減価償却費の計算方法|定額法・定率法の求め方と仕訳を計算例で解説

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  • 定額法と定率法の計算式と償却率がわかる
  • 取得価額別の処理と月割の計算がわかる
  • 減価償却費の仕訳と決算書の書き方がわかる

減価償却費とは、建物や機械、パソコンなど長く使う資産の取得に要した金額を、使用できる期間にわたって毎年の費用として配分した金額のことです。計算の方法は主に定額法と定率法の2つで、取得価額・耐用年数・償却率の3つがそろえば求められます。この記事では、国税庁と財務省令の資料をもとに、計算式と償却率の表、5年間の計算例、年の途中で取得したときの月割、取得価額による処理の違い、仕訳、個人事業主の決算書の書き方までを順に整理します。資産が増えて手計算が難しくなってきたときの選択肢(固定資産管理システムと会計ソフト)にも触れます。制度は令和8年4月1日現在の国税庁の案内に基づき、2026年10月19日に確認しています。

減価償却費の計算、いまの進め方に近いのはどれ?

Q1. 減価償却費は、いまどのように求めていますか?

目次

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  1. 減価償却費とは?計算の考え方と、経費になる仕組み
  2. 減価償却費の計算に必要な3つの数字:取得価額・耐用年数・償却方法
  3. 定額法の計算方法と5年間の計算例
  4. 定率法の計算方法。償却保証額と改定償却率の考え方
  5. 定額法と定率法の違いと選び方。償却方法は届出が必要
  6. 年の途中で取得したときの月割計算と、1円まで償却したあと
  7. 取得価額によって処理が変わる。減価償却しない場合・一括で償却する場合の早見表
  8. 減価償却費の仕訳。直接法と間接法、減価償却累計額の扱い
  9. 個人事業主の減価償却費。青色申告決算書の書き方と少額の特例
  10. 減価償却費の計算で間違えやすい5つの場面と、公的資料での確認先
  11. 手計算を続けるか、台帳をシステムで管理するか。確認したい5つの点
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ:減価償却費を正しく計算するための6つのこと
  14. 参考文献

減価償却費とは?計算の考え方と、経費になる仕組み

減価償却費とは、建物・機械・パソコンなどの減価償却資産の取得に要した金額を、使用できる期間にわたって各年の費用として配分した金額です。購入した年に全額を費用にするのではなく、耐用年数に分けて計上します。

国税庁は、事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によって価値が減っていくため、これらを減価償却資産と説明しています。取得に要した金額は、取得した時に全額が必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたって分割して必要経費としていくものです(国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」)。資産の種類ごとの耐用年数は、財務省令の別表に定められています。

減価償却の対象になるもの、ならないもの

時の経過によって価値が減らない土地や骨とう品は、減価償却資産ではありません(同上)。土地と建物を一緒に買った場合は、建物の部分だけが減価償却の対象になります。どのような資産が固定資産にあたるかは、固定資産とは?種類や流動資産との違い、減価償却についても解説で、有形固定資産と無形固定資産の違いは有形固定資産とは?無形固定資産との違いや減価償却の方法も解説で整理しています。

減価償却費は何費?経費になる?

減価償却費は、損益計算書では販売費及び一般管理費の科目として表示されるのが一般的で、工場や機械などの製造に使う資産の分は製造原価に含めます。個人事業主の青色申告決算書でも、製造業で原価計算をしている場合の工場や機械などの減価償却費は、損益計算書の減価償却費の欄には含めず、製造原価の計算の欄に記入することになっています(国税庁「令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方」)。

税務上の扱いは、個人と法人で少し違います。個人は、政令で定める方法で計算した金額が必要経費になります(所得税法第49条)。法人は、償却費として損金経理をした金額のうち、償却限度額に達するまでの金額が損金になります(法人税法第31条)。また、減価償却費は計上しても、その年に現金が出ていくわけではありません。資産を買ったときに支払った代金を、あとから費用として配分していく処理だからです。

資産が増えるほど、資産ごとの計算と台帳の管理が必要になる

減価償却費は、資産ごとに取得価額・耐用年数・償却方法・取得した月が違うため、1つずつ計算します。定率法では前年までの未償却残高を毎年引き継ぎ、年の途中で取得した資産は月割で計算します。資産が数点のうちは手計算でも回りますが、数が増えると、どの資産がいつまで償却されるかを一覧できる固定資産台帳が必要になります(台帳の見方は固定資産台帳とは?見方や記載項目、作成時のポイントを解説を参照してください)。

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減価償却費の計算に必要な3つの数字:取得価額・耐用年数・償却方法

減価償却費は、取得価額・耐用年数・償却方法の3つが決まれば求められます。償却方法ごとに、耐用年数から決まる償却率を取得価額などに掛けて、その年の償却費を出します。

要素内容確認先
取得価額購入代価(引取運賃や購入手数料などを含む)と、事業の用に供するために直接要した費用(据付費や試運転費など)の合計額国税庁 No.5400 減価償却資産の取得価額
耐用年数資産の種類・構造・用途・細目ごとに、財務省令の別表で定められた年数(法定耐用年数)国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表(PDF)
償却方法定額法・定率法など。取得した時期や資産の種類で選べる方法が決まる国税庁 No.2100

取得価額に含めるもの、含めなくてよいもの

購入した減価償却資産の取得価額は、原則として、購入代価に、引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税などの付随費用と、据付費や調整試運転費など事業の用に供するために直接要した費用を加えた合計額です。ただし、不動産取得税・登録免許税などの租税公課や、使用を開始するまでの期間に係る借入金の利子などは、取得価額に算入しないことができます(国税庁「No.5400 減価償却資産の取得価額」)。取得価額に何を入れるかで毎年の償却費が変わるため、最初に決めておく必要があります。

耐用年数の調べ方と主な資産の例

耐用年数は、財務省令の別表に資産の種類ごとに定められています。国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で主な資産を確認でき、載っていない資産は財務省令の別表で調べます(国税庁No.2100の関連リンクから開けます)。財務省令の原文は、e-Govの減価償却資産の耐用年数等に関する省令で確認できます。主な例は次のとおりです。

資産細目耐用年数
器具及び備品パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く)4年
車両及び運搬具一般用の自動車で、小型車(総排気量0.66リットル以下)の場合4年
建物木造又は合成樹脂造の事務所用のもの24年
建物鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の事務所用のもの50年
無形固定資産ソフトウエア(自社利用などのその他のもの)5年
無形固定資産ソフトウエア(複写して販売するための原本)3年

出典は上記の省令の別表第一・別表第三です(2026年10月19日にe-Govで確認)。同じ名前の資産でも構造や用途で年数が変わるため、自社の資産がどの区分に当たるかは別表で確かめてください。ソフトウェアの償却の考え方はソフトウェアは固定資産として減価償却できる?計上基準や方法を解説で詳しく解説しています。

中古資産の耐用年数は、見積りか簡便法で決める

中古の資産を取得して事業の用に供した場合は、法定耐用年数ではなく、その後の使用可能期間として見積もった年数を使うことができます。見積りが難しいときは、次の簡便法で計算します(国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」)。

  • 法定耐用年数の全部を経過した資産:法定耐用年数の20%に相当する年数
  • 法定耐用年数の一部を経過した資産:法定耐用年数から経過した年数を引いた年数に、経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

計算した年数に1年未満の端数があるときは切り捨て、2年に満たない場合は2年とします。国税庁の例では、法定耐用年数30年で経過年数が10年の資産は、(30年-10年)+(10年×20%)=22年です。なお、この算定は事業の用に供した事業年度にしかできず、その年度に算定しなかった場合は、後の年度で算定することはできません。

定額法の計算方法と5年間の計算例

定額法の減価償却費は、取得価額に定額法の償却率を掛けて求めます。毎年同じ金額になるのが特徴で、耐用年数5年の償却率は0.200、10年は0.100です。

平成19年4月1日以後に取得した資産の定額法の計算式は、国税庁が次のように示しています(国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却」)。

各年の償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

取得価額1,200,000円、耐用年数5年(償却率0.200)の資産を、年のはじめから使い始めた場合の例です。

年計算償却費年末の未償却残高
1年目1,200,000円 × 0.200240,000円960,000円
2年目1,200,000円 × 0.200240,000円720,000円
3年目1,200,000円 × 0.200240,000円480,000円
4年目1,200,000円 × 0.200240,000円240,000円
5年目取得価額から1円を残した金額239,999円1円

平成19年4月1日以後に取得した有形減価償却資産は、取得価額から1円を引いた金額まで償却できるため、最後の年は1円を残した239,999円になります。国税庁の例でも、耐用年数10年の資産の最終年は99,999円としています。ソフトウェアなどの無形固定資産は、取得価額の全額まで償却できます(同No.2106の「限度額」)。

定率法の計算方法。償却保証額と改定償却率の考え方

定率法の減価償却費は、期首の未償却残高に定率法の償却率を掛けて求めます。初めの年ほど償却費が多く、年とともに減ります。償却費が償却保証額に満たなくなった年からは、改定償却率で毎年同額になります。

平成24年4月1日以後に取得した資産に使うのは、償却率が定額法の2倍の「200%定率法」です。国税庁の計算式は次のとおりです(国税庁「No.2106」)。

  • 1年目の償却費 = 取得価額 × 定率法の償却率
  • 2年目以降(調整前償却額が償却保証額以上の場合)= 期首未償却残高 × 定率法の償却率
  • 調整前償却額が償却保証額に満たなくなった年以後 = 改定取得価額 × 改定償却率

償却保証額は取得価額に耐用年数に応じた保証率を掛けた金額、改定取得価額は調整前償却額が初めて償却保証額に満たなくなった年の期首未償却残高です。償却率・改定償却率・保証率は、耐用年数省令の別表で耐用年数ごとに定められています。

耐用年数別の償却率・改定償却率・保証率

耐用年数2年から10年の値を、e-Govの耐用年数省令(別表第八・別表第十)で確認した結果です。

耐用年数定額法の償却率200%定率法の償却率改定償却率保証率
2年0.5001.000––
3年0.3340.6671.0000.11089
4年0.2500.5001.0000.12499
5年0.2000.4000.5000.10800
6年0.1670.3330.3340.09911
7年0.1430.2860.3340.08680
8年0.1250.2500.3340.07909
9年0.1120.2220.2500.07126
10年0.1000.2000.2500.06552

2年の資産には改定償却率と保証率の定めがありません。表に載っていない年数は、耐用年数省令の別表第八・別表第十、または国税庁の減価償却資産の償却率等表(PDF)で確認してください。

計算例:取得価額1,200,000円、耐用年数5年の定率法

耐用年数5年の償却率は0.400、改定償却率は0.500、保証率は0.10800です。償却保証額は、1,200,000円 × 0.10800 = 129,600円になります。

年計算償却費年末の未償却残高
1年目1,200,000円 × 0.400 = 480,000円480,000円720,000円
2年目前年末の残高 × 0.400 = 288,000円(保証額以上)288,000円432,000円
3年目前年末の残高 × 0.400 = 172,800円(保証額以上)172,800円259,200円
4年目103,680円は保証額129,600円に満たない。改定取得価額259,200円 × 0.500129,600円129,600円
5年目改定取得価額 × 0.500 = 129,600円。1円を残すため129,599円129,599円1円

5年間の償却費の合計は1,199,999円で、定額法と同じです。定率法は早い年に費用が多く出て、あとの年に少なくなるように配分が変わるだけで、償却できる総額は変わりません。

取得した時期によって、使う計算方法が違う

制度は何度か改正されており、資産を取得した時期で使う方法が違います。古い資産を台帳に抱えている場合は、取得日ごとに確認が必要です。

取得した時期使う償却方法補足
平成19年3月31日以前旧定額法・旧定率法残存価額を残して償却し、95%に達した年の翌年から5年間で均等償却する扱いがある(青色申告決算書の手引きに「均等償却」の記載あり)
平成19年4月1日から平成24年3月31日定額法・250%定率法償却可能限度額と残存価額が廃止され、1円まで償却する
平成24年4月1日以後定額法・200%定率法償却率が定額法の2倍の定率法
平成10年4月1日以後に取得した建物定額法のみ定率法は選べない
平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物定額法のみ定率法は選べない

出典は国税庁のNo.2100、No.2106、耐用年数省令と法人税法施行令第48条の2です。

定額法と定率法の違いと選び方。償却方法は届出が必要

償却方法は、資産の種類ごとに選んで税務署に届け出ます。届出をしなかった場合は法定の償却方法になり、個人は定額法、法人は建物などを除く有形減価償却資産について定率法が基本です。

項目定額法定率法
償却費の出方原則として毎年同額初めの年ほど多く、年とともに減る。償却保証額に満たなくなった年以後は毎年同額
計算の手間取得価額 × 償却率で、年によらず同じ期首未償却残高を毎年引き継ぎ、保証額との比較が必要
選べない資産–建物(平成10年4月1日以後取得)、建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得)、無形固定資産は定額法のみ

定額法は費用が毎年一定で予算を組みやすく、定率法は早い年に費用を多く計上できます。ただし償却の総額は同じで、どちらが有利かは利益の見通しや資産の使い方で変わるため、税理士に相談して決めるのが一般的です。

届出の期限と、変更するときの手続

区分届出・変更の手続届出がない場合
個人事業主新たに業務を始めた場合は、翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出る。方法を変えるときは、変更しようとする年の3月15日までに承認申請書を提出する法定の償却方法(一般的には定額法)で計算する
法人新たに設立した法人は、設立の日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに届け出る。方法を変えるときは、新たな方法を採用する事業年度の開始の日の前日までに承認申請書を提出する法定の償却方法(建物などを除く有形減価償却資産は定率法)で計算する

出典は国税庁のNo.2100(個人)、No.5407 減価償却資産の償却方法の変更承認申請(法人)と、法人税法施行令の第51条・第53条です。法人の変更は、現在の方法を採用してから3年を経過していない場合、特別な理由がなければ承認されないことがあります(同No.5407)。個別の判断は、税務署または税理士に確認してください。

年の途中で取得したときの月割計算と、1円まで償却したあと

年の途中で取得した資産は、1年分の償却費を12で割り、その年に使用した月数を掛けて計算します。法人は事業年度の月数で按分し、1か月に満たない端数は1か月として数えます。

国税庁は、資産を年の途中で取得または取壊しをした場合は、算出した金額を12で除し、その年分において業務に使用していた月数を乗じて計算するとしています(個人。No.2106注1)。法人も、事業の用に供した日から事業年度の終了日までの月数で按分します。月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数は1か月とします(法人税法施行令第59条)。

取得価額1,200,000円、耐用年数5年の資産を、3月決算の法人が10月1日から使い始めた場合の例です(10月から翌年3月までの6か月)。

償却方法1年目の計算1年目の償却費
定額法1,200,000円 × 0.200 × 6/12120,000円
定率法1,200,000円 × 0.400 × 6/12240,000円

定率法の2年目は、1年目の償却後の未償却残高960,000円に0.400を掛けて384,000円です。初年度が半年でも、翌年からは通常の1年分で計算します。

耐用年数が過ぎたら、減価償却費はどうなる?

平成19年4月1日以後に取得した有形減価償却資産は、取得価額から1円を引いた金額まで償却します。償却が終われば、その後の減価償却費は発生せず、帳簿には1円(備忘価額)が残ります。耐用年数を過ぎても資産を使い続けることはできますが、償却済みの分を再び費用にすることはできません。

平成19年3月31日以前に取得した資産は、償却費の累積額が取得価額の95%相当額に達した年分の翌年分以後5年間で均等償却を行う扱いがあり、青色申告決算書の摘要欄には「均等償却」と記入します。資産を年の途中で譲渡・取壊しした場合も、摘要欄にその月日と事由を記入します(国税庁「令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方」)。

取得価額によって処理が変わる。減価償却しない場合・一括で償却する場合の早見表

取得価額が10万円未満なら、取得した年に全額を費用にできます。10万円以上20万円未満は3年で一括して償却する方法を選べ、中小企業者等には40万円未満の特例があります。それ以上は耐用年数にわたって減価償却します。

金額の区分ごとの処理を、国税庁の案内から整理しました(令和8年4月1日現在。2026年10月19日に確認)。

取得価額(1単位ごとに判定)処理主な条件・注意
使用可能期間が1年未満、または10万円未満事業の用に供した年(事業年度)に取得価額の全額を費用にする法人は損金経理が必要。令和4年4月1日以後に取得して貸付け(主要な事業として行うものを除く)の用に供したものは除かれる
20万円未満(上記を除く)一括償却資産として、3年間で償却する方法を選べる個人は取得価額の合計額の3分の1を、業務の用に供した年以後3年間の各年分の必要経費にする
10万円以上40万円未満中小企業者等の少額減価償却資産の特例を使うと、全額を費用にできる法人は青色申告の中小企業者等(従業員400人以下、特定法人は300人以下)で、年間合計300万円まで。個人は一定の要件を満たす青色申告者で、年間合計300万円まで
上記以外耐用年数にわたって減価償却する本記事の計算方法を使う

40万円未満への引上げは、令和8年度の法人税関係法令の改正によるもので、令和8年4月1日以後に取得した資産が対象です(改正前は30万円未満)。個人の青色申告者も、令和8年3月31日までに取得した資産は10万円以上30万円未満、その後は10万円以上40万円未満で、令和11年3月31日までに取得したものが対象とされています(国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」「No.2100」)。

金額の判定で間違えやすい3つのポイント

  1. 判定は、通常1単位として取引されるものごとに行います。応接セットはテーブルと椅子の1組、カーテンは部屋ごとの合計で見ます(国税庁No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。
  2. 消費税を含めるかどうかは、経理方式によります。税込経理なら消費税を含んだ金額、税抜経理なら含まない金額で判定します(No.2100注5)。
  3. 少額の減価償却資産を費用にするには、事業の用に供した事業年度に損金経理する必要があります。いったん資産に計上したものを後の年度に一時に損金経理しても、損金には入りません(No.5403注2)。

特例を使うときは、事業の用に供した事業年度に損金経理したうえで、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付します。税務の個別の判断は、税務署または税理士に確認してください。本記事は一般的な解説であり、法的助言ではありません。

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減価償却費の仕訳。直接法と間接法、減価償却累計額の扱い

減価償却費の仕訳は、借方に「減価償却費」を計上し、貸方は直接法なら資産の科目、間接法なら「減価償却累計額」にします。間接法では、貸借対照表で資産の取得価額から累計額を控除する形で表示されるのが一般的です。

前の章の定額法の例(取得価額1,200,000円、年間償却費240,000円、勘定科目は器具備品)で、1年目の決算整理仕訳を示します。

方法借方貸方ポイント
直接法減価償却費 240,000円器具備品 240,000円資産の帳簿価額を直接減らす。取得価額と累計の償却額が帳簿から見えにくい
間接法減価償却費 240,000円減価償却累計額 240,000円資産の科目は取得価額のまま残り、累計額が毎期積み上がる。台帳と突き合わせやすい

間接法で2年目も同じ仕訳を行うと、減価償却累計額は480,000円になり、器具備品1,200,000円から累計額を引いた720,000円が帳簿上の価額になります。どちらの方法を使うかは会社の経理方針によるため、会計ソフトの設定や税理士の指示に合わせてください。

資産を売却・除却したときの考え方

償却中の資産を売却したり廃棄したりした場合は、その時点の帳簿価額を基準に、売却益・売却損や除却損を計上します。間接法では、その資産に対応する減価償却累計額を取り崩す仕訳も必要です。年の途中で譲渡・取壊しをした年の償却費の扱い(月割で計算するか、償却を省略するか)は、資産の状況や個人・法人の別によって異なるため、台帳に月日と事由を記録し、税理士や税務署に確認してください。

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  • これまで手入力していた取引データの記帳作業が大幅に削減され、経理作業の時間が約半分になりました。特に仕訳の自動提案機能が優秀で、経理知識が浅い自分でも運用できる点が大きなメリットです。また、リアルタイムで損益を把握できるようになったため、経営判断が早くなったことも効果として実感しています。

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【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】

数ある会計ソフトの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド会計」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。

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個人事業主の減価償却費。青色申告決算書の書き方と少額の特例

個人事業主の減価償却費は、青色申告決算書(一般用)の3ページ「減価償却費の計算」の欄で資産ごとに計算し、その合計を損益計算書の「減価償却費」の欄に記入します。

国税庁の「青色申告決算書(一般用)の書き方」によると、損益計算書の減価償却費の欄には、決算書3ページの「減価償却費の計算」の「本年分の必要経費算入額」の計の金額を記入します。計算欄では、取得価額、償却方法、耐用年数、償却率、本年中の償却期間の月数、未償却残高(期末残高)などを資産ごとに記入します。定率法で調整前償却額が償却保証額に満たなくなった年分以後は、摘要欄に「改定償却」と記入します(国税庁「令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方」)。

  • 償却方法は、税務署に届け出ているものを記入します。届出をしていない場合は、定額法(平成19年3月31日以前に取得した資産は旧定額法)になります。
  • 平成10年4月1日以後に取得した建物は、旧定額法・定額法になります。
  • 10万円以上40万円未満の資産について中小事業者の少額減価償却資産の特例を使う場合は、摘要欄に「措法28の2」と記入します。

必要経費にできる減価償却費の考え方は、個人でも前の章までと同じです。取得価額・耐用年数・償却方法・月割を資産ごとに計算し、その合計が決算書に入ります。

減価償却費の計算で間違えやすい5つの場面と、公的資料での確認先

間違えやすいのは、取得価額の範囲、修繕費との区分、中古資産の耐用年数、期中取得の月割、償却方法の届出の5つです。国税庁のタックスアンサーなどで判断の基準が示されています。

場面よくある失敗確認先
取得価額登録免許税や不動産取得税、借入金利子の扱いを毎回変えてしまう。付随費用の入れ忘れで償却費がずれるNo.5400
修理と改良修理や改良の支出を、すべて修繕費にしてしまう。使用可能期間を延ばす部分や価値を増加させる部分は資本的支出で、減価償却の対象になるNo.5402 修繕費とならないものの判定
中古資産中古で買った資産に法定耐用年数をそのまま使う。見積りか簡便法で短く算定でき、算定は事業の用に供した事業年度にしかできないNo.5404
期中取得年の途中で取得した資産に1年分の償却費を計上する。月数で按分し、法人は1か月未満の端数を1か月として数えるNo.2106
償却方法の届出届出を忘れ、意図しない法定の償却方法で計算してしまうNo.2100

修繕費か資本的支出かの区分については、国税庁は、1つの修理・改良などの金額が20万円未満の場合や、おおむね3年以内の周期で行われることが明らかな場合は修繕費にできると示しています。区分が明らかでない金額があるときは、支出金額が60万円未満、またはその資産の前事業年度終了の時の取得価額のおおむね10%相当額以下であれば、修繕費にできます(No.5402)。資本的支出と判断した場合は、その支出金額を取得価額として、既存の資産と同じ種類・耐用年数の資産を取得したものとして償却します(国税庁No.5405 資本的支出後の減価償却資産の償却方法等)。

手計算を続けるか、台帳をシステムで管理するか。確認したい5つの点

資産が少なく取得も年に数回なら、計算式と台帳のExcelでも運用できます。資産や取得・売却が増えるほど、台帳と償却計算をシステムにまとめる意味が大きくなります。

運用向いている会社注意したい点
Excelなどで手計算資産が少なく、取得も年に数回で、償却方法が定額法のみなど単純な会社定率法の保証額との比較、月割、少額特例の年間合計の管理を担当者が行う必要がある。担当者が替わると引き継ぎに手間がかかる
固定資産管理システム(例:マネーフォワード クラウド固定資産)資産が多い、取得・売却が頻繁、複数台帳や現物との突き合わせが必要な会社商品ページによると、詳細な料金や導入フローは問い合わせが必要で、導入から稼働までは2-3か月かかる場合がある
会計ソフト(例:マネーフォワード クラウド会計)日々の取引入力や仕訳、決算書の作成を効率化したい会社商品ページに減価償却や固定資産の機能の記載がないため、償却の計算や台帳の扱いは資料で確認する

固定資産管理システムは台帳と償却計算、会計ソフトは日々の仕訳と決算書を受け持つ、というように役割が分かれています。2つをどう組み合わせるか、データがどこまでつながるかは製品ごとに違うため、資料請求のときに次の点を確認すると、導入後の運用をイメージしやすくなります。

  1. 自社が使っている償却方法(定額法・定率法・旧定額法・均等償却など)と、取得時期の古い資産に対応しているか。
  2. 固定資産台帳を何冊まで持てるか、税務と会計で別の台帳を持てるか。
  3. 償却費の仕訳を会計ソフトに渡す方法と、その範囲。
  4. 税務申告に使う書類(別表16など)や、償却資産の申告に使える出力があるか。
  5. 導入にかかる期間と、データ移行や設定のサポートの範囲、料金の体系。

固定資産管理システムを比べるときの選び方は、固定資産管理システムとは?機能やメリット、選び方について解説!や固定資産管理システムおすすめ10選(全23選)を徹底比較!|選定のポイントや導入時の注意点を解説でも解説しています。この記事で取り上げた2サービスは役割が異なり、台帳と償却計算ならマネーフォワード クラウド固定資産、日々の仕訳と決算書の作成ならマネーフォワード クラウド会計が一例です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 「償却費」の読み方は?

A. 「しょうきゃくひ」と読みます。「減価償却費」は「げんかしょうきゃくひ」です。減価償却資産の取得に要した金額を、使用できる期間にわたって各年の費用として配分した金額を指します。

Q2. 減価償却の耐用年数が過ぎてしまった場合、確定申告はどう書けばいいですか?

A. 平成19年4月1日以後に取得した有形減価償却資産は、取得価額から1円を引いた金額まで償却すると、その後の減価償却費は発生せず、帳簿に1円が残ります。償却が終わった資産の減価償却費は、その年の必要経費に計上しません。平成19年3月31日以前に取得した資産は、償却費の累積額が取得価額の95%に達した年分の翌年から5年間で均等償却を行う扱いがあり、青色申告決算書の摘要欄に「均等償却」と記入します。記入の詳細は国税庁の決算書の書き方の手引きで確認し、判断に迷う場合は税務署または税理士に相談してください。

Q3. 減価償却累計額の仕訳はどうなりますか?

A. 間接法では、毎期の決算で借方に「減価償却費」、貸方に「減価償却累計額」を計上します。たとえば年間の償却費が240,000円なら、借方・貸方とも240,000円です。累計額は資産の取得価額から控除する形で貸借対照表に表示され、資産を売却・除却するときに取り崩します。直接法では、貸方を資産の科目にして帳簿価額を直接減らします。

Q4. 減価償却の耐用年数はどうやって調べますか?

A. 財務省令の別表(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)で、資産の種類・構造・用途・細目ごとに定められています。国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で主な資産を確認できます。たとえばパソコン(サーバー用を除く)は4年、木造の事務所用建物は24年、自社利用のソフトウェアは5年です。中古資産は、見積りか簡便法で耐用年数を算定できます。

Q5. 減価償却費とは何費ですか?経費になりますか?

A. 損益計算書では販売費及び一般管理費の科目として表示されるのが一般的で、製造に使う資産の分は製造原価に含めます。個人は政令で定める方法で計算した金額が必要経費になり、法人は損金経理した金額のうち償却限度額に達するまでの金額が損金になります。現金の支出を伴わない費用です。

Q6. 定額法と定率法は自由に選べますか?

A. 資産の種類ごとに選べますが、建物(平成10年4月1日以後取得)、建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得)、無形固定資産は定額法のみです。選んだ方法は税務署に届け出る必要があり、届出がない場合は法定の償却方法になります。個人は一般的に定額法、法人は建物などを除く有形減価償却資産について定率法です。方法を変えるときは、承認申請が必要です。

まとめ:減価償却費を正しく計算するための6つのこと

  1. 減価償却費は、取得価額・耐用年数・償却方法の3つで決まります。取得価額に含める費用と耐用年数の区分を、最初に確認します。
  2. 定額法は「取得価額 × 償却率」、定率法は「期首未償却残高 × 償却率」で計算します。定率法は償却保証額との比較と、改定償却率への切り替えが必要です。
  3. 年の途中で取得した資産は月割で計算し、平成19年4月1日以後に取得した有形減価償却資産は、1円を残して償却します。
  4. 取得価額が10万円未満、20万円未満、40万円未満(中小企業者等の特例)で処理が変わります。令和8年4月1日以後に取得する資産は、特例の基準が40万円未満です。
  5. 償却方法は資産の種類ごとに選び、届出をします。届出がない場合の法定の償却方法は、個人は定額法、法人は建物などを除く有形減価償却資産について定率法です。
  6. 資産や取得・売却が増えて手作業の負担が大きいときは、固定資産管理システムや会計ソフトの資料を請求し、対応する償却方法と台帳の持ち方、データ連携の範囲を確認します。

減価償却費の計算は、仕組みを理解すれば難しいものではありません。資産が増えるほど、台帳の管理と計算の正確さをどう保つかが実務の負担の中心になります。税務上の個別の判断は、税務署または税理士に確認してください。本記事は一般的な解説であり、法的助言ではありません。

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