有給休暇の法律とは?付与日数・年5日義務・罰則を条文で解説

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  • 有給休暇の根拠は労働基準法第39条
  • 付与日数と年5日の取得義務がわかる
  • 違反時の罰則と管理の要点がわかる

有給休暇(年次有給休暇)の法律上の根拠は、労働基準法第39条です。雇入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、会社が10日の有給休暇を与えなければなりません。2019年4月からは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者について、会社が年5日を確実に取得させる義務も加わりました。違反すると、30万円以下の罰金などの罰則の対象です。この記事では、付与日数、年5日の取得義務、請求への対応、賃金、時効、罰則までを、条文と厚生労働省の資料に沿って整理します。

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Q1. 有給休暇の管理で、いま一番不安なのは?

目次

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  1. 有給休暇に関する法律とは|根拠は労働基準法第39条
  2. 有給休暇の付与条件と日数|正社員・パート・アルバイトの違い
  3. 年5日の取得義務とは|対象・期限・取得方法・管理簿
  4. 有給休暇を請求されたときの会社の対応|時季変更権・計画的付与・半日と時間単位
  5. 有給休暇中の賃金・繰越・時効のルール
  6. 有給休暇の法律に違反した場合の罰則と、よくある違反
  7. 有給休暇の取得率の現状と、取得しやすい職場のつくり方
  8. 有給休暇の管理を支えるシステムの選び方|勤怠管理と労務管理の役割の違い
  9. 有給休暇の法律に関するよくある質問(FAQ)
  10. まとめ|有給休暇の法律で押さえたい5つのこと
  11. 参考文献

有給休暇に関する法律とは|根拠は労働基準法第39条

有給休暇に関する法律の中心は労働基準法第39条で、付与の要件、日数、請求への対応、年5日の取得義務、休暇中の賃金までを定めています。休暇の定めを就業規則に書く義務は同法第89条、管理簿の作成は同法施行規則に基づきます。

有給休暇(年次有給休暇)とは、働く義務のある日に休んでも賃金が支払われる休暇です。もともと労働義務のない「休日」とは違い、本来働くはずの日の労働が免除される日にあたります。

どの条文が誰に何を義務づけ、違反するとどの罰則があたるのかを、先に一覧で確認します。

条文定めの内容義務を負う側違反したときの罰則
労働基準法第39条第1項から第3項6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に10日を与え、勤続年数に応じて日数を加算する会社6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第119条)
同法第39条第5項労働者が請求した時季に与える。事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の時季に変更できる(時季変更権)会社第119条の対象(時季変更権が認められる場合を除く)
同法第39条第7項年10日以上が付与される労働者に、基準日から1年以内に5日を取得させる会社30万円以下の罰金(第120条)
同法第39条第9項有給休暇の期間の賃金を、平均賃金・通常の賃金・標準報酬日額のいずれかで支払う会社第119条の対象
同法第89条休暇に関する事項を就業規則に記載する(常時10人以上の場合。時季指定を行うときも記載が必要)会社30万円以下の罰金(第120条)
同法施行規則第24条の7時季・日数・基準日を労働者ごとに記した年次有給休暇管理簿を作成し、保存する会社不作成そのものを対象とする罰則は条文上なし(臨検で確認される書類)

この記事は法令と公的資料の内容を整理した一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の事案の判断は、社会保険労務士・弁護士・労働基準監督署などの専門家に確認してください。

有給休暇の付与条件と日数|正社員・パート・アルバイトの違い

有給休暇は、6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に、雇用形態を問わず付与されます。通常の労働者は6か月経過時に10日、勤続6年6か月以上で年20日が上限です。

付与される2つの条件

有給休暇が発生する条件は、(1)雇入れの日から6か月間継続して勤務していること、(2)その6か月間の全労働日の8割以上出勤していることの2つです。2回目以降は1年ごとに判定し、直前1年の出勤率が8割に満たなければ、次の1年は付与しなくてよいとされています。

出勤率は「出勤した日数÷全労働日」で求め、半年間の全労働日が120日なら96日以上で8割です。業務上の負傷・疾病による療養休業、育児休業・介護休業、産前産後休業の期間は、出勤したものとみなします(第39条第10項)。

通常の労働者の付与日数と、1年で増える日数

通常の労働者(週5日以上勤務など)の付与日数は次のとおりです。

継続勤務年数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日
前回からの増加–1日1日2日2日2日2日(上限)

パート・アルバイトの付与日数(比例付与)

週の所定労働日数が4日以下かつ週30時間未満の労働者には、所定労働日数に応じた日数が付与されます(比例付与)。週30時間以上なら通常の労働者と同じです。

週所定労働日数1年間の所定労働日数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
4日169日から216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121日から168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73日から120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48日から72日1日2日2日2日3日3日3日

比例付与でも10日以上になると年5日の取得義務の対象で、週4日勤務なら勤続3年6か月、週3日勤務なら勤続5年6か月で10日に達します。表の出典は、厚生労働省の年次有給休暇取得促進特設サイトです。

付与日数と基準日の管理が煩雑になる場面

正社員、パート、有期契約の従業員が混在すると、入社日ごとに付与日(基準日)がずれ、パートは所定労働日数によって日数も変わります。これを全員分、表計算ソフトや紙の台帳で管理すると、付与漏れや日数の誤りが起きやすくなります。要件を満たす労働者に与えないことは、第39条に反し第119条の罰則の対象です。

付与の管理や取得状況の把握を、就業規則に合わせて細かく設定しながらシステム化したい場合の一例が、株式会社カオナビが提供する「カオナビ勤怠」です。商品ページによると、アラート機能では打刻忘れや残業時間の超過のほか、有給の未取得なども複数の条件で通知のタイミングを設定できます。従業員も有給の残日数を管理画面で確認でき、データは5年間自動保存されます。注意点として、カオナビのオプション扱いのため、詳細な費用は問い合わせで確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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年5日の取得義務とは|対象・期限・取得方法・管理簿

年5日の取得義務とは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に、付与した日(基準日)から1年以内に5日を取得させる会社の義務です。2019年4月から、全ての会社が対象です。

対象になる労働者と期限

対象は、法定の有給休暇の付与日数が10日以上の労働者です。正社員のほか、管理監督者や有期雇用の労働者も含まれ、比例付与のパート・アルバイトも10日以上になった時点から対象です。期限は、10日以上を付与した基準日から1年以内です。

たとえば2026年4月1日に入社した正社員は、6か月後の2026年10月1日に10日が付与されます。この日が基準日で、2027年9月30日までに5日を取得させる必要があります。会社が法定より前倒しして入社日に10日以上を付与している場合は、その付与した日から1年以内が期限です(同法施行規則第24条の5)。

5日に数えられる取得方法と、数えられないもの

取得の種類5日に数えられるか補足
労働者が自分で請求して取得した日数えられる労働者の請求した時季に取得する、本来の使い方
会社が時季を指定して取得させた日数えられる労働者の意見を聴き、希望に沿うよう努める必要がある
計画的付与で取得した日数えられる労使協定で時季を決めた日
半日単位で取得した日0.5日として数えられる労働者が自ら取得した場合も、会社が意見を聴いたうえで半日単位で時季指定した場合も、0.5日として差し引ける
時間単位で取得した分数えられない時間単位年休は5日から差し引けない
会社独自の特別休暇数えられない法定の年次有給休暇とは別の休暇

年5日を超える部分は、会社に時季を指定する義務はありません。労働者が自分で5日以上取得していれば、会社が時季を指定する必要はなく、義務は果たされています(第39条第8項)。

会社が時季を指定するときのルール

会社が時季を指定する場合は、あらかじめ時季指定を行うことを労働者に明らかにしたうえで、取得したい時季について労働者の意見を聴かなければなりません(同法施行規則第24条の6)。聴取の方法は面談、取得計画表、メール、システムなど任意で、できる限り労働者の希望に沿うよう意見を尊重する努力も求められます。

時季指定を実施する場合は、対象になる労働者の範囲と指定の方法を就業規則に記載する必要があり、記載がないと第89条違反として第120条の罰則の対象になります。常時使用する労働者が10人未満で就業規則を作成する義務がない会社でも、年5日の取得義務は同じように生じます。

年次有給休暇管理簿の作成と保存

会社は、有給休暇を与えた時季、日数、基準日を労働者ごとに明らかにした「年次有給休暇管理簿」を作成し、保存しなければなりません(同法施行規則第24条の7)。厚生労働省は、有給休暇を与えた期間中と、期間満了後3年間(当分の間)の保存を案内しています。労働者名簿や賃金台帳とあわせて調製でき、必要なときにいつでも出力できる仕組みであれば、システム上で管理しても差し支えないとされています。

基準日が従業員ごとに異なると、5日の期限も人ごとにずれます。取得状況と残日数を従業員にも管理者にも見えるようにし、取得に過不足があれば知らせる仕組みを持つ例として、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー勤怠」があります。商品ページによると、有給休暇の起算日と取得すべき日数を従業員ごとに設定でき、取得履歴と残日数を従業員と管理者の両方が確認できます。休暇の取得に過不足がある場合は自動で通知が届き、管理者が確認して連絡する手間を減らせます。サポートは初期設定から定着まで電話・チャット・WEBなどで受けられ、24時間365日問い合わせができます。注意点として、スマートフォンアプリでは申請や修正の画面がわかりにくいという指摘が商品ページに挙げられています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • スマホアプリ対応で場所を問わず簡単に打刻ができる
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  • スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
評価・口コミ(一部抜粋)
4.4
  • ⚫︎自社ではエクセル管理からデジタルアプリへの移行だったため出退勤管理の手間や集計ミスの軽減につながり大幅な効率アップができた。 ⚫︎スマホ連携ができることで、営業の直行時や在宅勤務時もリアルタイムで打刻ができるようになった。(後修正の手間が省けた)

  • 残業時間の集計や、有給休暇の残日数の計算、打刻漏れの確認など手間のかかる集計業務を大幅に自動化・効率化できる点、また従業員の多様な働き方に合わせて、PC、スマートフォン、タブレット、ICカードなど、さまざまな打刻ができる点がとてもメリットです。

  • 打刻忘れや申請漏れに対するアラート機能があるため、従業員自身が気づきやすくなり、修正依頼が減少しました。管理側の確認作業も楽になり、ミスが少なくなったのを実感しています。

他システムとの比較記事はこちら


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導入事例の要約です。社会福祉法人三重ベタニヤでは、200名以上のタイムカードを回収して表計算ソフトに転記・集計し、給与計算システムへ手入力しており、集計から給与計算まで毎月2営業日以上かかっていました。ジンジャーの導入後は、打刻情報がそのままデータ化され、給与計算システムへ連携できるようになったと紹介されています(出典: ジンジャーの導入事例ページ)。

有給休暇を請求されたときの会社の対応|時季変更権・計画的付与・半日と時間単位

有給休暇は、労働者が請求した時季に与えるのが原則です。会社が断れるのは、請求された時季に与えると事業の正常な運営を妨げる場合に、他の時季へ変更する「時季変更権」を使うときだけです。

時季指定権と時季変更権

どの日に有給休暇を取るかを決める権利は、原則として労働者にあります。使用者の承認は必要ではなく、取得する日や、分割して取るか連続して取るかも労働者が決められるとされています。会社は、請求された日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の時季に変更できます(第39条第5項)。

時季変更権が認められるかどうかは、事業の規模や業務の内容、代わりの人員を配置できるかなど、個別の事情で判断されます。厚生労働省の解説では、代替勤務者を配置できる状況なのに配慮せず時季変更権を使うことは、判例上許されないとされています。退職前に残っている有給休暇をまとめて請求された場合は、退職日を過ぎると変更先の時季がないため、会社は時季変更権を使えず、取得を認めるほかありません。

計画的付与の仕組み

労使協定を結べば、有給休暇のうち5日を超える部分について、会社が時季を計画的に決められます(計画的付与。第39条第6項)。お盆や年末年始に合わせて全社一斉に休む、班ごとに交代で休む、といった使い方があります。労働者が自由に使える日数として、最低5日は残す必要があります。

半日単位・時間単位の取得

有給休暇は1日単位の取得が原則で、半日単位の請求に応じる義務は法律上ありません。就業規則などで定めれば、半日単位の取得を認められます。半日単位の取得と残業代・休憩時間の考え方は、別の記事で詳しく解説しています(半休と有給休暇の違いとは?残業代・休憩時間の考え方も解説)。

時間単位の取得は、労使協定を結べば、年5日の範囲内で認められる制度です(第39条第4項)。時間単位で取得するか日単位で取得するかは労働者の意思によります。時間単位で取得した分は、年5日の取得義務の5日には数えられません。

有給休暇を取得した人を不利に扱ってはいけない

会社は、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないようにしなければならないと、労働基準法の附則で定められています。厚生労働省のリーフレットでは、精皆勤手当や賞与の算定で、有給休暇を取得した日を欠勤や欠勤に準じて扱うことが、不利益な取扱いの例として挙げられています。

有給休暇中の賃金・繰越・時効のルール

有給休暇を取った日の賃金は、平均賃金、所定労働時間労働した場合の通常の賃金、標準報酬日額のいずれかで支払います。有給休暇の権利は、発生した日から2年で時効により消滅します。

有給休暇中の賃金の3つの計算方法

有給休暇の期間の賃金は、就業規則などで定めたところにより、次の3つのいずれかで支払うと、第39条第9項に定められています。

計算方法内容補足
平均賃金労働基準法の平均賃金で支払う直前3か月の賃金総額を、その期間の総日数で割って求める
通常の賃金所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金時給・日給・月給の別を問わず、その日働いたものとして計算
標準報酬日額健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する額労使協定を結んだ場合に限り選べる

繰越と時効は2年

有給休暇は、発生した日から2年間は行使できます。賃金以外の請求権の消滅時効を2年とする労働基準法第115条にもとづくものと解されており、2年を過ぎた分は消滅します。たとえば2026年10月1日に付与された分は、2028年9月30日までが行使できる期間で、使い切れなかった分は翌年に繰り越されます。繰越分と新しく付与された分が重なる年は保有日数が増えるため、従業員ごとの残日数と失効日の管理が必要になります。

退職日をもって有給休暇の権利は消滅するため、退職が決まった人からは、残っている日数をまとめて請求されることがあります。前の章で触れたとおり、この場合に会社が時季変更権を使うことはできません。引き継ぎの期間を見込んだ退職日の調整は、会社側から相談できますが、応じるかどうかは労働者に委ねられています。

有給休暇を取った日の賃金は、そのまま給与計算に反映されます。勤怠の記録と給与計算が別々の表やソフトにあると、有給休暇の日数や取得日を転記する手間とミスが増えます。勤怠管理と給与計算、社会保険、年末調整を一つのシステムで扱いたい場合の一例が、freee株式会社が提供する「freee人事労務」です。商品ページによると、勤怠管理機能ではスマートフォンでの打刻、残業の申請と承認、勤務状況の可視化ができ、従業員の事前の勤怠状況の申請をもとに、遅刻・早退・有給・残業などの情報を自動でチェックできます。打刻忘れや残業申請の状況をチェックして通知するアラート機能もあります。注意点として、商品ページには、スマートフォンからの出退勤が使いにくく、全体的に持て余してしまう機能もあるという指摘があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • スマホからの出退勤が使いにくく、全体的に持て余してしまう機能もある
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4.5
  • 社員の事務手続系タスクを一元管理しやすくなったと思います。 処理ミスや申請漏れに関してもアラートのようになるためミスがわかりやすく軽減したように感じます。 年末調整も社員が各自で行うため、管理側のタスク量も大幅削減ができていました。

  • freeeを導入する前まではExcelで各自が自己報告でした。そのため正確な勤務時間や残業時間などが曖昧でした。また、Excelを回収した人がそれぞれの勤務時間を集計するというアナログなやり方だったので、freeeを導入したことでそれが一括管理になったことが一番のメリットです。また、有給休暇申請などもfreee上で完結するので業務効率化に繋がっていると思います。

  • 社員も給与明細をサービス上で確認できるため、ペーパーレス化でき手軽に確認できるのもいいと思います。年末調整や、勤怠管理、税金、保険料の計算も自動化できるため、人事の労力も減り計算ミスなども起こらないため非常に使いやすいサービスだと思います。

導入事例の要約です。株式会社海神貿易では、有給の申請書が手書きで、残日数を正確に管理できていませんでした。freee人事労務の導入後は、残業や有給の管理の負担が軽くなり、PCが手元にない加工工場などの現場でも、スマートフォンのアプリから勤怠を申請できるようになり、勤怠情報が給与計算に連携されて給与明細へ即時に反映されると紹介されています(出典: freeeの導入事例ページ)。

有給休暇の法律に違反した場合の罰則と、よくある違反

有給休暇に関する違反の罰則は、付与義務や請求への対応の違反が6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、年5日の取得義務違反と就業規則の記載漏れが30万円以下の罰金です。

違反の例該当する条文罰則
要件を満たす労働者に有給休暇を付与しない(パート・アルバイトだけ付与しない、など)労働基準法第39条第1項から第3項6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第119条)
請求された時季に与えない(時季変更権が認められる場合を除く)同法第39条第5項同上(第119条)
年10日以上が付与された労働者に、基準日から1年以内に5日を取得させなかった同法第39条第7項30万円以下の罰金(第120条)
時季指定を行うのに、対象者や方法を就業規則に記載していない同法第89条30万円以下の罰金(第120条)
年次有給休暇管理簿を作成していない同法施行規則第24条の7管理簿の不作成そのものを対象とする罰則は条文上定められていない(臨検で確認される)

罰則の「拘禁刑」は、2025年6月1日に施行された刑法の改正で、それまでの「懲役」と「禁錮」を一本化して新設された刑です。施行前の解説記事には「6か月以下の懲役」と書かれているものがありますが、現行の条文では拘禁刑と表記されています。第119条の罰則は、違反した行為が2025年6月1日以後の場合に拘禁刑が適用されます。

年5日の取得義務の罰則は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われると、厚生労働省のリーフレットに書かれています。つまり、5日に届かない労働者が複数いれば、その人数分が違反として数えられます。なお、同じリーフレットには、労働基準監督署の監督指導では、原則として是正に向けて丁寧に指導し、改善を図ってもらうこととしていると書かれています。

よくある違反の多くは、悪意ではなく管理の抜けから生じます。基準日を人ごとに把握できていない、パートの比例付与の日数を間違えている、5日の取得状況を期限の直前まで見ていない、時季指定のルールを就業規則に書いていない、といった状況です。自社の運用が当てはまるか、次のチェックで確かめてください。

自社の有給休暇の管理、法律どおりに回っている?セルフチェック

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有給休暇の取得率の現状と、取得しやすい職場のつくり方

厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年の実績)では、労働者1人あたりの平均取得率は66.9%で、昭和59年以降で最も高くなりました。平均の付与日数は18.1日、取得日数は12.1日です。

産業別に見ると、取得率には大きな差があります。自社の業種の水準と比べると、付与日数をどこまで取得できているかを確認する目安になります。

産業平均付与日数平均取得日数取得率
電気・ガス・熱供給・水道業19.5日14.7日75.2%
製造業18.8日13.7日72.8%
医療,福祉17.7日12.1日68.4%
情報通信業18.9日12.7日66.9%
卸売業,小売業17.5日10.5日59.9%
宿泊業,飲食サービス業15.9日8.0日50.7%

表は、同調査の産業別の数値から一部を抜粋したものです(出典: 令和7年就労条件総合調査の概況)。取得率は、取得日数の合計を付与日数の合計で割った割合です。

取得しやすい職場にするための施策

  • 取得計画表の作成: 年初や基準日に面談や取得計画表で希望を聞き、年5日が確実に取得できるよう日程を決めておく
  • 計画的付与の活用: 労使協定でお盆や年末年始などに休みを組み込み、5日を超える部分の取得を後押しする
  • 半日単位・時間単位の導入: 通院や子どもの送迎など、短い時間の用事にも使えるようにする(就業規則や労使協定が必要)
  • 取得状況の見える化: 残日数と取得日数を、本人にも上司にも見える形にし、取得が少ない人へ早めに声をかける
  • 管理職が率先して取得する: 上司が休まない職場では、部下も申請しにくくなる

厚生労働省は、年次有給休暇の取得促進に向けた事例やマニュアル、規定例を「働き方・休み方改善ポータルサイト」で公開しています(年次有給休暇取得促進特設サイト)。

取得状況の見える化は、有給休暇の取得に過不足がある従業員を早めに見つけるのが目的です。取得が進まない従業員を月次で確認するのに、システムの通知機能が役立ちます。

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有給休暇の管理を支えるシステムの選び方|勤怠管理と労務管理の役割の違い

有給休暇の管理をシステム化するときは、勤怠管理を軸にするか、給与計算や社会保険まで含めた労務管理を軸にするかで、選ぶサービスが変わります。比べるときの観点を、この記事で見てきた法律の要件に合わせて整理します。

  • 付与日数の設定: 従業員ごとの入社日・所定労働日数に応じて、起算日と日数を設定できるか
  • 取得状況の把握と通知: 残日数と取得履歴を本人と管理者が見られるか、未取得や過不足を通知できるか(年5日の期限管理)
  • 記録の出力と保存: 管理簿に必要な時季・日数・基準日を出力でき、保存期間をカバーできるか
  • 給与計算との連携: 有給取得日の賃金計算まで一つのシステムで扱いたいか
  • サポート体制: 初期設定や就業規則に合わせた設定を相談できるか

当サイトに掲載している、資料請求ができる3つのサービスを、役割の違いで並べました(確認日: 2026年10月19日、各商品ページの記載内容)。優劣や順位ではなく、向いている会社の違いを見る表です。

有給休暇の管理を支える3サービスの役割の違い

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向いている会社 就業規則に合わせて労働条件を細かく設定し、有給の未消化や残業の超過を通知で早めに把握したい会社 有給の起算日や取得日数を従業員ごとに設定し、残日数と取得履歴を従業員と管理者の両方で見たい会社 勤怠管理に加えて、給与計算・社会保険・年末調整までを一つのシステムで扱いたい会社
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注意したい点 カオナビのオプション扱いのため、詳細な費用は問い合わせで確認する スマートフォンアプリでは、申請や修正の画面がわかりにくいという指摘がある スマートフォンからの出退勤が使いにくく、全体的に持て余してしまう機能もあるという指摘がある
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有給休暇の法律に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 有給は1年に何日使わないといけませんか?

A. 年10日以上の有給休暇が付与される労働者は、付与日(基準日)から1年以内に年5日を取得しなければなりません。労働者が自分で取得した日数が5日に満たない場合は、会社が時季を指定して取得させる義務があります。時間単位で取得した分と会社独自の特別休暇は、5日に数えられません。

Q2. 有給がない会社は法律違反ですか?

A. 6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に有給休暇を与えないのは、労働基準法第39条に反し、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。「会社に有給の制度がない」「パートには付けない」といった社内ルールがあっても、法律上の付与義務はなくなりません。

Q3. 有給休暇は1年で何日増えますか?

A. 通常の労働者は、6か月経過時に10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日が付与されます。増える日数は最初の2回が1日ずつ、その後は2日ずつで、20日が上限です。パート・アルバイトは週の所定労働日数によって日数が異なります。

Q4. 有給休暇のルールと法律を簡単に教えてください。

A. 根拠は労働基準法第39条で、6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に、会社が10日の有給休暇を与えます。年10日以上が付与される労働者には年5日の取得義務があり、請求された時季に与えるのが原則です。有給休暇の権利は2年で時効により消滅し、違反した場合は第119条・第120条の罰則の対象になります。

Q5. 会社は有給休暇の取得を断れますか?

A. 原則として断れません。請求された時季に与えると事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の時季へ変更を求める時季変更権を使えます。代替勤務者を配置できるのに配慮せず使うことは許されないとされ、退職前に残日数をまとめて請求された場合は、変更先の時季がないため取得を認めるほかありません。

Q6. パートやアルバイトにも有給休暇はありますか?

A. あります。雇用形態に関係なく、6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤すれば付与されます。週の所定労働日数が4日以下で週30時間未満の場合は比例付与となり、たとえば週3日勤務なら6か月経過時に5日、週1日勤務なら1日です。

まとめ|有給休暇の法律で押さえたい5つのこと

有給休暇の法律は、付与、年5日の取得、請求への対応、賃金と時効、罰則という流れで整理すると理解しやすくなります。管理の負担が大きい会社は、システム化も選択肢です。

  1. 根拠は労働基準法第39条で、6か月継続勤務・出勤率8割以上の労働者に10日を付与する。パート・アルバイトは所定労働日数に応じた比例付与になる
  2. 年10日以上が付与される労働者には、基準日から1年以内に年5日を取得させる義務がある。時季指定を行うなら、意見聴取と就業規則への記載が必要になる
  3. 請求された時季に与えるのが原則で、断れるのは時季変更権が認められる場合に限られる。権利は発生から2年で時効になり、取得した人を不利に扱ってはならない
  4. 違反すると、第119条または第120条の罰則の対象になる。付与日・取得状況・管理簿を、従業員ごとに期限を意識して確認する
  5. 付与日数や取得状況の管理が手作業で負担なら、勤怠管理・労務管理システムの資料を取り寄せ、付与日数の設定・通知・管理簿の出力・給与計算との連携を見比べる

日々の勤怠の記録そのものを見直したい場合は、勤怠管理の義務と選び方を整理した記事(勤怠とは?意味・勤怠管理の義務・システムの選び方をわかりやすく解説【2026年最新】)や、給与・会計ソフトとの連携の違いを整理した記事(給与・会計ソフトと連携できる勤怠管理システムとは?自動連携とCSV連携の違い)もあわせてご覧ください。

参考文献

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