異動とは?意味と「移動」との違い、6つの種類・目的・法的根拠からDX化まで解説

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  • 異動は人事上の変更、移動は場所の変更
  • 権利の濫用に当たる異動は無効になり得る
  • 内示から反映までの作業は一元管理で減らせる

異動とは、組織の中で社員の地位や職務、勤務場所などが変わることです。場所が物理的に動く「移動」とは別の言葉で、人事上の変更には「異動」を使います。「来月から異動と言われたが、転勤や配置転換と何が違うのか」「人事担当として発令を任されたが、会社はどこまで異動を命じられるのか」。そうした疑問に答えるため、本記事では、異動の意味と6つの種類、会社が異動を命じられる根拠と限界、内示から発令までの手続き、内示を受けた従業員が確認したいこと、よくあるトラブルを整理します。あわせて、発令後の組織図・給与・権限への反映を人事管理システムで効率化する考え方も紹介します。

あなたの会社の異動対応、どこから整理しますか?

Q1. 異動対応で、いちばん負担が大きい作業はどれですか?

目次

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  1. 異動の発令と反映は、台帳が増えるほどミスが出やすい
  2. 異動とは|意味と「移動」との違い
  3. 異動の目的と法的根拠(労働契約法・就業規則・人事権の範囲)
  4. 異動のメリット・デメリット
  5. 異動を打診・実施する際の手続きフロー
  6. 内示を受けたら確認したいこと|従業員の方へ
  7. 異動対応のDX化|内示から組織反映までをどう効率化するか
  8. 異動でよくある失敗・トラブル
  9. 異動後の効果測定・フォロー体制
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ
  12. 参考文献

異動の発令と反映は、台帳が増えるほどミスが出やすい

異動の事務は、発令後に組織図・給与・権限などを台帳ごとに直す作業が続きます。台帳が分かれているほど反映漏れが起きやすく、社員情報と異動履歴を1か所で管理する仕組みが役立ちます。

異動とは、社員の地位や職務、勤務場所などが変わることです(意味と種類は次の章で整理します)。1人が異動するだけでも、辞令の作成、組織図の更新、給与や手当の変更、承認ルートや社内システムの権限の付け替えと、直す場所は複数に及びます。異動が年に数件なら表計算ソフトでも管理できますが、拠点や部署が増えた時点で異動の記録を一元化しておくと、後から「いつ誰がどこに所属していたか」を確認しやすくなります。ここでは、異動の記録と反映を支える人事管理システムのうち、商品ページで機能を確認できた3つを、役割の違いで並べます。

異動の記録と発令後の反映を支える3サービスの役割

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この状況に合う一例:カオナビは、アンケートで社員本人の異動希望を集められ、面談の記録も人材情報とあわせて管理できます。

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サービス カオナビ タレントパレット ジンジャー人事労務
向いている会社 人材情報の一元化から異動案の検討、面談の記録まで、幅広い目的で使いたい会社 人材データの分析やシミュレーションを重視して、異動と配置を検討したい会社 発令後の組織図の更新や入社手続きなど、人事労務の定型作業を減らしたい会社
特徴 人材データベースに情報を集約。アンケートで異動希望を集め、配置転換のシミュレーションも可能。権限を細かく設定できる 組織戦略と従業員データを掛け合わせた異動・配置のシミュレーション。異動履歴の時系列表示と、次の異動候補者の抽出 組織図の作成と人事異動のシミュレーション。異動と人事発令の予約登録、権限の自動変更・付与
注意したい点 タブレット端末は一部のタッチ操作に非対応で、スマートフォンアプリは動作保証の対象外 初期構築(データの取り込みと権限設定)に数日程度から2か月程度と幅があるため、問い合わせで確認 契約後から運用開始まで約3-5か月が一般的。ジンジャーシリーズとの連携が推奨される
資料・詳細

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異動案を決める材料が台帳ごとに散らばっている会社の場合の一例が、カオナビです。カオナビは、人材情報を人材データベースに一元化し、顔写真が並ぶ画面から欲しい情報を探せるタレントマネジメントシステムです。商品ページでは、アンケート機能で社員本人の異動希望やキャリア希望を集められること、マトリクス機能で人件費やスキル値を確認しながら配置転換のシミュレーションまで行えることが紹介されています。アクセス管理機能では、使える・見える・編集できるといった条件で権限を細かく設定できます。注意したい点として、タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリでの動作保証はサポート対象外とされているため、導入前に推奨環境を確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社カオナビ

カオナビ

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株式会社カオナビ

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あらゆる人材データをグラフや図で簡単に可視化◎見える化を重視する企業におすすめ

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出典:kaonavi

導入企業:TOTO株式会社、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)など

口コミ

「カオナビ」での運用に切り替えてからは、さまざまな面で効果が出たと感じています。今までメールで行なっていたExcelシートの授受や記入漏れはほとんどなくなりましたし、評価者や人事担当者が入力の進捗確認もできるようになることで、一部入力が遅れている人がいたとしても全体の進行が止まることがなくなりました。また、以前はExcelに設定していた計算式が壊れるといったトラブルもあったので、その対応に対する手間を考えると効果は絶大です。

評価を大幅効率化、異動検討もスムーズに。サツドラHDの「カオナビ」活用法 https://www.kaonavi.jp/showcase/sat/
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評価・口コミ(一部抜粋)
4.1
  • カオナビを導入したことで、人材情報の散在や属人化といった課題が解消されました。社員の顔と情報をひと目で把握でき、評価や配置の判断がスムーズに行えるようになった点が大きなメリットです。また、育成やタレントマネジメントに活用できるため、戦略的人事の実現にもつながっています。データの一元管理により、部門間の連携も強化されました。

  • 労務・人事の管理を行うことができます。また共有端末の持ち出しなどの申請もカオナビを通して行えるため、稟議や許可が通るまでの時短になります。

  • 本サービスの導入により、全社員の経歴や評価に関して、一元管理できるようになり、業務効率化に繋がった。また、全社員の氏名から顔写真の検索が可能となり、社員間のコミュニケーション活性化に寄与した。

カオナビの導入事例には、通勤経路サーチ機能で異動の候補者を絞り込む運用が紹介されています。

「ロケーションサーチ」の導入により、カオナビ上で検索するだけで効率的に異動の検討ができるようになりました。

株式会社ワコール 人事総務本部 BA人財戦略部(出典: カオナビ公式サイト 導入事例)

異動とは|意味と「移動」との違い

異動とは、組織の中で社員の地位や職務、勤務場所などが変わることです。場所が物理的に動くことを表す「移動」とは意味が異なり、人事上の変更には「異動」を使います。

「異」は「異なる」、「動」は「動く」を表し、異動は「これまでと異なる立場や所属に動くこと」を意味します。デジタル大辞泉でも、異動は職場での地位や勤務などが変わること、あわせて転任や退任などの人事の動きを指す言葉として説明されています。人事の文脈では、会社が人事権に基づいて社員の配置や役職を変えることを「人事異動」と呼びます。一方の「移動」は、人や物がある場所から別の場所へ移ることを指します。

言葉 意味 使い方の例
異動 地位、職務、所属、勤務先などが変わること 4月1日付で経理部へ異動する
移動 位置や場所が物理的に変わること 会議室を3階へ移動する、電車で移動する
異同 異なる点と同じ点、違い 2つの案の異同を比べる

たとえば、同じ本社内で総務部から営業部に変わる場合は、勤務場所が変わらなくても「異動」です。反対に、部署はそのままで座席だけが別のフロアに変わる場合は「移動」と書くのが自然です。社内の通知や辞令では「異動」を使い、「人事移動」と書くのは誤りなので注意しましょう。なお、デジタル大辞泉には、保険の契約内容を期間の途中で変更する意味の「異動」も載っています。人事の異動とは別の用法です。

「ある地位にいる人を入れ替えること」は何という言葉か

「ある地位にいる人を入れ替えること」という説明から言葉を探している場合、当てはまる言葉は文脈によって変わります。辞書の説明をもとに、近い言葉を整理します。

言葉 辞書での意味 使う場面
異動 職場での地位や勤務などが変わること。転任や退任などの人事の動きも指す 会社の人事全般。部署、役職、勤務地の変更
更迭 ある地位や役目にある人を、他の人と代えること 「大臣を更迭する」のように、役職にある人を替える場面
交代(交替) 役割や位置などを、互いに入れかえること。互いに入れかわること 当番や選手の入れ替えなど、役割をやり取りする場面

日本国語大辞典は、更迭を「特に前任者がやめて新任者がその位置につくこと」とし、言い換えの語に「異動」と「交代」を挙げています。つまり、地位や職務が変わる点に重きを置くなら「異動」、前任者に替えて新任者を就ける点に重きを置くなら「更迭」や「交代」が近い言葉です。社内の人事通知では、所属や職務の変更を伝える言葉として「異動」を使います。

異動の6つの種類と、本人の同意・人事側の作業

異動は、同じ会社の中での変更と、出向や転籍のように会社をまたぐ変更に大きく分けられます。代表的な6つの種類を、何が変わるのか、本人の同意がいるのか、人事側で必要な作業の観点で整理します。

種類 変わるもの 本人の同意 人事側で必要になる主な作業
転勤 勤務地(住居の移転を伴うことが多い) 就業規則に定めがあれば原則不要。ただし事情への配慮が必要 赴任手当・社宅の手配、住所変更に伴う社会保険や住民税の手続き
配置転換 同じ勤務地内での所属部署や担当業務 就業規則に定めがあれば原則不要 組織図、権限、社内システムのアカウントの変更
昇進・昇格/降格 役職や等級 評価制度に基づく。降格は根拠と手続きの妥当性が特に問われる 給与・手当の改定、承認ルートの変更
職種変更 営業から企画など、仕事の種類 職種を限定する合意がある場合は同意が必要 研修の手配、資格や評価項目の見直し
出向(在籍出向) 元の会社に籍を残したまま、別の会社で働く 就業規則などの根拠が必要。労働条件の説明が欠かせない 出向契約の締結、給与負担や社会保険の取り扱いの整理
転籍(移籍出向) 元の会社を退職し、別の会社と雇用契約を結ぶ 本人の個別の同意が必要 退職と入社の手続き、退職金や有給休暇の扱いの取り決め

このうち配置転換は、同じ会社の中で職務内容や勤務場所を変えることで、そのうち勤務地が変わるものを一般に転勤と呼びます。言葉の広さでは、異動がもっとも広く、配置転換、転勤の順に範囲が狭くなると整理すると分かりやすくなります。ただし、用語の使い分けは会社の就業規則や人事制度によって異なるため、自社の定義を確認してください。

異動とジョブローテーションの違い

ジョブローテーションは、将来の管理職や専門人材を育てるために、一定の間隔で複数の部署を経験させる計画的な人事の仕組みです。異動が、経営戦略や人員の過不足に合わせて配置を柔軟に変える手段であるのに対し、ジョブローテーションは育成を目的に計画的に回す点が違います。ジョブローテーションの一環で部署が変わる場合も、人事上は異動に当たります。

異動が多い時期

異動が多い時期は、多くの会社が次年度の経営戦略に合わせて組織を整える決算期末の前後です。3月決算の会社なら3月から4月、9月決算の会社なら9月から10月が目安になります。新卒社員の配属もこの時期に重なります。このほか、欠員の補充や新規事業の立ち上げなどに合わせて、時期を問わず臨時の異動が行われることもあります。

異動の目的と法的根拠(労働契約法・就業規則・人事権の範囲)

会社が異動を命じられるのは、就業規則や労働契約に異動の定めがあり、それが人事権の根拠になるためです。ただし業務上の必要性がない異動や、社員に著しい不利益を与える異動は権利の濫用として無効になり得ます。

異動を行う主な目的

  • 適材適所の配置:社員の能力や適性に合った仕事に就けて、成果を高める
  • 人材育成:複数の部署を経験させ、将来の管理職や専門人材を育てる
  • 組織の活性化:同じ顔ぶれが長く続くことによる停滞を防ぎ、新しい視点を取り入れる
  • 経営戦略との整合:新規事業や成長部門に人員を振り向け、縮小する部門の人員を再配置する
  • 不正の防止:経理や購買など、同じ担当者が長く続くと不正が起きやすい業務のリスクを下げる
  • 欠員への対応:退職や休職で不足した部署に、ほかの部署から人員を回す

会社が異動を命じられる根拠

異動命令の根拠となるのは、就業規則と労働契約です。厚生労働省が公表しているモデル就業規則にも、会社は業務上必要がある場合に、社員の就業場所や従事する業務の変更を命じることがあり、社員は正当な理由なくこれを拒めない、という趣旨の規定例が示されています。多くの会社は、これに近い規定を自社の就業規則に設けています。

2024年4月からは、労働条件の明示のルールが改正され、会社は雇い入れの際などに、就業場所と業務の「変更の範囲」も書面で明示することになりました。将来どこまで勤務地や仕事が変わり得るかを、最初の段階で示しておく必要があるということです。これから採用する社員については、労働条件通知書の記載と異動の運用が合っているかを確認しておきましょう。

人事権には限界がある

就業規則に定めがあっても、会社は自由に異動を命じられるわけではありません。労働契約法は、労働者と使用者は権利を濫用してはならないと定めており(第3条第5項)、出向についても、必要性や対象者の選定などの事情から権利の濫用と認められる場合は無効になると定めています(第14条)。転勤命令については、次のいずれかに当たると権利の濫用と判断されやすいとされています。

権利の濫用と判断されやすいケース 具体例
業務上の必要性がない 異動先に人員の不足も業務もなく、配置する理由を説明できない
不当な動機や目的がある 退職に追い込む目的や、内部通報への報復としての異動
通常受け入れるべき程度を大きく超える不利益がある 介護が必要な家族を抱える社員に、代わりの手段を検討せず遠方への転勤を命じる

このほか、職種や勤務地を限定する合意がある社員を、同意なく別の職種や勤務地に移すことはできません。育児・介護休業法も、転勤を伴う異動では子育てや介護の状況に配慮するよう会社に求めています。また、国籍や信条、性別などを理由とする差別的な異動は、労働基準法や男女雇用機会均等法に反します。転籍は元の会社との雇用契約を終える扱いになるため、本人の個別の同意が必要です。

なお、この章は一般的な情報の整理であり、個別のケースへの法的助言ではありません。具体的な判断が必要な場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談してください。

異動のメリット・デメリット

異動には、適材適所の配置や組織の活性化といったメリットがある一方、引き継ぎ期間の生産性の低下や社員の負担、離職につながるリスクといったデメリットもあります。両面を理解したうえで、目的に合った異動を計画することが大切です。

立場 メリット デメリット
会社 適材適所の配置で成果を高められる。業務の属人化を防ぎ、特定の担当者がいないと回らない状態を減らせる。成長部門に人員を振り向けられる 引き継ぎや習熟の期間は一時的に生産性が下がる。異動先での教育の手間がかかる。優秀な人材が抜けた部署の業績やチームワークが落ちることもある。説明が不十分だと労使トラブルにつながる
社員 新しい業務を経験して幅広いスキルや人脈を得られる。環境が変わることで意欲が高まることもある 仕事や人間関係の変化で心身の負担がかかる。積み上げた専門性を活かしにくくなる。転勤では家庭への影響が大きく、不満が離職につながることもある

デメリットの多くは、異動の目的と理由を説明し、引き継ぎと異動後のフォローを計画しておくことで小さくできます。とくに異動直後の生産性の低下は避けにくいため、繁忙期と重ならない時期を選ぶ、業務を段階的に任せるといった配慮が有効です。キーマンを異動させる場合は、後任の育成状況と引き継ぎの時間を、発令の前に確認しておきましょう。

異動を打診・実施する際の手続きフロー

異動は、計画の立案、候補者の選定と調整、内示、辞令の発令、引き継ぎと着任、各種システムへの反映という順番で進めます。特に内示から発令までの期間と、発令後の反映作業で抜け漏れが起きやすくなります。

ステップ 主な内容 注意点
1. 異動計画の立案 経営方針や各部署の人員の過不足から、異動の方針と規模を決める 部署ごとの要望だけで決めず、全社の目的と照らし合わせる
2. 候補者の選定と調整 評価、スキル、本人の希望、家庭の事情を踏まえて候補者を選ぶ 自己申告や面談の記録を確認し、配慮が必要な事情を見落とさない
3. 内示 正式な発令の前に、本人に異動の予定を伝える 転勤を伴う場合は住まいや家族の準備のため、1か月程度前には伝えるのが一般的
4. 辞令の発令 異動日、異動先、役職などを記した辞令を交付し、社内に告知する 告知の前に情報が漏れないよう、関係者の範囲を絞る
5. 引き継ぎと着任 担当業務や取引先の引き継ぎを行い、異動先で業務を始める 引き継ぎ書の書式を決めておくと、担当者による差が出にくい
6. 各種データの反映 組織図、社員名簿、給与、権限、メールやシステムのアカウントを更新する 反映先が多いほど漏れやすい。チェックリストで管理する

異動案を作るときに確認したい情報と配置シミュレーション

異動案は、上司や担当者の勘だけで決めず、最新の人材データを見ながら作ります。会社都合の異動が「希望していないのに転勤させられた」「自分の力を発揮できない」という不満につながりやすいためです。異動案を作る前に、次の情報をそろえておきましょう。

  • 評価の結果と、評価面談・フィードバックの記録
  • 業務の経験と実績
  • スキルと保有資格
  • 本人の異動希望の有無(転勤の可否を含む)
  • 適性検査などの結果

異動案ができたら、配置後の状態をシミュレーションします。部署ごとの人数、平均の勤続年数や年齢、配置後の人件費に大きな偏りが出ないかを確認し、あわせて、人が抜ける部署の後任の育成状況と、引き継ぎの対象者がいるかも確かめます。優秀な人材を動かした部署の業績が下がる、というよくある失敗を避けるための確認です。

内示・内々示・辞令・発令の違い

異動の手続きでは、似た言葉が順番に出てきます。意味と順番を整理しておくと、本人への伝え方も、社内の手続きも混乱しにくくなります。

言葉 意味 ポイント
内々示 内示の前に、非公式に異動の予定を伝えること 海外転勤など、準備に時間がかかる場合に早めに伝える
内示 正式な発令の前に、本人へ異動の予定を伝えること 発令までは口外しないよう依頼する。本人の意思確認や調整のきっかけにもなる
辞令 異動を正式に通知する文書や、その内容 社内への告知を伴う。公式な決定として扱われる
発令 辞令を出す行為 出したあとに内容を変えるときは、あらためて別の辞令が必要になる
異動 実際に所属や職務が変わること 発令の日付に合わせて、組織図や権限などの反映が必要になる

内示は正式な決定ではないため、本人に伝える際は、発令までは口外しないよう依頼するのが一般的です。口外してはいけないと知らない人もいるため、内示を知る全員に明示しましょう。伝え方は、1対1で直接伝える方法と、メールや書面で伝える方法があります。重要な内容は直接伝えたうえで書面でも残すと、行き違いを防げます。異動を打診する場面では、「なぜこの人に、この部署なのか」を具体的に説明することが、本人の納得につながります。評価や期待する役割を伝え、不安や事情があれば聞き取る時間を設けましょう。

異動の発令と反映、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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内示を受けたら確認したいこと|従業員の方へ

内示を受けたら、異動先と異動日だけでなく、担当業務、勤務地、役職、給与・手当、異動の目的と期待される役割まで確認します。後から条件が違うと分かるのを防ぐため、内示の場で聞き取り、必要なら書面でも残してもらいましょう。

確認する項目 見るポイント
所属部署・担当業務 何が変わり、何が変わらないのか。異動先での最初の役割は何か
勤務地・転居の要否 通勤方法、転居が必要か。住宅手当や引っ越し費用の扱い
役職・等級 昇進や降格を伴うか。役職名が変わるのか、等級も変わるのか
給与・手当 役職手当や地域手当などが変わるか。異動すると給与が必ず変わるわけではなく、役職、職務内容、勤務地、会社の賃金制度によって異なる
異動日と引き継ぎ 異動日、引き継ぎの期限、後任の有無
異動の目的と期待される役割 なぜ自分が選ばれたのか、異動先で何を期待されているのか

育児や介護、健康上の事情がある場合や、職種や勤務地を限定する契約になっている場合は、内示の段階で上司や人事に具体的な事情を伝えて相談します。異動を拒否できるかどうかは、就業規則や契約内容、業務上の必要性、本人が受ける不利益などによって変わります。考え方は、前の章「異動の目的と法的根拠」を参照してください。判断に迷うときは、社会保険労務士や弁護士、都道府県の労働局の総合労働相談コーナーに相談しましょう。

異動は左遷なのか

異動という言葉そのものに、良い悪いの意味はありません。昇進に伴う異動も、人材育成のための異動も、欠員への対応や組織再編に伴う異動もあります。異動になっただけで左遷と判断せず、「なぜ異動になったのか」と「異動先で何を期待されているのか」を確認することが大切です。人事の担当者にとっては、この2点を具体的に伝えることが、誤解や意欲の低下を防ぐことにつながります。

また、異動はこれまでの経験を無駄にするものではありません。営業から企画へ異動した場合は、営業で得た顧客理解を企画に活かせます。異動先で新しく身につけられることと、これまでの経験を使える場面を、上司との面談で整理しておくと、異動をキャリアに活かしやすくなります。

異動対応のDX化|内示から組織反映までをどう効率化するか

異動対応を効率化するには、社員の情報と異動の履歴を1か所で管理し、発令した内容が組織図や給与などに自動で反映される仕組みをつくることが近道です。人事管理システムを使うと、手作業での転記や更新を大きく減らせます。

異動の事務作業が重くなる原因は、同じ情報を何度も入力し直すことにあります。表計算ソフトの社員名簿、給与システム、組織図、社内ポータル、アカウント管理がばらばらだと、1人の異動で複数の場所を直すことになります。手作業による対応と、人事管理システムを使った対応を比べると、次のような違いがあります。

業務 手作業での対応 人事管理システムでの対応
候補者の選定 評価表、面談メモ、資格の一覧を個別に探して照合する スキル、評価、異動履歴、希望を1つの画面で検索できる
異動案の検討 組織図を手で描き直して検討する 異動後の組織図をシミュレーションで確認できる製品もある
辞令の作成 文書ソフトで1人ずつ作成する 登録した異動情報から辞令を一括で作成できる製品もある
発令日の反映 異動日に合わせて各台帳を手で書き換える 発令日を指定して予約登録し、当日に所属や役職が切り替わる
履歴の確認 過去のファイルを探し、担当者の記憶に頼る 社員ごとの異動履歴を時系列で確認できる

システムを選ぶ際は、異動情報の予約登録ができるか、給与計算や勤怠管理のシステムと連携できるか、閲覧できる範囲を役職ごとに制限できるかを確認しましょう。異動の情報は発令前の機密情報であり、評価や家庭の事情などの個人情報も含むため、アクセス権限の管理は特に重要です。社員数が数十人の会社なら必要な機能に絞った製品、数百人以上の会社なら組織シミュレーションやタレントマネジメント機能を備えた製品、と規模に合わせて比べると選びやすくなります。人材データを配置に活かす考え方は、タレントマネジメントとは?目的やメリット・デメリットを簡単に解説でも整理しています。

システムに期待する役割は、異動の流れに沿って、異動案の検討と、発令後の反映の2つに分けると整理しやすくなります。

異動案を、人材データを見ながら検討したい会社の場合の一例が、タレントパレットです。タレントパレットは、採用・育成・評価・配置までの人材データを一元管理して分析できる、オールインワン型のタレントマネジメントシステムです。商品ページでは、組織戦略と従業員のデータを掛け合わせた異動・配置のシミュレーションに加え、異動履歴を時系列で可視化して次の異動候補者を抽出できる分析レポート支援の機能が紹介されています。注意したい点として、多彩な機能を使いこなすには、評価や経験などのデータの取り込みや権限設定といった初期構築が必要で、導入する企業の規模やデータ量によって数日程度から2か月程度と差があるため、問い合わせで確認するよう案内されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社プラスアルファ・コンサルティング

タレントパレット

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多言語対応◎eラーニングも活用していきたい企業におすすめ

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出典:タレントパレット

導入企業:パナソニック株式会社、ソフトバンク株式会社など

口コミ

初見で感じたのは、やはりUIのわかりやすさです。日本人的な感覚にとてもマッチしているなと感じました。機能面では分析機能が非常に充実しています。いずれも見せかけの機能ではなく、人事情報を扱う側に立ち「これ、必要だよね」と話しかけてくるような機能が多数あり衝撃を受けました。タレントパレットの作りが、我々が目指している形そのものになっていて。何より集積したデータの分析によって、組織をより良くしていきたいという思想を感じたんですよね。マーケティングが基盤にあり、数字を根拠に結果を出していくという考え方で開発されているので、説得力があるなと感じています。

経営戦略実現に向けタレントパレットを導入
多数精鋭組織を育成するニトリHDの構想とは https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/case/details/nitori.html

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評価・口コミ(一部抜粋)
3
  • 自身のスキルや経験を可視化できるため、これまで意識していなかった強みやキャリアの方向性を客観的に見直すきっかけになりました。 また、性格テストから自分の仕事観等が分かり、新たな発見も期待できる点、メンバーの仕事の価値観も参照すれば、どのように接してほしいか等のヒントが見つかるかもしれない点がメリットかもしれないです。

  • 人事考査を一定の役職以上が評価において管理できるメリットがある。一般社員からするとブラックボックス化していることになるが、評価側は見えない点がよいため、管理設定しやすいメリットがある。

  • 上司との面談の際は、こちらのツールをみながらフィードバックなどをもらっています。考課の際は進捗状況などこちらを確認すればOKです。オンライン研修もできるのは便利だと思いました。

タレントパレットの導入事例には、社員の自己申告を異動の検討に使う運用が紹介されています。

社員が自身のキャリア志向や挑戦したい部署、海外志向などを申告できるので、タレントパレットに集約して異動検討や新プロジェクトなどへのアサインメントに生かしています。

株式会社プレナス(出典: タレントパレット公式サイト 導入事例)

発令から組織図・権限への反映を、発令日に合わせて一度で済ませたい会社の場合の一例が、ジンジャー人事労務です。ジンジャー人事労務は、従業員情報を1つの人事データベースに集約し、人事労務の定型業務を自動化するクラウド型のシステムです。商品ページでは、顔写真や属性情報を見ながら組織図を作成し、人事異動のシミュレーションができること、異動や人事発令を予約登録でき、システム内の権限もタイムラグなく自動で変更・付与されることが紹介されています。注意したい点として、契約後から運用開始まで約3-5か月かかるのが一般的で、払い戻しには対応していないため、運用開始時期を逆算して無料トライアルを申し込むよう案内されています。また、ジンジャーシリーズとの連携が推奨されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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ペーパーレスで人事をもっと楽に!ニーズに合わせてカスタマイズしたい企業におすすめ

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出典:ジンジャー人事労務

導入企業:株式会社モスフードサービス、エイブル保証株式会社など

口コミ

ジンジャー導入前は、システム間のデータ連携処理に相当な時間がかかっていました。
月中に入社する社員もいるため週次でこの処理が発生するのですが、人事から勤怠、人事から給与…とそれぞれで連携処理をおこなう必要があり、各連携には1時間ほどかかっていましたね。週で換算すると10時間ほどかかっていたと思います。

ジンジャーではこの連携処理にかかる時間がゼロになったので、業務が止まってしまったり、PCの動作が重くなったりすることもなく助かっています。

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ジンジャーの導入事例には、人事異動のたびに複数のマスタを手作業で更新していた会社が、人事マスタを統合した例が紹介されています。

人事マスタの統合で複数システムに情報を手入力する手間を削減。情報の更新性・正確性が保持できるようになった。

株式会社インフォファーム(出典: ジンジャー公式サイト 導入事例)

システムの種類と選び方を広く比べたい場合は、タレントマネジメントシステムとは?機能や選び方、メリットを解説も参考になります。

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異動でよくある失敗・トラブル

異動のトラブルは、説明不足、内示のタイミングの誤り、個別の事情への配慮不足から起きることがほとんどです。よくある失敗を、よくある状態と改善後の状態で整理します。

失敗パターン Before(よくある状態) After(改善後)
1. 異動拒否への対応を誤る 拒否した社員に理由を聞かず、すぐに懲戒を示唆して関係が悪化する 拒否の理由を聞き取り、育児や介護などの事情があれば代わりの案を検討する
2. 内示が直前になる 転勤を1週間前に伝え、住まいの手配や子どもの転校が間に合わない 転勤を伴う異動は1か月程度前を目安に内示し、準備期間を確保する
3. 異動の情報が漏れる 発令前に噂が広がり、本人より先に周囲が知ってしまう 情報を知る関係者を絞り、ファイルの閲覧権限を制限する
4. 目的を説明しない 「会社の決定だから」とだけ伝え、左遷と受け取られて意欲が下がる 異動の理由と期待する役割、今後のキャリアとのつながりを具体的に伝える
5. 反映が漏れる 給与の手当や承認ルートが旧所属のまま残り、後から修正が必要になる 反映先のチェックリストを用意し、システムで発令日に一括で切り替える
6. 抜けた部署への手当てがない キーマンを異動させた後、後任が育っておらず部署の業績が落ちる 発令の前に後任の育成状況と引き継ぎの時間を確認し、必要なら時期をずらす

異動の拒否について、就業規則に根拠がある正当な異動命令を理由なく拒み続ける場合、懲戒処分の対象になることもあります。ただし前述のとおり、権利の濫用に当たる命令や、職種・勤務地の限定合意に反する命令は拒否されても無理はありません。判断に迷うときは、社会保険労務士や弁護士、都道府県の労働局の総合労働相談コーナーに相談しましょう。

3つ目の「異動の情報が漏れる」は、発令前の情報を扱う人が増えるほど起きやすくなります。表計算ソフトのファイルを共有する運用では、閲覧範囲を細かく分けにくいため、人事だけが見られる情報と、全社で共有してよい情報を分けて管理できる仕組みが助けになります。

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異動後の効果測定・フォロー体制

異動は発令して終わりではなく、異動した社員が新しい環境に慣れているか、目的どおりの成果が出ているかを確認して、次の異動計画に活かすことが大切です。

異動の直後は、仕事の進め方や人間関係の変化で負担がかかりやすい時期です。着任後1か月、3か月、半年といった節目で上司との面談を設け、困っていることや業務の習熟度を確認しましょう。確認しておきたい指標は次のとおりです。

確認する項目 見るポイント 確認のタイミング
定着状況 異動後1年以内の退職や休職がないか 半年ごと
本人の状態 面談での不安の有無、仕事への満足度 着任後1か月、3か月
業務の成果 目標の達成度、異動先の部署の業績の変化 評価の時期
育成の進み具合 新しく身についたスキルや資格 年1回

新しい部署に慣れるまでの期間

新しい部署に慣れるまでにかかる期間に、一律の目安はありません。異動前後の業務の近さ、本人の経験、受け入れ側の体制によって大きく変わります。同じ職種で部署だけが変わる場合と、営業から経理のように職種が変わる場合では、必要な習熟の期間は違います。人事や上司は期間を決めつけず、節目の面談で本人の言葉を聞き、研修や業務の割り振りを調整していきましょう。異動先の上司やメンターを決めておくことも、早く慣れるための助けになります。

面談の記録や評価、異動履歴が別々のファイルに散らばっていると、次の異動を検討するときに振り返るのが難しくなります。社員ごとの異動履歴と評価、スキル、面談の記録を同じ場所にまとめておけば、「誰をどこに配置すると力を発揮しやすいか」を根拠を持って判断できるようになります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 異動とはどういう意味ですか?「移動」とはどう違いますか?

A. 異動とは、職場での地位や職務、勤務場所などが変わる人事上の変更のことで、転任や退任などの人事の動きも含みます。場所が物理的に変わることは「移動」と書きます。部署が変わる場合は勤務場所が同じでも「異動」、座席やフロアが変わるだけなら「移動」です。

Q2. 異動の種類にはどのようなものがありますか?

A. 主に転勤、配置転換、昇進・昇格と降格、職種変更、出向、転籍の6種類があります。社内での異動と、出向や転籍のように別の会社で働く企業間の異動に大きく分けられ、種類によって本人の同意の要否や必要な手続きが異なります。

Q3. 異動は拒否できますか?

A. 就業規則に根拠がある正当な異動命令は、原則として拒否できません。ただし、業務上の必要性がない、不当な目的がある、著しい不利益を与えるといった権利の濫用に当たる場合や、職種や勤務地を限定する合意がある場合は、命令が無効になることがあります。転籍は本人の同意が必要です。

Q4. 内示は異動のどのくらい前に行いますか?

A. 法律で決まった期間はありませんが、転勤を伴う異動では住まいや家族の準備が必要なため、1か月程度前に内示するのが一般的です。同じ勤務地内の配置転換なら、1週間から2週間前に伝える会社もあります。

Q5. 新しい部署に慣れるまでには、どれくらいの期間がかかりますか?

A. 一律の目安はなく、異動前後の業務の近さ、本人の経験、受け入れ側の体制によって異なります。会社側は期間を決めつけず、着任後1か月、3か月、半年といった節目で面談を行い、困りごとを確認すると、早めに支援できます。

Q6. 信用情報でいう「異動情報」とは何ですか?

A. 人事の異動とは別の意味で、クレジットやローンなどの信用情報に登録される用語です。信用情報機関のCICは、返済状況の「異動」を、長期にわたる支払いの遅れ(61日以上または3か月以上)などがある場合と説明しています。詳しくはCICの公式サイトで確認してください。

まとめ

異動とは、組織の中で社員の地位や職務、勤務場所などが変わることで、転勤、配置転換、昇進・昇格と降格、職種変更、出向、転籍の6種類があります。会社は就業規則などを根拠に異動を命じられますが、業務上の必要性がない異動や著しい不利益を与える異動は権利の濫用として無効になり得るため、目的と理由を説明できる状態で進めることが大切です。内示から発令、各種データへの反映までの作業は、社員数が増えるほど負担と漏れが大きくなります。まずは次の3つから始めてみてください。

  1. 自社の就業規則と労働条件通知書で、異動や変更の範囲の定めを確認する
  2. 内示から発令、データの反映までの手順と担当者をチェックリストにまとめる
  3. 異動のたびに直している台帳やシステムを洗い出し、人事管理システムの資料を取り寄せて、異動案の検討と発令後の反映をどこまで任せられるか比べる

参考文献

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