住民税の特別徴収とは?対象者・納期限・退職時の手続きを解説
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- 特別徴収は原則として全従業員が対象
- 納入は翌月10日まで、特例で年2回に
- 退職や入社は翌月10日までに異動届
住民税の特別徴収とは、会社(事業主)が従業員に支払う毎月の給与から個人住民税を差し引き、従業員に代わって市区町村へ納める制度です。所得税の源泉徴収義務がある事業主は、パート・アルバイト・役員を含む従業員について原則として特別徴収を行う義務があり、従業員が希望しただけでは普通徴収に変えられません。この記事では、制度の仕組みと対象者、1月から翌年6月までの年間スケジュール、普通徴収にできる例外、6月の税額更新、入社・退職時の届出、翌月10日の納期限と納期の特例、延滞金までを、地方税法と自治体の公開資料をもとに順に確認します。
住民税の特別徴収、自社はどこから確認する?2問で目安がわかります
Q1. 給与を支払っている従業員の人数は、常時どのくらいですか?
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住民税の特別徴収とは?仕組みと対象者
住民税の特別徴収とは、事業主が従業員の毎月の給与から個人住民税を天引きし、従業員に代わって市区町村へ納める制度です。
特別徴収の仕組みと法律上の位置づけ
個人住民税は、道府県民税(東京都は都民税)と市町村民税(東京23区は特別区民税)を合わせた呼び方で、前年の所得をもとに市区町村が税額を計算し、1月1日現在の住所地で課税されます。給与所得者の場合は、地方税法第321条の3で、前年中に給与の支払を受け、かつ当該年度の初日に給与の支払を受けている人の税額を、特別徴収の方法で徴収するものとされています(e-Gov法令検索 地方税法)。
同法第321条の4は、市町村が所得税の源泉徴収義務がある給与の支払者を条例で特別徴収義務者に指定し、徴収させなければならないと定めています。さらに第321条の5で、特別徴収義務者は通知された税額の12分の1ずつを6月から翌年5月まで毎月の給与から徴収し、徴収した月の翌月10日までに市町村へ納入する義務を負うとされています。税額は市区町村が計算して通知するため、事業主が計算する必要はありません(東京都主税局 個人住民税と特別徴収について)。
普通徴収との違い
住民税の納め方には、特別徴収のほかに普通徴収があります。普通徴収は、市区町村から送られる納税通知書にもとづいて、納税する本人が納付書で納める方法です。両者の違いを表にまとめます。
| 比べる点 | 特別徴収 | 普通徴収 |
|---|---|---|
| 納める人 | 事業主(特別徴収義務者)が従業員に代わって納入 | 納税義務者である本人 |
| 納め方 | 毎月の給与から天引きし、翌月10日までに納入 | 納税通知書の納付書で、年4回に分けて納める(一括も可) |
| 納める時期 | 6月から翌年5月までの12回 | 多くの自治体で6月・8月・10月・翌年1月 |
| 通知 | 特別徴収税額決定通知書が事業主へ送付され、従業員用は事業主を通じて配付 | 納税通知書が本人へ送付 |
| 主な対象 | 給与の支払を受けている従業員(原則) | 個人事業主・フリーランスなど、給与からの天引きがない人、および例外に当たる従業員 |
納付時期や分け方は自治体により異なる場合があります(東京都主税局、弥生 住民税の特別徴収とは)。従業員が「自分で納めたい」と希望しても、後述する例外に当てはまらない限り普通徴収には切り替えられません。
給与天引きの事務を支えるサービスの例
特別徴収は、毎月の天引きに加えて、年1回の税額更新と入社・退職のたびの届出が重なる事務です。給与計算や人事労務のサービスを使うと、住民税の控除や届出書類づくりの一部を仕組みにできる場合があります。商品ページで確認した範囲で、3つのサービスを並べます。
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扶養人数を誤って数えていたり、昨年度の料率を参照してしまい、計算を誤ってしまうこともありました。
出典:freee 導入事例 株式会社篠はら
特別徴収の対象になる従業員と納付先
東京都主税局の案内では、特別徴収の対象は、前年中に給与の支払を受けていて、かつ当該年度の初日(4月1日)にも給与の支払を受けている人で、パートやアルバイトでも同じ要件に当てはまれば対象になります。千葉県も、アルバイト・パート・役員を含む全従業員が原則として対象としています(千葉県 個人住民税の特別徴収)。
納付先は会社の所在地の市区町村ではなく、従業員が1月1日現在に住んでいる市区町村です。従業員の住所地が複数の市区町村にまたがる会社では、通知書や納入書も市区町村ごとに届き、それぞれに納入します。複数の会社で働いている従業員は、主たる給与の支払先で特別徴収します。
特別徴収の年間スケジュールと事業主の事務
特別徴収の事務は、1月31日までの給与支払報告書の提出から始まり、5月末までに届く税額決定通知書をもとに、6月から翌年5月まで毎月天引きして翌月10日までに納入する流れです。
| 時期 | 事業主がすること | 補足 |
|---|---|---|
| 1月31日まで | 前年1月から12月の給与を集計し、1月1日現在の従業員の住所地の市区町村へ給与支払報告書を提出する | 普通徴収にする従業員がいる場合は、普通徴収切替理由書も出す |
| 4月15日まで | 4月1日現在で在籍していない従業員(退職・休職など)がいれば、市区町村へ届け出る | 東京都の案内。自治体により様式・期限が異なる |
| 5月31日まで | 市区町村から特別徴収税額決定通知書が届く。従業員用の通知書は従業員へ配付する | 地方税法第321条の4で、市町村長の通知は5月31日までとされている |
| 6月の給与から | 通知書記載の月割額を、毎月の給与から差し引く | 6月分と7月以降の金額が異なる場合がある |
| 毎月、翌月10日まで | 差し引いた税額を、納入書などで市区町村へ納入する | 10日が土日祝日のときは翌日が納期限 |
時期の表は、東京都主税局、東京都北区、横浜市の案内を突き合わせて整理しました。令和8年度の横浜市の案内では、5月中旬から下旬に特別徴収税額通知書が送付され、納税義務者用の通知書は5月31日までに従業員へ配付するとされています。
給与支払報告書の提出で押さえたいこと
- 提出期限は1月31日。提出先は、1月1日現在の従業員の住所地の市区町村
- パート・アルバイト・役員も対象。年の途中で退職し、その年の給与支払額が30万円以下の人は提出を省略できる(横浜市の案内)
- 所得税の源泉徴収票を電子提出する義務がある事業者は、給与支払報告書も電子提出(eLTAXなど)が義務づけられる(横浜市の案内)
- 普通徴収にする従業員がいるときは、個人別明細書の摘要欄に区分の記号を書き、普通徴収切替理由書を添える
給与支払報告書の元になる年間の給与額は、年末調整を終えた時点で確定します。年末調整の進め方は給与計算における年末調整とは?計算方法や注意点を詳しく解説で整理しています。
普通徴収にできるのはどんなとき?例外と、特別徴収をしないときの扱い
普通徴収にできるのは、事業所の総従業員数が2人以下の場合や、他の事業所で特別徴収されている場合など、自治体が定める区分に当てはまるときに限られます。従業員本人の希望や、事務の手間は理由になりません。
普通徴収にできる区分(普A-普F)
東京都主税局と千葉県の案内では、普通徴収にできる場合を次の6区分で示しています。該当する従業員は、給与支払報告書の個人別明細書の摘要欄に、普A-普Fの記号を書きます。
| 区分 | 要件 | 補足 |
|---|---|---|
| 普A | 事業所の総従業員数が2人以下(他の事業所分を含み、普B-普Fに当たる人を除く) | 従業員が家族だけの事業所も、特別徴収の義務は変わらない(東京都) |
| 普B | 他の事業所で特別徴収されている | 乙欄に当たる人など |
| 普C | 給与が少なく、税額を差し引けない | 住民税が非課税の場合など |
| 普D | 給与の支払が不定期 | 毎月支払われていない人 |
| 普E | 事業専従者(個人事業主のみ) | 東京都は当面、普通徴収も認めている |
| 普F | 退職者または退職予定者(5月末日まで) | 休職等で4月1日現在給与を受けていない人を含む(東京都) |
普通徴収にする場合は、給与支払報告書の提出時に「普通徴収切替理由書」を一緒に提出します。東京都の案内では、従業員の就職・退職が多いこと、事務が煩雑なこと、経理担当者がいないこと、経費の負担といった理由では普通徴収にできないとされています(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/life/kojin_ju/tokubetsu/about)。区分の呼び方や運用は自治体により異なるため、従業員の住所地の市区町村の案内を確認してください。
特別徴収をしないとどうなるか
特別徴収義務者は、決定通知書に記載された税額を納期限までに納入する義務があります(地方税法第321条の5)。東京都の案内では、納期限を過ぎると原則として納期限後20日以内に督促状が発送され、督促後も納入されないときは、事業主に対して滞納処分が行われるとされています(地方税法第331条)。従業員側も、納税証明書を取得できないなどの不利益を受けることがあります。
天引きした住民税は、従業員から預かったお金です。東京都の案内でも、事業資金に充てることはできないとされています。
本記事は地方税法と自治体の公開資料にもとづく一般的な情報提供であり、個別の税務判断を行うものではありません。具体的な取扱いは、従業員の居住地の市区町村や税理士などにご確認ください。
毎年6月の税額更新の手順
毎年6月の更新は、5月中旬から下旬に届く特別徴収税額決定通知書の内容を確認し、6月の給与計算の前に、新しい月割額を登録する作業です。
通知書を受け取ってから6月の給与までの5ステップ
- 通知書(事業主用)を受け取り、対象者に漏れや退職者の混入がないか、氏名・住所・税額に誤りがないかを確認する
- 通知書に載っていない従業員(4月以降の入社など)と、すでに退職・休職した従業員を洗い出し、必要な届出を済ませる
- 6月の給与計算を始める前に、従業員ごとの新しい月割額を給与計算の仕組みに登録する。6月分と7月以降の金額が異なる場合は、分けて登録できるかを確認する
- 従業員用の通知書を、5月31日までに従業員へ配付する
- 6月の給与から天引きし、7月10日までに納入する(以後、毎月翌月10日まで)
手順の1と3は、民間の解説でも同じ流れが示されています(レコル 住民税の特別徴収とは)。地方税法第321条の5第1項ただし書は、通知された税額が均等割額以下の場合に、最初に徴収する月に全額をまとめて徴収し、その翌月10日までに納入すると定めています。少額の従業員の扱いは、通知書の記載にしたがってください。
通知書の税額には、令和6年度から国税の森林環境税も含まれます。森林環境税(1人年額1,000円)は個人住民税均等割の枠組みを用いて市町村により賦課徴収される国税です(林野庁 森林環境税及び森林環境譲与税)。税額の内訳の見方は、自治体の案内で確認してください。
年の途中で税額が変わるとき
住民税は前年の所得をもとに決まるため、原則として年度の途中で税額は変わりません。ただし、確定申告の提出や扶養親族の状況の判明などで市区町村が税額を再計算した場合は、未天引きの残りの月で調整した特別徴収税額変更通知書が届きます(東京都の案内)。横浜市の案内では、変更通知書が届いても新しい納入書は送られず、当初の納入書の金額を書き直して使うとされています。変更通知書が届いたら、残りの月の天引き額を修正してください。
住民税額の計算方法そのものは、給与計算における住民税の計算方法|手引きの時期や注意点も解説で詳しく扱っています。この記事は、事業主が毎年・毎月行う事務の流れに絞っています。
手作業の更新で起きやすいつまずきと、サービスの使いどころ
通知書の金額を1人ずつ給与計算に入力する方法は、人数が少ないうちは続けられます。ただし、入力の誤りや、6月分と7月以降の金額の取り違え、変更通知書の反映漏れといった作業は、人数が増えるほど確認の手間が増えます。給与計算ソフトによっては、税額の更新や一括の取り込みに対応しているため、自社のやり方で何が減るかを資料で確認しておくと判断しやすくなります。
給与計算の中で住民税の更新や年末調整までを扱いたい会社の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー給与です。商品ページでは、給与計算、月変算定、賞与計算、年末調整、給与体系、Web明細、システム連携の各機能を備えたクラウド型の給与計算ソフトと紹介されています。注意したい点として、所得税率と住民税率は手動で変更する必要があると商品ページに載っているため、更新の方法は資料で確認してください。ジンジャー勤怠・ジンジャー人事労務との連携も案内されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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- 所得税や住民税率は手動で変更する必要がある
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ジンジャー給与を導入したことで、勤怠データの手入力ほぼ不要になり、業務負担が大幅に軽減されました。給与計算のミスも減り、確認作業の時間短縮にもつながっています。クラウド上で作業できるため、場所を問わず作業できる点もメリットです。
ジンジャーの導入事例では、社会福祉法人西春日井福祉会が、導入の背景を次のように述べています。
3サービスの役割を比較表で見る給与明細の印刷・配布や年末調整、住民税の手入力、資格証の管理など、人事労務領域に残る紙や手入力の業務を見直すため、ジンジャーを導入しました。
出典:jinjer 導入事例 社会福祉法人西春日井福祉会
入社・退職・休職・引っ越しのときの手続き
従業員の退職や休職などで特別徴収を続けられなくなったときは、事由が生じた月の翌月10日までに、給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書を市区町村へ提出します。
退職したとき:退職月で未徴収額の扱いが変わる
従業員が退職すると、それ以降の月割額は給与から徴収できません。残っている未徴収の税額は、退職した時期によって一括で徴収するか、本人が普通徴収で納めるかが分かれます。狭山市の案内と地方税法第321条の5第2項にもとづく整理は次のとおりです(狭山市 特別徴収従業員の退職・休職・転勤時の手続き)。
| 退職・異動の時期 | 未徴収税額の扱い | 提出するもの |
|---|---|---|
| 6月1日から12月31日 | 最後の給与または退職手当が未徴収税額を上回り、本人が申し出たときは、その給与等から一括徴収。そうでなければ本人が普通徴収で納める | 異動届出書(退職の翌月10日まで) |
| 翌年1月1日から4月30日 | 最後の給与または退職手当が未徴収税額を上回る場合は、本人の申出に関係なく一括徴収する | 異動届出書(退職の翌月10日まで) |
| 上記のいずれにも当たらない場合 | 本人が普通徴収で納める。死亡による退職の場合も普通徴収で、相続人が納める | 異動届出書(相続人の連絡先がわかれば記入) |
5月の退職など年度の切れ目にあたる場合の扱いは、自治体の案内で確認してください。また、4月1日時点で退職・休職している従業員は、4月15日までに異動届出書を提出します(狭山市の案内)。住民税が非課税で税額がゼロの従業員でも、異動届出書は必要です(東京都の案内)。退職金を支払うときは、退職所得にかかる住民税の特別徴収が別に必要です(横浜市の案内)。
従業員の退職や入社が多い会社では、異動届出書の準備が積み重なります。人事情報を一元管理し、入退社などの手続きに使う帳票を自動で作成したい会社の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー人事労務です。商品ページでは、従業員情報を一つのデータベースにまとめ、各種帳票を自動で作成でき、入社や退職の手続きを一括で申請する形式と紹介されています。住民税の異動届出書への対応は商品ページに記載がないため、資料で確認してください。労務管理に絞ったサービスで、ほかの機能は別のサービスの契約が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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- 「労務管理メイン」で行いたい場合は便利だが、+αの機能を望む場合は他サービスの申し込みが必要
入社・転職してきたとき
新卒で入社した従業員は、前年に給与所得がなければ特別徴収の対象外なので、入社時の手続きは要りません。多くの場合、入社2年目の6月から特別徴収が始まります(freeeヘルプ 住民税の特別徴収について、https://www.yayoi-kk.co.jp/kyuyo/oyakudachi/kyuyokeisan-juminzei-14/)。
中途入社の従業員は、前の勤務先から異動届出書が届いていれば、新しい勤務先が必要事項を記入して市区町村へ提出することで、特別徴収を引き継げます。東京都の案内では、4月以降に就職した従業員について、1月1日現在の居住地の区市町村へ「特別徴収への切替申請書」(名称は区市町村により異なる)を送付すれば、途中から切り替えられるとされています。横浜市の案内では、普通徴収の納期限を過ぎたものは、特別徴収に切り替えられません。
ジンジャー人事労務
入社や退職のたびに、届出書類の準備に手間がかかっていませんか?
こんな会社に向いています
入退社が多く、異動届や切替申請書の準備が負担になっている会社
従業員情報を一つの台帳にまとめ、手続き書類を整えたい会社
休職・引っ越しのとき
休職などで給与を支払わないことになった場合も、退職と同じく、その月の翌月10日までに異動届出書を提出します(狭山市の案内)。休職中も給与の支払が続くのか、普通徴収に切り替えるのかは、市区町村の案内に沿って決めます。
従業員が引っ越した場合でも、課税の基準は1月1日現在の住所地です。年の途中で住所が変わっても、その年度の納付先は原則として変わりません(東京都の案内)。翌年の給与支払報告書は、翌年1月1日現在の住所地の市区町村へ提出します。
住民税の特別徴収の事務、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
チェックが2項目以上に当てはまった会社は、毎年の更新と届出を手作業で続けるよりも、仕組みにしたほうが負担を減らせる可能性があります。次の章で、納期限と延滞金の考え方を整理します。
納期限・納期の特例・延滞金の考え方
特別徴収した住民税の納期限は、徴収した月の翌月10日です。10日が土日祝日のときは翌日になり、常時10人未満の事業所は、市区町村長の承認を受けると年2回にまとめて納められます。
納期限と納入方法
納入は、市区町村から送られる納入書を使い、金融機関やゆうちょ銀行の窓口で行うのが基本です。横浜市の案内では、Pay-easy対応のATMやインターネットバンキング、地方税共通納税システム(eLTAX)でも納入できるとされています。eLTAXで給与支払報告書を提出した事業者には、令和6年度以降、電子署名付きの通知書(正本)が送付されます。
納期の特例:6月10日と12月10日
給与の支払を受ける人が常時10人未満の事業所は、市区町村長の承認を受けると、納入を年2回にまとめられます(地方税法第321条の5の2)。毎月の給与からの天引きは通常どおり行い、納入だけをまとめる制度です。
| 対象期間 | 納期限 |
|---|---|
| 6月分から11月分 | 12月10日 |
| 12月分から翌年5月分 | 翌年6月10日 |
納期限が土曜日、日曜日または祝日のときは、翌日が納期限です(東京都北区 特別徴収税額の納期の特例)。承認を受けるには、市区町村所定の「特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書」を提出します。人数が10人以上になるなど要件を欠いたときは、「要件を欠いた場合の届出書」を提出します(https://www.pref.chiba.lg.jp/shichou/zei/tokubetutyousyu.html)。
注意したいのは、所得税の源泉徴収にも納期の特例がある点です。源泉所得税の特例は、1月から6月分を7月10日、7月から12月分を翌年1月20日に納める仕組みで、期限が異なります(国税庁 No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例)。両方の特例を使っている会社は、期限を混同しないよう、カレンダーで分けて管理してください。
納期限に遅れたときの延滞金
特別徴収義務者が納期限後に納入する場合は、地方税法第326条により、納入額に延滞金が加算されます。令和8年(2026年)の割合は、納期限の翌日から1か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。令和8年の延滞金特例基準割合1.8%に、それぞれ1%と7.3%を加えた値です(東京都北区 住民税を納期限までに納められない場合の延滞金)。
北区の案内にある個人住民税の計算式にあてはめた試算の例を示します。実際の延滞金は、納入先の市区町村が計算する額が基準です。
| 項目 | 試算の例 |
|---|---|
| 前提 | 納入額300,000円、納期限の翌日から14日後に納入した場合(1か月以内) |
| 計算式 | 納入額300,000円に年2.8%をかけ、日数14日を365で割る(1円未満は切り捨て) |
| 延滞金の額 | 322円。全体では100円未満を切り捨てるため、300円 |
延滞金の割合は、毎年の延滞金特例基準割合により変わります。また、北区の案内には特別徴収義務者に関する記載がありません。事業主が納める場合の取扱いは、納入先の市区町村に確認してください。延滞金は少額でも、督促や滞納処分につながる前に、期限内の納入を仕組みで守ることが基本です。
本記事は地方税法と自治体の公開資料にもとづく一般的な情報提供であり、個別の税務判断を行うものではありません。
事業主が間違えやすいポイントと確認先
特別徴収で事業主が間違えやすいのは、普通徴収にできる範囲、納付先、異動届出書の要否、納期の特例と所得税の特例の混同などです。公的な案内に沿って整理します。
| よくある思い違い | 公的な案内での扱い | 確認先 |
|---|---|---|
| 従業員が希望すれば普通徴収にできる | 例外の区分に当たらない限り、従業員の希望では普通徴収にできない | 東京都主税局 |
| 納付先は会社の所在地の市区町村 | 納付先は従業員が1月1日現在に住んでいる市区町村 | 千葉県 |
| 税額がゼロの従業員は、異動届出書を出さなくてよい | 非課税(税額ゼロ)の従業員でも、異動があれば異動届出書の提出が必要 | 東京都主税局 |
| 天引きした住民税は一時的に資金繰りに使える | 従業員から預かったお金であり、事業資金に充てることはできない | 東京都主税局 |
| 納期の特例の期限は所得税と同じ | 住民税は12月10日と6月10日、源泉所得税は7月10日と1月20日で別の制度 | 東京都北区・国税庁 |
| 異動届出書は遅れても大きな影響はない | 提出されないと税額変更の処理ができないため、期限内の提出が義務とされている | 狭山市 |
| 退職金も住民税の通常の特別徴収に含まれる | 退職所得にかかる住民税の特別徴収が別に必要 | 横浜市 |
複数の従業員の住所地が異なる会社や、入退社が多い会社ほど、これらの確認は手作業では漏れが出やすくなります。まず通知書と従業員名簿を突き合わせ、期日をカレンダーに落とし込んでおくことが第一歩です。給与計算ソフトを比べるときの観点は、給与計算ソフトとは?選び方やおすすめ給与計算システムを比較して紹介で整理しています。
毎年の更新と、入退社のたびの届出を、担当者の記憶ではなく仕組みで管理したい会社の一例が、freee人事労務です。入社手続き、勤怠、給与計算、年末調整を一つのシステムで管理でき、住民税の更新に必要な書類の印刷にも対応すると、freeeの機能一覧に記載があります。資料で、自社の運用に合うかを確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 住民税の普通徴収と特別徴収の違いは何ですか?
A. 特別徴収は、事業主が従業員の毎月の給与から住民税を天引きし、翌月10日までに市区町村へ納める方法です。普通徴収は、市区町村から送られる納税通知書にもとづいて、本人が自分で納める方法で、年4回に分けるのが一般的です。給与を支払う事業主は、例外に当たらない限り特別徴収を行う義務があります。
Q2. 特別徴収の対象となる人は誰ですか?
A. 東京都主税局の案内では、前年中に給与の支払を受けていて、当該年度の初日(4月1日)にも給与の支払を受けている人が対象です。パート・アルバイト・役員を含む全従業員が原則として対象になります。前年に給与所得がない新卒の従業員は、入社2年目の6月から特別徴収が始まるのが一般的です。
Q3. 普通徴収から特別徴収への切替は誰が行うのですか?
A. 手続きを行うのは事業主(会社)です。中途入社などで普通徴収になっている従業員を特別徴収にするときは、事業主が従業員の1月1日現在の居住地の市区町村へ、特別徴収への切替申請書(名称は市区町村により異なります)を提出します。普通徴収の納期限を過ぎた分は切り替えられません。
Q4. 特別徴収した住民税は、いつまでに納めますか?納期の特例はありますか?
A. 納期限は、徴収した月の翌月10日です。10日が土日祝日のときは翌日になります。給与の支払を受ける人が常時10人未満の事業所は、市区町村長の承認を受けると、6月分から11月分を12月10日、12月分から翌年5月分を翌年6月10日に、年2回にまとめて納められます。
Q5. 納期限に遅れると延滞金はかかりますか?
A. 特別徴収義務者が納期限後に納入する場合は、地方税法第326条により延滞金が加算されます。令和8年の割合は、納期限の翌日から1か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。督促後も納入しないと、滞納処分が行われることがあります。
Q6. 従業員が退職したときは、どんな手続きが必要ですか?
A. 退職した月の翌月10日までに、給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書を市区町村へ提出します。未徴収の税額は、6月から12月の退職では本人が申し出れば最後の給与から一括徴収でき、翌年1月から4月の退職では最後の給与等が未徴収税額を上回る場合に一括徴収します。それ以外は本人が普通徴収で納めます。
住民税の特別徴収で押さえたい5つのこと
住民税の特別徴収は、毎月の天引きと納入に、年1回の更新と入退社の届出が重なる事務です。この記事の要点を、行動の形で整理します。
- 従業員の人数にかかわらず特別徴収が原則であり、従業員の希望だけでは普通徴収に変えられないことを確認する
- 1月31日(給与支払報告書)、5月31日(通知書の配付)、毎月10日(納入)の3つの期日をカレンダーに入れる
- 5月中旬から下旬に届く税額決定通知書を確認し、6月の給与計算の前に新しい税額を登録する
- 入社・退職・休職があったら、事由が生じた月の翌月10日までに異動届出書や切替申請書を提出する
- 手作業の更新や届出の負担が大きいと感じたら、給与計算ソフトや労務管理システムの資料を取り寄せて、自社の運用と比べる
本記事は2026年10月19日時点の公開情報にもとづく一般的な情報提供です。制度や様式は自治体により異なるため、実際の手続きは従業員の居住地の市区町村にご確認ください。
参考文献
- e-Gov法令検索 地方税法:https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
- 東京都主税局 個人住民税と特別徴収について:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/life/kojin_ju/tokubetsu/about
- 千葉県 個人住民税の特別徴収(給与天引き)を徹底していただくために:https://www.pref.chiba.lg.jp/shichou/zei/tokubetutyousyu.html
- 横浜市 個人の市民税特別徴収に関すること:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/jigyosya/shizei/choshu/tokuchou.html
- 東京都北区 特別徴収の流れ:https://www.city.kita.lg.jp/living/tax/1001899/1001920/1001925.html
- 東京都北区 特別徴収税額の納期の特例:https://www.city.kita.lg.jp/living/tax/1001899/1001920/1001926.html
- 東京都北区 住民税を納期限までに納められない場合の延滞金:https://www.city.kita.lg.jp/living/tax/1001963/1001965.html
- 狭山市 特別徴収をしている従業員に退職・転勤等の異動があった場合:https://www.city.sayama.saitama.jp/jigyo/shizei/tokucyou/idou.html
- 林野庁 森林環境税及び森林環境譲与税:https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/kankyouzei_jouyozei.html
- 国税庁 No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm
- freeeヘルプセンター 住民税の特別徴収について:https://support.freee.co.jp/hc/ja/articles/202849450
- 弥生 住民税の特別徴収とは?普通徴収との違いや手続き:https://www.yayoi-kk.co.jp/kyuyo/oyakudachi/kyuyokeisan-juminzei-14/
- レコル 住民税の特別徴収とは?6月から変わる理由と納期限:https://www.recoru.in/blog/column/resident-tax/
- freee人事労務 機能・帳票一覧:https://www.freee.co.jp/hr/features/list/
- freee 導入事例 株式会社篠はら:https://www.freee.co.jp/cases/shinohara/
- jinjer 導入事例 社会福祉法人西春日井福祉会:https://hcm-jinjer.com/results/165208/
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