インテントセールスとは?ABMとの違いと活用法を解説
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- インテントセールスとABMの関係・違いがわかる
- 業種別の活用シーンと導入の進め方がわかる
- データ取得時に確認すべき法務上の注意点がわかる
「アカウント単位で営業をかけているのに、なぜ商談化しないのか」「リストは埋まっているのに、担当者の温度感が読めない」。BtoB営業の現場では、こうした悩みが尽きません。近年は、企業のWeb上の行動データ(インテントデータ)を使って「今、関心を持っている企業」を先に見つけてから動く「インテントセールス」という考え方が広がっています。この記事では、インテントセールスの基本と、アカウントベースドマーケティング(ABM)との関係、業種別の活用シーン、導入時の注意点までを整理します。
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インテントセールスとは何か
インテントセールスとは、Webサイト訪問や検索行動などから読み取れる企業の「関心・検討の兆し」(インテントデータ)を活用し、購買意欲が高まっているタイミングで営業アプローチを行う手法です。 従来の営業活動は、業種・従業員数・所在地といった属性情報でリストを作り、上から順にアプローチする方式が中心でした。この方式は対象範囲を広く取れる一方、担当者がその瞬間に自社の課題領域へ関心を持っているかどうかは分かりません。
経済産業省は「デジタルガバナンス・コード3.0」で、企業がデータやデジタル技術を活用して事業や組織を変革していく重要性を示しており、営業活動においても、感覚や経験だけに頼らずデータに基づいて動くことが求められる流れは、営業部門でも例外ではありません(経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」2024年6月、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html 2026年8月9日取得)。
インテントデータには、大きく分けて次のような種類があります。いずれも単独では精度が不十分になりやすく、複数を組み合わせて「本当に関心があるのか」を見極める運用が一般的です。
- 検索インテント:検索エンジンで関連キーワードを調べている、業界メディアの記事を読んでいるなど、課題意識が生まれた初期段階の兆し
- ドメインインテント:比較サイトや導入検討系のコンテンツを閲覧しているなど、複数の選択肢を検討し始めている段階の兆し
- ビジターインテント:自社の料金ページや導入事例ページを閲覧しているなど、自社そのものへの関心が高まっている段階の兆し
ABM(アカウントベースドマーケティング)との関係・違い
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、個々のリードではなく「攻略すべき企業(アカウント)」を先に決め、その企業に合わせて営業・マーケティングを個別最適化していく戦略です。 インテントセールスは、このABMの考え方に「今、関心が高まっている」というタイミングの情報を組み合わせたものと位置づけると理解しやすくなります。ABMが「どの企業を狙うか」を決める設計図であるのに対し、インテントセールスは「いつ、その企業に動くか」を判断する材料を補う関係にあります。
総務省の情報通信白書でも、企業活動におけるデータ利活用の広がりが継続的に取り上げられており、営業・マーケティング領域でも、経験に基づく判断とデータに基づく判断を組み合わせる動きは今後も進むと考えられます(総務省「令和7年版情報通信白書」、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/ 2026年8月9日取得)。
| 手法 | 対象の考え方 | 情報の起点 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| テレアポ・リスト型営業 | 属性条件で抽出したリード単位 | 業種・規模・所在地などの属性情報 | 対象範囲を広く取りたい初期フェーズ |
| ABM | 攻略対象を絞り込んだ企業(アカウント)単位 | 事業戦略上の重要度・取引実績 | 大型商談・既存重要顧客への深耕 |
| インテントセールス | ABMの対象企業の中で、今動くべき企業 | 検索・閲覧行動などのインテントデータ | 限られた営業人員でタイミングを絞りたい場面 |
ここで実務上の壁になりやすいのが「ABMの対象企業リストは作れても、その中の誰に、いつアプローチすべきかが分からない」という点です。ABMは戦略の骨格を作る取り組みであり、その骨格に沿って実際にどのツールを組み合わせて運用するかは、企業の体制や商材によって選択肢が分かれます。自社に合ったABMツールの機能範囲や選び方を具体的に比較検討したい場合は、下記のようなランキング形式の記事で全体像を確認しておくと、検討の抜け漏れを減らせます。
業種別に見るインテントセールスの活用シーン
インテントセールスの活かし方は業種によって異なり、営業リソースの制約や商談単価の違いが、どの段階でインテントデータを重視するかを左右します。 ここでは代表的な4つの業種を例に、活用の方向性を整理します。
IT・SaaS業界
競合サービスが多く、比較検討期間が短い傾向があるため、比較サイトや料金ページの閲覧といったビジターインテントを見逃さない運用が重視されます。マーケティング部門と営業部門で情報を分断せず、Webの行動データを商談化のタイミング判断に使う体制づくりが鍵になります。
製造業
検討期間が長く、複数の部門・決裁者が関わるため、ABMで「攻略すべき企業群」を先に定義したうえで、担当部門ごとの検索・閲覧行動をインテントデータとして拾い、いつ誰にアプローチすべきかを見極める使い方が適しています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査でも、日本企業のDXは個別業務の効率化にとどまりやすく、部門を横断した全体最適の取り組みが課題として指摘されており、営業・マーケティングの連携強化も同様の構造的な課題を抱えやすい領域です(独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」2025年6月26日、https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html 2026年8月9日取得)。
人材サービス業
人材紹介・求人広告などは、企業側の採用ニーズが急に高まるタイミングが商談化の分かれ目になりやすい業種です。求人関連のキーワード検索や採用ページの動きといった検索インテントを早期に捉え、他社より先に接点を持てるかどうかが成果に直結します。
金融業(法人向けサービス)
法人向け金融サービスは規制対応や社内承認のプロセスが多く、検討期間が長期化しやすい業種です。ABMで重要顧客・見込み企業を絞り込んだうえで、インテントデータを長期的な関係構築のタイミング調整に使う、腰を据えた運用が向いています。
導入時に確認したい法務・データ保護の論点
インテントデータは企業のWeb行動を扱うデータであるため、個人情報保護法との関係を必ず確認したうえで運用する必要があります。 特定の個人を識別できる情報を含む場合や、他の情報と組み合わせて個人を特定できる場合には、個人情報保護法上の取得・利用・第三者提供に関する規律が適用される可能性があります。
個人情報保護委員会は、個人情報の取得・利用・提供に関するガイドラインやQ&Aを公表しており、Web上の行動履歴データを営業・マーケティングに活用する際には、こうした公的な指針を確認したうえで、自社の利用目的の通知やCookie等の取得に関する説明が適切かどうかを個別に確認することが望まれます(個人情報保護委員会、https://www.ppc.go.jp/ 2026年8月9日取得)。なお、本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言に代わるものではありません。個別の運用については、必要に応じて弁護士等の専門家に確認してください。
導入でよくある失敗パターン
インテントセールスやABMは、仕組みを導入するだけでは成果が出にくい取り組みです。よくある失敗パターンを3つ紹介します。
失敗パターン1:マーケティングと営業の情報が分断されている
インテントデータをマーケティング部門だけが見ていて、営業部門に共有される頃には検討の熱が下がっている、というケースは少なくありません。データを見た人がすぐ動ける体制を先に整えることが重要です。
失敗パターン2:ABMの対象企業を決めずにインテントデータだけを追いかける
関心の兆しがある企業を片っ端から追いかけると、自社の商材と合わない企業への対応に時間を取られがちです。ABMで「攻略すべき企業像」を先に定義し、その範囲の中でインテントデータを見る順序が基本になります。
失敗パターン3:一部の閲覧行動だけで検討度合いを判断してしまう
1回のページ閲覧だけで「関心が高い」と判断すると、実際には検討していない企業に無理な営業をかけてしまい、印象を悪化させることがあります。複数のインテントデータを組み合わせて、検討度合いを段階的に見極める運用が求められます。
よくある質問(FAQ)
Q1. インテントセールスとABMは同じ意味ですか?
A. 同じではありませんが、密接に関係する考え方です。ABMは「どの企業を攻略するか」を決める戦略で、インテントセールスは「いつその企業に動くか」を判断するための材料(インテントデータ)を活用する手法です。ABMの枠組みの中でインテントデータを使う、という関係で理解すると整理しやすくなります。
Q2. Sales Marker(セールスマーカー)とはどのようなサービスですか?
A. Sales Markerは、株式会社Sales Markerが提供する、企業データベースやインテントデータの活用を軸にしたサービスの一例です。同様の考え方を採用したサービスは複数の企業から提供されており、機能範囲や得意領域はサービスごとに異なるため、導入時は自社の商材・営業体制に合った選択肢を比較検討することが大切です。
Q3. インテントデータはどのように取得されているのですか?
A. Webサイトへのアクセスログや検索キーワード、比較サイト・業界メディアでの閲覧行動などから収集されます。取得・利用にあたっては個人情報保護法との関係を確認し、利用目的の通知やCookie等の取得に関する説明を適切に行う必要があります。
Q4. 中小企業でもインテントセールスを導入できますか?
A. 可能です。むしろ営業人員が限られている企業ほど、関心の兆しがある企業に絞ってアプローチできるメリットは大きくなります。まずはABMで対象企業の範囲を小さく定義し、範囲内でインテントデータを見る運用から始めると導入しやすくなります。
Q5. ABMツールを選ぶ際のポイントは何ですか?
A. 自社が保有する企業データとの連携範囲、インテントデータの種類と更新頻度、既存のCRM・SFAとの連携しやすさ、そして導入後にどこまでサポートを受けられるかが確認のポイントになります。複数のABMツールを機能面で比較したい場合は、以下のような比較記事を参考に、自社の営業体制に合う選択肢を絞り込むと検討がスムーズになります。
Q6. 導入から成果が出るまでどのくらいの期間がかかりますか?
A. 商材や検討期間の長さによって差がありますが、ABMの対象企業の定義とインテントデータの活用ルールづくりに一定の準備期間がかかるため、短期間での成果を前提にせず、数か月単位で運用を調整していく前提で計画することが望まれます。
まとめ|今日からできる4つのこと
インテントセールスは、ABMの考え方をベースに「今、動くべき企業」を見極めるための手法です。導入を検討する際は、次の4点から着手すると進めやすくなります。
- 自社が攻略すべき企業像をABMの考え方で先に定義する
- マーケティングと営業がインテントデータをすぐ共有できる体制を整える
- 個人情報保護法との関係を確認し、データ取得・利用のルールを明文化する
- 自社の営業体制に合うABMツールを比較し、機能範囲を確認したうえで選定する
いずれも一度整えれば終わりではなく、運用しながら対象企業の範囲やデータの見方を調整していく取り組みです。まずは自社の営業プロセスのどこにインテントデータを組み込めそうか、現状の営業フローを棚卸しするところから始めてみてください。
参考文献
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」2024年6月 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html
- 総務省「令和7年版情報通信白書」 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」2025年6月26日 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html
- 個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/