クラウド会計ソフトとは?仕組みと導入のメリット・注意点をわかりやすく解説

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  • クラウド会計ソフトとオンプレミス型の違いが仕組みからわかる
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応で確認すべき点がわかる
  • 給与計算ソフトなど周辺システムとの連携メリットも解説

クラウド会計ソフトは、パソコンにインストールする従来型(オンプレミス型)の会計ソフトと異なり、インターネット経由でブラウザからアクセスして使う会計ソフトです。個人事業主や創業間もない企業であれば、サーバー管理の手間をかけずに複数の端末から仕訳を入力できる点が使いやすさにつながります。中小企業では、経理担当者と会計事務所が同じデータをリアルタイムで共有できる点が業務の分担に役立ちます。中堅・大企業では、拠点をまたいだ経理業務の統合や、他システムとのデータ連携のしやすさが導入判断の軸になります。この記事では、クラウド会計ソフトの仕組み、オンプレミス型との違い、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応、選び方のポイントを整理して解説します。

目次

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  1. クラウド会計ソフトとは|オンプレミス型との違い
  2. クラウド会計ソフトの主な機能
  3. 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応(法務上の留意点)
  4. 業界別に見る活用のポイント
  5. 会計データと給与計算業務を連携させる視点
  6. 導入時につまずきやすい点
  7. クラウド会計ソフトの選び方
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|今日からできる4つのこと
  10. 参考文献

クラウド会計ソフトとは|オンプレミス型との違い

クラウド会計ソフトとは、サービス提供会社のサーバー上で稼働する会計ソフトに、インターネット経由でアクセスして利用する形態を指します。自社でサーバーやソフトウェアを設置するオンプレミス型と異なり、ソフトウェアのインストールやバージョンアップ作業が原則不要で、法令改正への対応も提供会社側で行われることが一般的です。

総務省が公表する令和7年版情報通信白書によると、企業におけるクラウドサービス全般の利用は2024年時点で80.6%に達しており、なかでも「給与、財務会計、人事」に関する用途の利用率が高いことが示されています(総務省「令和7年版情報通信白書」、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd111210.html、2026年8月8日取得)。会計業務は、クラウド化が進んでいる業務領域の一つといえます。

比較項目 クラウド型 オンプレミス型
導入場所 自社サーバー不要、ブラウザからアクセス 自社にサーバー・ソフトを設置
法令改正への対応 提供会社側で自動的に更新されることが多い 自社でバージョンアップ作業が必要
複数拠点・複数端末での利用 インターネット環境があれば場所を問わず利用しやすい 端末・ネットワーク構成に依存しやすい
他システムとの連携 API連携を前提に設計されているサービスが多い 連携に個別のカスタマイズが必要な場合がある

どちらの形態にも一長一短があり、既存のオンプレミス型を長年使い続けている企業では、移行そのものが業務フローの見直しを伴う大きな判断になります。次の項目では、クラウド会計ソフトが備える主な機能を確認します。

クラウド会計ソフトの主な機能

クラウド会計ソフトの機能は、仕訳・帳簿作成といった基本機能に加えて、データ連携と自動化の範囲がサービスごとに異なります。代表的な機能には、銀行口座・クレジットカードの取引データの自動取得、AIによる仕訳候補の提示、決算書の自動作成、会計事務所とのデータ共有などがあります。

クラウド会計ソフトを中心としたデータ連携イメージ 銀行・カード 取引データ クラウド会計ソフト 仕訳・帳簿・決算書 電帳法・インボイス対応 会計事務所 確認・決算対応 給与計算・販売管理などの周辺システム 図1:クラウド会計ソフトを中心としたデータ連携イメージ
図1:クラウド会計ソフトを中心としたデータ連携イメージ

取引データの自動取得やAI仕訳は、入力作業そのものを減らす機能ですが、100%自動化されるわけではなく、仕訳候補を人が確認・修正する運用が前提になります。自動化の範囲を過大に期待すると、導入後に「思ったより手作業が残る」という認識差が生まれやすい点には注意が必要です。

電子帳簿保存法・インボイス制度への対応(法務上の留意点)

クラウド会計ソフトを検討する際は、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応状況を必ず確認します。国税庁が公表する電子帳簿等保存制度特設サイトによると、電子帳簿保存法は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分に分かれており、このうち電子取引データ保存は2024年1月から完全に義務化されています(国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm、2026年8月8日取得)。請求書などを電子データで受け取った場合、原則として電子データのまま保存する必要があり、「真実性の要件」と「可視性の要件」を満たす仕組みが求められます。

電子帳簿保存法の3区分 区分1 電子帳簿等保存 会計ソフトで作成した 帳簿・決算関係書類 任意 区分2 スキャナ保存 紙で受領・発行した 契約書・領収書等 任意 区分3 電子取引データ保存 電子的に授受した 請求書等のデータ 義務(2024年1月~) 図2:電子帳簿保存法の3区分
図2:電子帳簿保存法の3区分

あわせて、適格請求書(インボイス)に対応した仕訳・保存ができるかどうかも確認します(国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)について」、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm、2026年8月8日取得)。
なお、この記事は電子帳簿保存法・インボイス制度の一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の取引や保存方法の適法性については、税理士や税務署など専門家への確認をおすすめします。

業界別に見る活用のポイント

クラウド会計ソフトの活用ポイントは、業界特性によって重視すべき機能が異なります。ここでは3つの業界を例に、確認しておきたい観点を整理します。

建設業では、工事ごとの原価管理が重要になるため、工事台帳や案件別の原価集計とどこまで連携できるかを確認します。工事の期間が長く、支払と請求のタイミングがずれやすい点も、仕訳ルールの設計に影響します。

製造業では、在庫データ・原価計算システムとの連携が論点になります。仕入・生産・出荷のデータが会計データと結びつくことで、月次決算のスピードを上げやすくなります。

医療・介護分野では、医療法人会計基準や社会福祉法人会計基準など、業界特有の会計基準に対応した帳簿フォーマットが用意されているかを確認します。診療報酬・介護報酬の請求データとの連携可否も、導入判断のポイントになります。

いずれの業界でも共通しているのは、会計データを単体で見るのではなく、業務システム全体の中でどう連携させるかという視点です。特に、毎月・毎年決まった期日で処理が発生する業務ほど、会計データとの連携メリットが大きくなります。

会計データと給与計算業務を連携させる視点

会計業務と特に連携メリットが大きい業務の一つが、給与計算です。給与計算は、給与・手当・社会保険料・税金の計算結果を会計ソフトに仕訳として反映する必要があり、毎月固定の期日で処理が発生する業務です。会計ソフトと給与計算ソフトが連携していれば、給与仕訳の手入力・転記ミスを減らし、月次決算の締めを早めやすくなります。

反対に、会計ソフトと給与計算の仕組みが分断されたままだと、給与仕訳の作成が経理担当者の手作業に依存し、担当者1名に業務が集中しやすくなります。中小機構が公表する「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」でも、DXに既に取組んでいる企業は18.5%、検討中を含めると42.0%にとどまっており、バックオフィス業務全体のデジタル化・連携はまだ発展途上にあることがうかがえます(独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)アンケート調査報告書」令和6年12月、https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202412_DX_report.pdf、2026年8月8日取得)。会計ソフトの選定にあわせて、給与計算業務側の見直しも合わせて検討する企業が増えていく余地は大きいといえます。

会計ソフトを乗り換える、あるいは初めてクラウド会計ソフトを導入するタイミングは、給与計算の運用方法を見直す機会にもなります。給与計算ソフトの選び方や無料で使える範囲を先に確認しておくと、会計ソフトとの連携方式(データ連携API・CSV連携等)を含めて比較検討しやすくなります。

導入時につまずきやすい点

クラウド会計ソフトの導入は、機能の豊富さだけで選ぶと、移行後に想定外の手間が発生することがあります。よく見られる失敗パターンを3つ整理します。

つまずきやすい点 起きやすい状態 対策
マスタ・仕訳ルールをそのまま移行 旧システムの構成を引き継ぎ、クラウド化のメリットを活かせない 移行前に勘定科目・補助科目・仕訳ルールを見直す
権限設計を見直さない 誰でも修正できる状態になり、内部統制が弱くなる 承認フロー・権限範囲を導入時に再設計する
電帳法・インボイス対応を後回しにする 導入後に真実性・可視性の要件を満たせず対応に追われる 導入前に対応状況・保存方法を確認しておく

いずれの失敗パターンも、ソフトそのものの性能ではなく、導入時の準備不足から起きています。移行前に業務フローと責任分担を整理しておくことが、遠回りを避けるポイントです。

クラウド会計ソフトの選び方

選び方の目安は、料金の安さだけでなく、自社の業務規模・連携範囲・サポート体制に合っているかで判断します。個人事業主や小規模企業であれば、まずは基本の仕訳・確定申告機能が使いやすいかを重視し、中小企業では会計事務所とのデータ共有機能、中堅・大企業では他システムとの連携API・権限設計の柔軟性を重視する傾向があります。

比較検討時に確認しておきたい観点は、次の4点です。

  • 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応状況
  • 給与計算・販売管理など周辺システムとの連携方式
  • 権限設定・承認フローの柔軟性
  • サポート体制(導入時の移行支援、問い合わせ対応)

料金は提供会社・契約プラン・ユーザー数によって変動するため、この記事では具体的な金額には触れていません。導入検討時は、各社の公式サイトで最新の料金・プラン内容を確認することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. クラウド会計ソフトとオンプレミス型の会計ソフトは何が違いますか?

A. クラウド会計ソフトはインターネット経由でブラウザからアクセスして使う形態で、サーバーの設置やバージョンアップ作業が原則不要です。オンプレミス型は自社にソフトウェアを設置して使う形態で、法令改正対応やバージョンアップを自社で行う必要があります。

Q2. クラウド会計ソフトは電子帳簿保存法に対応していますか?

A. サービスによって対応範囲が異なるため、導入前に確認が必要です。特に2024年1月から完全義務化されている「電子取引データ保存」の要件(真実性・可視性)を満たす保存方法に対応しているかを確認してください。

Q3. 会計事務所と同じデータを共有できますか?

A. クラウド会計ソフトの多くは、会計事務所側にも閲覧・編集の権限を付与できる仕組みを持っています。権限範囲の設定方法や、確認・修正の履歴が残るかどうかは、サービスごとに確認しておくと安心です。

Q4. オンプレミス型からクラウド型へ移行する際の注意点は何ですか?

A. 既存のマスタ・仕訳ルールをそのまま移すのではなく、勘定科目や権限設計を見直す機会として扱うことが重要です。移行時期は決算期をまたがない時期を選ぶと、比較・確認作業がしやすくなります。

Q5. 勘定奉行クラウドのような特定ブランドのクラウド会計ソフトを選ぶ基準はありますか?

A. 勘定奉行クラウドのような特定ブランドを含め、選定基準はブランド名ではなく、電帳法・インボイス対応、周辺システムとの連携範囲、サポート体制で比較するのが基本です。特定の製品を前提にせず、自社の業務規模・連携要件に合うかで判断してください。

Q6. 会計ソフトと給与計算ソフトは連携させたほうがよいですか?

A. 給与計算は毎月固定の期日で発生し、会計ソフトへの仕訳反映も必要になるため、連携させることで転記ミスや手作業を減らしやすくなります。会計ソフトの見直しと合わせて、給与計算ソフトの機能・連携方式を確認しておくと、業務全体の効率化につながります。

まとめ|今日からできる4つのこと

クラウド会計ソフトは、仕組みそのものを理解してから比較検討すると、機能の違いや必要な対応が整理しやすくなります。最後に、導入検討を始める際に確認したい4つのポイントをまとめます。

  1. クラウド型とオンプレミス型の違いを理解し、自社の運用に合う形態を選ぶ
  2. 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応状況を導入前に確認する
  3. 業界特性や既存の業務フローに合った機能・連携範囲を見極める
  4. 給与計算ソフトなど周辺システムとの連携方式も含めて比較検討する

特に4点目の周辺システムとの連携は、導入後の運用負荷に大きく影響します。会計ソフトの見直しに合わせて、給与計算業務の連携方式も一緒に確認しておくことをおすすめします。

参考文献

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