給与明細の保管期間は何年?会社と従業員の目安・起算日・捨て方

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  • 給与明細の保管年数は法律に定めなし
  • 会社は賃金台帳と同じ5年で管理する
  • 従業員は3年から5年を目安に保管

給与明細の保管期間に、法律で決められた年数は見当たりません。会社に義務があるのは所得税法231条にもとづく給与明細の交付で、保存の年数を定めているのは、給与の記録である賃金台帳(労働基準法で5年、当分の間は3年)や扶養控除等申告書(7年)などです。そのため、会社は給与明細の控えも賃金台帳と同じ5年にそろえて管理すると整理しやすく、従業員は賃金請求権の時効3年と還付申告の5年を踏まえて、3年から5年を目安に取っておくと安心です。この記事では、会社側と従業員側の保管期間、数え始めの日の計算例、紙と電子データの保管方法、捨てるときの手順、再発行までを、法令と公的機関の原文にもとづいて整理します(2026年10月20日確認)。

給与明細の発行と保管、いまの運用に近いのはどれ?

Q1. 給与明細は、主にどの形で従業員に渡していますか?

目次

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  1. 給与明細の保管期間は?法律に年数の決まりはなく、会社は5年・従業員は3-5年が目安
  2. 給与明細を電子化すると、保管はどう変わる?紙との違いと電子交付の注意点
  3. 会社の保管期間:賃金台帳は5年(当分の間は3年)。数え始めの日と計算例
  4. 従業員の保管期間:何年取っておく?目的別の目安と、退職前にしておくこと
  5. 給与明細の保管方法:紙と電子データ、それぞれの手順と法令上の注意
  6. 給与明細はいつ捨てる?処分の手順と、なくしたときの再発行
  7. 給与明細の保管を仕組みにするか、今のやり方で続けるか。確認したい4つの点
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ:給与明細の保管期間で押さえる6つのこと
  10. 参考文献

給与明細の保管期間は?法律に年数の決まりはなく、会社は5年・従業員は3-5年が目安

給与明細の保管期間に、法律で定められた年数はありません。会社は賃金台帳と同じ5年(当分の間は3年)、従業員は3年から5年が目安です。

給与明細は、会社が従業員に支払った給与の内訳を知らせる書類です。所得税法は、給与等の支払をする者に、支払明細書の交付を義務づけています(所得税法第231条)。この条文が定めているのは交付であり、会社や従業員が何年保存するかは書かれていません。今回確認した範囲では、給与明細という書類について保存の年数を直接定めた条文は見つかりませんでした。

一方、給与の支払いを記録する賃金台帳には、労働基準法109条が保存の義務を定めています。賃金台帳の記載事項(氏名、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、賃金の種類ごとの額、控除額など)は、給与明細に書かれる内容の多くと重なります。会社が給与明細の控えを持つなら、賃金台帳と同じ期間でそろえると、書類ごとに期限を覚えずに済みます。給与明細に書かれる項目そのものは、給与明細とは?記載項目や作成から交付までの流れ・注意点を解説で整理しています。

立場書類保管期間根拠
会社給与明細(控え)法定の年数はなし。賃金台帳と同じ5年にそろえると管理しやすい所得税法231条は交付の義務。保存の年数を定めた条文は確認できない
会社賃金台帳・労働者名簿・雇入れや解雇に関する書類5年(当分の間は3年)労働基準法109条・143条
会社扶養控除等申告書・保険料控除申告書提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年所得税法施行規則76条の3
会社雇用保険に関する書類完結の日から2年(被保険者に関する書類は4年)雇用保険法施行規則143条
従業員受け取った給与明細法定の保管義務はなし。3年から5年が目安賃金請求権の時効は当分の間3年(労働基準法115条・143条)、還付申告は5年(国税通則法74条、国税庁No.2030)

表の年数は、書類ごとに数え始めの日が違います。数え方は、このあとの会社の保管期間の節で計算例つきで説明します。

給与明細に保存の義務がないのに、保管しておく3つの理由

1つ目は、賃金を支払った証拠になることです。賃金の請求権の時効は、労働基準法115条の本文では5年ですが、同法143条により、当分の間は3年(退職手当は5年)とされています(労働基準法)。未払いの賃金や残業代をめぐる申し出があったとき、支払った内容を示せるのは、給与明細の控えか賃金台帳です。2つ目は、従業員から再発行を求められたときに、同じ内容を出し直せることです。3つ目は、労働基準監督署の臨検や税務の確認で、賃金の内容を説明するときの手がかりになることです。

保存の義務がある書類を守らなかったときの罰則も確認しておきます。賃金台帳などの保存義務(労働基準法109条)に違反すると、同法120条により30万円以下の罰金の対象になります。給与明細を交付しない、または偽りの記載をして交付した場合は、所得税法242条により、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。個別の判断は社会保険労務士や税理士に確認してください。本記事は一般的な解説であり、法的助言ではありません。

紙のまま管理を続けるときの負担

紙の運用では、毎月の印刷、封入、配布、年ごとのファイリング、期限が来た書類の廃棄まで、すべて担当者の手作業になります。従業員が増えるほど、保管する書類と、再発行の依頼を受けたときに探す時間が増えます。

給与明細の発行から保管までを、給与計算と同じ仕組みで扱いたい場合の一例が、フリー株式会社が提供するfreee人事労務です。商品ページによると、従業員情報や給与計算など人事労務の情報を1つで管理でき、給与明細作成機能では、給与計算後にワンクリックで給与明細を発行できます。給与明細は電子データとしてオンライン上で従業員に共有でき、必要に応じてPDFの出力や印刷もできます。オンライン上でいつでも確認できるため、紙の明細のように紛失するリスクがない、とも紹介されています。注意点として、freee会計と連携したときの画面の切り替えが手間になる点が挙げられています。電子化しても、賃金台帳として保存が必要な記録は別にあるため、システム上でどの帳票をどの期間残せるかは、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。(商品ページ確認日:2026年10月20日)

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freee人事労務の導入事例では、株式会社クラウンベーカリーが、給与明細の紙の運用が変わったことを次のように語っています。

freeeを導入してからはメールやアプリで給与明細を共有できるようになったので、こういった作業もなくなっています。

freee人事労務 導入事例(株式会社クラウンベーカリー。直前の文で、以前は給与明細を手作業で三つ折りにして封入していたと説明している) 出典:導入事例ページ
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給与明細を電子化すると、保管はどう変わる?紙との違いと電子交付の注意点

給与明細を電子化しても、保管期間は変わりません。変わるのは、保管する場所と、探す手間です。電子で渡すには、従業員の承諾が必要です。

電子化の法令上のルールは、所得税法231条2項にあります。給与の支払者は、従業員の承諾を得れば、支払明細書の交付に代えて、記載すべき事項を電磁的方法で提供できます。ただし、従業員から請求があるときは、書面で交付しなければなりません。全員を一律に電子へ切り替えるのではなく、紙を希望する従業員への対応は残ります。

観点紙で渡して紙で保管電子データで渡して保管
保管場所ファイルと保管場所が必要。月ごと・年ごとに綴じるサーバーやクラウド上に保存する。バックアップも取れる
探す手間年月をさかのぼって、ファイルをめくって探す検索や絞り込みで探せる(ツールの機能による)
期限の管理ラベルや台帳で管理し、廃棄も手作業保管期間の設定や一括削除ができるかは、ツールによる
従業員の手元紛失すると、会社へ再発行を依頼する従業員が自分で閲覧し、PDFで保存できるツールがある
法令上の注意個人情報として、保管場所の管理が必要従業員の承諾が必要。パソコンで保存する書類は、要件を満たす

紙の運用では、毎月の印刷、封入、配布、年ごとのファイリング、期限が来た書類の廃棄まで、すべて担当者の手作業になります。従業員が増えるほど、保管する書類と、再発行の依頼を受けたときに探す時間が増えます。給与明細を電子化する方法やツールの選び方は、給与明細電子化とは?機能やメリット・デメリット、進め方を解説と、Web給与明細システムのおすすめ|給与明細電子化を推進しようで詳しく解説しています。ここでは、給与計算から明細の発行・共有までを1つの仕組みにまとめたい会社に向けて、3つのサービスの役割の違いを表で比べます。表は優劣ではなく、向いている会社の違いで並べています。

給与明細の発行と保管を支える3サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

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向いている会社 給与計算から給与明細の発行、年末調整、入社・退社の手続きまで、人事労務の情報を1つにまとめたい会社 給与明細・賞与明細・源泉徴収票をWebで発行し、印刷して封筒に入れて郵送する作業をなくしたい会社 勤怠管理から給与計算、Web給与明細、年末調整までを、1つのシステムでそろえたい会社
特徴 給与計算後にワンクリックで給与明細を発行し、電子データとしてオンライン上で従業員に共有できる。PDFの出力や印刷にも対応する Web明細機能で、給与明細・賞与明細・源泉徴収票を発行できる。ワンクリックでオンライン共有、PDF化ができ、公開の日時を指定したり、従業員宛ての連絡事項を添えたりできる 従業員はパソコンやスマートフォンから給与明細を確認でき、過去の明細も確認できる。公開日の指定とメール通知、外部の給与計算データの取り込みにも対応する
注意したい点 freee会計と連携したときに、画面の切り替えが手間になる点が商品ページで挙げられている 所得税や住民税率は、手動で変更する必要があると商品ページに記載がある 給与計算はオプションで、勤怠管理の契約が必要と商品ページに記載がある
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会社の保管期間:賃金台帳は5年(当分の間は3年)。数え始めの日と計算例

会社が保存する給与関係の書類は、賃金台帳が5年(当分の間は3年)、扶養控除等申告書などが7年です。数え始めの日は、賃金台帳なら最後の記入をした日です。

給与明細と賃金台帳の違い

観点給与明細賃金台帳
目的従業員に支払った給与の内訳を知らせる賃金計算の基礎となる事項や賃金の額などを記録する
根拠所得税法231条労働基準法108条
備える単位従業員ごとに交付する各事業場ごとに、労働者各人別に調製する
保存の年数定めた条文は確認できない5年(当分の間は3年)。労働基準法109条・143条
記載事項会社が決める(支給・控除・勤怠など)氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜の労働時間数、賃金の種類ごとの額、賃金から控除した額(労働基準法施行規則54条)

賃金台帳は、各事業場ごとに調製し、賃金を支払うたびに遅滞なく記入します(労働基準法108条)。給与明細と同じ内容を記録していても、保存の義務が明記されているのは賃金台帳です。給与明細を電子化した会社も、賃金台帳として要件を満たす記録が別に残るかを、確認しておきます。

5年と3年のどちらで保存するか

労働基準法109条は、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存すると定めています。ただし、同法143条1項が、109条の適用について、当分の間は「五年間」を「三年間」とすると定めています。このため、法令上は現在、3年の保存で足りることになります。本則は5年で、3年は当分の間の措置なので、将来この措置がなくなっても保管期間を見直さずに済むよう、5年で管理しておく運用が分かりやすい、というのが本記事の整理です(労働基準法)。

起算日の数え方と計算例

保存期間をいつから数えるかは、労働基準法施行規則56条が書類ごとに定めています(労働基準法施行規則)。

書類数え始めの日(起算日)
労働者名簿労働者の死亡、退職または解雇の日
賃金台帳最後の記入をした日(賃金の支払期日がそれより遅いときは、その支払期日)
雇入れまたは退職に関する書類労働者の退職または死亡の日
災害補償に関する書類災害補償を終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類その完結の日

この定めから、期限の目安を計算すると次のようになります。

書類の例数え始めの日保存の年数保存する期限の目安
2026年分の賃金台帳(最後の記入が2026年12月25日支払分)2026年12月25日3年(当分の間) / 5年(本則)2029年12月25日 / 2031年12月25日
2026年9月30日に退職した従業員の労働者名簿2026年9月30日3年(当分の間) / 5年(本則)2029年9月30日 / 2031年9月30日
2026年中に提出期限が来た扶養控除等申告書2027年1月11日(提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日)7年2034年1月10日
雇用保険に関する書類(完結の日が2026年10月31日)2026年10月31日2年 / 4年(被保険者に関する書類)2028年10月31日 / 2030年10月31日

計算は条文の文言から出した一例です。賃金台帳は、1人ひとりの台帳の最後の記入日から数えます。年の途中で退職した人の台帳は、最後の給与を記入した日が数え始めです。実際の期限は、社会保険労務士や税務署に確認してください。

申告書と雇用保険の書類は、別の根拠で数える

扶養控除等申告書や保険料控除申告書は、給与の支払者が受け取って保存する書類です。所得税法施行規則76条の3は、税務署長が提出を求めるまでの間は保存することとし、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日後は、この限りでないと定めています(所得税法施行規則)。つまり、7年を過ぎれば保存しなくてよい、という形です。

雇用保険に関する書類は、事業主が、その完結の日から2年間(被保険者に関する書類は4年間)保管します(雇用保険法施行規則143条)。契約書など、給与以外の書類の保管期間は、契約書の保管期間や保管する方法|契約書以外の書類の保管期間も解説で解説しています。

書類ごとに違う保管期限を、どう管理するか

ここまでの表のとおり、給与まわりの書類は、3年、5年、7年と、期限も数え始めの日も違います。紙のファイルと担当者の記憶で管理していると、期限を過ぎた書類が残り続けたり、必要な書類が見つからなかったりしがちです。期限を一覧にして台帳に残す、書類の種類ごとにフォルダを分けるといった基本の整理に加えて、給与計算と明細の発行を同じ仕組みにまとめると、元になるデータが1か所にそろい、探す手間を減らしやすくなります。

従業員の保管期間:何年取っておく?目的別の目安と、退職前にしておくこと

従業員が受け取った給与明細は、法律上の保管義務がありません。賃金請求権の時効が当分の間3年、還付申告が5年なので、3年から5年を目安に取っておくと安心です。

目的取っておく目安理由と根拠
未払いの賃金や残業代を確認・請求する可能性3年賃金請求権の時効は当分の間3年(労働基準法115条・143条)。退職手当は5年
年末調整を受けなかった年の還付申告をする可能性5年還付申告は翌年1月1日から5年間提出できる(国税庁No.2030、国税通則法74条)。年の途中で退職して年末調整を受けていないときなどが例
収入の証明を求められる手続き(各種の申込みなど)申込先の案内で確認求められる書類や期間は、手続き先がそれぞれ決める
特に目的がない場合3年は取っておき、迷えば5年上の2つの期限をカバーできる

還付申告で主に使うのは源泉徴収票で、給与明細は、月ごとの支給額や控除額を確認する補助の資料になります。国税庁は、給与の源泉徴収票の源泉徴収税額が0のときは、申告しても還付される所得税額はないと案内しています(No.2030 還付申告)。源泉徴収票と給与明細は、同じファイルにまとめておくと、年ごとに確認しやすくなります。

未払い賃金の請求は、記録がないと金額を示しにくくなります。給与明細に加えて、雇用契約書や労働条件通知書、勤務時間の記録(タイムカードや勤務表の写し)も、あわせて保管しておくと確認しやすくなります。紙の明細は、月ごとに並べて綴じるか、スマートフォンで撮影やスキャンをしてPDFで保存し、紛失に備えます。

退職・転職の前にしておくこと

会社が電子の給与明細を発行している場合、退職後も明細を見られるかは、会社が使っているツールによって違います。たとえば、ジンジャー給与は公式ページで、従業員が退職後1年間まで給与明細を確認できると案内しています(Web給与明細|ジンジャー給与)。退職までに、過去分の明細と源泉徴収票をPDFで保存しておくと、見られなくなってから困りません。

退職後に会社へ明細の再発行を頼めるかについて、所得税法231条は給与を支払うときの交付を定めており、退職後の再発行を請求できる規定は確認できません。再発行に応じるかは会社の対応によるため、必要になりそうな分は、退職前に手元へ残しておくのが確実です。

給与明細の保管方法:紙と電子データ、それぞれの手順と法令上の注意

給与明細は、紙なら月ごとにまとめて鍵のかかる場所へ、電子データならバックアップを取り、閲覧できる人を限って保管します。氏名と金額が載る個人情報なので、どちらも管理の記録が必要です。

紙の給与明細の保管

  • 支給月ごと、賞与は別にして、年ごとにファイルを分ける
  • 背表紙やラベルに、保管期限(処分してよい年)を書く
  • 鍵のかかるキャビネットなど、取り出せる人を限定できる場所に置く
  • 従業員に渡した明細と同じ内容の控えを、1部つくっておく(再発行に使う)

給与明細は、従業員1人ひとりの氏名や金額を含む個人情報で、個人情報保護法にもとづく安全管理措置の対象です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データを取り扱う区域の管理や、持ち運ぶときの漏えい防止、削除や廃棄の方法などの措置を求めています(個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編))。

電子データの給与明細の保管

厚生労働省のよくある質問は、労働基準法で保存が定められた労務関係の書類をパソコン上で作成して保存するには、次の4つの要件を満たす必要があるとしています(労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。)。給与明細の控えを電子で保管する場合も、同じ考え方で整えておくと安心です。

  1. 法令で定められた要件を満たし、画面上に表示して印字できること
  2. 労働基準監督官の臨検時などに、直ちに必要事項を明らかにして提出できること
  3. 誤って消去されないこと
  4. 長期にわたって保存できること
  • ファイル名に、支給年月と社員番号などのルールを決める(氏名だけにしない)
  • 閲覧できる人を、給与担当者などに限る
  • バックアップを、決めた頻度で取る
  • 電子で渡す明細は、従業員の承諾を得た記録を残す
  • 紙をスキャンして保存するときは、文字が読み取れる状態で、年月ごとに整理する

自社の運用を確かめる作業チェッカー

ここまでの内容を、自社の運用に当てはめて確認します。当てはまる項目を選んでください。

給与明細の保管、いまの運用は大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

給与明細はいつ捨てる?処分の手順と、なくしたときの再発行

給与明細は、保管期間が過ぎ、手元で使う予定がなければ捨てられます。氏名と金額が載っているので、復元できない方法で処分します。

会社が処分するときの手順

  1. 賃金台帳など別の書類の期限(3年または5年)と、社内規程で決めた期間を確認する
  2. 労務や税務の確認が入っていないか、従業員との間で未解決の申し出がないかを確かめる
  3. 処分する書類の範囲(年月・対象者)を、台帳に書く
  4. 紙はシュレッダーや溶解で、電子データはバックアップを含めて削除する
  5. 処分した日と範囲を記録する

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データを削除したり、個人データが記録された機器や電子媒体を廃棄したりするときは、復元不可能な手段で行わなければならないとしています。あわせて、削除や廃棄の記録を保存することや、作業を委託するときに委託先が確実に削除・廃棄したことを証明書などで確認することも重要だとしています(ガイドライン(通則編))。

従業員が処分するとき

3年から5年を過ぎ、未払い賃金の確認や還付申告の予定がなければ、処分できます。紙はシュレッダーにかけるか、細かく裁断して捨てます。電子データは、スマートフォンやクラウドから削除し、バックアップがあれば、そこも消します。

なくしたとき・再発行を求められたとき

従業員から再発行を求められたとき、所得税法231条は給与を支払うときの交付を定めており、再交付の義務を定めた規定は確認できません。ただ、収入の確認が必要な従業員に対応して、応じる会社もあります。控えが残っていれば、最初に渡したものと同じ内容を出し直せます。控えがないと、賃金台帳などから作り直すことになり、元の明細と数字がずれる恐れがあります。再発行に応じるなら、本人確認の方法、再発行できる期間、再発行であることの表示を、あらかじめ決めておくと対応がそろいます。

再発行の依頼が来るたびに、過去の控えを探して出し直していると、担当者の手間が増えます。従業員が自分で過去の明細を確認し、PDFで保存できる運用なら、依頼そのものを減らしやすくなります。この運用を、給与明細・賞与明細・源泉徴収票のWeb発行で実現したい場合の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー給与です。商品ページによると、Web明細機能で給与明細・賞与明細・源泉徴収票を発行でき、ワンクリックでオンライン上で共有したり、PDF化したりできます。公開の日時を細かく指定したり、従業員宛ての連絡事項を添えたりすることも可能です。公式ページには、従業員が退職後1年間まで給与明細を確認できるという案内もあります。注意点として、所得税や住民税率は手動で変更する必要があると商品ページに記載があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。(商品ページ確認日:2026年10月20日)

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ジンジャーの導入事例では、社会福祉法人西春日井福祉会が、給与明細の発行方法が変わったことを次のように紹介しています。

導入後は、重複作業の解消により月68時間の工数削減につながったほか、給与明細や源泉徴収票を職員自身で確認できるようになるなど、現場で働く職員の利便性も高まっています。

ジンジャー 導入事例(社会福祉法人西春日井福祉会) 出典:導入事例ページ
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給与明細や源泉徴収票を、Webで発行・共有したい会社に

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給与明細の保管を仕組みにするか、今のやり方で続けるか。確認したい4つの点

発行と期限管理の手間が小さいうちは、紙やExcelのままでも運用できます。4つの確認点のうち2つ以上が右の列に当てはまるなら、電子化を検討する段階です。

確認する点今のやり方で足りる目安見直しを考える目安
発行と配布従業員が少なく、印刷と配布が短時間で終わる毎月の印刷、封入、配布に何時間もかかる
保管期限の管理書類の種類ごとの期限を、一覧で管理できている担当者の記憶に頼り、期限を過ぎた書類が残っている
探す・再発行控えの場所が決まっていて、すぐ出し直せる再発行の依頼のたびに、過去の控えを探し回る
退職者・拠点拠点が1か所で、退職者の書類も同じ場所にある拠点や雇用形態が分かれ、書類が複数の場所に散っている

今のやり方で足りる場合は、本記事の表で期限を決め、台帳に残して運用すれば十分です。見直しを考える場合に、勤怠管理から給与計算、Web給与明細までを小規模な会社でもそろえたいときの一例が、中央システム株式会社が提供するレコルです。商品ページによると、勤怠管理から給与計算、Web給与明細、年末調整までを1つのシステムで完結でき、従業員はパソコンやスマートフォンから給与明細を確認でき、過去の給与明細も確認できると紹介されています。給与明細の公開日を指定したり、公開時にメールで通知したりでき、外部の給与計算データを取り込んで明細を発行することにも対応します。注意点として、給与計算はオプションで、勤怠管理の契約が必要と商品ページに記載があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。(商品ページ確認日:2026年10月20日)

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  • 給与計算はオプションであり、勤怠管理の契約が必要

レコルの導入事例では、有限会社ママのおうちと特定非営利活動法人いちはらっこが、給与明細の受け取り方の変化を次のようにまとめています。

Web給与明細により「紙」と「工数」が大幅に削減。シニア世代を含め100%の職員がWEB給与明細を選択。

レコル 導入事例(有限会社ママのおうち・特定非営利活動法人いちはらっこ) 出典:導入事例ページ

電子化しても、賃金台帳としての記録や申告書の保存は別に必要です。資料では、給与明細を残せる期間と、賃金台帳などの帳票を出力できるかを確認してください。

レコル

勤怠から給与明細の発行までを、1つのシステムでそろえたい会社に

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よくある質問(FAQ)

Q1. 給与明細はいつ捨てればよいですか?

A. 保管期間が過ぎ、手元で使う予定がなければ捨てられます。会社は、賃金台帳と同じ5年(当分の間は3年)にそろえて管理すると整理しやすく、従業員は、賃金請求権の時効3年と還付申告の5年を踏まえて、3年から5年が目安です。氏名や金額が載っているため、シュレッダーなど復元できない方法で処分します。

Q2. 給料明細書はとっておくべきですか?

A. 法律上の保管義務はありませんが、とっておくことをおすすめします。未払いの賃金や残業代を確認するとき、年末調整を受けなかった年の還付申告をするときに、月ごとの支給額や控除額の確認に使えます。紙は綴じるか、スマートフォンで撮影してPDFで保存します。

Q3. 給与明細は何年前まで取っておくべきですか?

A. 目安は3年から5年です。賃金請求権の時効が当分の間3年(労働基準法115条・143条)、還付申告ができる期間が5年(国税庁No.2030)なので、3年は取っておき、迷えば5年にします。ローンなどの手続きで求められる書類や期間は、申込先の案内で確認してください。

Q4. 会社に給与明細の保管義務はありますか?

A. 給与明細を何年保管するかを定めた条文は、確認できません。会社に義務があるのは交付(所得税法231条)です。ただし、賃金台帳などは労働基準法109条で5年(当分の間は3年)、扶養控除等申告書などは7年の保存が決まっているため、給与明細の控えも賃金台帳と同じ期間でそろえておくと整理しやすくなります。

Q5. 給与明細を電子化したら、紙の控えは捨ててよいですか?

A. 給与明細の控えそのものには保存年数の定めがないため、電子データで同じ内容を残せるなら、会社の規程にそって紙の控えを処分できます。賃金台帳など保存義務のある書類は、パソコンで保存する場合の4つの要件(表示・印字、直ちに提出、誤消去の防止、長期保存)を満たしたうえで、期限まで残します。

Q6. 退職した後に給与明細を再発行してもらえますか?

A. 所得税法231条は給与を支払うときの交付を定めており、退職後の再発行を請求できる規定は確認できません。再発行に応じるかは会社の対応によります。電子の明細は、退職後に見られる期間がツールで違う(ジンジャー給与は退職後1年間まで)ため、退職前に過去分をPDFで保存しておくと確実です。

まとめ:給与明細の保管期間で押さえる6つのこと

  1. 給与明細の保管年数を定めた条文は確認できません。会社は賃金台帳と同じ5年(当分の間は3年)で、従業員は3年から5年が目安です。
  2. 数え始めの日は書類ごとに違います。賃金台帳は最後の記入をした日、扶養控除等申告書などは提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年です。
  3. 電子で渡すには従業員の承諾が必要で、請求があれば書面で交付します。パソコンで保存する書類は、厚生労働省が示す4つの要件を満たします。
  4. 捨てるときは、期限と社内規程を確認し、復元できない方法で処分して、記録を残します。
  5. 再発行の義務を定めた規定は確認できませんが、控えがあれば同じ内容を出し直せます。退職前に過去分を保存しておくと確実です。
  6. 発行・期限管理・再発行の手間が重いときは、給与明細の電子化を検討し、資料で保管できる期間と帳票の出力を確認します。

給与明細の保管は、年数を覚えるだけでなく、書類ごとの数え始めの日と、紙と電子データそれぞれの保管方法を押さえることで、期限の取り違えや保管漏れを防げます。個別の判断は、社会保険労務士や税理士に確認してください。本記事は一般的な解説であり、法的助言ではありません。

参考文献

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