貸倒引当金の勘定科目とは?繰入・戻入・貸倒損失の違いと仕訳

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  • 貸倒引当金は資産のマイナス項目です
  • 繰入は費用、戻入は収益で使い分ける
  • 会計と税務は計算の枠組みが別になる

貸倒引当金は、売掛金や貸付金などが回収できなくなる損失に備えて、決算で見積もった金額を計上する勘定科目で、貸借対照表では資産のマイナス項目(評価勘定)として表示します。負債ではありません。決算で組み合わせる相手の科目は、費用の「貸倒引当金繰入」と、余った分を取り崩すときの収益の「貸倒引当金戻入」です。取引先の倒産などで回収不能が確定したときは、見積もりではなく「貸倒損失」を使います。この記事では、4つの科目の役割と決算書での位置、仕訳、会計と税務で違う計算方法を、一次情報にもとづいて整理します。

貸倒引当金まわりの決算作業、どこから見直す?2問でチェック

Q1. 貸倒引当金の処理で、手間がかかりそうなのはどちらですか?

目次

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  1. 貸倒引当金の勘定科目は資産のマイナス項目です
  2. 貸倒引当金に関わる勘定科目は4つあります
  3. 貸倒損失との違いは「見積もり」か「確定」かです
  4. 貸倒引当金の仕訳は計上・見直し・貸倒れ確定の3場面で考えます
  5. 貸倒引当金の対象になる債権とならない債権があります
  6. 貸倒引当金の計算方法は会計では3区分、税務では一括評価と個別評価です
  7. 会計と税務で貸倒引当金の扱いが違う点を整理します
  8. 貸倒引当金の処理でつまずきやすい5つのポイント
  9. よくある質問(FAQ)
  10. 貸倒引当金の勘定科目で押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

貸倒引当金の勘定科目は資産のマイナス項目です

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金などが回収できなくなる損失を決算で見積もって計上する、資産の控除項目(評価勘定)の勘定科目です。

貸倒れが起きてからでは、その期の損益に反映できません。そこで決算のたびに、期末の債権のうち回収できない見込みの金額を見積もり、費用として先に計上します。このとき貸方に立つのが貸倒引当金です。

貸借対照表での位置づけは、会社計算規則第78条第1項が定めています。各資産に係る引当金は、その資産の項目に対する控除項目として、貸倒引当金などの名称を付けた項目で表示します。たとえば売掛金1,000万円に対して貸倒引当金が20万円ある場合、貸借対照表には売掛金1,000万円と、マイナス20万円の貸倒引当金が並び、差し引きの980万円が回収見込みとして読み取れます。

見方貸倒引当金は当てはまるか理由
資産資産のマイナス(控除)項目として表示売掛金などの金額を、回収見込みに合わせて下げる役割だからです
負債当てはまらない誰かに支払う義務ではなく、債権の評価を下げるための評価性の引当金だからです
費用貸倒引当金そのものは費用ではない費用になるのは、見積額を積むときの相手科目の貸倒引当金繰入です
収益貸倒引当金そのものは収益ではない収益になるのは、引当金を取り崩すときの相手科目の貸倒引当金戻入です

「貸倒引当金は負債か」と迷う原因は、賞与引当金や修繕引当金のように、負債の部に載る引当金と同じ「引当金」という名前が付いているためです。貸倒引当金は資産の価値を下げる側の引当金なので、負債の部ではなく資産の部のマイナス項目として見る、と覚えておくと整理しやすくなります。

貸倒引当金の金額は、期末の売掛金などの残高が取引先ごとに集計できていて、はじめて見積もれます。そのためには、請求書や入出金の記録が仕訳から決算書までつながっていることが前提です。この下準備を支える道具として、当サイトに掲載している3サービスの役割の違いを、商品ページで確認した内容で並べます(確認日: 2026年10月19日)。優劣ではなく、担う作業の違いです。

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【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】

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貸倒引当金に関わる勘定科目は4つあります

貸倒引当金に関わる勘定科目は、貸倒引当金・貸倒引当金繰入・貸倒引当金戻入・貸倒損失の4つです。前の3つは決算での見積もりに使い、貸倒損失は回収不能が確定した債権に使い分けます。

勘定科目区分と残高の向き表示される決算書使う場面
貸倒引当金資産の控除項目(貸方残高)貸借対照表期末に見積もった貸倒見込額を残しておく科目
貸倒引当金繰入費用(借方)損益計算書見積額を引当金に積むときの相手科目
貸倒引当金戻入収益(貸方)損益計算書引当金が余った、または不要になったときに取り崩す相手科目
貸倒損失費用(借方)損益計算書回収不能が確定した債権を落とすときの科目

貸倒引当金繰入は費用で、損益計算書の区分は債権の種類で決まります

貸倒引当金繰入は、見積額を引当金に積むときの費用の科目です。売掛金などの営業上の債権に対する繰入は販売費及び一般管理費、貸付金など営業外の債権に対する繰入は営業外費用に区分し、破産更生債権等に対する巨額で臨時のものは特別損失とする扱いが一般的です。どの区分で表示するかは会社の会計方針によるため、自社の決算書の表示方法を確認してください。

貸倒引当金戻入は引当金を取り崩すときの収益です

貸倒引当金戻入は、前期に積んだ引当金が余った場合や、貸倒れが起きずに不要になった場合に、引当金を取り崩す相手科目として使う収益の科目です。後で説明する洗替法では、前期の残高をいったん全額戻し入れるため、毎期この科目が登場します。

なお、会計ソフトの導入費用そのものの勘定科目は 会計ソフト購入時の勘定科目とは?経費計上時の注意点も解説 で、クラウドサービスの利用料の勘定科目と仕訳の考え方は 勤怠管理システムの利用料の勘定科目は?勘定科目と仕訳方法を解説 で整理しています。貸倒引当金とは別の論点ですが、決算での費用の分け方を確認したいときに参考になります。

貸倒損失との違いは「見積もり」か「確定」かです

貸倒引当金は、将来の貸倒れに備えた見込額の見積もりです。貸倒損失は、すでに回収不能になったことが確定した債権の損失で、見積もりではなく事実にもとづいて処理します。

比較する点貸倒引当金(繰入)貸倒損失
性質将来の貸倒れの見込額(見積もり)回収不能が確定した損失(事実)
計上のタイミング決算のたびに期末の債権残高から見積もる切捨てや回収不能などの事実が生じたとき
使う科目貸倒引当金繰入・貸倒引当金貸倒損失・売掛金など
税務上の扱い対象法人と繰入限度額の制限がある国税庁が示す要件を満たす場合に損金として処理できる

貸倒損失として損金処理できる場合について、国税庁のタックスアンサーNo.5320(根拠は法人税法第22条、法人税基本通達9-6-1から9-6-3)は、次の3つに整理しています。呼び方としては、法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れと分けられます。

  • 法律上の貸倒れ: 会社更生法・民事再生法・会社法などの規定により債権が切り捨てられた場合など。切り捨てられた金額を、その事実が生じた事業年度の損金にします。
  • 事実上の貸倒れ: 債務者の資産状況や支払能力から、全額が回収できないことが明らかになった場合。担保物があるときは、担保物を処分した後でなければ損金経理できません。
  • 形式上の貸倒れ: 継続的な取引先の支払能力が悪化して取引を停止し、取引停止時と最後の弁済時のうち遅い時点から1年以上が経過した場合など。対象は売掛債権で、貸付金は含まれず、担保物がある場合も除かれます。

要件を満たす前に貸倒損失として落としてしまうと、税務上は損金として認められないおそれがあります。回収不能の根拠(督促の記録、取引停止の日付、最後の弁済日など)を、日付つきで残しておくことが大切です。

貸倒引当金の仕訳は計上・見直し・貸倒れ確定の3場面で考えます

貸倒引当金の仕訳は、期末に引当金を積む場面、翌期末に残高を見直す場面、貸倒れが確定した場面の3つに分けると整理しやすくなります。

期末に貸倒引当金を計上する仕訳

期末の売掛金が1,000万円で、貸倒れの見込率を2%と見積もった場合、見積額は20万円です。借方に費用の貸倒引当金繰入、貸方に貸倒引当金を計上します。

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入200,000円貸倒引当金200,000円

翌期末に見直す仕訳は差額補充法と洗替法で変わります

前期末に20万円の貸倒引当金が残っている状態で、翌期末の必要額を見直す場面です。会計処理には、差額だけを調整する差額補充法と、前期の残高をいったん全額戻して今期の必要額を積み直す洗替法があります。どちらでも期末の貸倒引当金の残高は同じになります。

ケース差額補充法洗替法
必要額が30万円(不足する場合)借方 貸倒引当金繰入 100,000円 / 貸方 貸倒引当金 100,000円借方 貸倒引当金 200,000円 / 貸方 貸倒引当金戻入 200,000円、借方 貸倒引当金繰入 300,000円 / 貸方 貸倒引当金 300,000円
必要額が15万円(余る場合)借方 貸倒引当金 50,000円 / 貸方 貸倒引当金戻入 50,000円借方 貸倒引当金 200,000円 / 貸方 貸倒引当金戻入 200,000円、借方 貸倒引当金繰入 150,000円 / 貸方 貸倒引当金 150,000円

税務の側では、法人税法第52条第10項が、前期に損金算入した貸倒引当金の額を翌事業年度の益金に算入する洗替えの仕組みを定めています。会計で差額補充法を採用している場合でも、申告書での調整が必要になることがあるため、申告上の扱いは顧問税理士に確認してください。

貸倒れが確定したときの仕訳

売掛金10万円が貸倒れで回収できなくなった場合、その債権に対応する貸倒引当金が設定されているかどうかで仕訳が変わります。引当金があるときは、まず引当金を取り崩し、足りない分を貸倒損失として処理します。

ケース借方貸方
引当金がない場合貸倒損失 100,000円売掛金 100,000円
この債権に対する引当金が5万円ある場合貸倒引当金 50,000円、貸倒損失 50,000円売掛金 100,000円

繰入、戻入、貸倒損失は、場面ごとに借方と貸方の科目が入れ替わります。期末にこれを手作業で1件ずつ入力すると、科目の取り違えや、引当金の取り崩し忘れが起きやすい部分です。仕訳の入力から決算書への反映までを日々の記録でつないでおくと、期末の見直しの負担を減らしやすくなります。

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貸倒引当金の対象になる債権とならない債権があります

貸倒引当金の対象になる債権とは、売掛金・貸付金など、将来回収できなくなるおそれのある金銭債権のことです。税務の一括評価の対象は、国税庁のタックスアンサーNo.5500が範囲を示しています。

区分主な例(国税庁の整理にもとづく)
対象になる債権売掛金、貸付金、未収金、立替金、保証債務を履行した場合の求償権、これらに係る受取手形など
対象にならない債権預貯金とその未収利子、保証金や敷金、固定資産などの取得のための前渡金、後で精算する仮払金、仕入割戻しの未収金など

貸倒れがすでに確定した債権は、引当金の対象ではなく貸倒損失として処理します。また、対象外の債権まで含めて一括で計算してしまうと、税務上の繰入限度額を誤るおそれがあります。対象かどうかの判断に迷うときは、国税庁のページと、法人税基本通達11-2-16から11-2-22を確認してください。

同じ取引先に対して、売掛金のような債権と、買掛金や預り金のような債務の両方がある場合にも注意が必要です。法人税法施行令第96条第1項第3号は、個別評価の繰入限度額の計算で、債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分を除くと定めています。そのため、貸倒引当金の見積りでは、取引先ごとの債権だけでなく、債務側の残高も把握しておく必要があります。

債務側の残高は、取引先から届く請求書の管理が整っていないと確認に時間がかかります。請求書が紙、メール、PDFと別々の経路で届くと、突き合わせが担当者の記憶や手作業に頼りがちになります。請求書の受け取りと一元管理の課題がある場合の一例が、Sansan株式会社の「Bill One請求書受領」です。商品ページでは、あらゆる請求書をオンラインで受け取ってクラウド上で一元管理できること、申請や承認といった請求書業務をデジタル上で完結でき、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正にも都度対応するとされていることが紹介されています。一方で、価格を確認するには問い合わせが必要な点が注意点として挙げられています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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評判・口コミを紹介

Bill Oneであれば紙の請求書でもオンラインで受領・データ化することが可能なため、それらの作業を行うことなく、請求書をオンラインで簡単に確認できるようになり、業務時間を3000時間程度削減できました。また、テレワークの前に請求書をスキャンするための残業がなくなり、経理担当者1人あたりのテレワーク実施時間が月44時間から月84時間へと増加しました。

ニュース(株式会社ボディワークホールディングス)|Sansan株式会社
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「Bill One導入で実現した月次決算の早期化と月約600時間の業務削減」

株式会社コメリ(導入事例の見出し)(Bill One請求書受領の導入事例)

貸倒引当金の計算方法は会計では3区分、税務では一括評価と個別評価です

貸倒引当金の計算は、会計では債権を3つに区分して見積もり、税務では一括評価金銭債権と個別評価金銭債権に分けて繰入限度額を計算します。会計と税務で考え方が違うため、両方を分けて押さえることが大切です。

なお、この章は一般的な情報の整理であり、税務・法律上の助言ではありません。個別の判断は、顧問の税理士や公認会計士にご相談ください。

会計上は債権を一般債権・貸倒懸念債権・破産更生債権等に分けます

企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の第27項は、債務者の財政状態や経営成績にもとづいて債権を3つに区分すると定めています。第28項は、区分ごとの貸倒見積高の算定方法を定めています。

債権の区分債務者の状況貸倒見積高の算定方法
一般債権経営状態に重大な問題が生じていない貸倒実績率法(債権全体または同種・同類の債権ごとに、過去の貸倒実績率などの合理的な基準で算定)
貸倒懸念債権経営破綻には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか、生じる可能性が高い財務内容評価法(債権額から担保の処分見込額や保証による回収見込額を引いた残額について、債務者の財政状態などを考慮して算定)、またはキャッシュ・フロー見積法
破産更生債権等経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債権額から担保の処分見込額や保証による回収見込額を引いた残額

一般債権の計算例を示します。期末の一般債権が800万円、過去の実績から求めた貸倒実績率が0.5%とすると、貸倒見積高は800万円に0.5%を掛けた4万円です。なお、この率は説明のための仮の数字で、実際の率は自社の貸倒実績から求めます。

税務の一括評価は実績繰入率か法定繰入率で計算します

税務で貸倒引当金を損金にできる法人は、法人税法第52条で限られています。一括評価金銭債権の対象は、国税庁のタックスアンサーNo.5501によると、資本金1億円以下の普通法人(大規模法人との完全支配関係がある法人などを除く)、公益法人等・協同組合等、人格のない社団等、銀行や保険会社など、金融取引に係る一定の金銭債権を有する法人です。

計算は原則として、期末の一括評価金銭債権の帳簿価額の合計に、過去3年間の貸倒損失の発生額から求めた貸倒実績率(実績繰入率)を掛けます。貸倒実績率は小数点以下4位未満を切り上げます。中小法人などは、実績繰入率に代えて、次の法定繰入率で計算することもできます。ただし、直前3年間の所得金額の年平均額が15億円を超える適用除外事業者は、法定繰入率を使えません。

事業の種類法定繰入率債権1,000万円の場合の目安
卸売業・小売業1,000分の1010万円
製造業1,000分の88万円
金融業・保険業1,000分の33万円
割賦販売小売業、包括信用購入あっせん業、個別信用購入あっせん業1,000分の77万円
その他の事業1,000分の66万円

右の列は、法定繰入率に1,000万円を掛けた単純な計算例です。実際には、実質的に債権とみられない部分を除いた後の金額に率を掛けるため、帳簿上の残高そのままでは計算できない点に注意してください。

税務の個別評価は債務者の状況ごとに限度額が決まります

回収が難しくなった特定の債権は、個別評価金銭債権として、債権ごとに繰入限度額を計算します。法人税法施行令第96条第1項は、事由ごとの限度額を次のように定めています。

事由繰入限度額の考え方
更生計画・再生計画の認可決定、特別清算に係る協定の認可決定など債権額のうち、事由が生じた事業年度終了の翌日から5年以内に弁済される見込みの金額以外の部分(担保権の実行などで取立ての見込みがある部分を除く)
債務超過が相当期間続き事業の好転の見通しがないこと、災害や経済事情の急変など取立て等の見込みがないと認められる一部の金額
更生手続・再生手続・破産手続・特別清算の開始申立てなど債権額の50%相当額(債務者から受け入れた金額がある部分や、担保権の実行・保証債務の履行などで取立ての見込みがある部分を除く)
外国の政府・中央銀行・地方公共団体に対する長期の履行遅滞債権額の50%相当額(同様の除外あり)

個別評価の限度額は、債務者から受け入れた金額を除いて計算するため、取引先ごとの債権と債務の残高、承認済みで支払予定の請求書の状況を、同じ時点でそろえて見られることが欠かせません。承認から支払までをオンラインで管理する道具の一例が、株式会社マネーフォワードの「マネーフォワード クラウド債務支払」です。商品ページでは、銀行振込APIと連携してワンクリックで振込ができること、AI-OCRによって適格請求書の判定業務を効率化できること、ワークフローの申請経路を自社に合わせて柔軟に設定できることが紹介されています。一方で、開封や受領・保管の代行はオプションとなる点は確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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「書類回覧の廃止と明細入力作業の43%短縮に成功」

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会計と税務で貸倒引当金の扱いが違う点を整理します

会計上の貸倒引当金は債権の区分ごとの見積りで、税務上の貸倒引当金は法人税法で定めた対象法人と繰入限度額の範囲内で認められる、別の枠組みです。会計と税務を混同しやすいため、違いを表にまとめます。

論点会計税務(法人税)
対象債権を一般債権・貸倒懸念債権・破産更生債権等に区分して見積もる資本金1億円以下の普通法人など、法人税法第52条で定めた対象法人に限られる
金額の決め方区分ごとに貸倒実績率法、財務内容評価法などで見積もる一括評価は実績繰入率または法定繰入率、個別評価は法人税法施行令第96条の事由ごとの限度額
損金に入れる条件(会計上の費用として繰入を計上する)損金経理で貸倒引当金勘定に繰り入れ、確定申告書に明細を記載する(第52条第1項から第3項)
限度額を超えた部分(見積りの合理性の問題)限度額までが損金算入で、超えた部分は損金に入らない
翌期の扱い差額補充法または洗替法前期の損金算入額を翌期の益金に算入する洗替え(第52条第10項)

税務上の損金算入には、損金経理と、確定申告書への明細の記載が必要です。会計で貸倒引当金を計上していても、申告書に明細がなければ損金に入りません。ただし、やむを得ない事情があると税務署長が認めた場合には、明細の記載がなくても適用できる例外もあります(第52条第4項)。

貸倒引当金を計上するメリットと注意点

貸倒引当金を計上するメリットは、回収できない見込みの金額を先に費用へ反映し、期間損益を実態に近づけられることです。税務では、要件を満たせば繰入額が限度額まで損金になり、その期の課税所得を減らせる場合があります。ただし、翌期に前期分が益金に戻る洗替えの仕組みがあるため、損金算入が税額の減少を保証するものではありません(法人税法第52条第10項)。引当金を過大に積むと見積りの根拠を説明しにくくなるため、算定の根拠を残しておくことが大切です。

ここまでの内容を、自社の決算作業に当てはめて確認できるチェッカーを用意しました。当てはまる項目を選んでください。

貸倒引当金の処理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

貸倒引当金の処理でつまずきやすい5つのポイント

貸倒引当金の処理でつまずきやすい点は、一次情報で定められたルールの読み違いと、根拠となる記録の不足の2つに分けられます。よくある5つを整理します。

  1. 貸倒引当金を負債の部に入れてしまう: 会社計算規則第78条第1項では、各資産の項目に対する控除項目として表示します。
  2. 対象外の債権まで含めて計算する: 敷金・保証金、固定資産取得のための前渡金、仮払金などは、一括評価の対象になりません(国税庁タックスアンサーNo.5500)。
  3. 損金経理や申告書の明細を忘れる: 税務で損金に入れるには、損金経理と確定申告書への明細の記載が必要です(法人税法第52条第1項から第3項)。
  4. 貸倒れが確定したのに引当金を取り崩さない: 引当金を設定した債権が貸倒れになったときは、対応する引当金を取り崩し、不足分を貸倒損失とします。全額を損失にすると、引当金が残ったままになります。
  5. 要件を満たす前に貸倒損失にする: 担保物があるときは処分後に、取引停止後の形式上の貸倒れは1年以上の経過後にと、国税庁が要件を示しています(タックスアンサーNo.5320)。

この5つの多くは、債権・債務の残高と、その根拠になる請求書、契約、入金や督促の記録が日付つきで残っていれば、確認や説明がしやすくなります。請求書を受け取った時点でデータ化して一元管理しておくと、残高の根拠をたどる手間が減り、決算での見直しに使える時間が増えます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 貸倒引当金は資産ですか?負債ですか?

A. 貸倒引当金は、資産のマイナス(控除)項目です。負債ではありません。会社計算規則第78条第1項は、各資産に係る引当金を、その資産の項目に対する控除項目として表示すると定めています。賞与引当金などの負債の部に載る引当金とは性質が異なります。

Q2. 貸倒引当金は費用ですか?

A. 貸倒引当金そのものは費用ではなく、貸借対照表に載る資産の控除項目です。決算で見積額を積むときに費用になるのは、相手科目の貸倒引当金繰入です。引当金を取り崩すときは、相手科目の貸倒引当金戻入が収益になります。

Q3. 貸倒引当金は貸借対照表のどこに表示されますか?

A. 売掛金など、対象になる債権の項目に対する控除項目として、マイナスで表示します。会社計算規則第78条では、資産の区分ごとに一括して控除項目として表示する方法や、資産の金額から直接差し引いて差引後の残高を表示する方法も認められています。

Q4. 貸倒引当金を取り崩すときの仕訳はどうなりますか?

A. 余った引当金を取り崩すときは、借方に貸倒引当金、貸方に貸倒引当金戻入を計上します。洗替法では前期の残高を全額、差額補充法では余った差額だけを戻し入れます。貸倒れが確定した場合は、対応する引当金を先に取り崩し、不足分を貸倒損失にします。

Q5. 貸倒引当金と貸倒損失はどう違いますか?

A. 貸倒引当金は将来の貸倒れに備えた見積額で、決算のたびに計上します。貸倒損失は、取引先の倒産や債権の切り捨てなど、回収不能が確定したときに計上する損失です。税務上の扱いも異なり、貸倒損失は国税庁が示す要件を満たす必要があります。

Q6. 貸倒引当金を税務上の損金にできるのはどんな会社ですか?

A. 法人税法第52条で対象が定められており、国税庁のタックスアンサーNo.5501では、資本金1億円以下の普通法人(大規模法人との完全支配関係がある法人などを除く)、公益法人等・協同組合等、人格のない社団等、銀行や保険会社などが挙げられています。損金経理と、確定申告書への明細の記載も必要です。

貸倒引当金の勘定科目で押さえたい6つのこと

  1. 貸倒引当金は資産のマイナス(控除)項目で、負債ではありません。
  2. 決算で使う相手科目は、費用の貸倒引当金繰入と、収益の貸倒引当金戻入です。回収不能が確定したら貸倒損失を使います。
  3. 仕訳は、計上・見直し(差額補充法と洗替法)・貸倒れ確定の3場面で考えます。
  4. 会計は債権の3区分、税務は一括評価と個別評価で、計算の枠組みが別です。
  5. 税務で損金にするには、対象法人であること、損金経理、確定申告書への明細の記載が必要です。
  6. 残高の根拠になる請求書や入金の記録を一元管理できているかを見直し、会計ソフトや請求書受領サービスの資料を確認することも、決算の負担を減らす選択肢です。

参考文献

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