サブロク協定とは?36協定の意味・締結と届出の流れを解説
Check!
- 届け出て初めて協定の効力が出る
- 協定届は様式第9号か第9号の2を使う
- 毎年の更新は前年の実績の集計から
サブロク協定とは、労働基準法第36条にもとづく「時間外・休日労働に関する労使協定」の通称で、「36協定」とも書きます。法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりするには、会社と労働者の代表がこの協定を書面で結び、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。協定は届け出て初めて効力を持ち、結べば残業を命じられるというものでもありません。この記事では、サブロク協定の意味と必要になる場面、協定届に書く内容、締結から届出・周知・保存までの流れ、守らなかったときの罰則を、厚生労働省の資料と条文(確認日2026年10月20日)で整理します。上限時間の細かい数え方は別の記事に任せ、ここでは協定そのものの仕組みを順に読み解きます。
サブロク協定について、まず読むべきところを診断
Q1. サブロク協定について、いま一番知りたいことはどれですか?
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サブロク協定とは|労働基準法第36条にもとづく時間外・休日労働の労使協定
サブロク協定(36協定)とは、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日の労働をさせるために、会社が労働者の代表と書面で結び、労働基準監督署長に届け出る労使協定のことです。
名前の由来は、根拠となる条文が労働基準法第36条であることです。厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、正式名称を「時間外労働・休日労働に関する協定」とし、通称を「36(サブロク)協定」と説明しています。
労働基準法は、労働時間を原則として1日8時間・1週40時間以内とし(第32条)、休日を毎週少なくとも1回与えるよう定めています(第35条。4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は例外)。これを超えて働かせれば、本来は法律違反です。そこで第36条は、労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者と書面で協定を結び、厚生労働省令で定めるところにより行政官庁に届け出れば、協定で定めた範囲で労働時間を延長したり、休日に労働させたりできると定めています(第36条第1項)。協定の範囲内であれば法違反に問われないこの効果を、免罰効果といいます。
サブロク協定は「残業を命じる権利」を生むものではない
厚生労働省の新規開業事業者向けサイト「スタートアップ労働条件」は、36協定には、従業員に残業の義務を生じさせる効力はなく、協定の範囲内で労働させても違反に問われないという免罰効果があるにすぎない、と説明しています。残業を命じられるかどうかは、労働契約や就業規則に定めがあるかによります。常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則の作成と届出が必要で、始業・終業の時刻、休憩時間、休日などを記載します(第89条)。
| 項目 | サブロク協定でできること | サブロク協定だけではできないこと・別に必要なこと |
|---|---|---|
| 法定労働時間を超える労働 | 協定で定めた範囲で、時間外労働をさせても法違反に問われない | 協定の限度時間や、第36条の上限を超えて働かせること |
| 法定休日の労働 | 協定で定めた日数・時間の範囲で、休日労働をさせられる | 協定にない日数や時間の休日労働をさせること |
| 残業を命じる根拠 | 協定は免罰効果にとどまる | 労働契約や就業規則などに定めがあることが前提 |
| 割増賃金 | 協定を結んでも、割増賃金の支払いは免除されない | 時間外労働は25%以上、法定休日の労働は35%以上、月60時間を超える部分は50%以上(第37条と政令) |
協定に書く数字は、前年の実績の集計から決まる
協定には、対象期間における1日・1か月・1年のそれぞれについて、延長できる時間を定めます(第36条第2項第4号)。この時間は、その事業場の業務量や時間外労働の動向を考慮して、通常予見される時間外労働の範囲内で、限度時間(月45時間・年360時間)を超えない時間に限られます(同条第3項・第4項)。数字を決めるには、前年の月ごとの時間外労働と休日労働の実績が必要です。毎年の更新で、この集計を手作業で行っていると、数字を決める作業そのものが負担になります。
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サブロク協定は廃止された?2026年も必要か
サブロク協定は廃止されていません。第36条は、この記事の確認日(2026年10月20日)時点のe-Gov法令検索の労働基準法(2026年7月17日施行の改正を反映した版)に、そのまま置かれています。2019年4月(中小企業は2020年4月)には、それまで大臣告示にとどまっていた時間外労働の上限が、罰則つきで法律に書き込まれました(厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」)。協定の対象期間は1年間に限られるため、2026年度も、期間が切れる前に毎年結び直して届け出る必要があります。
厚生労働省は2026年8月19日に、9月1日から時間外労働等に関する監督指導と相談支援を見直すと発表しました。時間外・休日労働の時間数だけに着目して月45時間以内への削減を求める指導をやめ、協定で定める健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認する内容です。上限の数字が緩んだわけではありません。詳しくは「36協定の残業時間の上限は?月45時間・年360時間と特別条項を解説」で整理しています。
サブロク協定が必要になる場面|法定労働時間と法定休日を超えるとき
サブロク協定が必要になるのは、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて働かせるときと、法定休日(毎週少なくとも1回の休日)に働かせるときです。所定労働時間を超えるだけなら、必要とは限りません。
「残業」と、法律上の「時間外労働」は同じではありません。厚生労働省の解説資料は、始業9時、休憩12時から13時、終業17時30分の会社なら所定労働時間は7時間30分となり、9時に始業して18時に終業した労働者の「残業」は30分でも、法律上の時間外労働はなし、という例を挙げています。残業手当の算定基準を所定労働時間とするか法定労働時間とするかは、労使の定めによって決まります。所定と法定の違いは、「所定労働時間とは?法定労働時間との違い・決め方・計算方法を解説」で詳しく扱っています。
| 働いた場面 | サブロク協定 | 考え方 |
|---|---|---|
| 所定労働時間を超えたが、1日8時間・1週40時間の範囲内 | 必要ない | 法定労働時間を超えていない。賃金の扱いは就業規則や労働契約による |
| 1日8時間、または1週40時間を超えた | 必要 | 法定労働時間を超える時間外労働(第32条) |
| 法定休日(毎週少なくとも1回の休日)に働いた | 必要 | 休日労働(第35条)。法定休日の労働は、時間外労働とは別に数える |
| 所定休日だが、法定休日ではない日(例: 土曜)に働いた | 週40時間を超えた部分は必要 | 法定休日でなければ休日労働にはならないが、その週の労働が40時間を超えた分は時間外労働 |
法定休日と時間外労働の割増の違いは「休日出勤とは?割増率の計算方法・振替休日と代休の違いを解説」で整理しています。
雇用形態・働き方ごとの扱い
協定は、会社全体ではなく、事業場(工場、支店、営業所など)ごとに結びます。対象になるのは正社員に限らず、パートタイムやアルバイトを含め、法定労働時間を超えて働かせる労働者です。一方で、働き方によって扱いが変わる人がいます。
| 対象 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 正社員・パート・アルバイト | 雇用形態を問わず、法定労働時間を超えて働かせるなら、協定の「労働者の範囲」に含める | 労働基準法第36条第2項第1号 |
| 派遣労働者 | 36協定は派遣元が締結・届出する。協定の上限を超えて働かせた場合は、派遣先が法違反になる | 厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」Q&A |
| 管理監督者 | 労働時間・休日の規定が適用されない。該当するかは個別の判断になるため、労働基準監督署などで確認する | 労働基準法第41条第2号 |
| 満18歳未満 | 第36条が適用されず、協定による時間外・休日労働の対象にできない | 労働基準法第60条第1項 |
| 妊産婦 | 請求があれば、時間外労働・休日労働をさせてはならない | 労働基準法第66条第2項 |
| 育児・介護をする労働者 | 請求があれば、月24時間・年150時間を超えて時間外労働をさせてはならない(事業の正常な運営を妨げる場合などを除く) | 育児・介護休業法第17条・第18条 |
サブロク協定に定める内容|協定届(様式第9号)の欄を順に読む
サブロク協定には、時間外・休日労働をさせる労働者の範囲、対象期間、延長できる時間などを定めます。協定届は、限度時間の範囲内なら様式第9号、特別条項を結ぶなら様式第9号の2を使います。
法律で定める5つの事項
第36条第2項は、協定で定める事項として次の5つを挙げています。
- 時間外労働・休日労働をさせることができる労働者の範囲
- 対象期間(1年間に限る)
- 時間外労働・休日労働をさせることができる場合
- 対象期間における1日・1か月・1年それぞれの、延長できる時間または労働させることができる休日の日数
- 労働時間の延長と休日労働を適正なものとするために必要な事項として、厚生労働省令で定める事項
5つ目の省令で定める事項は、労働基準法施行規則第17条が定めています。協定の有効期間、1年の起算日、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満で、2か月から6か月のどの平均も80時間以内になるようにすることなどです。特別条項を定める場合は、さらに限度時間を超えて労働させることができる場合、健康・福祉確保措置、割増賃金の率、手続を定めます。
協定届の欄と、書くときの注意
厚生労働省の「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」には、様式第9号の記載例と、欄ごとの注意が載っています。そこに書かれた注意を、欄ごとにまとめます。
| 協定届の欄 | 書くときの注意 |
|---|---|
| 事業場の名称・所在地、労働保険番号・法人番号 | 事業場(工場、支店、営業所など)ごとに協定する。労働保険番号・法人番号を記載する |
| 時間外労働をさせる必要のある具体的事由 | 具体的に書く。「業務の都合上必要なとき」のような、恒常的な長時間労働を招くおそれのある書き方は認められない |
| 業務の種類 | 業務の範囲を細分化し、明確にする。各製造工程の労働時間を別々に管理しているのに「製造業務」とまとめるのは、細分化が不十分な例とされる |
| 労働者数、所定労働時間 | 業務の種類ごとに書く |
| 延長できる時間(1日・1か月・1年) | 法定労働時間を超える時間数を書く。1か月は45時間以内、1年は360時間以内(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制は、42時間以内・320時間以内) |
| 起算日 | 1年の上限時間を数え始める日。その1年間は、協定の有効期間にかかわらず、同じ日にする必要がある |
| 有効期間 | 協定が有効となる期間を定める。記載例は、1年間とすることが望ましいとしている |
| 休日労働(法定休日の日数、始業・終業の時刻) | 労働させることができる法定休日の日数と時刻を書く |
| 労働者代表の職名・氏名・選出方法 | 管理監督者は労働者代表になれない。投票や挙手などの方法で選出し、選出方法を書く。使用者の指名や意向による選出は認められない |
| 月100時間未満・平均80時間以内のチェックボックス | 時間外労働と休日労働の合計が、月100時間未満で、2か月から6か月のどの平均も80時間以内になることを労使で確認してチェックする。チェックがないと有効な協定届とはならない |
| 労働者代表の適格性のチェックボックス | 管理監督者でなく、協定をする者を選ぶことを明らかにして投票・挙手などで選出された者であることを確認してチェックする。チェックがないと、形式上の要件に適合した協定届とはならない |
1日の延長時間には、坑内労働など健康上特に有害な業務の2時間を除き、法律上の一律の上限はなく、協定で定めた時間が、その事業場の1日の上限になります(第36条第6項第1号)。1か月・1年の限度時間と合わせて、1日の時間も、実績にもとづいて決めます。
2枚で構成される様式第9号の2は、1枚目に限度時間内の時間外労働、2枚目に限度時間を超える時間外労働を書きます。特別条項を結ぶ会社でも、まず1枚目の内容を決めることになります。
特別条項を結ぶときに加わる事項
臨時的な特別の事情があるときだけ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えて働かせる必要がある場合は、特別条項付きの協定を結びます。様式第9号の2の2枚目で、次の事項を定めます。上限の数字は、時間外労働と休日労働のどちらを数えるかが項目によって違います。数え方と計算例は「36協定の残業時間の上限は?月45時間・年360時間と特別条項を解説」で扱っています。
| 定める事項 | 上限・注意 |
|---|---|
| 1か月の時間外労働と休日労働の合計 | 100時間未満 |
| 1年の時間外労働(休日労働を含まない) | 720時間以内 |
| 月45時間を超えることができる回数 | 年6回以内 |
| 限度時間を超えて労働させる場合の事由 | 一時的または突発的に必要となるものに限り、できる限り具体的に書く |
| 健康・福祉確保措置 | 医師による面接指導、深夜業の回数制限、勤務間インターバルなどから選んで、番号と具体的内容を書く |
| 割増賃金の率と、限度時間を超えて労働させる場合の手続 | 割増賃金の率は、法定の25%を超える率とするよう努める |
協定届の様式の種類
| 様式 | 使う場面 |
|---|---|
| 様式第9号 | 限度時間(月45時間・年360時間)の範囲で、時間外労働・休日労働をさせる場合 |
| 様式第9号の2 | 臨時的な特別の事情があり、限度時間を超えて時間外労働をさせる場合(特別条項) |
| 様式第9号の3 | 新技術・新商品などの研究開発の業務に従事する労働者に、時間外労働・休日労働をさせる場合(労働基準法施行規則第16条第2項) |
| 建設事業・自動車運転の業務・医師向けの様式 | 上限規制に特例がある業務向けに、それぞれ専用の様式が用意されている |
様式は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーからダウンロードできます。協定届を画面入力で作成できる「36協定届等作成支援ツール」も、厚生労働省が公開しています。
上限規制の適用が猶予・除外されてきた業務
次の業務は、時間外労働の上限規制の扱いが他と異なります。自社の業務が当てはまるかは、厚生労働省の資料や労働基準監督署で確認してください。
| 事業・業務 | 上限規制の扱い(厚生労働省の解説資料より) |
|---|---|
| 建設事業 | 2024年4月から、災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用。災害の復旧・復興の事業は、月100時間未満と2か月から6か月平均80時間以内の規制が適用されない |
| 自動車運転の業務 | 2024年4月から、特別条項を結ぶ場合の年間の時間外労働の上限が年960時間。月100時間未満・平均80時間以内と、月45時間超は年6か月までの規制は適用されない |
| 医師 | 2024年4月から、具体的な上限時間は別に省令で定める |
| 鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業 | 2024年4月から、上限規制がすべて適用 |
| 新技術・新商品などの研究開発の業務 | 上限規制が適用されない(第36条第11項)。ただし、1週40時間を超えた時間が月100時間を超えた労働者には、医師の面接指導が義務づけられている |
これらは、解説資料(2023年2月版)が示す扱いです。法務の判断が必要な箇所に当たるため、この記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の事案は、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家に確認してください。
サブロク協定の設定と、残業時間の超過アラートを確認したい会社に
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サブロク協定の締結から届出・周知・保存までの流れ
サブロク協定は、労働者代表と書面で結び、協定届を所轄の労働基準監督署長に届け出て、労働者に周知する流れで進めます。協定の効力は、届出のうえで発生します。
| 手順 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 前年の実績をもとに、必要な延長時間を確認する | 労働基準法第36条第3項 |
| 2 | 労働者代表(過半数労働組合、なければ過半数代表者)を決める | 第36条第1項、施行規則第6条の2 |
| 3 | 内容を話し合い、書面で協定を結ぶ | 第36条第1項 |
| 4 | 協定届(様式第9号または第9号の2)を作成する | 施行規則第16条 |
| 5 | 所轄の労働基準監督署長に届け出る(電子申請も可) | 第36条第1項、施行規則第16条 |
| 6 | 労働者に周知する | 第106条、施行規則第52条の2 |
| 7 | 協定と記録を保管し、有効期間が切れる前に更新する | 第109条、施行規則第16条第3項・第17条第2項 |
労働者代表の選び方
労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場では、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)と結びます。施行規則第6条の2は、管理監督者でないこと、協定をする者を選ぶことを明らかにして投票や挙手などの方法で選出された者であること、使用者の意向に基づいて選出された者でないことを求めています。使用者は、労働者が過半数代表者であることなどを理由に、不利益な取扱いをしてはいけません。
協定書と協定届の違い|押印・署名が必要なのはどちらか
サブロク協定を結ぶことと、協定届を届け出ることは別の手続です。厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーによると、2021年4月1日以降は、協定届への使用者の押印・署名が不要になりました。ただし、これは届出書の話です。
| 書類 | 役割 | 押印・署名 |
|---|---|---|
| 協定書 | 労使が合意したことを残す書類 | 過半数労働組合または過半数代表者の署名・記名押印など、労使双方の合意が明らかになる方法が必要。電子申請で届け出る場合も同じ |
| 協定届 | 労働基準監督署長に届け出る書類 | 2021年4月1日以降、使用者の押印・署名は不要。協定届を協定書として兼ねる場合は、署名や記名押印などが必要 |
届出の方法と、届け出るタイミング
届出先は、事業場を管轄する労働基準監督署長です。厚生労働省は、協定を締結し届け出ることを、時間外労働をさせる前に「あらかじめ」行うものとしています。協定届は、e-Gov(イーガブ)の電子申請でも提出でき、労働基準監督署の窓口に行く必要はありません。届出の内容が法律の要件を満たしていないと受理されないため、厚生労働省は、協定届を画面入力で作成できる「36協定届等作成支援ツール」を用意しています。
協定を更新するときは、施行規則第16条第3項により、更新する旨の協定を届け出ることで、通常の協定届に代えることができます。有効期間の内容を変える場合は、改めて協定届を作成します。
周知と保存
第106条は、第36条第1項の協定を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示するか備え付ける、書面を交付する、などの方法で労働者に周知するよう求めています。施行規則第52条の2は、その方法として、掲示・備え付け、書面の交付、労働者がいつでも内容を確認できる機器を設置したうえでの電子データでの保存の3つを挙げています。
保存について、協定そのものに限った定めは見当たりませんが、第109条は、労働関係に関する重要な書類を保存するよう定め、期間は附則第143条で、当分の間、3年とされています。また、特別条項を結んだ場合の健康・福祉確保措置は、実施状況の記録を、協定の有効期間中と、有効期間が満了してから5年間保存する必要があります(施行規則第17条第2項)。
結び方・届出に迷ったときの相談先
協定の作り方や特別条項の結び方がわからないときは、全国の働き方改革推進支援センターに相談できます。厚生労働省は2026年9月1日から、センターに、36協定や特別条項の締結を支援する専門相談窓口を設け、労働基準監督署と組んだ訪問支援も行うとしています。
サブロク協定を結ばない・守らないとどうなる|罰則と注意点
サブロク協定を結ばずに法定労働時間を超えて働かせたり、協定の範囲を超えたりすると、労働基準法違反となり、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になりえます。
この章は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の事案は、労働基準監督署や、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確認してください。
協定がなくても、直ちに違法とは限らない
サブロク協定を結んでいないこと自体が、違法になるわけではありません。違法になるのは、協定なしに、法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりしたときです。法定労働時間の範囲内で運用している事業場には、協定は必要ありません。逆に、1人でも法定労働時間を超えて働かせる労働者がいれば、協定の締結と届出が要ります。
違反になる主なケース
| ケース | 根拠 |
|---|---|
| 協定を結ばず、または届け出ずに、時間外労働・休日労働をさせた | 労働基準法第32条・第35条違反 |
| 協定で定めた時間を超えて時間外労働をさせた | 第32条違反(厚生労働省の解説資料) |
| 時間外労働と休日労働の合計が、月100時間以上になった | 第36条第6項違反 |
| 時間外労働と休日労働の合計の、2か月から6か月のいずれかの平均が80時間を超えた | 第36条第6項違反 |
| 特別条項がないのに月45時間を超えた、または特別条項があっても月45時間を超えた回数が年7回以上になった | 協定の範囲を超える時間外労働となる |
罰則は第119条で、第32条、第35条、第36条第6項などに違反した者に、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定められています。厚生労働省の解説資料には「懲役」の表記が残っていますが、現行の条文は「拘禁刑」です。
月45時間を超えたとき、月60時間残業したとき
特別条項を結んでいない協定で、月45時間を超えて時間外労働をさせれば、協定の範囲を超えるため違反です。特別条項を結んでいる場合は、月45時間を超えられるのは年6回までです。月60時間残業した月が適法になるのは、特別条項があり、年6回の枠内で、年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、2か月から6か月のどの平均も80時間以内に収まっているときだけです。
協定の範囲内であっても、割増賃金は別に必要です。時間外労働は25%以上、法定休日の労働は35%以上で(第37条第1項と政令)、1か月の時間外労働が60時間を超えた部分は、50%以上の率で計算します(同項ただし書)。計算の考え方は「法定労働時間とは?言葉の意味や残業代の計算方法をわかりやすく解説」で扱っています。また、協定の範囲内でも、使用者には労働契約法第5条にもとづく安全配慮義務があると、厚生労働省の解説資料は注意しています。
サブロク協定を毎年更新するときの実務|実績の集計と記録を手作業にしない
サブロク協定は対象期間が1年に限られるため、毎年、前年の実績を集計して内容を見直し、有効期間が切れる前に届け出る必要があります。
期間が切れたまま更新の届出をしないと、その日以降は協定のない状態になり、法定労働時間を超える労働をさせられません。更新の時期が来たら、次の数字を前年の実績から確認します。ここでの時間は、所定ではなく、法定労働時間を超えた時間で数えます。
更新前に確認する4つの数字
| 前年の実績で見る数字 | 照らし合わせる基準 |
|---|---|
| 月ごとの時間外労働のうち、45時間を超えた月の数 | 特別条項がなければ0回。特別条項があっても年6回以内 |
| 1年間の時間外労働の合計 | 原則360時間以内。特別条項があっても720時間以内 |
| 月ごとの、時間外労働と休日労働の合計の最大値 | 月100時間未満 |
| 2か月から6か月のそれぞれの、時間外労働と休日労働の合計の平均 | どれも1か月あたり80時間以内 |
この4つが基準に収まっていたかを確認したうえで、翌年の協定の延長時間や、特別条項の要否を決めます。基準に近い月が多かったなら、限度時間にできる限り近づけず、業務の見直しも検討します。厚生労働省の指針も、時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめるべきものとしています。
措置の記録と協定の控えを、まとめて残す
特別条項を結ぶ場合は、健康・福祉確保措置を実際に実施した記録を、協定の有効期間中と、期間が満了してから5年間保存する必要があります。協定書、協定届の控え、周知の方法、措置の記録は、更新のたびに増えていきます。だれが、いつ、どこに保管するかを決めておかないと、労働基準監督署から確認されたときに、すぐ出せません。
手作業の集計で起きやすいこと
- 前年の実績の集計に時間がかかり、数字を決める根拠が毎年変わる
- 時間外労働と休日労働を別々の帳票で管理し、月100時間未満・平均80時間以内の確認で合計を取り違える
- 起算日と有効期間の管理が担当者の頭の中にあり、更新の届出の時期を見落とす
- 残業や休日出勤の申請・承認が勤怠の記録と別々で、実績と申請が合わない
集計や記録を勤怠のデータから出せるようにすると、更新の作業が軽くなります。時間外労働の内訳を集計し、残業可能時間の設定や超過の通知を行いたい場合の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー勤怠です。商品ページでは、法定内・法定外残業や深夜時間の内訳を含め、100種類以上の集計項目から選んで集計でき、フレックスタイム制や裁量労働制にも対応すると紹介されています。残業可能時間を雇用形態や勤務形態ごとに個別に設定でき、超過や不足があれば自動で通知されるほか、1か月の残業時間を月末より早い段階で予測できる予実管理もあります。
商品ページには、36協定の上限を管理する専用機能の記載はないため、協定の数字との突き合わせ方は、資料で確認する必要があります。口コミの評価は、商品ページ上で4.4(14件、2026年10月20日確認)です。注意点として、スマホアプリでは申請や修正の画面がわかりにくいという口コミが掲載されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
jinjer株式会社
ジンジャー勤怠
jinjer株式会社
ジンジャー勤怠
正確な労働時間の管理や働き方改革の促進をお考えの方に
おすすめ!
- 初期設定から定着まで電話・チャット・WEBなどでサポート
- 24時間365日お問い合わせ可能
- スマホアプリ対応で場所を問わず簡単に打刻ができる
- 月末の締め日に見直すだけで簡単に勤怠管理ができる
- 個人だけでなくチーム全体の勤怠管理ができる
気になる…
- スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
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jinjer勤怠を利用することによって、取り急ぎ問題となっていた「社内システムでは不可能な日付を跨いだ打刻」に関する問題が解決しました。 また、個人個人で日勤・夜勤がバラバラになっているシフト管理も、あらかじめスケジュールを登録できることにより解決しました。現場の責任者からも「シフト表を作る手間が省けた!」と大変好評でした。 労務部の立場としても、無理なシフトになっていないかの連携がリアルタイムにできることは大きなメリットでした。
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jinjer勤怠を利用することによって、取り急ぎ問題となっていた「社内システムでは不可能な日付を跨いだ打刻」に関する問題が解決しました。 また、個人個人で日勤・夜勤がバラバラになっているシフト管理も、あらかじめスケジュールを登録できることにより解決しました。現場の責任者からも「シフト表を作る手間が省けた!」と大変好評でした。 労務部の立場としても、無理なシフトになっていないかの連携がリアルタイムにできることは大きなメリットでした。
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直行・直帰の際に、その場で簡単に勤怠登録ができるため、後から入力する手間がなくなり、勤怠管理の効率が向上しました。リアルタイムでデータが反映されるため、管理者側も勤務状況を把握しやすくなり、勤怠管理の精度が向上した点もメリットでした。
有休や残業の申請をジンジャーで実施する運用にしましたが、従業員の残業削減に対する意識改革が進んだと思います。
ジンジャー導入事例(玉村運輸株式会社) 出典:導入事例ページ
サブロク協定の更新と管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
勤怠管理システムを選ぶときの確認点|サブロク協定の運用に必要な機能
サブロク協定の運用を勤怠管理システムで支えるときは、時間外労働と休日労働を分けて集計できるか、基準に近づいたときに通知できるか、記録を保存できるかを確認します。
| 確認する点 | 見るポイント |
|---|---|
| 時間外労働と休日労働の集計 | 法定内・法定外の残業、法定休日の労働を分けて集計できるか。月100時間未満・平均80時間以内の確認に使えるか |
| 協定の数字の設定と通知 | 協定に定めた延長時間や、残業可能時間を設定し、基準に近づいたときに通知できるか |
| 申請と承認 | 残業や休日出勤を事前に申請し、承認した内容が勤怠の記録とつながるか |
| 記録の保存と出力 | 勤務データを必要な期間保存し、更新時の集計や、確認を受けたときの提出に出力できるか |
| 給与計算・労務手続きとの連携 | 集計した時間外労働が、割増賃金の計算や、社会保険などの手続きにつながるか |
36協定のアラート機能をもつ勤怠管理システムを比べたい場合は、「36協定のアラート機能搭載の勤怠管理システム10選!選び方も解説」も参考になります。ここでは、記事の内容に沿って、勤怠から給与計算・労務手続きまでをまとめて管理したい場合の一例を挙げます。
勤怠の記録から割増賃金の計算、労務手続きまでを、同じ情報でまとめて管理したい場合の一例が、freee株式会社が提供するfreee人事労務です。商品ページでは、給与計算、社会保険、年末調整の情報をクラウド上で一元管理でき、法令や税制の変更に自動で対応すると紹介されています。勤怠管理では、スマートフォンでの打刻、残業の申請と承認、勤務状況の把握に対応し、打刻漏れや承認待ちの残業申請をアラートで知らせます。登録したデータから、残業や社会保険、源泉所得税を含めた給与計算を自動で行える点も特徴です。口コミの評価は、商品ページ上で4.5(20件、2026年10月20日確認)です。注意点として、スマホでの出退勤が使いにくく、持て余してしまう機能もあるという口コミが載っています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
freee株式会社
freee人事労務
freee株式会社
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新プランでより使いやすく◎従業員が多い企業におすすめ
おすすめ!
- 従業員が増えても業務量を抑えて余裕を持たせた業務フローを作れる
- 最新のセキュリティ技術を採用し、最新の法令と税制にも対応
- 共通する必要な情報の入力は1度で済み、給与計算や年末調整も効率よく行える
気になる…
- スマホからの出退勤が使いにくく、全体的に持て余してしまう機能もある
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社員も給与明細をサービス上で確認できるため、ペーパーレス化でき手軽に確認できるのもいいと思います。年末調整や、勤怠管理、税金、保険料の計算も自動化できるため、人事の労力も減り計算ミスなども起こらないため非常に使いやすいサービスだと思います。
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自分で都度ダウンロードしていた給与明細を一括で見ることができるようになった。勤怠サービスとも連携できるので、自分の勤務実態がわかりやすい。
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従業員と人事に関する契約書から労務管理が一括して管理ソフトで可能なため、業務の効率がとても上がる。また、チャットサービスがあるため、不備や操作が不明な場合は手軽に問い合わせることができて助かった。
これらを元に給与情報をまとめるまで、3人で3日間ほどかかっていたそう。しかし、2018年のfreee人事労務導入後は、1人でも2日ほどで終わるまで工数が削減できたと言います。
freee導入事例(株式会社パワーハウス) 出典:導入事例ページ
勤怠の記録から給与計算・労務手続きまで、まとめて管理したい会社に
freee人事労務の資料を無料でダウンロードできます
よくある質問(FAQ)
Q1. サブロク協定とは何ですか?
A. 労働基準法第36条にもとづく、時間外労働・休日労働に関する労使協定のことで、36協定とも書きます。法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて働かせるときや、法定休日に働かせるときに、会社と労働者の代表が書面で結び、所轄の労働基準監督署長に届け出ます。届出をすると、協定の範囲内で働かせても法違反に問われません。
Q2. 36協定がない会社は違法ですか?
A. 協定を結んでいないこと自体が違法になるわけではありません。違法になるのは、協定なしに、法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりしたときです。この場合は労働基準法第32条・第35条違反となり、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になりえます。法定労働時間の範囲内で運用していれば、協定は必要ありません。
Q3. 36協定の残業時間が45時間を超えたらどうなりますか?
A. 特別条項を結んでいない場合は、月45時間を超えて時間外労働をさせると、協定の範囲を超えるため違反です。特別条項を結んでいる場合は、月45時間を超えられるのは年6回までで、年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、2か月から6か月のどの平均も80時間以内という条件も満たす必要があります。
Q4. 1か月に60時間残業したらどうなりますか?
A. 特別条項を結んでいなければ、月45時間を超えるため違反です。特別条項があり、年6回の枠内、年720時間以内、月100時間未満、複数月の平均80時間以内に収まっていれば、60時間の残業は協定の範囲内です。この場合も、1か月の時間外労働が60時間を超えた部分には、50%以上の割増賃金が必要です(第37条)。
Q5. 36協定は2026年度も適用されますか?廃止されましたか?
A. 廃止されていません。第36条は、2026年10月20日時点のe-Gov法令検索の労働基準法に置かれています。協定の対象期間は1年に限られるため、2026年度も、有効期間が切れる前に更新して届け出る必要があります。厚生労働省は2026年9月1日から、監督指導で、協定で定める健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認するとしています。
Q6. 36協定を結べば、従業員に必ず残業を命じられますか?
A. 命じられるとは限りません。36協定には、協定の範囲内で労働させても違反に問われない免罰効果があるだけで、従業員に残業の義務を生じさせるものではないと、厚生労働省の「スタートアップ労働条件」は説明しています。残業を命じられるかどうかは、労働契約や就業規則に定めがあるかによります。
まとめ|サブロク協定で押さえたい5つのこと
- サブロク協定(36協定)は、法定労働時間と法定休日を超えて働かせるための労使協定で、届け出て初めて効力を持つ。残業を命じる根拠は別に必要
- 必要になるのは、1日8時間・1週40時間を超えるときと、法定休日に働かせるとき。所定労働時間を超えるだけなら必要とは限らない
- 協定届は、限度時間内なら様式第9号、特別条項なら様式第9号の2。延長時間・起算日・有効期間・労働者代表の欄とチェックボックスを確認する
- 締結、届出、周知、保存、更新までが一続きの手続。協定書の署名・記名押印は届出書の押印不要とは別
- 前年の実績の集計や記録を手作業にしないため、勤怠管理システムの資料を取り寄せて、自社の勤務形態に合うかを比べる
参考文献
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第32条・第35条・第36条・第37条・第41条・第60条・第66条・第89条・第106条・第109条・第119条、附則第143条) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049(2026年10月20日確認)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(第6条の2・第16条・第17条・第52条の2) https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023(2026年10月20日確認)
- e-Gov法令検索「労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/406CO0000000005(2026年10月20日確認)
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(第17条・第18条) https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076(2026年10月20日確認)
- 厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(2023年2月版) https://www.mhlw.go.jp/content/001140962.pdf(2026年10月20日確認)
- 厚生労働省「36(サブロク)協定とは」確かめよう労働条件 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/saburoku/(2026年10月20日確認)
- 厚生労働省「36協定」スタートアップ労働条件 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html(2026年10月20日確認)
- 厚生労働省「36協定届等作成支援ツール」スタートアップ労働条件 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support.html(2026年10月20日確認)
- 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoukijunkankei.html(2026年10月20日確認)
- 厚生労働省「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」(2026年8月19日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html(2026年10月20日確認)
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