反社会的勢力排除条項について|契約書に入れる5つの内容と注意点

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  • 条項は確約と無催告解除の根拠になる
  • 定義・密接関係・禁止行為・解除・賠償の5つ
  • 条項だけでは相手の素性は確認できない

反社会的勢力排除条項とは、契約の相手方が暴力団などの反社会的勢力でないことをあらかじめ確約してもらい、違反が判明したときに契約を解除できるようにする契約書の条項です。暴排条項、反社条項、暴力団排除条項とも呼ばれます。法務省の指針は、反社会的勢力による被害を防ぐ平素からの対応として、契約書や取引約款にこの条項を入れることを挙げています。この記事では、条項の目的、盛り込む5つの内容、業種別の公的なモデル条項、暴力団排除条例との関係、条項を入れても残る落とし穴、取引先の確認の進め方の順に整理します。

自社の条項と取引先の確認の現在地を2問で確認

Q1. いま知りたいのは、どちらですか?

目次

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  1. 反社会的勢力排除条項とは?契約書に入れる目的と役割
  2. 反社会的勢力排除条項に盛り込む5つの内容
  3. 業種・契約の種類別の公的なモデル条項
  4. 暴力団排除条例と条項の関係|法的な義務か
  5. 条項を入れても残る4つの落とし穴
  6. 取引先の確認の進め方|条項と組み合わせる3段階
  7. 取引先の確認ツールを比べるときの3つの観点
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ:反社会的勢力排除条項で押さえたい5つのこと
  10. 参考文献

反社会的勢力排除条項とは?契約書に入れる目的と役割

反社会的勢力排除条項とは、契約の相手方が反社会的勢力でないことを確約させ、違反が判明したときに契約を解除できるようにする条項です。

法務省の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」は、2007年6月19日に犯罪対策閣僚会議の幹事会が申し合わせたものです(法務省)。指針に法的拘束力はありませんが、平素からの対応として、反社会的勢力が取引先や株主となって不当要求を行う場合の被害を防ぐために、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入することを求めています。

反社会的勢力とは何か

指針は、反社会的勢力を、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人と捉えています。そのうえで、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団などの属性に着目するとともに、暴力的な要求行為や、法的な責任を超えた不当な要求といった行為にも着目することが重要だとしています(指針本文)。

暴力団そのものは、暴力団対策法で、構成員が集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体と定義されています(e-Gov法令検索)。警察庁の売買契約書のモデル条項の解説は、反社会的勢力は暴力団を中核とする概念で、暴力団と無関係な単なるクレーマーまで含むものではないと説明しています(警察庁)。定義や被害防止の全体像は、反社会的勢力とは?定義や被害防止対策を解説した記事で詳しく説明しています。

なぜ契約書に条項を入れるのか

指針の解説は、反社会的勢力が正体を隠して経済取引の形で企業に近づき、取引関係に入った後で、不当要求やクレームの形で金品を要求する手口があると述べています。また、相手が不当要求をしなくても、暴力団と何らかのつながりのある者と契約関係を持つこと自体が、密接な交際や利益供与の危険を伴うとしています(指針の解説)。

契約を結ぶ前であれば、契約自由の原則により、反社会的勢力との契約を拒絶することは自由です。契約後に関係を解消する場面に備えて、解除の理由をあらかじめ契約書に書いておくのが条項の役割です。解説は、条項の使い方として、反社会的勢力かどうかという属性だけでなく、反社会的勢力であることを隠して契約すること、契約後に違法・不当な行為をすることという行為も組み合わせるのが適切だとしています。

条項は相手の申告を前提にした仕組み

条項は、相手方の申告と合意を前提にした仕組みで、相手方の素性を調べる手段そのものではありません。警察庁のモデル条項の解説は、条項を入れても、契約の際に相手方が反社会的勢力であることを調査するところまで要求されるわけではないとしています。一方で、明らかに反社会的勢力と思われる相手が、そうではないと言って契約を申し込んできたのに、何の調査もせず契約した場合は、調査義務違反を問われる可能性があるとも説明しています(警察庁)。条項は契約後の解除の根拠、取引先の確認は契約前の入口と、役割が分かれています。

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反社会的勢力排除条項に盛り込む5つの内容

条項に盛り込む内容は、定義と表明・確約、密接な関係の排除、禁止行為、無催告解除、損害賠償と免責の5つが基本です。

警察庁のモデル条項や法務省の指針の解説は、属性要件と行為要件を組み合わせ、違反が分かったときの解除まで定める形を示しています。下の表は、公的な資料から整理した条項の骨格です。実際の文言は、業種や取引の内容に合わせて調整してください。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。実際の契約書の文言は、取引の内容に合わせて弁護士に確認してください。

盛り込む内容定めること押さえる点
1. 定義と表明・確約当事者と役員が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋やこれらに準ずる者ではないこと。名義を貸して契約していないこと属性要件。役員の範囲を明記する
2. 密接な関係の排除反社会的勢力に経営を支配されない、資金や便宜を提供しない、社会的に非難される関係を持たないこと本人が該当しなくても、関係が深ければ取引を見直せるようにする
3. 禁止行為自ら又は第三者を使って、脅迫的な言動や暴力、偽計や威力による業務妨害・信用毀損をしないこと行為要件。属性を立証できなくても、行為を理由に対応できる
4. 無催告解除1から3に反したときは、催告なしで直ちに解除できること民法の催告解除の原則に対する特約
5. 損害賠償と免責解除によって相手方に生じた損害は賠償しない。自社の損害は相手方に請求できること違約金を定める場合は、別の損害賠償請求との関係も書く

1. 定義と表明・確約(属性要件)

警察庁のモデル条項は、当事者が暴力団、暴力団関係企業、総会屋やこれらに準ずる者ではないこと、役員が反社会的勢力ではないこと、反社会的勢力に名義を利用させて契約するものではないことを確約させる形です。「これらに準ずる者」の例として、解説は、暴力団準構成員、会社ゴロ等、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等のほか、暴力団員に資金や便宜を提供している者なども挙げています(警察庁)。役員は、会長、相談役、顧問など名称を問わず、株主や出資者でも役員と実質的に同等の支配力があれば含まれうると説明されています。

2. 密接な関係の排除

相手本人が暴力団でなくても、暴力団員を不当に利用している、資金や便宜を供与している、社会的に非難されるべき関係にあるといった場合は、取引を続けるリスクが残ります。この定めを入れると、本人の属性だけでは判断しにくい相手にも対応しやすくなります。ただし、どこまで関係性を広げるかは取引の内容によって変わるため、自社の契約に合う範囲を決めておきます。

3. 禁止行為(行為要件)

モデル条項は、契約の履行段階で、脅迫的な言動や暴力を用いる行為、偽計や威力を用いて相手方の業務を妨害し信用を毀損する行為を禁止しています。属性だけを要件にすると、相手が暴力団員であることを立証できない場合に対応できません。行為を要件に加えておくと、取引の中で起きた不当な要求を理由にした対応がしやすくなります。

4. 無催告解除

民法は、相手が債務を履行しないときは、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ解除できるとしています(第541条)。催告なしで解除できる場合は第542条に列挙されていますが、相手が反社会的勢力であることは、その列挙には含まれていません(e-Gov法令検索)。そのため、確約に反したときは催告なしで解除できると契約書に定めておきます。

警察庁の解説は、この定めを当事者の合意による約定解除権と位置づけ、反社会的勢力の排除のためのものなので公序良俗に反せず、適法で合理性があると考えられると説明しています。また、モデル条項は契約時の確約に反する点に着目しているため、契約後に相手が反社会的勢力になった場合は、解除の対象としていません。契約後の変化に備えるには、定期的な再確認も必要です。

5. 損害賠償と免責

解除した側は、解除によって相手方に生じた損害について賠償責任を負わず、自社が受けた損害は相手方に請求できる、と定める例が一般的です。違約金を定める例もあります。大阪府警が掲載する警察庁のモデル条項(不動産売買)では、買主が買い受けた不動産を暴力団事務所に使わせた場合、売主が解除でき、売買代金の20%の違約金(損害賠償)と80%相当の違約罰を定めています(大阪府警)。違約金の定めは取引の内容によって適否が変わるため、弁護士に確認してください。

業種・契約の種類別の公的なモデル条項

公的なモデル条項は、不動産の売買・賃貸・媒介、駐車場の賃貸借、レンタカーの貸渡、建設業などで公表されており、自社の契約に近いものを参考にできます。

契約・業種公表元特徴
不動産の売買・媒介・賃貸住宅警察庁・国土交通省の協力のもと、不動産流通4団体が2011年6月に取りまとめ(国土交通省)賃貸は、2012年2月10日に改訂された賃貸住宅標準契約書にほぼそのまま反映された
不動産の売買・賃貸不動産協会が2011年9月に取りまとめ(同上)売買契約と賃貸契約のモデル条項
売買契約書の条項例の解説警察庁属性要件と行為要件、解除、違約金の考え方を、条項ごとに解説している
一般的な契約、駐車場賃貸借、レンタカー貸渡大阪府警の記載例業種や使用目的に応じて修正して使う前提の様式
建設業日本建設業連合会と全国建設業協会の参考例(大阪府警のページで紹介)暴力団排除条項の参考例(ひな形)

大阪府警は、掲載した様式はあくまでモデルの一つで、この様式でなければ条例の要件を満たさないわけではないと注記しています。警察白書は、公共工事では、下請契約や再委託契約を含めて、契約書に暴力団排除条項を盛り込む取組が進められていると説明しています(警察庁 令和6年版警察白書)。自社の業種にモデルがない場合は、近い契約のモデルを参考にして、弁護士と文言を詰めます。

暴力団排除条例と条項の関係|法的な義務か

東京都暴力団排除条例は、事業者に、契約の相手方が暴力団関係者でないことの確認と、暴力団排除条項を契約書に定めることを、努力義務として求めています。

東京都条例の第18条は、事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資するおそれがあると認めるときは、相手方や代理・媒介をする者などが暴力団関係者でないことを確認するよう努めるとしています(第1項)。書面で契約を結ぶときは、相手方などが暴力団関係者と判明したときに催告なしで解除できること、下請負人など関連契約の当事者が暴力団関係者と判明したときは相手方に解除などの措置を求められること、相手方が正当な理由なくその求めを拒んだときは解除できることを定めるよう努めるとしています(第2項、東京都例規集)。暴力団関係者は、暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者と定義されています。

条例は都道府県ごとに定められているため、事業を行う地域の条例を確認してください。条例の内容と企業に求められる対応は、暴力団排除条例の内容と企業に求められる対応を解説した記事でも整理しています。

指針と条例の位置づけ

指針の解説は、指針は法的拘束力がなく、完全に実施しなかったからといって直ちに罰則などの不利益が与えられるものではないとしています。中小企業や零細企業では、企業規模に応じて、5つの基本原則(組織としての対応、外部専門機関との連携、取引を含めた一切の関係遮断、有事における民事と刑事の法的対応、裏取引や資金提供の禁止)を中心に対応することが大切だと説明しています。一方で、取締役の善管注意義務を民事訴訟で判断する際に、指針が参考にされることはありうるとも述べています。努力義務だから整えなくてよい、というわけではない点に注意してください。

条項を入れても残る4つの落とし穴

条項を入れただけでは、相手方の申告の真偽、解除の立証、既存契約への適用、再委託先への対応は解決しません。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。実際の契約書の文言は、取引の内容に合わせて弁護士に確認してください。

1. 申告の真偽は条項だけでは分からない

指針の解説は、「自分が反社会的勢力でない」という申告を求める条項を設けると、相手の回答に応じて次の対応がとれると整理しています。

相手方の回答取りうる対応根拠
反社会的勢力であると表明した暴力団排除条項に基づき、契約を締結しない条項
明確な回答をしない契約自由の原則に基づき、契約を締結しない契約自由の原則
明確に否定したが、後に虚偽と判明した暴力団排除条項と虚偽の申告を理由に、契約を解除できる条項と虚偽申告

3つ目のとおり、条項は虚偽の申告が後で判明したときに働きます。判明するきっかけは、取引先の確認や警察への相談など、条項の外にあります。

2. 疑いだけで解除すると争いになる

指針の解説は、反社会的勢力であると完全に判明した段階だけでなく、疑いが生じた段階でも関係遮断を図ることが大切としています。ただし、疑いには濃淡があるため、直ちに契約等を解消する、契約等の解消に向けた措置を講じる、関心を持って継続的に相手を監視する、のように対応を分ける必要があるとしています。

暴排条項に基づく解除が争われた例として、大阪地方裁判所の2011年8月31日の判決があります。ホテル運営会社が、食中毒の発生後に極端な値引きを求めた結婚式の契約者が暴力団員であることを警察への照会で知り、宴会規約の暴力団排除条項に基づいて契約を解除しました。裁判所は解除を有効とし、損害賠償の請求を退けました。この事案では、弁護士会を通じた警察への照会で得た回答が、暴力団員であることを認める証拠になりました(久保井総合法律事務所の解説)。疑いがあっても、噂だけで動かず、警察や暴力追放運動推進センターなど外部専門機関に相談して裏づけをとる流れが必要です。

3. 既存の契約や約款に条項がない

契約書の雛形を改定しても、すでに結んだ契約には条項が入りません。既存の契約には、反社会的勢力の排除に特化した覚書を別に結ぶ方法が、契約実務ではよく紹介されます。多くの取引先は反社会的勢力ではないため、覚書への同意は得やすいとされます。

利用者向けの約款の場合は、民法の定型約款の変更の規定が関わります。定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的であれば、個別の合意なしに契約の内容を変更でき、効力発生時期と変更の内容をインターネットなどで周知する必要があります(民法第548条の4)。銀行の預金規定に暴力団排除条項を追加して既存の口座にも適用した事例では、福岡高等裁判所が2016年10月4日に条項を有効と判断し、最高裁判所は2017年7月11日に上告を棄却し、不受理としたと、法律事務所の解説で紹介されています(一新総合法律事務所の解説)。約款の変更は事業の内容で適否が変わるため、個別に弁護士へ確認してください。

4. 再委託先や名義貸しへの対応が抜ける

取引の相手が問題なくても、その先の再委託先や下請先が反社会的勢力という場合があります。東京都条例の第18条第2項は、関連契約の当事者が暴力団関係者と判明したときに相手方に措置を求め、拒まれたら解除できる旨を定めるよう努めるとしています。モデル条項が名義貸しを確約の対象にしているのも、暴力団等でない者の名義を借りて契約する行為を排除するためです。契約書では、再委託先への条項の導入や、判明時の報告・解除の定めまで確認しておきます。

ここまでの落とし穴のうち、条項の整備は契約書の見直しで進められますが、相手を確認する手順は、運用の仕組みを作らないと抜けやすい部分です。自社の状況に当てはまる項目を、次のセルフチェックで確認してみてください。

条項と取引先の確認、自社は大丈夫?セルフチェック

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取引先の確認の進め方|条項と組み合わせる3段階

取引先の確認は、契約前の確認、疑いが生じたときの対応、既存の取引先の定期的な再確認の3段階で手順にします。

1. 契約前に確認して、記録を残す

指針は、取引先の審査や株主の属性判断を行うために、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築し、暴力追放運動推進センターや他企業などの情報を活用して更新することを求めています。あわせて、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士などの外部専門機関と、平素から連携しておくことも挙げています。確認の範囲や、情報をどこまで確認すべきかは、反社チェックはどこまで行うべきかを解説した記事で整理しています。確認した日時、対象、結果、判断した人は、後で説明できるように残しておきます。

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2. 疑いが生じたときの対応を決めておく

指針は、相手方が反社会的勢力であると判明した時点や、疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消するとしています。疑いの段階では、先に述べた3つの対応(直ちに解消、解消に向けた措置、継続的な監視)のどれをとるかを、誰が判断するのかを決めておく必要があります。不当要求を受けたときは、担当者だけに任せず、経営トップ以下で組織として対応することも指針の基本原則です。暴力団に関する相談は、警察(110番や各都道府県警察)、全国と都道府県の暴力追放運動推進センターで受け付けています(警察庁)。

3. 既存の取引先を定期的に再確認する

前の章で見たとおり、モデル条項は契約時の確約に着目しているため、契約後に相手が反社会的勢力になった場合は、そのままでは解除の対象になりません。新規取引の開始時だけでなく、既存の取引先も定期的に確認し直す運用が要ります。取引先の件数が多いと、手作業での再確認は負担が大きくなります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 反社会的勢力を排除する契約書には、何を書けばよいですか?

A. 基本は5つです。当事者と役員が反社会的勢力でないことの表明・確約、密接な関係を持たないこと、脅迫や業務妨害などをしないこと、違反したときに催告なしで解除できること、解除に伴う損害賠償と免責です。警察庁や国土交通省、大阪府警が公表するモデル条項を参考に、業種や取引に合わせて調整し、弁護士に確認してください。

Q2. 反社会的勢力とは、どんな人ですか?

A. 法務省の指針は、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人としています。暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団などの属性と、暴力的な要求行為や法的な責任を超えた不当な要求といった行為の両方に着目します。

Q3. 反社会的勢力とは、なぜ取引してはいけないのですか?

A. 指針は、反社会的勢力を社会から排除することは暴力団の資金源に打撃を与える治安対策上の課題であり、企業にとっても社会的責任の観点から必要だとしています。さらに、従業員を標的にした不当要求や企業の乗っ取りなど、企業自身に大きな被害が生じるおそれがあるため、企業防衛の観点からも関係遮断が必要と説明しています。

Q4. 反社会的勢力から抜けるには、どうすればよいですか?

A. 暴力団からの離脱を希望する場合は、警察や暴力追放運動推進センターに相談します。警察庁は、暴力団員の離脱と就労を支援する社会復帰対策を進めています。契約の側から見ると、組から離れたと主張しても、直ちに排除条項の対象外になるとは限りません。先の大阪地裁の事例では、破門後も組との関係が続いていたことを考慮して、排除条項の対象になりうると判断されました。離脱後の扱いは契約ごとに定義を確認してください。

Q5. 反社会的勢力排除条項は、法律で義務づけられていますか?

A. 法律で一律に義務づけられているわけではありません。東京都暴力団排除条例は、事業者に契約の相手方の確認と、契約書に条項を定めることを努力義務としています。法務省の指針は法的拘束力がありませんが、取締役の善管注意義務を判断する際に参考にされることはありうると解説されています。条例は都道府県ごとに異なるため、事業を行う地域のものを確認してください。

Q6. すでに結んだ契約書に条項がないときは、どうすればよいですか?

A. 契約書全体を結び直さず、反社会的勢力の排除に特化した覚書を別に結ぶ方法が、契約実務ではよく紹介されます。利用者向けの約款の場合は、民法の定型約款の変更の規定に沿って、効力発生時期と変更内容を周知する必要があります。いずれも取引の内容で適否が変わるため、弁護士に確認してください。

まとめ:反社会的勢力排除条項で押さえたい5つのこと

  1. 反社会的勢力排除条項は、相手方が反社会的勢力でないことを確約させ、違反が判明したときに契約を解除できるようにする条項である
  2. 定義と表明・確約、密接な関係の排除、禁止行為、無催告解除、損害賠償と免責の5つを、属性要件と行為要件の両方で定める
  3. 東京都条例は契約時の確認と条項を努力義務とし、指針に法的拘束力はない。業種のモデル条項を参考に、弁護士と文言を詰める
  4. 申告の真偽、疑いだけの解除、既存契約・約款への適用、再委託先への対応という4つの落とし穴を点検する
  5. 条項を使える状態にするため、取引先の確認を手順にし、反社チェックツールの資料を取り寄せて自社の運用に合うかを検討する

条項は、入れて終わりではなく、取引先の確認と組み合わせて初めて働きます。契約書の見直しと確認の運用を並行して進め、定期的に見直していきましょう。

参考文献

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