インボイス制度の登録は必要?判断基準と申請手順・登録後の流れ

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  • 登録は任意、免税事業者も申請できる
  • 申請はe-Taxか書面、提出時期に注意
  • 登録後は交付義務と写しの保存が必要

インボイス制度の登録とは、課税事業者が税務署長に申請し、インボイス(適格請求書)を交付できる適格請求書発行事業者になる手続のことです。登録を受けると、「T」と13桁の数字からなる登録番号が通知され、国税庁の公表サイトで公表されます。登録するかどうかは事業者の任意ですが、登録しなければインボイスを交付できないため、取引先の課税事業者は仕入税額控除に影響を受けます。免税事業者でも、令和11年(2029年)9月30日までの日の属する課税期間中なら、登録申請書の提出だけで課税事業者として登録できます。この記事では、国税庁の公開情報をもとに、登録が必要な人としなくてよい人の判断、e-Taxと書面での申請手順と提出時期、登録後の義務、令和8年度税制改正で変わった2割特例・3割特例と経過措置の割合、取引先の登録番号の確認方法までを、2026年10月20日時点の内容で整理します。

インボイス対応で、いま負担になっているのはどちらですか?

Q1. 負担が大きいのは、請求書を発行する側と受け取る側のどちらですか?

目次

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  1. インボイス制度の登録とは|適格請求書発行事業者になる手続
  2. インボイス制度の登録が必要な人・しなくてよい人|判断のポイント
  3. インボイス制度の登録申請の手順|e-Taxと書面・提出時期・登録希望日
  4. 登録後に必要な対応|交付義務・写しの保存・変更届・取りやめ
  5. 登録で変わる消費税の負担|2割特例・3割特例・簡易課税の比較
  6. 登録しない場合の影響|取引先の仕入税額控除と経過措置の割合
  7. 取引先の登録番号を確認する方法|公表サイトでの照合と受け取る側の実務
  8. インボイス対応の請求書業務を見直す3サービスの役割の違い
  9. よくある質問(FAQ)
  10. インボイス制度の登録のまとめ|押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

インボイス制度の登録とは|適格請求書発行事業者になる手続

インボイス制度の登録とは、事業者が税務署長に申請して適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)となり、インボイス(適格請求書)を交付できるようになる手続です。

登録で何が変わるのか

消費税は、売上げ時に受け取った消費税額から、仕入れ等で支払った消費税額を差し引いて納付します。この差し引く計算が仕入税額控除で、国税庁は、仕入税額控除を受けるには原則としてインボイスの保存が必要と案内しています。インボイスを交付できるのは登録を受けた事業者だけで、登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要になります。

登録を受けるかどうかは、事業者の任意です。ただし、登録しなければインボイスを交付できず、取引先は仕入税額控除を受けられません。一方、登録した事業者は、取引相手の課税事業者から求められたときにインボイスを交付する義務があり、交付した写しも保存します。消費者や免税事業者など課税事業者以外の相手には交付義務がないため、顧客が消費者のみの場合は、必ずしもインボイスを交付する必要はないと、国税庁のQ&Aに示されています。

インボイスに記載する6つの事項

インボイスは、売手が買手に正確な適用税率や消費税額等を伝える書類やデータです。請求書に限らず、所定の事項が記載されていれば、領収書や納品書などもインボイスになります。国税庁が示す記載事項は次の6つで、登録番号は、登録後に税務署から通知される番号です。

  1. インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
  2. 売手(自社)の氏名または名称、および登録番号
  3. 取引年月日
  4. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  5. 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額、および適用税率
  6. 10%・8%それぞれの消費税額等

小売業・飲食店業・タクシー業など、不特定多数に販売等を行う事業では、記載事項の一部を省略した簡易インボイスを交付できます。各項目の書き方は、インボイス(適格請求書)の書き方の記事で詳しく解説しています。

登録後は、これらの事項を満たした請求書を取引のたびに作り、写しを保存する作業が続きます。登録番号や税率ごとの消費税額を、表計算ソフトなどで1通ずつ手入力していると、記載漏れや計算の確認に手間がかかります。請求書の作成から保管までを同じ仕組みで進めたい場合の一例が、株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド請求書」です。

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登録番号の形と公表される情報

事業者の区分登録番号の構成
法人番号を持つ法人「T」(ローマ字)と、13桁の法人番号
個人事業者・人格のない社団等「T」(ローマ字)と、13桁の数字。マイナンバー(個人番号)は使われず、法人番号とも重複しない、事業者ごとの番号

一度付番された登録番号は変更できません。請求書への表記は、半角・全角を問いません。登録通知書は再発行されないため、大切に保管します。

登録情報は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで公表されます。法定の公表事項は、氏名または名称、法人の本店または主たる事務所の所在地、登録番号、登録年月日、登録取消年月日・登録失効年月日です。個人事業者の「主たる屋号」や「主たる事務所の所在地等」は、本人が「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出すると、追加で公表できます。

インボイス制度の登録が必要な人・しなくてよい人|判断のポイント

登録は任意で、取引先が消費者や免税事業者のみなら、登録しなくてもインボイスの交付義務は生じません。取引先に課税事業者がいる場合は、取引先の仕入税額控除への影響を踏まえて判断します。

取引先の区分ごとの考え方

国税庁は、登録を受けるかの判断に迷う事業者に、「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」の活用を案内しています。判断の目安を、取引先の区分ごとに、国税庁の案内をもとに整理すると次のとおりです。

取引先・事業の状況登録についての考え方
顧客が消費者のみ消費者への交付義務はないため、必ずしもインボイスを交付する必要はありません。
取引先が免税事業者免税事業者など課税事業者以外の相手には、交付義務がありません。
取引先が課税事業者(一般課税)登録しないとインボイスを交付できず、取引先は仕入税額控除を受けられません。取引先と、登録の要否や時期を確認します。
取引先が簡易課税・2割特例・3割特例を使う課税事業者これらの方法では、納付税額の計算に受け取ったインボイスの保存が必要ありません。取引先がどの方法で計算しているかを確認します。
すでに課税事業者で、登録は未了登録による新たな申告義務は生じない一方、交付義務、記載事項への対応、写しの保存が加わります。
免税事業者で、取引先に課税事業者が多い登録すると課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要です。後述の特例で納付税額を試算して判断します。

取引先がどの方法で消費税を計算しているかは、取引先に確認しないと分かりません。免税事業者が登録するかは、取引先からの要望、取引の継続、納税の負担を並べて判断します。

登録しなかった場合でも、取引先の仕入税額控除がすぐになくなるわけではありません。免税事業者などからの仕入れには経過措置があり、控除できる割合が段階的に下がります。割合の推移は、後述の節で説明します。インボイス制度の全体像や、売り手・買い手別の対応は、インボイス制度の概要の記事と適用による変更点と対応方法の記事にまとめています。

判断に迷うときの相談先

国税庁は、一般的な質問や相談の窓口として、消費税軽減税率・インボイスコールセンター、税務署での相談会や個別相談、24時間自動回答のチャットボットを案内しています。この記事は、国税庁の公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、税務上の助言ではありません。個別の判断は、税務署や税理士にご確認ください。

インボイス制度の登録申請の手順|e-Taxと書面・提出時期・登録希望日

登録申請は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を、e-Taxまたは書面の郵送で提出します。免税事業者は、登録希望日(提出日から15日以降)を書くことで、その日から登録を受けられます。

申請から登録までの流れ

  1. 自社が課税事業者か免税事業者かを確認します。登録を受けられるのは課税事業者に限られますが、免税事業者は登録申請書の提出により課税事業者として登録できます。
  2. 申請書を用意します。e-Taxなら、e-Taxソフト(WEB版)の問答形式で作成できます。書面なら、「適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)」と記載要領を使います。
  3. e-Taxで送信するか、書面を郵送して提出します。
  4. 提出を受けた税務署長が、登録拒否要件に当たらなければ、登録簿に法定事項を登載して登録し、通知します。
  5. 登録番号の通知を受け、請求書の書式に登録番号を反映します。登録情報は公表サイトで公表されます。

登録の効力は、通知を受けた日ではなく、登録簿に登載された日(登録日)から生じます。申請書を提出してから通知を受けるまでの期間は、申請の状況によって異なり、国税庁が「登録通知時期の目安」を案内しています。目安を超えても通知がない場合は、各国税局(所)のインボイス登録センターに問い合わせます。国税庁の申請手続のページには、通知と公表に時間を要している旨の案内が出ています(2026年10月20日確認)。登録日から通知を受けるまでの間の取引の扱いは、国税庁の「インボイス制度に関するQ&A」の問36・問37で案内されています。

e-Taxと書面の違い

項目e-Tax書面(郵送)
申請書の作成e-Taxソフト(WEB版)で、画面の質問に答える形式。個人事業者はスマートフォン・タブレットでも利用できる登録申請書(国内事業者用)に、記載要領を見ながら記入する。個人事業者・法人用など、該当する様式を選ぶ
事前の準備電子証明書(マイナンバーカード等)と、e-Taxの利用者識別番号(16桁)。税理士による代理送信なら、事業者の電子証明書は不要e-Taxの準備は不要
提出先e-Taxで送信する納税地を管轄する国税局の業務センターへ送付する
登録通知の受け取り電子での通知を希望すると、メッセージボックスの「通知書等」にデータが格納される。メールアドレスを登録しておくと、格納がメールで知らされる書面の登録通知書が送付される

国税庁は、申請書をe-Taxで作成・提出するよう案内しています。e-Taxで電子通知を希望すると、書面より早く登録通知書を受け取れると説明されています。

提出時期と登録希望日|課税事業者・免税事業者・新規開業の違い

事業者の状況提出と登録のタイミング
すでに課税事業者課税期間の途中でも登録申請でき、登録の効力は登録日から生じる
免税事業者(令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合)登録申請書に登録希望日(提出日から15日以降で、登録を受けたい日)を書く。課税事業者選択届出書は不要で、登録希望日から課税事業者になる。税務署の登録が登録希望日より後になっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされる
免税事業者が、課税期間の初日から登録を受けたい場合(令和5年10月2日以後に開始する課税期間分)その課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出する
新たに事業を開始した人・新設法人その課税期間の初日にさかのぼって登録を受けられる。課税期間の末日までに登録申請を行う。個人事業者の課税期間の初日は、事業を開始した日ではなく1月1日

国税庁の例では、免税事業者が令和6年2月1日に登録を受けたい場合、登録申請書に登録希望日を令和6年2月1日と書き、令和6年1月17日までに提出します。同じ考え方で、個人事業者が令和9年1月1日(課税期間の初日)から登録を受けるなら令和8年12月17日まで、令和9年4月1日を登録希望日にするなら令和9年3月17日までの提出が目安です。

令和11年(2029年)9月30日は、申請の締切日ではありません。免税事業者の登録に関する経過措置が使える課税期間を区切る日で、これを過ぎた課税期間に登録を受けるときは、原則どおり課税事業者選択届出書の提出が必要です。

免税事業者が登録するときの注意点

免税事業者が登録を受けると、原則として、登録を受けた日から2年間は消費税の申告が必要になります。登録を取りやめても同様で、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は、課税事業者となります。

年の途中で登録する場合は、登録日以後の課税資産の譲渡等が、その年分の消費税の申告の対象です。国税庁のQ&Aの例では、免税事業者である個人事業者が7月1日に登録を受けた場合、7月1日から12月31日までの課税資産の譲渡等と特定課税仕入れについて、その年分の申告が必要とされています。また、この経過措置で登録した場合は、登録日の属する課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度を適用できます。

この節の内容は、国税庁の公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、税務上の助言ではありません。個別の取り扱いは、税務署や税理士にご確認ください。

登録後に必要な対応|交付義務・写しの保存・変更届・取りやめ

登録後は、課税事業者から求められたときのインボイスの交付と、写しの保存が必要です。登録事項に変更があれば届け出て、登録をやめるときは登録取消届出書を提出します。

日々の運用で必要なこと

  • 登録日以降の取引について、相手方の課税事業者から求められたときは、インボイスを交付する。
  • 交付したインボイスの写しを保存する。
  • 請求書などに、登録番号を含む記載事項を満たす。
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下になっても、登録している間は免税事業者にならない。

交付義務は、通知の日ではなく登録日以降の取引から生じるため、通知を受けるまでの間の取り扱いは、国税庁のQ&Aで確認します。毎月の請求書が多い会社ほど、記載事項の確認と写しの保存を人手で続けるのは負担が大きくなります。

変更・取りやめ・取消しの手続

場面提出する書類ポイント
登録事項に変更があった適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書様式は国税庁の申請手続のページで案内されている
個人事業者が屋号などを公表したい、または公表事項を変えたい適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書屋号・事務所所在地等の追加公表は、本人の申出に基づく
登録をやめたい適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書提出日の属する課税期間の翌課税期間の初日に効力が失われる。翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて提出すると、翌々課税期間の初日になる
事業をやめた、または合併で消滅した事業廃止届出書、合併による法人の消滅届出書事業廃止届出書は廃止した日の翌日、合併による法人の消滅届出書は法人が消滅した日に、登録の効力が失われる

取りやめの期限は、たとえば個人事業者が令和9年1月1日から登録をやめるなら、令和8年12月17日までです。免税事業者が経過措置で登録した場合は、取りやめても、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者になれません。

登録が拒否・取り消される場合

特定国外事業者以外の事業者の場合、登録が拒否されるのは、納税管理人を定めなければならない事業者が納税管理人の届出をしていないときと、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わるなどした日から2年を経過しないときです。税務署長が登録を取り消せるのは、1年以上所在不明、事業を廃止したと認められる、合併により消滅したと認められる、納税管理人の届出をしていない、消費税法違反で罰金以上の刑に処せられた、虚偽の記載をした申請書で登録を受けた、のいずれかの場合です。

ここまでの事務を毎月くり返している会社は、次のセルフチェックで、今のやり方にどれくらい手間が残っているかを確認してみてください。

インボイス対応の請求書事務、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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登録で変わる消費税の負担|2割特例・3割特例・簡易課税の比較

免税事業者が登録して課税事業者になると、2割特例、個人事業者向けの3割特例、簡易課税制度などで納付税額を計算できます。2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間までで、3割特例は令和9年分・令和10年分が対象です。

特例ごとの納付税額の計算と主な条件

国税庁は、令和8年度税制改正で、2割特例に続く個人事業者向けの負担軽減措置として3割特例を設けたと案内しています。法人は3割特例を使えません。次の表は、売上げに係る消費税額(売上税額)が60万円の場合の納付税額の目安です。税抜600万円・税率10%の課税売上げを想定し、国税と地方消費税を合わせた概算で、実際の申告では国税(7.8%)と地方消費税(2.2%)に分けて計算します。

方法納付税額の計算売上税額60万円の場合主な条件
一般課税売上税額から仕入税額を差し引く仕入れの額で変わる仕入税額控除にインボイスの保存が必要
2割特例売上税額の20%(売上税額の80%を控除)12万円インボイス制度を機に免税事業者から発行事業者になった事業者。令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間。事前の届出は不要で、申告書に適用する旨を付記する。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるなど、登録と関係なく課税事業者になる人は使えない
3割特例売上税額の30%(売上税額の70%を控除)18万円個人事業者。令和9年分・令和10年分の申告。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下で、インボイス発行事業者の登録を受けていること。インボイスの保存は不要
簡易課税制度売上税額から、売上税額にみなし仕入率を掛けた額を差し引く下の表のとおり「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要。基準期間の課税売上高が5,000万円以下。原則として2年間は継続して適用する

令和8年度税制改正の前に公開された解説には、3割特例が載っていないものがあります。2割特例の期限や、令和9年以降に個人事業者が使える特例は、国税庁の令和8年度税制改正特集で確認してください。

簡易課税のみなし仕入率と納付税額の目安

事業区分みなし仕入率売上税額に対する納付税額売上税額60万円の場合
第1種事業(卸売業)90%10%6万円
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業のうち飲食料品の譲渡に係る事業)80%20%12万円
第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業)70%30%18万円
第4種事業(第1種から第3種、第5種、第6種以外の事業)60%40%24万円
第5種事業(運輸通信業、金融業・保険業、サービス業(飲食店業を除く))50%50%30万円
第6種事業(不動産業)40%60%36万円

簡易課税制度は、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書を提出します。ただし、2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間から簡易課税制度を使いたい場合は、その課税期間の申告期限までに届出書を提出すればよいという、円滑な移行措置が設けられています。2割特例は、多額の設備投資で仕入れが売上げより多くなる人や、簡易課税の適用がある卸売業の人は、一般課税や簡易課税のほうが納付額が少なくなる場合があると、国税庁が案内しています。どの方法が有利かは、仕入れの額と事業区分で変わります。

この節の計算例は、国税庁が公表する計算方法をもとにした目安で、実際の納付額を示すものではありません。この記事は一般的な情報提供であり、税務上の助言ではないため、個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。

登録しない場合の影響|取引先の仕入税額控除と経過措置の割合

売り手が登録しないと、買い手の課税事業者は原則として仕入税額控除を受けられません。ただし、免税事業者などからの仕入れには経過措置があり、令和8年10月1日から令和10年9月30日までの課税仕入れは70%を控除できます。

控除できる割合の推移(令和8年度税制改正後)

課税仕入れの時期控除できる割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日80%
令和8年10月1日から令和10年9月30日70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日30%
令和13年10月1日以後控除できない

令和8年度税制改正で、この経過措置の適用期限は2年延長され、控除できる割合が見直されました。改正前は、令和8年10月から3年間が50%で、その後は0%となる予定でした。仕入れに含まれる消費税額が1万円の課税仕入れなら、70%の期間は7,000円分を仕入税額として控除できる計算です。この控除は、帳簿や請求書等の保存などの要件を満たした場合の取り扱いです。

70%・50%・30%の控除には、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)が、その年または事業年度で1億円(改正前は10億円)を超えると、超えた部分には適用できないという上限もあります。この上限は、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。改正前に公開された解説には、令和8年10月以降を50%とするものがあるため、最新の割合は国税庁の令和8年度税制改正特集で確認してください。

取引先との話し合いで確認したいこと

自社が免税事業者で、取引先の課税事業者から登録を求められた場合は、控除できる割合の推移、取引先がどの計算方法を使っているか、登録した場合の納税額の試算を並べて話し合います。国税庁は、免税事業者をはじめとした事業者の取引環境の整備に関する公正取引委員会の対応をまとめたページへのリンクも案内しています。

取引先の登録番号を確認する方法|公表サイトでの照合と受け取る側の実務

受け取った請求書の登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで、取引時点で有効か(取消しや失効がないか)を確認できます。

公表サイトで確認できること

公表サイトでは、登録番号が取引の時点で有効か、取消しや失効がないかなどを確認できます。公表されるのは、氏名または名称、法人の所在地、登録番号、登録年月日、登録取消・失効の年月日などです。法人の登録番号は「T」と法人番号ですが、法人番号を持つ法人がすべて登録しているわけではありません。登録は任意のため、番号の形だけで登録済みと判断せず、公表サイトで確認します。

買い手が仕入税額控除を受けるには、原則として、売手である取引先のインボイス発行事業者から交付を受けたインボイスを保存します。経費精算で受け取る領収書やレシートの扱いは、インボイス制度で経費精算書はどう変わるかの記事も参考になります。

受け取る請求書をまとめて管理する

取引先から届く請求書は、紙・メール・PDFと形式がまちまちで、登録番号の確認、記載事項のチェック、承認、保存を担当者が手作業で行うことになりがちです。受け取る請求書の一元管理から見直したい場合の一例が、Sansan株式会社が提供する「Bill One請求書受領」です。

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  • 開封や受領・保管の代行はオプションとなる

同社の導入事例では、株式会社オアシスMSCが、インボイス制度への対応で、請求書処理の課題を次のように話しています。事例の公開は2023年11月で、公開当時の情報です。

これまでの請求書処理フローでは、毎月約1,000件もの番号照会を効率的かつ正確にこなすのは難しいと考えていました

マネーフォワード クラウド債務支払 導入事例 株式会社オアシスMSC
マネーフォワード クラウド債務支払

請求書の判定から振込までをオンラインにしたい会社に

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インボイス対応の請求書業務を見直す3サービスの役割の違い

ここまでに紹介した3つのサービスは、同じ請求書業務でも担当する場面が違います。優劣ではなく役割の違いとして、商品ページで確認した内容を比べます(2026年10月20日確認)。

インボイス対応の請求書業務、3つのサービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:マネーフォワード クラウド請求書請求書の作成から送付、保管までを一つの仕組みで扱え、インボイス制度に対応していると商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:Bill One請求書受領あらゆる請求書をオンラインで受け取り、一元管理できると商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:マネーフォワード クラウド債務支払適格請求書の判定から承認、銀行振込までを同じ仕組みで進められると商品ページで紹介されています。

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サービス マネーフォワード クラウド請求書 Bill One請求書受領 マネーフォワード クラウド債務支払
向いている会社 見積書・納品書・請求書・領収書を作成して、送付と保管まで一元管理したい会社(商品ページでは個人や小規模から中小企業向けと紹介) 社内全体に届く請求書を集約し、月次決算を早めたい会社 請求書の受領から承認、銀行振込までをオンラインで完結したい会社
特徴 作成・送付・保管を一元管理し、ステータスを一覧で確認できる。インボイス制度と電子帳簿保存法に対応 あらゆる請求書をオンラインで受け取り、紙の請求書はスキャンしてデータ化する。申請や承認もデジタルで進められ、インボイス制度などの法改正に都度対応 AI-OCRで適格請求書の判定を効率化し、ワークフローの申請経路を自社に合わせて設定できる。銀行振込APIと連携してワンクリックで振込
注意したい点 入金消込を使うには「マネーフォワード クラウド請求書Plus」の契約が必要 価格を確認するには問い合わせが必要 開封や受領・保管の代行はオプション
資料・詳細

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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

毎月の請求書の発行や受領が数件にとどまる会社は、本文の手順を押さえた今のやり方で足りることも多いです。発行や受領の件数が増え、登録番号の確認や記載事項のチェック、保存に時間を取られ始めたときに、資料で機能や対応範囲を比べてみてください。対応できる書類の種類や連携先、料金などの詳細は、商品ページだけでは判断できない部分があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. インボイス登録は強制ですか?

A. 強制ではなく、登録を受けるかどうかは事業者の任意です。ただし、インボイスを交付できるのは登録を受けた事業者だけで、登録しなければ取引先の課税事業者は仕入税額控除を受けられません。この点を踏まえて、取引先の状況と自社の納税の負担を比べて検討します。

Q2. インボイス登録をしなくて良い人は?

A. 登録は任意なので、登録しない選択もできます。消費者や免税事業者など課税事業者以外の相手には交付義務がないため、顧客が消費者のみの場合は、必ずしも登録は必要ありません。取引先に課税事業者がいる場合は、取引先の仕入税額控除への影響を確認して判断します。

Q3. インボイス制度にはどうやって登録しますか?

A. 「適格請求書発行事業者の登録申請書」を、e-Tax(e-Taxソフト(WEB版)など)または書面の郵送で提出します。書面は、納税地を管轄する国税局の業務センターへ送付します。税務署長が登録簿に登載して登録し、登録番号が通知されます。免税事業者は、登録申請書に登録希望日(提出日から15日以降)を書きます。

Q4. インボイス登録制度とは何ですか?

A. 事業者が税務署長に申請して適格請求書発行事業者となり、インボイス(適格請求書)を交付できるようにする制度です。登録を受けると「T」と13桁の数字の登録番号が付き、氏名または名称などが国税庁の公表サイトで公表されます。登録を受けられるのは課税事業者に限られます。

Q5. 免税事業者が登録すると、いつから課税事業者になりますか?

A. 令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、登録申請書に書いた登録希望日から課税事業者になります。課税事業者選択届出書の提出は不要です。原則として、登録を受けた日から2年間は消費税の申告が必要で、登録を取りやめても同様です。

Q6. 登録をやめたいときはどうすればよいですか?

A. 「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します。提出日の属する課税期間の翌課税期間の初日に、登録の効力が失われます。翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて提出すると、翌々課税期間の初日になります。免税事業者が経過措置で登録した場合は、取りやめても2年間は免税事業者に戻れません。

インボイス制度の登録のまとめ|押さえたい6つのこと

  1. 登録は事業者の任意です。インボイスを交付できるのは登録事業者だけで、登録しないと、取引先の課税事業者は原則として仕入税額控除を受けられません。
  2. 登録を受けられるのは課税事業者です。免税事業者は、令和11年9月30日までの日の属する課税期間中なら、登録申請書に登録希望日を書くだけで課税事業者として登録できます。
  3. 申請はe-Taxまたは書面の郵送で行います。登録希望日は提出日から15日以降で、課税期間の初日から登録を受けたいときは、その15日前の日までに提出します。
  4. 登録後は、課税事業者の求めに応じたインボイスの交付と、写しの保存が必要です。登録番号は「T」と13桁の数字で、公表サイトで確認できます。
  5. 登録後の負担は、2割特例(令和8年9月30日までの日の属する課税期間まで)、個人事業者の3割特例(令和9年分・令和10年分)、簡易課税を比べて試算します。免税事業者等からの仕入れの控除割合は、令和8年10月から70%です。
  6. 請求書の発行や受領、登録番号の確認の手作業が負担になっているなら、請求書の発行・受領サービスの資料を取り寄せ、自社の件数や取引先に合うかを比べます。

本記事は国税庁などの公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、税務上の助言を行うものではありません。具体的な取り扱いは、税務署や税理士にご確認ください。

参考文献

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