退勤とは?出勤・退社との違いから管理方法・DX化まで解説
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- 退勤の意味と、出勤・退社・終業・帰社との違いがわかる
- 退勤時刻の4つの管理方法と、法律上求められる労働時間把握のポイントがわかる
- 退勤管理の失敗パターンと、勤怠管理をDX化する進め方がわかる
「退勤」とは、その日の業務を終えて勤務状態から離れることです。毎日なにげなく使う言葉ですが、「退社」「終業」「帰社」とは意味が少しずつ異なり、在宅勤務や直行直帰が増えた今は使い分けを誤ると勤怠記録のトラブルにもつながります。
本記事では、退勤の意味と似た言葉との違いを整理したうえで、退勤時刻の管理方法、法律上求められる労働時間の把握、現場で起こりがちな失敗パターン、勤怠管理をデジタル化する進め方までを解説します。総務・労務担当の方だけでなく、自分の退勤記録の扱いを確認したい方にも役立つ内容です。
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退勤時刻を正確に残す|中小企業向け勤怠管理システムの比較
退勤の扱いで会社が最も困るのは、「本当は何時に仕事を終えたのか」が後から確認できない状態です。紙の出勤簿や自己申告だけに頼っていると、打刻忘れ、まとめ書き、実際の退勤時刻とのズレが起きやすく、残業代の計算や労働時間の把握にも影響します。
こうした問題を減らす方法の一つが、退勤時刻をその場で記録し、集計まで自動で行える勤怠管理システムです。中小企業でも導入しやすいタイプの代表例を整理しました。
| タイプ | サービス例 | 強み | 留意点 |
|---|---|---|---|
| サポート重視型 | ジンジャー勤怠 | 初期設定から定着まで電話・チャット等でサポートを受けられ、スマホアプリで場所を問わず打刻できる | スマホアプリの申請・修正画面がわかりにくいという声がある |
| 打刻方法の多様型 | KING OF TIME | 20種類の打刻方法から現場に合うものを選べ、多言語にも対応している | PCのスペックによって起動速度に差が出る場合がある |
| 小規模スタート型 | HRMOS勤怠 by IEYASU | 少人数なら無料プランから始められ、シンプルな画面で使いやすい | 通知機能がなく、法改正への対応機能が限定的とされる |
料金や機能は時期によって変わるため、導入前に各サービスの公式情報で確認してください。ほかのサービスも含めた特徴や選び方は、次の記事で比較しています。
退勤とは|出勤・退社・終業との違い
退勤とは、その日の業務を終えて勤務状態から離れることです。「退」は離れること、「勤」は勤めることを表し、仕事を始める「出勤」と対になる言葉です。ポイントは、場所ではなく「業務を終えたかどうか」で判断する点にあります。
たとえば外回りの営業担当者が取引先から自宅へ直帰した場合も、在宅勤務の社員が自宅でパソコンを閉じた場合も、業務を終えた時点で退勤です。一方で、会社の建物を出ることを指す「退社」は、在宅勤務では起こりません。似た言葉との違いを表にまとめます。
| 言葉 | 意味 | 判断の基準 | 使い方の例 |
|---|---|---|---|
| 退勤 | その日の業務を終えて勤務状態から離れること | 業務の終了(場所は問わない) | 在宅で18時に退勤した |
| 出勤 | 業務を開始すること | 業務の開始(場所は問わない) | 直行先で9時に出勤した |
| 退社 | 会社の建物から出ること。会社を辞める意味もある | 建物からの退出、または退職 | 本日は17時に退社します |
| 終業 | 就業規則で定めた業務終了の時刻 | 会社が定めた所定の時刻(定時) | 終業時刻は18時です |
| 帰社 | 外出先から会社に戻ること | 会社への移動 | 打ち合わせ後に帰社します |
特に混同しやすいのが「終業」と「退勤」です。終業は会社が定めた定時を指すことが多いのに対し、退勤は残業を含めて実際に業務を終えた時刻を指します。定時が18時でも、19時半まで仕事をすれば退勤時刻は19時半です。給与計算で使うのは実際の退勤時刻のほうなので、両者を混同しないよう注意が必要です。
また「退社」には「会社を辞める」という意味もあるため、社内チャットで「今日で退社します」と書くと、退職と誤解されるおそれがあります。その日の業務終了を伝えるときは「退勤します」「本日の業務を終了します」と表現するほうが確実です。出勤と出社の違いについては、出勤と出社の違い|勤怠管理を解説で詳しく紹介しています。
退勤の英語表現
英語では「finish work」「leave work」「clock out」などと表現します。勤怠システムの画面では、出勤を「Clock in」、退勤を「Clock out」と表示しているものも多く、外国籍の社員がいる職場では表記をそろえておくと案内がしやすくなります。
退勤管理の4つの方法|紙からクラウド型まで
退勤時刻の記録方法は、大きく紙の出勤簿、Excel、タイムカード、クラウド型の勤怠管理システムの4つに分けられます。どれが正解というより、従業員数や働き方、集計にかけられる手間によって向き不向きがあります。
| 方法 | 向いている職場 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 紙の出勤簿 | 数名規模で全員が同じ場所で働く | 準備がほぼ不要ですぐ始められる | 自己申告に近く、客観的な記録として弱い。まとめ書きが起きやすい |
| Excel | 少人数で集計を自動化したい | 関数で労働時間や残業時間を計算できる | 入力した時刻を後から書き換えられるため、改ざん防止の工夫が必要 |
| タイムカード | 店舗や工場など出勤場所が決まっている | 機械で時刻が刻まれ、客観的な記録になる | 直行直帰や在宅勤務では打刻できない。集計は手作業になりやすい |
| クラウド型システム | 在宅勤務・外勤・複数拠点がある | スマホやPCから打刻でき、集計や残業アラートも自動化できる | 利用料がかかり、初期設定や社内への周知に時間が必要 |
紙やExcelは手軽ですが、従業員が増えるほど月末の集計作業が重くなります。紙で運用する場合のフォーマットや記載項目は、出勤簿テンプレートの法的要件と記載項目の解説が参考になります。タイムカードは客観性に優れますが、働く場所が分散している職場では打刻そのものができない場面が出てきます。
クラウド型システムは、スマホのGPS打刻、ICカード打刻、PCのログオン・ログオフとの連携など、退勤の記録方法を職場に合わせて選べるのが特徴です。打刻データがそのまま集計されるため、労働時間の把握と給与計算の準備を同時に進められます。
法律上の労働時間把握義務|退勤記録はなぜ必要か
退勤時刻の記録は、社内ルールだけの問題ではありません。会社には、労働者の労働時間を適正に把握する責任があるとされています。ここでは関連する主な法令とガイドラインの要点を整理します。
労働安全衛生法による「労働時間の状況」の把握
2019年4月に施行された働き方改革関連法により、労働安全衛生法第66条の8の3で、事業者は労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと定められました。長時間労働者への医師の面接指導を確実に行うことが目的で、管理監督者や裁量労働制の対象者も把握の対象に含まれるとされています。把握の方法は、タイムカードによる記録やパソコンの使用時間の記録など、客観的な方法が原則とされています。
厚生労働省ガイドラインが求める始業・終業時刻の確認
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、使用者は労働日ごとに始業・終業時刻を確認し、記録することとされています。その方法は、使用者が自ら現認するか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とすることが原則です。
やむを得ず自己申告制をとる場合も、対象者と管理者への十分な説明、申告された時間と実態が合っているかの調査、必要に応じた補正などの措置が求められます。特に、申告された退勤時刻とパソコンの使用記録などに大きな差がある場合は、実態を調べることが求められている点に注意が必要です。
記録の保存期間と時間外労働の上限
出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録は、労働基準法第109条により保存が義務付けられており、保存期間は原則5年(当分の間は3年)とされています。また、時間外労働には原則として月45時間・年360時間という上限が設けられています。退勤時刻が正確でなければ、上限を超えていないかを判断すること自体ができません。
なお、休憩は労働時間の途中に与えることとされている(労働基準法第34条)ため、「退勤直前に休憩を取ったことにして早めに上がる」といった運用は認められないと考えられます。本章は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。自社の具体的な運用については、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください。
退勤管理でよくある失敗パターン
退勤の記録は、ルールを決めただけではうまく回りません。現場でよく起こる失敗と、その対処を表にまとめました。どれも「悪意」ではなく、仕組みの不足から起きることがほとんどです。
| 失敗パターン | 起きる原因 | 起こりうるリスク | 対処の方向性 |
|---|---|---|---|
| 退勤打刻の後も仕事を続けている | 残業申請の手間、職場の雰囲気 | 未払い残業代(サービス残業)の発生 | PCログと打刻時刻を突き合わせ、差がある場合は理由を確認する |
| 退勤の打刻忘れが多い | 打刻場所が限られる、習慣化していない | 後からの記憶頼りの修正で記録の信頼性が下がる | スマホ打刻や未打刻アラートを使い、修正は申請と承認の流れにする |
| 直帰・在宅の退勤時刻がわからない | タイムカードが会社にしかない | 労働時間の把握が自己申告だけになる | 場所を問わず打刻できる方法を用意する |
| 定時でまとめて記録している | 終業時刻と退勤時刻の混同 | 実際の残業時間が記録に残らない | 退勤は「実際に業務を終えた時刻」で記録するよう周知する |
| 退勤後の連絡対応が曖昧 | チャットやメールの通知が常に届く | 労働時間かどうかの判断がつかず、トラブルの原因になる | 退勤後の対応を労働時間として扱う基準と申請方法を決めておく |
中でも見落とされやすいのが、退勤打刻とパソコンの使用記録のズレです。打刻は18時なのに、パソコンのログオフが20時という状態が続けば、記録上の労働時間と実態が合っていないことになります。ガイドラインでも、客観的な記録と申告に大きな差がある場合は実態を調べることが求められています。
ただ、毎日すべての社員のログを手作業で確認するのは現実的ではありません。PCのログオン・ログオフ時刻を自動で取り込み、打刻との差が一定時間を超えたら管理者に知らせる機能を持つ勤怠管理システムを使えば、ズレの確認を仕組みとして回せます。
勤怠管理をDX化する進め方
紙やExcelから勤怠管理システムへ切り替える場合、いきなり全社で始めるよりも、段階を踏んで進めるほうが定着しやすくなります。一般的な進め方は次の5ステップです。
- 現状の把握:退勤の記録方法、打刻忘れの頻度、月末の集計にかかる時間を洗い出す
- ルールの整理:退勤の定義(実際に業務を終えた時刻)、直帰・在宅時の打刻方法、退勤後の連絡対応の扱いを就業規則や社内ルールで明確にする
- システムの選定:打刻方法、PCログ連携、給与計算ソフトとの連携、サポート体制を比較する
- 試験運用:一部の部署で1から2か月ほど並行運用し、設定や運用ルールの不具合を洗い出す
- 全社展開と見直し:説明会やマニュアルで周知し、運用開始後も定期的に記録の状況を確認する
特に重要なのが2番目のルール整理です。システムを入れても、「直帰の日はいつ打刻するのか」「退勤後にチャットを返したら残業になるのか」が決まっていなければ、現場は迷ったままです。システムの設定はルールを形にするものだと考え、先に運用の考え方をそろえておきましょう。
選定の段階では、無料トライアルを使って実際に打刻から集計までを試すのがおすすめです。スマホでの打刻のしやすさ、修正申請の流れ、管理者画面の見やすさは、資料だけでは判断しにくいためです。
導入効果の測定方法
勤怠管理のデジタル化は、導入して終わりではありません。効果を確認するために、導入前後で次のような指標を比べておくと、社内への説明や運用の改善に役立ちます。
| 指標 | 測り方 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 月末の集計時間 | 担当者の作業時間を導入前後で記録する | 手作業の集計がどれだけ減ったか |
| 打刻忘れ・修正の件数 | 修正申請の件数を月ごとに数える | 退勤記録の正確さが上がったか |
| 打刻とPCログの差 | 一定時間以上の差がある件数を確認する | 記録と実態のズレが減ったか |
| 時間外労働の状況 | 月45時間に近い社員の人数を確認する | 長時間労働を早めに把握できているか |
導入直後は打刻忘れが一時的に増えることもありますが、数か月の推移で判断するのが現実的です。一部の部署で効果を確認できたら、その数字を根拠に他の部署や拠点へ広げていくと、社内の理解も得やすくなります。全社展開を見据えて、従業員数の増加や複数拠点に対応できるかもあらためて確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 退勤と退社の違いは何ですか?
A. 退勤はその日の業務を終えることで、場所は問いません。退社は会社の建物から出ること、または会社を辞めることを指します。在宅勤務や直帰の場合は、退社はなくても退勤はあります。
Q. 終業時刻と退勤時刻は同じですか?
A. 同じとは限りません。終業時刻は就業規則で定めた定時を指すことが多く、退勤時刻は残業を含めて実際に業務を終えた時刻です。給与計算や労働時間の把握には、実際の退勤時刻を使います。
Q. 退勤時刻の記録は法律で義務付けられていますか?
A. 労働安全衛生法で労働時間の状況の把握が義務付けられており、厚生労働省のガイドラインでは始業・終業時刻を客観的な方法で確認・記録することが原則とされています。記録は労働基準法により原則5年(当分の間は3年)の保存が必要です。
Q. 退勤打刻の後に仕事をした場合はどうなりますか?
A. 会社の指示や黙認のもとで業務をしていれば、一般的に労働時間とされる可能性があります。打刻後の業務が続くと未払い残業代の問題につながるため、残業申請のルールを整え、PCログとの差を確認する運用が有効です。
Q. 直帰や在宅勤務のときは、どうやって退勤を記録すればよいですか?
A. スマホやPCから打刻できる勤怠管理システムを使うと、場所を問わず退勤時刻を記録できます。システムがない場合は、業務終了時にチャットやメールで報告し、PCの使用記録と合わせて確認する方法もあります。
Q. 中小企業でも勤怠管理システムは必要ですか?
A. 労働時間を把握する義務は会社の規模にかかわらずあります。少人数なら紙やExcelでも対応できますが、在宅勤務や外勤がある、集計に時間がかかる、打刻忘れが多いといった場合は、少人数向けのプランがある勤怠管理システムの検討をおすすめします。
まとめ
退勤とは、その日の業務を終えて勤務状態から離れることです。建物を出る「退社」や、会社が定めた定時である「終業」とは意味が異なり、在宅勤務や直帰でも業務を終えた時点が退勤になります。
- 退勤時刻は、定時ではなく実際に業務を終えた時刻で記録する
- 会社には労働時間を客観的な方法で把握する責任がある
- 打刻とPCログのズレ、打刻忘れ、退勤後の連絡対応はルールと仕組みで防ぐ
- 勤怠管理のデジタル化は、ルール整理と試験運用を経て段階的に広げる
退勤の記録を正確に残すことは、従業員の健康を守り、残業代のトラブルを防ぐための基本です。自社の記録方法が今の働き方に合っているか、この機会に見直してみましょう。
参考文献
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf
- 厚生労働省「働き方改革特設サイト(時間外労働の上限規制)」https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html