労働条件通知書とは?記載事項・交付時期と2026年10月の改正点
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- 会社に労働条件の明示義務がある書類
- 雇用契約書とは役割が異なる
- 2026年10月に明示事項が追加された
労働条件通知書とは、会社が労働者を雇い入れるときに、賃金や労働時間などの労働条件を書面で示すための書類です。労働基準法第15条が定める「労働条件の明示」の中心にあたり、正社員だけでなく、パート・アルバイトや契約社員を雇う場合も交付が必要です。雇用契約書とは役割が異なり、通知書は会社が条件を示す書類、契約書は双方が合意した内容を確かめる書類として使い分けます。2024年4月には就業場所・業務の変更の範囲などの明示事項が追加され、2026年10月1日からはパート・有期雇用労働者の雇い入れ時に、待遇の相違について説明を求められる旨の明示も加わりました。この記事では、基本、雇用契約書との違い、交付の時期、記載事項、改正点、作り方、電子での交付、保管、交付しない場合のリスクの順に整理します。
自社の労働条件通知書まわりの負担を2問で確認
Q1. 入社や更新の手続きで、負担が大きいのはどちらに近いですか?
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目次
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- 労働条件通知書とは?根拠となる法律と、書面で示す内容
- 労働条件通知書と雇用契約書の違い|役割と法律上の扱い
- 労働条件通知書はいつ・誰に交付する?交付が必要な場面
- 労働条件通知書の記載事項|書面で必要な事項と口頭でもよい事項
- 労働条件明示の改正点|2024年4月と2026年10月に何が変わったか
- 雇用形態別の書き方のポイント|正社員・有期・パートで変わる欄
- 労働条件通知書の作り方|モデル様式をもとに記入する手順
- 労働条件通知書は電子でも交付できる?メール・PDFで渡す条件
- 労働条件通知書の保管期間と管理のポイント
- 労働条件通知書を交付しない・事実と違うときのリスク
- よくある質問(FAQ)
- 労働条件通知書で押さえたい5つのこと
- 参考文献
労働条件通知書とは?根拠となる法律と、書面で示す内容
労働条件通知書とは、使用者が労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を労働者に示すための書面です。根拠は労働基準法第15条第1項で、業種や会社の規模を問わず、すべての使用者に義務があります。
同条は、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。賃金や労働時間などの重要な事項は、労働基準法施行規則第5条で、書面の交付によって示す方法が定められています(出典:労働基準法、労働基準法施行規則)。対象の「労働者」は、職業の種類を問わず、事業に使用されて賃金を支払われる人のことです(同法第9条)。そのため、正社員、契約社員、パート、アルバイトのいずれの雇用形態でも通知書を交付します。
厚生労働省はモデル様式を公開しており、様式の末尾には、労使間の紛争を防ぐため通知書を保存しておくことをすすめる旨が書かれています。
通知書は、入社のたびと、有期契約の更新のたびに作る書類です。入社や更新が多い会社では、氏名や賃金などの入力、本人への交付、従業員情報への反映が手作業になりがちです。入社後の保険の届け出など、手続き全体の流れは労務管理で行う手続き一覧で整理しています。ここでは、入社手続きと書類の管理を人事労務システムで進める選択肢として、役割の違いを先に比べておきます(商品ページで確認した内容、2026年10月20日時点)。
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| 特徴 | 入社・退社手続きでオンライン上の手続きと社会保険、雇用保険の書類の自動作成に対応。労務情報をクラウドで一元管理 | 各種帳票を自動で作成し、情報収集から電子申請までを一気通貫で実施。一括申請形式で複数人の入退社にも対応 | 組織ツリー図、配置バランス図、社員データグラフなどで人材データを可視化。1社に1人の専任サポート |
| 注意したい点 | スマホからの出退勤が使いにくく、持て余す機能もある | 労務管理が中心のため、それ以外の機能を求める場合は他サービスの申し込みが必要 | 目的や規模で価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要 |
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労働条件通知書と雇用契約書の違い|役割と法律上の扱い
労働条件通知書と雇用契約書の違いは、通知書が会社から労働者へ労働条件を示す書面で、契約書が双方の合意を確かめる書面である点です。通知書は法律で明示が義務づけられ、契約書は作成そのものが義務ではありません。
| 項目 | 労働条件通知書 | 雇用契約書 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 会社が労働条件を労働者に示す書面 | 労働者と会社が合意した契約の内容を確かめる書面 |
| 法律上の扱い | 労働基準法第15条と同法施行規則第5条で、明示が義務 | 契約は労働者と使用者の合意で成立する(労働契約法第6条)。書面の作成を義務づける規定はないが、できる限り書面で確認するものとされる(同法第4条第2項) |
| 署名・押印 | 施行規則第5条は書面の交付を求めるもので、署名や押印は定めていない | 合意の証として、双方が署名または記名押印するのが一般的 |
| 作成する人 | 労働条件の決定について権限をもつ者が作成し、本人に交付する(厚生労働省のモデル様式の記載要領) | 会社と労働者が内容を確認して取り交わす |
実務では、1枚にまとめた「労働条件通知書兼雇用契約書」を使う会社もあります。兼用する場合は、通知書として必要な事項が欠けないようにしたうえで、労働者が内容を確認した旨の署名欄を設けます。署名と記名の違いは署名とは|記名との違い・契約書への署名ルールで確認できます。
雇用契約書を電子化できるかどうかは、雇用契約書の電子化は可能?メリット・デメリット、注意点も解説で、書類の電子化の面から解説しています。本記事は、通知書そのものの記載事項と交付のルールを扱います。
労働条件通知書はいつ・誰に交付する?交付が必要な場面
労働条件通知書は、労働契約を結ぶとき、つまり入社時と有期契約の更新時に、雇用するすべての労働者へ交付します。契約を結ぶ前後で労働条件が変わる場合は、条件に合意した内容を書面で確かめます。
第15条は「労働契約の締結に際し」と定めているため、契約が成立する時点までに示す必要があります。実務では、内定を出す段階や入社日までに渡す会社が多く、先に示しておけば、入社前に条件を確かめてもらえます。
場面ごとの扱い
| 場面 | 通知書の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 新しく雇い入れるとき | 契約の締結に際して交付する | 労働基準法第15条第1項 |
| 有期契約を更新するとき | 更新は新たな労働契約の締結にあたるため、更新のたびに明示する | 厚生労働省「労働条件明示等に関するQ&A」 |
| 労働条件を変えるとき | 変更は労使の合意で行うのが原則。変更後の内容は書面で確認し合う | 労働契約法第8条、第4条第2項 |
| 2024年4月の改正時点で在籍する従業員 | 改正を理由に、改めて明示する必要はない | 厚生労働省「労働条件明示等に関するQ&A」 |
労働条件を変更するときに、どの事項を書面で示す必要があるかは、変更の内容によって異なります。判断に迷う場合は、労働局や社会保険労務士に確認してください(出典:厚生労働省 Q&A、労働契約法)。
入社と契約更新が多い会社では、通知書の作成と回収が月ごとに積み上がります。パート・アルバイトなど有期の契約更新が多く、更新のたびに書類の作成と回収が発生する場合の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー人事労務です。商品ページでは、各種帳票を自動で作成でき、情報収集から電子申請までを一気通貫で行えること、複数人の入退社でも一括申請の形式で手続きできることが紹介されています。従業員のデータを1つのデータベースに集約し、書類の配布や社会保険の手続きなど紙ベースだった業務を電子化できる点も特長です。一方で、労務管理が中心のため、それ以外の機能を求める場合は他のサービスの申し込みが必要になる点が注意点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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労働条件通知書の記載事項|書面で必要な事項と口頭でもよい事項
労働条件通知書の記載事項は、書面で示す事項、制度がある場合に示す事項、パート・有期雇用労働者に追加で書面明示が必要な事項の3つに分かれます。書面で示す事項は、契約期間、就業場所と業務、労働時間や休日、賃金、退職です。
| 区分 | 主な事項 | 明示の方法 |
|---|---|---|
| 書面の交付で示す事項(労働基準法施行規則第5条) | 契約期間/有期契約の更新の基準(更新上限がある場合はその内容)/就業場所と従事する業務(変更の範囲を含む)/始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩、休日、休暇/賃金の決定、計算、支払の方法と締め日、支払日/退職(解雇の事由を含む) | 書面の交付。労働者が希望した場合は、ファクシミリや電子メール等も可 |
| 書面でなくてもよい事項 | 昇給/退職手当/賞与・臨時の賃金・最低賃金額/労働者が負担する食費や作業用品/安全衛生/職業訓練/災害補償・業務外の傷病扶助/表彰・制裁/休職。昇給以外は、制度を設けている場合に示す | 口頭でも可。ただし、紛争を防ぐため書面に載せるのが望ましい |
| パート・有期雇用労働者に追加で書面明示が必要な事項(パートタイム・有期雇用労働法第6条) | 昇給の有無/退職手当の有無/賞与の有無/雇用管理の改善等に関する事項の相談窓口 | 文書の交付等 |
表の区分は、厚生労働省のモデル様式の記載要領と「労働条件明示等に関するQ&A」に沿っています(出典:モデル労働条件通知書(一般労働者用)、厚生労働省 Q&A、パートタイム・有期雇用労働法)。書面で示す事項は、一般に「絶対的明示事項」、制度がある場合に示す事項は「相対的明示事項」と呼ばれます。昇給は絶対的明示事項に入りますが、書面で示す義務の対象からは外れている点に注意してください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案は、社会保険労務士や都道府県労働局、労働基準監督署に確認してください。
就業場所と業務の欄は、雇い入れ直後のものに加えて、将来の配置転換などで変わり得る範囲(変更の範囲)も書きます。賃金の欄は、基本賃金、手当、割増賃金率、締め日、支払日、支払方法、労使協定に基づく控除、昇給、賞与、退職金の項目に分かれており、様式にそって埋めると抜けを防げます。
労働条件明示の改正点|2024年4月と2026年10月に何が変わったか
労働条件明示のルールは、2024年4月1日に就業場所・業務の変更の範囲などの明示が加わり、2026年10月1日にはパート・有期雇用労働者の雇い入れ時に、待遇の相違の説明を求められる旨の明示が加わりました。
| 時期 | 対象 | 追加された明示の内容 |
|---|---|---|
| 2024年4月1日 | すべての労働者(契約の締結時と、有期契約の更新時) | 就業場所と業務の「変更の範囲」 |
| 2024年4月1日 | 有期契約労働者(締結時と更新時) | 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容 |
| 2024年4月1日 | 無期転換申込権が発生する更新時 | 無期転換を申し込める機会と、無期転換後の労働条件 |
| 2026年10月1日 | パート・有期雇用労働者(雇い入れ時) | 通常の労働者との待遇の相違の内容・理由などについて、説明を求めることができる旨 |
「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所や業務の範囲のことです。更新上限を、最初の契約より後に新しく設ける、または短くする場合は、その理由をあらかじめ有期契約労働者に説明する必要があります。無期転換は、同じ使用者との有期契約が通算5年を超えたときに、労働者の申込みで期間の定めのない契約に転換される制度です(労働契約法第18条)。2024年4月の改正の内容は、厚生労働省のリーフレットで確認できます(出典:厚生労働省リーフレット、厚生労働省 労働条件明示のルール)。
2026年10月1日の改正は、パート・有期雇用労働法の施行規則によるもので、違反した場合は10万円以下の過料に処されると厚生労働省のリーフレットに書かれています。改正後のモデル様式には、「次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる」という欄があり、部署名と担当者、連絡先を記入します。「通常の労働者」は、自社の呼び方(正社員など)に置き換えて書いてもよいとされています(出典:厚生労働省リーフレット(令和8年10月1日施行)、モデル労働条件通知書)。
いまも2024年4月より前の様式や、改正前のひな形を使っている場合は、変更の範囲、更新上限、無期転換、待遇差の説明の欄が抜けていないかを確かめてください。有期契約で更新上限がない場合、施行規則上は「上限なし」と明示することまでは求められていませんが、厚生労働省のモデル様式は「無」と書く形になっています。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案は、社会保険労務士や都道府県労働局、労働基準監督署に確認してください。
雇用形態別の書き方のポイント|正社員・有期・パートで変わる欄
労働条件通知書の書き方は、雇用形態によって注意する欄が変わります。期間の定めがない正社員は変更の範囲と退職の欄、有期契約は更新と無期転換の欄、パートは昇給・賞与・退職手当の有無と相談窓口の欄が要点です。
| 雇用形態 | 押さえる欄 | 書くときのポイント |
|---|---|---|
| 正社員など期間の定めがない労働者 | 契約期間、就業場所・業務の変更の範囲、退職 | 契約期間は「期間の定めなし」とし、配置転換の可能性がある範囲を変更の範囲に書く。定年や継続雇用制度、自己都合退職の手続き、解雇の事由も記載する |
| 契約社員など有期の労働者 | 契約期間、更新の有無と判断基準、更新上限、無期転換 | 更新する場合の判断基準と、更新上限の有無を書く。通算5年を超える契約では、無期転換を申し込める機会と無期転換後の労働条件を示す。有期雇用特別措置法の特例の対象者は、無期転換申込権が発生しない期間を書く欄がある |
| パート・アルバイト(短時間・有期) | 労働時間、昇給・賞与・退職手当の有無、相談窓口、待遇差の説明 | 勤務日数や時間帯を具体的に書く。昇給、賞与、退職手当は「有」「無」を必ず記入し、相談窓口と、2026年10月1日以降は待遇の相違の説明を求められる旨の窓口も記入する |
無期転換の申込権を行使しない意向を示している労働者にも、無期転換を申し込める機会の明示は必要です(厚生労働省「労働条件明示等に関するQ&A」)。本人の意向にかかわらず、更新のたびに明示する扱いになります。
労働条件通知書の作り方|モデル様式をもとに記入する手順
労働条件通知書は、厚生労働省のモデル様式をもとに、労働条件の決定に権限をもつ者が作成し、本人に交付します。様式はモデル労働条件通知書(一般労働者用、常用・有期雇用型)のほか、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーで雇用形態に合わせたものを入手できます。
- 雇用形態に合うモデル様式を選ぶ。一般労働者用(常用、有期雇用型)のほか、短時間労働者用など、雇用形態に合わせた様式が公開されている
- 契約期間を書く。期間の定めがある場合は、契約の更新の有無、更新の判断基準、更新上限の有無を書く
- 就業場所と業務を書く。雇い入れ直後のものと、変更の範囲の両方を書く
- 始業・終業の時刻、休憩、所定時間外労働の有無、休日、休暇を書く。変形労働時間制やフレックスタイム制などを適用する場合は、該当する制度を選ぶ
- 賃金を書く。基本賃金、手当、割増賃金率、締め日、支払日、支払方法、労使協定に基づく控除、昇給、賞与、退職金の順に埋める
- 退職に関する事項を書く。定年制、継続雇用制度、自己都合退職の手続き、解雇の事由と手続きを記載する
- その他の欄を書く。社会保険の加入状況、雇用保険の適用、相談窓口、待遇の相違の説明を求められる窓口を記入する
- 就業規則と照らして、内容が食い違わないかを確かめてから交付する
最後の確認では、就業規則とのずれに注意します。就業規則で定める基準に達しない労働条件を定めた契約は、その部分が無効になり、就業規則の基準が適用されます(労働契約法第12条)。労働基準法の基準を下回る部分も同様に無効です(労働基準法第13条)。募集の段階で示した条件と、通知書の内容が食い違わないかも見直してください。
通知書の作成と交付の手間は、入社や更新の件数に比例して増えます。次のチェックで、自社の状況を確かめてください。
労働条件通知書の作成と管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
労働条件通知書は電子でも交付できる?メール・PDFで渡す条件
労働条件通知書は、労働者が希望した場合に限り、ファクシミリや電子メールなどでも交付できます。ただし、電子メール等で送る場合は、労働者がその記録を出力して書面を作成できるものに限られます(労働基準法施行規則第5条)。
- 会社の都合で一律に電子へ切り替えず、従業員一人ひとりに希望を確かめる
- PDFなど、受け取った人が印刷して書面にできる形式で送る
- 誰に、いつ、どの方法で送ったかの記録を残す
これは、通知書を電子的に交付できる条件であり、雇用契約書に電子署名を付けて締結する電子契約とは別の話です。電子契約の方式の違いは電子契約書の立会人型(事業者署名型)とは|当事者型との違いで整理されています。
労働条件通知書の保管期間と管理のポイント
労働条件通知書は、雇入れに関する書類として、労働基準法第109条により5年間の保存が定められており、当分の間は3年間とされています。通知書も、この保存の対象として扱うのが一般的です。
労働基準法第109条は、雇入れ、解雇、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存するよう定めています。同法附則第143条により、当分の間は3年間とされています。保存期間の計算の起算日は、雇入れまたは退職に関する書類の場合、労働者の退職または死亡の日です(労働基準法施行規則第56条)。保存を怠った場合は、30万円以下の罰金の対象になります(労働基準法第120条)(出典:労働基準法、労働基準法施行規則)。
どの書類が保存の対象になるかは、個別の判断が必要な場合があります。通知書は、労使の紛争を防ぐ証拠にもなるため、期間にかかわらず、労働者が在籍する間は保管しておく運用が安全です。
管理を続けるための4つの工夫
- 労働者ごとに通知書をまとめ、契約期間と更新日の一覧を別に作る
- 更新で新しい通知書を交付しても、以前の版を退職後の保存期間まで残す
- 電子で受け渡した場合も、印刷できる形式のまま保存する
- 個人情報を含むため、保管場所と閲覧できる人を限る
電子で受け渡した場合の保存や原本の考え方は、電子契約書の原本とは?書面契約との違いや保存の注意点も参考になります。
通知書の内容と、評価や配置などの人事情報が別々に保管されていると、人ごとの状況を見渡しにくくなります。従業員ごとの契約内容や更新時期を、評価や配置などの人事情報とあわせて把握したい場合の一例が、株式会社カオナビが提供するカオナビです。商品ページでは、「組織ツリー図」「配置バランス図」「社員データグラフ」といった社員のスキルを可視化しやすい機能が豊富で、1社に1人の専任サポートがつくと紹介されています。カオナビの公式ページ(活用シーン)には、雇用契約や入社手続き、行政手続きなどのペーパーレス化と、所属や資格、人事評価といった社員データの一元管理についての記載があります(確認日:2026年10月20日。カオナビ 活用シーン)。一方で、目的や規模によって価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要です。通知書の作成が主な目的の製品ではないため、労務まわりで対応できる範囲は資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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出典:kaonavi
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労働条件通知書を交付しない・事実と違うときのリスク
労働条件通知書を交付しないなど、労働条件を明示しない場合は、労働基準法第15条違反となり、30万円以下の罰金の対象になります。明示された条件が事実と違えば、労働者は即時に労働契約を解除できます。
第15条第2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に契約を解除できると定めています。就業のために住居を変えた労働者が、解除の日から14日以内に帰郷する場合は、使用者が必要な旅費を負担します(同条第3項)(出典:労働基準法)。更新上限の定めがあるのに書面で明示しなかった場合も、第15条違反になります。ただし、明示がなかったことで、直ちに上限のない契約が成立するわけではなく、最終的には合意の有無などから司法で判断されると、厚生労働省のQ&Aに書かれています。
よくあるつまずき
- 更新上限や無期転換の説明を口頭だけで済ませ、書面に残していない
- 「変更の範囲」の欄が空欄のまま交付している
- 無期転換申込権を使わない意向の従業員に、申込機会の明示を省いている
- 2024年4月より前の様式を使い続けている
- 就業規則や募集時の条件と、通知書の内容が食い違っている
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案は、社会保険労務士や都道府県労働局、労働基準監督署に確認してください。
入社と更新の手続きが増えるほど、これらの抜けを手作業で防ぐのは難しくなります。通知書の作成、回収、保管を人手だけで回し続けるか、入社手続きと従業員情報の管理をまとめる仕組みを検討するか。判断の材料として、3つのサービスの資料を取り寄せて比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 労働条件通知書の交付は義務ですか?
A. 義務です。労働基準法第15条第1項により、使用者は労働契約の締結に際して労働条件を明示しなければならず、賃金や労働時間などの重要な事項は書面の交付で示します。違反した場合は、30万円以下の罰金の対象になります。
Q2. 労働条件通知書はいつ渡しますか?
A. 労働契約を結ぶ時点までに渡します。実務では、内定を出す段階から入社日までに渡す会社が多く、有期契約は更新も新たな契約の締結にあたるため、更新のたびに明示します。
Q3. 労働条件通知書はどこでもらえますか?
A. 雇い入れる会社(使用者)から、入社時や契約の更新時に交付されます。受け取っていない場合は、まず会社の人事や総務に確認してください。それでも交付されないときは、都道府県労働局や労働基準監督署に相談できます。
Q4. 労働条件通知書は誰が書けばいいですか?
A. 厚生労働省のモデル様式の記載要領では、労働条件の決定について権限をもつ者が作成し、本人に交付するとされています。実務では人事や総務が書類づくりを担当しますが、内容は決定権限のある人が確認します。
Q5. 労働条件通知書と雇用契約書は兼ねてもよいですか?
A. 兼用する会社もあります。通知書として必要な事項が抜けないようにしたうえで、労働者が内容を確認した署名欄を設けます。2024年4月以降の追加事項も忘れずに記載してください。
Q6. 労働条件通知書をメールで送ってもよいですか?
A. 労働者が希望した場合に限り、電子メールなどでの明示が認められます。受け取った人が記録を出力して書面を作成できる形式で送り、本人の希望は個別に確かめてください。
労働条件通知書で押さえたい5つのこと
- 労働基準法第15条により、雇い入れ時と有期契約の更新時に、賃金や労働時間などの労働条件を明示する
- 雇用契約書とは別の書類として扱い、兼用する場合も通知書の記載事項を欠かさない
- 2024年4月の追加事項と、2026年10月1日のパート・有期雇用労働者向けの追加を、様式に反映する
- メールなどで渡すのは、本人が希望した場合に限り、出力して書面にできる形式にする
- 入社や更新が増えて手作業が重くなってきたら、入社手続きと従業員情報をまとめる仕組みの資料を取り寄せて比べる
参考文献
- 法務省 e-Gov法令検索「労働基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 法務省 e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023
- 法務省 e-Gov法令検索「労働契約法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128
- 法務省 e-Gov法令検索「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000076
- 厚生労働省「労働条件通知書(一般労働者用、常用・有期雇用型)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001696984.pdf
- 厚生労働省「労働条件通知書の記載例、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001698010.pdf
- 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001298245.pdf
- 厚生労働省「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156119.pdf
- 厚生労働省「労働条件明示のルールが変わります」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
- 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoukijunkankei.html
- freee株式会社「freee人事労務 入社手続き」 https://www.freee.co.jp/hr/features/joining-leaving/
- freee株式会社「導入事例 株式会社クラウンベーカリー」 https://www.freee.co.jp/cases/crownbakery/
- jinjer株式会社「導入事例 山田食品産業株式会社」 https://hcm-jinjer.com/results/90011/
- 株式会社カオナビ「活用シーン」 https://www.kaonavi.jp/scene/smb/
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