実行予算とは?建設業の内訳・作り方・見積との違いと計算例
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- 実行予算は受注後に作る原価の計画
- 見積・基本予算との違いと内訳を整理
- 7ステップの作り方と計算例を確認
実行予算とは、受注した工事を進めるために、工事ごとの材料費・労務費・外注費・経費などを具体的に見積もり、目標とする利益を確保するために社内で作る原価の計画です。発注者に出す見積書が「いくらで請け負うか」を示す対外的な書類であるのに対し、実行予算は「この工事にいくらまで使えるか」を決める社内の基準で、着工前に作り、工事中は実際にかかった原価と突き合わせて使います。この記事では、実行予算の意味と目的、見積・積算・基本予算との違い、内訳、作り方の手順、計算例、失敗しやすい点、表計算とシステムの使い分けまでを、公的な資料と建設業法の条文を確認しながら整理します。
実行予算と実績の突き合わせ、いまどこで時間がかかっていますか?(2問)
Q1. 予算と実績の突き合わせは、いま主にどこで行っていますか?
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実行予算とは?受注後に工事ごとの原価と利益を決める社内の予算
実行予算とは、受注が決まった工事について、材料費・労務費・外注費・経費などを項目ごとに見積もり、利益を確保できる原価の上限を決めた社内用の予算のことです。
工事ごとに作り、その内容をまとめた書類を実行予算書と呼びます。実行予算書の書式に、全社共通の決まった形はありません。会社ごとに、表計算ソフトや工事管理システムなど使いやすい形で作られています。受注金額から実行予算の合計を引いた差が、その工事で見込める粗利の目安になります。
実行予算を作る3つの目的
実行予算を作る目的は、大きく3つあります。
- 工事ごとの採算の基準を持つ: 材料費・労務費・外注費などの項目別に、使える金額を着工前に決めます。受注金額に対して原価が収まるか、赤字になりそうかを、工事が始まる前に把握できます。
- 実績との差異に早く気づく: 工事中に実際にかかった原価を実行予算と比べることで、予算を超えそうな項目を早めに見つけ、発注先との交渉や工程の見直しにつなげられます。
- 次の見積の精度を上げる: 工事が終わったあとに、見積・実行予算・実際の原価を見比べると、どの項目でずれが出やすいかが分かります。現場責任者の原価意識を高め、次の見積に反映する材料にもなります。
誰が、いつ作るのか
一般には、受注が決まったあと、着工前までに、現場代理人や工事責任者が中心となって作ります。見積・積算の内訳をもとに、購買(発注)・経理・営業などの関係部署と内容を確認し、決裁を得てから、工事の管理基準として使い始める流れが多く見られます。ただし、作成者や承認の流れ、提出の期限は会社の規程や工事の規模によって異なります。
実行予算を作ったあとに起きやすいこと
実行予算は、作っただけでは役に立ちません。工事が進むほど、外注先からの請求、追加で買った材料、作業員の労務時間が積み上がり、それらを実行予算の項目ごとに集計して比べ続ける必要があります。工事が1件か2件なら表計算でも追えますが、同時に進む案件が増えると、案件ごとの予算と実績を一か所にまとめる作業が重くなります。この「案件ごとの予算と実績をまとめて見る」段階で、選択肢の一例になるのが、株式会社ビーブレイクシステムズが提供するERPのMA-EYESです。
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実行予算と見積・積算・基本予算の違い
実行予算は受注後に社内で原価を管理する予算、見積は受注前に発注者へ示す金額、積算は見積の根拠となる原価の積み上げ、基本予算は会社全体の1年間の予算です。
似た言葉が多いため、まず違いを表で整理します。
| 項目 | 作る時期 | 主な目的 | 主に見る人 | 単位 |
|---|---|---|---|---|
| 積算 | 受注前 | 工事の原価を数量と単価で積み上げ、見積の根拠にする | 積算・見積の担当者 | 工事ごと |
| 見積 | 受注前 | 発注者に請負金額と内訳を示す(原価に経費と利益を加える) | 発注者・営業 | 工事ごと |
| 実行予算 | 受注後・着工前 | 工事ごとの原価の上限を決め、利益を確保する | 現場責任者・購買・経理 | 工事ごと |
| 基本予算 | 期の初め | 会社全体の売上・費用の目標を決める | 経営層・経理 | 会社全体の1年間 |
| 実際原価(実績) | 工事中・工事後 | 実際にかかった原価を集計し、実行予算と比べる | 現場責任者・経理 | 工事ごと |
作る順番は「積算、見積、受注、実行予算」
工事を受注するまでの流れは、まず積算で工事にかかる原価を積み上げ、そこに会社の経費と利益を加えて見積金額を決め、発注者に提示します。受注が決まったら、見積の内訳を、実際に発注する外注先、施工方法、工期、資材の価格に合わせて組み替え、現場の原価の計画として作り直したものが実行予算です。このため、見積の精度が低いと実行予算の精度も下がります。見積金額から実行予算の合計を引いた差が、工事の粗利の見込みになります。
予算と実行予算は何が違うのか
「予算」は、会社や部門が期の初めに、売上や費用の目標を数字で決める計画を指すのが一般的です。会社全体の1年間の計画は、建設業では基本予算と呼ばれることがあります。これに対して実行予算は、個別の工事ごとの予算です。基本予算が「会社としての年間の目標」、実行予算が「その目標を、個々の工事でどう達成するか」を表す関係にあります。会社全体の予算管理の考え方は、予算管理と予実管理の違いで整理しています。
実施予算・執行予算との関係
実行予算は、会社によって「実施予算」と呼ばれることがあります。呼び方の違いにとどまる場合が多く、社内でどちらの語を使っているか、どの時点の予算を指すかは、会社の規程や工事管理のルールで確認してください。一方、「執行予算」は、官公庁などで、成立した予算を実際に使う段階の予算を指す言い方として使われることがあります。建設会社が工事ごとに作る原価の計画としての実行予算とは、使われる場面が異なります。
実行予算の内訳|費目と国土交通省の積算体系との対応
実行予算の内訳は、材料費・労務費・外注費・機械経費・現場経費など、工事の原価を費目別に分けたものです。
実行予算でよく使う5つの費目
費目の分け方は会社によって異なりますが、次の5つに分ける形が多く見られます。
| 費目 | 中身 | 見積もるときのポイント |
|---|---|---|
| 材料費 | コンクリート、鋼材、仕上げ材など、工事に使う材料の費用 | 数量と単価で積み上げる。仕様や品質による単価の違いも確認する |
| 労務費 | 自社の作業員の人件費 | 人数・日数・単価で計算する。夜間や休日の割増も反映する |
| 外注費 | 電気・配管・塗装など、専門工事業者に出す費用 | 外注先の見積をもとにする。複数の外注先を比べる会社が多い |
| 機械経費 | 重機やクレーンなどのレンタル・リース・燃料の費用 | 使用期間と単価で計算する。回送費や運転する人の費用が別かどうかも確認する |
| 現場経費 | 現場事務所、仮設、安全対策、通信、交通、現場監督の人件費など | 工事ごとにかかる共通の費用。会社によっては管理費として別の費目にする |
項目を細かく分けるほど、あとで実績と比べたときに原因を特定しやすくなります。一方で、項目を増やしすぎると入力と集計の手間が増えるため、工事の規模と管理に使える時間に合わせて、粒度を決めることが大切です。
国土交通省の積算体系との対応
公共工事では、発注者である国土交通省が、工事費の構成を決めて積算します。国土交通省の「土木工事工事費積算要領及び基準」によると、請負工事費は工事価格と消費税等相当額で構成され、工事価格は工事原価と一般管理費等で構成されます。工事原価は、直接工事費・共通仮設費・現場管理費の合計です。直接工事費は材料費・労務費・直接経費の3要素で積算し、直接経費には機械経費などが含まれます。一般管理費等は、工事を施工する企業の継続運営に必要な費用で、一般管理費の各費目と付加利益が含まれます。
この体系と、実行予算の費目を対応させると、次のようになります。
| 実行予算の費目 | 国土交通省の積算体系 | 補足 |
|---|---|---|
| 材料費・労務費 | 直接工事費(材料費・労務費) | 工種ごとに積み上げる |
| 機械経費 | 直接工事費(直接経費に含まれる) | 直接経費には機械経費などが含まれる |
| 外注費 | 工種ごとの積算金額に相当 | 実行予算では、外注先ごとの契約金額で管理する会社が多い |
| 現場経費 | 共通仮設費・現場管理費 | 共通仮設費は工事目的物の施工に間接的にかかる費用、現場管理費は工事を管理するために必要な共通仮設費以外の経費 |
| 本社の経費と利益(多くは実行予算の対象外) | 一般管理費等 | 企業の継続運営に必要な費用と付加利益。実行予算に含めるかは会社のルールによる |
この積算要領は、国土交通省が直轄の土木工事で使う基準であり、民間工事や会社ごとの実行予算の書式を定めるものではありません。ただし、公共工事を受注する会社が、発注者の積算の考え方と自社の実行予算を見比べると、どこまでが現場の原価で、どこに本社の経費と利益が含まれているかを読み取りやすくなります。一般管理費等を実行予算の対象に含めるかどうかは、会社の社内ルールによって異なります。
実行予算の種類
実行予算の種類に、公的に決まった分類はありません。解説や会社の実務では、次のような単位や時点で分けて呼ばれることがあります。
- 工事全体の実行予算と、工種別・工程別の実行予算: 工事全体の原価の上限を決める形と、工種や工程ごとに分けて管理する形があります。同時に進む工種が多い工事では、工程ごとにまとめて管理する会社もあります。
- 当初の実行予算と、変更後の実行予算: 着工前に作った当初の予算と、追加工事や設計変更で請負金額や内容が変わったときに見直した予算を区別して持つ形です。
実行予算書の作り方|7ステップと計算例
実行予算書は、見積の内訳を集め、費目ごとに実際の発注条件で原価を見積もり、関係部署で確認・決裁して確定する7つのステップで作ります。
7つのステップ
- 作成者を決める: 現場代理人や工事責任者など、原価を把握できる人を決めます。責任の所在をはっきりさせておくと、あとで差異が出たときの対応が早くなります。
- 必要な資料を集める: 見積書とその内訳、図面、仕様書、契約書(請負金額・工期・支払条件)、過去の類似工事の実行予算や実績を集めます。
- 工種ごとの数量・工期・施工順序を確認する: 見積の数量や単価が、実際の施工方法や工程に合っているかを見直します。
- 費目ごとに原価を見積もる: 材料費は数量と単価、労務費は人数と日数と単価、外注費は外注先からの見積、機械経費は使用期間と単価で積み上げます。外注費は、複数の外注先から見積を取って比べる会社が多くあります。
- 現場経費を計上する: 現場事務所、仮設、安全対策、通信、交通、現場監督の人件費など、工事に共通してかかる費用を積み上げます。
- 予備費の考え方を決める: 天候による工期の遅れ、地盤の状況による追加の作業、資材価格の変動など、見込みにくい費用に備えて、予備を持つかどうか、持つなら金額をどうするかを決めます。
- 利益を確認し、関係部署と調整して決裁を得る: 受注金額から原価の合計を引いた粗利が、会社の目標に合っているかを確認します。購買・経理・営業と調整し、決裁を得たうえで、関係者に共有します。
作成は、客観的な根拠(見積書、外注先の見積、単価表)に基づいて行い、利益の目標に合わせて数字を後から動かさないことが大切です。
計算例|請負金額5,000万円の工事
実行予算のイメージをつかむために、説明用の仮の数字で計算してみます。実在の工事のデータではありません。請負金額(税抜)を5,000万円とし、実行予算を次のように組んだとします。
| 費目 | 金額(万円) | 内容の例 |
|---|---|---|
| 材料費 | 1,200 | 数量と単価で積み上げた材料の費用 |
| 労務費 | 800 | 自社の作業員の人数・日数・単価 |
| 外注費 | 1,700 | 専門工事業者の見積をもとにした金額 |
| 機械経費 | 150 | 重機のレンタル・燃料 |
| 現場経費 | 250 | 仮設・安全対策・通信・現場監督の人件費 |
| 実行予算の合計(原価) | 4,100 | |
| 請負金額(税抜) | 5,000 | 受注した金額 |
| 粗利の見込み | 900(粗利率18.0%) | 請負金額から原価の合計を引いた額 |
受注金額5,000万円から原価4,100万円を引いた粗利は900万円で、粗利率は18.0%(900万円÷5,000万円)です。この900万円が、会社の一般管理費等や付加利益の原資になります。実行予算を立てた時点で、この粗利が会社の目標に届いているかを確認し、足りない場合は外注先との交渉や施工方法の見直しを、着工前に検討します。
表計算で作るときの列の例
表計算ソフトで作る場合は、1行を1つの工種や費目にして、次のような列を用意すると、金額の集計と実績との比較がしやすくなります。
| 列 | 入れる内容 |
|---|---|
| 工種・費目 | 例: 土工、鉄筋、型枠、材料費、外注費 |
| 数量・単位・単価 | 見積や外注先の見積から入れる |
| 金額 | 数量と単価をかけた式にする |
| 外注先・仕入先 | 発注先ごとの金額を追えるようにする |
| 発注金額・支払金額 | 追加変更でのずれを見つけるため、別の列にする |
| 現時点の見込み・差異 | 実績と、完成までの見込みを入れて、予算との差を出す |
| 備考 | 追加変更の内容や、差が出た原因を書く |
金額の列は、数量と単価をかけ合わせる式にし、費目ごとの小計と全体の合計を別の行にまとめます。実績を比べる列は、あとから足すより、最初から同じ表に用意しておくと、更新を忘れにくくなります。
実行予算で失敗しやすい5つのこと|建設業法との関係も
実行予算の失敗は、作成が遅れる、利益に合わせて数字を作る、発注と支払のずれを追わない、追加変更を反映しない、受注時の金額が厳しすぎる、の5つに集まりやすい傾向があります。
1. 作成が着工後や工事の終盤にずれ込む
実行予算を受注直後に作らず、現場の終了間際や終了後に作る、あるいは作らない会社もあります。これでは、着工前に外注先や仕入れ先と厳しく価格を交渉する機会を逃し、原価が高いまま工事が進みます。着工前に作ることを社内のルールにして、作成の期限を決めておくことが対策になります。
2. 利益に合わせて数字を作ってしまう
見積から計算すると赤字になる工事で、経営側から作り直しを求められ、実態と異なる黒字の実行予算ができあがることがあります。この場合、工事が進むと原価が予算を超え、結果として赤字になります。数字を動かすのではなく、赤字になる原因(受注金額、外注費、工期)を特定し、どこを見直せば利益を確保できるかを検討することが重要です。
3. 発注金額と支払金額のずれを追わない
実行予算には、外注先に発注した時点の金額が入ります。しかし、追加工事や数量の変更があると、実際の支払金額が発注金額から離れていきます。追加変更の内容を記録し、発注金額と支払金額の両方を管理することで、予算とのずれを早く見つけられます。
4. 追加変更を請負金額と実行予算の両方に反映しない
設計変更や追加工事で原価が増えても、請負金額の変更や実行予算の見直しが遅れると、粗利の見込みが実態と合わなくなります。請負金額の側では、建設業法第19条第2項が、請負契約の内容のうち同条第1項に掲げる事項(工事内容、請負代金の額、工期など)を変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することを定めています(2026年10月21日時点のe-Gov法令検索で確認)。変更が決まったら、請負金額と実行予算を同時に見直す運用にすると、ずれを防げます。
5. 受注時の金額が厳しすぎる
工事部門で実行予算を作ったときに、すでに受注金額が厳しく、どう組んでも利益が出ない場合があります。原因は工事部門だけでなく、営業が受注金額を決める段階の見積の精度や、営業から工事への引き継ぎ、外注先への発注の方法など、全社のルールにある場合もあります。実行予算の結果を営業にも共有し、次の見積に反映する仕組みを持つことが大切です。
建設業法で確認しておきたい2つの条文
実行予算は、「この工事の原価はいくらか」を数字で説明できるようにする社内の資料です。この考え方は、建設業法の次の条文とも関わります。ここでは条文の内容を紹介するだけで、個別の契約や取引が法令に適合するかどうかは判断しません。
- 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止): 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない、と定めています。第2項は、建設業者も、国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない、と定めています。
- 第20条(建設工事の見積り等): 建設業者は、請負契約を締結するに際し、工事の種別ごとの材料費、労務費、労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるものなどの内訳と、工程ごとの作業と準備に必要な日数を記載した見積書(材料費等記載見積書)を作成するよう努めなければならない、と定めています。また、その材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはならない、とされています。
いずれの条文も、「通常必要と認められる原価」を基準にしています。自社の工事の原価を実行予算で費目別に把握しておくと、受注前の金額の確認や、見積の内訳を説明する場面で役立ちます。以上は、条文の内容を一般的に紹介するもので、法的な助言ではありません。個別の取引については、国土交通省の資料や、弁護士などの専門家にご確認ください。
自社の実行予算の運用をチェックする
次のセルフチェックで、いまの実行予算の運用に、手作業の負担が出ていないかを確認してみてください。
実行予算の運用、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
実行予算と実績の差異を見る|比べ方と見直しのタイミング
実行予算の差異分析とは、費目ごとに予算と実績(または完成までの見込み)を比べ、差が出た原因を特定して、次の発注や工程の見直しに反映する作業です。
比べる頻度と比べ方
差異は、月次の締めに合わせて見るのが基本です。大きな外注の請求や、追加工事が発生した時点で、都度見直す会社もあります。比べるときは、費目ごとに、実行予算、現時点の実績(または完成までの見込み)、差異の金額と率を並べます。先ほどの計算例で、工事の途中に、材料費と外注費が予算を超えそうだと分かったとします。
| 費目 | 実行予算(万円) | 現時点の見込み(万円) | 差異(万円) | 差異率 |
|---|---|---|---|---|
| 材料費 | 1,200 | 1,260 | +60 | +5.0% |
| 労務費 | 800 | 800 | 0 | 0.0% |
| 外注費 | 1,700 | 1,850 | +150 | +8.8% |
| 機械経費 | 150 | 150 | 0 | 0.0% |
| 現場経費 | 250 | 250 | 0 | 0.0% |
| 原価の合計 | 4,100 | 4,310 | +210 | +5.1% |
| 粗利の見込み | 900(18.0%) | 690(13.8%) | -210 |
材料費で60万円、外注費で150万円、合計で210万円の超過見込みになり、粗利は900万円から690万円に下がり、粗利率は18.0%から13.8%(690万円÷5,000万円)に低下する見込みです。外注費の増えた分が、追加の作業によるものなら、請負金額の変更で回収できるか(請負金額が上がれば、粗利の見込みも変わります)を、早めに確認する必要があります。
差の原因を4つに分けて考える
差が出たときは、原因を次の4つに分けると、対応を決めやすくなります。
- 数量の差: 見積時の数量と、実際に使った量が違う。
- 単価の差: 資材価格の変動や、外注先との価格交渉の結果が、予算と違う。
- 追加変更: 設計変更や追加工事で、作業が増えた。請負金額の変更とセットで見る。
- 工程の遅れ: 工期が延び、人件費や仮設、機械のレンタルなどの費用が増えた。
予算と実績を比べる考え方は、会社全体の予算管理にも共通します。予実管理とは|目的・必要性・効率的な予実管理の方法を解説では、計画と実績のずれを数値で把握し、改善策につなげる考え方を説明しています。実行予算は、これを工事単位で行うものです。また、実際にかかった原価の集計の仕組みは、原価計算とは|原価計算の種類や計算方法を分かりやすく解説が参考になります。
外注費・労務費を案件に紐づけて見たいとき
差異分析の手間が大きくなるのは、外注費や労務費を、案件ごとに紐づけて集計する部分です。外注先からの請求書を案件と費目ごとに振り分け、作業員の労務時間を工事別に集計し、予算の表に反映する作業を、案件の数だけ毎月繰り返すことになります。この集計を、仕組みで支える選択肢の一例が、株式会社オロが提供するクラウドERPのZACです。
商品ページでは、ZACはプロジェクト型ビジネス向けに最適化された業種特化のクラウドERPと紹介されています。プロジェクト・案件・売上明細の3階層で売上を管理し、個別原価計算の自動化ができること、購買管理で売上の項目に仕入や外注を紐づけて登録できること、工数管理で、案件ごとの作業時間を集計できることが挙げられています。注意したい点として、商品ページには、詳しい料金やプランの確認には問い合わせが必要と記載されています。また、IT・広告・クリエイティブ・コンサルティング業などを想定した製品で、建設工事の工事台帳や出来高の管理に特化したものではないため、建設工事への対応範囲は資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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労務時間データと、それを金額換算するために必要な会計データがバラバラに管理されているため、集計作業が非常に大変でした。
株式会社カヤックのZAC Enterprise導入事例(代表取締役CEOの発言。導入前の課題として掲載。効果や状況は各社の条件によって異なります) 出典:ZAC導入事例 株式会社カヤック(株式会社オロ)
表計算かシステムか|実行予算の管理方法の選び方
実行予算の管理方法は、同時に進む工事の数と、集計にかかる時間で、表計算で足りるか、システムに移すかを判断できます。
判断の目安
次の表は、状況ごとに、表計算で足りるかどうかの目安をまとめたものです。当てはまる行が多いほど、システムの検討が必要な段階に近づきます。
| 状況 | 表計算で足りる目安 | システムを検討する目安 |
|---|---|---|
| 同時に進む工事の数 | 数件で、1人が全体を把握できる | 件数が増え、案件ごとのファイルを横断して見られない |
| 実績の集計 | 月に一度、短い時間で入力できる | 外注費・労務費・材料費の集計に、毎月かなりの時間がかかる |
| 比べる頻度 | 月次で、予算と実績を比べられている | 集計が遅れ、予算と実績の比較が月に一度もできない月がある |
| 担当者 | 担当者が1人から2人で、引き継ぎが少ない | 担当者が増え、ファイルの版が分かれる、更新漏れが出る |
| 会計との突き合わせ | 会計の数字と工事別の原価がおおむね一致する | 月末の会計との突き合わせに手間がかかる |
表計算で管理する場合は、ファイルが分散して更新漏れが起きやすい点に注意が必要です。複数人で同じファイルを編集する場合は、保存場所とバージョンのルールを決めておく必要があります。システムに移すと、現場と事務所で同じ数字を見られるようになる一方で、導入の費用と、運用ルールの見直しが必要になります。製品によって管理できる範囲が異なるため、導入前に資料で確認してください。
会計と予算・原価をつなげたいとき
実行予算と実績を比べるには、実績の元になる会計や請求のデータが必要です。会計のデータと、案件の予算・原価のデータが別々に管理されていると、月末に突き合わせる手間が増えます。会計を中心に、バックオフィス全体をつなげる選択肢の一例が、株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウドERPです。
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気になる…
- 会計や人事メインであれば使いやすいが、その他の機能をメインで扱いたい場合には連携や他サービスを併用する必要がある
3つのサービスの役割の違い
ここまで紹介した3つのサービスを、商品ページで確認した内容(2026年10月21日時点)で比べます。順位や優劣を示すものではなく、役割の違いを整理した表です。
| サービス | MA-EYES | ZAC | マネーフォワード クラウドERP |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ビーブレイクシステムズ | 株式会社オロ | 株式会社マネーフォワード |
| 商品ページでの位置づけ | プロジェクト単位の収支管理に特化したセミオーダー型のクラウドERP | プロジェクト型ビジネス向けに最適化された業種特化のクラウドERP | 会計から人事労務までのバックオフィス全体を連携できるクラウド型ERP |
| 向いている会社の例 | 案件(プロジェクト)ごとの売上・原価・予算実績対比を見たい会社 | 案件ごとの原価(外注・工数)を売上に紐づけて損益を見たい会社 | 会計を中心に、バックオフィスをつなげたい会社 |
| 特徴(商品ページの記載) | 導入形式を3種類から選べる。プロジェクトごとの予実管理ができる | 3階層の売上管理と個別原価計算の自動化。購買管理で外注を紐づけられる | 必要な基幹システムを組み合わせて導入でき、銀行や他社システムと連携できる |
| 注意したい点(商品ページの記載) | 導入形式によって一部使えない機能がある | 詳しい料金やプランの確認には問い合わせが必要 | 会計や人事以外の機能をメインにする場合は、連携や他サービスの併用が必要 |
| 詳細 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
3つとも、建設工事の工事台帳や出来高の管理に特化した製品ではないため、現場の施工管理が中心の場合は、建設業向けの原価管理や施工管理のシステムとあわせて、資料で対応範囲を比べるとよいでしょう。そのうえで、案件別の予算と原価、会計、請求などを一つの仕組みでつなげたい場合に、ERPの資料を取り寄せて比べる方法があります。
実行予算の予実を表計算で追うのが重くなってきたと感じたら、会計と予算・原価をつなげる視点で、資料で比べてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 予算と実行予算の違いは何ですか?
A. 予算は、会社や部門が期の初めに立てる売上や費用の計画で、会社全体の1年間の予算は基本予算と呼ばれることがあります。実行予算は、受注した個別の工事ごとに作る原価の予算です。基本予算が年間の目標、実行予算がその目標を個々の工事でどう達成するかを表します。
Q2. 実行予算書の作り方を教えてください。
A. 実行予算書は、(1)作成者を決める、(2)見積・図面・契約書などを集める、(3)工種ごとの数量・工期・施工順序を確認する、(4)費目ごとに原価を見積もる、(5)現場経費を計上する、(6)予備費の考え方を決める、(7)利益を確認し、関係部署と調整して決裁を得る、の7ステップで作ります。書式に全社共通の決まりはなく、表計算ソフトやシステムで会社ごとに作られています。
Q3. 実行予算にはどんな種類がありますか?
A. 実行予算の種類に、公的に決まった分類はありません。実務では、工事全体の実行予算と、工種別・工程別の実行予算、着工前に作る当初の実行予算と、追加工事や設計変更の後に見直した変更後の実行予算、といった単位や時点で分けて呼ばれることがあります。会社の規程に合わせて決めてください。
Q4. 「執行予算」とは何ですか?実行予算と同じですか?
A. 執行予算は、官公庁などで、成立した予算を実際に使う段階の予算を指す言い方として使われることがあります。建設会社が受注した工事ごとに作る原価の計画としての実行予算とは、使われる場面が異なります。会社によっては、実行予算を「実施予算」と呼ぶこともあるため、社内の規程で用語の定義を確認してください。
Q5. 実行予算と見積書の違いは何ですか?
A. 見積書は、受注前に発注者へ示す金額と内訳を記した、対外的な書類です。実行予算書は、受注後に社内で作る、工事ごとの原価の計画です。見積は積算で原価を積み上げて経費と利益を加えて作り、実行予算は、その内訳を実際の発注条件に合わせて組み替えて作ります。見積金額と実行予算の差が、粗利の見込みになります。
Q6. 実行予算は表計算ソフトで作れますか?
A. 作れます。工種や費目を行に、数量・単価・金額・外注先・実績を列にして、金額を数量と単価の式で計算する形が基本です。ただし、同時に進む案件が増えると、ファイルの分散や更新漏れ、外注費や労務費の集計の手間が大きくなります。その段階になったら、ERPなどのシステムの資料を取り寄せて、対応範囲を比べる方法があります。
まとめ|実行予算を使いこなすための5つのこと
- 実行予算は、受注後に工事ごとの原価と利益を決める社内の予算で、見積・積算・基本予算とは役割と作る時期が異なる。
- 費目別(材料費・労務費・外注費・機械経費・現場経費)に作り、着工前に関係部署の確認と決裁まで終える。
- 工事中は月次などで実績と比べ、差を数量・単価・追加変更・工程の遅れに分けて、見直しにつなげる。
- 作成の遅れ、数字合わせ、発注と支払のずれ、追加変更の反映漏れ、受注時の厳しい金額に注意し、建設業法の原価の考え方も確認しておく。
- 案件が増えて予算と実績の集計が手作業で追いつかなくなったら、ERPなどの資料を取り寄せ、対応範囲を比べて検討する。
参考文献
- 建設業法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省「土木工事工事費積算要領及び基準の運用」の改定について(国官技第455号、令和8年2月27日)
- MA-EYES(お名前.comビジネスコンシェルジュ 商品ページ)
- ZAC(お名前.comビジネスコンシェルジュ 商品ページ)
- マネーフォワード クラウドERP(お名前.comビジネスコンシェルジュ 商品ページ)
- ERP導入事例 ドワンゴ様(株式会社ビーブレイクシステムズ)
- ZAC導入事例 株式会社カヤック(株式会社オロ)
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