仮想デスクトップとは?Windows機能とVDI・DaaSの違い【2026年最新】
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- 仮想デスクトップの2種類の違いがわかる
- Windowsの作成・切り替え・削除がわかる
- VDIとDaaSの違いと運用の注意点がわかる
仮想デスクトップとは、1台のPCの中に複数のデスクトップ画面をつくり、切り替えて使うWindowsなどのOSの機能のことです。一方、会社の情報システムの現場では、OSやアプリ、データをサーバー上に置き、手元の端末から画面を呼び出して使う「VDI」や、それをクラウド事業者のサービスとして借りる「DaaS」も仮想デスクトップと呼ばれます。同じ言葉でも目的も仕組みも異なるため、まず2種類の違いを整理したうえで、VDIとDaaSの違い、Windowsの機能の使い方、メリット・デメリット、導入前の確認ポイントを解説します。Windowsの機能の使い方だけを知りたい方はWindowsの仮想デスクトップ機能の使い方へ、会社の仕組みを検討している方はVDIとDaaSの違いへお進みください。
会社で仮想デスクトップを運用するときの課題を診断
Q1. 仮想デスクトップの基盤は、どのように用意する予定ですか?
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仮想デスクトップとは|Windowsの機能とVDI・DaaSの2種類
仮想デスクトップは、PCの画面を切り替えて使うWindowsなどの機能と、サーバー上のPC環境を遠隔で使うVDI・DaaSの2種類を指す言葉です。
| 観点 | WindowsなどOSの仮想デスクトップ機能 | VDI・DaaS(サーバー型) |
|---|---|---|
| 何をするものか | 1台のPCの中にデスクトップ画面を複数つくり、切り替えて使う | OS・アプリ・データをサーバー上に置き、手元の端末から画面を呼び出して使う |
| 環境がある場所 | 手元のPC | サーバー(自社の基盤、またはクラウド事業者の基盤) |
| 主な目的 | 作業画面の整理、複数の作業の並行 | データを端末に残さない、場所を問わず同じ環境で働く、PC環境の一括管理 |
| 使い始めるには | Windowsの標準機能のため、追加のソフトは不要 | 基盤の構築、またはDaaSの契約が必要 |
2つは名前が同じだけで、置き換え合う関係ではありません。個人が手元で作業画面を整理したいならWindowsの機能で足り、会社として「データを端末に残さない」「どこからでも同じ環境で働く」を実現したいならVDIやDaaSを検討する、という使い分けになります。NTT東日本のコラムでも、OSの拡張機能とVDIの2種類で仕組みがまったく違うと整理されています。
VDIとDaaSの違い|クラウド上に基盤を置く場合の運用と費用
VDIとDaaSの違いは、基盤を誰が持ち、誰が運用するかです。VDIは自社が基盤を構築して運用し、DaaSはクラウド事業者の基盤を月額などの利用料で借りて使います。
VDIはVirtual Desktop Infrastructureの略で、OSやアプリケーション、データをサーバー上に集約し、利用者が手元の端末から画面だけを呼び出して使う仕組みです。DaaS(Desktop as a Service)は、その基盤をクラウド事業者が用意し、サービスとして提供する形を指します。
| 比較の観点 | VDI(自社運用型) | DaaS(クラウド型) |
|---|---|---|
| 基盤の場所 | 自社のサーバー室やデータセンター | クラウド事業者の基盤 |
| 初期費用 | サーバー、ストレージ、ライセンスの購入が必要で大きくなりやすい | 基盤の購入が不要なため抑えやすい |
| 運用負担 | ハードウェア保守、障害対応、更新をすべて自社で行う | 基盤の保守や障害対応は事業者が担い、自社は設定や利用者管理が中心 |
| 向いている企業 | 大規模で専任のインフラ担当がいる、閉じたネットワークでの運用が必要な企業 | 専任担当が少ない中小企業、利用人数の変動が大きい企業 |
クラウド上に基盤を構築すると、自社に残る運用の仕事
総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」は、クラウド上にVDI基盤を構築する構成について、基盤の管理には高度な技術が必要だが、クラウドサービスを使えば基盤上のサーバー障害等への対応は事業者に任せられると説明しています。ただし、任せられるのはクラウド基盤そのものの障害対応です。その上に自社で構築した仮想デスクトップの製品や、接続を支える認証基盤、業務システムの稼働監視と障害の一次対応は、自社の仕事として残ります。
- 稼働の監視とアラートへの対応(夜間・休日を含む)
- 障害時の一次対応と、復旧手順書の整備
- クラウド利用料の支払いと予算の管理
夜間・休日も含めた体制を自社の人員だけで組むのが難しい場合や、利用料の支払いを円建てで整理したい場合は、クラウドの運用を外部に任せる選択肢があります。AWS上に仮想デスクトップや業務システムを置く場合の一例として、2つのサービスを役割の違いがわかるように並べました。いずれもAWSが対象のため、他のクラウドを使う場合は当てはまりません。
クラウド上の仮想デスクトップ基盤の運用と費用を支える2つのサービス
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
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|---|---|---|
| 向いている会社 | 夜間・休日の監視や障害対応を、自社の人員だけでは組みにくい会社 | AWS利用料の支払いを円建ての請求書で整理し、支払い業務を簡素化したい会社 |
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| 注意したい点 | 障害発生時の一次対応は手順書に沿った復旧が基本。自社の要件に合わせる場合はオプション | 監視や運用のサービスを使いたい場合は有料オプション扱い |
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DaaSにも提供形態の違いがある
DaaSとひとくくりにしても、提供のされ方には幅があります。大手クラウド事業者の共用基盤の上で標準化されたサービスを使う形は、手軽に始められて費用を抑えやすい反面、設定の自由度は限られます。たとえばAmazon WorkSpacesは、AWSのページでフルマネージドの仮想デスクトップサービス(DaaS)として紹介されています(AWS公式ページ)。一方、事業者が企業ごとに専用の基盤を用意する形は、要件に合わせやすい代わりに費用は高めになります。また、クラウド基盤の上に、自社で仮想デスクトップの製品を構築して運用する中間的な形もあります。「クラウドだから運用はすべて任せられる」と考えず、どこまでを事業者が担い、どこからを自社が担うのかを契約前に確認することが大切です。クラウドのサービスモデル全体の中でのDaaSの位置づけは、IaaS・PaaS・SaaS・DaaSの違いを図解した記事で、AWSとSaaSの関係はSaaSとAWSの違いを解説した記事で整理しています。
VDIとDaaSのどちらを選ぶかの目安
- インフラの専任担当がいない、または少ない場合は、基盤の保守を任せられるDaaSから検討する
- 利用人数が繁忙期や採用計画で大きく変わる場合は、台数を増減しやすいDaaSが合いやすい
- 業界の規制や取引先との契約で、データを置く場所やネットワーク構成に厳しい条件がある場合は、自社運用のVDIや専用型のDaaSを検討する
- すでに自社のデータセンターに十分な設備と人員がある場合は、VDIのほうが長期的な費用を抑えられることもある
費用の比較では、VDIの購入費用とDaaSの月額費用を単純に並べるのではなく、5年程度の期間で、ハードウェアの更新、保守の人件費、ライセンス、通信回線まで含めた総額で比べると判断を誤りにくくなります。
VDIの仕組みと方式|リモートデスクトップ・シンクライアントとの違い
VDIは、サーバー上に用意した仮想のPCへ手元の端末から接続して使う仕組みで、方式は仮想PC型・サーバーOS共有型・物理PC割り当て型の3つが代表的です。
VDIが動く流れ
- サーバー上で仮想化ソフトウェアが動き、1台の物理サーバーの中に複数の仮想マシンを作る
- 仮想マシンごとに、WindowsなどのOSと業務アプリケーションを入れた「仮想のPC」を用意する
- 利用者は手元の端末から専用のクライアントソフトやブラウザで接続し、認証を受ける
- 接続後は仮想のPCの画面が手元に表示され、操作内容だけがやり取りされる
- 作業で作ったファイルはサーバー側に保存され、手元の端末には原則として残らない
この仕組みにより、利用者は会社でも自宅でも出張先でも、同じデスクトップ環境で仕事を続けられます。管理者の側では、OSの更新やアプリケーションの配布をサーバー側でまとめて行えるため、1台ずつPCを回って設定する必要がなくなります。
VDIの主な方式の比較
サーバーの資源を利用者にどう割り当てるかによって、デスクトップ仮想化にはいくつかの方式があります。製品によって呼び方は異なりますが、代表的なものは次の3つです。
| 方式 | 仕組み | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 仮想PC型 | 利用者ごとに専用の仮想マシンを割り当てる | 個人ごとに使うアプリや設定が異なる業務 |
| サーバーOS共有型(SBC) | 1つのサーバーOSを複数の利用者で共有し、アプリやデスクトップを配信する | コールセンターや窓口など、同じアプリを多人数で使う定型業務 |
| 物理PC割り当て型 | データセンターに置いた物理マシンを利用者ごとに割り当てる | 設計や映像編集など、高い処理性能が要る業務 |
仮想PC型は自由度が高い反面、利用者の数だけ仮想マシンが必要になるためサーバーの資源を多く使います。サーバーOS共有型は資源の効率が良い一方、利用できるアプリケーションに制約が出ることがあります。どの方式が合うかは社員の業務内容によって変わるため、部署ごとに使い分ける企業もあります。
リモートデスクトップ・シンクライアントとの違い
VDIと混同されやすい言葉に、リモートデスクトップとシンクライアントがあります。総務省のガイドラインでは、テレワークの方式をVPN方式、リモートデスクトップ方式、仮想デスクトップ(VDI)方式、セキュアコンテナ方式、セキュアブラウザ方式、クラウドサービス方式、スタンドアロン方式に分けて整理しています。リモートデスクトップ方式は、オフィス内に置いてあるPCに接続して遠隔操作する方法で、VDI方式は、接続先のデスクトップ環境を専用の基盤に集約したものと説明されています。
| 用語 | 接続先・意味 | VDIとの関係 |
|---|---|---|
| VDI | サーバー上の仮想のPCに接続する | 管理者が一括で管理できる |
| リモートデスクトップ | オフィスにある実物のPCに接続する | 接続先が物理PCなので、オフィスのPCの電源や台数の管理が必要 |
| シンクライアント | 記憶装置などを最小限にした端末、またはその考え方 | VDIに接続する手元の端末として使われることが多い |
シンクライアントは「どの端末で接続するか」、VDIやリモートデスクトップは「どこにある環境に接続するか」の話なので、両者は対立する選択肢ではなく、組み合わせて使われるのが一般的です。
2つのサービスの役割を比較表で見るWindowsの仮想デスクトップ機能の使い方|作成・切り替え・削除
Windowsの仮想デスクトップは、Windows+Ctrl+Dで作成し、Windows+Ctrl+右矢印・左矢印キーで切り替え、Windows+Ctrl+F4で閉じます。Windows 11とWindows 10で使えます。
Windowsの仮想デスクトップは、仕事用と私用、資料作成用とWeb会議用のように、用途別にデスクトップを分けて使う機能です。Microsoftのサポートページでは、Windows 11とWindows 10の機能として複数のデスクトップの構成方法が案内されています。NEC LAVIEの解説では、プロジェクトごとに資料やツールをまとめる、オンライン会議の画面共有で共有したいデスクトップだけを見せる、といった使い方が紹介されています。
作成・切り替え・削除の操作方法
| 操作 | ショートカットキー | タスクビューでの操作 |
|---|---|---|
| タスクビューを開く | Windows+Tab | タスクバーのタスクビューのアイコンを選ぶ |
| デスクトップを作成する | Windows+Ctrl+D | タスクビューで「新しいデスクトップ」を選ぶ |
| デスクトップを切り替える | Windows+Ctrl+右矢印キー(右に作成したデスクトップへ)、Windows+Ctrl+左矢印キー(左のデスクトップへ) | 切り替えたいデスクトップのサムネイルを選ぶ |
| デスクトップを閉じる(削除する) | Windows+Ctrl+F4 | 対象のデスクトップにカーソルを合わせて表示されるバツ印を選ぶ |
ショートカットキーはMicrosoftのWindowsのキーボード ショートカットの一覧、タスクビューでの切り替えと削除は日本HPの解説をもとにしています。OSのバージョンや更新状況によって画面の表記が異なる場合があります。
デスクトップの名前・背景・表示の設定
作成したデスクトップは、タスクビューで名前を選ぶと好きな名前に変更できます。背景は、タスクビューで対象のデスクトップを右クリックして「背景の選択」から画像を指定します。各デスクトップの背景に設定できるのは画像のみで、スライドショーや単色は選べません。また、「設定」の「システム」にある「マルチタスク」の「デスクトップ」で、タスクバーやAlt+Tabキーに、すべてのデスクトップのウィンドウを表示するか、使用中のデスクトップのウィンドウだけを表示するかを選べます(Microsoftサポート)。
仮想デスクトップを消したいとき
不要なデスクトップは、消したいデスクトップに切り替えてWindows+Ctrl+F4を押すか、タスクビューで対象のデスクトップのバツ印を選んで閉じます。閉じたデスクトップで開いていたウィンドウは閉じられず、別のデスクトップに移ります。本当に不要なウィンドウは、先に閉じておくときれいに片づきます。また、日本HPの解説によると、仮想デスクトップは削除しない限り、シャットダウンや再起動をしても維持されます。再起動すれば消えるわけではないため、使わなくなったデスクトップは自分で閉じる必要があります。
仮想デスクトップの欠点と、使わなくてよい人
Windowsの仮想デスクトップは便利な一方、使い方によっては作業効率を下げることがあります。日本HP、NEC LAVIE、マウスコンピューターの解説で挙げられている注意点は次のとおりです。
- 切り替えの手間:頻繁に切り替えると、複数のディスプレイを使うより手間がかかる場合がある
- PCへの負荷:デスクトップを増やしすぎると、PCの処理に負荷がかかり動作が重くなるおそれがある
- 管理の煩雑さ:デスクトップごとの役割を覚えておく必要があり、増やしすぎると管理が煩雑になる
- 慣れが必要:スムーズに使うにはショートカットキーを覚える必要がある
そのため、画面を切り替えながら作業する機会が少なく、ウィンドウの整理にも困っていない場合は、無理に使う必要はありません。デスクトップを追加しない限り、画面は1つのままで、普段の操作は変わりません。ノートPCのように画面が小さい端末や、複数の作業を並行して進める場面で、必要な数だけ使うのが向いています。
会社のPCで使うときの注意|情報漏えい対策にはならない
Windowsの仮想デスクトップは、画面を用途別に分ける機能です。データの保存先や接続元の端末の管理が変わるわけではないため、端末の紛失や盗難、マルウェア感染による情報漏えいを防ぐ対策にはなりません。オンライン会議の画面共有で共有したい画面だけを見せるといった使い方はできますが、「データを端末に残さない」ことが目的なら、総務省のガイドラインがメリットとして挙げる、端末へのデータ保存を制限できるVDIのような別の仕組みが必要です。会社として検討する場合は、VDIとDaaSの違いの章をご覧ください。
VDI・DaaSのメリット・デメリット
VDI・DaaSには、セキュリティと運用管理の面で大きな利点がある一方、通信環境やコストの面で注意すべき点もあります。総務省のテレワークセキュリティガイドラインでも、VDI方式は、オフィスと同等の業務が可能で、端末へのデータ保存を制限でき、セキュリティ統制の集中管理が可能と整理される一方、通信回線の影響を受けやすく、大規模な環境変更を伴うシステム導入が必要と整理されています。
主なメリット
- 情報漏えいのリスクを下げられる:データが手元の端末に残らないため、端末の紛失や盗難があってもデータそのものが流出しにくい
- 場所を選ばず同じ環境で働ける:自宅、出張先、別拠点からでも、会社と同じデスクトップで業務を続けられる
- PC管理をまとめられる:OSの更新やアプリの配布、設定の変更をサーバー側で一括して行える
- 端末の入れ替えが楽になる:手元の端末は接続できればよいため、故障時の交換や新入社員の環境準備が短時間で済む
- 事業継続(BCP)に役立つ:災害や感染症の流行でオフィスに出社できない場合でも、別の場所から業務を再開しやすい
- 私物端末を活用しやすい:データを端末に保存させない運用にすれば、BYODを認める場合のリスクを抑えやすい
主なデメリット
- 通信環境に左右される:画面の映像を常にやり取りするため、回線が遅いと操作が重くなり、通信が切れると作業できない
- 帯域が不足しやすい:利用者全員が同時に接続すると、社内側の回線やセキュリティ機器に負荷が集中する
- 導入に費用と期間がかかる:自社運用型では基盤の構築、クラウド型でも移行や検証に一定の準備期間が要る
- サーバー障害の影響が大きい:基盤が止まると、全社員の業務が同時に止まるおそれがある
- 向かない業務がある:Web会議の映像や音声、高度な画像処理、特殊な周辺機器を使う業務は、設計次第で使い勝手が落ちる
- ライセンスの扱いが複雑:仮想環境でOSやオフィスソフトを使う際の利用条件は、物理PCと異なる場合がある
メリットの多くは「データと設定をサーバー側に集める」ことから生まれ、デメリットの多くは「ネットワークに常時依存する」ことから生まれます。とくに「基盤が止まると全社員の業務が同時に止まる」というリスクは、監視と障害対応の体制で大きく変わります。クラウド上に基盤を自社で構築する場合は、夜間・休日も含めて異常に気づき、一次対応できる体制があるかを、導入前に確かめておきましょう。
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導入前に確認すべき3つのポイント
VDI・DaaSの導入を検討する際は、製品やサービスを比べる前に、コスト、セキュリティ、既存システムとの連携という3つの観点で自社の条件を整理しておくと、選定の軸がぶれにくくなります。
1. コスト:初期費用だけでなく総額と隠れた費用で比べる
費用は、基盤やサービスの利用料だけではありません。OSやオフィスソフトを仮想環境で使うためのライセンス、クラウドからデータを取り出す際の通信料、社内回線の増強費用、接続する端末の購入や更新費用、移行作業や検証の外部委託費などが加わります。料金体系や利用条件は提供事業者によって異なり、変更される場合もあるため、見積もりの段階で「何が含まれていて、何が別料金か」を一覧にして確認しましょう。
クラウド上に基盤を置く場合は、利用料の支払い方法も確認しておくと安心です。CloudCREW AWS請求代行の商品ページでは、AWSへ直接支払う場合は米ドル建てのクレジットカード払いなどになりやすく、円建ての請求書払いにできる、と説明されています。支払い方法や請求書の形式は契約や事業者によって異なるため、経理部門と事前にすり合わせておきましょう。
2. セキュリティ:VDI・DaaSの内側と外側を分けて考える
VDI・DaaSの内側では、アクセス権限、多要素認証、操作ログの取得、クリップボードや印刷、USB機器の利用制限などを設計します。たとえば手元の端末とのコピー・貼り付けや、手元のプリンターへの印刷を自由に許可すると、データが端末に残らないという利点が薄れます。DaaSを選ぶ場合は、データの保管場所、通信の暗号化、事業者の運用体制のどこまでが契約に含まれるかも確認します。
一方、外側では、接続元の端末のウイルス対策やOSの更新、紛失時の対応を管理する必要があります。総務省のガイドラインは、VDIを使っていても個人所有端末が乗っ取られ、VDIサーバー経由で組織内のファイルサーバーを閲覧されたおそれがあった事例(2020年5月)を挙げ、VDIを利用していても接続元端末のマルウェア対策などは必要だと示しています。VDIは内側の統制には強いものの、外側の端末管理までは代わりにしてくれません。
3. 既存システムとの連携:移行できない業務を先に洗い出す
社内の業務システムや会計ソフト、ファイルサーバー、認証基盤(社員のIDとパスワードを管理する仕組み)が、仮想デスクトップから問題なく使えるかを確認します。古い業務アプリケーションの中には、特定のOSのバージョンでしか動かないもの、仮想環境での利用が想定されていないもの、ライセンスが端末単位で縛られているものがあります。また、Web会議ツールやICカードリーダーなどの周辺機器が、仮想デスクトップ経由で期待どおりに動くかも検証が必要です。
3つの観点を整理していくと、仮想デスクトップに載せる業務と、物理PCのまま残す業務がはっきりしてきます。載せる業務は、基盤の運用体制と利用料の管理方法までを含めて決めておくと、導入後に運用の担い手がいないという事態を避けられます。
2つのサービスの役割を比較表で見る仮想デスクトップ導入でよくある失敗パターン
VDI・DaaSの導入で起きやすい失敗は、製品の性能よりも、事前の検証や運用設計の不足から生じることがほとんどです。代表的なパターンと対策をまとめます。
| よくある失敗 | 起きること | 事前の対策 |
|---|---|---|
| 始業時の一斉ログインを想定していない | 朝の時間帯に接続が集中し、ログインに長い時間がかかる | ピーク時の同時接続数を見積もり、検証で実際に再現する |
| Web会議の利用を考慮していない | 映像や音声が途切れ、会議の品質が大きく落ちる | Web会議の最適化機能の有無を確認し、会議は手元で行うなどの運用も検討する |
| 回線の帯域を見積もっていない | 在宅勤務が増えた日に全体の動作が重くなる | 1人あたりの通信量と同時接続数から必要な帯域を算出し、余裕を持たせる |
| 一部の業務アプリが動かない | 本番移行後に特定部署の業務が止まる | 全部署の利用アプリを棚卸しし、小規模な試験導入(PoC)で動作を確かめる |
| 接続元の端末管理を後回しにする | 更新されていない私物端末から認証情報が盗まれる | 接続を認める端末の条件を決め、端末の状態を把握する仕組みを用意する |
| 利用者への説明が不足している | 保存先の違いに戸惑い、手元の端末にファイルを置く運用が広がる | 保存場所や禁止事項を簡潔なルールにまとめ、導入時に周知する |
| クラウド上の基盤の監視・障害対応を担当者1人に任せる | 夜間や休日の障害に気づけない、担当者の不在で復旧が遅れる | 監視の担当と連絡経路、一次対応の手順書を決めておく。自社で難しければ外部の運用代行も選択肢にする |
これらの失敗の多くは、いきなり全社に展開せず、特定の部署や数十人規模で試験導入を行うことで事前に発見できます。試験導入では、操作の体感速度、ログインにかかる時間、Web会議の品質、業務アプリの動作、利用者からの問い合わせ内容を記録し、本格導入の判断材料にしましょう。最後の行のように、運用の担い手が決まっていないことも失敗の原因になります。クラウド上の基盤を運用する予定がある方は、下のチェックで今のやり方を確かめてみてください。
クラウド上の仮想デスクトップ基盤の運用、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
業種別の活用シーン
VDI・DaaSは、業種によって期待される効果が異なります。自社に近い業種の使われ方を参考に、導入の目的を具体的にしておくと、方式や提供形態を選びやすくなります。
| 業種 | 主な活用シーン | 特に確認したい点 |
|---|---|---|
| 金融・保険 | 顧客情報を端末に残さずに在宅勤務や外出先での業務を可能にする | 業界の規制や監督官庁の指針に沿ったデータの置き場所、操作ログの保管 |
| 医療・介護 | 複数の拠点や訪問先から共通の業務システムに接続する | 医療情報の取り扱いに関するガイドラインへの対応、通信が不安定な場所での使い勝手 |
| 製造業 | 設計データを社外に持ち出さずに、協力会社や在宅の設計者と作業する | 設計ソフトに必要な処理性能、画像処理用の装置への対応 |
| コールセンター・サービス業 | 同じアプリを多人数で使う業務を、拠点や在宅から同じ環境で行う | サーバーOS共有型での費用効率、繁忙期の増員への対応 |
| 教育機関 | PC教室や自宅学習で、同じ学習用ソフトの環境を提供する | 授業の開始時に接続が集中したときの性能、学生が使う多様な端末への対応 |
| 中小企業全般 | 少人数の情報システム担当で、拠点や在宅のPC環境をまとめて管理する | 基盤の運用を任せられるクラウド型(DaaS)を中心に、月額費用と運用負担のバランス |
中小企業がDaaSを選ぶときの考え方
専任のインフラ担当がいない中小企業では、基盤の保守や障害対応を事業者が担うDaaSが検討の中心になります。選ぶときは、利用人数が増減したときに契約を変えやすいか、月額費用に含まれる範囲、サポートの受付時間、データの保管場所とセキュリティ対策の内容を確認します。まずは一部の部署で試験導入し、操作の快適さと業務アプリの動作を確かめてから対象を広げると、失敗を防ぎやすくなります。
どの業種でも共通するのは、仮想デスクトップに載せる業務と載せない業務を分けて考えることです。全社員を一度に仮想化するのではなく、効果が大きい部署や業務から始める段階的な進め方が、費用と効果のバランスを取りやすくなります。また、クラウドを使う以上、業種を問わず、利用料の支払い方法と予算の管理は共通の論点です。AWS上に基盤や業務システムを置く場合は、支払いを円建ての請求書にまとめられるかも、あわせて確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 仮想デスクトップとは何ですか?
A. 1台のPCに複数のデスクトップ画面をつくって切り替えるWindowsなどのOSの機能と、サーバー上にOSやアプリ、データを置いて手元の端末から画面を呼び出して使うVDI・DaaSの2種類を指します。前者は個人の作業画面を整理するため、後者は会社でデータを端末に残さず、場所を問わず同じ環境で働くために使われます。
Q2. 仮想デスクトップの欠点は何ですか?
A. Windowsの機能では、切り替えの手間がマルチディスプレイより大きい場合があることや、増やしすぎるとPCの動作が重くなることです。VDI・DaaSでは、通信環境に左右されやすいこと、導入に費用と準備期間がかかること、基盤が止まると全員の業務に影響することが挙げられます。
Q3. 仮想デスクトップを消したいのですが、どうすればよいですか?
A. Windowsでは、消したいデスクトップに切り替えてWindows+Ctrl+F4を押すか、タスクビュー(Windows+Tab)で対象のデスクトップのバツ印を選びます。そのデスクトップで開いていたウィンドウは別のデスクトップに移るので、不要なものは先に閉じておきましょう。
Q4. 仮想デスクトップはいらないですか?
A. 画面を切り替えながら作業することが少なく、ウィンドウの整理に困っていなければ、使わなくても問題ありません。追加しない限りデスクトップは1つのままです。一方、会社で端末にデータを残さない運用や在宅勤務の環境整備が目的なら、VDIやDaaSという別の仕組みを検討する価値があります。
Q5. VDIとDaaSの違いは何ですか?
A. 基盤を誰が持ち、誰が運用するかの違いです。VDIは自社のサーバーやデータセンターに基盤を構築して自社で運用する形、DaaSはクラウド事業者が用意した基盤の上で仮想デスクトップをサービスとして利用する形です。DaaSは初期費用や運用負担を抑えやすく、VDIは構成を自社の要件に合わせて細かく設計しやすいという特徴があります。
Q6. 中小企業でもDaaSやVDIは導入できますか?
A. 導入できます。インフラの専任担当が少ない企業では、基盤の保守を事業者に任せられるクラウド型のDaaSから検討するのが一般的です。まずは一部の部署で試験導入し、操作の快適さや業務アプリの動作、月額費用を確かめてから対象を広げると、失敗を防ぎやすくなります。
まとめ
仮想デスクトップは、画面を切り替えるWindowsなどの機能と、サーバー上のPC環境を遠隔で使うVDI・DaaSの2種類があります。目的に合わせて、次の点を押さえておきましょう。
- 仮想デスクトップは、PC画面を切り替えるWindowsなどの機能と、サーバー上のPC環境を遠隔で使うVDI・DaaSの2種類があり、目的が違う
- Windowsの機能は、Windows+Ctrl+Dで作成し、Windows+Ctrl+F4で閉じる。増やしすぎると動作が重くなるため、必要な数にとどめる
- VDIは自社運用でカスタマイズ性が高く、DaaSはクラウド型で初期費用と運用負担を抑えやすい
- 通信環境、ライセンス、移行できない業務アプリ、接続元端末のセキュリティを事前に確認し、試験導入で検証してから展開する
- クラウド上に基盤を構築する場合は、夜間・休日の監視・障害対応と利用料の支払い管理を誰が担うかを決め、必要に応じて外部サービスの資料を取り寄せて比べる
仮想デスクトップは、個人の作業画面を整える機能と、会社の働き方を支える基盤とで、選ぶ基準がまったく異なります。自社がどちらを必要としているのかを見きわめ、基盤を選ぶ場合は運用体制までを含めて段階的に進めていきましょう。なお、本記事の内容は一般的な情報の提供を目的としたものです。製品の仕様や条件は変更されることがあるため、導入前に各社の公式情報を確認してください。
参考文献
- 総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保について」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/、2026年10月15日確認
- 総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf、2026年10月15日確認
- Microsoft「Windows で複数のデスクトップを構成する」https://support.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-%E3%81%A7%E8%A4%87%E6%95%B0%E3%81%AE%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%92%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8B-36f52e38-5b4a-557b-2ff9-e1a60c976434、2026年10月15日確認
- Microsoft「Windows のキーボード ショートカット」https://support.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89-%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88-dcc61a57-8ff0-cffe-9796-cb9706c75eec、2026年10月15日確認
- NTT東日本「仮想デスクトップには2種類ある|それぞれの使い方や注意点を紹介」https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-304.html、2026年10月15日確認
- 日本HP「Windows 11:仮想デスクトップを使いこなして作業効率を向上」https://jp.ext.hp.com/techdevice/windows10sc/54/、2026年10月15日確認
- NEC LAVIE「仮想デスクトップとは?活用例や操作方法を紹介(Windows 11)」https://www.nec-lavie.jp/products/contents/virtual-memory.html、2026年10月15日確認
- Amazon Web Services「Amazon WorkSpaces」https://aws.amazon.com/jp/workspaces-family/、2026年10月15日確認
- CloudCREW byGMO「マーカーネット株式会社様の導入事例」https://managed.gmocloud.com/case/case01.html、2026年10月15日確認
- CloudCREW byGMO「株式会社キングポーン様の導入事例」https://managed.gmocloud.com/case/case05.html、2026年10月15日確認