秘密保持契約(NDA)とは?必要な場面・条項・結ぶ前の確認点を解説

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  • 目的外使用の禁止と範囲を明確にする契約
  • 条項は経産省の参考例の7条が目安
  • 押印は必須でなく印紙は内容で判断

秘密保持契約(NDA)とは、取引の検討や業務の依頼にあたって相手に開示する営業上・技術上の情報を、第三者に漏らさず、目的以外に使わないと約束する契約です。機密保持契約やCDAなどと呼ばれることもありますが、効力は名称ではなく、秘密にする範囲・目的・期間・違反したときの扱いといった中身で決まります。この記事では、NDAの意味と必要になる場面、契約書に入れる条項と記載例、結ぶ前の確認点、M&Aや業務委託などの場面別の違い、押印・収入印紙・電子契約での扱い、違反されたときの請求、締結後の管理までを、不正競争防止法・民法・経済産業省・中小企業庁の一次情報をもとに解説します。

秘密保持契約(NDA)まわりの状況から、合うサービスの一例を見てみる

Q1. NDAを、いまどの形で結ぶことが多いですか?

目次

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  1. 秘密保持契約(NDA)とは?意味と目的、呼び方の違い
  2. 秘密保持契約書に入れる条項と記載例|経済産業省の参考例から
  3. NDAを結ぶ前に確認する点|開示する側と受け取る側で見る場所が違う
  4. 場面別のNDA|M&A・業務提携・業務委託・従業員で何が違うか
  5. NDAの押印・収入印紙・電子契約|認印は使えるか、印紙は必要か
  6. NDAに違反されたらどうなる?損害賠償と不正競争防止法
  7. 締結後の管理|有効期限・自動更新・返還消去を台帳で回す
  8. よくある質問(FAQ)
  9. 秘密保持契約(NDA)で押さえたい6つのこと
  10. 参考文献

秘密保持契約(NDA)とは?意味と目的、呼び方の違い

秘密保持契約(NDA)とは、取引の検討や業務の依頼で相手に開示する営業上・技術上の情報を、第三者に漏らさず、目的以外に使わないと約束する契約です。

法律上、守る対象の中心は「営業秘密」です。不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定めています(e-Gov法令検索 不正競争防止法)。情報を相手に渡すと、その管理は相手の手に移ります。渡した後も秘密として扱ってもらう約束を書面に残すのが、NDAの役割です。なお、NDAを結べば自動的に営業秘密として保護されるわけではなく、情報の管理とあわせて考える必要があります。

NDA・CA・CDA・機密保持契約の違い

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」は、秘密保持契約を「秘密保持を確約する趣旨で締結する契約」と説明し、「NDA(Non-Disclosure Agreement)」や「CA(Confidential Agreement)」ともいうとしています(中小企業庁 中小M&Aガイドライン(第3版))。呼び方が違っても、守る情報・目的・期間・違反時の扱いが書かれていれば同じ目的の契約です。書面の名前ではなく、中身を確認します。

呼び名正式名称・略称補足
秘密保持契約NDA(Non-Disclosure Agreement)最も一般的な呼び方。中小M&Aガイドラインも「NDA」と併記
機密保持契約NDAと同じ目的で使われる呼び方会社や業界の慣行で呼び方が分かれる。名称より中身で確認する
CAConfidential Agreement中小M&Aガイドラインが「NDA」と並べて紹介している略称
CDAConfidential Disclosure Agreement秘密情報を開示するときに結ぶ契約の呼び方として使われる。同じく中身で確認する

NDAは、結ぶときの押印・郵送・返送待ちと、結んだ後の有効期間・自動更新・保管場所の管理が、案件ごとに積み重なります。契約書や取引書類の締結・管理を見直したい会社向けに、電子契約・契約書管理の3サービスを役割の違いで比べます。

秘密保持契約(NDA)の締結と管理を見直す3サービスの役割の違い

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サービス Biz Connection Contract One SMBCクラウドサイン
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特徴 企業間取引の書類を電子化して一元管理するBtoBプロセスプラットフォーム。電子帳簿保存法に対応します。 契約書をAI-OCRと専門スタッフの確認でデータ化して一元管理。全文検索や、契約期限が近づいたときのアラート通知を備えます。 弁護士監修のクラウド型電子契約サービス。契約締結から契約書管理まで行えます。
注意したい点 詳しい料金やプランについては、問い合わせが必要です。 導入時に、業務フローの見直しが必要な場合があります。 フォルダ管理の自由度が低い点が、商品ページで注意点として挙げられています。
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NDAと取引基本契約、発注書や請書などの取引書類が案件ごとに別々の場所で動いている場合の一例が、株式会社フォーカスシステムズの「Biz Connection」です。商品ページでは、企業間取引で受け渡す書類を電子化して一元管理するBtoBプロセスプラットフォームで、電子帳簿保存法に対応し、1社・1案件に対する複数の処理を紐づけて案件の進捗を把握できると紹介されています。注意点として、詳しい料金やプランは問い合わせが必要とされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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「発注請書は紙の書類でやり取りするケースが多く、書類管理の業務負荷が過大だったほか、印紙の貼り忘れによる手戻りも頻繁に発生していた。」

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秘密保持契約書に入れる条項と記載例|経済産業省の参考例から

秘密保持契約書には、秘密情報の定義、取扱いと目的外使用の禁止、返還・消去、損害賠償、有効期限、管轄などを入れます。経済産業省の参考例は、これらを7つの条で構成しています。

経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」(2024年2月改訂)の参考資料2は、各種契約書等の参考例の第4として、他社との業務提携の検討にあたり企業同士が用いる「業務提携の検討における秘密保持契約書」の例を掲げています(経済産業省 参考資料2 各種契約書等の参考例)。同資料は、条項の書きぶりは個別具体的な事情を踏まえて書き分ける必要があり、あくまで参考例の一つにすぎないとも述べています。次の表は、その7つの条の内容を、確認する点とあわせて整理したものです。

条参考例の内容確認する点
第1条 秘密情報開示者が秘密である旨を明示した技術上・営業上の情報、本契約の存在及び内容その他一切の情報。一定の5類型は対象外「一切の情報」で足りるか。対象を特定できるなら、できる限り具体的に書く
第2条 秘密情報等の取扱い情報取扱管理者を定めて保管、本取引の目的以外に使用しない、複製は目的の範囲内、漏えい等は直ちに書面で通知、取扱責任者の通知、第三者への開示は書面による事前承諾誰が窓口か。複製の扱い。外注先や専門家へ共有するときの承諾の取り方
第3条 返還義務等不要になったとき、または相手方の請求があったときに直ちに返還。自己の記録媒体に含まれる情報は消去し、書面で報告返還か消去か。消去したことをどう報告するか
第4条 損害賠償等違反した場合、相手方が必要と認める措置を講じ、生じた損害を賠償従業員・元従業員や、開示先の第三者の行為まで含めるか
第5条 有効期限締結日から満何年。期間満了前までに書面の通知がなければ、同一条件でさらに何年か継続する自動更新期間の長さ。自動更新の有無。更新しない場合の通知期限
第6条 協議事項定めのない事項や疑義は協議して解決協議で決まらない場合の手順
第7条 管轄紛争は特定の地方(簡易)裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする自社に近い裁判所か

秘密情報の定義と、対象外になる5つの情報

参考例の第1条は、開示を受けた側が書面でその根拠を立証できる場合に限り、次の5つの情報を秘密情報の対象外としています。

  • 開示を受けたときに既に保有していた情報
  • 開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
  • 開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、または創出した情報
  • 開示を受けたときに既に公知であった情報
  • 開示を受けた後、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報

同資料の注記は、秘密情報の対象をより明確にするために、対象情報を別紙でリスト化して随時更新する方法も示しています。口頭や映像など、秘密である旨の表示が難しい形で開示される情報については、開示時に秘密である旨を伝え、開示後一定の日数以内に書面で交付した場合に秘密情報とみなす規定例もあります。

有効期限と自動更新の考え方

参考例の第5条は、有効期限を「締結日から満何年」とし、自動更新の定めを置いています。注記によると、業務提携を検討している事実そのものを秘密情報に含める場合、その部分の有効期限は他の秘密情報より相対的に短く、自動更新は置かずに6か月から2年程度とするのが一般的とされています。期間は、情報の価値が続く期間と、受け取る側の管理の負担とのバランスで決めます。

ひな形(雛形)はどこで入手できるか

公的な参考例は2つあります。1つは、経済産業省の営業秘密のページで、参考資料2のWord版をダウンロードできます(経済産業省 営業秘密)。もう1つは、中小M&Aガイドライン(第3版)の参考資料7に収録された「秘密保持契約書サンプル」で、譲り渡し側・譲り受け側の当事者間で結ぶ場合の参照先として、本体で案内されています。どちらも参考例であり、そのまま使うのではなく、自社の取引に合わせて条項を取捨選択します。

条項をそろえても、結んだ後に有効期間や自動更新を把握できていなければ、期限切れや意図しない更新が起きます。次のセルフチェックで、自社のNDAの管理を点検してみてください。

NDAの管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

NDAを結ぶ前に確認する点|開示する側と受け取る側で見る場所が違う

NDAは、情報を開示する側か受け取る側かで、有利な書き方が変わります。立場ごとに見る条項を決めておくと、相手の書式をそのまま受け入れる失敗を減らせます。

確認項目開示する側で見る点受け取る側で見る点
秘密情報の範囲渡す情報が漏れなく入るか。口頭や画面共有での開示も含めるか範囲が広すぎて管理しきれなくならないか。秘密と分かる表示を条件にできるか
使用目的目的を具体的に書き、目的外使用を防ぐ目的が狭すぎて、予定した業務ができなくならないか
対象外の情報対象外の定めが広すぎないか既に保有していた情報や公知の情報が、対象外に入っているか
第三者への開示外注先などへの再開示に事前承諾を求めるか弁護士や外注先など、業務に必要な共有先に開示できるか
期間情報の価値が続く期間を覆っているか義務が無期限になっていないか
返還・消去返還と、消去したことの報告を求めるかバックアップなどに残る情報をどう扱うか
損害賠償違反時の措置や差止めを定めておくか責任の範囲が過大になっていないか

片務契約と双務契約

一方だけが情報を開示するときは、受け取る側だけが義務を負う片務の形になります。双方が情報を出し合うときは、双方が義務を負う双務の形にします。経済産業省の参考例は、「甲又は乙が相手方に開示する秘密情報」を対象にした、双方向の書き方です。取引の途中で情報を渡す方向が逆になることもあるため、実態に合わせて選びます。

相手方の書式が届いたときの確認手順

  1. 自社が開示する側か、受け取る側か、双方かを確認する。
  2. 秘密情報の定義と、対象外の定めを読み、自社が渡す・受け取る情報が含まれるかを確かめる。
  3. 使用目的が、予定している業務の範囲に合っているかを確かめる。
  4. 有効期限・自動更新・返還消去の定めを確かめ、社内の台帳に登録する項目を決める。
  5. 修正を依頼するときは、版を分けて保存し、変更点が分かる形で相手方に戻す。

相手方がNDAの締結に難色を示す場合は、開示する情報の範囲と、使用目的を説明したうえで、対象を絞った修正案を示すのが現実的です。それでも合意できないときは、開示する情報を絞る、開示を見送るといった判断になります。

自社で作る場合の流れと、専門家に相談する場面

  1. 守りたい情報を洗い出し、開示する相手と目的を決める。
  2. 経済産業省などの参考例をもとに、定義・目的・期間・返還消去・損害賠償・管轄の草案を作る。
  3. 相手方と条項を調整し、版を分けて保存する。
  4. 署名または押印、もしくは電子署名で締結し、台帳に登録する。

M&Aや共同開発など、開示する情報の価値が高い取引、損害賠償や差止めの条項に不安がある場合、相手方の書式で自社に不利な条項が分からない場合は、弁護士や行政書士などの専門家への相談を検討します。

委託先や外注先に情報を渡す場合は、NDAだけでなく、委託先の監督や契約条項の整理も必要になります。BPOでの考え方は、BPOセキュリティとは?委託先監督・契約条項・選定基準を解説で整理しています。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

場面別のNDA|M&A・業務提携・業務委託・従業員で何が違うか

NDAは契約の種類で、M&Aや業務提携は取引の種類です。M&Aでは、候補先に詳細な情報を開示する前にNDAを結びます。場面によって、守る情報と、NDAを結ぶ相手が変わります。

場面NDAの形公的資料での扱い
M&A(中小M&A)ノンネーム・シートに関心を示した候補先と、企業概要書などの詳細資料を開示する前に結ぶ。仲介者・FAとも結ぶ中小M&Aガイドラインは、ネームクリアは候補先との秘密保持契約を締結した上で実施される必要があるとしている
業務提携の検討提携を検討する企業同士が、開示する秘密情報の取扱いを定める経済産業省の参考例(第4)が、この場面の契約書例を示している
製造・業務委託基本契約や業務委託契約書の中の秘密保持条項で足りる場合と、別にNDAを結ぶ場合がある経済産業省の参考例(第5・第6)が、契約書の中の秘密保持条項の例を示している
従業員・プロジェクト参加者・見学者個人から差し入れてもらう秘密保持誓約書経済産業省の参考例(第3)が、入社時・プロジェクト参加時・退職時・他社による工場見学時の誓約書例を示している

NDAとM&Aの違い

NDAとM&Aは、比べる対象ではありません。M&Aは事業や会社を引き継ぐ取引で、NDAはその手続の中で、情報を開示する前に結ぶ契約です。中小M&Aガイドラインは、秘密保持契約を、譲り受け側が、ノンネーム・シート(ティーザー)を参照して譲り渡し側に関心を抱いた場合に、より詳細な情報を入手するために譲り渡し側との間で結ぶケースや、仲介者・FAとの間で結ぶケースがあると説明しています。企業概要書は、秘密保持契約を締結した後に提示するものとされています。

同ガイドラインは、資金繰りなどの事情でクロージングを急ぐ場合には、基本合意を締結せず、最低限の秘密保持契約の締結のみにとどめて最終契約に進むケースもあると述べています。NDAは、M&Aの最初の段階で結ぶ契約であり、同時に、最低限これだけは結ぶ契約でもあります(中小M&Aガイドライン、PDF20・47・93ページ)。

別のNDAにするか、契約書の条項に入れるか

経済産業省の参考例の注記は、業務提携に係る契約の中に秘密保持条項を盛り込む場合もあると述べています。そのうえで、業務提携に係る契約とは別にNDAを結ぶ場合は、業務提携に係る契約書の中で、別途秘密保持契約を締結する旨を明示し、何に関連する秘密保持契約であるのかなど契約関係を明確にすることが有効だとしています。業務委託の契約書との関係は、偽装請負と言われないBPO契約の作り方でも、契約の種類の違いとして整理しています。

NDA、取引基本契約、個別の発注書や請書は、案件ごとに結ぶ時期も保管場所も異なります。これらをバラバラに保存していると、どの案件にどのNDAが適用されるのかを確認する手間が増えます。

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

NDAの押印・収入印紙・電子契約|認印は使えるか、印紙は必要か

秘密保持契約の成立に、書面や押印は法律上の要件ではありません。ただし、争いになったときの証明のため、署名または押印のある書面か、電子署名のある電子ファイルで残すのが一般的です。

秘密保持契約書に認印は押せるか

民法第522条第2項は、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しないと定めています(e-Gov法令検索 民法)。民事訴訟法第228条第4項は、私文書は、本人またはその代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定すると定めています(e-Gov法令検索 民事訴訟法)。

これらの条文に、押印を実印に限る規定はありません。認印でも、契約が成立しないわけではありません。ただし、誰が押したのかが争いになったときの証明のしやすさは、押印した人の肩書き、署名の有無、社内の押印規程などで変わります。相手方や自社の規程が求める印を使うのが、実務上の無難な選択です。

NDAに収入印紙は必要か

国税庁は、課税文書とは、印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項が記載されていること、当事者間で課税事項を証明する目的で作成されたこと、非課税文書でないことの3つにあてはまる文書だと説明しています。文書が課税対象かどうかは、名称や表題で形式的に決めず、記載された文言の実質的な意味を汲み取って総合的に判断するとされています(国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断)。

秘密保持だけを定めた契約書は、通常は20種類のいずれにも当たらないため、印紙は不要と解説されることが一般的です。一方、業務委託や継続的な取引の基本事項など、別の契約の内容を兼ねるNDAは、その内容で判断されます。「秘密保持契約書」という名称だけで安心せず、書かれた中身を確認します。個別の判断は、税務署にご確認ください。

電子契約でNDAを結ぶ場合

電子署名法第3条は、本人の電子署名が付され、本人だけが行えるよう管理されている電磁的記録について、真正に成立したものと推定すると定めています(e-Gov法令検索 電子署名法)。紙の署名押印が担っていた本人性と、改ざんされていないことの確認を、電子署名が担う形です。印紙税については、電子署名を付した電磁的記録をメールで送る場合は、電磁的記録が文書に含まれないため課税されないとされています(国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」)。

NDAを電子契約で結べるかどうかは、NDA(秘密保持契約書)は電子契約で締結可能?メリットも解説で、メリットとあわせて整理しています。本記事では、結ぶ手間を減らす手段の一つとして、電子契約サービスの違いを見ます。紙の取引書類を含めて電子化を進める考え方は、DXペーパーレスとは?紙を減らすだけで終わらせない進め方も参考になります。

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NDAに違反されたらどうなる?損害賠償と不正競争防止法

NDAに違反して情報が漏れたときは、債務不履行として損害賠償を請求できるほか、営業秘密の要件を満たす場合は、不正競争防止法による差止めや損害賠償も検討します。

根拠内容NDAとの関係
民法第415条債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求できるNDAで負った義務に違反した場合の、契約に基づく請求の根拠になる
不正競争防止法第2条第1項第7号営業秘密保有者から営業秘密を示された場合に、不正の利益を得る目的、または保有者に損害を加える目的で、使用・開示する行為を不正競争とする開示を受けた側が、目的外に使用・開示した場合にあたる
不正競争防止法第3条・第4条営業上の利益を侵害されるおそれがある者は、侵害の停止または予防を請求できる(第3条)。故意または過失により侵害した者は、損害を賠償する責めを負う(第4条)差止めと損害賠償の請求の根拠になる

民法第415条は、債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求できると定めています(e-Gov法令検索 民法)。NDAは、秘密にする義務と目的外に使わない義務を、契約上の債務として明確にする書面です。

不正競争防止法も、営業秘密保有者から営業秘密を示された者が、不正の利益を得る目的、または保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、または開示する行為を不正競争の一つに挙げています(第2条第1項第7号)。営業上の利益を侵害されるおそれがある者は、侵害の停止または予防を請求でき(第3条)、故意または過失により侵害した者は損害を賠償する責めを負います(第4条)(e-Gov法令検索 不正競争防止法)。

ここで注意したいのは、NDAを結んでいないから請求できない、という単純な話ではない点です。一方で、営業秘密として保護されるには、秘密として管理されていること、事業活動に有用なこと、公然と知られていないことの3つが前提になります。NDAは、相手にも秘密として扱ってもらう約束を書面に残し、対象と義務の範囲を明確にする手段です。

NDAを結ぶメリットと、結ばない場合のリスク

  • 開示した情報の使い方に、目的外使用の禁止という約束を残せる
  • 漏えいが起きたとき、契約上の義務違反として、相手方に対応を求める根拠になる
  • 秘密にする範囲を、当事者間で明確にできる
  • 情報を預ける側と預かる側の間で、扱いの前提がそろい、取引を進めやすくなる

結ばない場合は、どこまでが秘密なのかが当事者間で共有されず、漏えいが起きたときの責任の整理が難しくなります。一方、デメリットもあります。受け取る側は、管理や返還・消去の義務を負い、案件ごとに台帳管理の手間が増えます。件数が多い会社ほど、管理の仕組みが必要になります。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

締結後の管理|有効期限・自動更新・返還消去を台帳で回す

NDAは、結んだ後の管理が抜けやすい契約です。有効期間、自動更新の有無、更新しない場合の通知期限、返還・消去の対応を、契約ごとに台帳へ残します。

経済産業省の参考例を、管理の観点から読み替えると、台帳に残す項目は次のとおりです。

台帳に残す項目参考例の該当条項見落としたときの困りごと
有効期限第5条期限が切れたことに気づかず、義務の有無が分からなくなる
自動更新の有無と通知期限第5条更新したくないNDAが、意図せず継続する
秘密情報の範囲と別紙第1条何を渡したのか、何が対象外なのかを後から確認できない
取扱責任者・情報取扱管理者第2条漏えいの疑いが出たときの連絡先が分からない
第三者へ開示した記録と承諾第2条誰に再開示したか、承諾を得たかを証明できない
返還・消去の報告第3条案件終了後に情報が残り続ける

件数が少ないうちは、台帳と共有フォルダで足ります。件数が増え、担当者が異動すると、紙やPDFが部署ごとに分かれ、期限の確認が属人化します。契約書を一元管理し、期限が近づいたときに通知を受け取る仕組みがあれば、更新の抜け漏れを減らせます。

紙・PDF・電子契約で結んだNDAを、まとめて検索し、期限を把握したい場合の一例が、Sansan株式会社の「Contract One」です。商品ページでは、紙・PDF・電子契約といった契約書を、AI-OCRと専門スタッフの確認によってデータ化して一元管理でき、データ化した契約情報は全文検索が可能で、契約期限が近づいた際のアラート通知や契約の自動更新設定も備えると紹介されています。注意点として、導入時に業務フローの見直しが必要な場合があるとされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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NDAの件数が増える前に、有効期限と更新の把握を仕組みにしておくと、後から過去の契約書を探し直す手間を避けられます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. NDAとはどういう意味ですか?

A. NDAは、Non-Disclosure Agreementの略で、日本語では秘密保持契約といいます。取引の検討や業務の依頼で相手に開示する情報を、第三者に漏らさず、目的以外に使わないと約束する契約です。機密保持契約と呼ぶ会社もありますが、効力は名称ではなく、秘密にする範囲・目的・期間・違反時の扱いといった中身で決まります。

Q2. NDAとCDA・機密保持契約は何が違いますか?

A. 呼び方の違いで、どれも秘密情報の開示にあたって結ぶ契約を指す点は共通しています。中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版)は、秘密保持契約を「NDA」や「CA(Confidential Agreement)」ともいうと説明しています。書面の名前で判断せず、秘密情報の定義、使用目的、有効期限、違反時の定めを確認します。

Q3. NDAとM&Aの違いは何ですか?

A. M&Aは事業や会社を引き継ぐ取引で、NDAはその手続の中で結ぶ契約です。中小M&Aガイドラインは、詳細な資料を開示するネームクリアは、候補先との秘密保持契約を締結した上で実施される必要があるとしています。NDAは、M&Aのほか、業務提携や業務委託など、情報を開示するさまざまな場面で結びます。

Q4. 秘密保持契約書に認印は押せますか?

A. 押せます。民法第522条第2項は、契約の成立に書面の作成などの方式を要しないと定めており、民事訴訟法第228条第4項は、本人の署名または押印があれば私文書は真正に成立したものと推定すると定めています。印鑑の種類を実印に限る規定は、これらの条文にはありません。ただし、誰が押したのかを証明しやすいよう、相手方や社内規程が求める印を使います。

Q5. NDAに収入印紙は必要ですか?

A. 秘密保持だけを定めた契約書は、通常は印紙税法別表第1に掲げられた20種類の文書のいずれにも当たらないため、印紙は不要と解説されることが一般的です。ただし、国税庁は、課税文書かどうかを名称ではなく記載内容の実質で判断するとしています。業務委託などを兼ねる場合は内容で判断されます。個別の判断は、税務署にご確認ください。

Q6. NDAの有効期間はどのくらいが一般的ですか?

A. 期間は当事者の合意で決めるもので、一律の決まりはありません。経済産業省の参考例は、締結日から満何年とし、自動更新の定めを置く形です。注記では、業務提携を検討している事実そのものを秘密情報に含める場合、有効期限は6か月から2年程度が一般的とされています。情報の価値が続く期間と、受け取る側の管理の負担を見て決めます。

秘密保持契約(NDA)で押さえたい6つのこと

  1. NDAは、相手に開示する情報を、第三者に漏らさず目的以外に使わないと約束する契約です。名称ではなく、秘密情報の定義・目的・期間・違反時の定めで中身を確認します。
  2. 契約書の条項は、経済産業省の参考例の7つの条を目安に、定義と対象外、取扱い、返還消去、損害賠償、有効期限、管轄をそろえます。
  3. 結ぶ前に、自社が開示する側か受け取る側かを確認し、範囲・目的・第三者への開示・期間を、立場に合わせて見ます。
  4. M&Aでは詳細資料の開示前に、業務提携や業務委託でも情報を渡す前にNDAを結びます。押印は法律上必須ではなく、収入印紙は内容で判断されます。
  5. 違反されたときは、民法第415条の債務不履行や、不正競争防止法による差止め・損害賠償を検討します。営業秘密として管理していることが前提になります。
  6. 結んだ後は、有効期限・自動更新・返還消去を台帳で管理します。押印や郵送の手間、期限管理が重いときは、電子契約や契約書管理サービスの資料を取り寄せ、自社に合うか比べます。

参考文献

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