バックデートとは?契約書の日付を遡らせるリスクと遡及適用の違い

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  • 契約書に実際より過去の日付を書くこと
  • 日付欄は事実どおり、効力だけ遡及適用
  • 税務や取適法では実際の日付が基準になる

バックデートとは、契約書などの書類に、実際に作成・締結した日より過去の日付を記載することです。契約は申込みと承諾で成立し、書面の作成は成立の要件ではありません(民法522条)が、日付を事実と違えると、税務・会計、取引に関する法令、第三者への説明といった場面で問題になりえます。そのため実務では、契約書の日付は実際に締結した日どおりに書き、契約の効力が始まる日だけを別に定める「遡及適用」で対応するのが基本です。この記事では、意味と具体例、問題になる場面と根拠法令、遡及適用との違いと条項の書き方、契約締結日の決め方、電子契約での扱い、日付がずれない仕組みづくりまでを、一次情報をもとに解説します。

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Q1. 契約書の日付と実際の締結日がずれる主な理由は、どちらに近いですか?

目次

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  1. バックデートとは?意味・具体例・言い換えをわかりやすく解説
  2. バックデートは違法?ダメと言われる理由と問題になる場面
  3. バックデートと遡及適用の違い|日付は事実どおりに、効力だけ遡らせる
  4. 契約締結日の決め方|5つの考え方と、自社で1つに決める方法
  5. 電子契約ならバックデートは防げる?署名日時・タイムスタンプ・遡及の扱い
  6. 契約書の日付がずれない仕組みづくり|承認・発注・管理の見直し
  7. よくある質問(FAQ)
  8. バックデートで押さえたい6つのこと
  9. 参考文献

バックデートとは?意味・具体例・言い換えをわかりやすく解説

バックデートとは、契約書などの書類に、実際に作成・締結した日より過去の日付を記載することです。英語の「backdate」をそのまま使った言葉で、「日付の遡り」「過去日付」とも言われます。

たとえば、4月1日から取引が始まっていたのに、契約書への署名・押印が4月15日にずれ込んだとします。このとき、日付欄に実際の4月15日ではなく「4月1日」と書くのがバックデートです(日付は設例で、実際の事例ではありません)。

契約書にある3つの日付と、バックデートで問題になる日付

契約書には、意味の違う3つの日付があります。民法は、契約は申込みに相手方が承諾したときに成立し(522条1項)、成立に書面の作成を要しないと定めています(同条2項)。契約の内容は、法令の制限内で当事者が自由に決められます(521条2項)(e-Gov法令検索 民法)。

日付の種類意味決まり方
契約書の日付(作成日・署名日)書面の日付欄に書かれた日付。署名や押印をした日として書かれることが多い当事者が書面に書く。事実と違う日付を書くと、バックデートになる
契約成立日申込みと承諾が合致して、契約が成立した日民法522条1項。書面の日付ではなく、合意の事実で決まる
効力発生日(契約開始日)契約の効力が始まる日。成立日と同じ日にすることが多い当事者の合意で定める(民法521条2項の範囲)。成立日より後にも、前にも定められる

バックデートで問題になるのは、契約書の日付を事実と違う日にする点です。効力発生日を過去に定める「遡及適用」は、契約書の日付を書き換えないため別のものです(違いは後の章で説明します)。

バックデートに当たる例と、当たらない例

日付が前後していても、日付欄の書き方で扱いが変わります。設例で整理します。

設例日付欄の書き方扱い
4月1日に取引が始まり、4月15日に署名・押印した日付欄に「4月1日」と書くバックデートに当たる
同上日付欄は「4月15日」とし、本文に「効力は4月1日に遡る」と書く遡及適用。日付欄は事実どおり
4月1日にメールで合意済みで、4月15日に書面にした日付欄は「4月15日」とし、本文に「4月1日に成立していたことを確認する」と書く事実どおりの記載(成立の確認)

社内承認・押印・郵送に日数がかかり、取引の開始に契約書が間に合わないことは、日付のずれの大きな原因です。締結から管理までを見直したい会社向けに、電子契約・契約管理の3サービスを役割の違いで比べます。

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バックデートが行われる主な理由

バックデートは、悪意のある操作だけで起きるわけではありません。実務で挙げられる理由は、次のように分けられます。

  • 社内承認・押印・郵送に日数がかかり、取引の開始に契約書が間に合わなかった
  • 決算期末や予算の締めに合わせて、売上や費用の計上時期をそろえたかった
  • 法令上、発注の際に書面等で明示すべき内容を、後から整えて穴埋めしたかった
  • 制度の適用期限や、契約の更新日に間に合わせたかった

1つ目は事務の遅れが原因で、仕組みの見直しで減らせます。2つ目以降は、日付を事実と違えることで、税務や取引の法令に関わる場面になりやすい理由です(次の章で整理します)。

言い換え・関連用語(遡及適用・過去日付・先日付)

用語意味バックデートとの関係
遡及適用(遡及効)契約の効力を、過去の時点にさかのぼって及ぼすこと日付欄は書き換えず、効力の開始日を定める方法。バックデートとは別物
過去日付・日付の遡り実際より前の日付を書くことバックデートとほぼ同じ意味で使われる
先日付実際より後の日付を書くこと向きは逆だが、事実と違う日付を書く点は同じ
効力発生日・契約開始日契約の効力が始まる日バックデートの代わりに、別に定めておく日付

バックデートは違法?ダメと言われる理由と問題になる場面

バックデートは、日付を遡らせただけで契約が無効になるとは限りませんが、事実と違う日付を書くと、税務や取引に関する法令の場面で問題になることがあります。

ダメと言われる理由は、契約書の日付が、売上の計上時期、発注の時期、署名した人の権限といった判断の根拠として使われるからです。日付が事実と違えば、その判断も事実とずれてしまいます。

民法の考え方|日付を変えても、契約が成立した日は変わらない

民法522条のとおり、契約は申込みと承諾が合致したときに成立し、成立に書面は要りません。つまり、日付欄に過去の日付を書いても、契約が成立した日そのものは変わりません。一方で、日付欄の書き方だけで契約が無効になると定めた規定は、民法の521条・522条には見当たりません。バックデートした契約書が直ちに無効になるとは限らないのは、このためです(e-Gov法令検索 民法)。

また、民法521条2項は、当事者が法令の制限内で契約の内容を自由に決められると定めています。効力の開始日を過去に定める合意は、この範囲で認められると考えられます。ただし、あくまで当事者間の取り決めであり、税金の計算や取引に関する法令のルール、第三者の権利までを書き換えるものではありません。

問題になる場面を、根拠法令で整理する

日付がずれて問題になるのは、契約書の日付ではなく、実際の日付を基準にするルールがあるためです。主な場面を、根拠とあわせて整理しました。

場面基準になる日付根拠日付を遡らせたときの影響
売上・収益の計上(法人税)目的物の引渡し、または役務の提供の日法人税法22条の2第1項収益を計上する事業年度は、原則として引渡しまたは役務提供の日で決まる。契約書の日付を遡らせても、これは変わらない。決算をまたぐ取引は特に注意が必要
税務調査での加算税課税の計算の基礎となる事実を、隠蔽・仮装したか国税通則法68条1項事実を隠蔽・仮装して申告すると、過少申告加算税に代えて重加算税が課される(割合は100分の35)。日付の書き換えがこれに当たるかは、個別の事情による
発注内容の明示(取適法)発注の際。明示事項に「委託をした日」を含む取適法4条(公正取引委員会)委託事業者は、発注の際、直ちに書面または電磁的方法で明示する。委託した日を実際より前に書くと、明示事項が事実と異なる記載になる
印紙税課税文書を作成したこと印紙税法3条課税文書の作成者に納税義務がある。日付を遡らせても、文書を作成した事実は変わらない
文書の偽造・不実記載文書の名義・内容の真実性刑法159条・157条他人の印章等を使った偽造などを処罰する159条、公務員に虚偽の申立てをして登記簿等に不実の記載をさせる行為を処罰する157条がある。日付の記載がこれらに当たるかは、名義・内容・目的によって異なる

法人税法22条の2第1項は、内国法人の資産の販売等に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その目的物の引渡しまたは役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入すると定めています(e-Gov法令検索 法人税法)。同条2項は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従い、契約の効力が生ずる日など、引渡し等の日に近接する日の属する事業年度に収益として経理した場合の扱いも定めています。契約書の日付で計上時期を自由に選べるという意味ではないため、経理担当者や税理士に確認します。

国税通則法68条1項は、納税者が課税標準等または税額等の計算の基礎となる事実の全部または一部を隠蔽し、または仮装し、その隠蔽・仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、過少申告加算税に代えて重加算税を課すと定めています(e-Gov法令検索 国税通則法)。

公正取引委員会は、取適法(2026年1月施行。旧下請法)で委託事業者に課される義務の一つとして、発注の際に直ちに、発注内容等を書面または電磁的方法で明示することを挙げています。明示すべき事項には、委託をした日、給付の内容、代金の額、代金の支払期日などが含まれます(公正取引委員会 委託事業者の義務)。

印紙税法3条は、課税文書の作成者は、その作成した課税文書につき印紙税を納める義務があると定めています(e-Gov法令検索 印紙税法)。刑法159条は、行使の目的で、他人の印章等を使用して権利、義務または事実証明に関する文書等を偽造する行為などを処罰する規定で、157条は、公務員に虚偽の申立てをして、登記簿などに不実の記載をさせた者を処罰する規定です(e-Gov法令検索 刑法)。契約書の日付を遡らせたことがこれらに当たるかどうかは、誰の名義で、どのような内容の文書を、何のために作ったかによって異なります。個別のケースは、弁護士にご相談ください。

問題になりにくい場合と、なりやすい場合の目安

バックデートの影響は、日付が何の判断に使われるかで変わります。次の表は、場面ごとの目安です。個別の判断は、経理担当者・税理士・弁護士に確認してください。

見る点問題になりにくい目安問題になりやすい目安
日付の使われ方社内の控えとして保管するだけで、会計や外部への提出に使わない売上の計上時期、発注の時期、権限の有無などの判断に使う
経緯の記録実際の合意や取引の経過が、メールや発注書などで説明できる合意の前の日付で、経過を示す記録がない
第三者への提示当事者の間だけで完結する下請事業者・金融機関・監査人・行政など、第三者に示す
時期決算期・締め日・制度の期限と関係がない決算期末、締め日、制度の適用期限の前後

問題になりにくい場合でも、日付欄は事実どおりに書き、効力の開始日だけを別に定める方が、後から説明しやすくなります。具体的な書き方は次の章で説明します。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言・税務上の助言ではありません。個別の契約や取引については、弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

バックデートと遡及適用の違い|日付は事実どおりに、効力だけ遡らせる

遡及適用とは、契約書の日付は実際に締結した日のまま、契約の効力が始まる日だけを過去の日付に定める方法です。バックデートが日付そのものを書き換えるのに対し、遡及適用は事実どおりの日付を残します。

項目バックデート遡及適用
契約書の日付実際の署名日ではなく、過去の日付を書く実際の署名日を書く
効力の開始日日付欄から読み取る(別に定めない)本文で、過去の日付を明示する
事実との一致日付欄が事実と一致しない日付欄は事実と一致し、効力の開始日だけを合意で定める
後から説明するとき日付欄と実際の経過のずれを説明する必要がある「いつ署名し、いつから効力を持たせたか」を書面から読み取れる
使える場面避ける契約書の締結が、取引の開始より後になったとき

遡及条項の記載例|これから合意する場合

取引は4月1日に始まったが、契約書の署名は4月15日になる場合の記載例です(日付は設例です)。民法521条2項のとおり、効力の開始日は、当事者の合意で定められます。

記載例1:効力を遡らせる

第X条(効力) 本契約は2026年4月15日に締結するが、その効力は2026年4月1日に遡って生じるものとする。

記載例2:有効期間を明記する

第X条(有効期間) 本契約の有効期間は、本契約の締結日にかかわらず、2026年4月1日から2027年3月31日までとする。

遡らせるときは、4月1日から4月15日までの間に行われた取引にも、契約の条件(支払条件・納期・秘密保持など)を適用してよいか、すでに支払や納品が済んだ分をどう扱うかを、あらかじめ相手方と確認します。第三者の権利を害する内容にならないかも確認が必要です。

すでにメールや口頭で合意していた場合の記載例

契約の内容について、すでにメールや口頭で合意が済んでいた場合は、民法522条2項のとおり、書面がなくても契約は成立しています。この場合は、遡及させるのではなく、先に成立していた事実を書面で確認する形にします。

記載例3:成立していた事実を確認する

第X条(契約の成立) 甲及び乙は、本契約と同一の内容で、2026年4月1日に契約が成立していたことを相互に確認する。なお、本書面の作成日は2026年4月15日である。

成立の事実を後から説明できるよう、合意のメールや発注書は、契約書と同じ案件のフォルダに保管します。

覚書で効力発生日を補う方法

契約書をすでに交わしていて、本体を書き換えにくい場合は、あとから覚書で効力発生日を定める方法があります。

記載例4:覚書で効力発生日を定める

甲及び乙は、原契約の効力発生日を2026年4月1日とすることに合意する。

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日付がずれた・誤った契約書への対処手順

  1. 事実を時系列で整理する(取引の開始日、合意した日、各社の署名・押印の日、納品や役務提供の日)。
  2. 契約書の日付欄が、署名・押印の実際の日と合っているかを照合する。
  3. 食い違っている場合は、経理・法務の担当者と共有し、すでに計上した売上・費用の時期に影響がないかを確認する。
  4. 相手方と協議し、契約を結び直すか、覚書で日付の訂正や効力発生日を定める。
  5. やり取りのメールや発注書、修正前後の書面を、同じ案件のフォルダにまとめて保管する。

日付を黙って書き換えるのではなく、何が事実で、何を合意し直したかを書面に残すのが要点です。税務や取引に関わる食い違いは、税理士や弁護士に確認します。

日付の運用が自社で守られているかは、次のセルフチェックで点検できます。

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言・税務上の助言ではありません。個別の契約や取引については、弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

契約締結日の決め方|5つの考え方と、自社で1つに決める方法

契約締結日は、契約開始日・最初の署名日・最後の署名日・合意した日・社内承認の完了日のいずれかで決めるのが一般的です。どれにするかは当事者の取り決めで、自社で1つに決めて書式に明記します。

民法522条1項は、契約の成立を申込みと承諾の合致で定めていますが、契約書の日付欄の書き方は定めていません。そのため実務では、次の5つの考え方が使われます。バックデートを避ける観点から、それぞれの注意点も整理しました。

考え方向いている場面注意点
契約開始日取引の開始日と、契約書の日付をそろえたいとき署名がその日より後になると、日付欄が実際の署名日と一致しない。開始日は日付欄ではなく、効力発生日として別に書く
最初の署名日自社が先に署名・押印して、相手方へ郵送する紙の契約相手方の署名は後日になるため、契約が成立した日(承諾の日)とは異なる
最後の署名日双方の署名がそろった日を、契約書の日付にしたいとき承諾の日に近く、成立日と一致しやすい。署名日を欄ごとに分けて書かないと、最後の日が分かりにくい
合意した日メールや口頭で合意が先行し、書面化が後になる取引合意日の証拠(メールなど)を残す。書面化の日と区別して書く
社内承認の完了日稟議・決裁の完了を基準にしたいとき社外からは見えない日付のため、相手方が知らない日付を書くと食い違いのもとになる

紙の契約書では、片方が先に署名・押印して郵送するため、署名日がそろわないことが日常的に起こります。日付欄を空欄にして送り、相手方に記入してもらう運用は、記入漏れや意図しない日付が入る余地を残します。どの日を書くかを決めたうえで、日付欄を印字しておくと防ぎやすくなります。

契約日と契約締結日の違いは、契約日と契約締結日の違いとは?決め方や注意点についても解説でも説明しています。

承認の完了日を基準にする会社や、承認が複数の段階に分かれている会社では、契約書の締結が遅れる原因が、承認の滞りにあることが多くなります。承認の進み具合を案件ごとに把握できれば、取引は始まっているのに契約書が未締結という状態に、早く気づけます。

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電子契約ならバックデートは防げる?署名日時・タイムスタンプ・遡及の扱い

電子契約では、署名やタイムスタンプの日時がシステム上に記録されるため、書面の日付と実際の署名日時のずれが後から分かります。ただし、効力の開始日を別に定める遡及適用は、電子契約でも使えます。

電子署名とタイムスタンプが示すこと

電子署名法3条は、本人による電子署名(本人だけが行えるよう適正に管理されたもの)が行われている電磁的記録は、真正に成立したものと推定すると定めています(e-Gov法令検索 電子署名法)。総務省は、タイムスタンプを、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術と説明しています(総務省 タイムスタンプについて)。

このため電子契約では、本文に過去の日付を書いても、署名やタイムスタンプに記録された日時とのずれが残ります。意図しない日付のずれを、後から見つけやすくなる点が、バックデートへの備えになります。Biz Connectionの商品ページでは、添付ファイルのPDFタイムスタンプを任意のタイミングで更新でき、書類すべてにタイムスタンプが付与されているかを一覧で確認できると紹介されています。ただし、記録される日時や項目、書面に日付を入れる方法は、サービスごとに異なります。導入前に、資料で確認します。

電子契約でも、遡及適用はできる

電子契約でも、契約書の本文に効力の開始日を書く遡及適用は使えます。署名の日時は記録に残り、効力の開始日は本文で定めるため、「いつ署名し、いつから効力を持たせたか」を両方示せます。契約書に開始日を入力する欄の有無や、署名日の自動入力の仕様は、サービスごとに異なります。

電子契約と印紙税

国税庁の質疑応答事例は、取引先に、電子署名を付した電磁的記録を電子メールで送信する場合について、印紙税の課税対象は課税物件表に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれないため、印紙税は課税されないとしています(国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」)。ただし、これは照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答です。具体的な取引では、税務署にご確認ください。印紙の判断基準は、契約書の収入印紙とは|課税文書の判定基準と号分類の考え方で整理しています。

契約の締結を、押印・郵送・返送待ちを介さずに進め、締結の遅れそのものを減らしたい場合の一例が、SMBCクラウドサイン株式会社の「SMBCクラウドサイン」です。商品ページでは、日本の法律に特化した弁護士監修のクラウド型電子契約サービスで、契約締結から契約書管理まで行えると紹介されています。締結した契約書の情報をAIが自動抽出して管理台帳に反映するAI契約書管理を備え、メガバンクの厳格なセキュリティ基準でモニタリングされているとも紹介されています。注意点として、フォルダ管理の自由度が低い点が挙げられています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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契約書の日付がずれない仕組みづくり|承認・発注・管理の見直し

契約書の日付がずれる主な原因は、承認や押印に日数がかかり、取引が先に始まることです。承認の進み具合を見える化し、発注書で先に条件を明示する運用にすると、日付を遡らせる必要が減ります。

原因見直しの方法補足
承認や押印が遅れ、取引の開始に契約書が間に合わない承認ルートと期限を決め、進み具合を案件ごとに確認する承認待ちの案件に督促を出せる仕組みがあると、滞留に気づきやすい
契約書の作成が後回しになる取引の開始前に、契約書または発注書を整えるルールを決める取適法の対象取引では、発注の際に直ちに書面または電磁的方法で明示する義務がある(公正取引委員会)。契約書の完成を待たず、発注書で先に明示する
日付欄の書き方が担当者ごとに違う前の章の5つの考え方から1つを選び、書式に明記する日付欄を空欄にして送る運用は避ける
結んだ後に、開始日や期限が分からない開始日・期限・更新の有無を、台帳か契約管理サービスで一元管理する遡及適用した契約は、署名日と効力発生日の両方を記録する

発注書を先に出す運用

取適法の対象となる取引では、委託事業者は発注の際、直ちに発注内容等を書面または電磁的方法で明示する義務があります(公正取引委員会 委託事業者の義務)。基本契約書の締結が遅れても、発注書で先に条件を明示しておけば、契約書の日付を遡らせて穴埋めする必要はありません。対象外の取引でも、発注書で先に条件を明示する運用は、日付のずれを減らすうえで有効です。発注書と請書の書き方は、注文請書とは?書き方・注文書との違い・印紙の要否と発行後の管理まで解説で整理しています。

結んだ後の管理|開始日・期限・更新を一覧にする

遡及適用した契約書は、署名日と効力発生日の2つの日付を台帳に残しておくと、あとから日付の食い違いを聞かれたときに説明しやすくなります。件数が少ないうちは台帳と共有フォルダで足りますが、件数が増えると、紙・PDF・電子の契約書が部署ごとに分かれ、期限の確認が属人化します。

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よくある質問(FAQ)

Q1. バックデートとは何ですか?

A. バックデートとは、契約書などの書類に、実際に作成・締結した日より過去の日付を記載することです。たとえば、4月15日に署名したのに、日付欄に「4月1日」と書く場合が当たります。効力の開始日を過去に定める遡及適用とは別のもので、遡及適用は、日付欄を事実どおりに書きます。

Q2. バックデートの例を教えてください。

A. 次のような場合が当たります(日付は設例です)。取引が4月1日に始まり、署名が4月15日だったのに、日付欄に4月1日と書く場合。決算期末が3月31日で、4月10日に合意・署名したのに、日付欄に3月31日と書く場合。いずれも、日付欄が実際の署名日と一致しません。

Q3. バックデートがダメな理由は何ですか?

A. 契約書の日付が、売上の計上時期、発注の時期、署名した人の権限などの判断の根拠として使われるためです。民法上は、日付欄の書き方だけで契約が無効になるとは限りませんが、法人税法22条の2、国税通則法68条、取適法4条などが関わる場面で、実際の日付とのずれが問題になることがあります。個別の判断は、税理士や弁護士にご相談ください。

Q4. バックデートと遡及適用の違いは何ですか?

A. バックデートは、契約書の日付欄を過去の日付に書き換えることです。遡及適用は、日付欄を実際の署名日のままにして、効力の開始日だけを過去の日付に定めることです。民法521条2項のとおり、契約の内容は法令の制限内で当事者が決められるため、遡及適用は、本文の条項や覚書で定めます。

Q5. 契約書の作成が遅れたとき、日付はどう書けばよいですか?

A. 日付欄は、実際に署名・押印した日を書きます。取引の開始日に合わせたい場合は、「効力はX月X日に遡って生じる」といった遡及条項を本文に書きます。すでにメールや口頭で合意が済んでいた場合は、成立していた日を書面で確認する条項にする方法もあります。

Q6. 電子契約ならバックデートは防げますか?

A. 電子契約では、署名やタイムスタンプの日時が記録されるため、書面の日付と実際の署名日時のずれが後から分かります。ただし、記録される項目や日付の入力方法はサービスごとに異なり、効力の開始日を別に定める遡及適用は、電子契約でも使えます。導入前に、サービスの資料で確認してください。

バックデートで押さえたい6つのこと

  1. バックデートとは、契約書などに、実際より過去の日付を書くことです。契約は申込みと承諾で成立し(民法522条)、日付欄を変えても、成立した日は変わりません。
  2. 日付を遡らせただけで契約が無効になるとは限りませんが、法人税法22条の2・国税通則法68条・取適法4条・印紙税法3条など、実際の日付を基準にするルールの場面で問題になりえます。
  3. 契約書の日付は実際に署名した日どおりに書き、取引の開始日に合わせたいときは、効力の開始日を本文の遡及条項や覚書で定める遡及適用にします。
  4. 契約締結日は、契約開始日・最初の署名日・最後の署名日・合意した日・社内承認の完了日から、自社で1つに決めて書式に明記します。日付欄を空欄にして送る運用は避けます。
  5. 電子契約では署名やタイムスタンプの日時が記録され、日付のずれを後から確認しやすくなります。記録される項目はサービスごとに異なるため、資料で確認します。
  6. 承認や押印の遅れで日付がずれる場合は、電子契約・契約管理サービスの資料を取り寄せ、承認の見える化と、結んだ後の期限管理に合うかを比べます。

参考文献

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