翻訳アプリ比較【2026年最新】ビジネス向け選び方・費用・セキュリティ解説
Check!
- 翻訳アプリは文書翻訳と会話翻訳で選び分ける
- 法人利用は入力データの扱いと認証を確認する
- 英文契約書は下訳にして人や専門家が確認する
ビジネスで使う翻訳アプリは、メールや文書を訳す文書翻訳と、会話をその場で訳す会話翻訳のどちらが主な用途かで、選ぶべきアプリが変わります。無料で使えるアプリは多くありますが、法人で使う場合は、入力した文書がサービス側でどう扱われるかを利用規約で確認することが欠かせません。さらに、契約書のように誤訳が事業上の損害につながる文書は、翻訳アプリの訳文を下訳にとどめ、人や専門のサービスによる確認を組み合わせるのが基本です。本記事では、主要な翻訳アプリの使い分け、精度・対応言語・料金の選び方、セキュリティの確認点、誤訳を減らす使い方、英文契約書の確認方法までを整理します。
あなたの会社に合う翻訳アプリの使い方を診断
Q1. 翻訳アプリで訳す文書のうち、いちばん気になるのは?
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目次
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翻訳アプリだけでは足りない文書がある|英文契約書の確認を支える2つのサービスの違い
翻訳アプリは文書の内容をつかむ下訳には役立ちますが、契約書のように誤訳が損害や紛争につながる文書は、人や専門サービスによる確認が前提です。英文契約書は一語の訳し違いで条項の意味が変わることがあり、翻訳アプリが出すのは訳文であって、自社に不利な条項や抜けている条項の判断までは担いません。確認の方法は、社内の担当者がAIの支援を受けながら進める方法と、外部の弁護士に依頼する方法の2つに大きく分かれます。それぞれに当たるサービスを一例として並べました。なお、本記事の法令・契約に関する記述は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。
英文契約書の確認体制を、役割の違いで比べる
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|---|---|---|
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| 注意したい点 | トライアルを経て導入するため、本格的な利用開始までに数カ月かかる場合がある | プランごとに相談時間やレビュー件数の上限があり、超える場合は別途見積もり |
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ビジネス向け翻訳アプリの種類|文書翻訳と会話翻訳の違い
ビジネス向けの翻訳アプリは、大きく「文書翻訳」と「会話翻訳」の2種類に分かれます。文書翻訳はメール・契約書・マニュアルなど書かれたテキストを訳すもので、会話翻訳は相手の発言を音声で認識してその場で訳すものです。同じ「翻訳アプリ」でも、求められる性能がまったく異なります。
文書翻訳|正確さと入力データの扱いが問われる
文書翻訳では、時間をかけてでも正確な訳文を作ることが目的です。WordやPDFをファイルごと訳せるか、社内用語や製品名を登録できる用語集機能があるか、レイアウトを崩さずに出力できるかが使い勝手を左右します。さらに、契約書や仕様書には社外秘の情報が含まれることが多いため、入力した文書がサービス側でどう扱われるかが重要な選定基準になります。
最近は、DeepLやGoogle翻訳のような翻訳専用のツールに加えて、ChatGPTのような生成AIを翻訳に使う企業も増えています。生成AIは「取引先向けに丁寧な表現で」「専門用語は原文のまま残して」といった指示を訳文に反映しやすい一方、指示の出し方で結果がぶれやすく、原文にない内容を補ってしまうこともあります。翻訳専用ツールと生成AIのどちらが上というより、定型的な文書は翻訳専用ツール、表現の調整が必要な文面は生成AIというように、得意分野で使い分ける考え方が現実的です。
会話翻訳|スピードと音声認識の精度が問われる
会話翻訳では、多少の言い回しの粗さよりも、相手を待たせずに訳を返せるスピードが優先されます。対面の接客や現場での指示には、ポケトークのような専用の翻訳機やスマホアプリが使われ、オンライン商談や社内会議では、VoicePingのようにWeb会議ツールと連携して字幕や議事録を表示できるサービスが選ばれています。騒がしい場所での聞き取り精度や、話者の訛りへの対応力は、カタログの数字だけでは判断しにくいため、実際の利用環境で試すことが欠かせません。
| 比較項目 | 文書翻訳 | 会話翻訳 |
|---|---|---|
| 主な用途 | メール、契約書、仕様書、マニュアル、報告書 | 商談、会議、接客、現場での指示、電話対応 |
| 代表的なツールの例 | DeepL、Google翻訳、みらい翻訳、ChatGPTなどの生成AI | ポケトーク、VoicePing、スマホの音声翻訳機能 |
| 重視すべき性能 | 訳文の正確さ、用語集、ファイル翻訳、レイアウト保持 | 応答の速さ、音声認識精度、Web会議ツールとの連携 |
| セキュリティ上の注意 | 社外秘文書の入力、データの保存・学習利用の有無 | 会話の録音データ・文字起こしの保存先と保存期間 |
| 人による確認の必要性 | 対外的な文書は送付前の確認が必須 | 重要な合意事項は会話後に文書で確認し直す |
自社の翻訳ニーズがどちらに偏っているかを先に整理しておくと、候補を大きく絞り込めます。両方とも必要な場合は、1つのアプリですべてをまかなおうとせず、文書翻訳と会話翻訳で別々のツールを組み合わせる方が、結果的にコストも品質も安定しやすくなります。
主要な翻訳アプリの使い分け|無料のものと法人向けの違い
無料で使える翻訳アプリと、法人向けに提供されている翻訳サービスでは、想定された使い方が異なります。主要なものを、公式サイトやアプリストアの記載にもとづいて整理しました(確認日は2026年10月14日)。順位や優劣を示すものではなく、各サービスの位置づけの違いを比べるための表です。
| サービス | 位置づけ | 公式に案内されている主な機能 | 法人利用で確認したい点 |
|---|---|---|---|
| Google翻訳(アプリ) | アプリは無料で利用できる | テキスト、音声、カメラ、オフライン、会話の翻訳。2024年6月に110言語を追加 | 入力データの扱いを利用規約・プライバシーポリシーで確認する |
| DeepL | 無料版と、法人向けのDeepL Proがある | 文書やメールの翻訳。公式サイトでISO 27001とSOC 2 Type 2の取得を案内 | テキストの保存・学習利用の条件は、プランごとに公式の資料で確認する |
| みらい翻訳 | 組織向け(FLaT)、個人・チーム向け(Plus)などを提供 | 契約書や財務文書向けの法務・財務モデル、特許モデルを用意 | 公式サイトでISO27001・ISO27017への準拠を案内。契約形態と料金は問い合わせで確認する |
| VoiceTra(情報通信研究機構) | 無料。個人旅行者の試用を想定した研究用アプリ | 音声翻訳(33言語)。研究目的のサーバーを使用 | 業務で使う場合は、ご利用にあたっての条件を確認してから判断する |
この表のとおり、同じ「無料の翻訳アプリ」でも、一般向けのアプリ、法人向けのサービス、研究用のアプリでは、想定された使い方と入力データの扱いが異なります。ビジネスで使うアプリを決めるときは、機能の比較に加えて、提供元が法人利用を想定しているか、入力データの扱いが利用規約や資料に明記されているかを確認しましょう。
翻訳アプリの選び方|精度・対応言語・料金
翻訳アプリを選ぶときは、精度・対応言語・料金の3点を、自社の実際の文書や会話で確かめることが基本です。あわせて、使う場面に合った入力方式やオフライン対応があるかも確認しておくと、導入後に「現場で使えない」という事態を防げます。ここでは、それぞれの観点で見落としやすいポイントを整理します。
精度|自社の文書で試して比べる
翻訳精度は言語の組み合わせと文書の分野によって大きく変わります。日英のビジネスメールで自然な訳を出すアプリが、中国語の技術仕様書でも同じ品質とは限りません。比較サイトの評価をうのみにせず、過去に実際にやり取りしたメールや、社内で使っている仕様書の一部を使って、候補のアプリを同じ条件で試すのが確実です。その際は、社外秘の情報を含まない文書を選ぶか、固有名詞や数値を置き換えたサンプルで試してください。
評価するときは「読みやすいか」だけでなく、「意味が変わっていないか」を確認することが大切です。否定文が肯定文になっている、数量や日付が変わっている、主語が入れ替わっているといった誤りは、訳文が自然なほど気づきにくくなります。原文と訳文を並べ、重要な箇所を逆翻訳して確かめる方法も有効です。
誤訳を減らす使い方|原文の整え方・逆翻訳・用語集
翻訳アプリの精度は、アプリの性能だけでなく、入力する原文の書き方と、出力後の確認の手順でも大きく変わります。同じアプリでも、次の3つを習慣にすると誤訳を減らしやすくなります。
- 原文を整えてから入力する: 日本語は主語や目的語が省略されがちです。省略された主語を補い、1文を短く区切ってから入力すると、訳文の取り違えが減ります。
- 逆翻訳で原文と突き合わせる: 訳文を日本語に戻して原文と見比べ、数量・日付・否定表現が変わっていないかを確認します。文の数が原文と合っているかも、訳抜けの目安になります。
- 対訳用語集を事前に用意する: 製品名、役職名、契約でよく使う定型表現の対訳を決めて、アプリの用語集機能に登録します。部署ごとに訳語がぶれるのを防げます。
対応言語|数より取引先の言語で選ぶ
対応言語の数は多いほど安心に見えますが、実務で重要なのは、自社の取引先や拠点がある国の言語で十分な品質が出るかどうかです。英語や中国語は多くのアプリで精度が高い一方、東南アジアの言語や少数言語では、アプリによって品質の差が大きく出ることがあります。今後進出を検討している国の言語も含めて、必要な言語をリストアップしてから候補を比較しましょう。
翻訳アプリの対応言語や機能は、更新が続いています。たとえばGoogle翻訳は、2024年6月に110言語を新たに追加したと、公式ヘルプで案内しています。新しいアプリや機能を探すときは、アプリストアの新着情報や公式のお知らせを確認し、自社が必要とする言語と機能が実際に使えるかを試すのが確実です。
なお、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、多言語音声翻訳技術の研究開発を進めており、その成果は民間の翻訳サービスにも活用されています。総務省の情報通信白書でも、AIを活用した翻訳技術は社会実装が進む分野として取り上げられています。技術の進歩は速いため、一度選んだアプリも定期的に見直す前提で考えておくとよいでしょう。
入力方式とオフライン対応|使う場面から逆算する
翻訳アプリの入力方式には、テキストの貼り付けやファイルのアップロードのほか、音声入力、カメラで撮影した画像の文字を訳す機能、Webページをそのまま訳すブラウザ拡張などがあります。デスクでメールや契約書を訳すならテキストとファイル翻訳、工場や店舗で海外の製品ラベルや掲示物を読むならカメラ翻訳、接客や現場での指示なら音声入力というように、誰がどこで使うかによって必要な機能は変わります。候補を比べる前に、社内で翻訳が必要になる場面を書き出し、それぞれに必要な入力方式を整理しておくと選びやすくなります。
海外出張や通信環境が不安定な現場で使う場合は、オフラインで使えるかどうかも確認しておきたい点です。言語データを端末に事前にダウンロードしておけば通信なしで訳せるアプリもありますが、オフライン時は対応言語が限られたり、オンライン時より精度が下がったりすることがあります。また、画像や音声の翻訳では撮影した書類や録音した会話がサーバーに送信される場合もあるため、次の章で解説する入力データの扱いとあわせて確認しましょう。
料金|無料版・個人向け有料版・法人プランの違いを知る
翻訳アプリの料金体系は、無料版、個人向けの有料版、法人向けプランの3段階に分かれるのが一般的です。無料版は手軽に試せる反面、文字数やファイル翻訳に制限があり、入力データの扱いについても法人利用を前提としていない場合があります。法人向けプランでは、利用者の一括管理、シングルサインオン、利用ログの確認といった管理機能が用意されていることが多く、料金はユーザー数に応じた月額制や、翻訳した文字数に応じた従量制などがあります。具体的な金額はサービスや契約条件で変わり、改定されることもあるため、必ず各社の公式情報で最新の料金を確認してください。
料金を比べるときは、月額料金だけでなく「何人が、月にどれくらいの量を訳すのか」を見積もっておくことが大切です。利用者が少なく翻訳量が月によって大きく変わるなら従量制、利用者が多く毎日使うならユーザー数単位の定額制が向いていることが多いです。
法人利用時のセキュリティ注意点|ISO27001・SOC2認証の確認
法人で翻訳アプリを使う場合に最も注意したいのが、入力した文書や会話のデータがどのように扱われるかです。無料版の中には、入力されたデータをサービス改善のために利用する可能性を利用規約で定めているものがあります。社外秘の契約書や顧客の個人情報を含む文書を、規約を確認しないまま入力するのは避けるべきです。
サービスの信頼性を判断する材料として、情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO/IEC 27001(ISMS)の認証や、外部の監査人がサービス事業者の内部統制を評価するSOC2報告書の有無が参考になります。ただし、認証の取得は安全性を保証するものではなく、あくまで一定の管理体制があることを示す目安です。認証の有無とあわせて、データの保存期間や削除の仕組み、学習利用の有無を利用規約やプライバシーポリシーで確認しましょう。
また、翻訳アプリのサーバーが海外にある場合、個人情報を含む文書を翻訳することが、個人情報保護法上の「外国にある第三者への提供」に関わる可能性があるとされています。個人情報保護委員会は、外国にある第三者への提供に関するガイドラインを公開しています。個人情報を含む文書を翻訳アプリで扱う予定がある場合は、社内の法務担当者や専門家と相談のうえで運用ルールを決めることをおすすめします。なお、本記事の法令に関する記述は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。
| 確認項目 | 確認する場所 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 入力データの学習利用 | 利用規約、プライバシーポリシー | 入力した文書や会話がサービス改善に使われないか、法人プランで除外できるか |
| データの保存期間と削除 | プライバシーポリシー、法人向け資料 | 翻訳後にデータがいつ削除されるか、利用者側で削除できるか |
| 第三者認証 | 公式サイトのセキュリティページ | ISO/IEC 27001の認証やSOC2報告書の有無、対象範囲 |
| データの保管場所 | 利用規約、法人向け資料 | サーバーの所在国、個人情報を含む文書を扱う場合の社内ルールとの整合 |
| 管理機能 | 法人プランの機能一覧 | 利用者の一括管理、シングルサインオン、利用ログの確認ができるか |
セキュリティの観点は、アプリの選定だけでは完結しません。どのアプリを許可し、どの情報を入力してよいかを、社内のルールとして文書にしておくことが重要です。ルールに入れておきたい項目は次のとおりです。
- 利用を許可するアプリ: 無料版や個人のアカウントを業務で使ってよいかどうかを決める
- 入力してはいけない情報: 未公開の契約書、個人情報、顧客の機密情報などを具体的に挙げる
- 入力してよい情報: 公開済みの資料や、固有名詞・数値を置き換えたサンプルなどを示す
- 例外が必要なときの承認手順: 誰の承認で、どのアプリを使うのかを決めておく
SaaS全般で、利用する企業側が負う責任の考え方は、SaaSのセキュリティ|利用者の責任範囲とISMAP・個情法の要点で整理しています。翻訳アプリを導入する際の運用ルールづくりにもあわせて参考にしてください。
翻訳アプリで済ませる文書と、人に任せる文書の線引き
翻訳アプリの精度は年々向上していますが、すべての文書をアプリだけで訳してよいわけではありません。線引きの基準は、「誤訳があった場合に、事業上の損害や法的なトラブルにつながるかどうか」です。
| 文書の種類 | 翻訳アプリの使い方 | 人による確認 |
|---|---|---|
| 社内確認用の資料、受信メールの内容把握 | アプリの訳文をそのまま参考にしてよい | 必要に応じて |
| 取引先への通常のメール、打ち合わせの議事録 | アプリで下訳を作成し、担当者が修正する | 送付前に担当者が確認 |
| 契約書、特許関連書類、行政機関への提出書類 | 内容把握のための下訳にとどめる | 専門の翻訳者や法務担当者による確認が必要 |
| Webサイト、広告、ブランドに関わる対外発信 | たたき台の作成に活用する | ネイティブによる表現チェックが望ましい |
特に契約書では、一語の訳し違いが条項の解釈を変えてしまうことがあります。また、行政機関への提出書類では、翻訳者の証明を求められる場合もあり、アプリの機能だけでは対応できません。こうした文書は、アプリで内容を把握したうえで、専門の翻訳会社に依頼する使い分けが現実的です。翻訳会社の選び方を比較した情報は、おすすめの翻訳サービスを比較した記事も参考にしてください。
英文契約書の場合は、翻訳そのものに加えて、訳した内容が自社にとって何を意味するかを判断する工程が必要です。翻訳アプリで条項の趣旨をつかんだあと、社内の法務担当者が確認するのか、外部の弁護士に見てもらうのかを、契約の重要度に応じてあらかじめ決めておくと、取引のたびに迷わずに済みます。法務の担当者が少ない会社では、弁護士へのレビュー依頼をオンラインで完結できるサービスを使う方法もあります。
翻訳アプリ導入でよくある失敗パターン
翻訳アプリの導入でつまずく原因は、アプリの性能よりも、選び方や使い方のルールにあることがほとんどです。よくある失敗と、その回避策を整理します。
| 失敗パターン | 起きること | 回避策 |
|---|---|---|
| 文書翻訳用のアプリを会議でも使おうとする | 音声認識が追いつかず、会話が何度も止まる | 文書翻訳と会話翻訳を分けて、それぞれに合うツールを選ぶ |
| 無料版に社外秘の文書を入力してしまう | 入力データの扱いが社内ルールと合わず、情報管理上の問題になる | 利用してよいアプリと入力してよい情報の範囲を社内ルールで明文化する |
| 訳文を確認せずに社外へ送る | 数量や日付、否定の誤訳が相手に伝わり、信頼を損なう | 対外的な文書は送付前に数値・固有名詞・否定表現を確認する手順を設ける |
| 部署ごとに別々のアプリを使う | 同じ製品名や用語が部署によって違う訳になる | 全社で使うツールと用語集を決め、社内用語を登録して共有する |
| 英文契約書を、翻訳アプリの訳文だけで確認して締結に進める | 条項の意味の取り違えや、自社に不利な条項の見落としにつながる | 訳文は下訳にとどめ、社内の法務担当者や弁護士が確認する手順を決める |
特に見落とされがちなのが、最後の「契約書の確認」です。翻訳アプリで契約書の内容がつかめると、そのまま確認が済んだように感じてしまいます。しかし、訳文が自然であることと、条項の意味や自社への影響を正しく判断できていることは別です。訳し方を統一する用語集と、重要な文書を確認する体制がそろって、はじめて担当者が変わっても品質が落ちない運用になります。
導入効果をどう確認するか
翻訳アプリを導入したら、効果を数字で確認しておくと、有料プランの継続や対象部署の拡大を判断しやすくなります。いきなり厳密な測定を目指す必要はなく、導入前後で次のような指標を比べるだけでも十分です。
| 指標 | 測り方の例 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 作業時間 | 英文メール1通の作成や、仕様書1ページの確認にかかる時間を記録する | 確認や修正の時間まで含めて短くなっているか |
| 外注の件数と費用 | 翻訳会社への依頼件数を導入前後で比べる | 社内で対応できる文書が増えた一方、重要文書の品質は保てているか |
| 修正・問い合わせの件数 | 取引先からの内容確認や、訳文の修正依頼の件数を記録する | 誤訳による手戻りが増えていないか |
| 利用状況 | 法人プランの管理画面で利用者数や利用量を確認する | 契約した人数が実際に使っているか、特定の人に偏っていないか |
効果を確認していくと、翻訳そのものよりも、翻訳したあとの確認に時間がかかっていることに気づく場合があります。とくに英文契約書は、訳文を読んだあとに条項の確認や社内の承認が続くため、確認にかかる時間や外部への依頼件数を、翻訳アプリの導入効果とあわせて記録しておくと判断しやすくなります。確認の負担が大きい場合は、過去の契約書との照合や英文の読解を支援する仕組みを検討する余地があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. ビジネスで使う翻訳アプリはどう選べばよいですか?
A. まず、メールや文書を訳す文書翻訳と、商談や会議の会話を訳す会話翻訳のどちらが必要かを整理します。そのうえで、精度・対応言語・料金を自社の実際の文書や会話で試して比べ、法人で使う場合は入力データの扱いや第三者認証の有無も確認すると選びやすくなります。
Q2. 無料の翻訳アプリでは、どれが良いですか?無料で日本語の通訳に使えるアプリはありますか?
A. 無料で使える主なアプリには、テキスト・音声・カメラなど幅広い入力に対応するGoogle翻訳アプリや、情報通信研究機構(NICT)が提供する音声翻訳アプリのVoiceTraがあります。どれが良いかは用途で変わるため、場面に合う機能を試して選んでください。ただし、無料のアプリは業務での利用や入力データの扱いが想定されていない場合があるため、社外秘の文書を入力する前に利用条件を確認することが前提です。
Q3. Google翻訳のアプリは無料ですか?業務で使ってもよいですか?
A. Google翻訳のアプリは、アプリストアの表示では無料で利用できます。業務で使う場合は、入力した文書の扱いについて利用規約やプライバシーポリシーを確認し、社内の情報管理ルールで許可されたアプリかどうかを確かめてください。社外秘や個人情報を含む文書は、法人向けのサービスを検討するのが無難です。
Q4. 翻訳アプリで人気ナンバーワンはどれですか?
A. 人気の基準はダウンロード数、利用者数、企業での導入など指標によって異なり、1つに決められるものではありません。個人向けではGoogle翻訳、文書やメールの翻訳ではDeepL、法人向けではみらい翻訳のように、用途ごとによく名前が挙がるサービスがあります。人気よりも、自社の用途と入力データの扱いに合うかどうかで選ぶのが確実です。
Q5. 無料の翻訳アプリに社外秘の文書を入力しても大丈夫ですか?
A. 無料版の中には、入力データをサービス改善に利用する可能性を利用規約で定めているものがあるため、社外秘の文書の入力は避けるのが無難です。機密情報を扱う場合は、利用規約で学習利用の有無やデータの保存期間を確認し、法人向けプランを検討したうえで、社内の情報管理ルールに沿って運用してください。
Q6. 翻訳アプリだけで英文契約書を訳してもよいですか?
A. 契約書は一語の訳し違いが条項の解釈を変えることがあるため、翻訳アプリの訳文は内容把握のための下訳にとどめ、社内の法務担当者や弁護士の確認を経るのが一般的です。確認の体制がない場合は、契約書のレビューを支援するAIサービスや、弁護士にオンラインで依頼できるサービスの利用も選択肢になります。
まとめ|翻訳アプリ選びで押さえたい5つのこと
ビジネスで使う翻訳アプリは、メールや文書を訳す文書翻訳と、商談や会議の会話を訳す会話翻訳で、向いているツールも重視すべき性能も異なります。選ぶときに押さえたい5つのことは次のとおりです。
- 文書翻訳と会話翻訳のどちらが主な用途かを整理する
- 精度・対応言語・料金を、自社の文書や会話で試して比べる
- 入力データの学習利用や保存期間、ISO/IEC 27001やSOC2といった第三者認証を確認し、利用ルールを社内で決める
- 契約書のように誤訳が大きな損害につながる文書は、訳文を下訳にとどめ、人による確認を組み込む
- 英文契約書を扱う会社は、契約書の確認体制を整えるために、契約書レビューのサービスも検討する
翻訳の品質を安定させるには、部署をまたいで用語集を共有することも欠かせません。翻訳アプリの導入をきっかけに、翻訳だけでなく、訳したあとの確認までを仕組みとして整えていきましょう。
参考文献
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_offshore/
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/
- 独立行政法人情報処理推進機構「情報セキュリティ」https://www.ipa.go.jp/security/index.html
- 国立研究開発法人情報通信研究機構https://www.nict.go.jp/
- 国立研究開発法人情報通信研究機構「VoiceTra」https://voicetra.nict.go.jp/
- Google翻訳ヘルプ「Google 翻訳の新機能: 100 以上の言語に新たに対応」https://support.google.com/translate/answer/15139004?hl=ja
- DeepL「DeepL Proのデータセキュリティ」https://www.deepl.com/ja/pro-data-security
- 株式会社みらい翻訳https://miraitranslate.com/
- LAWGUE導入事例「株式会社トムス・エンタテインメント」https://lawgue.com/voice/4834/
