TAM SAM SOMの意味と算出方法

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  • TAM・SAM・SOMの意味と関係性がわかる
  • 2つの算出方法(トップダウン・ボトムアップ)がわかる
  • 算出でよくある失敗パターンがわかる

新規事業の企画や投資家向けの資料で、「市場規模はどれくらいか」という問いに答えられずに困ることがあります。TAM・SAM・SOMというフレームワークを使えば、市場規模を段階的に整理できます。本記事では、TAM SAM SOMの意味と算出方法を解説します。

目次

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  1. TAM・SAM・SOMとは
  2. 算出方法
  3. 活用する意義
  4. 具体的な算出イメージ
  5. 算出でよくある失敗パターン3つ
  6. 既存事業と新規事業での使い方の違い
  7. 算出精度を高めるためのデータソースの選び方
  8. 投資家向け資料でTAM・SAM・SOMを示す際の注意点
  9. 算出後の見直しタイミング
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ|今日からできる3つのこと

TAM・SAM・SOMとは

TAM(Total Addressable Market)は自社が位置する業界全体の最大市場規模、SAM(Serviceable Available Market)は自社がサービス提供可能な市場規模、SOM(Serviceable Obtainable Market)は自社が実際に獲得できる市場規模を指します。TAM・SAM・SOMの順に範囲が狭くなり、事業機会を「理論上の最大値」から「現実的に狙える範囲」まで段階的に絞り込んでいく考え方です。

指標 意味
TAM 業界全体の最大市場規模(理論上の上限)
SAM 自社がサービス提供可能な市場規模
SOM 自社が実際に獲得できる市場規模
図1:TAM・SAM・SOMの関係

算出方法

トップダウンアプローチとボトムアップアプローチという2つが、代表的な算出方法です。トップダウンアプローチは、政府統計や調査会社のレポートといった公表済みのマクロデータから、自社のターゲット市場へ絞り込んでいく方法で、TAMやSAMの算出に用いられます。ボトムアップアプローチは、顧客単価や顧客数といった現場に近いミクロなデータを積み上げていく方法で、SOMや精度の高いSAMの算出に適しています。

TAM・SAM・SOMの算出は、官公庁統計や業界団体レポートだけでは自社の事業領域に合わせた区分が粗く、また社内データが不足している新規事業では、そもそも算出の土台となる市場データ自体を自前で用意しきれない場合があります。こうしたケースでは、対象市場に絞ったアンケート調査や競合・顧客動向の調査を専門の調査会社に依頼し、トップダウン・ボトムアップ双方の算出精度を補う根拠データを得るという選択肢が有効です。

活用する意義

TAMを見ることで市場全体の魅力度を判断でき、SAMを算出することで自社の強みを生かせる市場を特定でき、SOMを設定することで現実的な売上目標を立てられるという点が、TAM・SAM・SOMを使う意義です。特に投資家向けの資料では、TAMの大きさが事業機会の魅力を示す根拠として重視される一方、SOMは実現可能性を裏付ける指標として求められます。

具体的な算出イメージ

TAM・SAM・SOMの考え方を、架空のクラウド勤怠管理システムを例に具体的に見ていくと、それぞれの範囲がどのように絞り込まれていくかが理解しやすくなります。

まずTAMは、国内の勤怠管理システム市場全体の規模を指します。政府統計や調査会社が公表しているレポートから、勤怠管理システムを導入している、または導入を検討しうる全企業の市場規模を積み上げて算出します。これは自社が実際にアプローチするかどうかにかかわらず、業界全体の理論上の上限値です。次にSAMは、自社の製品が実際にサービス提供できる範囲に絞り込みます。例えば自社の製品が中小企業向けに特化しており、対応言語が日本語のみだとすれば、国内の中小企業セグメントに市場を絞り込んだものがSAMになります。大企業向けや海外企業向けの需要はTAMには含まれますが、自社が現状サービス提供できない以上、SAMには含まれません。最後にSOMは、自社の営業体制・マーケティング予算・競合状況を踏まえ、今後1年から3年程度で現実的に獲得できると見込まれる市場規模です。SAMの中でも、自社の認知度や営業リソースの制約を考慮すると、実際に契約に至る顧客は一部にとどまるため、SOMはSAMよりもさらに小さい数値になります。この例のように、TAM・SAM・SOMを具体的な自社の状況に当てはめて考えることで、抽象的なフレームワークが実践的な市場規模の把握に変わります。

算出でよくある失敗パターン3つ

TAMだけを大きく見せて算出根拠を示さない、SAM・SOMまで絞り込まずTAMのみで議論する、精緻さを追い求めすぎて算出が終わらないという3つが、TAM・SAM・SOM算出でよく見られる失敗の典型です。

失敗パターン1:TAMだけを大きく見せて算出根拠を示さない。市場規模の大きさばかりを強調し、根拠となるデータの出典が曖昧になるケースです。トップダウン・ボトムアップの算出過程を明示することが回避策になります。

失敗パターン2:SAM・SOMまで絞り込まずTAMのみで議論する。理論上の市場規模だけを根拠にし、自社が実際に獲得できる範囲を検討しないケースです。SAM・SOMまで段階的に算出することが回避策になります。

失敗パターン3:精緻さを追い求めすぎて算出が終わらない。細かい数値の正確性にこだわり、意思決定のタイミングを逃すケースです。自社の意思決定に必要な粒度で算出を止めることが回避策になります。

既存事業と新規事業での使い方の違い

TAM・SAM・SOMは新規事業の立ち上げ時だけでなく、既存事業の見直しでも活用できますが、それぞれの場面で算出の目的や重視すべきポイントが異なります。

新規事業を立ち上げる際にTAM・SAM・SOMを算出する目的は、主に「この事業に参入する価値があるか」を判断し、投資家や社内の意思決定者に説明することにあります。この段階では、公表されている統計データを中心にしたトップダウンアプローチで概算を出し、事業機会の大きさをまず把握することが優先されます。細部の精度よりも、意思決定に必要なスピード感が重視される場面です。一方、既存事業の見直しでTAM・SAM・SOMを算出する場合は、自社の実際の顧客データや売上実績といった、より精度の高いミクロなデータを使ったボトムアップアプローチが中心になります。既存事業では「今のSOM(実際に獲得できている市場)がSAMに対してどの程度の割合を占めているか」を定期的に確認することで、営業活動やマーケティング施策の伸びしろを把握しやすくなります。SOMがSAMに対して低い水準にとどまっている場合は、営業体制の強化や新たな販売チャネルの開拓によって、獲得できる市場を広げる余地があると判断する材料になります。このように、同じフレームワークでも、事業のフェーズに応じて算出方法や活用目的を使い分けることが実務上のポイントです。

算出精度を高めるためのデータソースの選び方

TAM・SAM・SOMの算出精度は、根拠として使うデータソースの質に大きく左右されます。算出の各段階でどのようなデータソースを組み合わせるかを事前に整理しておくと、後から根拠を問われたときにも説明がしやすくなります。

TAMの算出には、官公庁が公表する統計調査、業界団体がまとめる市場動向レポート、調査会社が販売する有償の市場調査レポートなどが使われます。官公庁の統計は無償で入手でき客観性も高い一方、業界の区分が粗く、自社の事業領域にそのまま当てはまらない場合があります。業界団体のレポートは業界特有の実態を反映しやすい反面、団体の立場によって数値が楽観的に見積もられていることもあるため、複数のソースを突き合わせて確認することが望ましい進め方です。調査会社の有償レポートは調査設計が明確で引用しやすい一方、費用がかかるため、投資家向け資料など根拠の厳密さが求められる場面に絞って活用する企業も見られます。

SAMやSOMの算出では、自社が保有する顧客データ、商談実績、解約率などの社内データが中心になります。これらのデータは外部の統計と異なり、自社の事業特性を直接反映している点が強みです。ただし、社内データは事業年数が浅い場合や新規事業の立ち上げ直後には十分に蓄積されていないことも多く、その場合は類似業界の平均的な指標(顧客単価の相場観、営業担当1人あたりの新規獲得件数の目安など)を仮置きし、事業の進捗に応じて実データへ置き換えていく進め方が現実的です。仮置きの数値を使う場合は、どの前提を置いたかを資料上に明記しておくと、後から数値を見直す際の手がかりになります。

また、算出に使ったデータソースの出典・取得日・調査時点は、算出結果の数値そのものと同じくらい重要な情報です。半年から1年ほど経つと市場環境が変化し、前提となる統計が古くなっていることもあるため、算出根拠の一覧を作成し、定期的に更新の要否を確認する運用にしておくと、事業計画の見直しのたびにゼロから調べ直す手間を減らせます。

投資家向け資料でTAM・SAM・SOMを示す際の注意点

投資家向け資料でTAM・SAM・SOMを提示する際は、数値の大きさだけでなく、算出のロジックと現実的な達成可能性の両方を伝えることが重要です。

TAMの数値だけを大きく掲げ、SAM・SOMへの絞り込み過程を省略してしまうと、投資家からは「市場規模の大きさだけを根拠にした説明」と受け止められ、事業計画の実現可能性に疑問を持たれることがあります。TAMからSAM、SAMからSOMへとどのような条件で絞り込んだのかを、算出過程とあわせて示すことで、数値の説得力が高まります。特にSAMを算出する際にどのような前提(対応言語、対象企業規模、対象地域など)で市場を区切ったのかを明示すると、投資家が事業の実態を把握しやすくなります。

また、SOMについては単年度の数値だけでなく、今後数年でどのように拡大させていく計画かという時間軸も併せて示すことが一般的です。初年度のSOMが小さくても、営業体制の拡充やチャネルの拡大によってSAMに対する獲得率をどう伸ばしていくかを説明できれば、事業の成長ストーリーとして受け止められやすくなります。逆に、SOMの拡大計画に根拠がなく、単に将来の数値を大きく設定しているだけの場合は、TAMを大きく見せる失敗パターンと同様に、説得力を欠く資料になってしまう点に注意が必要です。数値の算出根拠と、その数値を達成するための具体的な施策をセットで提示する姿勢が、投資家との対話を円滑に進めるうえで欠かせません。

算出後の見直しタイミング

TAM・SAM・SOMは一度算出して終わりではなく、事業の進捗や市場環境の変化に応じて定期的に見直すことが望ましい指標です。新規事業の立ち上げ期であれば、四半期ごとに実際の獲得実績とSOMの見込みを比較し、乖離が大きい場合は前提となる算出条件を洗い出して見直します。既存事業であれば、年次の事業計画策定のタイミングにあわせてTAM・SAM・SOMを再計算し、市場そのものの拡大や縮小、競合の参入状況、自社の対応可能な顧客層の変化などを反映させる運用が一般的です。

見直しの際には、前回算出時に使った統計データやレポートの調査時点を確認し、公表から時間が経っている場合は最新のデータに差し替えることも欠かせません。市場環境が大きく変化する業界では、半年程度でTAMの前提が変わることもあるため、算出根拠となった資料の一覧と更新履歴を残しておくと、見直し作業の負担を抑えられます。こうした継続的な見直しを積み重ねることで、TAM・SAM・SOMは一時的な資料作成のためのフレームワークではなく、事業の方向性を判断し続けるための実務的な指標として機能するようになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. TAM・SAM・SOMとは何ですか?

A. 業界全体の最大市場規模(TAM)、自社が提供可能な市場規模(SAM)、自社が実際に獲得できる市場規模(SOM)を指す市場規模のフレームワークです。

Q2. どのように算出しますか?

A. マクロデータから絞り込むトップダウンアプローチと、ミクロなデータを積み上げるボトムアップアプローチの2つがあります。

Q3. TAM・SAM・SOMはなぜ必要ですか?

A. 市場の魅力度判断、自社の強みを生かせる市場の特定、現実的な売上目標の設定に役立つためです。

Q4. TAMとPAMは同じ意味ですか?

A. 異なります。PAMはTAMよりさらに広い概念で、範囲はPAM、TAM、SAM、SOMの順に狭くなります。

Q5. 算出にはどれくらいの期間がかかりますか?

A. 簡易的な算出であれば数日から2週間程度、精度を求める場合は1か月から3か月程度が目安です。

Q6. 自社データだけで算出根拠が不足する場合はどうすればよいですか?

A. 対象市場に絞ったアンケートや動向調査を専門の調査会社に依頼し、算出精度を補う根拠データを得るという方法があります。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. TAM・SAM・SOMを段階的に算出する:TAMだけで議論しません。
  2. 算出根拠を明示する:市場規模の大きさだけを強調しません。
  3. 必要な粒度で止める:精緻さを追い求めすぎません。

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