ストレスチェック義務化|50人未満はいつから?施行日と準備を解説

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  • 施行日は2028年4月1日で、準備期間は約1年5か月
  • 義務は実施と面接指導。報告は50人未満なら不要
  • 委託先と面接指導の依頼先を先に決めておく

義務化への備え、何から手をつける?2問で確認

Q1. 施行までに、まず進めたいことは?

ストレスチェックは、2028年(令和10年)4月1日から、労働者数50人未満の事業場でも実施が義務になります。これまでは当分の間、努力義務とされてきましたが、2025年5月14日に改正労働安全衛生法が公布され、施行日は2026年6月10日公布の政令で定められました。義務になるのは、年1回の検査の実施と、申出があった高ストレスの労働者への医師の面接指導です。労働基準監督署への報告は、50人未満の事業場では不要です。施行まで約1年5か月あります(2026年10月時点)。本記事では、厚生労働省と労働局の資料をもとに、対象になる事業場と労働者の数え方、義務と努力義務の線引き、外部委託を前提にした実施の流れ、費用の考え方と無料の公的支援、準備の進め方を整理します。

目次

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  1. ストレスチェックの50人未満義務化はいつから?施行日と経緯
  2. ストレスチェックの対象は?50人未満の数え方と受検できる人
  3. 50人未満では何が義務で、何が努力義務?
  4. 50人未満のストレスチェックの実施の流れ|外部委託を前提にした進め方
  5. 施行までの準備の進め方と、費用・無料で使える公的支援
  6. 50人未満が陥りやすい失敗|公的資料で確認できる注意点
  7. 集団分析と職場環境改善|10人未満の注意と、結果を活かすツール
  8. 義務化の先へ|日常の健康づくりで、一次予防を支える
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|押さえておきたい6つのこと
  11. 参考文献

ストレスチェックの50人未満義務化はいつから?施行日と経緯

労働者数50人未満の事業場のストレスチェック義務化は、2028年(令和10年)4月1日に施行されます。2015年12月から常時50人以上の事業場で義務になっていた制度が、小規模事業場にも広がります。

決まるまでの経緯

ストレスチェック制度は、2014年6月25日に公布された改正労働安全衛生法で創設され、2015年12月1日から実施が義務付けられました。ただし、常時使用する労働者が50人未満の事業場は、同法の附則により、当分の間は努力義務とされてきました。その後の動きは次のとおりです(出典: 佐賀労働局の発表資料、こころの耳、厚生労働省の集団分析リーフレット)。

時期できごと
2015年12月1日常時50人以上の事業場でストレスチェックの実施が義務になる(50人未満は当分の間、努力義務)
2025年5月14日改正労働安全衛生法が公布され、50人未満の事業場にも実施が義務付けられることが決まる
2026年2月厚生労働省が「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表(3月に概要版とリーフレットを追加)
2026年6月10日政令第195号が公布され、施行日が2028年4月1日と定められる
2026年6月30日集団分析の方法に関する労働安全衛生規則の改正が公布される(令和8年厚生労働省令第112号。施行は2027年4月1日)
2028年4月1日50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施義務が施行される

施行日から実施までの期限について、中央労働災害防止協会は、施行日から1年以内に実施する必要があると説明しています(ストレスチェック50人未満義務化 改正Q&A)。施行までの約1年6か月は、実施体制の整備などの準備期間と位置づけられています。

50人以上の事業場との違い

制度の基本は、すでに義務になっている50人以上の事業場と同じです。違いが出るのは、報告と、産業医・衛生委員会などの体制です。

項目常時50人以上の事業場(現行)50人未満の事業場(2028年4月1日から)
ストレスチェックの実施義務(1年以内ごとに1回)義務(施行日から)
医師の面接指導高ストレスの労働者から申出があれば義務同じ
集団分析・職場環境改善努力義務同じ(努力義務)
労働基準監督署への報告義務不要
産業医・衛生委員会選任・設置の義務(常時50人以上)義務なし(地域産業保健センターなどを利用)

出典は、厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルと、労働安全衛生法施行令(第5条・第9条)です。

準備で最初に悩むのは、誰に実施を任せるか

施行までの準備で最初に悩むのが、誰に実施を任せるかです。50人未満の事業場では、プライバシー保護の観点から、外部機関への委託が推奨されています(詳しくは後述)。委託先探しや、義務化を機にした健康づくりの見直しで検討できるサービスを、役割の違いで3つ並べます。ストレスチェックに対応するかはサービスごとに異なるため、公式ページで確認できた範囲だけを書いています。

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サービス ミキワメAI ウェルビーイングサーベイ カオナビ カロリパークス
向いている会社 約3分の回答で、サーベイを高頻度に実施したい会社 人材情報を一元管理し、従業員満足度を可視化・改善したい会社 使われる福利厚生で、健康経営を進めたい会社
特徴 性格を踏まえたサーベイ。公式サイトに、厚生労働省のマニュアルに準拠したストレスチェックも利用できるとの記載(2026年10月20日確認) スキル管理や人材配置のシミュレーション、モチベーション分析。公式の機能一覧にパルスサーベイ・AI分析(2026年10月20日確認) AI活用の食事管理、歩数を競うランキング、利用状況のレポート。1名から利用可能
注意したい点 料金は人数により変わる。50人未満での実施体制や面接指導の範囲は資料で確認 多くの機能がオプションで割高になる可能性。公式の機能一覧にストレスチェックの記載は確認できず 詳しい費用は問い合わせが必要。ストレスチェックや面接指導を担うサービスではない
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ストレスチェックの対象は?50人未満の数え方と受検できる人

ストレスチェックの対象になるのは「常時使用する労働者」で、義務の有無は事業場ごとに判断します。事業場は原則として、工場・事務所・店舗など同一の場所にあるものを1つと考え、同じ会社でも場所が離れていれば別の事業場です。

50人未満かどうかは、事業場ごとに数える

「50人未満」は会社全体の人数ではなく、事業場ごとの人数で判断します。厚生労働省のマニュアルは、同一企業であっても場所的に分散している場合は別個の事業場になると説明しています(小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル)。たとえば、従業員が合計60人でも、本社40人と店舗20人に分かれていれば、それぞれが50人未満の事業場として扱われる考え方です。判断に迷うときは、労働基準監督署や産業保健総合支援センターに相談してください。

受検の対象になる労働者の条件

ストレスチェックの対象者は、次のいずれの要件も満たす「常時使用する労働者」です。一般定期健康診断の対象者と同様で、契約の名称や国籍は関係ありません。

  1. 期間の定めのない労働契約で使用される人。期間の定めのある契約でも、契約期間が1年以上の人、契約更新により1年以上使用されることが予定されている人、1年以上引き続き使用されている人を含む
  2. 1週間の労働時間数が、その事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上である人

労働時間が通常の労働者の4分の3未満でも、上の1の要件を満たし、おおむね2分の1以上の人には、ストレスチェックを実施することが望ましいとされています。派遣労働者は、一般定期健康診断と同様に、派遣元に実施義務があります。なお、一般定期健康診断と異なり、ストレスチェックでは労働者に受検の義務が課されていません。

「対象者」と「常時使用する労働者」の数え方は違う

見落としやすいのが、50人の判定に使う「常時使用する労働者」と、受検の対象者の違いです。前者は契約期間や労働時間ではなく、常態として使用されているかどうかで判断します。そのため、労働時間の短いアルバイトやパートタイム労働者、派遣先の派遣労働者でも、継続して雇用し常態として使用していれば数えます。

働き方ストレスチェックの対象者か「常時使用する労働者」の人数に数えるか
期間の定めのない正社員(所定労働時間が通常の労働者と同じ)対象数える
契約期間が1年以上のフルタイムの契約社員対象数える
通常の労働者の4分の3未満の時間で継続して働くパート対象外(おおむね2分の1以上なら実施が望ましい)常態として使用していれば数える
派遣元から来ている派遣労働者(派遣先から見て)派遣先は実施義務なし(派遣元に実施義務)継続して常態として使用していれば数える(労基署報告の基準の説明)

仮の人数で考えてみます。正社員が34人、週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満のパートが16人(いずれも継続して雇用)の事業場では、常時使用する労働者は合計50人です。この場合は「50人未満」ではなく、50人以上の事業場として、すでにストレスチェックの実施と労働基準監督署への報告が必要になります。受検の対象者は、正社員の34人です。対象者が50人未満でも、常時使用する労働者が50人以上なら報告が必要になるため、人数の数え方は施行前に確認しておきましょう。

50人未満では何が義務で、何が努力義務?

50人未満の事業場でも義務になるのは、年1回のストレスチェックの実施と、申出があった高ストレスの労働者への医師の面接指導です。集団分析・職場環境改善は努力義務で、労働基準監督署への報告は不要です。

取り組み位置づけポイント
ストレスチェック(検査)の実施義務常時使用する労働者に、1年以内ごとに1回、定期に実施する(労働安全衛生規則第52条の9)
結果の通知義務結果は検査を行った医師等から本人に直接通知され、本人の同意なく事業者に提供されない(労働安全衛生法第66条の10第2項)
医師の面接指導申出があれば義務高ストレスと判定され申出をした労働者に、遅滞なく実施する。費用は事業者の負担で、保険診療は使えない
医師の意見聴取と就業上の措置義務面接指導の結果に基づき医師の意見を聴き、必要があると認めるときは就業場所の変更や労働時間の短縮などの措置を講じる
面接指導結果の記録義務記録を作成し、5年間保存する(労働安全衛生規則第52条の18)
集団分析・職場環境改善努力義務検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場の改善につなげるよう努める(同規則第52条の14)
労働基準監督署への報告50人未満は不要報告が義務なのは、常時使用する労働者が50人以上の事業場(同規則第52条の21)
従業員の受検労働者に義務なしできるだけ対象者全員が受検することが望まれる

出典は、労働安全衛生法、労働安全衛生規則、厚生労働省のマニュアルです(2026年10月時点の条文)。制度全体の考え方は、ストレスチェックの義務化とはでも解説しています。

実施しなかった場合は?罰則と安全配慮義務

労働安全衛生法の罰則を定めた第119条・第120条の列挙には、第66条の10(ストレスチェックの実施義務)は挙げられていません。ただし、罰則の条文に挙がっていないことは、対応しなくてよいという意味ではありません。労働契約法第5条は、使用者は労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をするものとすると定めています。ストレスチェックを実施せず、従業員の不調への気づきが遅れた場合、安全配慮の面で問題になる可能性があります。

なお、ストレスチェックや面接指導の実施の事務に従事した人には、労働安全衛生法第105条により守秘義務が課され、違反すると罰則があります。本記事は法的助言ではなく一般的な情報提供です。個別の判断は、社会保険労務士や労働基準監督署、産業保健総合支援センターに確認してください。産業医との契約との関係は、ストレスチェックに産業医との契約は必要?も参考になります。

50人未満のストレスチェックの実施の流れ|外部委託を前提にした進め方

50人未満の事業場では、プライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが原則として推奨されています。厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルは、準備から職場環境改善までを次の流れで示しています。

ステップ1: 方針の表明・意見聴取・社内ルールをつくる

事業者は、実施責任者として導入の方針を表明し、実施体制や実施方法について関係労働者の意見を聴いたうえで、社内ルール(規程)をつくって周知します。50人未満の事業場には衛生委員会がありませんが、労働安全衛生規則第23条の2により、安全衛生に関する事項について関係労働者の意見を聴く機会を設けることになっています。この機会を活用でき、会議体の形をとる必要はありません。マニュアルには、方針表明や社内ルールのモデル例があり、厚生労働省の小規模事業者向けページから編集できるWord形式の規程例も入手できます。

ステップ2: 実務担当者を決め、委託先を選ぶ

委託先との連絡調整や実施計画の管理を担う実務担当者を、事業場内で指名します。常時10人以上50人未満の事業場では、業種により衛生推進者または安全衛生推進者の選任が必要で(労働安全衛生規則第12条の2)、実務担当者にはこの人が望ましいとされています。10人未満の事業場では、事業者自らが担うことが考えられます。

ストレスチェックを実施する人(実施者)は、医師、保健師、または所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師です。受検する労働者の解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位の人は、実施の事務に従事できません(労働安全衛生規則第52条の10)。外部委託では、個人結果などの健康情報の扱いを外部機関の中で完結させ、事業場内では扱いません。

委託先の選定では、外部機関に「サービス内容事前説明書」を作成・説明してもらい、提案内容を比べます。マニュアルは、実施方法のほか、特に料金体系(どこまでが標準サービスで、どこからがオプションの別料金か)をチェックするよう求めています。外部機関の探し方や費用の比べ方は、ストレスチェックの代行サービスとはと、ストレスチェックサービスおすすめ8選でも整理しています。

ステップ3: 実施・通知・面接指導

委託先から労働者に調査票(紙またはウェブ)を配り、各自が回答します。個人結果は、実施者から労働者本人に直接通知されます。高ストレスと判定された労働者が申し出れば、事業者は医師による面接指導を実施し、その後、医師の意見を聴いたうえで必要な就業上の措置を講じます。面接指導の依頼先は、外部機関のオプションサービス、地域産業保健センター、産業保健に対応する医療機関などから選べます。高ストレスの人が面接指導を受けず放置されないよう、こころの耳などの相談窓口も案内しておくことが望まれています。

面接指導の結果を受けた従業員の健康面の扱いは、ストレスチェックの高ストレス者とはで詳しく説明しています。

ステップ4: 集団分析と職場環境改善

個人が特定されない形で集団ごとに集計・分析した結果を使い、職場のストレス要因を把握して改善に取り組みます。努力義務ですが、制度は集団分析・職場環境改善までを含めた一体的な仕組みとされています。10人未満の集団を扱うときの注意点は、後述します。

義務化に向けた準備、どこまで進んでいますか?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

施行までの準備の進め方と、費用・無料で使える公的支援

施行までの約1年5か月は、方針の決定、委託先の選定、社内ルールの整備を順に進める期間です。費用は委託先とプランによって異なり、面接指導は事業者の負担ですが、50人未満の事業場は地域産業保健センターで無料の面接指導を受けられます。

施行日から逆算した準備の目安

次の表は、2028年4月1日の施行日から逆算した編集上の目安です。公式に定められた期限ではないため、自社の状況に合わせて調整してください。

時期の目安やること
2026年度中厚生労働省のマニュアル概要版とリーフレットで制度を理解する。実務担当者を決め、事業場ごとの常時使用する労働者の人数を数える
2027年4月から集団分析の規則改正が施行される。委託先の候補を2-3社に絞り、サービス内容事前説明書と見積もりを集める
2027年度後半従業員の意見を聴く機会を設ける。社内ルールを作り、面接指導の依頼先(外部機関のオプション、地域産業保健センターなど)を決める
2028年1-3月従業員に制度の目的、プライバシーの保護、不利益な取扱いをしないことを説明し、実施時期を決める
2028年4月1日施行。施行日から1年以内に、最初のストレスチェックを実施する

費用の考え方

ストレスチェックの費用は、委託先、人数、サービス内容によって異なるため、本記事では金額を示しません。厚生労働省のマニュアルは、受託料金には、実施者や実施事務従事者の体制、実施事務の経費、システム提供、データ保管など、実施に不可分の費用が原則として含まれるのが標準と考えられるとしています。これらがオプション(別料金)とされている場合は、料金の妥当性を確認するよう求めています。面接指導の費用は、事業者が負担するものとされています。

無料で使える公的支援

支援先内容
産業保健総合支援センター(全国47か所)メンタルヘルス対策の相談、研修、事業場への訪問による導入支援などを無料で受けられる
地域産業保健センター(全国350か所)労働者数50人未満の事業場を対象に、医師による面接指導などを無料で提供する。ストレスチェック自体は実施していない
ストレスチェック制度サポートダイヤル電話 0570-031050(通話料あり)。平日10時から17時(土日祝、12月29日から1月3日を除く)。導入・実施の相談に専門スタッフが答える
こころの耳厚生労働省のメンタルヘルスのポータルサイト。制度の情報、取組事例、電話・メール・SNSの相談窓口を掲載

出典は、厚生労働省「労働者数50人未満の小規模事業者の方」とマニュアルです。

助成金は、事業主団体向け

労働者健康安全機構の「団体経由産業保健活動推進助成金」は、中小企業などを支援する事業主団体等が対象で、傘下の企業に産業保健サービスを提供した費用の一部が助成されます。同機構の案内では、令和8年度の申請は予算の上限に達したため、2026年7月10日に受付が終了しています。令和9年度の予定は同ページに記載がないため、所属する事業主団体や機構の案内で確認してください(労働者健康安全機構の案内ページ)。個々の企業が直接申請する制度ではない点にも注意が必要です。

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50人未満が陥りやすい失敗|公的資料で確認できる注意点

小規模事業場の失敗は、実施そのものよりも、結果の扱い方と、従業員が安心して受けられる設計で起きやすくなります。厚生労働省のマニュアルと規則から、特に注意したい点をまとめます。

陥りやすい失敗なぜ問題か根拠
社長や担当者が、従業員の個人結果を見ようとする事業者は個人結果を入手すべきではなく、実施者などに提供を強要してはいけない。同意を得て提供を受けた場合も厳重な管理が必要厚生労働省マニュアル
人事権を持つ人が、実施の事務に関わる解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位の人は、実施の事務に従事できない労働安全衛生規則第52条の10第2項
社内で個人結果を扱い、従業員に不安を与える事業者に個人情報が把握されるのではという不安が生じやすく、従業員の協力が得られず適切な実施が難しくなる厚生労働省マニュアル
面接指導の申出を理由に、不利益に扱う労働者が面接指導を申し出たことを理由とした不利益な取扱いは禁止されている労働安全衛生法第66条の10第3項
面接指導の依頼先を決めないまま、施行を迎える申出があれば、事業者は遅滞なく面接指導を行わなければならない労働安全衛生規則第52条の16
10人未満の集団で集団分析を行う個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析を実施してはいけない厚生労働省の集団分析リーフレット
実施して終わりにする制度は集団分析と職場環境改善までを含む一体的な仕組みで、目的は不調の未然防止厚生労働省マニュアル

受検しない従業員がいるときは

ストレスチェックでは、労働者に受検の義務が課されていません。一方で、制度を効果的にするため、できるだけ対象者全員が受検することが望まれます。マニュアルの方針表明の例では、従業員が業務時間中に受検できるよう管理者が配慮すること、個人結果は本人に直接通知され会社が知ることはないこと、面接指導を申し出たことで不利益が生じないことを、従業員に明示しています。受検を促すには、強制ではなく、安心して受けられる説明と環境づくりが基本になります。

集団分析と職場環境改善|10人未満の注意と、結果を活かすツール

集団分析は努力義務ですが、ストレスチェックの結果を職場の改善につなげる、制度の効果を左右する取り組みです。2027年4月1日からは、集団分析を「特定の個人を識別することができない方法で」実施することが、労働安全衛生規則第52条の14に明記されます。

10人未満の集団は、原則として分析しない

厚生労働省のリーフレットは、集計・分析の単位が10人を下回る場合、個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析を実施してはいけないとしています。10人を下回る場合でも、全57項目の合計点について集団の平均値を求める方法や、「仕事のストレス判定図」を用いる方法など、個人が特定されるおそれのない方法であれば実施できる、と例を示しています。ただし極端に少人数の場合は不適切です。事業場自体が小規模なときは、10人以上のより大きな集団を構成するよう工夫して分析することが求められます。この規則改正は、従来の解釈を明文化したもので、運用を変えるものではないとされています。

結果を職場改善につなげる

集団分析の結果で見えるのは、部署ごとのストレスの要因です。業務量の偏り、役割の曖昧さ、上司や同僚の支援の少なさなどが見えたら、業務分担や人員配置を見直し、改善後に次回の結果で変化を確認します。取り組みの内容は多様で、マニュアルには小規模事業場などの取組事例が掲載されています。

ストレスチェックの個人結果は、事業者が原則として入手すべきでないとされており、人事データと突き合わせるような使い方は想定されていません。使えるのは、個人が特定されない集団分析の結果や、別に実施するサーベイの結果です。この前提で、職場改善の検討や人材情報の整理に使えるツールの一例が、株式会社カオナビが提供するカオナビです。社員データのグラフ化、AI分析、ダッシュボードのほか、社員アンケートやパルスサーベイが公式サイトの機能一覧に掲載されています(2026年10月20日確認)。商品ページでは、スキル管理や人材配置のシミュレーション、モチベーション分析・ハイパフォーマー分析などの分析機能が挙げられています。ただし、公式サイトの機能一覧には、ストレスチェックの実施機能の記載を確認できませんでした。法定のストレスチェックの代わりではなく、集団分析を受けた職場改善や、人材情報の整理を進める場面での活用が想定されます。多くの機能がオプションのため、必要な機能が多い場合は割高になる可能性もあります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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義務化の先へ|日常の健康づくりで、一次予防を支える

ストレスチェックは年1回の検査であり、日々の健康づくりを置き換えるものではありません。厚生労働省のマニュアルは、メンタルヘルス対策に取り組むことが、働きやすい職場の実現を通じて、生産性の向上や人材の確保・定着、企業価値の向上につながるとしています。

小規模事業場は、1人の不調が職場全体に与える影響が大きくなります。厚生労働省のマニュアルは、ひとたびメンタルヘルス不調になると、病休期間は平均で約3か月、復職後に再び病休になる割合も約半数と示し、特に小規模事業場にとっては大きな人材の損失と経営上のリスクにつながると説明しています。あわせて、制度の目的はメンタルヘルス不調の未然防止であり、不調者の発見ではないとしています。

ストレスチェックの法定の取り組みを土台に、従業員が日常から食事や運動、睡眠に目を向けられる環境を整えることも、一次予防を支える選択肢です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. ストレスチェックは50人未満の事業場でいつから義務になりますか?

A. 労働者数50人未満の事業場では、2028年(令和10年)4月1日から義務になります。2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法の施行日が、2026年6月10日公布の政令第195号で定められました。それまでは当分の間、努力義務とされています。中災防は、施行日から1年以内に実施する必要があると説明しています。

Q2. ストレスチェックは50人未満でも労働基準監督署への報告義務がありますか?

A. 労働基準監督署への報告が義務なのは、常時使用する労働者が50人以上の事業場です。厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルは、労働者数50人未満の事業場は報告が不要としています。ただし、報告の要否は「常時使用している労働者」の人数で判断し、パートやアルバイトも常態として使用していれば数えます。ストレスチェックの対象者が50人未満でも、常時使用する労働者が50人以上なら報告が必要になる場合があります。

Q3. 安全衛生委員会や衛生委員会の設置義務は50人未満でもありますか?

A. 衛生委員会を設けなければならないのは、労働安全衛生法施行令第9条で常時50人以上の労働者を使用する事業場とされており、50人未満の事業場に設置義務はありません。産業医の選任も同じく常時50人以上が対象です。その代わり、50人未満の事業場では、安全衛生に関する事項について関係労働者の意見を聴く機会を設けることが労働安全衛生規則第23条の2で定められており、ストレスチェックの導入時の意見聴取もこの機会を使えます。

Q4. 50人未満のストレスチェックのマニュアルとは何ですか?

A. 厚生労働省が2026年2月に公表した「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」のことです。労働者のプライバシーを守りながら、50人未満の事業場でも現実的に実施できる体制と方法を示しています。2026年3月には、要点をまとめた概要版(スタートガイド)と周知用リーフレットも公開され、社内ルールの例(Word形式)も入手できます。

Q5. ストレスチェックはどこまで義務化されていますか?

A. 義務なのは、年1回のストレスチェックの実施と、高ストレスで面接指導を申し出た労働者への医師の面接指導、およびその結果を踏まえた医師の意見聴取と必要な就業上の措置です。集団分析と職場環境の改善は努力義務です。労働者本人に受検の義務はなく、50人未満の事業場は労働基準監督署への報告も不要です。

Q6. 産業医がいない場合、高ストレスの従業員の面接指導はどうすればよいですか?

A. 50人未満の事業場は、最寄りの地域産業保健センターに依頼して、医師による面接指導を無料で受けられます。全国350か所に設置されており、登録産業医が配置されています。ストレスチェック自体は実施していないため、検査の実施は外部機関への委託などで別に手配します。委託先が面接指導をオプションサービスとして用意している場合は、その費用が必要です。

まとめ|押さえておきたい6つのこと

ストレスチェックは、2028年4月1日から、労働者数50人未満の事業場でも義務になります。施行までの約1年5か月で、人数の確認から委託先の選定まで進めておけば、慌てずに対応できます。押さえておきたいのは次の6つです。

  1. 施行日が2028年4月1日であることを確認し、準備に使える期間を把握する
  2. 事業場ごとに常時使用する労働者を数え、50人未満か、対象者が何人かを確認する
  3. 義務(実施と面接指導)、努力義務(集団分析)、報告不要の線引きを整理する
  4. 外部委託を前提に、方針表明・意見聴取・社内ルール・委託先・面接指導の依頼先を決める
  5. 個人結果は事業者が入手しないこと、10人未満の集団は分析しないことを社内で徹底する
  6. 委託先やサーベイ、健康づくりの選択肢を検討する場合は、資料を取り寄せて実施者の体制と料金体系を比べる

小規模事業場では、1人の不調が職場全体に影響します。義務化を、従業員が安心して働ける職場づくりの機会として使えるよう、早めの準備を始めましょう。

参考文献

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