物流アウトソーシングとは?委託できる業務・費用の考え方・選び方を解説

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  • 物流業務の一部または全部を委託する
  • 費用は内訳と見えないコストで比べる
  • 委託しても荷主の責任と在庫把握は残る

物流アウトソーシングとは、入荷・保管・在庫管理・ピッキング・梱包・出荷・配送手配といった物流業務の全部または一部を、外部の専門事業者に委託することです。倉庫や人員、車両を自社で持たずに済み、出荷量の増減に合わせて費用を調整しやすくなる一方、委託する範囲や費用の内訳、委託先の選び方を誤ると、期待した成果は得られません。国土交通省が整理する3PL(荷主企業に代わって物流戦略の企画立案から実行までを包括的に受託する形)も、物流アウトソーシングの一形態です。この記事では、委託できる業務と3PL・発送代行・物流BPOとの違い、自社物流との比較、メリットとデメリット、費用の考え方、委託先の選び方、契約前に決めること、導入の流れ、そして委託しても荷主に残る責任までを順に解説します。

物流の委託、どこから考えるべき?2問でセルフチェック

Q1. 物流業務は、いまどこまで外部に任せていますか?

目次

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  1. 物流アウトソーシングとは|委託できる業務と、自社に残る在庫の把握
  2. 物流アウトソーシングの種類|範囲別の分け方と、3PL・発送代行・物流BPOとの違い
  3. 自社物流と物流アウトソーシングの違い|体制・コスト・品質・リスク
  4. 物流アウトソーシングのメリットとデメリット|よくないと言われる理由
  5. 物流アウトソーシングの費用の考え方|見積の内訳と見えないコスト
  6. 委託するか自社に残すか|判断の基準とセルフチェック
  7. 物流アウトソーシング会社の選び方|比較する7項目と見学で確認すること
  8. 契約前に決めておくこと|委託範囲・例外対応・報告・責任
  9. 導入の流れと期間|課題の整理から本稼働まで
  10. 委託しても荷主に残る責任|物流効率化法で確認しておくこと
  11. 委託後に自社で持っておくデータ|在庫と出荷の見える化
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ|物流アウトソーシングを検討するときの6つのポイント
  14. 参考文献

物流アウトソーシングとは|委託できる業務と、自社に残る在庫の把握

物流アウトソーシングとは、入荷・保管・在庫管理・出荷・配送手配・返品対応といった物流業務の一部または全部を、外部の専門事業者に委託することです。

自社で倉庫・人員・車両を抱えず、専門事業者の設備とノウハウを使って物流を回す考え方で、EC事業者のほか、全国へ出荷するメーカーや卸売、季節による出荷量の波が大きい会社で使われています。委託の範囲は「倉庫業務だけ」「出荷作業だけ」「配送手配だけ」「一括」など幅があり、事業者ごとに対応できる範囲も違います。

委託できる業務の一覧

業務主な内容委託するときの確認点
入荷・検品・棚入れ納品された商品の数量・状態の確認、保管場所への格納検品の基準、バーコードなどによる入庫の記録方法
保管・在庫管理商品の保管、在庫数と置き場所(ロケーション)の管理在庫数をどの頻度で、どの形式で報告してもらえるか
ピッキング・梱包・流通加工注文に応じた商品の取り出し、梱包、セット組やギフト包装付帯作業の対応可否と、作業ごとの単価の決め方
出荷・配送手配配送会社の手配、送り状の発行、追跡番号の連絡締め時間、対応エリア、配送会社の選択肢
返品・交換処理返品の受け取り、再入庫するかどうかの判断、在庫への反映返品の判定基準と、在庫に戻すまでの日数
棚卸・帳票・データ連携定期的な棚卸、納品書や送り状などの帳票、受注システムとのデータ連携棚卸の方法と、自社システムとの連携方式

どこまで任せるかで、委託先に渡す情報も変わります。たとえば出荷作業まで任せるなら、受注データと在庫データを委託先と共有する仕組みが必要です。

委託しても在庫の把握は自社に残る

在庫の保管と出荷を委託しても、「いまどの商品が何個、どこにあるか」を自社が把握しなくてよくなるわけではありません。受注・購買・在庫の数字は、委託先への出荷指示、補充の発注、委託先から届く在庫報告との突き合わせに使われます。社内の記録が帳票ごとに分かれていると、委託後に差異が出たときに原因をたどれず、見積を依頼するときの出荷件数や在庫量の数字も集められません。

受注・購買・在庫が別々のExcelや帳票に分かれている個別受注生産の中小製造業で、この状況に当てはまる場合の一例が、株式会社日本コンピュータ開発が提供するFUSEです。FUSEは、受注・購買・在庫・生産工程・生産計画・原価管理までを一元管理し、工程進捗や原価状況をリアルタイムで把握できるセミオーダー型の生産管理システムです。商品ページでは、受注・購買・在庫・工程・原価を製番単位でつなげて管理できる点や、導入前に業務を整理して自社に合うかを確認したうえで、専門スタッフが導入後の運用定着まで伴走する点が紹介されています。一方で、倉庫内の作業を管理する倉庫管理システム(WMS)ではなく、商品の仕入と販売が中心の小売・卸・ECの会社が主な対象でもありません。導入範囲やカスタマイズ内容で費用が変わるため、料金はプランによって異なります。資料や公式サイトで確認してください。

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物流アウトソーシングの種類|範囲別の分け方と、3PL・発送代行・物流BPOとの違い

物流アウトソーシングは、任せる範囲で倉庫業務のみ・出荷業務のみ・配送手配のみ・一括委託・3PLに分けられ、範囲が広いほど設計と管理も委託先に預ける形になります。

形態任せる範囲向く会社注意点
倉庫業務のみ入荷・保管・在庫管理保管スペースが足りない会社出荷や配送は別に手配するため、窓口が分かれる
出荷業務のみ(発送代行)ピッキング・梱包・出荷繁忙期の出荷作業が追いつかない会社在庫の置き場所と出荷指示の連携を取り決める必要がある
配送手配のみ配送会社の手配、追跡番号の通知急な配送や案件ごとの配送が多い会社倉庫内の作業は自社に残る
フルフィルメント(一括委託)受注処理から出荷・返品対応まで受注から出荷までをまとめて任せたいEC事業者受注システムとの連携方式を事前に確認する
3PL物流戦略の企画立案・システム構築の提案から実行まで包括的に受託物流全体を設計から任せたい会社丸投げにならないよう、目標と報告の取り決めが要る

範囲を広げるほど自社の手間は減りますが、委託先を切り替えるときの負担も大きくなります。まず一部から始め、運用が安定してから広げる進め方もあります。

3PLとは|国土交通省の定義

国土交通省は、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)を、荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、それを包括的に受託して実行することと説明しています(出典:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03340.html)。物流アウトソーシングが作業の委託を含む広い言葉であるのに対し、3PLは、物流の企画と実行を一体で受ける形を指します。倉庫や配送の作業を任せるだけなら発送代行や倉庫業務の委託、物流の設計や改善提案まで任せるなら3PL、と考えると整理しやすくなります。

物流BPOとの違い

物流BPOは、受発注、配送連絡、データ整理、問い合わせ対応、請求処理など、物流を支える事務・管理のプロセスを外部に委託することを指します。荷物を保管したり運んだりする機能そのものではなく、「荷物を動かすための情報と事務」を任せる点が、本記事で扱う物流アウトソーシングとの違いです。事務・管理の側を切り出す方法は、物流BPOとは?3PLとの違い、2024年問題に備えて委託できる業務と進め方を解説した記事で詳しく説明しています。物流に限らず、業務全体のアウトソーシングの形態を知りたい場合は、業務アウトソーシングとは?主な形態やメリット・デメリットを解説した記事もあわせてご覧ください。

企業間取引(BtoB)向けと消費者向け(BtoC)で求められる対応が違う

物流アウトソーシングの事業者には、企業間取引向けの物流を得意とするところと、EC・通販など消費者向けを得意とするところがあります。企業間取引では取引先ごとの納品ルール(ラベル、納品書、納品時間の指定)への対応が、消費者向けでは個口単位の出荷、ギフト包装、返品対応が中心になります。自社の取引がどちらに近いかを、委託先に最初に伝えておくと、見積の前提がそろいます。

自社物流と物流アウトソーシングの違い|体制・コスト・品質・リスク

自社物流は自由度が高い反面、固定費が重くなります。物流アウトソーシングは費用を取扱量に連動させやすい反面、委託先の標準サービスの範囲で運用します。

観点自社物流物流アウトソーシング
運営体制自社の倉庫・人員・車両で運営する専門事業者の設備と人員を使い、自社は資産を持たない
コスト構造倉庫の賃料、人件費、車両費が固定費になりやすい保管料・作業料・配送料など、取扱量に応じた変動費の割合が増える
対応の柔軟さ自社の方針に沿った細かい対応や独自サービスを行いやすい委託先の標準サービスが基本で、独自対応は追加費用や調整が必要になることがある
繁閑差への対応繁忙期の採用・教育・スペース確保を自社で行う委託先の人員と設備で吸収しやすい。ただし繁忙期は追加料金の対象になることがある
ノウハウの蓄積物流の経験が社内に残る運用は委託先に蓄積され、自社に残りにくい
切り替えのしやすさ自社の判断で運用を変えられる委託先の変更には、移管の手間と期間がかかる

どちらが優れているかは、取扱量の大きさと波、自社に残したい独自の対応、物流のノウハウを社内に持つ価値で決まります。出荷量が安定していて自社で回っているなら、無理に委託する必要はありません。一方、波が大きく、繁忙期ごとに人手や保管場所の確保に追われているなら、委託が選択肢になります。

物流アウトソーシングのメリットとデメリット|よくないと言われる理由

メリットは、費用の変動費化、品質の安定、繁閑差への対応、本業への集中です。よくないと言われる理由は、委託先への依存と、自社にノウハウが残りにくい点です。

メリット

  • 費用を取扱量に連動させやすい。倉庫の賃料や人員、車両といった固定費を、保管料・作業料・配送料といった変動費に近づけられます。閑散期の費用を抑えやすく、繁忙期だけの採用や教育も不要になります。
  • 出荷の品質を安定させやすい。バーコードによる入出庫の記録や在庫管理システムなど、専門事業者の仕組みを使えるため、出荷ミスや遅れの抑制につながります。
  • 繁閑差に対応しやすい。セールや広告で急に注文が増えたときも、委託先の人員と設備で吸収できる場合があります。
  • 本業に時間を使える。物流の運営から解放された経営資源を、商品開発や販売、顧客対応に振り向けられます。

デメリットとリスク

  • 細かい対応や柔軟な対応が難しい場合がある。委託先の標準サービスから外れる作業は、追加費用や調整が必要になります。
  • 委託先への依存と、切り替えの負担。運用が委託先の仕組みに合わせて固まるほど、別の事業者へ移すときの手間と期間が大きくなります。
  • 情報共有が不足すると品質が落ちる。商品の特性や出荷のルールが共有されていないと、誤出荷や破損が起きやすくなります。
  • 委託範囲があいまいだと、対象外の対応が増える。想定していなかった作業に追加費用が発生し、責任の所在も不明確になります。
  • 自社にノウハウが蓄積されない。将来、物流を自社で完結させたい場合は不利になります。

物流会社の解説では、よくある失敗として、委託先に任せきりにして改善が進まない、費用だけで選んでクレームが増える、契約があいまいで責任の押し付け合いになる、といった例が挙げられています(参考:https://www.pickgo.town/blog/distribution-outsourcing)。委託は「任せたら終わり」ではなく、目標と報告の仕組みを決めたうえで、定期的に見直す運用が前提です。アウトソーシングがよくないと言われる背景には、こうした任せ方の問題が多く含まれています。

物流アウトソーシングの費用の考え方|見積の内訳と見えないコスト

物流アウトソーシングの費用は、初期費用・システム利用料・保管料・作業料・配送料などで構成され、固定費と取扱量に応じた変動費を組み合わせるのが一般的です。

費用は、保管する商品の量やサイズ、出荷件数、付帯作業の有無、配送先によって大きく変わるため、一律の相場を示すことはできません。実際の金額は、自社の条件を伝えて見積を取って確認します。

費目内容発生の仕方見積で確認すること
初期費用・システム利用料契約時の設定、システム連携、月々のシステム利用固定費(または初期のみ)連携にかかる費用と、利用できるシステムの範囲
保管料商品を保管するスペースの費用保管量に応じて、または固定計算の単位(パレット、棚、坪など)と、保管量が増えたときの扱い
入出庫・作業料入庫、検品、ピッキング、梱包などの作業作業件数に応じた変動費作業ごとの単価と、付帯作業の追加費用
配送料配送会社への運賃出荷件数・サイズ・距離に応じた変動費配送会社の選択肢と、運賃の改定時の扱い
管理費業務管理やサポートの費用固定費含まれるサポートの範囲

見積で見落としやすい費用

  • 繁忙期の割増料金や、人員確保のための追加費用
  • 最低保証料(出荷が少なくても請求される下限の費用)の有無
  • 返品、検品のやり直し、ギフト包装などの例外対応や付帯作業の費用
  • 受注システムや在庫システムとの連携にかかる費用
  • 委託先を変更するときの、在庫の移管や契約解除にかかる費用

物流会社の解説でも、料金体系の透明性や、繁忙期の追加料金、最低保証料の有無を事前に確認することが勧められています(参考:https://www.sagawa-logi.com/column/about-outsourcing/)。基本料金だけで比べず、見えにくい費用まで含めた総額で比べます。

複数社に同じ条件で見積を依頼する

見積を比べるには、各社に同じ条件を伝えることが前提です。依頼の前に、次の情報を自社でそろえておきます。

  • 月ごとの出荷件数と、繁忙期の最大値
  • 取り扱う品目数(SKU数)と、商品のサイズ・重量
  • 温度管理の要否(常温・冷蔵・冷凍)
  • 入荷の頻度と形態(パレット、ケース、バラなど)
  • 返品の割合と、返品後の扱い
  • ギフト包装や検品など、付帯作業の内容
  • 連携したい受注システム・在庫システム

これらの数字は、自社の受注と在庫の記録から集めます。記録が帳票ごと・拠点ごとに分かれていると、集計に時間がかかり、見積の条件にも誤差が出やすくなります。

委託するか自社に残すか|判断の基準とセルフチェック

物流を委託するかどうかは、出荷量の波、固定費の重さ、品質のばらつき、本業に割く時間の4点で判断します。波が小さく自社で回っているなら、無理に委託する必要はありません。

判断の軸委託を検討しやすいケース慎重に検討したいケース
出荷量の波繁閑差が大きく、繁忙期に人手や保管場所が足りない出荷量が安定していて、自社の人員で回っている
固定費倉庫・人員・車両の費用が重く、取扱量の変動に追いつかない固定費が収益を圧迫しておらず、自社の設備に余裕がある
品質出荷ミスや遅れが続き、原因の特定と改善が進まない梱包や検品、顧客対応そのものが自社の価値の源泉になっている
自社の時間物流の運営に時間を取られ、商品開発や販売に手が回らない物流のノウハウを社内に蓄積したい
データの整備出荷件数や在庫量を、委託先に渡せる形で集計できる在庫や出荷の記録が分散していて、委託先に渡す数字がそろわない

全部を委託する必要はありません。倉庫だけ、出荷作業だけ、配送手配だけといった一部の委託から始め、運用が安定してから範囲を広げることもできます。次のセルフチェックで、いまの物流のやり方を点検してみてください。

自社の物流、いまのやり方のままで足りていますか?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

物流アウトソーシング会社の選び方|比較する7項目と見学で確認すること

委託先は、商材への対応、実績、料金の透明性、システム連携、立地、品質・セキュリティ体制、サポート体制の7項目を、同じ基準で比べて選びます。

比較項目確認すること聞き方の例
商材への対応温度管理(冷蔵・冷凍)、ロット管理、サイズ・重量、壊れ物や危険物の取り扱い自社の商材と同じ条件の取り扱い実績はありますか
実績自社と似た業種・規模・出荷量の取引実績、顧客からの評価似た条件の取引先の運用例を教えてください
料金の透明性保管料・作業料・配送料の内訳、繁忙期の追加料金、最低保証料見積に含まれない費用はどのようなものですか
システム連携受注システム・ECカート・在庫システムとの連携、在庫のリアルタイム確認自社のシステムとはどの方式で連携できますか
立地とキャパシティ配送先への距離、高速道路へのアクセス、取扱可能な荷量繁忙期の最大出荷量はどこまで対応できますか
品質・セキュリティ検品の体制、誤出荷の防止策、情報セキュリティや品質管理の取り組み誤出荷が起きたときの対応と再発防止の流れを教えてください
サポート体制専任の担当者、定例の報告、問い合わせの窓口定期的な報告の内容と頻度はどのようになりますか

費用だけで選ぶと、追加費用やクレームの増加で、結果的に高くつくことがあります。自社の課題(何を解決したいのか)を先に整理し、その課題に対応できるかを軸に比べます。

現場見学で確認すること

候補を絞ったら、可能なら委託先の物流現場を見学します。見学で見るべき点は、商品の置き方と棚の整理状態、入出庫の記録の取り方、検品と梱包の手順、繁忙期の人員の配置、自社と似た商材をどう扱っているか、の5点です。説明資料では見えない運用の水準が確認できます。

委託先の出自にはいくつかのタイプがある

物流アウトソーシングの事業者には、運送会社を母体とするもの、倉庫会社を母体とするもの、EC事業者向けに特化したもの、システムと一体で提供するものなど、出自の違いがあります。どの事業者にも得意な商材や規模があり、知名度や社名の大きさだけで自社に合うとは限りません。商材、出荷量、連携したいシステムに合うかで、候補を絞ります。

契約前に決めておくこと|委託範囲・例外対応・報告・責任

契約前には、委託範囲、例外対応のルール、報告の内容と頻度、責任と補償の範囲、データと在庫の扱い、解約と移管の条件の6点を、文書で決めておきます。

決めておく項目確認する内容あいまいだと起きやすいこと
委託範囲入荷から出荷までのどの作業を任せるか、付帯作業の扱い対象外の作業が増え、追加費用が発生する
例外対応のルール返品、欠品、誤出荷、イレギュラーな注文が起きたときの手順と費用対応の遅れと、責任の押し付け合い
報告の内容と頻度在庫数、出荷実績、作業の状況を、どの形式でいつ報告するか自社の記録と委託先の記録が合わず、原因をたどれない
責任と補償破損・紛失・誤出荷が起きたときの責任の範囲と補償の方法損害が出たときに、負担の割合で揉める
データと在庫の扱い在庫データの帰属、情報セキュリティ、棚卸の方法と頻度在庫の差異が出ても検証できない
解約と移管解約の条件と予告期間、在庫と運用の移管の手順委託先を変えたくても、移管に時間と費用がかかる

国土交通省の物流効率化法のページは、運送の契約では、役務の内容や対価を記載した書面の交付が必要になると説明しています(出典:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000034.html)。委託の範囲と費用、責任を文書で残しておくことが、あとからの揉め事を防ぐ基本です。

なお、本記事の内容は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。契約書の具体的な条項や、個別の取引に法令が適用されるかどうかは、弁護士などの専門家に確認してください。

サービスレベルの目安を数字で決める

報告の取り決めとあわせて、品質の目安を数字で決めておくと、運用の見直しがしやすくなります。たとえば、出荷の締め時間、誤出荷の発生率、在庫差異の許容範囲、問い合わせへの回答時間などです。数字は自社と委託先で話し合い、無理のない水準から始めて、定例の報告で見直します。

導入の流れと期間|課題の整理から本稼働まで

物流アウトソーシングの導入は、課題の整理、委託先の選定と見積、現場見学、契約、試験運用、本稼働の順に進み、一般的には検討開始から運用開始まで2か月から半年ほどかかるとされています。

ステップやること自社で用意するもの
1. 課題と目的の整理費用、品質、人手のうち、何を解決したいかを決める現状の課題と、達成したい目標
2. 現状データの整理出荷件数、在庫量、品目数、繁閑の波を集計する受注・在庫・出荷の記録
3. 委託範囲の決定と候補の選定任せる範囲を決め、候補を絞る委託範囲の案、比較項目
4. 見積の比較と現場見学同じ条件で見積を取り、現場を見学する見積の依頼条件、確認項目
5. 契約と運用ルールの設計委託範囲、例外対応、報告、責任、システム連携を決める契約書の案、報告の形式
6. 試験運用一部の商品や拠点から始め、運用を検証する検証の基準と担当者
7. 本稼働と定期的な見直し範囲を広げ、定例の報告で数字を見直す定期的に確認する指標

期間については、物流会社の解説に、検討開始から運用開始まで一般的に2か月から半年程度という目安が示されています(参考:https://www.kantsu.com/case/%E7%89%A9%E6%B5%81%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BD%9C%E7%89%A9%E6%B5%81%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%B3/)。実際には、委託の範囲、システム連携の有無、商品の数によって変わります。最初から全商品を移すのではなく、一部の商品や拠点で試験運用してから範囲を広げると、問題が小さいうちに見つけられます。

委託しても荷主に残る責任|物流効率化法で確認しておくこと

物流を委託しても、荷主としての責務はなくなりません。物流効率化法は荷主と物流事業者に努力義務を課し、一定規模以上の特定荷主には計画の作成などを義務付けています。

国土交通省の物流効率化法のページによると、荷主・物流事業者の努力義務は令和7年(2025年)4月1日に施行され、対象にはトラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫が含まれます(出典:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000034.html)。努力義務の内容は、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮です。2026年4月からは、一定規模以上の荷主・物流事業者が特定事業者に指定され、中長期計画の作成や定期報告などが義務になります。

区分内容時期
努力義務すべての荷主・物流事業者が、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に取り組む2025年4月1日
国の目標(基本方針)1運行の荷待ち時間・荷役等時間を2時間以内、1回の受渡しごとを1時間以内にする。全体の車両の積載効率を44%に増やす(5割の車両で50%)基本方針で設定
特定事業者の指定基準特定荷主・特定連鎖化事業者は取扱貨物の重量9万トン以上。特定貨物自動車運送事業者等は保有車両150台以上。特定倉庫業者は貨物の保管量70万トン以上2026年4月
特定事業者の義務中長期計画の作成、定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任(CLOは特定荷主・特定連鎖化事業者のみ)2026年4月
実施が不十分な場合勧告・命令の対象になる2026年4月

出典は、国土交通省の物流効率化法のページと理解促進ポータルサイト、特定事業者の義務を説明する資料(PDF)です。数値は2026年10月時点で確認した内容で、改正や運用の細則は変わることがあるため、対象になるかどうかの判断は、最新の公式情報と専門家で確認してください。

この背景には、物流を担うドライバーの労働時間の制約があります。厚生労働省によると、自動車運転の業務にも2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、特別条項付きの36協定を締結する場合の上限は年960時間です(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html)。荷待ちや荷役に長い時間がかかる現場は、この制約の中で運べる量を減らす要因になります。

物流を委託する側にとっての実務上のポイントは、委託先を選ぶときに、荷待ち時間の短縮や積載効率の向上に協力できる体制があるかを確認材料に加えることです。出荷の予約や締め時間、パレットの使い方といった荷主側の運用が、委託先の作業時間にも影響します。

委託後に自社で持っておくデータ|在庫と出荷の見える化

物流を委託した後も、自社は、在庫の数、受注、出荷実績、委託先の報告の4つを突き合わせて確認できる状態にしておく必要があります。

  • 在庫の数と置き場所。委託先の在庫報告と、自社の帳簿上の在庫を定期的に照合します。
  • 受注の記録。委託先に出荷指示を出すもとになるデータで、遅れや誤りがあると出荷に影響します。
  • 出荷実績。出荷件数や配送の状況を、見積の前提や委託後の評価と比べます。
  • 委託先の報告。在庫差異、誤出荷、返品の状況を、取り決めた形式と頻度で受け取ります。

これらをExcelや帳票で別々に持っていると、差異が出たときの原因の追跡に時間がかかります。在庫の持ち方で、検討するシステムの型も変わります。倉庫内の入出庫やロケーションを管理するのが倉庫管理システム(WMS)、在庫の数と場所を把握するのが在庫管理システム、受注から購買・在庫・原価までをつなげるのが生産管理系のシステムです。在庫管理システムの種類や選び方は、在庫管理システムおすすめ15選を比較した記事、在庫管理の基本は在庫管理とは?重要性や目的、基本的な仕事内容を解説した記事で解説しています。

個別受注生産の中小製造業で、委託先に渡す前提の受注・購買・在庫の数字を社内でそろえたい場合は、FUSEのような生産管理システムの資料で、自社の業務に合う範囲を確認できます。小売・EC中心の会社は主な対象ではないため、自社の業態に合うかを資料で確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 物流アウトソーシングとは何ですか?

A. 入荷・保管・在庫管理・出荷・配送手配・返品対応などの物流業務の一部または全部を、外部の専門事業者に委託することです。倉庫や人員、車両を自社で持たずに済み、出荷量の増減に合わせて費用を調整しやすくなります。任せる範囲は、倉庫業務のみ、出荷作業のみ、一括委託、物流の設計まで含む3PLなど、事業者や契約によって異なります。

Q2. アウトソーシングはよくないと言われるのはなぜですか?

A. 委託先に依存して切り替えの負担が大きくなること、細かい対応や柔軟な対応が難しい場合があること、自社にノウハウが残りにくいことが、主な理由です。委託範囲があいまいなまま任せきりにすると、追加費用や責任の押し付け合いも起きます。目標と報告の取り決め、定期的な見直しを前提にすれば、これらは小さくできます。

Q3. 物流アウトソーシングで有名な会社はどこですか?

A. 運送会社を母体とするもの、倉庫会社を母体とするもの、EC事業者向けに特化したものなど、さまざまなタイプの事業者があり、どこが適するかは自社の商材・出荷量・連携したいシステムで変わります。知名度だけで選ばず、商材への対応、実績、料金の透明性、システム連携などを同じ基準で比べ、現場を見学して決めます。

Q4. 物流アウトソーシングと3PLの違いは何ですか?

A. 物流アウトソーシングは、倉庫や出荷などの作業の委託を含む広い言葉です。3PLは、国土交通省の説明では、荷主企業に代わって物流戦略の企画立案やシステム構築の提案を行い、それを包括的に受託して実行することです。作業だけを任せるなら発送代行や倉庫業務の委託、設計や改善提案まで任せるなら3PLと考えると整理しやすくなります。

Q5. 物流アウトソーシングの費用は何で決まりますか?

A. 初期費用、システム利用料、保管料、入出庫・作業料、配送料などの組み合わせで決まり、保管量、出荷件数、商品のサイズ、付帯作業の有無で変わります。繁忙期の割増や最低保証料、例外対応の費用も確認が必要です。金額は条件で大きく変わるため、同じ条件を複数社に伝えて見積を取って比べます。

Q6. 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?

A. 物流会社の解説では、検討開始から運用開始まで一般的に2か月から半年程度とされています。委託範囲、システム連携の有無、商品の数によって変わります。最初は一部の商品や拠点で試験運用し、問題がないことを確認してから範囲を広げると、移行のリスクを抑えられます。

まとめ|物流アウトソーシングを検討するときの6つのポイント

物流アウトソーシングは、委託する範囲と、委託後の運用の仕組みで成果が決まります。最後に、押さえておきたいポイントを6つにまとめます。

  1. 物流アウトソーシングは、入荷・保管・在庫管理・出荷・配送手配・返品対応などの物流業務を、外部の専門事業者に委託すること。物流の企画立案から実行までを包括的に任せる形が3PL。
  2. 任せる範囲は、倉庫のみ、出荷のみ、配送手配のみ、一括、3PLの順に広がる。まず一部から始め、運用が安定してから広げる。
  3. メリットは費用の変動費化・品質の安定・繁閑差への対応・本業への集中。デメリットは委託先への依存と、ノウハウが残りにくい点。費用は内訳と見えないコストまで含めた総額で比べる。
  4. 委託先は、商材への対応、実績、料金の透明性、システム連携、立地、品質・セキュリティ、サポート体制の7項目で比べ、現場を見学して決める。
  5. 契約では、委託範囲、例外対応、報告、責任と補償、データの扱い、解約と移管を文書で決める。委託しても、荷主としての物流効率化法上の責務は残る。
  6. 委託後も、在庫・受注・出荷実績・委託先の報告を突き合わせられるよう、社内のデータを整える。在庫と受注の記録が分散している場合は、在庫管理や生産管理のシステムを検討対象に加え、資料で自社の業務に合う範囲を確認する。

参考文献

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