社会保険料は4月から6月の給与で決まる|定時決定の仕組みと残業の影響

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  • 4月から6月の報酬の平均で9月から決まる
  • 翌月払いは支払われた月で数える
  • 賞与や17日未満の月は平均に入らない

社会保険料が4月から6月の給与で決まるとは、毎年4月・5月・6月に支払われた報酬の平均から標準報酬月額を決め直す「定時決定」により、9月から翌年8月までの健康保険料・厚生年金保険料の基準が決まる仕組みのことです。この3か月に残業手当や通勤手当が多く支払われて等級が上がると、その後1年間の保険料が高くなります。一方で、年3回以下の賞与は算定に含まれず、支払基礎日数が17日未満の月は平均から除かれます。給与が翌月払いの会社は、「支払われた月」で数えるため、対象になる労働期間は3月から5月分です。この記事では、定時決定の流れ、対象になる報酬、令和8年度の料率での残業の影響、算定基礎届の準備、随時改定と年間平均の例外までを、日本年金機構と協会けんぽの公表資料にもとづいて整理します。

4月から6月の報酬の集計と届出、今のやり方はどちらに近いですか?

Q1. 毎年7月の算定基礎届のために、4月から6月の報酬をどのように集計していますか?

目次

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  1. 社会保険料は4月から6月の報酬で決まる|定時決定の仕組みとスケジュール
  2. 4月から6月の「報酬」に入るもの・入らないもの|通勤手当・残業手当・賞与
  3. 支払基礎日数が17日未満の月・入社・パートの算定方法
  4. 4月から6月に残業すると社会保険料はいくら変わる?令和8年度の料率で計算
  5. 算定基礎届の準備と提出|令和8年度の手順とつまずきやすい点
  6. 4月から6月以外にも標準報酬月額が変わる場合|随時改定と年間平均の特例
  7. 毎年の算定基礎届と月額変更届を手作業で続けるときの見直しポイント
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|4月から6月の社会保険料で押さえる5つのこと
  10. 参考文献

社会保険料は4月から6月の報酬で決まる|定時決定の仕組みとスケジュール

定時決定とは、7月1日現在で使用している全被保険者の4月・5月・6月の報酬月額を事業主が届け出て、標準報酬月額を年1回決め直す手続きです。決まった標準報酬月額は、9月から翌年8月まで使われます。

時期内容(令和8年度の例)
4月・5月・6月算定の対象になる報酬の支払い月(3か月)
6月中旬から算定基礎届の様式が日本年金機構から順次届く
7月1日から7月10日算定基礎届の提出期間(電子申請の利用が勧められている)
9月分新しい標準報酬月額を適用
10月支給の給与から給与からは前月分の保険料を差し引ける。9月分の保険料は、翌月控除の会社では10月に支払う給与から控除する

出典:日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」、同「令和8年度の算定基礎届のご提出について」、同「厚生年金保険料等の納付」(2026年10月19日確認)。

算定基礎届は、全従業員について4月から6月の報酬と支払基礎日数を集め、短い提出期間内に届け出る作業です。人数が多いほど、転記と区分け(17日未満の月、途中入社、短時間労働者)に手間がかかります。この手作業を減らす方法として、給与計算と人事労務の手続きを扱うサービスを、役割の違いで3つ並べます。

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標準報酬月額とは|報酬を等級に当てはめた保険料の基準額

標準報酬月額は、基本給に残業手当や通勤手当などを加えた税引き前の報酬を、一定の幅で区分した等級に当てはめた額です。健康保険は1等級の58,000円から50等級の1,390,000円まで50等級、厚生年金保険は1等級の88,000円から32等級の650,000円まで32等級に分かれています。例えば報酬月額が29万円以上31万円未満なら、標準報酬月額は30万円(健康保険の22等級)です。保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算し、事業主と被保険者が半分ずつ負担します。

出典:日本年金機構「「標準報酬月額」「標準賞与額」とは何ですか。」、協会けんぽ「令和8年3月分(4月納付分)からの保険料額表(東京支部)」、日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」(2026年10月19日確認)。

標準報酬月額が決まるタイミングは、次の3つです。4月から6月の報酬で決まるのは、このうち定時決定だけです。

決まるタイミング何をもとに決まるか使われる期間
資格取得時決定被保険者になったときの報酬資格取得月からその年の8月まで(6月1日から12月31日に取得した場合は翌年8月まで)
定時決定毎年4月・5月・6月の報酬その年の9月から翌年の8月まで
随時改定昇給・降給などで固定的な賃金が変わったあとの継続した3か月の報酬その年の8月まで(7月以降に改定された場合は翌年の8月まで)

出典:日本年金機構「標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。」(2026年10月19日確認)。随時改定の条件は、後ほど「4月から6月以外にも標準報酬月額が変わる場合」の節で説明します。

4月から6月の「報酬」に入るもの・入らないもの|通勤手当・残業手当・賞与

定時決定で算定の対象になる報酬とは、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるものです。基本給のほか、残業手当や通勤手当、各種手当、食事や住宅の提供(現物給与)も含まれます。

区分例算定への扱い
含まれる賃金、給料、インセンティブ、通勤手当、扶養手当、管理職手当、勤務地手当、休職手当、休業手当、現物給与(食事・住宅の提供)4月から6月の報酬として平均に入る
含まれない(労働の対償でない)傷病手当金、労災保険の休業補償、解雇予告手当、退職手当、内職収入算定に入れない
含まれない(実費弁償)出張旅費、赴任旅費算定に入れない
原則含まれない(恩恵的な支給)見舞金、結婚祝い金、餞別金算定に入れない。ただし労働協約などに基づき経常的に支払われるものは含まれる
賞与(年3回以下)賞与標準賞与額として別に計算し、標準報酬月額の算定には入れない
賞与に係る報酬(年4回以上)年4回以上の支給が諸規定で客観的に定められている賞与など報酬として算定に入れる

出典:日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」、同「従業員に賞与を支給したときの手続き」、厚生労働省保険局・年金局の事務連絡(平成30年7月30日)(2026年10月19日確認)。個別の手当の扱いに迷う場合は、管轄の年金事務所または加入している健康保険組合に確認してください。

通勤手当は社会保険では「報酬」に入る

通勤手当は、日本年金機構の事例集で報酬の例として挙げられています。給与明細の上では他の手当と分けて管理していても、定時決定の平均には含めて計算します。通勤手当のほか、役職手当や住宅手当などの固定的な手当も同じです。4月から6月に入社や異動で通勤手当が変わった人がいる場合は、その月の支給額を確かめてから集計してください。

翌月払いの会社は「支払われた月」で数える

算定基礎届の届書では、支給月は給与の対象となった計算月ではなく、実際に給与を支払った月とされています。月給で翌月払いの場合、3月分を4月に支払ったなら、それは4月の報酬として扱います。つまり、翌月払いの会社で定時決定に入るのは、おおむね3月から5月に働いた分の報酬です。

賃金の締め日と支払日4月・5月・6月に支払われる給与おおむね対象になる労働の期間
月末締め・当月25日払い4月25日・5月25日・6月25日に支払う給与4月分・5月分・6月分(4月から6月の労働)
月末締め・翌月25日払い4月25日・5月25日・6月25日に支払う給与3月分・4月分・5月分(3月から5月の労働)
15日締め・当月末払い4月30日・5月31日・6月30日に支払う給与3月16日から6月15日の労働

出典:日本年金機構「【入力例】被保険者報酬月額算定基礎届」(2026年10月19日確認)。上の表は、同じ考え方を締め日と支払日の組み合わせに当てはめた説明用の例で、公式の例示ではありません。自社の給与規程の締め日と支払日で確認してください。

また、支払基礎日数とは、報酬の支払の対象になった日数のことです。月給制・週給制は出勤日数に関係なく暦日数、時給制・日給制は実際の出勤日数になります。給与の支払日そのものではない点に注意してください。

支払基礎日数が17日未満の月・入社・パートの算定方法

定時決定では、支払基礎日数が17日以上の月だけで平均を出すのが原則です。3か月とも17日以上なら3か月の合計を3で割り、17日未満の月がある場合は、その月を除いて平均します。

状況標準報酬月額のもとになる報酬月額
4月・5月・6月とも17日以上3か月の報酬の総額を3で割った額
17日以上の月が1か月または2か月17日以上の月の報酬の総額を、その月数で割った額
3か月とも17日未満で、15日以上の月がある15日以上17日未満の月の報酬の総額を、その月数で割った額
3か月とも15日未満算定せず、従前の標準報酬月額で決定(総計・平均額の欄は空欄)
特定適用事業所の短時間労働者支払基礎日数11日以上の月で算定(3か月とも11日未満なら従前の標準報酬月額)
途中入社で、日割り計算により1か月分が支給されていない月17日以上でも算定の対象月から除く

出典:日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」、同「【入力例】被保険者報酬月額算定基礎届」、同「算定基礎届の届出不備や誤りの多い事例」(2026年10月19日確認)。

算定基礎届の提出が不要な人

7月1日現在の被保険者でも、次の人は算定基礎届の提出が不要です。

  • 6月1日以降に資格を取得した人(資格取得時決定の標準報酬月額が翌年8月まで使われます)
  • 6月30日以前に退職した人
  • 7月改定の月額変更届を提出する人
  • 8月または9月に随時改定が予定される旨を申し出た人

出典:日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」(2026年10月19日確認)。4月や5月に入社した人は、入社月が日割り計算で満額でない場合にその月が算定から外れ、残りの月だけで平均します。入社月が日割りかどうかの確認が、集計の見落としを減らすポイントです。

4月から6月に残業すると社会保険料はいくら変わる?令和8年度の料率で計算

令和8年度の協会けんぽ東京支部の料率で計算すると、標準報酬月額が30万円から34万円に上がった場合、本人負担の保険料は月42,570円から48,246円になり、月5,676円(12か月で68,112円)増えます。

計算に使う令和8年度の料率

保険料料率本人負担(労使折半)備考
健康保険料(協会けんぽ・東京都)9.85%4.925%都道府県ごとに料率が異なる。令和8年3月分から
介護保険料1.62%0.81%40歳から64歳の被保険者のみ。全国一律
子ども・子育て支援金0.23%0.115%令和8年4月分(5月納付分)から。全国一律
厚生年金保険料18.3%9.15%平成29年9月分から固定。全国一律

出典:協会けんぽ「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」、協会けんぽ「保険料額表(東京支部)」(2026年10月19日確認)。健康保険組合に加入している会社は、料率が協会けんぽと異なります。

標準報酬月額が上がった場合の本人負担(月額)

標準報酬月額(健康保険の等級)健康保険料子ども・子育て支援金厚生年金保険料本人負担の合計(月)30万円との差(月)30万円との差(12か月)
300,000円(22等級)14,775円345円27,450円42,570円––
320,000円(23等級)15,760円368円29,280円45,408円2,838円34,056円
340,000円(24等級)16,745円391円31,110円48,246円5,676円68,112円

表の金額は、協会けんぽの令和8年度保険料額表(東京支部)の折半額です。40歳から64歳の人は、これに介護保険料の本人負担が加わり、30万円で月2,430円、34万円で月2,754円です。事業主も同額を負担します(労使折半)。給与から控除する際は、被保険者負担分の端数が50銭以下なら切り捨て、50銭を超えたら切り上げて1円とします。出典:協会けんぽ保険料額表(東京支部)、日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」(2026年10月19日確認)。

給与計算全体の流れは、正しい給与計算のやり方と注意点の記事で、社会保険料の自動計算に対応した給与計算ソフトを広く比べたい場合は、社会保険料の計算におすすめの給与計算ソフトの記事で確認できます。

保険料が上がると将来の給付も変わる|損か得かは一概に言えない

標準報酬月額は、保険料だけでなく、給付の計算の基礎にもなります。日本年金機構は、標準報酬月額と標準賞与額を「厚生年金保険料や老齢厚生年金額等の計算に用います」としています。協会けんぽの傷病手当金は、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額を30で割り、3分の2を掛けた額が1日あたりの支給額です。標準報酬月額が12か月とも30万円なら1日約6,667円、34万円なら約7,556円(式どおりの概算)です。

出典:日本年金機構「「標準報酬月額」「標準賞与額」とは何ですか。」、協会けんぽ「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(2026年10月19日確認)。保険料の増加と給付の増加のどちらを重く見るかは、年齢・働き方・家計の状況で変わります。そのため、「4月から6月は残業しない方が得」と一概に言い切ることはできません。個別の判断が必要な場合は、社会保険労務士や年金事務所に相談してください。本記事は公的資料にもとづく一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。

算定基礎届の準備と提出|令和8年度の手順とつまずきやすい点

算定基礎届は、6月中旬から順次届く様式に、被保険者ごとの4月・5月・6月の報酬と支払基礎日数を記入し、令和8年度は7月1日から7月10日までに提出します。

  1. 6月中旬から届く算定基礎届の様式(ターンアラウンド用紙)の被保険者の一覧を、7月1日現在の在籍者と照らし合わせる
  2. 賃金台帳や給与明細から、被保険者ごとに4月・5月・6月に支払った報酬と、支払基礎日数を転記する(翌月払いは支払月で数える)
  3. 17日未満の月、途中入社の月、短時間労働者、70歳以上の被用者を区分けし、備考欄の該当番号を選ぶ
  4. 4月から6月の平均が例年と大きく異なる業種で、年間平均で算定したい場合は、様式1・様式2を添付する(同意が必要)
  5. 電子申請(勧められている)、郵送、窓口のいずれかで、7月10日までに提出する

出典:日本年金機構「令和8年度の算定基礎届のご提出について」、同「算定基礎届(年間報酬の平均で算定するとき)」(2026年10月19日確認)。

届出不備の多い事例

日本年金機構は、算定基礎届の届出不備や誤りの多い事例を公表しています。受付後に返戻されることがあるため、次の点を提出前に確認してください。

事例正しい扱い
適用年月が未記入「9月」が印字済みでも適用年月の欄は記入が必要。未記入だと標準報酬月額を決定できない
途中入社の月を平均に入れた日割り計算で満額が支給されていない月は、17日以上でも除く。備考欄の「途中入社」を丸で囲む
特定適用事業所の短時間労働者に17日を当てはめた支払基礎日数11日以上の月を使う。備考欄の「短時間労働者(特定適用事業所等)」を丸で囲む
パートで3か月とも17日未満なのに「対象月なし」とした15日以上17日未満の月を使う。備考欄の「パート」を丸で囲む
70歳以上の被用者の番号の記入漏れ個人番号または基礎年金番号を記入し、備考欄の「70歳以上被用者算定」を丸で囲む
再雇用者の整理番号が古い再取得時に付いた新しい被保険者整理番号を記入する

出典:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届の届出不備や誤りの多い事例」(2026年10月19日確認)。

どの事例も、報酬の転記と日数の判定を人の目で行う限り起こりうる誤りです。算定基礎の処理や月額変更の届出まで含めて給与計算を見直したい場合の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー給与です。商品ページでは、年末調整や算定基礎の処理にも対応しており、月変算定機能で、蓄積した給与データから随時改定の対象者を自動で判別し、届出を出力できると紹介されています。保険料や所得税は登録した内容から自動計算される点も挙げられています。一方で、所得税や住民税率は手動で変更する必要があると記載されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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4月から6月以外にも標準報酬月額が変わる場合|随時改定と年間平均の特例

昇給などで固定的な賃金が変わったときは、定時決定を待たず、随時改定で標準報酬月額が変わります。4月から6月の報酬が例年大きく変動する業種には、年間平均で算定する特例もあります。

随時改定が行われる3つの条件

  1. 昇給・降給などにより、固定的賃金(支給額や支給率が決まっている賃金)が変動したこと
  2. 変動月以後の引き続く3か月の報酬の平均額で算出した標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に、2等級以上の差が生じたこと(上限・下限にわたる等級変更では1等級差でも対象)
  3. 変動月以後引き続く3か月の報酬の支払基礎日数が、いずれも17日以上であること(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)

随時改定は、変更後の報酬を初めて受けた月から数えて4か月目の標準報酬月額から改定されます。例えば、4月に支払う給与に変動があった場合は、7月からです。出典:日本年金機構「随時改定」(2026年10月19日確認)。産前産後休業や育児休業等が終わったあとは、随時改定に該当しなくても、休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の報酬の平均額にもとづいて、4か月目の標準報酬月額から改定できる制度があります(日本年金機構「従業員の報酬月額の届出を行うときの手続き」)。

4月に昇給があり、4月から6月の報酬の平均で2等級以上の差が出る場合は、7月から随時改定(月額変更届)になり、算定基礎届は提出が不要です(7月改定の月額変更届を提出する人)。8月または9月に随時改定が見込まれる人は、その旨を申し出れば算定基礎届を省略できます。昇給の時期によって、算定基礎届と月額変更届のどちらを出すかが変わるため、昇給後すぐに確認しておくと提出の漏れを防げます。

年間平均で算定する特例(保険者算定)

日本年金機構は、4月から6月の報酬の平均で標準報酬月額を算出することが著しく不当である場合に、年間の報酬の平均で算定できるとしています。申し立てるときは、算定基礎届に「年間報酬の平均で算定することの申立書(様式1)」と「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等(様式2)」を添付します(出典:日本年金機構「算定基礎届(年間報酬の平均で算定するとき)」、2026年10月19日確認)。

要件の詳細は、加入先の健康保険の保険者が示しています。東京都情報サービス産業健康保険組合の案内では、4月から6月の平均から求めた標準報酬月額と、前年7月から当年6月の平均から求めた標準報酬月額との間に2等級以上の差があり、その差が業務の性質上、例年発生すると見込まれることが要件です。対象になるのは、保険者算定の適用に同意した被保険者で、同意書は毎年提出します。7月から9月の随時改定に該当する場合は、随時改定が優先されます(出典:東京都情報サービス産業健康保険組合「年間平均の報酬月額での定時決定(保険者算定)」、2026年10月19日確認)。運用は保険者ごとに異なる場合があるため、自社の加入先に確認してください。

単年度だけの一時的な繁忙は対象外です。「4月から6月に残業を控える」以外にも、毎年同じ時期に忙しくなる業種では、年間平均で算定する選択肢があることを知っておくと、人事と従業員の話し合いがしやすくなります。

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毎年の算定基礎届と月額変更届を手作業で続けるときの見直しポイント

4月から6月の報酬の扱いは毎年同じ作業の繰り返しなので、手順そのものより、集計・判定・提出のどこに時間がかかっているかを分けて見直すと改善点が見つかります。

  • 集計:賃金台帳や給与明細から被保険者ごとに報酬を転記している場合、転記ミスと見落としが起こりやすい。給与データから届出の様式に直接つなげられるかを確認する
  • 判定:17日未満の月、途中入社、短時間労働者の区分と、昇給時の随時改定の2等級差の判定は、要件を覚えていないと間違えやすい。判定の根拠を画面で確認できるかを見る
  • 提出:7月1日から7月10日の短い期間に書類を作る運用では、返戻や再提出の負担が重なる。電子申請まで一貫して行えるかを確認する

従業員情報の収集から届出書類の作成、電子申請までを1つの仕組みで扱いたい場合の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー人事労務です。商品ページでは、各種帳票を自動で作成でき、情報収集から電子申請までの作業を一気通貫で行えると紹介されています。複数人の入退社をまとめて申請できる一括申請形式も採用されています。一方で、労務管理が中心の設計のため、プラスアルファの機能を望む場合は他サービスの申し込みが必要と記載されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • 「各種帳票」が自動で作成でき、大幅に時間削減できる
  • 情報収集から電子申請までの作業を一気通貫で行え、出社や役所へ行く手間もかからない
  • 「一括申請形式」を採用しているため、複数人の入退社でもらくらく
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気になる…

  • 「労務管理メイン」で行いたい場合は便利だが、+αの機能を望む場合は他サービスの申し込みが必要

導入後は、重複作業の解消により月68時間の工数削減につながったほか、給与明細や源泉徴収票を職員自身で確認できるようになるなど、現場で働く職員の利便性も高まっています。

社会福祉法人西春日井福祉会の導入事例より(出典:jinjer株式会社「社会福祉法人西春日井福祉会の導入事例」)
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よくある質問(FAQ)

Q1. 4月から6月の給料が上がると社会保険料は上がりますか?

A. 上がる場合があります。4月・5月・6月に支払われた報酬の平均が、標準報酬月額の等級をまたいで上がると、9月分から翌年8月までの保険料が高くなります。同じ等級の範囲内なら保険料は変わりません。令和8年度の協会けんぽ東京支部の料率で、標準報酬月額が30万円から34万円になると、本人負担は(介護保険料を除き)月5,676円増えます。

Q2. 働きすぎると損する月はいつですか?

A. 「この月だけ損をする」という決まりはなく、4月・5月・6月に支払われた報酬が定時決定の平均に入ります。翌月払いの会社では、3月から5月に働いた分が対象です。昇給で固定的賃金が変わった場合は、変動後の3か月の報酬の平均が随時改定の対象になります。保険料が上がると傷病手当金などの給付の基礎も上がるため、損か得かは一概には言えません。

Q3. 4月5月6月に残業しない方がいいのはなぜですか?

A. 残業手当も報酬に含まれるため、この3か月に多く支払われると標準報酬月額の等級が上がり、9月から1年間の保険料が高くなるからです。ただし、将来の年金や傷病手当金の基礎も上がるため、残業を控えるべきとは一概に言えません。毎年この時期に忙しくなる業種には、年間平均で算定する特例もあります。

Q4. 4月から6月の社会保険料の計算方法は?

A. 4月・5月・6月に支払われた報酬の総額を月数で割って報酬月額を求め、等級表に当てはめて標準報酬月額を決めます。保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けた額を労使で半分ずつ負担します。支払基礎日数が17日未満の月は、平均の計算から除きます。

Q5. 新しい社会保険料はいつから給与から引かれますか?

A. 新しい標準報酬月額は9月分から適用されます。給与からは前月分の保険料を差し引けるため、翌月控除の会社では、9月分の保険料を10月に支払う給与から控除するのが一般的です。自社の控除のタイミングは、給与規程で確認してください。

Q6. 4月や5月に入社した場合や、17日未満の月がある場合はどうなりますか?

A. 6月1日以降に資格を取得した人は算定基礎届の提出が不要です。4月・5月に入社した人は、日割り計算で満額が支給されていない月を除き、17日以上の月の報酬の平均で決まります。3か月とも17日未満でも、15日以上の月があればその月で、すべて15日未満なら従前の標準報酬月額になります。

まとめ|4月から6月の社会保険料で押さえる5つのこと

社会保険料は、4月・5月・6月に支払われた報酬の平均から決まる標準報酬月額で、9月から翌年8月まで固定されます。確認すべきことを、行動としてまとめます。

  1. 給与の締め日と支払日を確認し、4月・5月・6月に「支払われる」給与がどの労働期間の分かを把握する
  2. 通勤手当を含む各種手当と、年4回以上の賞与は算定に入り、年3回以下の賞与、出張旅費などの実費弁償は入らないことを確認する
  3. 支払基礎日数が17日未満の月、途中入社、短時間労働者を区分けし、7月1日から7月10日の提出期間に間に合うよう準備する
  4. 残業や昇給で標準報酬月額が上がる場合は、保険料の増加と給付の基礎の増加を比べ、年間平均の特例や随時改定の条件も確認する
  5. 集計と判定の手作業が負担なら、給与計算や人事労務のサービスの資料を取り寄せ、算定基礎届・月額変更届への対応範囲を確認する

毎年の7月は短い期間に作業が集中します。本記事の表を手元に置き、3つのサービスの資料も比べると、自社の運用に合う進め方を確かめられます。

参考文献

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