業務委託の社会保険|加入できる保険・手続き・扶養の条件を整理

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  • 会社の社会保険に原則入れない理由がわかる
  • 手続きの期限と保険料の決まり方がわかる
  • 扶養の条件と実態が雇用に近い場合がわかる

業務委託で働く人は、会社の健康保険と厚生年金には原則として加入できません。自分で国民健康保険と国民年金に加入し、保険料も全額を自分で納めます。雇用保険と労災保険も、雇用される労働者のための制度なので原則として対象外です。ただし、契約書の名前が業務委託でも、働き方の実態が雇用に近いと判断される場合は、会社の社会保険に加入する必要が出てきます。本記事では、加入できる保険とできない保険、手続きの期限、保険料の決まり方、扶養に入れる収入の条件、労災の特別加入や年金の上乗せなどの備えを、日本年金機構や厚生労働省などの公的な資料に沿って整理します。あわせて、仕事を依頼する会社が、従業員と業務委託の手続きを取り違えないための考え方も解説します。

会社の人事・労務ご担当の方へ。入退社の届出と契約形態の管理、どこから見直す?2問で診断

Q1. 入社・退職の社会保険の届出書類は、いまどのように作っていますか?

目次

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  1. 業務委託は社会保険に入れる?加入できる保険の早見表
  2. 業務委託の加入手続き|国民健康保険・国民年金・任意継続の期限と窓口
  3. 業務委託の社会保険料はいくら?決まり方と会社員との比較
  4. 業務委託でも扶養に入れる?130万円の基準と2026年4月の変更点
  5. 業務委託のデメリットと備え|労災・年金の上乗せ・育児免除・税金
  6. 実態が雇用に近いと会社の社会保険に入る必要がある?労働者性の判断
  7. 業務委託を依頼する会社が押さえたいこと|従業員との手続きの切り分け
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|業務委託の社会保険で押さえたい6つのこと
  10. 参考文献

業務委託は社会保険に入れる?加入できる保険の早見表

業務委託で働く人は、会社の健康保険・厚生年金には原則入れず、国民健康保険と国民年金に自分で加入します。雇用保険と労災保険も原則対象外です。

健康保険と厚生年金の被保険者になるのは、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人です。日本年金機構は、雇用契約書の有無ではなく、労務の対償として給与を受ける使用関係があるかどうかで判断すると案内しています(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。業務委託は、会社に使用される雇用ではなく、仕事の成果や遂行を依頼されて請ける契約です。そのため会社の社会保険の対象にはならず、かわりに国民健康保険と国民年金に加入します。雇用保険は適用事業所に雇用される労働者が加入する制度で(厚生労働省「雇用保険制度Q&A」)、労災保険も労働者のための制度です。

保険会社員など(雇用)業務委託
健康保険会社の健康保険(会社と本人で保険料を負担)国民健康保険、または退職前の健康保険の任意継続(全額自己負担)
年金国民年金に上乗せして厚生年金(保険料は会社と本人で折半)国民年金のみ(保険料は全額自己負担)
介護保険40歳以上は保険料が加わる40歳以上は国民健康保険料などに加わる
雇用保険条件を満たせば加入原則対象外
労災保険労働者として対象原則対象外(特別加入で任意に加入できる場合あり)

「入れない」のは会社の社会保険であって、公的な保険に入れないわけではありません。日本国内に住む20歳以上60歳未満で厚生年金保険に加入していない人は、国民年金の第1号または第3号被保険者になります(日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」)。健康保険も、会社の健康保険に入っていない人は国民健康保険に加入するため、保険のない状態にはなりません(厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」)。ただし、契約書に業務委託と書いてあれば必ず対象外、とは限りません。働き方の実態が雇用に近い場合の考え方は、実態が雇用に近いと会社の社会保険に入る必要があるかの章で説明します。

仕事を依頼する会社の側から見ると、従業員には社会保険の届出が必要で、業務委託の方には不要、という違いが手続きの前提になります。入社や退職のたびに健康保険、厚生年金、雇用保険の書類を作る従業員側の手続きは、システムで電子化する方法もあります。ここでは、お名前.comビジネスコンシェルジュに掲載している3つのサービスを、優劣ではなく役割の違いで並べます。

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業務委託の加入手続き|国民健康保険・国民年金・任意継続の期限と窓口

会社員から業務委託に切り替えたときの手続き期限は、国民健康保険と国民年金が退職日の翌日から14日以内、健康保険の任意継続が20日以内です。

会社員から業務委託に切り替える場合、会社の健康保険と厚生年金の資格を失うため、日をあけずに新しい加入先を決めて手続きします。最初から業務委託で独立する場合も、会社の社会保険に入らない以上、同じ手続きが必要です。手続きは会社が代行してくれないため、自分で行います。

手続き期限の目安窓口
国民健康保険への加入退職日の翌日から14日以内住所地の市区町村の国民健康保険の窓口
健康保険の任意継続退職日の翌日から20日以内協会けんぽの場合は住所地の都道府県支部(健康保険組合は組合ごとに異なる)
国民年金への加入(種別変更)退職日の翌日から14日以内住所地の市区町村の窓口(年金事務所でも可。電子申請もできる)

健康保険は国民健康保険・任意継続・国保組合から選ぶ

国民健康保険は、市区町村が運営する医療保険です。職場の健康保険をやめたときなど、被保険者になったときは14日以内に住所地の市区町村の窓口へ届け出ます(厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」)。保険料は世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分(均等割など)と応能分(所得割など)を計算して合計します。具体的な算定方法は市町村の条例で決まり、所得が一定以下の世帯には均等割などの軽減があります(厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」)。倒産や解雇などで離職した人には、前年の給与所得を30/100として算定する軽減措置もあります。

任意継続は、退職前の健康保険に最長2年間とどまれる制度です。協会けんぽの場合、資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることと、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出することが条件です。保険料は退職時の標準報酬月額に都道府県の保険料率を掛けて計算し、会社が負担していた分も自分で払うため、退職時の約2倍になります(標準報酬月額には上限があります)。保険料は原則2年間変わらず、被扶養者がいてもいなくても同じです(協会けんぽ「任意継続」・同「任意継続の加入条件について」)。

同じ業種の人で組織する国民健康保険組合に加入できる場合もあります。加入できる業種や条件は組合ごとに異なり、窓口もその組合です。

どちらが安いかは、前年の所得、住む市区町村、退職時の標準報酬月額、家族の人数によって変わります。国民健康保険は被保険者の人数に応じた均等割があり、任意継続は被扶養者の人数で保険料が変わらないという違いがあります。迷う場合は、市区町村の窓口で国民健康保険料の試算を聞き、協会けんぽの支部で任意継続の保険料を確認して、期限内に比べてください。

年金は国民年金に切り替える

退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村の窓口で国民年金被保険者関係届書(申出書)を提出します。年金事務所でも手続きでき、電子申請も選べます。基礎年金番号がわかる書類が必要で、退職直後の場合は厚生年金の資格喪失日を証明できる書類を求められることがあります。配偶者が厚生年金に加入していてその扶養に入る場合は第3号被保険者となり、扶養されることになった日から14日以内に、配偶者の勤務先へ届け出ます(日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」)。保険料の納付が難しいときは、国民年金の免除制度・納付猶予制度があります。

手続きが遅れたとき

届出が遅れると、保険証が手元に届くまでの間に医療機関を受診した場合、医療費をいったん全額負担することがあります。国民健康保険は、加入すべき日にさかのぼって保険料を納めることになるのが一般的です。取り扱いは市区町村で異なるため、期限を過ぎてしまったときは早めに窓口へ相談してください。

業務委託の社会保険料はいくら?決まり方と会社員との比較

業務委託の国民年金保険料は、令和8年度で月額17,920円の定額です。国民健康保険料は所得や住む市区町村で異なり、全額を自分で納めます。

保険保険料の決まり方負担
国民年金定額。令和8年度は月額17,920円、年額215,040円(日本年金機構「国民年金保険料」)全額自己負担
国民健康保険世帯の被保険者ごとに、所得に応じた部分と被保険者数に応じた部分などを合計する。算定方法は市町村の条例で決まる全額自己負担
任意継続(協会けんぽ)退職時の標準報酬月額に都道府県の保険料率を掛ける。会社負担分も自分で払う。原則2年間は変わらない全額自己負担
会社員の厚生年金標準報酬月額に18.3%を掛け、事業主と被保険者が半分ずつ負担する(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)本人は半分

金額の目安を、公的な資料の数字で計算してみます。標準報酬月額が20万円の会社員の厚生年金保険料は、日本年金機構の令和8年度の保険料額表で、全額36,600円、折半額18,300円とされています。会社員本人の負担は月18,300円、業務委託の国民年金保険料は月17,920円です。金額だけを見ると近く見えますが、中身は同じではありません。会社員は国民年金に上乗せして厚生年金にも加入し、保険料の半分を会社が負担します。業務委託は国民年金のみで、上乗せは任意の制度で備えます(後の章で説明します)。

国民健康保険料や任意継続の保険料は、条件で大きく変わるため、一律の金額を示すことはできません。国民健康保険料は、お住まいの市区町村の窓口やウェブサイトで、前年の所得を使った試算ができるかを確認してください。支払った国民年金保険料・国民健康保険料は、確定申告で社会保険料控除の対象になります。

業務委託でも扶養に入れる?130万円の基準と2026年4月の変更点

配偶者などの健康保険の被扶養者になるには、原則として年間収入が130万円未満であることが必要です。60歳以上または一定の障害がある人は180万円未満、19歳以上23歳未満は150万円未満とされています。

健康保険の被扶養者になれれば、自分で国民健康保険料を納める必要がなくなります。配偶者が厚生年金に加入していて扶養に入る場合は、国民年金も第3号被保険者となり、保険料の負担がありません。日本年金機構は、被扶養者の年間収入の基準を次のように案内しています(日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」)。

区分年間収入の基準月に均した目安(計算例)
原則130万円未満約10万8千円未満(130万円を12か月で割った額)
60歳以上、または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害がある人180万円未満15万円未満
19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)150万円未満12万5千円未満
同一世帯の場合の追加条件被保険者の年間収入の2分の1未満同一世帯でない場合は、被保険者からの援助による収入額より少ないこと

ここで注意したいのは、令和8年4月1日以降の取り扱いの変更です。労働条件通知書などに記載された賃金から見込まれる年間収入が130万円未満で、他の収入が見込まれない場合は、原則として被扶養者に該当するものとして扱われます。ただし、この方法で提出する書類には、給与収入のみである旨の申立書が含まれます。業務委託の報酬は給与ではないため、この取り扱いをそのまま使えるとは限りません。

業務委託の収入の数え方、たとえば必要経費を差し引けるかどうかや、収入をいつの時点で見込むかは、加入先の健康保険組合や協会けんぽで確認する必要があります。日本年金機構のページにも、自営業の収入の扱いは記載がなく、該当する場合は日本年金機構または加入先の健康保険組合などに直接確認するよう案内されています。扶養に入ったあとで収入が基準を超えそうなときは、超える前に、国民健康保険と国民年金への切り替えが必要になることがあるため、案件の受注量を早めに見直してください。

業務委託のデメリットと備え|労災・年金の上乗せ・育児免除・税金

業務委託のデメリットは、保険料の全額負担、厚生年金がないこと、雇用保険がないこと、労災が原則対象外であることです。特別加入や年金の上乗せなどで備えられます。

労災保険は特別加入で備える

労災保険は労働者のための制度ですが、令和6年11月1日から、企業等から業務委託を受けているフリーランスが、業種・職種を問わず特別加入できるようになりました。企業等から業務委託を受ける意向や見込みがある場合も加入できます。消費者からのみ業務委託を受けている人は対象外です。加入手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体に申し込み、団体が行います。委託業務が特定フリーランス事業以外の特別加入の対象事業にあたる場合は、その事業の特別加入団体に申し込みます(厚生労働省「フリーランスが労災保険の特別加入の対象となりました」)。

雇用保険がないため契約終了に備える

雇用保険は適用事業所に雇用される労働者の制度なので、業務委託の契約が終了しても、失業したときの基本手当は受けられません。契約が終了したあとの生活資金は、自分で備えておく必要があります。案件が一社に偏っている場合は、契約終了の影響が大きくなるため、依頼元を分散することも検討できます。

国民年金の上乗せ|付加年金と国民年金基金

国民年金に上乗せする制度として、月額400円を国民年金保険料に加えて納める付加保険料があります(日本年金機構「国民年金保険料」)。もう一つが国民年金基金で、20歳以上60歳未満の自営業者やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者が加入できます。国民年金基金に加入する人は付加保険料を納める必要がなくなり、国民年金基金の掛金とiDeCoの掛金を合わせて月額68,000円が上限です(全国国民年金基金「基金の加入・再加入」)。

病気・ケガ・賠償に備える民間の保険

会社員の健康保険には、病気やケガで働けないときの傷病手当金があります。国民健康保険は、国民健康保険法第58条第2項で、市町村や組合が条例などの定めにより傷病手当金を支給できるとされている任意の給付です(e-Gov法令検索「国民健康保険法」)。お住まいの市区町村で支給があるかを確認し、ない場合は、所得補償などの民間の保険や共済で備えるかを検討します。納品物の不備や情報漏えいで取引先に損害を与えたときに備える賠償責任保険もあります。公的な保険でカバーされない部分を、仕事の内容に合わせて選ぶ位置づけです。保障の範囲は商品ごとに異なるため、契約前に約款や資料で確認してください。

子育て期間の国民年金保険料は免除される(2026年10月から)

令和8年10月1日から、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者の実父母・養父母は、国民年金保険料が免除されます。所得要件はありません。免除期間は、子を養育することになった日の属する月から1歳になる誕生日の前月までの最大12か月で、実母で産前産後免除期間がある場合は、それに続く9か月間です。住民登録地の市区町村の窓口、郵送、またはマイナポータルで届出します(日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」)。第2号被保険者や第3号被保険者は対象外で、業務委託で国民年金に加入している人が、会社員と異なる仕組みで受けられる制度です。

税金は確定申告と社会保険料控除

業務委託の報酬は給与ではないため、会社が年末調整をしてくれることはありません。所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合などは、自分で確定申告をします(国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」)。支払った国民健康保険料と国民年金保険料は、その年に実際に支払った金額の全額が社会保険料控除の対象になり、生計を一にする配偶者やその他の親族の分を支払った場合も控除できます。国民年金保険料と国民年金基金の掛金は、金額を証する書類の添付または提示が必要です(国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」)。個別の税務の判断は、税務署や税理士に確認してください。

実態が雇用に近いと会社の社会保険に入る必要がある?労働者性の判断

契約書の名前が業務委託でも、指揮監督を受けて働き、報酬が時間への対価に近いなど実態が雇用に近い場合は、会社の社会保険の対象になることがあります。判断は契約書の名称ではなく、働き方の実態で行われます。

日本年金機構は、被保険者になるかどうかを、雇用契約書の有無ではなく、労務の対償として給与を受ける使用関係があるかで判断するとしています(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。参考になるのが、厚生労働省が令和6年10月時点でまとめた労働基準法上の労働者性の資料集です。労働基準法の労働者に当たるかどうかは、請負や委任といった契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方の実態で判断されると説明されています(厚生労働省「労働基準法における労働者性判断に係る参考資料集」(PDF))。この資料集は労働基準法の労働者性の資料で、社会保険の適用そのものを判断するものではありません。社会保険の適用は、個別の事情をもとに年金事務所などが判断します。

判断要素見るポイント雇用に近づく例(資料集の説明から)
仕事の依頼への諾否の自由依頼を受けるか断るかを自分で決められるか指示された業務を、病気など特別な理由がない限り断れない
業務遂行上の指揮監督仕事の内容や進め方について、発注者から具体的な指揮命令を受けているか運送の経路や出発時刻、方法まで細かく指示される
拘束性勤務場所と勤務時間を指定され、管理されているか稼働時間や出勤・退勤の手続きが定められ、そのとおり運用されている
代替性(補強する要素)本人に代わって他の人が仕事をすることが認められているか契約上、第三者への再委託や補助者の使用が想定されていない
報酬の労務対償性報酬が、指揮監督のもとで一定時間働いたことへの対価と見られるか報酬が時間給や日給で決まり、仕事の出来による変動が小さい
事業者性・専属性(補強する要素)機械や器具を自分で負担しているか。特定の発注者への専属性が高いか機械や器具を発注者が用意している。他社の仕事を事実上受けられない

資料集では、このほかに、発注者が受注者を労働者と認識していると推認される点も、補強する事情として挙げられています。たとえば、採用時の選考が正規従業員とほとんど同様であること、報酬を給与所得として源泉徴収していること、服務規律や退職金・福利厚生の制度を適用していることです。業務委託の方に従業員と同じ扱いをしていないか、依頼する会社の側も点検しておく必要があります。

自分の働き方を振り返るときは、次の点が目安になります。ひとつでも当てはまれば雇用と判断される、という意味ではなく、複数の要素から総合的に判断されます。

  • 発注者からの依頼を、特別な理由なく断れない働き方になっていないか
  • 仕事の進め方や使うツールまで、発注者から細かく指示されていないか
  • 出勤時間や勤務場所が決まっていて、遅刻や早退で報酬が減らされないか
  • 自分の判断で補助者や再委託先を使えるか
  • 他の発注者の仕事を受けられるだけの時間と契約上の余地があるか

実態が雇用に近いと判断された場合は、会社の社会保険への加入手続きが必要になったり、さかのぼって保険料の納付を求められたりすることがあります。ここまでの内容は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の判断は、年金事務所や社会保険労務士、弁護士に確認してください。業務委託と請負、派遣の契約形態の違いは、BPOと人材派遣の違いとは?業務委託・請負・RPOまで整理で整理しています。

業務委託を依頼する会社が押さえたいこと|従業員との手続きの切り分け

業務委託の方には社会保険の届出は不要ですが、従業員には入社と退職のたびに健康保険・厚生年金・雇用保険の手続きが必要です。契約形態ごとに手続きを切り分け、実態が雇用に近づいていないかも確認します。

契約形態社会保険・労働保険保険料の負担会社側の主な作業
雇用(従業員)条件を満たせば、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険に加入厚生年金は事業主と被保険者が半分ずつ(保険料率18.3%)入社・退職ごとの届出、保険料の控除と納付、雇用保険の資格取得届(被保険者となった日の属する月の翌月10日まで)
業務委託会社の届出は不要。本人が国民健康保険・国民年金に加入本人が全額負担契約書と請求書の管理、報酬の支払い、実態が雇用に近づいていないかの確認

雇用保険の資格取得届は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までにハローワークへ提出します(厚生労働省「雇用保険制度Q&A」)。ほかにも届出ごとに期限があり、入社と退職が重なる時期は、書類作成と提出の管理が担当者に集中します。

契約形態を切り替えるときの手続き

業務委託から雇用に切り替える場合は、会社側で入社の届出が必要になります。本人は国民健康保険と国民年金から、会社の健康保険・厚生年金に移るため、国民健康保険は脱退の届出をします。国民健康保険は、加入だけでなく脱退も14日以内に市区町村へ届け出る必要があります。反対に、従業員が退職して業務委託に切り替わる場合は、本人に、国民健康保険・国民年金の14日以内、任意継続の20日以内という期限を案内しておくと、無保険期間を防ぎやすくなります。

届出書類づくりと人材情報の管理をシステムで進める

入退社が増えるほど、届出書類の作成、提出、従業員情報の管理の手間が大きくなります。社会保険の届出を電子申請で進めたい会社の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー人事労務です。商品ページによると、各種帳票を自動作成でき、情報収集から電子申請までを一気通貫で行え、一括申請形式で複数人の入退社にも対応します。提供元は、社保手続きオプションで、電子申請が義務化されている社会保険関連の主要な帳票がジンジャー上で電子申請できると発表しています(ジンジャー人事労務のプレスリリース(2024年11月19日))。2026年2月には、企業が契約する社会保険労務士が、ジンジャーのデータから直接電子申請できる機能も実装されました(同プレスリリース(2026年2月19日))。注意したいのは、労務管理を中心に使う場合は便利でも、ほかの機能が必要なときは別のサービスの申し込みが必要と商品ページに記載されている点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • 「労務管理メイン」で行いたい場合は便利だが、+αの機能を望む場合は他サービスの申し込みが必要

もう一つの課題が、従業員と業務委託の方の情報の管理です。契約形態、契約期間、担当業務、スキルなどが、Excelやファイルでバラバラになっていると、契約の更新時に実態が変わっていないかを確認しにくくなります。従業員の人材情報を一元管理する選択肢の一例が、株式会社カオナビが提供するカオナビです。商品ページでは、組織ツリー図、配置バランス図、社員データグラフなど、社員の情報を可視化しやすい機能が豊富で、労務管理の機能もあると紹介されています。1社に1人の専任サポートがつく点も特徴として挙げられています。一方で、目的や規模により価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要です。社会保険の届出書類の作成に使えるかどうかは、資料で確認してください。

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出典:kaonavi

導入企業:TOTO株式会社、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)など

口コミ

「カオナビ」での運用に切り替えてからは、さまざまな面で効果が出たと感じています。今までメールで行なっていたExcelシートの授受や記入漏れはほとんどなくなりましたし、評価者や人事担当者が入力の進捗確認もできるようになることで、一部入力が遅れている人がいたとしても全体の進行が止まることがなくなりました。また、以前はExcelに設定していた計算式が壊れるといったトラブルもあったので、その対応に対する手間を考えると効果は絶大です。

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  • 目的や規模により価格に幅がある為、詳細料金は問い合わせる手間が必要
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  • カオナビの導入により、従業員の顔写真やスキル、評価履歴などの情報を一元管理できるようになりました。これにより、評価や人材配置の際の情報収集が効率化され、適切な人材活用が可能となりました。また、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用することで、評価プロセスの透明性が向上し、従業員の納得感も高まりました。

  • 当日初めて一緒に働くメンバーが多い職種なので、顔がわかることですぐに挨拶ができ、業務を開始できる。社歴を知ることもできるので、自分の先輩なのか後輩なのかが業務前にわかる。部署異動があってもすぐに反映される。

  • UIがわかりやすく、そもそもシステムに慣れるまでに利用者が離脱することや敬遠されることが少なかった。またそれぞれで俗人化していた教育研修コンテンツなどを共有することでナレッジのシェアや、そのようなコンテンツを作ることなどに興味を持つ人間なども把握することができ、社内の人材配置などにも間接的にポジティブな影響を与えていたと感じる。

給与計算まで含めて社会保険料の扱いを見直したい場合は、社会保険料の計算におすすめの給与計算ソフト7選|必要性を解説も参考になります。社会保険の届出を外部の事務所に任せる方法は、社会保険手続きの代行サービスとは?対応業務や費用相場などを解説で整理しています。

社会保険の届出と契約形態の管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

従業員と業務委託の手続きの切り分け、届出書類の作成、契約形態ごとの情報管理が担当者の負担になっている場合は、資料を取り寄せて、自社の入退社の件数や社労士との分担に合うかを比べてみてください。ジンジャー人事労務は、書類の自動作成から電子申請まで、また社労士との受け渡しの方法について、資料で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 業務委託は社会保険に入れないのですか?

A. 会社の健康保険・厚生年金には原則入れませんが、国民健康保険と国民年金に自分で加入します。雇用保険は対象外で、労災保険は特別加入で任意に加入できます。契約書の名前が業務委託でも、働き方の実態が雇用に近い場合は、会社の社会保険の対象になることがあります。

Q2. 業務委託で働く場合、社会保険はいくらくらいかかりますか?

A. 国民年金保険料は令和8年度で月額17,920円の定額です。国民健康保険料は、所得や住む市区町村、世帯の人数などで決まり、一律の金額はありません。会社員のように会社が半分を負担することはなく、全額を自分で納めます。

Q3. 業務委託で働くデメリットは?

A. 保険料を全額自己負担すること、厚生年金がなく国民年金のみになること、雇用保険がないこと、労災が原則対象外であること、手続きを自分で行う必要があることです。国民健康保険の傷病手当金は市町村が条例で定める任意の給付なので、支給の有無を確認してください。

Q4. 業務委託で働くと税金はどうなりますか?

A. 報酬は給与ではないため年末調整はなく、所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合などは、自分で確定申告をします。支払った国民健康保険料と国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。個別の税務の判断は、税務署や税理士に確認してください。

Q5. 業務委託でも配偶者の扶養に入れますか?

A. 年間収入が原則130万円未満などの基準を満たせば、被扶養者になれます。令和8年4月からの新しい取り扱いは給与収入のみの申立てが前提なので、業務委託の収入の数え方は、加入先の健康保険組合や協会けんぽで事前に確認してください。

Q6. 会社員が副業で業務委託を受ける場合、社会保険はどうなりますか?

A. 本業の勤務先で健康保険・厚生年金に加入している場合、その加入は続きます。副業で業務委託を受けたことで、新たに国民健康保険や国民年金に加入するわけではありません。ただし、副業の働き方が雇用契約になる場合は、その勤務先で加入条件を満たすかどうかが別に問われます。

まとめ|業務委託の社会保険で押さえたい6つのこと

業務委託は会社の社会保険の対象外で、自分で公的な保険に加入します。押さえたいことは、次の6つです。

  1. 業務委託は会社の健康保険・厚生年金に原則入れず、国民健康保険と国民年金に自分で加入する。雇用保険と労災保険も原則対象外
  2. 手続きの期限は、国民健康保険と国民年金が退職日の翌日から14日以内、健康保険の任意継続が20日以内
  3. 保険料は全額自己負担。国民年金は令和8年度で月額17,920円の定額、国民健康保険は所得と市区町村で異なる
  4. 扶養に入るには原則年間収入130万円未満などの基準があり、業務委託の収入の数え方は加入先に確認する
  5. 労災の特別加入、付加年金や国民年金基金、2026年10月からの育児免除、社会保険料控除で、保険と税金の備えを整える
  6. 実態が雇用に近いと会社の社会保険の対象になる。依頼する会社は、従業員と業務委託の手続きを切り分け、届出や情報管理の手間が大きければ、サービスの資料を請求して比べる

参考文献

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