英文翻訳とは?英文和訳・和文英訳の違いと、翻訳ツール・依頼先の選び方
Check!
- 英文和訳と和文英訳の違いと方法の使い分けがわかる
- 主な翻訳ツールの特徴と依頼先の選び方がわかる
- 費用の決まり方と訳文の確認手順がわかる
英文翻訳とは、英語の文章を日本語に訳す作業(英文和訳)と、日本語の文章を英語に訳す作業(和文英訳)の両方を指して使われる言葉で、読みたいのか発信したいのかによって、必要な方法が変わります。海外の取引先から届いた英文の内容をつかみたい場合と、自社の契約書やWebサイトを英語で出したい場合とでは、向く翻訳ツールも、人に任せるべき範囲も異なるためです。本記事では、方向ごとの違い、機械翻訳と人による翻訳の使い分け、主な翻訳ツールの特徴、文書の種類別の注意点、費用の決まり方、依頼先の選び方、訳したあとの確認手順、法務面の注意点までを整理します。
英文翻訳で、あなたが先に押さえることは? かんたん診断
Q1. 英文翻訳が必要になるのは、どちらの場面が多いですか?
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
英文翻訳とは|英文和訳と和文英訳の違い、訳したあとに残る作業
英文翻訳とは、英語と日本語のあいだで文章を訳すことで、英語を日本語にする英文和訳と、日本語を英語にする和文英訳の両方を含みます。
Googleで「英文翻訳」を検索すると、英語を日本語に訳す翻訳ツールと、日本語を英語に訳す翻訳会社のサービスの両方が並びます(2026年10月19日時点)。依頼や見積もりの相談では、どちらの方向かを最初に伝えると、料金の単位(日本語の原稿は文字数、英語の原稿はワード数で数えるのが一般的)の食い違いも防げます。方向ごとの違いは次のとおりです。
| 方向 | 主な場面 | 向く方法の例 | 確認で見る点 |
|---|---|---|---|
| 英文和訳(英語から日本語) | 海外からのメールの内容把握、英語の仕様書や論文を読む | 翻訳ツール、PDFをレイアウトのまま訳すツール | 数字、否定表現、固有名詞の誤訳がないか |
| 和文英訳(日本語から英語) | 契約書、Webサイト、取扱説明書、社外向けの案内 | 翻訳会社・翻訳者、機械翻訳と人の確認の組み合わせ | 英語として自然か、原文の意図どおりか |
訳して終わりではない、確認と共有の作業
翻訳ツールや翻訳会社が担うのは、訳す工程です。一方で、訳文の数字や用語を確かめる人、確認を頼まれて期限までに返す人、訳した資料の最新版を海外拠点や外国籍スタッフに届ける人は、これまでどおり社内に必要です。これらをメールの添付で回すと、依頼が埋もれたり、版が分かれたりしがちです。
訳文の確認依頼や資料の共有を、メールから切り離して回したい場合の一例が、株式会社kubellが提供するChatworkです。Chatworkは翻訳サービスではないため、訳す作業そのものは翻訳ツールや翻訳会社に任せます。商品ページでは、タスクを作成でき、完了するとチャットへ自動で通知されること、アップロードしたファイルをチャット参加メンバーのみで共有できること、ビデオ通話・音声通話が標準で使えることが特徴として紹介されています。一方で、フリープランは過去40日分・5,000件までしか閲覧できない点が注意点とされているため、利用規模に合うプランの確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
おすすめ!
- チャットだけでなく「ビデオ通話」「音声通話」も標準装備
- タスク管理が行えて、タスクが完了すると自動でチャットへ通知
- ファイルがアップロードでき、チャット参加メンバーのみで共有
気になる…
- フリープランは過去40日分、5,000件までしか閲覧できない
「大事な内容が大量のメールに埋もれることが多く、依頼しても忘れられてしまう事態が起きていました。」
出典: Chatwork導入事例 株式会社モリチュウ(社員22名、取材2022年9月) https://go.chatwork.com/ja/case/morichu.html
自社の英文の確認や共有がメールに偏っていないかを振り返り、機能や進め方を具体的に知りたい場合は、資料で確認してみてください。
英文の確認依頼や訳した資料の共有が、メールに埋もれがちな会社に
Chatworkの資料を無料でダウンロードできます
英文翻訳の方法|機械翻訳・人力翻訳・ポストエディットの使い分け
英文翻訳の方法は、人力翻訳、機械翻訳、機械翻訳と人による確認を組み合わせる方法の3つに分けられ、文書の重要度と用途で使い分けます。どれが優れているかではなく、誤訳したときの影響の大きさで選ぶと判断しやすくなります。
| 方法 | 特徴 | 向いている文書 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 人力翻訳 | 翻訳者が文脈や業界特有の言い回しを理解して訳す | 契約書、対外公開する資料、ブランドに関わる文章 | 時間と費用がかかりやすい。翻訳者の得意分野の見極めが必要 |
| 機械翻訳 | 翻訳ツールで瞬時に訳す。大量の文章も短時間で処理できる | 社内メモ、受け取った英文の大意把握、下書き | 文脈や専門用語の誤訳が起こり得る。無料ツールは入力データの扱いを要確認 |
| 機械翻訳と人の確認(ポストエディット) | 機械翻訳の訳文を、人が確認・修正して仕上げる | マニュアル、社外向け案内文など、量とスピードと品質の両立が必要な文書 | 確認の深さで品質が大きく変わる。どこまで直すかを事前に合意しておく |
機械翻訳の精度が上がっても人の確認が残る理由
近年の機械翻訳は、一般的なビジネス文書であれば自然な英文を返すことが増えました。それでも人の確認が必要とされるのは、機械翻訳が「文として自然か」と「書き手の意図どおりか」を区別できないためです。たとえば日本語は主語や目的語を省略しやすく、誰が何をするのかが曖昧なまま訳されると、責任の所在が変わってしまうことがあります。また、社内で決まっている製品名や部署名の英語表記、業界の慣用表現などは、原文だけからは判断できません。機械翻訳は「下訳を速く作る道具」、人の確認は「意図と用語を合わせる工程」と役割を分けて考えると、使いどころを判断しやすくなります。
ネイティブチェックとクロスチェックの違い
翻訳会社の見積もりには、翻訳そのもの以外に「ネイティブチェック」や「クロスチェック」という工程が含まれることがあります。ネイティブチェックは、英語を母語とする人が訳文を読み、不自然な言い回しや文法の誤りを直す工程です。クロスチェックは、翻訳者とは別の担当者が原文と訳文を照らし合わせ、訳抜けや誤訳、数字の転記ミスがないかを確認する工程を指すのが一般的です。前者は「英語として自然か」、後者は「原文どおりか」を確認するもので、目的が異なります。クリムゾン・ジャパンの公式サイトでは、翻訳、クロスチェック、ネイティブチェックの順で品質を確かめる流れが紹介されています(確認日2026年10月19日)。どちらが標準料金に含まれ、どちらがオプションかは会社によって違うため、見積もりを比べる際は工程の範囲をそろえて確認することが大切です。
英文翻訳に使える主な翻訳ツールの特徴と使い分け
英文翻訳に使える主な翻訳ツールには、Google翻訳、DeepL翻訳、みらい翻訳のお試しAI翻訳、Weblio翻訳、PDF向けのReadableなどがあり、扱えるファイルの形式と、入力した内容の扱いで選びます。各公式ページで確認できた範囲を表にまとめます(確認日2026年10月19日。掲載順は優劣を表すものではありません)。
| サービス(提供元) | 公式ページで確認できたこと | 使う前に確認したい点 |
|---|---|---|
| Google翻訳(Google) | テキスト、ドキュメント、ウェブサイト、画像を訳す画面が用意されている | 入力した内容の扱いは、Googleの利用規約や関連する案内で確認する |
| DeepL翻訳(DeepL) | 100以上の言語に対応し、人気の組み合わせとして日本語から英語、英語から日本語が案内されている。PDF・Word(.docx)・PowerPoint(.pptx)をドラッグ&ドロップして翻訳できる旨が案内されている | 無料版と有料版で使える機能や条件が異なるため、公式の案内で確認する |
| お試しAI翻訳(株式会社みらい翻訳) | 英語から日本語、日本語から英語の画面があり、テキストは1,500文字まで入力できる。無料でも入力データを二次利用しないと案内されている。ファイル翻訳は製品版の機能として紹介され、英文作成(文法チェック)の機能もある | 無料で試せる範囲と、製品版のプランの違いを公式で確認する |
| Weblio翻訳(Weblio) | 英語を日本語に、日本語を英語に訳せる無料の機械翻訳サービスで、辞書との連携により単語の意味や発音も確認できると説明されている | 業務での利用条件や入力内容の扱いは、利用規約で確認する |
| Readable | 英語のPDFファイルを、レイアウトを保ったまま日本語に翻訳できると案内され、英語と日本語を見開きで確認できる | ページ数や容量の条件はプランによって異なるため、公式の案内で確認する |
比較サイトのボクシルの解説でも、翻訳サイトを使う際の注意点として、誤訳、訳抜けや訳過多、情報漏えいのリスクが挙げられています(BOXIL Magazine「翻訳サイトおすすめ比較18選」)。ツールの精度を比べる前に、自社が訳したい文書を実際に入れて、修正にどれだけ手間がかかるかを確かめておくと、選んだあとの食い違いを減らせます。
PDFやWordのファイルを訳すとき
契約書の写しや仕様書のように、ファイルの形で届く英文は、テキストを貼り付けて訳す方法だと、表や見出しのレイアウトが崩れて読みにくくなります。DeepLやみらい翻訳、Readableのように、ファイルの形式のまま訳せる機能を持つツールなら、体裁を保ったまま読み進められます。ただし、図や画像の中の文字、複雑な表は正しく訳されないことがあるため、重要な箇所は原文と見比べて確かめましょう。
無料ツールを業務で使うときの注意
無料の翻訳ツールは手軽に使えますが、入力した文章の扱いはサービスごとの利用規約で決まっています。みらい翻訳のように、無料でも入力データを二次利用しないと案内しているサービスもあれば、規約の確認が必要なサービスもあります。顧客情報や未公開の情報を含む文書は、入力してよいかを先に判断し、法人向けのサービスの利用や、社内の利用ルールづくりも検討してください。ツールごとの特徴をさらに比べたい場合は、翻訳サイトの比較と選び方や、英語から日本語に訳すサイトを整理した和訳サイトの種類と選び方、日本語から英語に訳すサイトを整理した英訳サイトの種類と選び方が参考になります。AIを使った翻訳の仕組みはAI翻訳とはで詳しく取り上げています。
英文翻訳の種類(一般文書・契約書・技術文書・マーケティング文書)
英文翻訳は、対象となる文書の種類によって求められる知識や品質の基準が変わります。依頼先を選ぶ前に、自社が訳したい文書がどの種類に当たるかを整理しておくと、見積もりの比較や翻訳者の選定がしやすくなります。
| 文書の種類 | 具体例 | 重視されるポイント |
|---|---|---|
| 一般文書 | ビジネスメール、社内通知、議事録、会社案内 | 意味が正確に伝わること、スピード |
| 契約書・法務文書 | 売買契約書、秘密保持契約書、利用規約、プライバシーポリシー | 法律用語の正確な使い分け、条文の構造の再現 |
| 技術文書 | 取扱説明書、仕様書、安全データシート、ソフトウェアのUI | 専門用語の統一、単位や数値の正確性 |
| マーケティング文書 | Webサイト、広告コピー、パンフレット、プレスリリース | 現地の読み手に自然に届く表現、ブランドの一貫性 |
契約書・法務文書
契約書では、似た意味に見える語でも法的な効果が異なる場合があります。たとえば「shall」「will」「may」は義務・意思・任意のニュアンスの違いを表すために使い分けられ、「indemnify」と「compensate」も補償の範囲の考え方が異なるとされています。こうした使い分けは一般的な英語力だけでは判断が難しいため、契約書の翻訳は法務分野の実績がある翻訳者に依頼し、最終的には社内の法務担当者や弁護士の確認を経るのが安全です。
技術文書
取扱説明書や仕様書では、同じ部品や操作を指す用語が文書ごと、翻訳者ごとに異なる訳語になると、現地の作業者が別物だと誤解するおそれがあります。社内で使う訳語をまとめた用語集(グロッサリー)を用意し、翻訳会社と共有しておくことで、複数回の依頼でも訳語をそろえやすくなります。インチとミリ、華氏と摂氏など単位の扱いを原文のままにするのか換算するのかも、事前に決めておきたいポイントです。
マーケティング文書
Webサイトや広告コピーは、原文に忠実な訳よりも、読み手の文化や商習慣に合わせて表現を調整する「ローカライズ」の考え方が重視されます。日本語で効果のあるキャッチコピーを直訳しても、英語圏の読み手には意図が伝わらないことは珍しくありません。ネイティブチェックを標準で含む依頼先を選ぶ、訴求したいポイントを原稿とは別に伝えておくといった工夫が、仕上がりの差につながります。
英文翻訳の費用の決まり方
英文翻訳の費用は、翻訳会社に頼む場合は原稿の文字数やワード数、分野、納期、確認工程の範囲で決まり、翻訳ツールの場合は月額などのプラン課金が中心です。具体的な金額は事業者によって異なるため、ここでは決まり方と、見積もりを比べるときの観点を整理します。
翻訳会社の公式サイトにも、翻訳料金は原稿の文字数や納期によって変動するため、正確な金額は見積もりで提示するという趣旨の案内があります(クリムゾン・ジャパン「英語翻訳について よくある質問」、確認日2026年10月19日)。業界団体の日本翻訳連盟は分野別の料金の目安を公開していますが、専門性や納期などによって大きく異なるとされているため、あくまで見積もりの妥当性を考える参考にとどめましょう。日本語から英語への翻訳の料金の目安と計算例は、英語に翻訳する方法とは?ツールの使い分け・費用の目安・外注時の注意点で詳しく取り上げています。
見積もりで確認したい追加費用の項目
翻訳の見積もりは、文字単価だけを並べて比べると判断を誤りやすくなります。同じ文字単価でも、どこまでの作業が含まれているかが会社によって異なるためです。見積もりを受け取ったら、次のような項目が含まれているか、別料金かを確認しましょう。
- ネイティブチェック、クロスチェックなどの確認工程
- 最低料金(ミニマムチャージ)の有無。短い文書でも一定額がかかる場合がある
- 特急対応の割増料金
- PowerPointや画像内の文字など、ファイル操作やレイアウト調整(DTP)の費用
- 納品後の修正対応の範囲と回数
- 用語集の作成や、翻訳メモリ(過去の訳文の再利用)による割引の有無
特に、継続的に翻訳を依頼する予定がある場合は、過去の訳文を再利用できる仕組みがあるかどうかで、2回目以降の費用と品質の安定性が変わります。一方で、機械翻訳ツールは文字単価ではなく月額・年額のプラン課金が中心で、利用人数や翻訳できる量によって料金が決まるのが一般的です。
翻訳費用を抑えるための工夫
品質を落とさずに翻訳費用を抑えるには、依頼の出し方を工夫するのが近道です。まず、見積もりは1社だけでなく複数の依頼先から取り、確認工程や修正対応の範囲をそろえたうえで比較します。次に、納期に余裕を持たせることも有効です。特急対応は割増料金の対象になることが多く、急ぎでない文書まで短納期で依頼すると、その分だけ費用が上がります。また、小さな文書を何度も分けて依頼すると、そのたびに最低料金がかかる場合があるため、まとめて依頼できるものは一度に出す方が割安になりやすくなります。さらに、社内資料のように大意がわかれば足りる文書は、ネイティブチェックなどのオプションを外す、機械翻訳の訳文を人が確認・修正するポストエディットのプランを選ぶといった形で、文書の用途に合わせて工程を絞り込むと無駄な費用を減らせます。反対に、対外公開や契約に使う文書で確認工程を省くと、後からの修正や再依頼で結果的に高くつくことがあるため、削ってよい工程と削るべきでない工程を分けて考えることが大切です。
依頼先の選び方(翻訳会社・フリーランス・翻訳ツールの比較)
英文翻訳の依頼先は、主に翻訳会社、フリーランスの翻訳者、翻訳ツールの3つに分けられ、文書の重要度、量、頻度、社内で確認できる人がいるかどうかで選びます。それぞれ得意な場面が異なります。
| 依頼先 | 長所 | 短所 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 翻訳会社 | 分野別の翻訳者を手配でき、チェック体制や秘密保持の仕組みが整っていることが多い。大量・多言語にも対応しやすい | 費用は比較的高め。担当者を介するため、細かな意図が翻訳者に伝わりにくいことがある | 契約書、対外公開資料、大量の技術文書 |
| フリーランス翻訳者 | 翻訳者と直接やり取りでき、意図を伝えやすい。条件によっては費用を抑えやすい | 品質や納期が個人の力量に左右される。チェック工程や秘密保持は個別に取り決める必要がある | 分野が明確で、社内に訳文を確認できる人がいる場合 |
| 翻訳ツール | 即時に訳文が得られ、量が多くても費用が大きく増えにくい | 誤訳の可能性があり、最終確認は自社で行う必要がある。無料版は入力データの扱いに注意 | 社内資料、大意の把握、下訳の作成 |
依頼先を比べるときは、対象分野の実績、確認工程の有無、秘密保持契約(NDA)への対応、納期と特急対応、原稿データの管理方法を共通の物差しにすると、見積もりの違いが何によるものかを把握しやすくなります。なお、フリーランス翻訳者には、クラウドソーシングサービスを通じて依頼する方法もあります。募集から契約、支払いまでをサービス上で完結でき、少量の文書でも依頼しやすい一方、翻訳者の実績や専門分野は応募者ごとに大きく異なるため、過去の実績の確認や試訳を通じて見極めることが欠かせません。機密情報を含む文書を依頼する場合は、サービスの規約に加えて、翻訳者個人との秘密保持の取り決めも確認しておきましょう。
もう一つ考えておきたいのが、翻訳の「頻度」です。契約書や会社案内のように年に数回の文書であれば、そのつど翻訳会社に依頼する方法で十分に回ります。しかし、海外拠点との週次の報告や外国籍社員への社内通知のように、毎日発生するやり取りまで外部に依頼していると、費用がかさむだけでなく、翻訳待ちの時間が業務の遅れにつながります。頻度の高いやり取りは翻訳ツールで下訳を作って社内で確認し、正式文書だけを翻訳会社に依頼するという分け方にすると、費用と品質のバランスをとりやすくなります。
依頼前の原稿準備と、訳したあとの確認手順
英文翻訳の仕上がりと費用は、依頼先選びだけでなく、依頼する側の原稿の状態にも大きく左右されます。翻訳者や翻訳ツールは原稿に書かれていることしか訳せないため、原稿の曖昧さはそのまま訳文の曖昧さや、確認のやり取りの増加につながります。依頼前に次の点を整えておくと、修正の往復を減らせます。
| 準備すること | 理由 |
|---|---|
| 原稿を確定版にしてから依頼する | 翻訳途中の原稿修正は、差分の特定や再翻訳で費用と納期が膨らみやすい |
| 主語と目的語を明記する | 日本語で省略された主語は、英語では明示が必要。誰が何をするのかを翻訳者が推測せずに済む |
| 固有名詞の英語表記を一覧にする | 社名、製品名、部署名、役職名の表記が文書ごとにぶれるのを防ぐ |
| 読み手と用途を伝える | 米国向けか英国向けか、専門家向けか一般向けかで、綴りや語調の選び方が変わる |
| 過去の訳文や参考資料を渡す | 以前の翻訳や競合の英語サイトがあれば、用語とトーンをそろえやすい |
| 編集可能なファイル形式で渡す | 画像やPDFだけで渡すと、文字の抽出やレイアウト調整に追加費用がかかる場合がある |
特に社内マニュアルのように継続的に更新される文書は、最初の依頼時に用語集と表記ルールを作っておくと、2回目以降の依頼がぐっと楽になります。こうした準備は翻訳会社任せにせず、原稿を書く部署と翻訳を発注する部署の間で分担を決めておくと、担当者が替わっても品質を保ちやすくなります。
訳文を確認する基本の手順
訳文が手元に届いたら、読む側でも発信する側でも、次の手順で確認すると誤訳による手戻りを減らせます。
- 原文と訳文を並べ、金額、日付、数量、否定表現を1つずつ照らし合わせる
- 社名、製品名、専門用語を、社内の用語集や固有名詞の一覧と突き合わせる
- 日本語から英語への訳文は、英語を母語とする人に不自然な言い回しがないかを読んでもらう
- 重要な文書は、訳文を原文の言語へ訳し戻して、意味が変わっていないかを確かめる(逆翻訳)
- 確認した人と日付を記録し、最新版を関係者全員が見られる場所に置く
最後の項目が、メールの添付では続きにくい部分です。確認を頼む人、確認する人、最新版を受け取る人が増えるほど、誰の確認が済んだのかが見えにくくなります。自社の今の状況を、次のチェックで確かめてみてください。
英文の確認と共有、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
英文翻訳でよくある失敗パターン
英文翻訳のトラブルは、翻訳者の力量よりも、依頼の仕方や方法の選び方に原因があることが少なくありません。よくある失敗と、その対策を整理します。
| 失敗パターン(Before) | 起こりやすい問題 | 対策(After) |
|---|---|---|
| 重要な文書を機械翻訳の結果のまま使う | 誤訳が対外的な信用や契約上のトラブルにつながる | 公開・提出する文書は、人による確認やネイティブチェックを必ず通す |
| 文字単価の安さだけで依頼先を選ぶ | 確認工程がなく、修正や再依頼で結果的に費用と時間が増える | 見積もりに含まれる工程をそろえて比較する |
| 専門分野の実績がない翻訳者に依頼する | 法律・技術・医療などの専門用語が誤って訳される | 対象分野の実績を確認し、可能なら試訳で品質を確かめる |
| 無料の翻訳ツールに機密文書を入力する | 利用規約によっては入力内容が保存・利用され、情報漏えいのリスクになる | 入力データの扱いを確認し、機密文書は法人向けサービスやNDAを結んだ依頼先を使う |
| 訳文の確認依頼や共有をメールだけで回す | 依頼が埋もれ、最新版が分からなくなる | 確認の担当者と期限を決め、依頼と完了の記録を残し、最新版を関係者が見られる場所に集約する |
英文翻訳に関わる法務面の注意点
契約書や個人情報を含む文書を翻訳する場合は、翻訳の品質とは別に、法務面で確認しておきたい点があります。ここでは一般的な考え方を紹介します。
契約書の言語優先条項
日本語と英語の両方で契約書を作成する場合、両者の解釈に違いが生じたときにどちらを優先するかを定める条項(言語優先条項)を設けることが、国際取引の実務では一般的とされています。翻訳版を参考訳と位置づけ、原文を優先する旨を明記する例も多いとされますが、自社に不利な言語が優先されていないかは、契約前に確認しておきたいポイントです。
個人情報を含む文書の翻訳委託
顧客情報や従業員の人事情報を含む文書を翻訳会社に依頼する場合、個人情報保護法上の委託に当たると整理されることが一般的で、委託元には委託先を適切に監督することが求められるとされています。また、海外にある翻訳会社や翻訳者に依頼する場合は、外国にある第三者への提供に関する規律への対応が必要になる場合があります(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」)。翻訳に不要な個人情報は、依頼前に削除や置き換えをしておくのも有効な対策です。
秘密保持契約と訳文の権利
機密性の高い文書を依頼する際は、業務開始前に秘密保持契約を結んでおくのが一般的です。また、訳文は原文をもとにした二次的な著作物に当たりうるため、訳文の権利の扱いや再利用の可否についても、契約時に取り決めておくと後のトラブルを防げます。なお、海外への特許出願を予定している中小企業などを対象に、翻訳費用を含む外国出願の費用の一部を補助する公的な支援制度もあります(出典:特許庁「外国出願に要する費用の半額を補助します」)。対象や要件は年度によって変わるため、公式情報で確認してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の契約や個人情報の取り扱いについては、弁護士などの専門家や関係機関にご確認ください。
原稿や訳文を共有する範囲を限ることも、情報管理の一部です。訳文を確認する担当者と最新版の置き場所を決め、関係者だけが見られる場所で扱うと、版の食い違いと情報の広がりの両方を防ぎやすくなります。チャット参加メンバーのみでファイルを共有できるChatworkの資料で、機能と対象の会社を確認できます。
訳文や原稿の共有範囲を、関係者だけに絞りたい会社に
Chatworkの資料を無料でダウンロードできます
よくある質問(FAQ)
Q1. 英文翻訳とは何ですか?英文和訳と和文英訳は何が違いますか?
A. 英文翻訳とは、英語と日本語のあいだで文章を訳すことで、英語を日本語にする英文和訳と、日本語を英語にする和文英訳の両方を含みます。依頼や検索の場面では、どちらの方向かで向く方法や料金の単位が変わるため、最初に明確に伝えることが大切です。
Q2. 英文翻訳は無料の翻訳ツールだけで足りますか?
A. 社内メモや受け取った英文の大意把握であれば、無料ツールで足りる場面もあります。ただし、入力した内容の扱いはサービスごとの利用規約で決まるため、顧客情報や社外秘の情報を含む文書は、入力してよいかを先に判断し、法人向けサービスや人による確認を検討してください。
Q3. 契約書を機械翻訳だけで訳しても問題ありませんか?
A. おすすめできません。契約書は一語の解釈が権利義務に関わるため、機械翻訳の結果をそのまま使うと誤訳のリスクがあります。法務分野の実績がある翻訳者への依頼と、法務担当者や弁護士による確認を組み合わせるのが安全です。
Q4. PDFやWordのファイルを、レイアウトを保ったまま翻訳できますか?
A. DeepLはPDF・Word(.docx)・PowerPoint(.pptx)の翻訳に対応する旨を案内しており、みらい翻訳は製品版でファイル翻訳が可能とされています。ただし、図や画像内の文字、複雑な表は正しく訳されないことがあるため、重要な箇所は原文と見比べて確認してください。
Q5. 翻訳会社とフリーランス翻訳者、翻訳ツールはどう使い分ければよいですか?
A. 契約書や大量の文書、多言語展開など、確認体制や秘密保持の仕組みが必要な場合は翻訳会社が向いています。分野が明確で、社内に訳文を確認できる人がいる場合はフリーランス、社内資料や大意の把握には翻訳ツールが選択肢になります。
Q6. 訳した文章の確認や共有は、どう進めればよいですか?
A. 確認する人と期限を決め、数字・用語・固有名詞を原文と照らし合わせたうえで、確認した人と日付を記録し、最新版を関係者が見られる場所に置きます。メールだけで回すと依頼が埋もれやすいため、タスクと資料の共有を同じ場所で扱えるビジネスチャットを使う方法もあります。
まとめ
英文翻訳は、英語を日本語にするのか、日本語を英語にするのかを決めたうえで、文書の重要度と用途に応じて方法と依頼先を選ぶことが基本です。最後に、今日から取り組める5つのことを整理します。
- 英文翻訳が必要な場面を、英文和訳と和文英訳に分け、重要度に応じて人力翻訳、機械翻訳、機械翻訳と人の確認の組み合わせを使い分ける
- 翻訳ツールは、扱えるファイルの形式と入力データの扱いを公式の案内で確認し、自社の文書で試してから選ぶ
- 費用は金額の安さだけでなく、確認工程や追加費用の範囲をそろえた見積もりで比較する
- 主語の明記、固有名詞の表記一覧、用途の共有など、依頼前に原稿を整え、訳文の確認手順を決めておく
- 訳文の確認依頼や資料の共有をメールから分ける仕組みとして、Chatworkのようなビジネスチャットの資料も確認してみる
まずは自社で英文翻訳が必要になっている文書と、その方向、頻度を洗い出すところから始めてみましょう。
参考文献
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_offshore/
- 特許庁「外国出願に要する費用の半額を補助します」 https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html
- BOXIL Magazine「翻訳サイトおすすめ比較18選!無料のサービス・アプリも」 https://boxil.jp/mag/a53/
- クリムゾン・ジャパン「英語翻訳サービス・料金」 https://www.crimsonjapan.co.jp/translation/
- Google翻訳 https://translate.google.com/?hl=ja
- DeepL翻訳 https://www.deepl.com/ja/translator
- みらい翻訳「お試しAI翻訳(英語から日本語)」 https://miraitranslate.com/trial/en/ja/
- Weblio翻訳 https://translate.weblio.jp/
- Readable「PDFを瞬時に翻訳するAIツール」 https://readable.jp/translate
- Chatwork導入事例 株式会社モリチュウ https://go.chatwork.com/ja/case/morichu.html