残業手当の計算方法は?月給・時給別の計算式と割増率を例つきで解説

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  • 残業手当は1時間あたりの賃金に割増率をかける
  • 時間外は25%、月60時間超は50%以上
  • 時給別の早見表で金額がすぐわかる

残業手当は、1時間あたりの賃金に割増率と残業時間をかけて計算します。法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間には25%以上、月60時間を超えた時間には50%以上の割増が必要で、時給1,200円の人が10時間残業すれば15,000円、月給25万円の人なら約19,500円が目安です。この記事では、計算式と割増率、月給制・時給制の1時間あたりの賃金の出し方、基礎に入る手当と入らない手当、深夜や休日と重なるときの計算、端数処理、固定残業代・管理監督者・変形労働時間制などの注意点を、労働基準法と厚生労働省の資料に沿って整理します。毎月の計算を手作業で続けている給与計算の担当者向けに、計算を自動化する給与計算ソフトの考え方にも触れます。

残業手当の計算、自社の状況から合う給与計算ソフトの一例を見る

Q1. 残業手当の計算で、いちばん手間がかかるのはどこですか?

目次

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  1. 残業手当の計算式|1時間あたりの賃金に割増率と残業時間をかける
  2. 残業手当の計算例|月給25万円・時給1,200円・時給1,500円で10時間残業したら
  3. 1時間あたりの賃金の出し方|月給・日給・時給・歩合と、基礎に入れる手当
  4. 割増率が重なるとき|深夜・法定休日・月60時間超の計算
  5. 端数処理と1分単位の計算|切り捨てられる場面・切り捨てられない場面
  6. 働き方・制度別の注意点|法定内残業・固定残業代・管理監督者・変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制
  7. 残業手当の計算を毎月続ける方法|手計算・表計算ソフト・計算ツール・給与計算ソフト
  8. 未払いを防ぐために|時効3年・罰則・残業の上限と、労務手続きの整え方
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|残業手当の計算で押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

残業手当の計算式|1時間あたりの賃金に割増率と残業時間をかける

残業手当は「1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間」で計算します。法定労働時間を超えた時間の割増率は25%以上で、月60時間を超えた分は50%以上です。

計算は3つの手順で進める

  1. 1時間あたりの賃金を出す(時給制はその金額、月給制は手当を含めた月給を月平均所定労働時間で割る)
  2. 割増の対象になる時間を数える(法定労働時間の1日8時間・週40時間を超えた時間。深夜や法定休日の労働は別に数える)
  3. 時間ごとの割増率をかけて合計する(月60時間以内の時間外は1.25倍、月60時間を超える分は1.5倍など)

手順1の詳しい出し方は「1時間あたりの賃金の出し方」の章で、手順3で割増率が重なる場合は「割増率が重なるとき」の章で説明します。

割増率の基本は、時間外25%・月60時間超50%・法定休日35%・深夜25%

労働基準法37条は、会社が法定労働時間を超えて働かせたときや休日に働かせたときは、通常の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲で政令が定める率以上の割増賃金を払うこと、午後10時から午前5時までの深夜に働かせたときは2割5分以上の率で払うことを定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。時間外と休日の率は政令で、時間外は2割5分、休日は3割5分と定められています(e-Gov法令検索「割増賃金の率の最低限度を定める政令」)。

区分割増率対象になる時間
法定時間外労働(月60時間以内)25%以上法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた時間
月60時間を超える時間外労働50%以上1か月の時間外労働が60時間を超えた部分。中小企業にも2023年4月1日から適用されている
法定休日労働35%以上労働基準法が与えるよう定めている休日(法定休日)に働いた時間
深夜労働25%以上午後10時から翌午前5時までに働いた時間(時間外や休日かどうかを問わない)

割増率の根拠と中小企業への適用開始日は、厚生労働省の「確かめよう労働条件」でも確認できます(厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」)。

残業手当の計算は、式そのものは単純でも、毎日の勤務ごとに「法定内か時間外か」「月60時間を超えたか」「深夜や休日と重なるか」を判定して、率を当てはめる必要があります。この判定と集計を勤怠のデータから自動で行いたい場合の選択肢として、給与計算ソフトがあります。次の比較表では、本記事で取り上げる3つのサービスの役割の違いを並べました。優劣ではなく、向いている会社の違いとして見てください。

残業手当の計算を毎月続ける会社の、給与計算・労務管理ソフト3つの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

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他サービスとの比較記事はこちら


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「残業手当」「残業代」「時間外手当」は同じものを指す

労働基準法の条文には「残業手当」という言葉はなく、法律上の名前は割増賃金です。現場では、残業手当・残業代・時間外手当・時間外労働手当などと呼ばれます。呼び方が違っても、法定労働時間を超えた時間に払う割増賃金のことなら同じものとして計算できます。ただし会社によっては、「残業手当」という名前で、法定労働時間の内側の残業(法定内残業)に払う手当も含めて呼んでいる場合があります。就業規則や賃金規程で、自社の「残業手当」がどの時間を指しているかを確認してください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案の判断は、労働基準監督署・都道府県労働局の総合労働相談コーナー、社会保険労務士、弁護士などに確認してください。

残業手当の計算例|月給25万円・時給1,200円・時給1,500円で10時間残業したら

月給25万円(月平均所定労働時間160時間)で10時間残業すると約19,500円、時給1,200円なら15,000円、時給1,500円なら18,750円です。いずれも月60時間以内の時間外労働で、深夜や休日が重ならない場合の例です。

月給25万円で10時間残業した場合

月給25万円(手当なし)で、1年間の1か月平均所定労働時間が160時間の会社を例にします。年間の所定労働日数が240日、1日の所定労働時間が8時間なら、年間1,920時間を12か月で割って160時間です。1時間あたりの賃金は250,000円 ÷ 160時間で1,562.5円になります。円未満の端数は、50銭以上を切り上げ、50銭未満を切り捨てる扱いが厚生労働省から示されているため、1,563円とします(厚生労働省「割増賃金のチェック方法」)。

残業手当は、1,563円 × 1.25 × 10時間で19,537.5円になり、端数処理をして19,538円です。1時間あたりの賃金の端数を先に処理するか、最後にまとめて処理するかで、数円の差が出ます。どちらで行うかは、就業規則や賃金規程に書いておくと、人によって計算がぶれません。

時給1,200円・時給1,500円で10時間残業した場合

時給制では、時給がそのまま1時間あたりの賃金です。時給1,200円の人は、1,200円 × 1.25で1時間あたり1,500円、10時間残業すると15,000円になります。時給1,500円の人は、1,500円 × 1.25で1時間あたり1,875円、10時間残業すると18,750円です。割増の部分だけを見ると、時給1,200円で1時間あたり300円、時給1,500円で375円が上乗せされる計算です。「残業手当」を割増分だけの意味で使う会社では、この上乗せ分だけを指すこともあるため、求人票や賃金規程の書き方を確認してください。

時給別・残業時間別の早見表

時給残業1時間残業10時間残業20時間残業45時間
1,000円1,250円12,500円25,000円56,250円
1,200円1,500円15,000円30,000円67,500円
1,500円1,875円18,750円37,500円84,375円
2,000円2,500円25,000円50,000円112,500円

表の金額は、時給に1.25をかけた、割増を含む残業手当の全額です。月60時間以内の時間外労働で、深夜や法定休日が重ならない場合に限ります。月給制の人は、時給の欄を、次の章で出す1時間あたりの賃金に置き換えて読んでください。

1時間あたりの賃金の出し方|月給・日給・時給・歩合と、基礎に入れる手当

1時間あたりの賃金は、時給制ならその金額、月給制なら手当を含めた月給を1年間の1か月平均所定労働時間で割った金額です。家族手当・通勤手当など7種類は、割増の基礎に入れなくてかまいません。

賃金の形ごとの出し方

労働基準法施行規則19条は、賃金の形ごとに、割増の基礎になる1時間あたりの賃金の出し方を定めています(e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」)。

賃金の形1時間あたりの賃金の出し方
時給その金額
日給日給 ÷ 1日の所定労働時間(日によって違うときは、1週間の1日平均所定労働時間)
週給週給 ÷ 週の所定労働時間(週によって違うときは、4週間の1週平均所定労働時間)
月給月給 ÷ 月の所定労働時間(月によって違うときは、1年間の1か月平均所定労働時間)
出来高払制(歩合給)賃金算定期間の歩合給の総額 ÷ その期間の総労働時間
複数の形が混ざる部分ごとに上の方法で出して、合計する

歩合給の部分は、時間外労働の1.0倍分にあたる賃金がすでに払われているため、割増としては0.25倍(25%)分にあたる額を加えます(厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」)。月給制で月の所定労働時間が月によって違う会社は、年間の所定労働時間を12か月で割った月平均を使います。

割増の基礎に入れなくてよい7種類の賃金

労働基準法37条5項と施行規則21条は、次の7種類の賃金を割増の基礎に入れないと定めています。

基礎に入れなくてよい賃金補足
家族手当労働基準法37条5項で定められている
通勤手当労働基準法37条5項で定められている
別居手当施行規則21条で定められている
子女教育手当施行規則21条で定められている
住宅手当施行規則21条で定められている
臨時に支払われた賃金施行規則21条で定められている
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金施行規則21条で定められている

この7種類は、名前ではなく実質で判断されます。厚生労働省は、家族数に関係なく一律に支払う家族手当や、通勤距離に関係なく一律に支払う通勤手当は、名前が違っても割増の基礎に含めるものとして示しています(厚生労働省「割増賃金のチェック方法」)。住宅手当なども、住宅に関する費用と関係なく一律に払っている場合は、同じ考え方で確認します。

手当が入る月給の計算例

基本給25万円、職務手当2万円、住宅手当3万円(住宅に関する費用に応じて支給)、通勤手当1万円で、月平均所定労働時間が160時間の人を例にします。住宅手当と通勤手当は基礎に入れず、基本給と職務手当の27万円で計算します。1時間あたりの賃金は270,000円 ÷ 160時間で1,687.5円、端数を処理して1,688円です。1か月に45時間残業した場合の残業手当は、1,688円 × 1.25 × 45時間で94,950円になります。

手当の区分や割増率の設定を、人ごと・月ごとに手で当てはめていると、担当者の引き継ぎや見直しのときにずれが出やすくなります。割増率や端数のルールをあらかじめ設定して計算する方法もあります。

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割増率が重なるとき|深夜・法定休日・月60時間超の計算

時間外労働が深夜(22時から翌5時)に及ぶと割増率は合計50%以上、月60時間を超える時間外が深夜に及ぶと75%以上、法定休日の深夜は60%以上です。法定休日の労働に時間外の割増は加わりません。

重なったときの割増率の一覧

組み合わせ割増率1時間あたりの賃金にかける倍率
時間外労働(月60時間以内)25%以上1.25
時間外労働(月60時間以内)と深夜50%以上1.5
月60時間を超える時間外労働50%以上1.5
月60時間を超える時間外労働と深夜75%以上1.75
法定休日労働35%以上1.35
法定休日労働と深夜60%以上1.6

法定休日に働いた時間は、1日8時間を超えても、時間外の割増は別に必要ありません。一方で、法定休日の深夜の労働には、深夜の割増を別に加えます(厚生労働省「割増賃金のチェック方法」)。週休2日制で、法定休日ではない側の休日に出勤した場合は、その週の労働時間が週40時間を超えた分が時間外労働になります。どちらの休日が法定休日かは、就業規則で確認してください。

深夜の割増だけを取り出した計算や、時給別の深夜手当の早見表は、深夜手当とは?割増率25%と計算方法・時給別の早見表を解説で詳しく説明しています。

時給1,600円で見る4つの計算例

ケース内容計算式金額
1. 平日の残業18時から22時まで4時間残業(月60時間以内)1,600円 × 1.25 × 4時間8,000円
2. 残業が深夜に及ぶ22時から24時までの2時間(時間外と深夜が重なる)1,600円 × 1.5 × 2時間4,800円
3. 法定休日の労働法定休日に8時間働いた(深夜なし)1,600円 × 1.35 × 8時間17,280円
4. 月の時間外が70時間60時間までは25%、超えた10時間は50%1,600円 × 1.25 × 60時間 + 1,600円 × 1.5 × 10時間144,000円

ケース4は、中小企業にも2023年4月1日から月60時間超の50%以上が適用されているため、会社の規模にかかわらず同じ計算になります。

端数処理と1分単位の計算|切り捨てられる場面・切り捨てられない場面

残業時間は1日ごとに切り捨てず、1分単位で数えます。端数の処理は、1か月の合計時間と賃金額について、厚生労働省が示す方法に沿って行います。

1日ごとの切り捨ては認められない

厚生労働省は、1日ごとに端数を切り捨てる扱いは認められないと示しています(厚生労働省「割増賃金のチェック方法」)。打刻の記録は1分単位で残し、1日ごとに丸めずに集計します。

1か月の合計時間は30分で切り捨て・切り上げ

1か月の時間外労働・休日労働・深夜業それぞれの合計時間に1時間未満の端数が出たときは、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる扱いが認められています。たとえば、1か月の時間外労働が合計10時間20分なら10時間、10時間40分なら11時間として計算します。

賃金額は50銭で切り捨て・切り上げ

1時間あたりの賃金額と、割増賃金の額に円未満の端数が出たときは、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる扱いが認められています。前の章の月給25万円の例で、1,562.5円を1,563円にしたのは、この扱いによるものです。

これらの端数処理は、就業規則や賃金規程に書いておくと、担当者によって計算が変わることを防げます。給与計算ソフトでは、端数の処理を設定できる場合があります(freee人事労務のヘルプでは、端数を四捨五入か切り上げから選べると案内されています)。

働き方・制度別の注意点|法定内残業・固定残業代・管理監督者・変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制

自社の制度によって、残業手当が発生する時間の数え方や、割増の要否が変わります。次の6つのうち、自社に当てはまるものを確認します。

制度・働き方残業手当の考え方確認する先
法定内残業所定労働時間を超えても法定労働時間の内側なら、法律上の25%の割増は必要ない就業規則・雇用契約書
固定残業代固定の時間を超えた分は、別に払う。時間に満たなくても固定残業代は全額払う就業規則・雇用契約書・求人票
管理監督者時間外・休日の割増は対象外。深夜の割増は払う実態(役職名ではなく権限・待遇)
変形労働時間制定めた所定労働時間などを超えた分に、割増が必要になる場合がある就業規則・労使協定
フレックスタイム制清算期間の法定労働時間の総枠を超えた分が時間外労働労使協定・清算期間
裁量労働制みなし労働時間が法定を超える分と、深夜・休日の実労働に割増が必要労使協定・労使委員会の決議

法定内残業は、法律上の割増が必要ない

労働基準法37条が割増賃金を求めているのは、法定労働時間を超えて労働させた場合です。たとえば、所定労働時間が1日7時間の会社で1時間残業して8時間になっても、法定労働時間の8時間は超えていないため、この1時間には法律上の25%の割増は必要ありません。ただし、就業規則や雇用契約で法定内残業にも割増や通常の賃金を払うと決めている場合は、それに従って払います。freeeのヘルプでも、法定内残業は、時間外労働とは別の区分で率を設定する仕組みになっています。

固定残業代は、超えた分と、満たなかった分の扱いに注意する

固定残業代(みなし残業代)とは、一定の時間分の残業手当をあらかじめ定額で払う仕組みです。厚生労働省の資料では、固定残業代は、固定の時間数を就業規則などに定め、その時間を超えた分は追加で払うこと、実際の残業が決めた時間に満たなくても、固定残業代は全額払うことが説明されています(山梨労働局「残業手当」)。超過分の計算の手順と具体例は、固定残業代の計算方法とは?計算式・具体例と超過分の残業代の出し方で説明しています。

管理監督者でも、深夜の割増は払う

管理監督者には、労働時間・休憩・休日の規定が適用されないため、時間外と休日の割増賃金は対象外です。ただし、深夜業(22時から翌5時)の割増賃金は支払う必要があると、厚生労働省のリーフレットで説明されています(厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」)。管理監督者かどうかは、役職名ではなく、経営への関与の実態や待遇などで判断されます。「課長以上は残業手当なし」と一律に決めている場合は、管理監督者の要件を満たしているかを確認してください。

変形労働時間制は、定めた所定労働時間を超えた分に注意する

1か月単位や1年単位の変形労働時間制では、1週間の平均が40時間を超えない範囲で、特定の日や週に法定労働時間を超える所定労働時間を定められます。この範囲内なら、その日や週に8時間・40時間を超えても割増賃金は必要ありません。一方で、あらかじめ定めた所定労働時間などを超えて働かせた場合は、割増賃金を払う必要が生じる場合があります(大阪労働局「変形労働時間制と裁量労働制(労働時間の例外)」)。どの時間が割増の対象になるかの細かい判定は、労働基準監督署に確認してください。

フレックスタイム制は、清算期間の総枠で判断する

フレックスタイム制では、日や週ごとではなく、清算期間全体で時間外労働を判断します。清算期間の実労働時間のうち、清算期間の法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働です。清算期間を1か月とした場合の総枠は、31日の月で177.1時間、30日の月で171.4時間、29日の月で165.7時間、28日の月で160.0時間です。法定休日に働いた時間は、総労働時間や時間外労働とは別に扱い、35%以上の割増賃金を払います(厚生労働省「フレックスタイム制」)。

裁量労働制は、みなし時間と深夜・休日の実労働を分けて考える

専門業務型裁量労働制では、労使協定で定めたみなし労働時間が法定労働時間を超える場合、その超える部分に割増賃金が必要です。また、休日や深夜に働いた場合は、みなし労働時間ではなく、実際に働いた時間に応じて割増賃金を払います(厚生労働省「専門業務型裁量労働制」)。

ここまでの内容を、自社の運用と照らし合わせるチェックリストにしました。当てはまる項目が多いほど、毎月の計算に手間やミスのリスクがあります。

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残業手当の計算を毎月続ける方法|手計算・表計算ソフト・計算ツール・給与計算ソフト

残業手当の計算を正確に続けるには、打刻から時間外・深夜・休日の時間を区分し、重なる割増率まで給与計算に反映できる仕組みが有効です。人数や勤務の形に合わせて、手段を選びます。

手作業・表計算ソフトの限界

出勤簿やタイムカードの時間を見て手で計算する方法や、表計算ソフトに数式を組む方法は、人数が少なく、残業が少ない会社なら十分に運用できます。一方で、残業のある人が増える、変形労働時間制やシフトが複雑になる、深夜や休日と重なる日が毎月何パターンも出る、という状況になると、次の3か所でミスが出やすくなります。

  • 1時間あたりの賃金を、手当の入れ方の判定を含めて人ごとに出すときの、判定のぶれ
  • 時間外・深夜・法定休日が重なる日の、割増率の足し忘れ
  • 月60時間を超えた分を、50%に切り替える数え間違い

こうしたミスは、表計算ソフトの数式の更新漏れや、担当者の引き継ぎのタイミングで起きやすくなります。法改正で率が変わったとき(たとえば、中小企業の月60時間超の割増が2023年4月1日から50%以上になった変更)も、手計算や自作の表では、更新のたびに全体を確認する必要があります。

計算の方法の比較

方法向いている会社注意したい点
手書きの出勤簿・タイムカード人数が少なく、残業がまれな会社時間数の集計と割増率の判定は、すべて人の手で行う
表計算ソフト数式を管理できる担当者がいる会社数式の更新漏れや、担当者の引き継ぎでミスが出やすい
オンラインの残業代計算ツール1回だけ、1人分を手早く確かめたい人端数処理・手当の扱い・月60時間超・深夜の重なりなど、前提が自社のルールと合っているかを確認する。賃金情報を入力する場合は、取り扱いにも注意する
勤怠管理システム打刻から時間外・深夜・休日の時間を自動で区分したい会社給与計算と別のシステムだと、集計結果を給与計算に移す作業が残る
勤怠と連携する給与計算ソフト勤怠の集計から給与計算・明細発行までをつなげたい会社割増の設定範囲(時間外・60時間超・休日・深夜)や、固定残業代の扱いを事前に確認する

残業の管理から計算までを勤怠管理システムで行う方法は、勤怠管理システムによる残業管理とは?残業代の計算方法も解説でも説明しています。社会保険労務士に給与計算を委託する方法もありますが、委託する場合でも、勤怠の記録を正確に渡す必要があります。

この作業を毎月手でやっているなら、勤怠と給与をつなぐ選択肢がある

勤怠の集計と給与計算が別々だと、残業時間を転記する作業と、割増率を当てはめる作業が二重になります。勤怠の集計から給与計算までを同じ流れで回したい場合の一例が、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー給与」です。商品ページでは、給与や賞与明細・源泉徴収票などをインターネット上で確認でき、ペーパーレス化できること、社会保険や労働保険・年末調整など年次業務にも対応すること、シリーズ連携で人事情報から給与計算・各種社会保険の電子申請までジンジャーで完結することが紹介されています(jinjer「ジンジャー給与」)。注意点として、所得税や住民税率は手動で変更する必要があると商品ページに記載されています。また、残業手当の割増をどこまで設定できるかは、商品ページでは確認できませんでした。割増の設定の範囲は、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

jinjer株式会社

ジンジャー給与

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ジンジャー給与

低コストで導入したい中小企業向け

全体評価
3 (1件)
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GOOD

おすすめ!

  • 給与や賞与明細・源泉徴収票などインターネット上で確認できペーパーレス化に
  • 社会保険や労働保険・年末調整など年次業務にも対応
  • シリーズ連携で人事情報から給与計算・各種社会保険の電子申請までジンジャーで完結
  • 優れたUIで価格も安く気軽に導入しやすい
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気になる…

  • 所得税や住民税率は手動で変更する必要がある
評価・口コミ(一部抜粋)
3
  • ジンジャー給与を導入したことで、勤怠データの手入力ほぼ不要になり、業務負担が大幅に軽減されました。給与計算のミスも減り、確認作業の時間短縮にもつながっています。クラウド上で作業できるため、場所を問わず作業できる点もメリットです。

他システムとの比較記事はこちら

料金の機能の詳細や利用イメージは
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ジンジャーの導入事例では、西田工業株式会社が、勤怠集計から給与計算までにかかっていた時間が1/2に削減されたと紹介されています。残業手当に限った事例ではありませんが、勤怠と給与をつなぐ効果を考える材料になります。

「勤怠集計から給与計算までにかかっていた時間が1/2に削減。」

西田工業株式会社(ジンジャーの導入事例)

給与計算ソフトの資料で確認したい点

資料を取り寄せたときは、次の点を確認しておくと、自社の残業の働き方に合うかどうかを判断できます。

  • 法定内残業・時間外・月60時間超・法定休日・深夜の区分を、区分ごとに設定できるか
  • 時間外と深夜、法定休日と深夜が重なる日の割増率を、自動で足し合わせられるか
  • 割増の基礎に入れる手当・入れない手当を、手当ごとに設定できるか
  • 端数処理(1か月の合計時間・賃金額)を、自社の就業規則のルールに合わせられるか
  • 固定残業代の設定と、超過分の自動計算に対応しているか
  • 現在使っている勤怠システムと、データをつなげられるか

比較の前提として、本記事で取り上げた「freee人事労務」「ジンジャー給与」「ジンジャー人事労務」は、いずれも商品ページ(2026年10月21日確認)や公式の情報にもとづいた紹介です。実際の機能やプランの違いは、資料や公式サイトで必ず確認してください。

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未払いを防ぐために|時効3年・罰則・残業の上限と、労務手続きの整え方

残業手当の未払い分を請求できる期間は、当分の間は3年です。割増賃金を払わない場合は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になりえます。計算の誤りは、あとから遡って払う必要が生じます。

未払い分の請求できる期間は3年

労働基準法115条は、賃金の請求権の時効を5年としていますが、附則143条で、当分の間は賃金(退職手当を除く)の請求権の時効を3年とする経過措置が置かれています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。計算の誤りが見つかったときは、過去3年分にさかのぼって確認することになります。

割増賃金を払わないと罰則の対象になる

労働基準法37条に違反して割増賃金を払わなかった場合は、労働基準法119条により、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。故意でなく、計算ミスや就業規則の整備不足で払い漏れが生じた場合でも、未払い分は払う必要があります。

残業の上限は36協定で決まる

残業手当の計算とは別に、残業時間そのものには上限があります。36協定の有無・時間の上限・特別条項については、36協定の残業時間の上限は?月45時間・年360時間と特別条項を解説で説明しています。上限を守る管理と、手当を正しく払う管理は、同じ勤怠の記録をもとに行います。

よくある計算ミス7つ

  • 名前が家族手当・通勤手当・住宅手当だからと、一律に払っている手当まで基礎から外している
  • 残業時間を1日ごとに切り捨てている(1分単位で数える)
  • 法定休日の労働に、時間外の25%を加えている(法定休日に時間外の割増は加わらない)
  • 法定休日の深夜に、深夜の25%を加えていない
  • 中小企業でも、月60時間を超えた時間外労働は50%以上になることを反映していない(2023年4月1日から)
  • 管理監督者に、深夜の割増を払っていない
  • 固定残業代の時間を超えた分を、追加で払っていない

労務手続きの情報を整えておくと、計算のもとがそろう

残業手当の計算のもとになるのは、従業員ごとの所定労働時間や賃金の登録情報です。入社時の手続きで集めた情報や帳票が手作業のままだと、登録の漏れや更新の遅れが、あとで残業手当の計算のずれとして表れることがあります。入退社の手続きの帳票作成と電子申請を同じ流れで進めたい場合の一例が、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー人事労務」です。商品ページでは、「各種帳票」が自動で作成でき、大幅に時間削減できること、情報収集から電子申請までの作業を一気通貫で行えるため出社や役所へ行く手間もかからないこと、「一括申請形式」を採用しているため複数人の入退社でも対応しやすいことが紹介されています。注意点として、労務管理が中心で、プラスアルファの機能を望む場合は他サービスの申し込みが必要と、商品ページに記載されています。残業手当の計算機能は商品ページに記載がないため、割増の計算は給与計算ソフトの資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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ジンジャー人事労務

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ジンジャーシリーズ連携◎スマホでも操作したい方におすすめ

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  • 「各種帳票」が自動で作成でき、大幅に時間削減できる
  • 情報収集から電子申請までの作業を一気通貫で行え、出社や役所へ行く手間もかからない
  • 「一括申請形式」を採用しているため、複数人の入退社でもらくらく
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  • 「労務管理メイン」で行いたい場合は便利だが、+αの機能を望む場合は他サービスの申し込みが必要
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よくある質問(FAQ)

Q1. 基本給25万円の残業代はいくらですか?

A. 月平均所定労働時間が160時間で、手当がない場合、1時間あたりの賃金は約1,563円です。月60時間以内の時間外労働で10時間残業すると、1,563円に1.25をかけて10時間分を出し、19,538円になります。通勤手当や住宅手当など基礎に入れない手当があるか、月平均所定労働時間が何時間かで金額は変わります。

Q2. 時給1,200円の残業代はいくらですか?

A. 時給1,200円の人が月60時間以内の時間外労働をした場合、1時間あたり、1,200円に1.25をかけた1,500円です。10時間残業すると15,000円になります。深夜(22時から翌5時)に及ぶ時間は1.5倍の1,800円、月60時間を超えた時間も1.5倍です。

Q3. 時給1,500円の残業手当はいくらですか?

A. 時給1,500円の人が月60時間以内の時間外労働をした場合、1時間あたり、1,500円に1.25をかけた1,875円です。10時間残業すると18,750円、20時間なら37,500円になります。法定休日の労働は1.35倍で、1時間あたり2,025円です。

Q4. 残業10時間の手当はいくらですか?

A. 金額は、1時間あたりの賃金によって決まります。月60時間以内の時間外労働なら、時給1,000円で12,500円、時給1,200円で15,000円、時給1,500円で18,750円、時給2,000円で25,000円です。月給制の人は、手当を含めた月給を月平均所定労働時間で割った金額を、時給として当てはめます。

Q5. 所定労働時間を超えたら、すべて25%の割増になりますか?

A. いいえ。法律で25%以上の割増が必要になるのは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間です。所定労働時間が7時間の会社で、8時間までの1時間は法定内残業にあたり、法律上の割増は必要ありません。ただし、就業規則などで法定内残業にも割増を払うと決めている場合は、それに従います。

Q6. 管理職には残業手当を払わなくてよいですか?

A. 労働基準法上の管理監督者であれば、時間外と休日の割増賃金は必要ありません。ただし、深夜(22時から翌5時)の割増賃金は払う必要があります。管理監督者かどうかは、役職名ではなく、経営への関与の実態や待遇などで判断されるため、「管理職だから」という理由だけで払わないことは避け、実態を確認します。

まとめ|残業手当の計算で押さえたい6つのこと

残業手当は、法定労働時間を超えた時間に払う、法律で決まった割増賃金です。次の6つを順に確認すると、計算の抜けや払い漏れを防げます。

  1. 計算式は「1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間」。割増の対象は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間
  2. 割増率は、時間外25%以上、月60時間超50%以上、法定休日35%以上、深夜25%以上。深夜と重なる場合は率を足し、法定休日に時間外の割増は加えない
  3. 月給制の1時間あたりの賃金は、手当を含めた月給を月平均所定労働時間で割る。家族手当・通勤手当などの7種類は、名前でなく実質で判断して基礎から外す
  4. 端数は、1日ごとに切り捨てず、1か月の合計時間は30分で、賃金額は50銭で処理する。ルールは就業規則に書いておく
  5. 法定内残業・固定残業代・管理監督者・変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制のうち、自社に当てはまる制度の扱いを確認する。未払い分の請求できる期間は当分の間3年
  6. 手作業の算出や転記に負担があるなら、勤怠と連携する給与計算ソフトの資料を取り寄せ、割増の設定範囲を比べて検討する

制度の内容は法改正で変わることがあるため、実際の運用では厚生労働省の最新の資料も確認してください。

参考文献

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