合資会社とは?意味・仕組み・株式会社との違いをわかりやすく解説
「合資会社」という会社形態の名前を聞いたことはあっても、株式会社や合同会社とどう違うのか、正確に説明できる人は多くありません。合資会社は会社法が定める持分会社の一種で、会社の債務に無限責任を負う無限責任社員と、出資額の範囲で責任を負う有限責任社員の両方で構成される点が最大の特徴です。国税庁の調査では全法人のうちごく少数にとどまる形態ですが、家族経営の老舗企業などでは今も選ばれています。本記事では、合資会社の定義や他形態との違い、設立費用の目安、向いている業種、注意すべき法務上のポイントまで、会社形態を検討している方に向けてわかりやすく解説します。
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合資会社とは?意味・定義とほかの会社形態との違いを比較表で解説
合資会社とは、会社法が定める「持分会社」の一類型で、会社の債務に無限責任を負う無限責任社員1名以上と、出資額の範囲内で責任を負う有限責任社員1名以上、合計2名以上の社員によって構成される会社形態です。株式会社や合同会社とは異なり、責任の重さが異なる2種類の社員が同じ会社に混在する点が最大の特徴です。
会社法が定める合資会社の位置づけ ― 持分会社3類型のひとつ
会社法上、会社は「株式会社」と「持分会社」の2つに大きく分かれ、持分会社はさらに合名会社・合資会社・合同会社の3類型に分類されます。会社法第576条では、社員の構成によって持分会社の種類が定められており、無限責任社員のみで構成される会社が合名会社(同条2項)、無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される会社が合資会社(同条3項)、有限責任社員のみで構成される会社が合同会社(同条4項)とされています(出典:e-Gov法令検索 会社法 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 )。合資会社は、この3類型の中で唯一「責任の範囲が異なる2種類の社員」が同じ会社に併存する形態です。
株式会社・合同会社・合名会社との違いを比較表で確認
会社形態を選ぶ際は、社員の責任範囲だけでなく、意思決定の方法や設立時の手続きも重要な判断材料になります。合資会社を含む4つの会社形態の違いを、次の表で整理します。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社 | 合名会社 | 合資会社 |
|---|---|---|---|---|
| 社員(出資者)の責任範囲 | 株主は出資額を限度とする有限責任 | 社員全員が出資額を限度とする有限責任 | 社員全員が会社債務に無限責任 | 無限責任社員と有限責任社員が混在 |
| 意思決定方法 | 株主総会・取締役会など機関による多数決 | 原則、社員全員の同意(定款で別段の定めも可能) | 原則、社員全員の同意(定款で別段の定めも可能) | 原則、社員全員の同意(定款で別段の定めも可能) |
| 定款認証の有無 | 必要(公証人による認証が必須) | 不要 | 不要 | 不要 |
| 資本金の下限 | 下限規定なし | 下限規定なし | 下限規定なし(出資は労務・信用でも可) | 下限規定なし(出資は労務・信用でも可) |
比較表からも分かるように、合名会社は無限責任社員だけ、合同会社は有限責任社員だけで構成されるのに対し、合資会社だけが2種類の責任を負う社員を組み合わせた会社形態です。この「責任の二層構造」こそが、合資会社を選ぶかどうかを判断する際の最大の分岐点になります。
合資会社の法人数はどれくらいある?(国税庁「会社標本調査」)
国税庁「会社標本調査」(令和5年度分、令和7年4月発表)によると、令和5年度分の法人数は合計295万6,717社で、このうち株式会社が265万9,393社(89.9%)、合同会社が20万2,723社(6.9%)と大半を占める一方、合資会社は1万1,741社(0.4%)、合名会社は3,039社(0.1%)と、いずれも少数派にとどまっています(出典:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon/top.htm )。合資会社は現在では新設される例が限られていますが、家族経営の老舗企業や資産管理会社など、無限責任社員と有限責任社員の役割分担が理にかなう場面で選ばれることがあります。
合資会社の社員構成タイプ ― 無限責任社員と有限責任社員の役割・責任の違い
合資会社の社員は、会社の業務執行や代表権を持ち会社債務に直接無限の責任を負う無限責任社員と、原則として業務執行権を持たず出資額を限度に責任を負う有限責任社員の2タイプに分かれます。設立を検討する際は、自分や家族・共同経営者がどちらの立場になるのかを事前に整理しておくことが重要です。
無限責任社員 ― 業務執行・代表権を持ち、会社債務に直接責任を負う
無限責任社員は、原則として会社の業務執行権と代表権を持ち、会社を代表して取引や意思決定を行う立場です。その裏返しとして、会社が債務を負って会社の資産だけで完済できない場合、無限責任社員は自己の個人資産をもって会社債務を弁済する責任を負います。出資額の範囲にとどまらない「直接・無限」の責任である点が、有限責任社員との最大の違いです。
有限責任社員 ― 出資額の範囲内で責任を負い、原則業務執行権を持たない
有限責任社員は、出資した金額を上限として会社債務への責任を負う立場で、個人資産まで責任が及ぶことはありません。一方で、原則として会社の業務執行権を持たない(定款の定めにより関与できる場合もある)ため、経営への関与は無限責任社員に比べて限定的になりやすい点が特徴です。出資はするが直接の経営判断には加わらない、いわば「出資と経営の分離」に近い立場といえます。
会社と2種類の社員の関係・責任範囲をひと目で確認
合資会社における「会社」と「無限責任社員」「有限責任社員」の関係、そして両者の責任範囲の違いを図解すると、次のようになります。
家族経営・親族間で社員構成を分担するケースが多い
合資会社は歴史的に、家族経営の老舗企業や同族会社で採用されてきた形態です。実務上は、事業の中心を担う経営者本人やその配偶者が無限責任社員として業務執行と代表権を担い、資金面で支える親や子、親族が有限責任社員として出資のみに関わるという役割分担がよく見られます。親子・親族での共同経営を検討する場合、誰が経営の前面に立ち会社債務まで責任を負うのか、誰が出資者として支える立場になるのかを、設立前に明確に取り決めておくことが欠かせません。
合資会社の仕組み ― 設立要件・定款・意思決定ルールの基本
設立要件は「社員2名以上」――無限責任社員と有限責任社員が必須
合資会社を設立するには、無限責任社員1名以上と有限責任社員1名以上、合計2名以上の社員が必要とされています。無限責任社員は会社の債務について自身の財産で無限に責任を負う立場、有限責任社員は出資額を限度として責任を負う立場であり、この2種類の社員が組み合わさっている点が合資会社の基本構造です。株式会社は発起人1名(=株主1名)のみでも設立できるのに対し、合資会社は制度上、最低2名の社員を確保する必要がある点が大きな違いといえます。
定款認証は不要、資本金の下限もない――株式会社との対比
株式会社の設立では公証人による定款認証が必須であるのに対し、合資会社は合同会社・合名会社と同じ「持分会社」に分類され、定款認証の手続きが不要とされています。また資本金の下限も設けられていないため、少額の元入れからスタートすることも制度上可能です。定款認証という一手続きが省略されることで、設立準備の負担や費用を抑えられる点は、株式会社との比較でよく挙げられる特徴です。
持分の譲渡には原則、他の社員全員の同意が必要
株式会社の株式は原則として自由に譲渡でき、非公開会社であっても取締役会・株主総会の承認という比較的定型的な手続きで譲渡が完了します。一方、合資会社をはじめとする持分会社では、持分(社員としての地位)の譲渡や定款変更を行う場合、原則として総社員の同意が必要とされています。会社法第637条には、持分会社の定款変更は原則、総社員の同意によって行うとされる旨が定められており(定款で別段の定めをすれば緩和できる)、出資者の入れ替えが株式会社よりも慎重な手続きを要する点は、事業承継や資本政策を検討するうえで押さえておきたいポイントです(出典:e-Gov法令検索 会社法 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 )。なお、この点に関する法解釈は個別事案により判断が異なる場合があるため、実際の定款設計・変更にあたっては司法書士・弁護士等の専門家に確認することが望ましいとされています。
意思決定は「社員の同意」がベース――取締役会・株主総会を置かない
株式会社は株主総会・取締役会(設置会社の場合)という機関を通じて意思決定を行う仕組みですが、合資会社にはこうした機関設置の義務がありません。業務執行や重要事項の決定は、原則として社員間の同意を基本に進められる仕組みが一般的とされています。組織構造がシンプルな分、社員同士の信頼関係や事前のルール整備(定款への明記など)が、株式会社以上に重要になりやすいといえるでしょう。
出資の種類:合同会社にはできない「労務出資」が合資会社では可能
出資できる財産の種類にも違いがあります。合同会社では金銭出資・現物出資に限られていますが、合資会社・合名会社では、労働そのものを出資とみなす「労務出資」が認められている点が特徴です。この仕組みにより、無限責任社員が知識・技術・労力を出資分として扱うことができ、制度上は資本金0円での設立も可能とされています。手元資金が限られる創業初期に、人的な貢献を出資として位置づけられる点は、合資会社・合名会社ならではの選択肢といえます。
合資会社の設立費用はいくら?登録免許税の目安と他形態との比較
登録免許税の目安:合資会社は資本金の額にかかわらず一律6万円という解説が多い
会社設立時に必ず発生する法定費用のひとつが登録免許税です。株式会社は資本金額の0.7%(最低15万円)、合同会社は資本金額の0.7%(最低6万円)が目安とされているのに対し、合資会社・合名会社は資本金の額にかかわらず一律6万円が目安として案内されているケースが複数の司法書士事務所・税理士事務所の解説で一致しています。ただしこれらの金額はあくまで時点の目安であり、税制改正や個別の登記内容によって変動する可能性があるため、実際の設立にあたっては最新の情報を法務局・専門家に確認することをおすすめします。
定款認証費用は発生しない――株式会社は別途3万~5万円程度が目安
株式会社の設立では、登録免許税に加えて公証人による定款認証費用が別途3万~5万円程度必要になるとされています。一方、合資会社は合同会社と同様に定款認証そのものが不要な持分会社であるため、この費用は発生しません。法定費用のみで比較した場合、合資会社は「登録免許税6万円が中心」という形になり、株式会社より抑えられる傾向がある点がよく紹介されています。
設立費用の実勢感:株式会社・合同会社との比較
法定費用の目安として、株式会社は約16万7,000円~(登録免許税15万円+定款認証費用等)とされ、実務上は司法書士等への依頼費用も含めて20万~25万円程度になるとする解説も見られます。合同会社は登録免許税6万円が中心で、法定費用の目安は約6万円~と紹介されることが多いです。合資会社は定款認証が不要なため、法定費用のみで見れば合同会社と同水準の6万円程度になるという解説が複数存在します。いずれも税込・税抜の前提や年度による制度変更で変動しうる目安であり、司法書士・税理士等への依頼費用は別途発生し得る点にも留意が必要です。
| 会社形態 | 登録免許税の目安 | 定款認証費用 | 法定費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 株式会社 | 資本金×0.7%(最低15万円) | 別途3万~5万円程度必要 | 約16万7,000円~(実務上20万~25万円程度とする解説もあり) |
| 合同会社 | 資本金×0.7%(最低6万円) | 不要 | 約6万円~ |
| 合資会社 | 資本金の額にかかわらず一律6万円(目安) | 不要 | 6万円程度(合同会社と同水準という解説が多い) |
※上記はいずれも時点の目安であり、税制改正・登記内容・専門家への依頼費用等により変動する場合があります。実際の費用は法務局・司法書士・税理士等の最新の案内をご確認ください。
設立にかかる期間の目安
設立にかかる期間についても、公的な統計で明確な中央値が確認できていないため、具体的な日数を断定することは避けます。ただし、合資会社は合同会社と同じく定款認証の手続きが不要な分、株式会社よりも短期間で設立できる傾向があるとされています。合同会社と同程度のスピード感で登記まで進められるケースが多い、という相対的な理解に留めておくのが実務上は無難といえるでしょう。
合資会社が向いている業種・活用シーン(3つの具体例)
合資会社という形態が向いているかどうかは、業種や経営構造によって大きく異なる。ここでは、実際に合資会社形態が採用されやすい3つのケースを取り上げ、それぞれ「なぜ合資会社が選ばれやすいのか」という理由を整理する。
酒造業・焼酎蔵(老舗蔵元)
家族経営の中小酒蔵・焼酎蔵では、歴史的に合資会社形態が多く採用されてきた業種のひとつとされる。長野県伊那市の合資会社宮島酒店(1911年創業、銘柄「信濃錦」)、鹿児島県薩摩川内市の村尾酒造合資会社(1902年創業、銘柄「村尾」)、千葉県富津市の小泉酒造合資会社(1793年創業、銘柄「東魁盛」)などが、合資会社形態を取る蔵元として知られている。こうした酒蔵で合資会社が選ばれやすい理由は、家族内で無限責任社員(経営を担う当主)と有限責任社員(出資のみ行う親族)を分けやすい点にある。持分会社では金銭以外の労務出資(労働力の提供による出資)が認められているため、資本金0円からでも設立できる柔軟さも背景にある。株式を発行して第三者に売却したり事業を譲渡したりすることを想定せず、同族内で事業を継続していく構造にも合致しやすい。
農業法人(農地所有適格法人)
農地を所有して農業を営む法人(農地所有適格法人)は、株式会社(非公開会社に限る)・農事組合法人・持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)のいずれかの形態を取ることができるとされ、合資会社もこの対象に含まれる。家族経営の農家が法人化する際、家族内の出資者を無限責任社員・有限責任社員に分けて構成しやすい点は、酒造業と同様のメリットといえる。ただし、合資会社の形態を選んだだけで自動的に農地所有適格法人になれるわけではない。農地法上、議決権要件(農業関係者の議決権が過半を占めること)や役員要件(役員の過半数が農業に常時従事する者であること)など、別途満たすべき要件が課される点は必ず押さえておきたい。
家族経営の小規模事業者・同族の資産管理会社
出資者が家族・親族のみで構成され、対外的な資金調達より内部の意思決定の簡便さや低コストでの設立を重視するケースも、合資会社が選ばれやすい場面のひとつである。とはいえ、合資会社の新設件数・法人数は年々減少傾向にあり、国税庁の調査では全法人に占める合資会社の割合が0.4%程度まで低下しているとされる(時点により変動しうる目安であり、最新の数値は国税庁の公表資料で確認が必要)。これから新設を検討する読者にとっては、合資会社を選ぶことが必ずしも最適とは限らないという実情も踏まえ、合同会社・株式会社との比較の中で判断することが望ましい。
合資会社の法務上の注意点 ― 社員の責任・持分譲渡・解散のルール
合資会社を選ぶ場合、社員(出資者)が負う責任の重さや、社員の退社によって会社形態そのものが変わってしまう可能性など、会社法上のルールを事前に理解しておく必要がある。以下は会社法の一般的な内容を整理したものであり、個別のケースへの適用は専門家への確認が前提となる。
社員の責任 ― 無限責任社員と有限責任社員の違い(会社法第580条)
会社法第580条により、持分会社の債務を会社財産で完済できない場合等には、社員が連帯してその債務を弁済する責任を負うとされている。無限責任社員は責任に限度がなく、会社の債務について自身の個人資産まで含めて連帯責任を負う可能性がある一方、有限責任社員が負う責任は出資額(既に履行した部分を除く)を限度とするとされている。この責任の非対称性が、合資会社の最も基本的な特徴であり、誰が無限責任社員になるかという決定は経営上・法務上ともに重要な論点になる。
| 社員の種類 | 負う責任の範囲(会社法第580条に基づく一般的な整理) |
|---|---|
| 無限責任社員 | 責任に限度がなく、会社財産で完済できない債務について個人資産も含めて連帯責任を負う可能性がある |
| 有限責任社員 | 出資額(既履行分を除く)を限度とする責任にとどまる |
社員の退社によって会社形態が変わるケース(会社法第639条)
会社法第639条第1項により、合資会社の有限責任社員が全員退社し無限責任社員のみになった場合は、合名会社への定款変更をしたものとみなされるとされている。逆に、同条第2項により、無限責任社員が全員退社し有限責任社員のみになった場合は、合同会社への定款変更をしたものとみなされるとされている。相続や事業承継の場面では社員の構成が変わりやすく、経営者自身が意図していなくても、退社の結果として会社形態が自動的に変わってしまう可能性がある点に留意したい。
(出典:e-Gov法令検索「会社法」第580条・第639条 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 )
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の法解釈・実務対応については、弁護士・司法書士等の専門家にご確認ください。
合資会社設立でよくある失敗パターン3つと回避策
合資会社は制度上の特徴を正しく理解せずに設立すると、後から想定外のトラブルにつながりやすい形態でもある。ここでは、設立時によくある3つの失敗パターンと、それぞれの回避策を整理する。
失敗パターン1:無限責任社員のリスクを理解せず設立してしまう
会社財産で会社の債務を完済できない場合、無限責任社員は個人資産(自宅等)まで含めて連帯責任を負う可能性がある(会社法第580条第1項)。株式会社・合同会社が「出資額までの有限責任」であるのに対し、合資会社の無限責任社員はこの前提が異なる。この違いを十分に理解せず、家族や知人に頼まれて安易に無限責任社員として名前を貸してしまうケースが典型的な失敗パターンとなる。回避策としては、定款を作成する前に弁護士・司法書士等の専門家に相談し、誰が無限責任社員になるのかを慎重に検討すること、そして名前だけを貸すような形での就任は避けることが挙げられる。
失敗パターン2:社員の退社によって会社形態が意図せず変わってしまう
前述のとおり、有限責任社員が全員退社すると合名会社に、無限責任社員が全員退社すると合同会社に、定款変更をしたものとみなされる(会社法第639条)。相続や事業承継の場面で社員構成が変わった際、経営者がこの点に気づかず、登記や税務上の対応が後手に回ってしまうケースが少なくない。回避策としては、定款の中で社員の退社・承継に関するルールをあらかじめ明確化しておくこと、社員構成に変化が生じた場合は速やかに専門家に確認し、必要な変更登記等の対応を行うことが挙げられる。
失敗パターン3:資金調達・信用力の限界にぶつかる
合資会社は株式を発行できず、出資者を新たに加える場合も総社員の同意が原則として必要とされる(会社法第637条)ため、外部からの資金調達が実質的に難しい形態といえる。株式会社と比較して対外的な信用力の面で不利になりやすく、事業拡大のフェーズで株式会社への組織変更を迫られるケースも見られる。回避策としては、設立段階から将来的な事業拡大の見通しを踏まえ、資金調達の方針を専門家と相談しておくこと、必要になった時点で合同会社・株式会社への組織変更を検討できるよう、あらかじめ選択肢として把握しておくことが挙げられる。
よくある質問(FAQ)
Q. 合資会社と合同会社はどう違うのですか?
A. 最大の違いは社員の責任範囲です。合同会社は社員全員が有限責任ですが、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される点が異なります。
Q. 合資会社は今でも新しく設立できますか?
A. 会社法上、現在も設立自体は可能です。ただし無限責任社員が必要な性質上、新規設立数は株式会社や合同会社に比べて少ない傾向にあります。
Q. 無限責任社員になるとどのようなリスクがありますか?
A. 会社の債務について、出資額を超えて個人の財産で責任を負う可能性があります(会社法第580条)。就任前にリスクを十分理解しておく必要があります。
Q. 合資会社を株式会社に変更することはできますか?
A. 会社法上、組織変更の手続きを経れば株式会社への変更が可能とされています。具体的な手続きは司法書士等の専門家に確認することをおすすめします。
Q. 合資会社の設立に資本金はいくら必要ですか?
A. 合資会社には最低資本金の規制はありません。ただし登録免許税は資本金額にかかわらず一律6万円とされている点に留意してください。
Q. 合資会社にはどのようなメリット・デメリットがありますか?
A. 定款自治の自由度が高い一方、無限責任社員のリスクや資金調達の限界がデメリットとされています。事業内容に応じた慎重な検討が必要です。
まとめ|今日からできる3つのこと
- 自社の事業内容や関係者の責任分担を踏まえ、無限責任社員を誰が担うかを具体的に検討する。
- 会社法や登録免許税など公的な一次情報を確認し、設立費用・手続きの最新情報を把握する。
- 退社による意図しない組織変更等のリスクを避けるため、司法書士や税理士など専門家に事前相談する。
参考文献
- 国税庁「会社標本調査」 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon/top.htm
- e-Gov法令検索「会社法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
- e-Stat(政府統計の総合窓口)「登記統計」 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003206210
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