生成AIのメリット7つとデメリット6つ|効果が出る条件と防ぎ方

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  • メリットは時間短縮と案出しが中心
  • デメリットは誤り・漏えい・権利侵害
  • ルールと確認者を決めて小さく始める

生成AIのメリットは、文章・資料・画像のたたき台づくりや要約にかかる時間を短くできることと、案出しや一次対応を少ない人数で広げられることです。デメリットは、もっともらしい誤りが混ざること、機密情報や個人情報の入力による漏えい、著作権など権利の侵害の3つが中心で、どれも使い方のルールと人の確認で小さくできます。総務省「令和8年版 情報通信白書」では、日本企業が生成AIの活用で生じうる影響として「業務の効率化」を挙げた割合が61.6%と最も高く、懸念されるリスクでは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスク」が最も高い結果でした。本記事では、企業で使う7つのメリットと効果が出る条件、6つのデメリットと防ぎ方、使わないほうがよい場面、進め方を整理します。内容は2026年10月21日時点の公的資料と公式情報にもとづきます。

生成AIのメリットを読む前に、社内で次に整えたいことを診断

Q1. いま一番知りたいのは、どちらですか?

目次

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  1. 生成AIのメリット・デメリットの早見表|結論は「時間は短くなるが、確認の手間は残る」
  2. メリットは使い方のそろい方で決まる|全員の理解をそろえる3つの選択肢
  3. 生成AIとは|メリットとデメリットを読む前の定義と4つの種類
  4. 生成AIを企業で使う7つのメリット|効果が出る条件つき
  5. 生成AIのデメリット6つ|起きること・根拠・防ぐ確認
  6. 生成AIを使わないほうがよい場面と、使うかどうかの判断フロー
  7. メリットを出しながらデメリットを抑える進め方|4ステップと効果の見方
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|生成AIのメリットとデメリットで押さえたい6つのこと
  10. 参考文献

生成AIのメリット・デメリットの早見表|結論は「時間は短くなるが、確認の手間は残る」

生成AIのメリットは作業時間の短縮と案出しの量で、デメリットは誤り・情報漏えい・権利侵害のおそれです。両者は表裏一体で、人の確認が前提になります。

メリット表裏のデメリット防ぐための確認
下書き・要約の時間を短縮できるもっともらしい誤りに気づかず使ってしまう数字・固有名詞・引用は一次情報で確かめる
案や素材を短時間で多く出せる既存の著作物に似た生成物が混ざることがある公開前に類似を確認し、作家名などを指示に入れない
問い合わせの一次対応を広げられる誤った回答がそのまま相手に届く答える範囲を限定し、範囲外は人に引き継ぐ
少ない人数で回せる範囲が広がる担当者ごとに使い方が分かれ、利用の実態を把握できない利用ルールと相談先を決める
専門知識がなくても使える機密情報や個人情報を入力してしまう入力してよい情報の範囲を文書にする
点検や整形の補助に使える品質が一定でなく、偏りが含まれることがある出力を確認する人と基準を決める

総務省の白書によると、2025年度企業向け調査で生成AIの活用方針を持つと答えた日本企業は68.9%(前年度は49.7%)、何らかの業務で利用している割合は86.4%でした。差が出るのは、使い方と確認の基準が社内でそろっているかどうかです。

メリットは使い方のそろい方で決まる|全員の理解をそろえる3つの選択肢

生成AIのメリットを会社全体で得るには、入力してよい情報や出力の確認のしかたを全員が同じ基準で理解していることが前提で、研修を支えるeラーニングが選択肢になります。

同じ白書では、生成AIの組織的な取組が「ない」と答えた日本企業が27.0%あり、中小企業で特に高い傾向が示されています。リスク対策では「全社的な指針やガイドラインを整備している」が41.1%で最も高い結果でした。メリットを一部の人の工夫で終わらせず、デメリットを個人の注意に任せないためには、指針をつくるだけでなく、使う人全員が同じ基準で理解している状態が要ります。そのための手段の1つがeラーニングです。本記事の内容と相性のよい3サービスを役割の違いで並べます(内容は各サービスの商品ページ・公式サイトで確認した情報にもとづきます。生成AIの使い方を学ぶ教材かどうかは、各社の資料で確認してください)。

生成AIを使う全員のルールと理解をそろえる、eラーニング3サービスの役割

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サービス OneCompliance(ワンコンプライアンス) Smart Boarding SAKU-SAKU Testing
向いている会社 情報セキュリティや個人情報保護、著作権などの研修を、全社でそろえたい会社 生成AIの使い方や指示文の例を、自社の学習コースにしたい会社 研修のあとにテストを出し、理解度を集計して確かめたい会社
特徴 法務・労務・情報セキュリティ領域の研修をeラーニングで提供。ダッシュボードと自動リマインダーで管理工数を抑える 社内独自の教育内容を学習プログラムとして整備でき、学習進捗の管理もできる CBTの技術を活かしたテスト機能が豊富。ユーザー管理でカテゴリーやグループに紐づけられる
注意したい点 費用は人数に応じた課金体系で、問い合わせで確認。生成AI専用のコースは一覧にない 電話・メール相談や教育プログラム設計のサポートは「充実サポートプラン」のみ 事務局運営やカスタマーデスクを使う場合はオプション扱い
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従業員が生成AIに入力してよい情報の範囲や、情報漏えい、著作権への注意を同じ基準で学んでもらいたい場合の一例が、株式会社Oysterが提供するOneCompliance(ワンコンプライアンス)です。商品ページでは、研修の実施・管理を自動化して工数を最小化できること、法務・労務・情報セキュリティ領域の研修をeラーニングで実施できることが紹介されています。公式サイトのコース一覧には、外部攻撃や情報漏洩などを扱う「情報セキュリティ」、個人情報の定義や事業者の義務を学ぶ「個人情報保護法」、「著作権/肖像権」があります(2026年10月21日確認)。一方で、生成AIの利用そのものを扱う専用のコースは一覧になく、生成AIの使い方を学ぶ教材でもありません。費用は受講人数に応じた課金体系のため、問い合わせでの確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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OneCompliance 導入事例(株式会社プリメディカ。導入の背景・課題感として掲載) 出典:導入事例ページ

生成AIとは|メリットとデメリットを読む前の定義と4つの種類

生成AIとは、質問や作業指示(プロンプト)に応えて、文章・画像などを新しく生成するAIのことです。

個人情報保護委員会は、生成AIサービスを「質問・作業指示(プロンプト入力)等に応えて文章・画像等を生成するAIを利用したサービス」と説明しています(令和5年6月の注意喚起)。データの分類や予測が中心だった従来のAIと違い、新しいコンテンツを作る点が特徴です。業務で使われる種類は主に次の4つで、種類によってメリットの出方と注意点が変わります。

種類主な用途注意したい点
テキスト生成メールや資料の下書き、要約、翻訳誤りの確認(ハルシネーション)
画像生成バナーや資料に使う素材の案既存の著作物との類似、権利の確認
動画生成説明動画やプロモーション動画の素材権利の確認。本物と見分けのつかない偽の動画への警戒(IPA)
音声生成読み上げ、音声案内の素材声や実演の権利、本人の許諾の確認

テキスト生成の基盤になっているのが、大規模言語モデル(LLM)です。分野ごとの違いや、コード生成を含む5分野の整理は、生成AIとは?5分野マップと業務での使い方で解説しています。

生成AIを企業で使う7つのメリット|効果が出る条件つき

生成AIを企業で使う主なメリットは、時間の短縮、案出し、素材づくり、一次対応、人手不足の補完、点検、全社への広げやすさの7つで、効果が出るかは業務と使い方で変わります。

まず、日本企業は生成AIの効果をどう見ているかを確認します。総務省の白書で、生成AIの活用により生じうる影響を尋ねた結果は次のとおりです。

生じうる影響(日本の回答)割合
作業時間の短縮などによる業務の効率化61.6%(最も高い)
品質管理の精度向上やパーソナライズなどによる製品・サービスの質の向上32.2%
人員不足の解消26.8%

白書は、日本では生成AIが業務効率化の文脈で捉えられている一方、米国・ドイツ・中国では「製品・サービスの質の向上」の回答割合が最も高く、もう一歩踏み込んだ捉え方をしている可能性があると指摘しています。業務類型ごとの活用状況では、日本は「議事録・メール作成補助」が約7割で最も高く、「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割と続きました。導入効果を実感した割合は「議事録・メール作成補助」が約7割で、他の類型より顕著に高い結果でした。つまり、日本企業が実感しやすいメリットは、文章を読む・書く・まとめる業務の時間短縮です。次の7つは、この傾向と、各社の解説で共通して挙げられる論点を、効果が出る条件とあわせて整理したものです。

1. 作業時間を短縮できる|下書き・要約・議事録

メールや資料の下書き、会議の文字起こしの要約、長い文書の要点づくりは、生成AIが得意とする作業です。白書の個人向け調査でも、生成AIを使う理由として「時間や手間を省いてくれ、作業の効率が上がる」が42.8%でした。効果が出る条件は、元の文章や記録が手元にあり、出力を原文と突き合わせて確認できる業務であることです。反対に、最新の数字を調べて書くような、事実の確認に自分で調べるのと同じ時間がかかる業務では、短縮の効果は小さくなります。

2. アイデアを短時間で多く出せる

企画の切り口、キャッチコピー、会議の論点など、「ゼロから考える最初の一歩」の負担を減らせます。白書の第3章は、ドイツのレーゲンスブルク大学のチームが学生を対象に行った実験を紹介しており、AI支援ツールを使った群は使わなかった群より、短時間で高品質なアイデアを発想でき、アイデアの多様性や満足度も高い傾向が示されたとしています(公開前の論文にもとづく一例で、すべての業務に当てはまるとは限りません)。効果が出る条件は、対象・制約・禁止事項を指示に入れ、採否の判断は人が行うことです。

3. 素材やバリエーションを作れる|書き分け・画像・資料案

同じ内容を読み手別に書き分ける、顧客ごとに返信や案内文の案を作る、画像や資料の案を複数作る、といった素材づくりの手間を減らせます。ただし、公表や販売をするときは権利の確認が欠かせません。文化庁の整理では、生成した画像などを公表したり複製物を販売したりする場合は、通常の著作権侵害と同様の基準で判断されます。また、人が何ら指示を与えず、または簡単な指示にとどまり、「生成」のボタンを押すだけで生成されたものは、著作物に該当しないと考えられています。自社の素材として権利を主張したい場合は、人が創作的に関与したといえる使い方かどうかも、条件になります。

4. 問い合わせや社内ヘルプの一次対応を広げられる

白書では、社内ヘルプデスクでの生成AIの活用が約5割でした。決まった範囲の質問に一次回答を返せれば、時間外にも応答でき、待ち時間が短くなることで顧客や従業員の満足度にもつながり、担当者は例外的な相談に集中できます。ただし、誤った回答を返せば逆効果になります。条件は、答える範囲を限定した資料にもとづいて回答させることです。IPAの資料は、生成AIは社内規定のような学習外の情報に基づく回答はできず、RAGという仕組みで知識を補うことで自社の社内情報に即した回答を得られるようになると説明しています。どのデータを検索対象にするかはセキュリティ面も考慮して決める必要があり、範囲外の質問は人に引き継ぐ設計にします。

5. 人手不足を補い、少人数で回せる範囲を広げる

白書の影響の回答では、「人員不足の解消」が26.8%でした。定型的な下書きや整理を生成AIが担えば、同じ人数でこなせる業務量が増える可能性があります。注意したいのは、削れる作業と増える作業の差し引きです。下書きの時間は減っても、出力を確認する時間、ルールをつくる時間、使い方を教える時間は新しく発生します。人件費の削減は、これらを差し引いた自社の記録で確かめてから判断します。

6. 抜けや表記ゆれの点検に使える

誤字脱字、用語の表記ゆれ、記載漏れの指摘、書式の統一など、人が見落としやすい点検を補助させる使い方です。用語集やチェック項目を渡して「この基準に照らして指摘してください」と指示すると、結果が安定します。ただしIPAの資料は、生成AIを、知識はあっても正誤の判断ができず時々大きな間違いをする、発展途上の新人のように捉えて使うよう勧めています。指摘は候補として受け取り、採否を人が決める運用が条件です。

7. 専門知識がなくても使え、全社に広げやすい

自然な言葉で指示できるため、プログラミングなどの専門知識がなくても使い始められます。一方で、白書の個人向け調査では、テキスト生成AIを使わない理由として「使い方がわからない」が38.8%ありました。広げやすさを実際のメリットにするには、うまくいった指示文と確認の手順を社内で共有する必要があります。白書は、組織的な取組がない日本企業が27.0%あることも示しており、使い方の共有が個人任せになっていないかが分かれ目です。AIエージェントのように、より自律的に動く仕組みについては、AIエージェントとは|生成AI・RPAとの違いと導入5ステップを参照してください。

メリットが出にくい3つの場合

場合起きること見直しの方向
出力を確認できる人も基準もいない確認に時間がかかる、または誤りがそのまま使われる確認者と基準を決めてから使う
業務の手順やゴールが決まっていない指示があいまいになり、使うたびに出力がぶれる対象業務を1つに絞り、指示文を型にする
使い方を個人に任せ、共有しない得意な人だけが使い、全体の効果が見えないうまくいった指示文と失敗例を共有する

3つ目の「使い方の共有」を仕組みにする方法として、自社の手順書や指示文の例を学習コースにまとめる方法があります。その一例が、株式会社FCEが提供するSmart Boardingです。商品ページでは、インプットとアウトプットの両方を行えること、社内独自の教育内容を学習プログラム化できること、直感的に操作できる管理画面、オンライントレーニングが追加料金なしで受け放題であること、専任担当者による伴走型のオンボーディングが紹介されています。一方で、電話やメールの相談、教育プログラムの設計といった手厚いサポートは、「充実サポートプラン」のみとされています。生成AIに関する教材が含まれるかは資料で確認し、自社の使い方を研修にする場合は、作成の進め方を担当者に相談してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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生成AIのデメリット6つ|起きること・根拠・防ぐ確認

生成AIの主なデメリットは、もっともらしい誤り、情報漏えい、権利侵害、品質のばらつき、使い方の属人化、運用の負担の6つで、日本企業が最も懸念するのは社内情報の漏洩です。

白書で、企業が生成AIの活用に関して懸念するリスクを尋ねた結果は、日本では「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が最も高く、次いで「出力結果の精度に問題がある」、「著作権等の権利を侵害する可能性がある」の順でした。次の6つは、この順位を軸に、公的資料で確認できる内容を整理したものです。

1. もっともらしい誤りが混ざる(ハルシネーション)

IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」は、生成AIが出鱈目を答える現象をハルシネーションと呼び、完全に防ぐ方法はまだ分かっていないと説明しています。個人情報保護委員会の注意喚起も、生成AIの応答結果には不正確な内容が含まれることがあり、自然な文章は確率的な相関関係に基づいて生成されるため、不正確な個人情報が含まれるリスクがあるとしています。防ぎ方は、数字・固有名詞・法令・引用を一次情報で確かめること、確認する人を決めることです。仕組みの背景は、LLMとは?生成AIとの違いと仕組み、業務で使う際の確認ポイントで解説しています。

2. 機密情報・個人情報が漏れるおそれがある

個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があるとも説明し、サービス提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないことなどを確認するよう求めています。利用規約やプライバシーポリシーの確認も、利用者に求められる事項です。防ぎ方は、入力してよい情報の範囲を文書にし、全員が同じ基準で理解していることです。

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3. 著作権など権利を侵害するおそれがある

文化庁の文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」の概要資料(令和6年4月)によると、生成した画像などを公表したり複製物を販売したりする場合は、通常の著作権侵害と同様の基準で判断されます。生成物に既存の著作物との類似性(創作的表現が共通していること)と依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められ、権利制限規定の対象外であれば、著作権侵害となります。また、生成が適法に行える場合でも、SNSへのアップロードなどの利用まで直ちに適法となるわけではなく、場面ごとの判断が必要とされています。防ぎ方は、特定の作品名や作家名を指示に入れないこと、公開前に既存の作品と似ていないかを確認すること、利用するサービスの規約で商用利用の可否を確かめることです。なお、この考え方自体は法的拘束力を持つものではなく、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は専門家に相談してください。コード生成の権利と安全面は、AIプログラミングとは?できること・必要なスキルと、業務で使う際の著作権・OSSの注意点も参考になります。

4. 品質が一定でなく、偏りが含まれることがある

同じ依頼でも、出力の質や言い回しは使うたびに変わります。白書は、米国・ドイツ・中国では「出力結果に倫理上不適切な内容や偏見が含まれる可能性がある」という懸念が、日本より高い傾向があったと述べています。顧客向けの文章や採用・評価に関わる文章では、出力を人が読んで基準に合っているかを確かめる工程が欠かせません。防ぎ方は、確認の基準(用語、表現、禁止事項)を文書にして、確認者を決めることです。

5. 使い方が属人化し、考える力への影響も指摘される

白書によると、生成AI活用による業務変革などの組織的な取組が「ない」と答えた日本企業は27.0%でした。組織の決まりがないと、誰がどの業務でどのように使っているかが把握できず、ルールの外で使われるおそれが生まれます。もう1つの論点が、人の思考への影響です。白書の第3章は、MIT Media Labなどのチームが小論文の執筆で行った実験を紹介し、最初から大規模言語モデルを使った群は、脳内の神経結合が比較的弱く、執筆直後の自分の文章を正確に引用する力も比較的低かったとしています(研究の一例で、すべての業務に当てはまるとは限りません)。同じ白書は、自分の頭だけで作業した後にLLMを使った群では記憶の想起が良好だったとも紹介しています。先に自分で考え、そのあとにAIで広げる・点検する、という順序の工夫が有効です。

6. 運用と導入の負担がかかる

社内のデータを活用するには、環境の整備が要ります。白書は、米国・ドイツ・中国では「生成AIに社内データを学習させたり、生成AIが参照可能なデータベースを構築したりしている」との回答が5割を超え、日本より大幅に高かったとしています。社内情報を参照させるほど回答は社内に即したものになる一方、IPAの資料が述べるとおり、検索対象にするデータはセキュリティ面も考慮して決める必要があります。また、利用するサービスやモデルは短い周期で変わるため、導入時のルールを一度決めて終わりにせず、定期的に見直す体制が要ります。費用は、サービスの利用料のほかに、ルールづくり、教育、確認の工数も含めて考えます。

デメリットを減らす手段は、ルール・確認・教育の3つ

6つのデメリットに共通する防ぎ方は、入力と利用範囲のルールを決めること、出力を確認する人と基準を決めること、そして全員が同じ基準で理解していることの3つです。白書が示すとおり、日本では全社的な指針の整備は41.1%と進んでいる一方、導入後の定期的な評価・検証は他の3か国より低い傾向でした。ルールを文書にしたあと、全員が理解したかを確かめる工程が次の課題になります。

理解度をテストで確かめたい場合の一例が、株式会社イー・コミュニケーションズが提供するSAKU-SAKU Testingです。商品ページでは、CBTの技術を活かした充実したテスト機能を備えたeラーニングプラットフォームで、動画やスライドによる学習と確認テストを組み合わせられること、不慣れな人でも作成・登録しやすいコンテンツ機能があること、ユーザー管理機能でカテゴリーやグループを紐づけられることが紹介されています。注意したい点として、事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとされています。生成AIの利用に関する問題が用意されているかは資料で確認し、自社のルールに合わせた問題を作る場合は、作成の進め方を担当者に相談してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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生成AIを使わないほうがよい場面と、使うかどうかの判断フロー

生成AIを使わないほうがよいのは、入力してはいけない情報を扱う場面、出力を人が確認できない場面、自分で考えること自体が目的の場面です。

「生成AIがダメな理由」「AIを使わないほうがよい理由」と検索される背景には、使うこと自体が悪いのではなく、使ってはいけない場面があるという疑問があります。白書の個人向け調査では、テキスト生成AIを使わない理由は「自分の生活や業務に必要ない」が42.4%、「使い方がわからない」が38.8%でした。使わない理由の上位は、危険だからというより、必要性と使い方の問題です。そのうえで、慎重に扱うべき場面を整理します。

場面使わない・慎重にする理由代わりの進め方
個人情報や機密情報を、規約を確認していないサービスに入力する入力した情報の扱いによっては、個人情報保護法に違反することとなる可能性がある(個人情報保護委員会)情報を伏せる。入力データを機械学習に利用しないことなどを確認できる環境で使う
数字・法令・医療など、誤りが損害につながる内容をそのまま公表する生成AIは出鱈目を答えることがあり、完全に防ぐ方法は分かっていない(IPA)一次情報で確認できる担当者が、確認したうえで使う
特定の作家や作品に似せた素材を公開・販売する類似性と依拠性が認められれば、著作権侵害となる(文化庁)作品名・作家名を指示に入れず、公開前に類似を確認する
採用の合否や懲戒など、責任の伴う最終判断を任せる生成AIは正誤の判断ができず、時々大きな間違いをする(IPA)生成物は判断材料にとどめ、決定と説明は人が行う
自分で考える・覚えること自体が目的の学習や訓練最初から使った群で、自分の文章を引用する力が比較的低かった研究例がある(総務省の白書が紹介)先に自分で考えたあとに、AIで広げる・点検する

使うかどうかは、次の4つの問いで判断できます。上から順に確認し、1つでも「いいえ」や「分からない」があれば、その点を解消してから使います。

  1. 入力する情報に、個人情報・機密情報は含まれていないか。含まれる場合は、規約と入力データの扱いを確認しているか
  2. 出力の正しさを、元の資料や一次情報で確かめられるか。確かめる人は決まっているか
  3. 出力を公表・販売する場合、既存の著作物と似ていないかを確認できるか
  4. 自分の理解や判断力を育てることが目的ではないか。目的である場合は、先に自分で考えたか

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メリットを出しながらデメリットを抑える進め方|4ステップと効果の見方

生成AIは、対象業務を1つ選び、入力と確認のルールを決め、少人数で試し、効果を測ってから広げる4ステップで進めると、メリットを出しながらデメリットを抑えられます。

ステップ1. 対象業務を1つ選ぶ

最初の業務は、出力を人が確認しやすい文章の業務から選びます。白書では、日本企業が活用している業務類型は「議事録・メール作成補助」が最も高く、効果の実感も高い結果でした。社内向けの議事録の下書き、問い合わせ回答案、資料の要約が候補です。サービス選びは、生成AIおすすめ12選を目的別に比較|選び方と業務別の活用法が参考になります。

ステップ2. 入力と確認のルールを決める

入力してよい情報の範囲、出力を確認する人と基準、使ってはいけない用途、困ったときの相談先の4点を文書にします。個人情報を扱う可能性がある場合は、個人情報保護委員会の注意喚起を確認し、利用するサービスの規約とプライバシーポリシーも見ておきます。

ステップ3. 少人数で試し、記録を残す

白書は、中小企業では経営幹部から各部署に実施事項や達成目標が示されていることが最も高い回答割合となり、トップダウンの関与がキーポイントになっていることがうかがえるとしています。少人数で試す段階でも、責任者を決め、うまくいった指示文、失敗した例、確認で見つかった誤りを記録しておきます。AI活用全体の進め方は、AI活用とは?業務改善・価値創出の2軸と事例・進め方で整理しています。

ステップ4. 手順を教材にして広げる

試行で効果が見えたら、対象の業務と人を広げます。そのときに、記録した指示文と確認の手順を、全員が同じ基準で学べる教材にしておくと、使う人が増えても品質がそろいます。

効果は、自社の記録で見る

見る指標例見るタイミング
作業時間1件あたりの作成時間を、使う前と使った後で比べる試行の開始時と終了時
確認で見つかった誤り確認の工程で直した件数と、誤りの種類毎月
使われ方使っている人数、業務、頻度毎月
ヒヤリハット入力してはいけない情報を入れかけた件数、ルールの質問の件数随時

出典のない目標値を最初から決めるのではなく、自社の前後比較で見ます。作業時間が短くなっても、確認の時間が同じだけ増えていれば、メリットは出ていません。確認の工数まで含めて比べてください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 生成AIのメリットとデメリットは何ですか?

A. メリットは、下書きや要約の時間を短くできること、案出しや素材づくりを短時間で多く行えること、問い合わせの一次対応や人手不足の補完に使えることです。デメリットは、もっともらしい誤りが混ざること、機密情報や個人情報が漏れるおそれ、著作権など権利の侵害のおそれが中心です。総務省の白書では、日本企業が挙げた影響は「業務の効率化」が61.6%で最も高く、懸念されるリスクは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスク」が最も高い結果でした。

Q2. 生成AIがダメな理由は何ですか?

A. 生成AIが一律にダメということはなく、問題になるのは、確認せずに使う、入力してはいけない情報を入れる、権利の確認をせずに公表する、といった使い方です。IPAの資料は、生成AIが出鱈目を答えるハルシネーションを完全に防ぐ方法はまだ分かっていないと説明しています。誤りを確認する人と基準、入力の範囲を決めたうえで使うことが前提です。

Q3. 生成AIの便利なところは何ですか?

A. 文章の下書き、長い文書の要約、議事録の整理、アイデア出し、表記ゆれの点検など、文章を読む・書く・まとめる作業の時間を短くできる点です。総務省の白書の個人向け調査では、利用する理由は「利用にかかるお金が無料又は安い」が53.9%、「時間や手間を省いてくれ、作業の効率が上がる」が42.8%、「多様な発想や視点を示してくれる」が34.1%の順でした。

Q4. 生成AIを使わないほうがよいのは、どんな場合ですか?

A. 規約を確認していないサービスに個人情報や機密情報を入力する場合、誤りが損害につながる内容を確認せずに公表する場合、特定の作家や作品に似せた素材を公開・販売する場合、責任の伴う最終判断を任せる場合です。自分で考えること自体が目的の学習では、先に自分で考えてから使う順序が勧められます。判断の手順は、本記事の「使うかどうかの判断フロー」を参照してください。

Q5. 生成AIのデメリットを減らすために、最初に何を決めればよいですか?

A. 入力してよい情報の範囲、出力を確認する人と基準、使ってはいけない用途、相談先の4点を決めて文書にします。そのうえで、全員が同じ基準で理解しているかを確かめる仕組みが要ります。白書では、全社的な指針を整備している日本企業は41.1%で最も多い対策でした。指針を決めたあとに全員の理解をそろえることが、次の課題になります。

Q6. 中小企業でも生成AIのメリットはありますか?

A. あります。白書によると、生成AIの活用方針を持つ企業は、大企業が74.0%、中小企業が58.1%でした。一方で組織的な取組がない割合は中小企業で特に高く、トップダウンの関与がキーポイントになっているとされています。まず責任者を決め、議事録の下書きなど確認しやすい1業務から、少人数で試すのが現実的です。

まとめ|生成AIのメリットとデメリットで押さえたい6つのこと

生成AIは、時間を短くし、案出しや一次対応を広げる一方で、確認の手間と守るべきルールを伴う道具です。メリットとデメリットは表裏一体のため、使い方と確認の基準を会社でそろえることが、効果を出すための条件になります。

  1. メリットの中心は作業時間の短縮と案出し。日本企業の回答でも「業務の効率化」が最も高い
  2. メリットとデメリットは表裏一体で、確認の手間は残る。時間は確認の工数まで含めて比べる
  3. デメリットは誤り・情報漏えい・権利侵害が中心。入力の範囲と、出力を確認する人を文書にして決める
  4. 使わないほうがよいのは、入力してはいけない情報を扱う場面、確認できない出力、自分で考えること自体が目的の場面
  5. 対象業務を1つに絞り、少人数で試し、自社の記録で効果を測ってから広げる
  6. 使う全員が同じ基準で理解している状態をつくるため、eラーニングの資料を請求して比較する

生成AIの機能やサービスは、今後も短い周期で変わります。変わらないのは、どこまで任せ、どこで人が確認するかを決めるのは使う側だということです。まず1つの業務で、入力と確認のルールを決めるところから始めてください。

参考文献

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