採用ミスマッチとは?原因・影響・入社前後の防ぎ方を公的データで解説
Check!
- ずれは仕事・条件・風土の3面で起きる
- 原因は募集情報と評価基準が中心
- 入社前の開示と入社後の面談で防ぐ
採用ミスマッチとは、企業が求める人材像や仕事の内容・条件・職場の風土と、採用された人が思い描いていた姿とのあいだに生じるずれのことです。ずれが大きいと、入社後に「思っていたのと違う」という不満が生まれ、早期離職や期待した成果が出ない状態につながります。厚生労働省の公表では、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%(令和4年3月卒業者)で、初めて勤務した会社をやめた理由には、労働時間や休日などの条件、人間関係、「仕事が自分に合わない」が並びます。この記事では、ミスマッチの意味と種類、公的データ、起きる原因、企業と本人への影響、入社前後の防ぎ方、公正な採用選考の注意点、効果の測り方の順に整理します。
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採用ミスマッチとは?意味と3つのずれ
採用ミスマッチとは、企業と応募者が互いに持っていた期待と、入社後の実際の姿が食い違うことです。仕事の内容、労働条件、人や職場の風土の3つの面で起こります。
企業側から見れば「求めていた人材と違った」、本人から見れば「聞いていた仕事や職場と違った」という、同じ出来事の両面です。ずれは、スキルや経験の不足のように選考の段階で見つけやすいものだけでなく、価値観や職場との相性のように入社して初めて分かるものにも広がります。
ミスマッチが起きる3つの面
| 面 | 食い違いの例 |
|---|---|
| 仕事の内容・能力 | 任される業務が想像と違う。求められるスキルや経験に、本人が足りない、または余っている |
| 労働条件・働き方 | 労働時間や休日、賃金、勤務地や配置転換の範囲が、募集時の説明と違う |
| 人・職場の風土 | 上司や同僚との相性、意思決定の進め方、仕事に対する価値観が合わない |
この3つは、後ほど公的な調査の「退職理由」とも対応させます。どの面のずれが自社で起きやすいかを分けて考えると、対策を選びやすくなります。
似た言葉との違い
「採用ミスマッチ」は、1つの企業と1人の応募者のあいだのずれを指します。これに対して「雇用のミスマッチ」は、労働市場全体で、求人側と求職側の職種・地域・年齢・条件が合わず、仕事が決まりにくい状態を指す言い方です。また、求職者の側から「仕事でミスマッチを感じる」と言うときは、自分の希望や適性と仕事の中身がずれている状態を指します。違いはFAQでも整理しています。
入社前に確かめにくい部分を補う手段
3つの面のうち、人・職場の風土のずれは、書類や短い面接では確かめにくい部分です。候補者の価値観や性格特性を、自社の現在の組織文化とのマッチ度で確認したい場合の一例が、株式会社ラフールの「テキカク」です。商品ページでは、現在の組織とのマッチ度の確認、社内のハイパフォーマーとの類似度の比較、適性部署ランキングによる配属の検討などが紹介されています。候補者の特性を面接での深掘り質問に使える点も特徴です。一方で、既存の採用サービスに追加して使う前提のため、機能は比較的少なめという注意点も挙げられています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
ビッグデータを活用したAIによる分析で、人材の未来における貢献度に加え、現在の組織へのフィットも把握するなら、テキカクの導入がおすすめです。
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気になる…
- 現在使用している採用サービスにプラスして使うため、機能は少なめ
株式会社アールアンドアール(建設・不動産、従業員200-499名)の採用担当者は、導入事例の中で次のように話しています。
「書類や面接だけでは見えにくい部分が「テキカク」の結果から見えるようになり、採用業務において非常に有効活用させていただいています。」
出典:株式会社アールアンドアールの「テキカク」導入事例(ラフール)
数字で見る採用ミスマッチ|離職率と退職理由
採用ミスマッチの目安として使える公的データは、新卒の3年以内離職率です。新規大卒就職者は33.8%、新規高卒就職者は37.9%ですが、離職の理由にはミスマッチ以外も含まれます。
就職後3年以内の離職率は、規模と産業で大きく違う
厚生労働省は、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率を毎年公表しています。令和7年10月24日に公表された令和4年3月卒業者の数字では、学歴別の離職率は、中学54.1%、高校37.9%、短大等44.5%、大学33.8%でした(厚生労働省)。2026年10月20日時点で確認できる最新の公表分で、例年10月下旬に新しい卒業年次が公表されます。
事業所の規模別に見ると、規模が小さいほど離職率は高くなります。
| 事業所規模 | 高校卒の3年以内離職率 | 大学卒の3年以内離職率 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 63.2% | 57.5% |
| 5-29人 | 54.6% | 52.0% |
| 30-99人 | 45.2% | 41.9% |
| 100-499人 | 36.7% | 33.9% |
| 500-999人 | 29.9% | 31.5% |
| 1,000人以上 | 26.3% | 27.0% |
産業別では、離職率の高い上位は次のとおりです(「その他」を除く)。
| 順位(離職率の高い順) | 産業 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|---|
| 1 | 宿泊業、飲食サービス業 | 64.7% | 55.4% |
| 2 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 61.5% | 54.7% |
| 3 | 教育、学習支援業 | 53.6% | 44.2% |
| 4 | 医療、福祉 | 49.2% | 40.8% |
| 5 | 小売業 | 48.3% | 40.4% |
上の数字は全国の平均で、自社の同じ規模や産業と比べるための目安です。離職の理由には、家庭の事情や転居、健康上の理由なども含まれるため、離職率がそのままミスマッチの割合を表すわけではありません。
やめた理由に出る、労働条件・人間関係・仕事の合わなさ
退職の理由は、厚生労働省の令和5年「若年者雇用実態調査」に出ています。初めて勤務した会社をやめた理由(3つまでの複数回答)は、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が28.5%、「人間関係がよくなかった」が26.4%、「賃金の条件がよくなかった」が21.8%、「仕事が自分に合わない」が21.7%の順でした(厚生労働省 令和5年若年者雇用実態調査の概況)。調査の対象は、令和5年10月1日時点で満15-34歳の若年労働者です。
勤続期間別にみると、1年未満でやめた人では「人間関係がよくなかった」が最も高く、1年から10年未満では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が最も高くなっています。入社して間もない時期のずれは、人や職場との相性から表れやすいと読めます。
3つの面に当てはめると
| ミスマッチの面 | 対応する退職理由(若年者雇用実態調査) | 割合 |
|---|---|---|
| 労働条件・働き方 | 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 28.5% |
| 労働条件・働き方 | 賃金の条件がよくなかった | 21.8% |
| 人・職場の風土 | 人間関係がよくなかった | 26.4% |
| 仕事の内容・能力 | 仕事が自分に合わない | 21.7% |
退職理由はすべてがミスマッチというわけではありませんが、3つの面のどれもが一定の割合を占めています。特定の面だけに対策を偏らせないことが、以降の章の出発点です。
採用ミスマッチが起きる6つの原因
採用ミスマッチの主な原因は、募集時の情報の偏り、評価基準のばらつき、スキルだけで判断する選考、求める人物像のずれ、内定後のフォロー不足、入社後の受け入れの不備の6つです。
1. 募集時に、良い面しか伝えていない
応募者を集めたいあまり、仕事のやりがいや待遇などの良い面を中心に伝えると、入社後に残業の実態や業務の負荷、配置転換の範囲を知った本人が「聞いていた話と違う」と感じます。募集段階の説明は、労働条件の明示ルールとも関わります。入社前の対策の章で、公的なルールを表にまとめます。
2. 評価基準が面接官ごとにばらばら
合否の基準が文書になっていないと、面接官の経験や印象で評価が変わります。同じ応募者でも、担当者によって合格にも不合格にもなりうる状態では、自社に合う人を安定して見分けられません。基準づくりの手段として、社員のデータから採用基準を作る適性検査もあります。
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3. スキルや経験だけで判断している
資格や職歴が十分でも、仕事の進め方や価値観が職場と合わなければ、本人は居心地の悪さを感じます。逆に、価値観の相性ばかりを見て、必要なスキルの確認が甘くなる場合もあります。見る項目を、仕事の中身、条件、人・職場の風土の3つの面に分けて、選考のどこで確かめるかを決めておくことが必要です。
4. 求める人物像が、経営・人事・現場でずれている
経営は成長を担う人材を、現場は即戦力を、人事は定着しやすい人を求めているというように、関係者の期待がそろっていないと、採用基準がぶれます。採用する人数や時期、必要なスキル、任せる役割を、採用を始める前に関係者で言葉にしておきます。
5. 内定から入社までのフォローが足りない
新卒採用では、内定から入社まで半年以上空くことがあります。その間に連絡がなく、不安が解消されないまま入社日を迎えると、本人の期待と実際の職場とのずれが大きくなります。内定者と現場社員が話す機会や、配属先の情報提供を、入社前に設けます。
6. 入社後の受け入れが整っていない
入社後に、配属先の上司が新入社員の背景を把握していない、教える担当が決まっていない、期待する役割が伝わっていないといった状態では、本人は孤立しやすくなります。受け入れの不備は、選考の段階では防げないミスマッチを、入社後に広げてしまいます。
新卒と中途で、ずれの出方が違う
| 観点 | 新卒・若手の採用 | 中途採用 |
|---|---|---|
| ずれやすい点 | 仕事の中身や働き方のイメージ不足、配属先との相性 | 求められる役割や裁量、前職との組織文化の違い |
| 起点になりやすい場面 | 説明会・インターン、内定から入社までの期間、配属 | 面接での自己申告、入社直後の立ち上がり |
| 先に確かめたいこと | 実際の仕事と職場の様子を、具体的に伝えたか | 過去の実績や働きぶりを、書類と面接以外でも確かめたか |
採用ミスマッチが企業と本人にもたらす影響
採用ミスマッチは、企業には採用費と教育コストの無駄、現場の負担増、評判の低下、採用ノウハウの未蓄積をもたらします。本人にも、仕事への不満やキャリアの中断という負担が生じます。
企業に起きる4つの影響
- コストの無駄:求人広告や紹介手数料、面接に使った人件費、入社後の教育費が回収できないうちに離職すると、補充のための採用を一からやり直すことになります。
- 現場の負担増:欠員を残りのメンバーで補い、新しい人への教育も繰り返すため、既存社員の負担が増え、さらなる離職につながるおそれがあります。
- 評判の低下:早期離職が続くと、口コミサイトやSNSでの発信を通じて、応募者が集まりにくくなることがあります。
- 採用ノウハウの未蓄積:なぜ合わなかったのかを振り返らないままだと、次の採用でも同じ基準で同じずれを繰り返します。
本人に起きること
本人にとっても、入社後に人間関係や労働条件の不満を抱えたまま働き続けるか、早期に転職するかの選択を迫られます。前の節で見たとおり、1年未満でやめた人では人間関係を理由に挙げる割合が最も高いため、新しい職場でのスタートに負担が生じます。採用ミスマッチの対策は、企業の損失を減らすだけでなく、本人のキャリアを守る取り組みでもあります。
自社の損失を、自社の数字で試算する
損失の大きさは、企業ごとに違います。外部のモデルケースを借りるよりも、自社の数字を集めて試算する方が、対策の優先順位を決めやすくなります。次の項目を、採用担当と経理で突き合わせてみてください。
| 試算する項目 | 何を数えるか | 数字の出どころ |
|---|---|---|
| 採用にかけた費用 | 求人広告、紹介手数料、説明会や面接にかけた時間と人件費 | 採用の予算実績、勤怠・工数の記録 |
| 入社後にかけた費用 | 研修や教育の費用、教育担当者の工数、入社から離職までの給与 | 研修費の実績、給与台帳 |
| 欠員の補充にかかる費用 | 再度の募集費用と、補充までの業務の遅れや外注の費用 | 再募集の実績、現場へのヒアリング |
3つの合計を、1人あたりの離職で割り戻した金額が、ミスマッチを1件防いだときに浮く目安になります。金額が見えると、入社前の見極めや入社後の面談に使える予算の目安も決めやすくなります。
採用ミスマッチを防ぐ入社前の対策
入社前の対策は、採用基準の明確化、募集情報と職場情報の正確な開示、入社前の対話、客観的な見極めの4つに整理できます。募集情報の出し方には、公的なルールがあります。
1. 採用基準と求める人物像をそろえる
採用基準は、スキルや経験などの「必須条件」と、あれば望ましい「歓迎条件」、価値観や働き方の「相性」の3つに分けて文書にします。経営・人事・現場の3者で内容を確認し、面接官が同じ物差しで見られる状態にします。選考で最初に見るべき項目は、職務に必要な適性と能力です。この点は公正な採用選考の章で改めて整理します。
2. 募集情報を正確に出す|2024年4月からの明示事項
募集時の労働条件は、職業安定法施行規則で明示すべき事項が決まっています。厚生労働省のリーフレットによると、2024(令和6)年4月1日から、募集広告や職業紹介の場面で求人企業が明示する労働条件に、次の3つが追加されました(厚生労働省リーフレット)。
| 明示する項目 | 2024年4月からの追加 | リーフレットの記載例 |
|---|---|---|
| 業務内容 | 従事すべき業務の変更の範囲 | (雇入れ直後)法人営業 (変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般 |
| 就業場所 | 就業場所の変更の範囲 | (雇入れ直後)大阪支社 (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所 |
| 契約期間 | 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む) | 契約の更新有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)、更新回数の上限など |
| 従来から明示が必要な項目 | 追加はなし | 試用期間、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金(固定残業代がある場合は内訳)、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称 |
「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、労働契約の期間中の変更の範囲を指します。リーフレットは、「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」のような抽象的な記載ではなく、「勤務成績、態度により判断する」のように具体的に書くことが望ましいとしています。
また、求人広告のスペースが足りないなどのやむを得ない場合は、「詳細は面談時にお伝えします」と付して一部を別のタイミングで明示できますが、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。面接等の過程で当初明示した条件が変わる場合は、その変更内容も明示します。労働契約を結ぶときは、労働基準法に基づき労働条件通知書などで明示します。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。自社の募集要項が明示事項を満たしているかは、厚生労働省や都道府県労働局の案内を確認し、必要に応じて社会保険労務士や弁護士に相談してください。
3. 職場情報を提供する|新卒募集の努力義務
新卒者を募集する企業には、職場情報の提供についての定めもあります。厚生労働省のページによると、新卒者の募集を行う企業は、企業規模を問わず、幅広く職場情報を提供するよう努めることが努力義務です。応募者等から求めがあった場合は、(ア)募集・採用に関する状況、(イ)職業能力の開発・向上に関する状況、(ウ)企業における職場定着に関する状況の3類型それぞれについて、1つ以上の情報を提供することが義務とされています(厚生労働省)。職場定着に関する情報を自社から出すことは、応募者が入社後の姿を具体的に想像する材料になります。
4. 入社前の対話と体験で、実際の姿を見せる
カジュアル面談、職場見学、インターンシップ、内定者と現場社員の懇談などは、評価を目的とせず、お互いを知る場として使います。仕事の大変な面や、残業が増える時期、配属の可能性がある部署も含めて伝えると、応募者は入社後の姿を具体的に想像できます。企業側も、本人が大切にしている価値観や働き方を把握できます。良い面だけを見せる場にならないよう、現場で働く社員にも参加してもらいます。
5. 構造化面接で、評価のばらつきを減らす
構造化面接とは、同じ質問を同じ順で聞き、あらかじめ決めた評価基準で採点する面接の進め方です。面接官の経験や相性に左右されにくくなり、応募者を同じ条件で比べられます。質問は「採用基準」の項目ごとに用意し、評価の観点と点数のつけ方を面接官に事前に共有します。基準づくりの考え方は、採用におけるスクリーニングの解説も参考になります。
6. 適性検査とリファレンスチェックで、客観的な情報を足す
面接や書類では見えにくい価値観や職場との相性、これまでの働きぶりを補う手段として、適性検査とリファレンスチェックがあります。適性検査は、性格傾向や組織との相性を判定や数値で確かめる方法です。リファレンスチェックは、前職などの第三者から、候補者の実際の働きぶりを聞く方法で、中途採用の選考で使われます。3つのサービスの役割の違いは、次の表で確認できます。
採用ミスマッチを、入社前に確かめる3つの方法の役割の違い
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|
|---|---|---|---|
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「私が面接をしたら合格かもしれないし、違う担当者が面接をしたら不合格かもしれない。」
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「入社後のミスマッチがほぼなくなっており、新入社員の早期立ち上がりに加えて、定着率も大きく改善しています。」
出典:株式会社Micoのback check導入事例(back check)
適性検査やリファレンスチェックの結果は、面接で確かめる材料の一つとして使い、合否を機械的に決めない運用が基本です。サービスの選び方を詳しく知りたい場合は、中途採用におすすめの適性検査サービスの比較、中小企業におすすめの適性検査の比較、リファレンスチェックサービスの比較もご覧ください。
入社後に定着を支える対策
入社後の対策は、受け入れの設計、定期的な対話、配属や役割の見直し、離職データの振り返りの4つです。入社前にどれだけ確かめても残るずれを、入社後に小さいうちに見つけて直します。
1. オンボーディングで、役割と期待を伝える
入社初日から数か月の受け入れを計画します。配属先の上司や教育担当を決め、期待する役割、1か月後・3か月後に目指す状態、困ったときの相談先を、本人に文書で伝えます。受け入れ側の現場にも、新入社員の背景や面接で聞いた希望を共有します。
2. メンターと1on1で、早めに不満をつかむ
若年者雇用実態調査では、1年未満の離職で人間関係を理由に挙げる割合が最も高くなっていました。直属の上司とは別に、年齢の近い先輩をメンターにつけたり、月1回程度の1on1を設けたりして、人間関係や仕事の負荷についての不満を、本人が小さいうちに話せる場を作ります。
3. 配属や役割を見直せる仕組みを持つ
入社後に「仕事が自分に合わない」と感じる人に、異動や担当業務の変更の相談先が用意されていれば、離職以外の選択肢が生まれます。検査の結果や面談の記録を、配属の見直しの参考資料にする企業もあります。
4. 退職理由と入社後サーベイを、次の採用に戻す
退職面談では、採用時の説明と実態のどこがずれたかを具体的に聞き取ります。入社3か月、半年などのタイミングで、短いアンケートを取る方法もあります。集めた情報を、募集情報や面接の質問、採用基準の見直しに戻すことで、同じずれを繰り返さずに済みます。
自社の採用プロセスをセルフチェック
ここまでの対策を、自社の現状と照らし合わせてみてください。当てはまる数に応じて、次の一手が変わります。
採用ミスマッチ対策、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
「合わない人」を見極めるときの注意|公正な採用選考
採用で見るべきなのは、応募者の適性と能力です。本籍や家族、宗教など、職務と関係のない事項で「合わない人」を判断することは、就職差別につながるおそれがあります。
厚生労働省は、公正な採用選考の基本的な考え方として、応募者の基本的人権を尊重することと、応募者の適性・能力に基づいた基準で行うことの2つを挙げています(厚生労働省 公正な採用選考の基本)。就職差別につながるおそれのある事項は、本籍地や家族の職業のように「本人に責任のない事項」と、宗教や支持政党のように「本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)」に分けられ、いずれも職務遂行の適性・能力とは関係がないため、採用基準にしてはならないとされています。
採用基準にするつもりがなくても、応募用紙に書かせたり面接で尋ねたりすると、結果として採否に影響するおそれがあり、応募者も基準にされていると受け取る可能性があります。応募者に精神的な圧迫を与え、面接で実力を発揮できなくなることもあるため、こうした事項は把握しないことが求められています。
ミスマッチ対策としての質問に置き換える
「合わない人を避けたい」という気持ちは、属性への質問ではなく、職務に必要な条件のすり合わせに置き換えます。たとえば、担当してもらう業務に必要な経験、勤務地や勤務時間の条件、入社後に期待する役割への考え方といった、仕事に直接関わる項目です。募集時に出した条件と本人の希望が合うかを、お互いに確認する場として面接を使います。
適性検査やリファレンスチェックを使う場合も、検査の結果だけで合否を決めず、職務に関係する項目を面接で確かめる材料の一つとして位置づけます。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。選考の方法に不安がある場合は、都道府県労働局やハローワークに相談してください。
効果の測り方|指標と改善サイクル
採用ミスマッチ対策の効果は、早期離職率、内定承諾率、入社後の評価、退職理由の4つの指標で測れます。年に1回、同じ指標で見直すと、どの対策が効いたかが分かります。
| 指標 | 見方 | 改善につなげる例 |
|---|---|---|
| 早期離職率(入社1年以内・3年以内) | 採用年度ごと、採用経路ごと、配属先ごとに分けて見る。先に示した全国の規模別・産業別の数字と比べる | 離職が多い経路や配属先の募集情報と受け入れを見直す |
| 内定承諾率 | 内定を出した人のうち、承諾した人の割合。承諾しなかった理由も聞き取る | 説明会や面接での伝え方、内定後のフォローを見直す |
| 入社後の評価とのずれ | 選考時の評価と、入社半年後の評価を並べる | 面接の評価基準や質問を見直す |
| 退職理由 | 退職面談の内容を、仕事の内容・労働条件・人と風土の3つの面に分類する | 最もずれが大きい面から対策を選ぶ |
最初から全部をそろえる必要はありません。まず、直近3年に入社した人の離職の有無と時期を、採用経路と配属先ごとに一覧にするところから始められます。
見極めの基準を属人的な印象から、データを使った基準に置き換えたい場合や、候補者と自社の組織との相性を採用や配属の判断に使いたい場合は、適性検査の資料を取り寄せて、自社の採用の流れに合うかを比べてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 採用ミスマッチを防ぐには、何から始めればよいですか?
A. まず、直近の離職者の退職理由を、仕事の内容・労働条件・人と職場の風土の3つの面に分けて振り返ります。そのうえで、募集情報に実態を書く、面接官の評価基準をそろえる、入社前に現場社員と話す機会を作る、入社後に面談の時期を決める、の順で進めると、負担の少ない形で始められます。
Q2. 雇用のミスマッチの例は?採用ミスマッチとどう違いますか?
A. 雇用のミスマッチは、労働市場全体で求人と求職の職種・地域・年齢・条件が合わず、仕事が決まりにくい状態を指します。たとえば、求人は多いのに希望する職種の求人が少ない、といった形です。厚生労働省の令和8年8月分の一般職業紹介状況では、有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、正社員有効求人倍率は1.00倍でした(確認日2026年10月20日)。全国の倍率だけでは職種や地域ごとの偏りは分からないため、都道府県別などの統計表で確認します。採用ミスマッチは、そのうち1社と1人のあいだのずれを指します。
Q3. 採用しないほうがいい人の特徴はありますか?
A. 特定の人の特徴で採否を決めるのではなく、募集した職務に必要な適性と能力に基づいて判断するのが基本です。本籍・出生地や家族の職業、宗教、支持政党などは、職務遂行の適性・能力と関係がないため、採用基準にしてはならないとされています。ミスマッチを避けたい場合は、必要な経験や勤務条件、期待する役割のすり合わせを面接で行います。
Q4. 仕事でミスマッチとは何ですか?
A. 本人の希望や適性と、実際の仕事の中身、労働条件、人間関係、職場の価値観がずれている状態を指します。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、初めて勤務した会社をやめた理由として「仕事が自分に合わない」が21.7%、「人間関係がよくなかった」が26.4%でした。
Q5. 採用ミスマッチと早期離職は、同じ意味ですか?
A. 同じ意味ではありません。早期離職は、入社して間もなくやめるという結果を指し、採用ミスマッチはその原因の一つです。離職の理由には、家庭の事情や転居、健康上の理由など、ミスマッチ以外もあります。離職率だけでなく、退職理由を分類して見ることが大切です。
Q6. 適性検査やリファレンスチェックだけで、ミスマッチは防げますか?
A. 防げるとは言い切れません。これらは、面接や書類で見えにくい情報を補う手段で、募集情報の正確な開示、面接の評価基準、入社後のフォローと組み合わせて使います。結果だけで合否を決めず、面接で確かめる材料の一つとして使ってください。サービスごとの特徴や注意点は、資料や公式サイトで確認できます。
まとめ:採用ミスマッチ対策で押さえたい5つのこと
- 採用ミスマッチは、仕事の内容、労働条件、人・職場の風土の3つの面で、企業と本人の期待がずれること
- 新規大卒就職者の3年以内離職率は33.8%(令和4年3月卒業者)。規模や産業で差が大きく、自社の数字で見る
- 原因は、募集時の情報の偏り、評価基準のばらつき、スキル偏重、人物像のずれ、内定後と入社後のフォロー不足の6つ
- 入社前は基準・募集情報・対話・客観的な見極め、入社後は受け入れと面談で防ぐ。選考は職務に必要な適性・能力に基づいて行う
- 見極めの基準づくりのために、適性検査やリファレンスチェックの資料を取り寄せ、自社の採用の流れに合うかを検討する
採用ミスマッチは、1つの対策で消えるものではありません。自社の離職理由を振り返り、一番ずれの大きい面から順に手を打っていきましょう。
参考文献
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
- 厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaikyou.pdf
- 厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります(求職者の皆さま向けリーフレット)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001114167.pdf
- 厚生労働省「若者の雇入れを検討している事業主の皆さまへ」(職場情報の提供) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133085.html
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」 https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76397.html
- ラフール「株式会社アールアンドアールの「テキカク」導入事例」 https://tekikaku.lafool.jp/case-study/r-rental/
- リーディングマーク「株式会社サン・プランナーのミキワメ導入事例」 https://mikiwame.com/casestudy/sun_planner.html
- back check「株式会社Micoの導入事例」 https://site.backcheck.jp/case/Mico
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