経営管理・バックオフィス業務まで一体化するグループウェアの選び方
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- 経費精算やワークフローまで一体化する統合型グループウェアの特徴がわかる
- 電子帳簿保存法対応の観点から確認すべきポイントを紹介
- クラウド・オンプレミス・パッケージ別の選び方がわかる
グループウェアと聞くと、社内チャットやスケジュール共有を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年は、経費精算やワークフロー、電子帳簿保存法への対応まで一体化して管理できる「経営管理・バックオフィス統合型」のグループウェアも登場しています。本記事では、こうした統合型グループウェアの基本機能や導入メリット、選び方の観点をわかりやすく整理します。
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グループウェアの基本機能と「経営管理・バックオフィス統合型」という位置づけ
グループウェアとは、社内のコミュニケーションや情報共有を効率化するためのソフトウェアの総称です。近年は、スケジュール管理やチャットに加え、経費精算やワークフロー承認など経営管理業務まで一つのシステムでまとめて扱えるタイプが広がっています。従来型のグループウェアは、掲示板・スケジュール共有・ファイル共有・社内チャットといったコミュニケーション機能が中心でした。一方で、経営管理・バックオフィス統合型と呼べるタイプは、これらのコミュニケーション機能に加えて、経費精算、勤怠・ワークフロー承認、電子帳簿保存法に対応した書類管理といった、経理・総務部門が担う業務までを一つのプラットフォームに統合している点が特徴です。
例えば、株式会社NIコンサルティングが提供する「NI Collabo 360」のように、スケジュール管理やチャットといった基本機能に加え、経費精算やワークフロー、電子帳簿保存法に対応したデータ保管機能までを標準搭載している製品もあります。こうした統合型のグループウェアは、情報システム部門が小規模な中小企業でも、複数のツールを個別に契約・連携させる手間を減らせる点が支持される理由の一つです。
経費精算・ワークフロー・電子帳簿保存法対応まで一体化するメリット
コミュニケーション機能と経営管理機能を一体化する最大のメリットは、部門間のデータの二重入力や、複数システムをまたぐ承認フローの手間を減らせることです。経費精算であれば、申請から承認、経理への連携までを一つの画面上で完結させられるため、紙の申請書をメールで回したり、別の会計システムに手入力したりする手間が減ります。また、2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化された電子帳簿保存法への対応も、統合型グループウェアの書類管理機能を使えば、請求書や領収書のデータを検索要件・訂正削除の防止要件を満たした形で保管しやすくなります(国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm 2026年8月9日取得)。
ただし、電子帳簿保存法の要件は保存する書類の種類(国税関係帳簿・決算関係書類・取引関係書類)によって異なるため、自社が対応すべき区分を確認したうえで、グループウェア側の保存機能がその区分の要件(タイムスタンプ付与や検索機能など)を満たしているかを事前にチェックすることが重要です。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務対応については税理士等の専門家、または国税庁の公表資料を確認してください。
導入前に確認しておきたい比較ポイント
統合型グループウェアを比較する際は、機能の網羅性だけでなく、セキュリティ体制と自社の業務範囲に合った拡張性の2点を軸に確認することが欠かせません。総務省は、クラウドサービス事業者が安全・信頼性に関する情報開示指針に対応しているかを一般社団法人日本クラウド産業協会(ASPIC)が第三者認定する制度を紹介しており、2026年8月時点で310サービス以上がこの認定を受けています(総務省「令和6年版情報通信白書」、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd226450.html 2026年8月9日取得)。導入を検討する際は、こうした第三者認定の有無も一つの参考材料になります。
| 確認項目 | チェックの視点 |
|---|---|
| カバー範囲 | コミュニケーション機能のみか、経費精算・ワークフローまで含むか |
| 導入形態 | クラウド・オンプレミス・パッケージのいずれに対応しているか |
| セキュリティ | 第三者認定の有無、データの暗号化・アクセス権限設定の柔軟さ |
| 拡張性 | 利用者数の増加や他システムとの連携に対応できるか |
| サポート体制 | 導入時の設定支援や、トラブル時の問い合わせ窓口の有無 |
特定の製品名で検索する前に、まずは自社に必要な機能範囲を洗い出し、複数サービスを横並びで比較することをおすすめします。無料トライアルや無料版を提供しているサービスも多いため、実際の操作感を確認してから導入を判断するのが安全です。
導入形態・企業規模別の選び方
グループウェアの導入形態には、クラウド型・オンプレミス型・パッケージ型の3種類があり、企業の規模やIT運用体制によって適した形態が異なります。クラウド型は初期費用を抑えて短期間で導入でき、法改正や機能更新にもサービス提供側で対応してもらえるため、情報システム部門の人員が限られる中小企業に向いています。一方、オンプレミス型は自社サーバーにシステムを構築するため、独自のセキュリティポリシーや既存システムとの連携要件が厳しい企業に適していますが、構築・運用コストは相応にかかります。パッケージ型はソフトウェアを購入して自社環境にインストールする形態で、クラウドとオンプレミスの中間的な位置づけとなることが多いです。従業員数が数十名程度の企業であればクラウド型から検討し、情報システム部門を持つ中規模から大規模の企業であれば、既存の基幹システムとの連携要件を踏まえてオンプレミス型も比較検討するとよいでしょう。
導入を進める際に立ちはだかるハードルとその向き合い方
統合型グループウェアの導入がうまく進まない要因として最も多く挙げられるのは、費用負担の大きさと、社内でDXを推進する人材の不足です。中小企業庁の調査でも、デジタル化・DXに取り組む中小企業・小規模事業者の多くが、取組段階にかかわらず「費用の負担が大きい」または「DXを推進する人材が足りない」と回答しており、リソース不足に直面しているケースが多いことが示されています(中小企業庁「2025年版中小企業白書」第1章第5節、https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_5.html 2026年8月9日取得)。
同白書では、「顧客データの一元管理」や「営業活動・受発注管理のオンライン化」といった取組で、デジタル化の段階が進んだ事業者ほど効果を実感する割合が高い傾向も示されています。統合型グループウェアのように、複数業務を一つのシステムでまとめて扱えるツールは、限られた人員・予算の中で段階的にデジタル化を進めたい企業にとって、比較検討する価値のある選択肢の一つといえます。導入時は、全部門で一斉に切り替えるのではなく、まずは経費精算など負担の大きい業務から段階的に移行する進め方も一つの方法です。
よくある質問
Q1. グループウェアとオンラインストレージの違いは何ですか?
A. オンラインストレージは主にファイルの保管・共有に特化したサービスです。一方、グループウェアはファイル共有に加えて、スケジュール管理・社内チャット・ワークフロー承認など、社内業務全般をカバーする点が異なります。統合型グループウェアであれば、これに経費精算などの経営管理機能も含まれます。
Q2. 小規模事業者でも統合型グループウェアは導入する価値がありますか?
A. 従業員数が少ない事業者ほど、経理・総務業務を兼任で担うケースが多いため、複数のツールを個別に契約・操作する負担を減らせるメリットは相対的に大きくなりやすいといえます。まずは無料版や無料トライアルで、自社の業務範囲に必要な機能が揃っているかを確認するとよいでしょう。
Q3. 既存の会計システムと連携できますか?
A. 製品によって連携の可否や範囲は異なります。API連携やCSV出力に対応しているサービスもあれば、対応していないサービスもあるため、既存の会計システムや勤怠管理システムとの連携要件がある場合は、導入前に各サービスの仕様を必ず確認してください。
Q4. 電子帳簿保存法に対応していれば、どのグループウェアでも法令要件を満たせますか?
A. 「対応」を掲げるサービスでも、対応している保存区分や検索要件の範囲はサービスごとに異なります。自社が保存すべき書類の区分を確認し、国税庁の公表資料と照らし合わせながら、各サービスの機能が要件を満たしているかを個別に確認することをおすすめします。
まとめ
経営管理・バックオフィス統合型のグループウェアを検討する際は、次の4点を確認しましょう。
- 自社に必要な機能範囲(コミュニケーションのみか、経費精算・ワークフローまで含むか)を洗い出す
- クラウド・オンプレミス・パッケージのうち、自社の運用体制に合った導入形態を選ぶ
- 第三者認定の有無やアクセス権限設定など、セキュリティ体制を確認する
- 無料版・無料トライアルを活用し、複数サービスを比較したうえで導入を判断する
グループウェアは一度導入すると全社的に業務フローが変わるため、機能の多さだけで選ぶのではなく、自社の業務範囲や運用体制に合っているかを見極めることが大切です。特に経費精算やワークフローまで一体化したいのであれば、無料で試せるサービスも含めて横並びで比較し、実際の使い勝手を確認してから本格導入を検討するとよいでしょう。
参考文献
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm(2026年8月9日取得)
- 総務省「令和6年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第6節(5)安全で信頼性のあるクラウドサービスの導入促進 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd226450.html(2026年8月9日取得)
- 中小企業庁「2025年版中小企業白書」第1部第1章第5節デジタル化・DX https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_5.html(2026年8月9日取得)