会計システムの選び方|勘定奉行クラウドの機能とグループ企業の連結対応まで解説
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- 勘定奉行クラウドの位置づけと主な機能、インストール型との違いがわかる
- 会計システム選びで確認したい連携範囲・拠点管理・データ移行のポイントがわかる
- 単体企業とグループ企業で変わる、連結決算まで見据えた選び方がわかる
「長年使ってきたインストール型の会計ソフトをクラウドに切り替えるべきか」「勘定奉行のクラウド版は自社に合うのか」「子会社が増えてきたが、今の会計システムのままで連結決算まで回せるのか」。会計システムの見直しを検討する経理担当者や経営者からは、こうした悩みがよく聞かれます。
この記事では、企業向け会計システムの代表的な製品である勘定奉行(クラウド版)の位置づけと主な機能を整理したうえで、会計システムのクラウド化が進む背景、選び方のポイント、単体企業とグループ企業で変わる選択肢、よくある失敗パターンまでを解説します。特定の製品を前提にせず、自社の規模と企業形態に合う会計システムを選ぶための判断材料としてご活用ください。
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クラウド会計システムの比較|単体会計と連結会計の2サービス
会計システムを選ぶときは、まず「1社の会計をクラウド化したいのか」「グループ全体の連結決算を効率化したいのか」を分けて考えると、候補を絞り込みやすくなります。単体の会計処理と連結決算は、必要な機能もデータの流れも異なるためです。ここでは、それぞれの目的に対応する2サービスを比較の一例として紹介します。どちらにも向いているケースと留意点があります。
| 比較項目 | マネーフォワード クラウド会計 | マネーフォワード クラウド連結会計 |
|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社マネーフォワード | 株式会社マネーフォワード |
| 主な用途 | 1社の日々の仕訳・帳簿・決算書作成をクラウドで行う | 親会社・子会社の財務データを集約し、連結決算をクラウドで行う |
| 向いているケース | 小規模から中堅の企業で、単体の会計をクラウド化したい | 複数の子会社を持ち、各社の会計システムを変えずに連結決算を効率化したい |
| 主な強み | 2,400社以上の金融機関等と連携し明細を自動取得。AIが仕訳を学習して勘定科目を提案。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応 | グループの経営状況をリアルタイムで把握。他社会計システムのデータもExcelのまま取り込み可能。勘定科目のAIサジェスト、英語表示・外貨換算に対応 |
| 導入・サポート | メール・チャットでのサポート、学習コンテンツ、無料トライアルあり | 最短1か月で導入した事例あり。初期設定から専任担当者がサポート |
| 留意点 | 誤った仕訳もAIが学習するため、初期の入力は慎重さが必要。費用対効果を高めるには同シリーズの他製品との連携が前提になりやすい | 個社ごとのシステムカスタマイズは不可。機能アップデートは全ユーザー一律でタイミングを選べない |
選び分けの目安は、「単体の会社の経理をクラウドに移し、日々の入力を減らしたい」ならマネーフォワード クラウド会計、「子会社の会計システムはそのままに、連結決算の集計と組み替えを効率化したい」ならマネーフォワード クラウド連結会計です。なお、後述する勘定奉行クラウドのように、単体会計で多拠点管理や業種別の機能を重視する選択肢もあります。まずは単体会計向けのサービスの詳細を確認してみてください。
ここがおすすめ!
- 面倒な帳簿・レポート・決算書を自動作成
- 金融機関の入出金データを自動取得してリアルタイムで数字を共有
- 他サービスとの連携で勤怠管理やマイナンバー管理が可能
ここが少し気になる…
- ある程度の簿記知識が必要な場合も
-
年度繰り越しもあっという間にできるし、確定申告も決められた所に数字を入れれば簡単にできるので助かっています。 また分からないことがあっても、AIにはなりますが24時間いつでも聞けるのが魅力的です。だいたい聞いたら解決できます。
-
これまで手入力していた取引データの記帳作業が大幅に削減され、経理作業の時間が約半分になりました。特に仕訳の自動提案機能が優秀で、経理知識が浅い自分でも運用できる点が大きなメリットです。また、リアルタイムで損益を把握できるようになったため、経営判断が早くなったことも効果として実感しています。
-
日々の仕訳入力が大幅に削減され、手作業で行っていた会計処理が8割ほど減りました。特に銀行連携による自動仕訳、確定申告、年末調整、社会保険や給与計算までの連携が非常に強力で、人的ミスや作業時間の大幅な削減につながっています。
実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある会計ソフトの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド会計」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。
勘定奉行とは|クラウド版の機能・料金体系
勘定奉行は、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する「奉行シリーズ」の会計システムで、現在はクラウド版の「勘定奉行クラウド」が主流です。もともとはパソコンやサーバーにインストールして使うパッケージ型として長く中堅・中小企業に使われてきた製品で、クラウド版ではインターネット経由で利用する形に変わっています。
インストール型とクラウド型の違い
勘定奉行には、クラウド型の「勘定奉行クラウド」と、インストール型の製品があります。両者の違いは、会計システム全般のクラウド型とオンプレミス型の違いとほぼ同じです。
| 項目 | クラウド型 | インストール型 |
|---|---|---|
| 利用場所 | インターネット環境があれば社外や自宅からも利用できる | 原則としてソフトを入れたパソコンや社内ネットワークで利用する |
| 法改正・バージョンアップ | 提供側で自動的に反映される | 更新プログラムの適用や入れ替えを自社で行う |
| サーバー・バックアップ | 提供側のデータセンターで管理される | 自社で機器とバックアップを管理する |
| 費用の払い方 | 月額や年額の利用料が中心 | 購入費用と保守契約が中心 |
| カスタマイズ・オフライン利用 | 範囲は提供される機能の中に限られる | 比較的柔軟で、ネット接続がなくても使える |
勘定奉行クラウドの主な機能
公式情報や比較メディアで紹介されている勘定奉行クラウドの主な特徴は、次のとおりです。
- AIによる自動仕訳:銀行口座の入出金明細などを取り込み、仕訳を自動で起票する機能があり、提供元は仕訳処理の時間を大きく減らせると案内しています。
- 他システムとのAPI連携:販売管理、POSレジ、経費精算、業務アプリなど外部サービスとの連携に対応しています。
- 多拠点・グループの管理:アクセス権の設定により、本社が複数拠点の会計データをまとめて管理する運用ができます。
- 法制度への対応:電子帳簿保存法やインボイス制度の改正内容がクラウド上で反映されます。
- データ移行の支援:インストール型の奉行シリーズなどからの移行手順が用意されています。
料金体系とプランの考え方
勘定奉行クラウドは、企業の規模や用途に応じて複数のプラン(システム)が用意されており、プランによって処理できる仕訳件数や使える機能が異なります。費用は利用するユーザー数に応じて増える仕組みで、会計事務所などの専門家が使うアカウントも考慮する必要があります。また、建設業向けなど業種特化の製品もあり、業種によって機能や価格体系が異なります。
具体的な金額はプラン構成や契約条件で変わり、改定されることもあるため、この記事では記載していません。検討する際は、提供元の公式サイトで最新の料金を確認し、無料トライアルで自社の仕訳件数と運用に合うかを試すのが確実です。料金を比べるときは、月額の利用料だけでなく、ユーザー追加の費用、オプション機能、周辺システムとの連携にかかる費用まで含めて比較しましょう。
会計システムのクラウド化が進む背景|インボイス制度・電子帳簿保存法
会計システムのクラウド化が進んでいる大きな理由は、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応で、経理業務の手順とデータの保存方法そのものが変わったことです。法制度の変更に合わせて自社でソフトを更新し続ける負担が大きくなり、提供側が自動で対応するクラウド型が選ばれやすくなりました。
2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、仕入税額控除を受けるために、登録番号の記載された適格請求書を受け取り、保存することが原則として求められます(出典:国税庁「特集 インボイス制度」)。経理の現場では、受け取った請求書が適格請求書の要件を満たすかの確認や、税率ごとの区分経理といった作業が増えています。
電子帳簿保存法では、電子メールやWebサイトで受け取った請求書・領収書などの電子取引データを、紙に印刷せずデータのまま一定の要件を満たして保存することが求められています(出典:国税庁「電子帳簿保存法関係」)。会計システムと証憑の保存方法をあわせて見直す必要が出てきたことも、クラウド化を後押ししています。書類の保管全般を整理したい場合は、文書管理システムの比較記事も参考になります。
なお、制度の適用範囲や経過措置は改正されることがあります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務上の個別の判断については、国税庁の最新の資料を確認するか、税理士などの専門家に相談してください。
もう1つの背景は、働き方と人手の変化です。テレワークでも経理処理や承認ができること、少ない人数で月次決算を早く締めることが求められるようになり、銀行やカードの明細を自動で取り込んで仕訳を作る機能の価値が高まっています。中小企業庁も、中小企業が経営の状況を把握するために会計を活用することを「中小企業の会計」のページで勧めており、会計データを早くまとめて経営判断に使う流れは今後も続くと考えられます。
会計システムの選び方|確認したい3つのポイント
会計システムを選ぶときは、機能の多さよりも「他システムとの連携範囲」「複数拠点・グループ会社の管理方法」「データ移行のしやすさ」の3点を自社の状況に当てはめて確認することが大切です。ここを見落とすと、導入後に手作業が残ったり、移行でつまずいたりします。
他システム連携の範囲
会計システムに入るデータの多くは、銀行口座、クレジットカード、請求書発行、経費精算、給与計算、販売管理といった周辺の業務から来ます。これらと自動でつながっていないと、CSVファイルの出し入れや手入力が残り、クラウド化しても作業量はあまり減りません。確認するときは、連携できるサービスの一覧だけでなく、「明細が自動で取り込まれるのか、ファイルを手で取り込むのか」「取り込んだデータから仕訳まで自動で作られるのか」という連携の深さまで見ましょう。
とくに毎月発生する給与の仕訳と請求書の売上計上は、連携の効果が出やすい部分です。周辺システムもあわせて見直す場合は、給与計算ソフトの比較記事や請求書発行システムの比較記事で連携方式を確認しておくと、全体の設計がしやすくなります。
複数拠点・グループ会社の管理
拠点が複数ある企業では、各拠点が入力した仕訳を本社がまとめて確認できるか、拠点ごとに見られる範囲を制限できるかが重要です。勘定奉行クラウドのように、アクセス権の設定で本社が一括管理できるシステムは、1つの法人の中で支店や事業所が分かれているケースに向いています。
一方で、子会社が別の法人として存在するグループ企業では、話が変わります。子会社ごとに会計システムが異なっていたり、海外子会社が現地のシステムを使っていたりすると、単体の会計システムの機能だけでは連結決算の作業が楽になりません。連結決算では、各社の財務データを集め、勘定科目を連結用の科目にそろえ、グループ内の取引や債権債務を相殺消去する作業が必要になるためです。このような場合は、各社の会計システムはそのままに、連結決算の部分だけをクラウドで集約する連結会計システムを組み合わせる方法が現実的です。
マネーフォワード クラウド連結会計は、同シリーズの会計システムとはAPIで連携し、それ以外の会計システムのデータはExcelファイルのまま取り込めるため、グループ各社が異なる会計システムを使っていても導入しやすい設計です。勘定科目のAIサジェストで連結科目への組み替えを効率化でき、英語表示と外貨換算にも対応しています。ただし、個社ごとのカスタマイズには対応していないため、独自の連結ルールが多い企業は事前に対応範囲を確認しておきましょう。
株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド連結会計
株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド連結会計
短期間かつ低コストで導入したい中堅から上場企業におすすめ

評判・口コミを紹介
優れたUI/UXの効果として、メンバーの早期戦力化も挙げられます。教育コストが抑えられると同時にメンバーの成長も加速しており、2023年4月に経理未経験で入社をしたメンバーもすでに問題なく使いこなせています。それにより、既存メンバーの業務時間も大幅に削減されました。
連結会計の導入事例(株式会社日輪)|株式会社マネーフォワード
ここがおすすめ!
- クラウドなので経営状況を「リアルタイム」で確認でき、同時操作も行える
- シンプルで誰でも扱いやすい設計により、コミュニケーションコストを削減
- WindowsはもちろんMacにも対応し、最短1ヶ月での導入が可能
ここが少し気になる…
- 「マネーフォワード クラウド会計」及び「マネーフォワード クラウド会計Plus」以外の会計システムは今後API連携の予定
-
連結決算業務の工数を約3分の1に削減できました。Excelでの手作業に比べて、圧倒的な効率化を実感しています。 さらに、システム導入の過程で過去の連結決算における入力ミスも発覚し、正確な数値に修正できたことは予想外の成果でした。専門知識を持つ担当者がいなくても、正確かつ効率的に連結決算が行えるようになった点が、本サービスの最大の貢献だと感じています。
データ移行のしやすさ
会計システムの切り替えでは、勘定科目、補助科目、取引先、部門といったマスタ情報と、期首残高や過去の仕訳データをどう移すかが課題になります。移行元のソフトからデータを書き出す形式と、移行先が取り込める形式が合うか、移行手順書や導入支援が用意されているかを確認しましょう。勘定奉行クラウドのように同じシリーズのインストール型からの移行手順が用意されている製品や、他社ソフトやExcelからのインポート機能を備えた製品もあります。
移行のタイミングは、期首に合わせるのが基本です。期の途中で切り替えると、同じ期の仕訳が2つのシステムに分かれ、決算時の確認作業が増えます。また、移行は勘定科目や部門の設計を見直すよい機会でもあります。使っていない科目や細かすぎる補助科目を整理してから移すと、移行後の入力と集計がシンプルになります。
企業形態・業種別の会計システムの選び方
会計システムの最適な選び方は、単体の中小企業か、子会社を持つグループ企業か、そして業種によって大きく変わります。自社がどのケースに当てはまるかを先に決めておくと、比較する製品を絞り込めます。
| 企業形態 | 重視したい点 | 検討しやすい構成 |
|---|---|---|
| 単体の小規模企業 | 操作の分かりやすさ、明細の自動取込、税理士との共有 | クラウド会計ソフト単体 |
| 単体の中堅企業・複数拠点 | 拠点別の権限管理、部門別集計、承認フロー、周辺システム連携 | 多拠点管理に強いクラウド会計システム |
| 子会社を持つグループ企業 | 各社データの収集、科目の組み替え、グループ内取引の相殺 | 各社の単体会計システムと連結会計システムの組み合わせ |
| 建設業など業種特有の会計がある企業 | 工事別の原価管理、業種特有の勘定科目や帳票 | 業種特化の会計システム、または原価管理システムとの連携 |
単体・中小企業の場合
1つの法人で経理を完結させる中小企業では、日々の入力をどれだけ減らせるかが最も効果の大きいポイントです。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、仕訳の候補を出してくれる機能があれば、手入力と転記ミスを減らせます。顧問税理士と同じデータを共有できるかどうかも確認しておくと、月次の確認や決算のやり取りがスムーズになります。経理担当者が1人か2人という企業では、サポート体制と学習用コンテンツの充実度も選定の大事な基準です。
拠点や部門が増えてきた中堅企業では、部門別の損益集計や承認フロー、権限管理の細かさが必要になります。勘定奉行クラウドのように中堅企業での利用実績が多い製品は、こうした管理機能を重視する場合の候補になります。個人事業主や設立直後の小さな法人であれば、個人事業主向け会計ソフトの比較記事で紹介しているような、よりシンプルな製品のほうが合う場合もあります。
グループ会社・複数子会社を持つ企業の場合
子会社を持つ企業で見落とされやすいのが、「単体の会計システムを高機能なものに入れ替えれば、連結決算も楽になる」という思い込みです。実際には、連結決算の手間の多くは、子会社からのデータ回収、科目のそろえ直し、グループ内取引の突き合わせといった、各社の会計システムの外側で発生しています。子会社がそれぞれ別の会計システムを使っている場合、全社のシステムを統一するには大きな時間と費用がかかります。
そこで検討したいのが、「単体会計」と「連結会計」を分けて考える方法です。各社は使い慣れた会計システムを使い続け、連結決算に必要なデータだけをクラウドの連結会計システムに集めます。こうすれば、子会社の経理担当者の負担を増やさずに、親会社がグループ全体の数字を早く把握できるようになります。M&Aで子会社が増えた場合も、その会社の会計システムを入れ替えずに連結の対象へ加えやすくなります。
建設業など業種特化の機能が必要な場合
建設業では、工事ごとに原価を集計し、完成工事原価や未成工事支出金といった業種特有の勘定科目で処理する必要があります。汎用の会計システムでも部門やプロジェクトのコードを使えばある程度は対応できますが、工事台帳や業種特有の帳票まで作りたい場合は、勘定奉行クラウドの建設業向け製品のような業種特化版や、原価管理システムとの連携を検討したほうが効率的です。業種特化版は汎用版と機能や価格体系が異なることが多いため、同じシリーズでも別の製品として比較しましょう。
会計システム選定でよくある失敗パターン
会計システムの選定でつまずく原因の多くは、機能不足ではなく「将来の企業形態の変化」「周辺業務とのつながり」「移行の段取り」を見落とすことにあります。スイッチを切り替えると、それぞれの回避策を確認できます。
失敗パターン1:連結決算への対応を考えずに選んだ。子会社が増えた後、各社のデータ集計と科目の組み替えがExcel頼みになった。
失敗パターン2:会計システムだけをクラウド化した。給与や請求書のデータは手作業で転記したままで、入力の手間がほとんど減らなかった。
失敗パターン3:期の途中で旧システムの設定をそのまま移した。使っていない科目も引き継がれ、決算時に2つのシステムのデータを突き合わせる作業が発生した。
3つの失敗に共通しているのは、会計システムを「今の経理業務をそのまま置き換える道具」として選んでいることです。会計システムは一度入れると5年、10年と使い続けることが多いため、今の業務だけでなく、数年後の企業の形と、周辺の業務とのつながりまで含めて選ぶ必要があります。とくに子会社を持つ予定がある企業は、単体の会計システムに連結の機能まで求めるのか、連結会計を別に用意するのかを、選定の最初の段階で決めておくと後戻りを防げます。
また、クラウド会計システムは提供側が機能を一律に更新するため、インストール型のように自社専用のカスタマイズを重ねる運用とは相性がよくありません。独自の帳票や集計ルールが多い企業は、それをシステムの標準機能で置き換えられるか、業務のほうを標準に合わせられるかを事前に検討しておきましょう。
会計処理にかかる時間コストを数値で確認する
仕訳入力にかかる時間は、「月間の仕訳件数×1件あたりの処理時間」でおおよそ見積もることができます。明細の自動取込と自動仕訳で削減できる割合を仮に置くと、会計システムの見直しで取り戻せる時間の目安が分かります。以下のシミュレーターで、自社の状況を入力して試算してみてください。
簡易シミュレーター:仕訳入力の時間を試算
自動化により、毎月約8.3時間、年間で約100時間の削減が見込めます。
※入力した条件にもとづく簡易計算です。実際の削減効果は取引の内容、連携できる金融機関やサービス、運用方法によって異なります。
試算した時間は、経理担当者が月次決算の分析や資金繰りの確認など、より付加価値の高い業務に回せる時間です。システムの利用料だけを比べるのではなく、こうした時間コストと比べて判断すると、社内で導入の妥当性を説明しやすくなります。グループ企業の場合は、これに加えて、子会社からのデータ回収や連結用の組み替えにかかる時間も含めて考えると、連結会計システムを導入する意味がより明確になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 勘定奉行とはどのような会計システムですか?
A. 株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する奉行シリーズの会計システムです。インストール型として長く中堅・中小企業に使われてきた製品で、現在はインターネット経由で利用するクラウド版の勘定奉行クラウドが主流になっています。
Q2. 勘定奉行クラウドとインストール型の違いは何ですか?
A. クラウド型はインターネット環境があれば場所を選ばず使え、法改正への対応やバージョンアップが自動で反映されます。インストール型はカスタマイズの自由度が比較的高くオフラインでも使えますが、更新作業やサーバー・バックアップの管理を自社で行う必要があります。
Q3. 勘定奉行クラウドの料金はどう決まりますか?
A. 企業の規模や用途に応じた複数のプランがあり、処理できる仕訳件数や機能、利用するユーザー数によって費用が変わります。料金は改定されることがあるため、最新の金額は提供元の公式サイトで確認し、無料トライアルで自社の運用に合うかを試すのが確実です。
Q4. 会計システムをクラウド化すると電子帳簿保存法やインボイス制度に対応できますか?
A. 多くのクラウド会計システムは法改正の内容を自動で反映しますが、対応範囲はサービスによって異なります。電子取引データの保存要件や適格請求書の管理にどこまで対応しているかを事前に確認し、個別の税務判断は国税庁の資料や税理士に確認してください。
Q5. 子会社が増えた場合、会計システムはどう選べばよいですか?
A. 単体の会計システムを入れ替えるだけでは、子会社からのデータ回収や科目の組み替えといった連結決算の手間は減りにくいのが実情です。各社の会計システムはそのままに、連結決算だけをクラウドで集約する連結会計システムを組み合わせる方法を検討するとよいでしょう。
Q6. 会計システムを移行するときの注意点は何ですか?
A. 移行は期首に合わせるのが基本で、期の途中で切り替えると同じ期のデータが2つのシステムに分かれます。移行前に勘定科目や補助科目を整理し、移行元から書き出すデータの形式と移行先の取り込み方法が合うかも確認しておきましょう。
まとめ|会計システム見直しの4つのステップ
勘定奉行は、OBCが提供する奉行シリーズの会計システムで、現在はクラウド版が主流です。インボイス制度と電子帳簿保存法への対応をきっかけに、会計システムのクラウド化は多くの企業で検討課題になっています。自社に合う会計システムを選ぶために、次の4つのステップで整理してみてください。
- 企業形態を確認する:単体の企業か、複数拠点か、子会社を持つグループ企業かを整理します。
- 単体会計と連結会計を分けて考える:グループ企業は、連結決算を単体の会計システムに任せるのか、連結会計システムを組み合わせるのかを決めます。
- 周辺システムとの連携を確かめる:銀行口座、給与、請求書、経費精算のデータがどこまで自動で仕訳になるかをトライアルで確認します。
- 移行計画を立てる:期首に合わせたスケジュールを組み、勘定科目を整理してから移行します。
会計システムは長く使い続ける経営の基盤です。製品の知名度だけで決めるのではなく、自社の今と数年後の姿に合った構成を選び、経理業務の負担を減らしていきましょう。
参考文献
- 国税庁「特集 インボイス制度」、2026年9月24日確認
- 国税庁「電子帳簿保存法関係」、2026年9月24日確認
- 中小企業庁「中小企業の会計」、2026年9月24日確認
