AIエージェントの例|国内企業の活用事例と種類を段階別に整理

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  • AIエージェントの例は段階を見分けて読む
  • 数字は測った条件とあわせて確かめる
  • 最初は人が確認できる業務から始める

AIエージェントの例は、音声での問い合わせ対応、経費精算の申請づくり、設備点検の抜け漏れ確認、サプライチェーンの調整など、情報を集めて手順を考え、作業を進める業務です。AIエージェントとは、AI事業者ガイドライン(第1.2版)で「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム」とされるものです。本記事は、総務省「令和8年版 情報通信白書」と各社の発表資料をもとに、国内企業の公表事例を調達・製造・顧客対応・経営・経理などの領域別に整理し、事例を「提供中」「ベータ版」「実証・試験運用」「構想」の段階で見分ける方法、種類の見方、自社に当てはめる前の確認点までまとめます。内容は2026年10月21日時点の公開情報にもとづき、成果の数字は発表元が条件とともに示したものだけを載せています。

AIエージェントの例を読む前に、自社で先に整えたいことを診断

Q1. いま一番知りたいのは、どちらですか?

目次

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  1. AIエージェントの例は6つの領域にある|国内の公表事例を段階別に一覧
  2. どの事例にも人の確認と社内ルールがある|使う全員の理解をそろえる3つの選択肢
  3. 調達・製造・現場の例|ロート製薬・ダイキン工業・日立製作所
  4. 顧客対応・営業・店舗の例|Gen-AX・明治安田生命・イオン
  5. 経営・経理・システム開発・マーケティングの例|キリン・ラクス・NTTデータ・電通
  6. AIエージェントの種類|事例で見る3つの見分け方と、名前で知られる主なサービス
  7. 公表事例の読み方|実証・ベータ版・提供中の見分けと、数字の注意
  8. 自社に当てはめる|最初の1業務の選び方と、導入前に決めること
  9. 導入後の見直し|公表事例から学ぶ、評価と改善の続け方
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ|AIエージェントの例を自社に生かすために押さえたい6つのこと
  12. 参考文献

AIエージェントの例は6つの領域にある|国内の公表事例を段階別に一覧

国内企業の公表事例は、調達・製造・顧客対応・経営・経理などに広がり、提供中のものから実証・構想の段階のものまで混在しています。

総務省「令和8年版 情報通信白書」は、日本企業のAI活用事例を6つの業務領域に分けて紹介しています(白書の事例一覧のページ、2026年10月21日確認)。次の表は、そのうちAIエージェントに関わる事例を、各社の発表資料で確認できた内容と公表時点の段階とあわせて並べたものです。

領域企業AIがすること公表時点の段階出典
調達ロート製薬複数のAIエージェントが、輸送や在庫の補充判断などを支援する実証実験(2025年12月に発表)ロート製薬の発表
製造・現場ダイキン工業・フェアリーデバイセズ作業映像から点検・修理の抜け漏れを確認し、スマートフォンに通知する実証結果を公表し、今後の拡大を計画(2026年3月に発表)ダイキン工業の発表
製造・保全ダイキン工業・日立製作所故障の原因と対策を、保全技術者に示す試験運用(2025年4月に開始、同年9月までに実用化の予定と発表)日立製作所の発表
顧客対応Gen-AX音声の問い合わせに応対するオペレーターAIと、その発話を監視するモニタリングAI提供中(公式サイトに導入事例を掲載)X-Ghostの公式サイト
営業・社内明治安田生命面談記録の作成を支える「デジタル秘書」。AIエージェントは構想デジタル秘書は展開中、エージェントは構想(白書の記述)明治安田生命のDXのページ
店舗イオン従業員向けのAIアシスタント端末。グループでは自前のAIエージェントの開発に着手端末は一部店舗で導入、エージェントは構想(白書の記述)白書の顧客との接点
経営キリンホールディングス12名分のAI人格が論点を出し合う「AI役員」経営戦略会議で本格導入(2025年7月以降)キリンの発表
経理ラクス領収書を選ぶと、経費精算の申請をAIが自動で作成するベータ版を提供(2025年12月)、2026年に正式リリースの予定と発表ラクスの発表
システム開発NTTデータ要件定義書の作成とプログラミングをAIが担い、人は点検と管理に回る取り組みとして白書が紹介白書の製造・生産
マーケティング電通「統合マーケティングAIエージェント」の開発に取り組む開発中として白書が紹介白書のマーケティング

表の「段階」は発表資料の書きぶりを分類したもので、公開されている範囲の事例だけを載せています。領域ごとの内容は、このあと順に解説します。

どの事例にも人の確認と社内ルールがある|使う全員の理解をそろえる3つの選択肢

公表事例のAIエージェントは、人の確認や承認、扱う情報のルールとセットで使われており、使う人が増えるほど、全員が同じ基準を学べる仕組みが必要になります。

たとえば、日立製作所とダイキン工業の故障診断は熟練した保全技術者が回答を評価し、Gen-AXは応対するAIとは別に監視するAIを置き、キリンのAI役員は論点を人が議論します。総務省「令和8年版 情報通信白書」によると、生成AIの活用方針を持つ日本企業は68.9%でしたが、組織的な取組は「ない」と答えた割合も27.0%あり、リスク対策は「全社的な指針やガイドラインを整備している」が41.1%で最も高い一方、米国・ドイツ・中国では導入前の審査体制や導入後の定期的な評価・検証が日本より高い傾向がありました。指針をつくるだけでなく、使う全員が同じ基準を理解している状態が、事例を自社に生かす前提になります。その手段としてeラーニングがあります。本記事の内容と相性のよい3サービスを、役割の違いで並べます(内容は各サービスの商品ページ・公式サイトで確認した情報にもとづきます。AIエージェントの事例を学ぶ教材かどうかは、各社の資料で確認してください)。

AIエージェントを使う全員の確認とルールをそろえる、eラーニング3サービスの役割

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:OneCompliance(ワンコンプライアンス)情報セキュリティなどの研修を、管理画面で受講状況を見ながら進められます。

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この状況に合う一例:Smart Boarding自社の教育内容を学習プログラムとして整備できると、商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:SAKU-SAKU TestingCBTをベースにした豊富なテスト機能で、理解度を確かめられます。

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サービス OneCompliance(ワンコンプライアンス) Smart Boarding SAKU-SAKU Testing
向いている会社 情報セキュリティや個人情報保護などの研修を、全社でそろえたい会社 現場の手順や確認のポイントを、自社の学習コースにしたい会社 研修のあとにテストを出し、理解度を集計して確かめたい会社
特徴 法務・労務・情報領域の研修をeラーニングで提供。ダッシュボードと自動リマインダーで管理工数を抑える 社内独自の教育内容を学習プログラムとして整備でき、学習進捗の管理もできる CBTをベースにしたeラーニングで、テスト機能が豊富。ユーザー管理でカテゴリーやグループに紐づけられる
注意したい点 費用は人数に応じた課金体系で、問い合わせで確認。AIの利用を扱う専用コースは一覧に見当たらない 電話・メール相談や教育プログラム設計のサポートは「充実サポートプラン」のみ 事務局運営やカスタマーデスクを使う場合はオプション扱い
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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

AIエージェントを使う人に、入力してよい情報や、個人情報・著作権の扱いを同じ基準で学んでもらいたい場合の一例が、株式会社Oysterが提供するOneCompliance(ワンコンプライアンス)です。商品ページでは、ダッシュボードや自動リマインダーで研修の実施・管理工数を抑えられること、法務・労務・情報領域の研修コンテンツを網羅的に提供することが紹介されています。公式サイトのコース一覧には「情報セキュリティ」「個人情報保護法」「著作権/肖像権」があり、著作権/肖像権の紹介には生成AIの浸透にふれる記述があります(2026年10月21日確認)。一方で、AIの利用そのものを扱う専用のコースは一覧に見当たらず、AIエージェントの事例を学ぶ教材でもありません。費用は受講人数に応じた課金体系のため、問い合わせでの確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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社内に法務専任担当や教育専任担当がおらず、社内のみでの実施が困難

OneCompliance 導入事例(株式会社プリメディカ。導入の背景・課題感として掲載) 出典:導入事例ページ

調達・製造・現場の例|ロート製薬・ダイキン工業・日立製作所

調達と製造では、複数のAIエージェントの連携(ロート製薬)、現場の点検の抜け漏れ確認(ダイキン工業)、設備の故障診断(ダイキン工業・日立製作所)が公表されています。

ロート製薬|サプライチェーンを複数のAIエージェントで調整する実証

ロート製薬は2025年12月1日、サプライチェーンの最適化に向けて、富士通が開発した「マルチAIエージェント連携」技術と、東京科学大学との共同研究で開発した「サイバーフィジカルシステム(CPS)」技術を使った取り組みの開始を発表しました。発表資料が挙げる適用領域は、工場間・倉庫間の輸送ルートや搬送計画の最適化、出荷拠点や代理店在庫のリアルタイムの補充判断、生産スケジュールとリソース配分の自動最適化、災害や需要変動時のリカバリーのシミュレーションです。背景には、サプライチェーンの複雑化で、人の経験や知見だけでは調整が難しくなっていることがあります。総務省の白書は、この取り組みを調達領域の事例として紹介し、調達管理や在庫管理など複数のAIエージェントを組み合わせる技術だと説明しています(ロート製薬の発表)。

段階は実証実験です。発表資料では、実際の製造・流通・販売データを使った検証は2026年1月以降に進めるとされており、効果の数字は示されていません。発表では「人とAIが協業する新たな仕組みの検証」と位置づけられていて、AIに任せ切りにする運用ではないことがわかります。

ダイキン工業・フェアリーデバイセズ|点検・修理の抜け漏れを映像で確認する熟練工AIエージェント

ダイキン工業とフェアリーデバイセズ株式会社は2026年3月25日、空調機の点検・修理作業の抜け漏れを自動でチェックするAIエージェントが、経済産業省とNEDOが主催する「GENIAC-PRIZE」で、最高賞の第1位と特別賞の「AIエージェント賞」を受賞したと発表しました(ダイキン工業の発表)。サービスエンジニアが首掛け型のウェアラブルデバイスを着けて作業を撮影し、その映像から抜け漏れを自動でチェックして、結果をスマートフォンに通知する仕組みです。背景は、世界的にエアコン需要が増えるなかで、点検・修理を行うサービスエンジニアを早期に育成することが課題になっていることで、熟練者の暗黙知を形式知にして活用するねらいが示されています。

実証結果として、検知精度は研修施設での実験で91%、実際の現場作業を対象にした検証で76%と公表されています。今後は精度を高め、使える点検・修理業務の範囲を広げて、グローバルでの本格的な活用をめざすとされており、発表資料に書かれた導入状況は実証までです。AIが作業するのではなく、人が作業し、AIが抜け漏れを知らせる使い方である点が、他の事例との違いです。

ダイキン工業・日立製作所|設備の故障の原因と対策を示す診断AIエージェント

ダイキン工業と日立製作所は2025年4月22日、設備故障診断を支援するAIエージェントの試験運用を、ダイキンの堺製作所臨海工場で2025年4月から始めたと発表しました(日立製作所の発表)。保全技術者がタブレット端末などで設備を点検し、ポンプやバルブなどの故障を見つけると、AIエージェントがその原因と対策を示します。設備の図面を、構成要素と関係を表すナレッジグラフに変換し、保全記録などのデータとあわせて生成AIに学習させている点が特徴です。

実証実験の結果として、回答時間は10秒以内、精度は90%以上と公表されています。この数字は、5種類の設備それぞれ5件の故障事例について、AIが推定した原因と対策の正しさを、熟練した保全技術者2名が5段階で評価したものです。2025年9月までに試験運用を終えて実用化し、その後は国内外の生産拠点に展開する計画と発表されていますが、実用化の状況は発表日以降の情報を公式サイトで確認してください。

ダイキン工業の2事例に共通するのは、熟練者の知識を、新人や海外拠点でも使える形にすることです。熟練工AIエージェントの発表でも、熟練者の暗黙知を形式知にして、サービスエンジニアの早期育成につなげるねらいが示されています。AIエージェントを使う場合も、現場の手順や確認のポイントを、社内の研修コースとして残しておくと、AIの結果を確認する人の基準をそろえやすくなります。その進め方の一例が、株式会社FCEが提供するSmart Boardingです。商品ページでは、社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで行えること、社内独自の教育内容を学習プログラムとして整備でき、自社オリジナルコースの作成や学習進捗の管理もできること、導入時から運用後まで続く伴走型のサポートが紹介されています。一方で、電話やメールの相談、教育プログラムの設計といった手厚いサポートは、「充実サポートプラン」のみとされています。AIエージェントの事例を含む教材が用意されているかは資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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出典:Smart Boarding

LearnOとの比較はこちら

【2026年最新】LearnO vs Smart Boardingを徹底比較|どちらがあなたに合う?評判・機能・料金で検証!

今、eラーニングシステムを導入する企業が増えています。特に「LearnO」と「Smart Boarding」は2大人気サービスで、評価を見てもどちらが本当に自社に合うサービスなのか悩んでいる方も少なくありません。本記事では、徹底比較したビジコン編集部が目的別・使い方別に違いを明確に解説します。

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  • 内定者・新人教育からリーダー・管理職育成まであらゆるシーンで活用
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  • 自社オリジナルコースの作成や学習進捗管理も行える
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【自社オリジナルコンテンツ】と【FCEプログラム】を活用した自社独自の学習コースを作成

Smart Boarding 導入事例(株式会社ミツハシ)の見出し 出典:導入事例ページ

顧客対応・営業・店舗の例|Gen-AX・明治安田生命・イオン

顧客との接点では、音声で応対するAI(Gen-AX)は提供が始まっている一方、営業や店舗でのAIエージェントは、秘書型の支援を先に広げ、エージェントは構想という事例が目立ちます。

Gen-AX|音声で応対するAIと、監視するAIを分けた構成

ソフトバンクの子会社であるGen-AXは、コンタクトセンター向けの自律型AIオペレーター「X-Ghost」を提供しています。公式サイトによると、24時間365日、音声の問い合わせに対応し、必要なシステムにAPIで接続して情報を集め、会話に反映します。顧客と会話して質問の意図を理解する「オペレーターAI」と、発話とシステムの挙動をリアルタイムで監視し、リスク判定とガードレールの制御を行う「モニタリングAI」を分けている点が構成の特徴です。導入は、問い合わせ、ヒアリング、商談・提案、PoCまたは本格導入の流れで進むとされています(X-Ghostの公式サイト、2026年10月21日確認)。

導入事例としては、三井住友カード株式会社が掲載されています。ただし掲載されている情報は業種や規模などの属性にとどまり、効果を示す数値は載っていません。期待される効果として応対品質の平準化やオペレーターの負担軽減が挙げられていますが、定量的な成果は示されていないため、この事例から削減率などを読み取ることはできません。

明治安田生命|デジタル秘書は展開中、AIエージェントは構想

明治安田生命のDXのページによると、営業職員向けの「デジタル秘書 MYパレット」は2024年10月から、役職員向けの「デジタル秘書」は2025年8月から展開されています。役職員向けは、2023年度に展開した自社版ChatGPTシステムの「AIアシスタント」を刷新したものです。このページに、AIエージェントについての記述はありません。白書は、ほぼ全従業員に提供しているデジタル秘書を紹介したうえで、今後の構想として、AIエージェントが過去の面談情報や社内情報を参照し、次の提案内容の検討や提案書の作成を自律的に支援することを挙げています(白書の顧客との接点)。つまり、いま使われているのは秘書型の支援で、AIエージェントは構想の段階です。

イオン|店舗の従業員向けAIアシスタントと、自前のAIエージェントの開発

白書によると、イオンリテールは、免税対応、商品の配送、落とし物の管理など幅広い業務のマニュアルを学習させた従業員向けのAIアシスタント端末を開発し、一部の店舗で導入しています。音声入力にも対応し、現場の従業員から使いやすいと好評で、「黒子」として業務の負担を軽くしていると紹介されています。また、イオングループでは、約300のグループ会社の顧客データの統合を進めながら、自前のAIエージェントの開発にも着手しており、顧客一人ひとりに合わせた購買の提案や献立の提案を構想しているとされています。端末は導入済み、エージェントは開発に着手した段階と分けて読む必要があります。

経営・経理・システム開発・マーケティングの例|キリン・ラクス・NTTデータ・電通

経営ではAI役員(キリンホールディングス)、経理では申請書の自動作成(ラクス)が公表されていて、システム開発とマーケティングでは、開発中や取り組みとして白書が紹介する事例があります。

キリンホールディングス|12名分のAI人格が論点を出し合う「AI役員」

キリンホールディングスは2025年8月4日、経営層の意思決定を支える「AI役員 CoreMate」の導入を発表しました(キリンの発表)。過去10年分の取締役会・グループ経営戦略会議の議事録や社内資料に、外部の最新情報を加えて学習させ、独自の12名分の人格を構築しています。複数のAI人格が会議のなかで論点や意見を交換し、そこから抽出した数個の論点や意見を、実際の経営戦略会議で経営層に示します。起案者が会議の前にCoreMateと付議内容を検討することで、資料作成の精度を高めるねらいも挙げられています。2025年7月以降、グループ経営戦略会議で本格的に導入され、年間30回以上の会議での活用を見込むとされています。AIが決めるのではなく、論点を示し、人が議論して決める使い方です。

ラクス|領収書から経費精算の申請を自動で作成する

ラクスは2025年12月1日、「楽楽AIエージェント for 楽楽精算」のベータ版の提供開始を発表しました(ラクスの発表)。スマートフォンのアプリで領収書を選ぶと、領収書の日付と金額から、関連する事前申請とクレジットカード明細を紐づけ、過去の申請データをもとに勘定科目などを推測して入力し、申請を自動で作成します。作成した申請が社内ルールに沿っているかは、楽楽精算の規定チェック機能で確認します。発表時点ではベータ版で、2026年に正式リリースする予定とされていました。その後の提供状況は公式サイトで確認してください。AIが作った申請を、誰がどの段階で確認するかは、導入する会社が自社の承認の流れに合わせて決める部分です。

NTTデータ・電通|開発や取り組みの段階の例

白書は、NTTデータが、システム開発の工程そのものをAI中心に変える「AIネーティブ開発」に取り組むとして紹介しています。AIが顧客の要望を分析して要件定義書を作り、別のAIがプログラミングに取り組み、人間の技術者はAIが作ったプログラムの点検と工程全体の管理に特化し、不具合や改善点があればAIに修正を指示するという流れです。マーケティングでは、電通が、ユーザーとのやり取りを通じて自律的に最適な答えを導く「統合マーケティングAIエージェント」の開発に取り組んでいると紹介されています(白書の製造・生産、白書のマーケティング)。いずれも、白書が紹介している取り組みの段階の記述で、成果の数字は示されていません。

ここまでの事例をまとめると、熟練者の知識を引き継ぐ使い方(ダイキン工業)、人が作業しAIが知らせる使い方(ダイキン工業)、AIが論点を示し人が決める使い方(キリン)など、AIと人の分担は事例ごとに違います。その分担を、自社の言葉で手順にして残しておく作業は、研修コースづくりと重なります。

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AIと人の分担や確認の手順を、自社の研修コースにしたい会社に

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AIエージェントの種類|事例で見る3つの見分け方と、名前で知られる主なサービス

AIエージェントの種類は、人にどう関わるか(任せ方)、AIが1つか複数か(構成)、誰が用意したか(提供形態)の3つの軸で見ると、事例を整理しやすくなります。

AIの教科書的な分類(単純反射型、モデルベース反射型、目標ベース、効用ベース、学習型)は、AIエージェントとは|生成AI・RPAとの違いと導入5ステップの種類の節で、身近な例つきで解説しています。この記事では、公表事例を読むときに役立つ見分け方を示します。次の表は、公表資料の説明をもとに本記事で分類した例で、公的な分類ではありません。

事例任せ方構成提供形態
ダイキン工業の熟練工AIエージェント通知型(人が作業し、AIが抜け漏れを知らせる)単体ダイキン工業とフェアリーデバイセズが開発(発表資料)
ダイキン工業・日立製作所の故障診断回答型(人が尋ね、AIが原因と対策を示す)単体ダイキン工業と日立製作所の共同開発
Gen-AX X-Ghost応対型(AIが顧客と直接話す)複数(オペレーターAIとモニタリングAI)ベンダーが製品として提供
ロート製薬の取り組み調整型(輸送や在庫の判断を支援する)複数富士通の技術と共同研究の技術を利用
キリンホールディングスのAI役員論点提示型(AIが論点を示し、人が議論する)複数(12名分のAI人格)自社の経営会議向けに導入
ラクスの楽楽AIエージェント作成型(AIが申請書を作る)単体SaaSの機能として提供

見分け方のポイントは、任せ方が「通知」「回答」「作成」のように人が最終確認しやすいものほど、最初の導入に向きやすいことです。逆に、複数のAIが自律的に調整する型は、確認の仕組みや権限を先に決めておく必要があります。なお、AI事業者ガイドライン(第1.2版)は、AIエージェントよりも包括的で進化的な概念として、複数のAIエージェントが自律的に意思決定を下してアクションを起こす「エージェンティックAI」があるとし、自律について、高度な自律状態だけでなく、ある程度の自律性を持つものも含むと注記しています(12頁の脚注)。

名前で知られる主なサービス|公式の説明で確認した内容

サービス公式資料で確認できる内容(2026年10月21日確認)出典
Microsoft Copilot Studioエージェントやワークフローを構築・管理する、ローコードのスタジオ。Microsoft Teams、Microsoft Copilot、ウェブサイト、モバイルアプリなどに公開できるMicrosoft Learn
Agentforce(Salesforce)24時間365日の自律型サポートを提供するAIエージェントのプラットフォームと紹介されている。同社のサイトには、18,000社以上が導入と記載されているSalesforce公式サイト
ChatGPT agent(OpenAI)OpenAIのヘルプでは、ChatGPT agentは現在利用できないとされ、長時間の複数ステップのタスクにはChatGPT Workを使うよう案内されているOpenAIヘルプ

名前が知られているサービスでも、機能や提供状況は短い周期で変わります。上の表の導入社数などは、各社が自社のサイトで示している数字で、第三者が確認したものではありません。選ぶときは、知名度よりも、任せたい業務と、確認する体制に合うかを基準にしてください。

公表事例の読み方|実証・ベータ版・提供中の見分けと、数字の注意

公表事例は、提供・導入済みか、ベータ版か、実証・試験運用か、構想かを先に確かめ、数字は測った条件とあわせて読むと、自社の判断材料として使えます。

段階本記事の事例での書きぶり自社の参考にするときの見方
提供・導入済みGen-AXのX-Ghostは公式サイトで提供を案内。キリンのAI役員は2025年7月以降、経営戦略会議で本格導入と発表自社に近い条件か(規模・業種・使う場面)を確かめる。効果の数字が載っていない場合もある
ベータ版ラクスは発表時点でベータ版とし、2026年に正式リリースの予定と発表機能や条件が正式版で変わる可能性がある。現在の提供状況を公式で確認する
実証・試験運用ロート製薬は実データでの検証を2026年1月以降に実施と発表。ダイキン工業・日立製作所は2025年4月から試験運用本番で同じ結果になるとは限らない。検証の条件と、実用化の予定を確かめる
構想・開発中明治安田生命のAIエージェント、イオングループのAIエージェント、電通の統合マーケティングAIエージェント方向性の参考にとどめ、時期や効果は未確定として扱う

数字は「どこで・何件・誰が測ったか」を確認する

ダイキン工業の熟練工AIエージェントの検知精度は、研修施設での実験で91%、実際の現場作業を対象にした検証で76%と、条件によって差がありました。日立製作所とダイキン工業の故障診断では、精度90%以上という数字は、5種類の設備それぞれ5件の故障事例を、熟練した保全技術者2名が5段階で評価した結果です。Gen-AXのX-Ghostの導入事例には、業種や規模などの属性だけが載っており、効果を示す数値は載っていません(2026年10月21日確認)。このように、数字があっても件数や評価者の数が少なかったり、数字そのものが無かったりします。自社に当てはめるときは、測った場所と件数、評価の方法を確かめ、自社では小さく試して測り直す前提で見てください。

公的な資料が示す、導入の差

白書は、日本企業の生成AI活用は前年度から大きく上昇したものの、米国・ドイツ・中国と比べると低い状況だとしています。個別の業務類型ごとの導入率も、日本より米国・ドイツ・中国のほうが全般的に高く、今後は日本でも、業務類型ごとにAIの活用を具体的に検討していく段階に移るとの見方が示されています(白書の事例一覧のページ)。事例は、その検討の材料です。段階と数字の条件を確かめたうえで、自社の業務に近いものを選んで参考にします。

自社に当てはめる|最初の1業務の選び方と、導入前に決めること

最初の1業務は、事例の領域を手がかりに、通知・回答・下書きのように人が最終確認できる作業から選び、使う資料・できる操作・確認する人を先に決めます。

自社の業務近い事例最初の任せ方の例(考え方の一例)先に決めておくこと
現場の点検・保全ダイキン工業(熟練工AIエージェント、故障診断)点検の抜け漏れの通知、過去の保全記録からの原因の提示参照する図面・記録、点検の最終判断をする人
問い合わせ対応Gen-AX(X-Ghost)よくある問い合わせへの一次回答と、人への引き継ぎ答えてよい範囲、人に回す条件、応対の監視
経費精算ラクス(楽楽AIエージェント)申請の下書きの作成と、社内ルールの確認申請を確認・承認する人、誤りを見つけたときの戻し方
会議・意思決定の準備キリンホールディングス(AI役員)過去の議事録をもとにした論点の整理参照させる資料の範囲、論点を判断する人
調達・在庫ロート製薬の取り組み需要や在庫の状況にもとづく補充案の提示(まず案の提示にとどめる)使うデータ、案を採用する人、実行を許す条件

表の右2列は、事例から考えた進め方の一例で、各社が実際にそうしているという意味ではありません。AI事業者ガイドライン(第1.2版)は、公平性の観点から、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討することを求め、その際は人間の判断が自動化バイアスに左右されない対策を講じるべきとしています(本編PDFの19頁)。ガイドラインの本編は、総務省掲載のPDFで確認できます。

リスクの見方|誤り・外部データ・情報の漏えい

IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」は、生成AIが出鱈目を答える現象をハルシネーションと呼び、完全に防ぐ方法はまだ分かっていないと説明しています。そのため、AIエージェントの答えや実行結果は、重要なものほど人が一次情報で確かめる設計にします。また、外部から読み込むデータの中に不正な指示を混ぜ込み、AIの直接の利用者ではない第三者が行う攻撃を「間接プロンプトインジェクション」と呼び、AIシステムの利用者にも警戒が必要な攻撃類型としています(IPAの資料)。総務省の白書でも、企業が生成AIの活用で懸念するリスクは、「社内情報の漏洩などのセキュリティリスク」が最も高く、「出力結果の精度に問題がある」「著作権等の権利を侵害する可能性がある」が続きました(白書のリスクのページ)。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。

確認する人が増えるほど、「何を確認すればよいか」の基準が人によってぶれやすくなります。AIが示した結果を確認する人に、同じ基準を理解してもらい、理解度をテストで確かめたい場合の一例が、株式会社イー・コミュニケーションズが提供するSAKU-SAKU Testingです。商品ページでは、CBTをベースにしたeラーニングで、テスト機能が豊富であること、不慣れな人でも作成・登録しやすいコンテンツ機能があること、ユーザー管理機能でカテゴリーやグループを紐づけられることが紹介されています。注意したい点として、事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとされています。AIエージェントの利用に関する問題が用意されているかは、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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事例を自社に当てはめる前に、確認と社内ルールは足りている?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

導入後の見直し|公表事例から学ぶ、評価と改善の続け方

導入後は、使われ方・誤りの記録・権限と資料の3つを定期的に見直し、効果が確認できた業務から対象を広げます。

白書は、米国・ドイツ・中国では、導入前の専門的な審査体制や、導入後の定期的な評価・検証が日本より高い傾向があったとしています。ダイキン工業の事例が、研修施設での検証と現場での検証で精度が異なる数字を公表しているように、導入後も、実際の業務で測り直す仕組みが要ります。次の3つを定期的に見直します。

  • 使われ方:どの業務で使われ、使われなくなった機能はないか
  • 誤りの記録:間違った答えや、人が直した内容。原因が指示・参照する資料・ツールのどれかを切り分ける
  • 権限と資料:許している操作や参照する資料が、今の業務に対して広すぎたり古かったりしないか

効果の測り方は、AIエージェントとは|生成AI・RPAとの違いと導入5ステップの「効果をどう確認するか」で3つの指標として整理しています。複数の処理をつなぐ設計はAIワークフローとは?RPAとの違いと設計手順4ステップ、SaaSとの関係はSaaSとAI|生成AI・AIエージェントで変わる役割と「SaaSの死」、導入時の注意点で解説しています。見直しの結果、確認の手順やルールを直したときは、研修にも反映して、全員が最新のやり方を学べる状態にしておきます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. AIエージェントの例にはどんなものがありますか?

A. 国内では、ロート製薬の複数のAIエージェントによるサプライチェーン調整の実証、ダイキン工業の点検の抜け漏れ確認と故障診断、Gen-AXの音声応対、キリンホールディングスのAI役員、ラクスの経費精算の自動作成などが公表されています。提供中のもの、ベータ版、実証・試験運用、構想が混在するため、段階を確かめて参考にしてください。

Q2. AIエージェントにはどんな種類がありますか?

A. 教科書的には、単純反射型・モデルベース反射型・目標ベース・効用ベース・学習型などの分類があります。事例を読むときは、人にどう関わるか(通知・回答・作成・応対・調整)、AIが1つか複数か、誰が用意したか(自社開発・ベンダー提供・SaaSの機能)の3つの軸で見ると整理しやすくなります。

Q3. AIエージェントで有名なものは何ですか?

A. エージェントを作り、管理する基盤として、Microsoft Copilot StudioやSalesforceのAgentforceが公式サイトで紹介されています。OpenAIのChatGPT agentは、ヘルプで現在は利用できないとされています(2026年10月21日確認)。知名度よりも、任せる業務と確認する体制に合うかで選んでください。

Q4. ChatGPTはAIエージェントですか?

A. ChatGPTは主に、対話で文章などを作る対話型のAIサービスです。AIエージェントかどうかは、AI事業者ガイドラインの定義にある「目標の達成のために環境を感知し自律的に行動する」機能を使うかどうかで変わります。操作を実行するChatGPT agentは、OpenAIのヘルプで現在は利用できないとされ、長時間の複数ステップのタスクにはChatGPT Workを使うよう案内されています。

Q5. AIにおけるエージェントとは何ですか?

A. AI事業者ガイドライン(第1.2版)は、AIエージェントを、特定の目標を達成するために環境を感知し自律的に行動するAIシステムとしています。自律については、高度な自律状態だけでなく、ある程度の自律性を持つものも含むと注記されています。

Q6. 公表事例の効果の数字は、自社でも同じように期待できますか?

A. そのまま当てはめるのは避けてください。ダイキン工業の熟練工AIエージェントの検知精度は、研修施設の実験で91%、実際の現場作業の検証で76%と、条件で変わりました。測った場所・件数・評価の方法を確かめ、自社では小さく試して測り直す前提で見てください。

まとめ|AIエージェントの例を自社に生かすために押さえたい6つのこと

AIエージェントの例は、国内でも調達、製造、顧客対応、経営、経理などで公表されています。ただし、提供中のものと、実証や構想の段階のものが混ざっているため、段階と数字の条件を確かめて読むことが、自社に生かす第一歩です。

  1. 公表事例を、提供・導入済み、ベータ版、実証・試験運用、構想の4段階で見分ける
  2. 成果の数字は、測った場所・件数・評価の方法とあわせて読む(例: ダイキン工業の91%と76%)
  3. 任せ方(通知・回答・作成・応対・調整)と、AIが1つか複数かで、事例を種類分けして整理する
  4. 最初の1業務は、人が最終確認できる作業から選び、使う資料・できる操作・確認する人を先に決める
  5. 導入後も、使われ方・誤りの記録・権限と資料を見直し、実際の業務で測り直す
  6. 使う全員の確認の基準とルールをそろえるため、eラーニングの資料を請求して比較する

事例の数字や名前に引っ張られず、自社の業務に近いものを選び、小さく試して確かめながら広げることが、AIエージェントを無理なく使う近道です。

参考文献

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