SES契約とは?準委任・派遣との違いと契約書の確認項目を解説
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- SES契約は多くが準委任契約
- 発注側の直接の指示は偽装請負のおそれ
- 契約書は再委託・解除・更新まで確認
SES契約とは、システムエンジニアリングサービスの契約のことで、IT企業が自社で雇用するエンジニアの技術力を、クライアント企業の開発や運用の現場に提供し、その作業に対して報酬を受け取る契約です。民法には「SES契約」という契約類型の定めはなく、実務では、法律行為でない事務の委託である準委任契約(民法第656条)として結ばれるのが一般的です。この記事では、SES契約の意味と仕組み、派遣契約・請負契約・業務委託契約との違い、指揮命令ができない理由と偽装請負の判断基準、契約書で確認する項目、メリットとデメリット、契約期間と更新の管理までを、民法・労働者派遣法・厚生労働省の資料をもとに解説します。
SES契約の契約書まわりの状況から、合うサービスの一例を見てみる
Q1. SES企業などとの契約書を、いまどの形で結ぶことが多いですか?
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SES契約とは?意味と仕組み、準委任契約との関係
SES契約とは、SES企業が雇用するエンジニアを、クライアント企業の現場で作業させ、その作業に対して報酬を受け取る契約です。民法上は、多くの場合に準委任契約として整理されます。
SESは、システムエンジニアリングサービスの略称です。クライアント企業が契約を結ぶ相手はSES企業で、現場で作業するエンジニア本人ではありません。エンジニアはSES企業に雇用されたまま、クライアント企業の開発や運用の現場に入って作業します。この三者の関係を整理すると、次のとおりです。
| 関係者 | 役割 | 結ぶ契約・関係 |
|---|---|---|
| SES企業 | エンジニアを雇用し、クライアント企業の現場に作業を提供する | エンジニアとは雇用契約、クライアント企業とはSES契約(多くは準委任契約) |
| クライアント企業 | 開発や運用の作業を依頼し、報酬を支払う | SES企業とSES契約を結ぶ。エンジニア本人との間に雇用契約はない |
| エンジニア | 現場で作業を行う | SES企業の従業員。クライアント企業の従業員ではない |
民法には、委任の規定があります。第643条は、委任を、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することによって効力を生ずる契約と定めています。第656条は、この規定を、法律行為でない事務の委託についても準用すると定めています(e-Gov法令検索 民法)。システムの開発や運用の作業は法律行為ではないため、その作業を任せる契約は準委任にあたり、受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います(第644条)。
契約書の表題が「SES契約書」でも「業務委託契約書」でも、法的な性質は、書かれた内容と実際の運用で判断されます。SES企業との契約を検討する場面では、名称ではなく、何を委託し、何に対して報酬を払い、誰が作業を管理するのかを確認します。
SES企業との契約は、契約期間の更新、エンジニアの交代、作業範囲の変更などのたびに、契約書や覚書、注文書類を取り交わす場面が出てきます。件数が増えるほど、締結の手間と、期間や更新の管理が負担になります。契約書や取引書類の締結・管理を見直したい会社向けに、電子契約・契約書管理の3サービスを役割の違いで比べます。
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|---|---|---|---|
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準委任契約の2つの型|履行割合型と成果完成型
準委任契約は、報酬の対象によって、履行割合型と成果完成型に分けて説明されます。民法第648条は、受任者は特約がなければ報酬を請求できないとし(第1項)、委任事務を履行した後でなければ請求できないとしています(第2項)。期間によって報酬を定めたときは、その期間を経過した後に請求できます(第648条第2項、第624条第2項)。委任が履行の中途で終了したときなどは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できます(第648条第3項)。これが履行割合型の考え方です。一方、第648条の2は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合の定めで、成果が引渡しを要するときは、成果の引渡しと同時に報酬を支払うとしています。これが成果完成型にあたります。
| 型 | 報酬の対象 | 民法の定め | SES契約での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 履行割合型 | 委任事務の処理(作業した時間や期間) | 第648条 | SES契約で最も一般的とされる。月単位などの期間で報酬を定める |
| 成果完成型 | 委任事務の履行により得られる成果 | 第648条の2 | 成果に対して報酬を払う約束を置く場合。請負のような仕事の完成を約する契約とは別の整理 |
どちらの型でも、準委任は、事務を善良な管理者の注意をもって処理することを約する契約です。仕事の完成を約束する契約ではない点が、請負契約との大きな違いです。次の章で、派遣契約・請負契約・業務委託契約との違いを整理します。
SES契約と派遣契約・請負契約・業務委託契約の違い|指揮命令と報酬の対象で見分ける
SES契約と派遣契約・請負契約の違いは、誰がエンジニアに指示を出すか、何に対して報酬を払うかで見分けます。SES契約(準委任)は作業の処理に対して報酬を払い、指示はSES企業が自社のエンジニアに出します。
| 契約の種類 | 契約の目的 | 報酬の対象 | 作業者への指揮命令 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| SES契約(準委任契約) | 事務(作業)の処理を任せる | 作業の処理(履行割合型)、または得られる成果(成果完成型) | 雇用主であるSES企業が行う。クライアント企業は行わない | 民法第643条・第656条・第644条・第648条・第648条の2 |
| 請負契約 | 仕事を完成させる | 仕事の結果 | 請負人が自ら行う | 民法第632条 |
| 労働者派遣契約 | 派遣労働者を、派遣先の指揮命令の下で働かせる | 派遣労働者の役務の提供 | 派遣先が行う | 労働者派遣法第2条第1号。事業には許可が必要(第5条) |
| 雇用契約(参考) | 労働に従事し、報酬を得る | 労働 | 使用者が行う | 民法第623条 |
請負は、民法第632条が、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約と定めています。労働者派遣は、労働者派遣法第2条第1号が、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることと定めています(e-Gov法令検索 労働者派遣法)。
SES契約と派遣契約の違い
最大の違いは、指揮命令を誰が行うかです。派遣契約では、派遣先が派遣労働者に仕事の指示を出します。そのため、労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です(労働者派遣法第5条第1項)。SES契約は、クライアント企業が指示を出さず、SES企業が自社のエンジニアに指示を出す前提の契約です。
契約書の名称がSES契約や準委任契約でも、実際にクライアント企業がエンジニアに直接指示を出していれば、労働者派遣の定義に当てはまります。違いは、名称ではなく運用で決まります。詳しくは、次の章で説明します。
SES契約と請負契約の違い
請負は仕事の完成を約束する契約で、完成した結果に対して報酬が支払われます。SES契約(準委任)は、作業を善良な管理者の注意をもって行うことを約束する契約で、成果物の完成までは約束しません。ただし、準委任でも、成果に対して報酬を支払う約束(成果完成型)を置くことはできます。成果物の納品を求めたい場合は、請負にするか、成果完成型の準委任にするかを、契約書で明確にします。
SES契約と業務委託契約の違い
業務委託契約は、民法に定められた契約の名前ではなく、請負や委任・準委任などをまとめて呼ぶ一般的な呼び方です。そのため、SES契約は業務委託契約の一種として扱われることが多く、業務委託契約書というタイトルでSES契約を結ぶこともあります。業務委託契約書を見たときは、請負なのか準委任なのかを、条文の内容から確認します。偽装請負と言われないための契約の組み立て方は、偽装請負と言われないBPO契約の作り方でも整理しています。
どの契約を選ぶか|判断の目安
| クライアント企業がやりたいこと | 向く契約の考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 成果物の完成と納品を求めたい | 請負契約、または成果完成型の準委任 | 成果物の定義、検収の条件、完成できなかった場合の扱い |
| 専門作業を任せたい。進め方はSES企業側で管理してよい | SES契約(準委任契約・履行割合型) | 業務の範囲、報告の頻度、窓口となる責任者 |
| 自社の指示で作業を進めさせたい | 労働者派遣契約(許可を受けた派遣元事業主との契約) | 派遣元の許可、派遣期間、指揮命令者の定め |
| 自社の社員として長く働いてもらいたい | 雇用契約(採用) | 労働条件の明示、社会保険の手続 |
この表は、契約の種類を選ぶ際の考え方を、民法と労働者派遣法の定義から整理した目安です。個別の事情によって判断が変わるため、契約書の作成や見直しの際は、弁護士などの専門家に確認してください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。
SES契約で発注側が指揮命令をしてはいけない理由|偽装請負の判断基準と法律
SES契約では、クライアント企業がエンジニアに直接仕事の進め方や時間の使い方を指示すると、契約の名称が準委任でも、労働者派遣に当たるおそれがあります。許可を受けていない派遣元との間でこの状態になったものが、偽装請負と呼ばれます。
労働者派遣に当たるかどうかは、名称ではなく実態で決まる
労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることと定義しています。この定義に、契約の名称は入っていません。SES契約という名前を付けても、他人の指揮命令を受けて労働に従事させているなら、定義に当てはまります。
さらに、同法第40条の6第1項第5号は、法律の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けた場合に、その時点で、派遣先から派遣労働者に対して、その時点の労働条件と同一の労働条件の労働契約の申込みをしたものとみなすと定めています。ただし、行為が該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときは、この限りではありません(e-Gov法令検索 労働者派遣法)。
37号告示が示す、請負と派遣を区分する基準
厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)は、請負の形式の契約で業務を行う事業主が、労働者派遣事業を行う事業主にあたらない条件を示しています(厚生労働省 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示))。告示は請負の形式の契約を対象にしていますが、他人の指揮命令を受けて働かせているかを実態で見る考え方は、準委任でも同じです。条件は、大きく次の2つです。
| 区分 | 告示第2条の条件(要約) | SES契約で確認する場面 |
|---|---|---|
| 自社の労働者の労働力を自ら直接利用する(第1号) | 業務の遂行方法や評価に関する指示・管理、始業・終業時刻や休憩・休日・残業などの指示・管理、服務規律や配置の決定を、いずれも請負事業主が自ら行う | 作業の進め方、作業時間、休暇、配置の変更を、SES企業の責任者が管理しているか |
| 業務を、契約の相手方から独立して処理する(第2号) | 業務に必要な資金を自らの責任で調達し支弁する、事業主としての責任を負う、自己の設備・材料、または企画や専門的な技術・経験により業務を処理する(単に肉体的な労働力を提供するだけではない) | 専門的な技術や経験に基づいて、SES企業として業務を処理しているか |
同告示の第3条は、前条の各号のいずれにも該当する事業主であっても、法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたもので、事業の真の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができないと定めています。
現場でどこまで言えるか|厚生労働省の疑義応答集の整理
厚生労働省の疑義応答集は、発注者と請負労働者のやり取りを、場面ごとに整理しています(厚生労働省 37号告示に関する疑義応答集)。同集は請負を前提にしていますが、発注側がエンジニアに直接指示を出す場面の線引きを考える際の、参考になります。
| 場面 | 厚生労働省の整理(請負を前提とした疑義応答集) |
|---|---|
| 業務に関係のない日常的な会話(問1) | 指揮命令を行ったことにならず、偽装請負にはあたらない |
| 発注者が請負事業主に、作業工程の見直しや作り直しを要求する(問2) | 契約当事者間の要求・注文であり、直接の指揮命令ではない。発注者が請負労働者に直接、変更や再製作を指示した場合は、直接の指揮命令にあたる |
| 発注者が、仕事の順序・方法の指示、労働者の配置、一人ひとりへの仕事の割付を決める(問7) | 請負事業主が自ら指示・管理を行っていないことになり、偽装請負と判断される |
| 発注者が作業の内容・順序・方法を文書で詳細に示し、そのとおりに作業させる(問7) | 口頭に限らず、指示・管理を行わせていると判断され、偽装請負と判断される |
| 発注者による技術指導(問10) | 新しい設備の操作方法の説明、請負契約の仕様の補足説明、安全衛生上の緊急指示など、示された例に当たるものは、行われたことをもって偽装請負と判断されるものではない |
| 業務内容の軽微な変更(問11) | 発注者が請負労働者に直接変更を指示すると偽装請負にあたる。請負事業主に変更の説明・指示をするのは問題ない |
SES契約に当てはめると、クライアント企業が出してよいのは、SES企業に対する依頼や要望で、作業の割り振りや時間管理など、エンジニア個人への直接の指示は避ける、という整理になります。依頼はSES企業の責任者や窓口を通して伝え、進め方や配置の判断は、SES企業が行う形にします。
偽装請負と判断されたときの法的な位置づけ
| 法令 | 内容 | 発注側・SES企業への影響 |
|---|---|---|
| 労働者派遣法第5条第1項・第59条第2号 | 労働者派遣事業には厚生労働大臣の許可が必要。許可を受けないで労働者派遣事業を行った者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 実態が労働者派遣に当たるのに許可がない場合、派遣元側の問題になりうる |
| 労働者派遣法第40条の6第1項第5号 | 適用を免れる目的で請負その他の名目で契約し、第26条第1項各号の事項を定めずに派遣の役務の提供を受けた場合、労働契約の申込みをしたとみなす(善意無過失は除く) | クライアント企業(発注側)が、派遣労働者に対して、労働契約の申込みをしたものとみなされる場合がある |
| 職業安定法第44条 | 労働者供給事業を行うこと、およびその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させることを禁止(同法第45条に定める場合を除く) | 労働者供給に当たるかは、労働者派遣に該当するものを除いて判断される(同法第4条) |
どの法令が実際に適用されるかは、契約の実態や、許可の有無によって異なります。自社の運用に不安がある場合は、都道府県労働局や弁護士などの専門家に相談してください。偽装請負と言われた場合の契約の見直し方や、業務委託全般の考え方は、偽装請負と言われないBPO契約の作り方も参考にしてください。
SES契約で「一人常駐」は違法か
常駐するエンジニアが一人であること自体は、告示の条件にも疑義応答集にも、違法とする定めはありません。判断の軸は、人数ではなく、SES企業が自社のエンジニアへの指示と管理を自ら行っているか、業務をクライアント企業から独立して処理しているかです。
ただし、疑義応答集の問4は、請負作業場に作業者が1人しかおらず、その作業者が管理責任者を兼任している場合、実態的には発注者から管理責任者への注文が、発注者から請負労働者への指揮命令になるため、偽装請負と判断されるとしています。一人で常駐する場合は、SES企業側に、エンジニアとは別に、指示・管理を担う責任者を置き、クライアント企業からの依頼をその責任者が受ける形にします。
発注側が偽装請負を避けるための実務のポイント
- 依頼や要望は、SES企業の責任者や窓口を通して伝え、エンジニア個人への直接の作業指示は行わない。
- 作業の進め方、配置、勤務時間、休暇の判断は、SES企業が行う。クライアント企業は、結果の報告を受ける立場に徹する。
- 作業の範囲や成果の定義は、契約書に書いておく。範囲が曖昧だと、現場で細かな指示が増えやすい。
- 契約の担当者だけでなく、現場でエンジニアと接する社員にも、指揮命令にあたる行為の線引きを共有する。
- 運用に疑問が出たときは、契約書の見直しを含めて、専門家に相談する。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。
SES契約書で確認する項目|民法の条文と一緒に整理
SES契約書では、契約の型、業務の範囲、期間、報酬と精算、再委託、報告、解除、秘密保持を確認します。民法に定めのある項目は、条文と照らして、契約書でどう書かれているかを見ます。
| 確認項目 | 確認すること | 関係する民法・考え方 |
|---|---|---|
| 契約の型と報酬の対象 | 履行割合型か成果完成型か。何に対して報酬を払うのか | 第648条(履行割合)、第648条の2(成果) |
| 業務の内容と範囲 | 委託する作業、対象のシステム、含まれない作業。範囲が曖昧だと現場の指示が増えやすい | 第643条・第656条(事務の委託) |
| 契約期間と更新 | 期間、自動更新の有無、更新しない場合の通知期限 | 契約書で定める項目 |
| 報酬の支払時期と精算 | 期間で定めた報酬は、期間経過後に請求できる。基準となる稼働時間と、過不足の精算方法を定めるか | 第648条第2項、第624条第2項 |
| 再委託 | SES企業が別の会社にさらに任せることを認めるか、承諾を要するか | 第644条の2(委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任できない) |
| 報告 | 作業状況の報告の頻度と方法。作業者への直接の指示ではなく、責任者への報告を受ける形か | 第645条(委任者の請求があるときは、いつでも事務処理の状況を報告) |
| 中途解約 | 解除できる条件と、予告期間。相手方に不利な時期の解除に伴う損害賠償 | 第651条(各当事者がいつでも解除できる。相手方に不利な時期の解除は損害賠償が必要。やむを得ない事由があれば除く) |
| 秘密保持 | 現場で触れる情報の範囲、契約終了後の義務、エンジニア個人への周知 | 契約書で定める項目。NDAの考え方は NDA(秘密保持契約書)は電子契約で締結可能?メリットも解説 を参照 |
| 成果物・知的財産の扱い | 作業の過程で生じた資料やコードの権利の帰属 | 契約書で定める項目 |
| 窓口と責任者 | SES企業側の責任者、クライアント企業側の窓口。指示の経路を決める | 37号告示の考え方(指示・管理を事業主が自ら行う) |
SES企業に作業を委託する以上、現場に渡す情報の管理や委託先の監督も必要です。委託先監督や契約条項の考え方は、BPOセキュリティとは?委託先監督・契約条項・選定基準を解説で整理しています。
契約書を確認する手順
- 委託する作業の内容と範囲を書き出し、準委任(履行割合型・成果完成型)と請負のどちらで結ぶのかを決める。
- 契約書案を受け取ったら、報酬の対象、期間、更新、精算の定めを確かめる。
- 再委託、報告、解除、秘密保持の定めを確かめ、自社の運用と食い違わないか見る。
- 窓口と責任者を決め、現場への依頼がその経路で行われる運用を、社内に周知する。
- 締結後は、期間・更新日・通知期限を台帳に登録し、管理する。
契約書の確認項目がそろっても、締結後に期間や更新日を把握できていなければ、期限切れや意図しない自動更新が起きます。次のセルフチェックで、自社の契約書類の管理を点検してみてください。
SES企業などとの契約書類の管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。
SES契約を結ぶ流れ|押印・収入印紙・電子契約での締結
SES契約は、依頼する作業の整理から始まり、契約書の確認、締結、稼働の開始、更新または終了の順に進みます。契約の成立に書面や押印は法律上の要件ではありませんが、争いになったときの証明のため、書面か電子署名のある電子ファイルで残すのが一般的です。
- 依頼したい作業の内容、必要なスキル、期間、場所を整理する。
- SES企業から提案や見積を受け、契約の型(準委任か請負か)と報酬の考え方を確認する。
- 契約書案の項目を確認し、必要な修正を相談する。
- 署名・押印、または電子署名で契約を締結し、台帳に登録する。
- 稼働の開始後は、窓口を通じた依頼と、責任者からの報告で運用する。
- 期間の満了前に、更新するか終了するかを決め、通知期限までに連絡する。
契約書に押印は必要か、認印でよいか
民法第522条第2項は、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しないと定めています(e-Gov法令検索 民法)。民事訴訟法第228条第4項は、私文書は、本人またはその代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定すると定めています(e-Gov法令検索 民事訴訟法)。これらの条文に、押印を実印に限る規定はありません。誰が押したのかが争いになったときの証明のしやすさを考えて、相手方や自社の規程が求める印を使うのが無難です。
収入印紙は必要か
国税庁は、文書が課税対象かどうかは、名称や表題で形式的に決めず、記載された文言の実質的な意味を汲み取って総合的に判断するとしています(国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断)。SES契約の契約書も、表題が準委任か請負かではなく、書かれた内容で判断されます。仕事の完成を約する請負の内容を含む場合などは、課税文書にあたる可能性があるため、個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。
電子契約で結ぶ場合
電子署名法第3条は、本人の電子署名が付され、本人だけが行えるよう管理されている電磁的記録について、真正に成立したものと推定すると定めています(e-Gov法令検索 電子署名法)。印紙税については、電子署名を付した電磁的記録をメールで送る場合は、電磁的記録が文書に含まれないため課税されないとされています(国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」)。紙の署名押印が担っていた本人性と、改ざんされていないことの確認を、電子署名が担う形です。
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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。
SES契約のメリット・デメリット|発注側・SES企業・エンジニアの立場別
SES契約のメリットは、必要なスキルを必要な期間だけ確保できる点で、デメリットは、成果の完成が約束されず、指示の出し方に制約がある点です。立場によって見える点が違うため、次の表で整理します。
| 立場 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 発注側(クライアント企業) | 採用や育成にかけるコストと時間を抑え、必要なスキルを必要な期間で確保しやすい。プロジェクトの規模に合わせて人数や期間を調整しやすい | 準委任は事務の処理を約束する契約で、仕事の完成までは約束されない(成果完成型や請負を除く)。進め方を直接指示できないため、管理の工夫が要る。ノウハウが社内に残りにくい |
| SES企業 | 自社のエンジニアの稼働が、契約期間にわたって報酬につながる。エンジニアを育てる仕組みと、案件の確保を両立できる | エンジニアの管理、評価、勤務時間の管理は、自社で行う必要がある。現場での指示の経路を、発注側と合意しておく必要がある |
| エンジニア | SES企業の従業員として雇用が安定する。複数の現場で経験を積める | 現場ごとに環境や業務が変わる。現場で発注側から直接の指示を受けた場合は、SES企業の責任者へ相談できる体制が要る |
メリットとデメリットは、契約の型によって変わります。成果の完成を求めたい作業を、履行割合型の準委任で結ぶと、完成しなくても報酬を支払うことになります。何を約束してもらいたいのか、契約を結ぶ前に整理します。
管理の工夫|ノウハウを社内に残す
エンジニアの入れ替わりで知見が失われないよう、作業の記録、設計や手順のドキュメント、引き継ぎの時間を、契約書の業務範囲に含めて依頼します。窓口を通じた依頼でも、成果物やドキュメントの受け渡しを契約で定めておけば、運用で補えます。
契約期間・更新・解除の管理|期限切れと意図しない更新を防ぐ
SES契約は、契約期間と更新のたびに、契約書類が積み上がります。期間、自動更新の有無、更新しない場合の通知期限、解除の条件を、契約ごとに台帳へ残します。
民法第651条は、委任は各当事者がいつでも解除でき、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならないと定めています(e-Gov法令検索 民法)。契約書で解除や予告の定めを置く場合も、この考え方を踏まえて、条件を明確にします。
| 台帳に残す項目 | 見る場所 | 見落としたときの困りごと |
|---|---|---|
| 契約期間と更新日 | 契約書の期間条項 | 期限が切れたことに気づかず、契約が曖昧な状態で稼働が続く |
| 自動更新の有無と通知期限 | 契約書の更新条項 | 更新したくない契約が、意図せず継続する |
| 業務の範囲と変更の履歴 | 契約書、覚書、注文書類 | 現場の作業が、契約の範囲を超えているかを確認できない |
| 窓口・責任者 | 契約書、体制表 | 指示の経路が曖昧になり、現場での直接の指示が増える |
| 再委託の承諾の記録 | 契約書、承諾の書面 | 誰がどこまで関わっているのかを、後から説明できない |
| 解除・終了の手続 | 契約書の解除条項 | 終了時に、資料やアカウントの返却・削除が漏れる |
件数が少ないうちは、台帳と共有フォルダで足ります。件数が増え、担当者が異動すると、紙やPDFが部署ごとに分かれ、期限の確認が属人化します。契約書を一元管理し、期限が近づいたときに通知を受け取る仕組みがあれば、更新の抜け漏れを減らせます。
紙・PDF・電子契約で結んだSES企業との契約書を、まとめて検索し、期限を把握したい場合の一例が、Sansan株式会社の「Contract One」です。商品ページでは、紙・PDF・電子契約といった契約書を、AI-OCRと専門スタッフの確認によってデータ化して一元管理でき、データ化した契約情報は全文検索が可能で、契約期限が近づいた際のアラート通知や契約の自動更新設定も備えると紹介されています。注意点として、導入時に業務フローの見直しが必要な場合があるとされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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- あらゆる契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用することで、法務部門に限らず全社での契約データの活用を促し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
気になる…
- 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も
導入事例では、イオンマーケティングが、創業以来の紙の契約書をすべてデータ化して一元管理し、期限通知機能で契約更新時期が近づくと自動でアラートメールを発信することで、担当者の異動や退職があっても更新期限を検知でき、意図しない契約更新や更新漏れのリスクを回避できるようになったと紹介されています(Sansan株式会社のプレスリリース)。
SES企業との契約の件数が増える前に、契約期間と更新の把握を仕組みにしておくと、後から過去の契約書を探し直す手間を避けられます。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. SES契約とは何ですか?
A. SES契約とは、SES企業が雇用するエンジニアを、クライアント企業の現場で作業させ、その作業に対して報酬を受け取る契約です。SESはシステムエンジニアリングサービスの略称で、民法に「SES契約」という契約類型の定めはなく、多くは準委任契約として結ばれます。契約を結ぶ相手はSES企業で、エンジニア本人ではありません。
Q2. SES契約とは何契約ですか?
A. 多くの場合、準委任契約です。民法第656条は、委任の規定を、法律行為でない事務の委託に準用すると定めており、システムの開発や運用の作業を任せる契約は、これにあたります。報酬の対象によって、履行割合型(第648条)と成果完成型(第648条の2)に分けて説明されます。契約書の名称ではなく、内容と運用で判断されます。
Q3. SESと派遣契約の違いは何ですか?
A. 最大の違いは、指揮命令を誰が行うかです。派遣契約では、派遣先が派遣労働者に仕事の指示を出します(労働者派遣法第2条第1号)。SES契約では、クライアント企業が指示を出さず、SES企業が自社のエンジニアに指示を出します。労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です(同法第5条第1項)。
Q4. SES契約で一人常駐は違法ですか?
A. 一人であること自体を違法とする定めは、37号告示や厚生労働省の疑義応答集にありません。判断の軸は、SES企業が自社のエンジニアへの指示と管理を自ら行っているかです。疑義応答集の問4は、請負の作業場に作業者が1人で管理責任者を兼ねる場合、発注者から管理責任者への注文が実態的に指揮命令になるため、偽装請負と判断されるとしています。一人で常駐する場合は、指示を担う責任者を別に置きます。
Q5. SES契約と請負契約・業務委託契約は何が違いますか?
A. 請負契約は仕事の完成を約束し、その結果に対して報酬を払う契約です(民法第632条)。SES契約(準委任)は、作業を善良な管理者の注意をもって行うことを約束する契約で、完成までは約束しません。業務委託契約は、請負や準委任などをまとめた一般的な呼び方で、民法上の契約の名前ではありません。契約書の条文から、請負なのか準委任なのかを確認します。
Q6. 偽装請負にならないために、発注側は何に気をつければよいですか?
A. エンジニア個人への直接の作業指示を避けることです。依頼はSES企業の責任者や窓口を通して伝え、作業の進め方、配置、勤務時間の管理はSES企業が行います。厚生労働省の疑義応答集は、発注者が仕事の順序や方法を指示したり、一人ひとりへの仕事の割付を決めたりすると、偽装請負と判断されるとしています。契約書には、作業の範囲と窓口を明記します。
SES契約で押さえたい6つのこと
- SES契約は、SES企業が雇用するエンジニアをクライアント企業の現場で作業させ、作業に対して報酬を受け取る契約で、多くは準委任契約(民法第656条)として結ばれます。名称ではなく、内容と運用で判断されます。
- 準委任は事務の処理を約束する契約で、仕事の完成を約束する請負契約(民法第632条)とは違います。報酬の対象で、履行割合型(第648条)と成果完成型(第648条の2)に分かれます。
- 労働者派遣は、他人の指揮命令を受けて働かせることで、事業には許可が必要です(労働者派遣法第2条第1号・第5条)。SES契約では、クライアント企業がエンジニアに直接指示を出さない運用が前提です。
- 厚生労働省の37号告示と疑義応答集は、指示・管理を事業主が自ら行うことを求めています。依頼はSES企業の責任者や窓口を通し、一人常駐でも、指示を担う責任者を別に置きます。
- 契約書では、契約の型、業務の範囲、期間と更新、報酬と精算、再委託(第644条の2)、報告(第645条)、解除(第651条)、秘密保持を確認します。
- 契約書の押印・郵送の手間や、期間・更新の把握が重いときは、電子契約や契約書管理サービスの資料を取り寄せ、自社に合うか比べます。
参考文献
- e-Gov法令検索 民法(第522条・第623条・第624条・第632条・第643条・第644条・第644条の2・第645条・第648条・第648条の2・第651条・第656条) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索 労働者派遣法(第2条・第5条・第26条・第40条の6・第59条) https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
- e-Gov法令検索 職業安定法(第4条・第44条) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- e-Gov法令検索 民事訴訟法(第228条第4項) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- e-Gov法令検索 電子署名及び認証業務に関する法律(第3条) https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000102
- 厚生労働省 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示) https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf
- 厚生労働省 37号告示に関する疑義応答集 https://www.mhlw.go.jp/content/001328443.pdf
- 国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm
- Biz Connectionの導入事例 https://bberc.focus-s.com/construction-equipment/case01/
- Sansan株式会社 イオンマーケティングのContract One活用事例 https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0122_01.html
- SMBCクラウドサイン 導入事例 山一建設 https://www.smbc-cloudsign.co.jp/case/detail_0015.html
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