記を決め、ツールの辞書に登録する
機密情報をそのまま入力する 未公開情報や個人情報が社外のサーバーに送られる 入力してよい情報の範囲を決め、データの取り扱いを利用規約で確認する
作業環境に合わないツールを選ぶ 貼り付けの手間が嫌われ、使われなくなる ふだん文章を書く場所で使えるかを、無料の試用期間に確かめる

導入後は、効果を簡単に振り返る仕組みを持っておくと、費用に見合っているかを判断できます。レビューで指摘される誤字や表記ゆれの件数が減ったか、文書1件あたりの確認の往復が減ったかを、数か月の単位で比べる方法が手軽です。誤った指摘が多いと感じる場合は、辞書やルールの登録を見直すことで改善することがあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 文章校正と校閲の違いは何ですか?

A. 校正は誤字脱字や表記ゆれなど表記上の誤りを正す作業、校閲は事実関係や数値、内容の矛盾など中身の誤りを確認する作業です。実務ではまとめて行われることも多いのですが、見る対象が違うため、分けて確認すると見落としを減らせます。

Q2. 文章校正は無料のツールだけでも十分ですか?

A. 個人が短い文章を確認する用途であれば、無料のツールや文書作成ソフトの標準機能でも役立ちます。ただし、文字数や回数に上限があることや、辞書登録やチームでの共有ができないことが多いため、複数人で表記をそろえたい場合は有料プランの検討が必要になります。業務で使う場合は、利用規約で業務利用が認められているかも確認してください。

Q3. 文章校正ツールを使えば、人による確認は不要になりますか?

A. 不要にはなりません。ツールは誤字や表記ゆれの検出が得意ですが、主語と述語のねじれ、事実の誤り、文脈に合わない表現は見逃すことがあります。ツールを1回目の確認に使い、重要な文書は人が仕上げの確認を行う組み合わせが基本です。

Q4. 生成AIに文章校正を頼むときのコツはありますか?

A. 「誤字脱字と表記ゆれだけを指摘し、内容は変えない」と作業の範囲を限定し、修正前、修正後、理由を一覧で出すよう指示することです。修正箇所を人が1つずつ確認できる形にしておくと、意図しない書き換えを防げます。個人情報や未公開の情報は入力しないようにします。

Q5. 表記ゆれをなくすには何から始めればよいですか?

A. 過去に実際にばらついた言葉を集め、どちらに統一するかを決めた一覧を作ることから始めます。漢字の使い方などは文化庁の「常用漢字表」や「公用文作成の考え方」を土台にし、社名や商品名、業界用語など自社特有の言葉を追加していくと、少ない手間で表記ルールを整えられます。

Q6. 校正する文章の量が多く、作成にも時間がかかっています。どうすればよいですか?

A. 校正だけでなく、構成づくりや下書きを含めた文章作成の流れ全体を見直すことをおすすめします。構成案や下書きの作成を支援するAIライティングツールを使い、人は事実確認と仕上げの校正に時間を使う分担にすると、全体の時間を短くしやすくなります。AIが作った文章は誤りを含むことがあるため、校正と内容の確認は必ず行ってください。

まとめ|今日からできる4つのこと

文章校正は、注意力に頼るのではなく、確認する項目と進め方を決めておくことで精度が上がります。まずは次の4つから始めてみてください。

  1. チェックリストを決める:本記事の10項目をもとに、自部署で確認する項目を決めて共有します。
  2. 文書を3段階に分ける:軽い確認、標準の確認、厳密な確認のどれに当たるかを決め、重要な文書に時間を振り向けます。
  3. 表記ルールを作り、ツールに登録する:公的な基準を土台に、自社でよくばらつく言葉の統一表記を決め、校正ツールの辞書に登録します。
  4. 文章を作る工程から見直す:校正で直す量が多いと感じたら、構成づくりや下書きの進め方を見直します。AIライティングツールの特徴を比較し、自社の文章作成に合うものがあるかを確認します。

参考文献

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top