カンパニー制とは?事業部制・持株会社制との違いと導入企業の例を解説

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  • カンパニー制は法人が分かれない仕組み
  • 事業部制より権限が広く損益に責任
  • 導入例はソニー・トヨタ・パナソニック

カンパニー制とは、事業部門を社内で独立した会社のように扱い、損益の責任と人事・投資などの権限を各カンパニーに委ねる組織の仕組みです。法人としては分かれず、同じ会社の社内組織として運営する点が、子会社を持つ持株会社制との違いです。この記事では、カンパニー制の意味と仕組み、事業部制・持株会社制との違い、メリットとデメリット、ソニー・トヨタ・パナソニックの導入や移行の例、導入するときの進め方を、各社の公表資料と公的機関の資料で確認した範囲で整理します。カンパニー制は人事や評価の運用が各カンパニーに分かれやすいため、全社の人事情報をどう揃えるかにも触れます。

カンパニーごとの人事情報、全社でどこまで揃っていますか?2問で確認

Q1. いま知りたいのはどちらですか?

目次

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  1. カンパニー制とは?意味と仕組みをわかりやすく
  2. カンパニー制と事業部制・持株会社制の違い|法人格と権限で比べる
  3. カンパニー制のメリット・デメリット|導入前に知りたい5つずつ
  4. カンパニー制を導入している企業の例|ソニー・トヨタ・パナソニック
  5. カンパニー制を導入するときの進め方と注意点
  6. カンパニー制の人事情報の整え方|異動・評価・経営人材を全社で見える化する
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ|カンパニー制で押さえたい6つのこと
  9. 参考文献

カンパニー制とは?意味と仕組みをわかりやすく

カンパニー制とは、事業部門を社内の独立した会社のように位置づけ、各カンパニーに損益の責任と、人事・投資を含む広い権限を持たせる経営の仕組みです。

「社内カンパニー制」とも呼ばれます。各カンパニーの責任者(プレジデントなどと呼ばれます)が、自分のカンパニーの経営判断を担い、成果は損益で問われます。日本では1994年にソニーが初めて導入したと、経営学論集第85集の報告要旨にあります。同じ要旨は、経営学者の沼上幹氏の整理にもとづき、カンパニー制を事業部制の発展形とし、各事業部に資産・負債・資本を割り当てて、投下資本収益率や株主資本利益率、EVA(経済的付加価値)などの指標で評価する仕組みと説明しています(経営学論集第85集「ソニーにおける組織構造の変遷」報告要旨)。

カンパニー制そのものに法律上の定めや手続きはなく、権限をどこまで渡すかは企業ごとに異なると解説されています(Indeed「カンパニー制は事業部制と何が違う?」)。同じ「カンパニー制」という名前でも、会社によって中身が違う点に注意が必要です。

カンパニー制の3つの特徴

  1. 独立採算:カンパニーごとに損益を管理し、典型的には貸借対照表(資産・負債・資本)まで責任を持つ
  2. 権限の委譲:事業の運営に加え、人事権や投資の判断も各カンパニーの責任者に渡す
  3. 法人は1つ:カンパニーは社内の組織であり、別の法人(子会社)にはならない

ここで押さえておきたいのは、権限が各カンパニーに移るほど、人事の情報もカンパニーの中に分かれて溜まりやすくなる点です。役職、所属、評価、スキルの持ち方がカンパニーごとに違うと、カンパニーをまたぐ異動や、全社での人材配置の検討に必要な情報が揃いません。この記事では、人事情報の整理に使えるサービスとして、自社の資料請求フォームから資料を取り寄せられる3つを紹介します。

カンパニーをまたぐ配置や人材の状況を、図で見ながら整理したい場合の一例が、株式会社カオナビが提供する「カオナビ」です。商品ページでは、「組織ツリー図」「配置バランス図」「社員データグラフ」といった、社員のスキルや配置を可視化しやすい機能が紹介されています。1社に1人の専任サポートがつき、システムを使いこなすための支援が充実している点も特徴とされています。注意点として、目的や規模により価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要とされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。なお、商品ページにカンパニー制専用の機能の記載はなく、カンパニーごとの損益管理や権限規程の設計は別に行う必要があります。

株式会社カオナビ

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あらゆる人材データをグラフや図で簡単に可視化◎見える化を重視する企業におすすめ

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出典:kaonavi

導入企業:TOTO株式会社、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)など

口コミ

「カオナビ」での運用に切り替えてからは、さまざまな面で効果が出たと感じています。今までメールで行なっていたExcelシートの授受や記入漏れはほとんどなくなりましたし、評価者や人事担当者が入力の進捗確認もできるようになることで、一部入力が遅れている人がいたとしても全体の進行が止まることがなくなりました。また、以前はExcelに設定していた計算式が壊れるといったトラブルもあったので、その対応に対する手間を考えると効果は絶大です。

評価を大幅効率化、異動検討もスムーズに。サツドラHDの「カオナビ」活用法 https://www.kaonavi.jp/showcase/sat/
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  • 目的や規模により価格に幅がある為、詳細料金は問い合わせる手間が必要
評価・口コミ(一部抜粋)
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  • UIがわかりやすく、そもそもシステムに慣れるまでに利用者が離脱することや敬遠されることが少なかった。またそれぞれで俗人化していた教育研修コンテンツなどを共有することでナレッジのシェアや、そのようなコンテンツを作ることなどに興味を持つ人間なども把握することができ、社内の人材配置などにも間接的にポジティブな影響を与えていたと感じる。

  • 本サービスの導入により、全社員の経歴や評価に関して、一元管理できるようになり、業務効率化に繋がった。また、全社員の氏名から顔写真の検索が可能となり、社員間のコミュニケーション活性化に寄与した。

  • カオナビを導入したことで、人材情報の散在や属人化といった課題が解消されました。社員の顔と情報をひと目で把握でき、評価や配置の判断がスムーズに行えるようになった点が大きなメリットです。また、育成やタレントマネジメントに活用できるため、戦略的人事の実現にもつながっています。データの一元管理により、部門間の連携も強化されました。

「人材情報はExcelベースで管理していたので手間がかかっていました。」

サツドラホールディングス株式会社の導入事例より(カオナビの導入事例)
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カンパニー間の人事情報を整える3サービスの役割

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この状況に合う一例:カオナビは、組織ツリー図や配置バランス図で人材データを図にして見られるため、カンパニーをまたぐ配置や人材の状況を図で見ながら整理したい会社に向きます。

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この状況に合う一例:ジンジャー人事労務は、従業員の情報が自動で時系列にまとまるため、カンパニーごとに分かれた台帳を1つのデータベースにまとめ、履歴を追いたい会社に向きます。

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この状況に合う一例:タレントパレットは、人事異動シミュレーションなどを備え、人材データを一元管理できるため、カンパニーをまたぐ異動や配置の検討に使いたい会社に向きます。

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注意したい点 目的や規模により価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要 申し込みから運用開始まで、最低でも2-3か月程度かかる 高機能・多機能な反面、無料トライアルがなく、必要な機能の判断が難しい
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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。商品ページの確認日は2026年10月22日です。

カンパニー制と事業部制・持株会社制の違い|法人格と権限で比べる

カンパニー制は、事業部制よりも人事や投資の権限が広く、持株会社制と違って法人が分かれない、中間にあたる仕組みです。損益に加えて資産・負債まで責任を持つ点も、事業部制との違いとして挙げられます。

比べる点事業部制カンパニー制持株会社制(ホールディングス制)
法人格分かれない(社内組織)分かれない(社内組織。法律上は同一の会社)傘下の会社は別法人
権限の範囲事業の運営が中心。人事権や投資の権限は本社に残る人事権や投資権を含む、独立した会社に近い権限傘下の会社が経営・意思決定の権限を持つ
責任の範囲損益まで損益に加え、貸借対照表まで法人ごとに独立
決算会社として1つ社内で独立採算。会社としての決算は1つ法人ごとに別々
導入の主な狙い企業再編時の経営のスリム化責任の明確化、意思決定の迅速化、経営人材の育成事業リスクの切り分け、事業の売却や買収のしやすさ

出典:カオナビ人事用語集「カンパニー制」、Indeed「カンパニー制は事業部制と何が違う?」、持株会社の相談窓口「持株会社制とカンパニー制、どちらがいい?」。いずれも一般的な解説にもとづく整理で、権限の範囲は会社ごとに異なります。

カンパニー制と事業部制の違い

事業部制は、事業運営の権限は事業部に与えても、人事や投資の権限は本社に残すのが一般的とされます。カンパニー制は、これらの権限も責任者に渡し、責任も貸借対照表にまで広げる点が違いです(カオナビ人事用語集「カンパニー制」)。事業部制のほうが本社の関与が強く、カンパニー制のほうが各カンパニーの独立性が高いと考えるとわかりやすくなります。

なお、事業部制とカンパニー制の線引きは法律で決まっているわけではなく、権限をどこまで渡すかは企業ごとに異なります。そのため、事業部制と呼んでいても人事の権限を広く渡している会社や、カンパニー制と呼んでいても本社の関与が強い会社がありえます。自社や取引先の制度を見るときは、名称ではなく、人事・投資・資金の3つの権限が誰にあるかで確かめるのが確実です。

カンパニー制と持株会社制(ホールディングス制)の違い

持株会社制は、持株会社が複数の会社の株式を持ち、傘下の会社を別法人として運営する仕組みです。カンパニー制は、会社は1社のまま、社内に仮想の会社を複数置いて運営します(持株会社の相談窓口「持株会社制とカンパニー制、どちらがいい?」)。法人が分かれるかどうかが、最も大きな違いです。

持株会社は、昭和22年の独占禁止法の制定以来、設立が全面的に禁止されていました。平成9年(1997年)の独占禁止法改正で全面禁止が改められ、同年12月17日に施行されています(公正取引委員会 年次報告(平成8年版)「独占禁止法制の動き」、公正取引委員会 年次報告(平成9年版)「持株会社の設立等」)。日本で持株会社制が使えるようになったのは、この改正以降です。ただし、改正後も、事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の設立は禁止の対象とされています。

2つの制度は二者択一ではありません。持株会社制への移行に先立ち、中核の会社を社内カンパニー制で試験的に運営してから完全な持株会社制へ移る例が紹介されています。一社のままであった理由として、対外取引や許認可などが挙げられており、法人を分ける前にこれらへの影響を確かめておく必要があると読み取れます(持株会社の相談窓口「持株会社制とカンパニー制、どちらがいい?」)。

社内分社・社内カンパニーなど、呼び方は会社ごとに違う

同じ仕組みでも、「カンパニー制」「社内カンパニー制」「社内分社」など呼び方は会社によって違います。たとえばパナソニック株式会社は、2022年4月1日の発表で、「くらしアプライアンス社」など5つの「社内分社」を中心に事業を展開すると公表しています(パナソニック「グループの新体制移行により新たなパナソニック株式会社が発足」(2022年4月1日))。名称だけで中身を決めつけず、権限と責任の範囲を、規程や公表資料で確かめてください。

カンパニー制のメリット・デメリット|導入前に知りたい5つずつ

カンパニー制のメリットは、責任の所在が明確になり、意思決定が速くなる点です。デメリットは、管理部門の重複でコストが増え、カンパニー間の連携が弱まりやすい点です。

カンパニー制のメリット

メリット内容
損益と責任の所在が明確になるカンパニーごとに損益を数字で把握でき、評価や課題の分析がしやすくなる
意思決定が速くなる現場に裁量があり、市場や顧客のニーズの変化に素早く対応できる
組織が活性化するカンパニー同士の競争意識や責任感が生まれ、生産性や売上の向上が期待できる
資本効率を意識した経営になる資本も経営資源として配分され、ROEなどの資本効率を意識するようになる
経営人材を育てられるカンパニーの責任者が経営判断を経験でき、将来の経営者の育成につながる

出典:カオナビ人事用語集「カンパニー制」、BOXIL Magazine「カンパニー制とは」、持株会社の相談窓口「持株会社制とカンパニー制、どちらがいい?」。いずれも一般的な解説で、効果の大きさは会社によって異なります。

カンパニー制のデメリット

デメリット内容
間接部門が重複してコストが増える人事・経理などをカンパニーごとに置くと、費用が増えるおそれがある。資金管理も分散すると回転が悪くなる
カンパニー単体の利益を優先しやすい全社の利益より自分のカンパニーの利益を優先し、カンパニー間の対立や、横のつながりの弱まりが起きるおそれがある
不正が見えにくくなる結果を重視する風潮と大きな裁量が重なると、本社のガバナンスが効きにくくなるおそれがある
評価基準が不公平になりやすいカンパニーごとに基準が違うと、社員の不満やモチベーションの低下を招く
全社の統一的な判断が難しくなる本社の関与が強すぎると独立性が失われ、弱すぎると全社の意思決定がまとまりにくい

出典:カオナビ人事用語集「カンパニー制」、BOXIL Magazine「カンパニー制とは」、Indeed「カンパニー制は事業部制と何が違う?」。

ソニーが廃止した理由|報告要旨が挙げる3つの問題点

カンパニー制を導入した会社が、後にやめた例もあります。ソニーは1994年に日本で初めてカンパニー制を導入し、1999年にはカンパニー制を強化した「ネットワーク・カンパニー制」を採用しましたが、2005年にカンパニー制を廃止しました。経営学論集第85集の報告要旨は、その背景を組織構造の面から分析し、次の3点を挙げています(経営学論集第85集「ソニーにおける組織構造の変遷」報告要旨)。

  1. 関連型の多角化を進めるエレクトロニクス部門では、部門の切り分けが難しかった
  2. EVAを導入して個人の業績と連動させたことで、ネットワーク・カンパニー間の調整が難しくなった
  3. グループ本社が投資家的な機能に特化したため、ネットワーク・カンパニー間の調整が難しかった

ここで注意したいのは、これは一人の研究者による分析であり、ソニー自身が廃止の理由をこのように説明したものではない点です。それでも、「部門の切り分けが難しい事業ほど、カンパニーに分けても連携の問題は解けない」「評価と報酬を結びつけすぎると、全社の利益より部門の利益を優先しやすい」「本社が調整の役割を手放すと、カンパニー間の対立を解く人がいなくなる」という見方は、他の解説が挙げるデメリットとも重なります。

カンパニー制を導入している企業の例|ソニー・トヨタ・パナソニック

カンパニー制の代表例は、日本で最初に導入したソニーと、2016年に製品群ごとの7カンパニー体制へ移行したトヨタ自動車です。パナソニックは、カンパニー制から持株会社制へ移った例です。

企業時期公表資料で確認できる内容
ソニー1994年に導入。1999年にネットワーク・カンパニー制。2005年に廃止日本で初めてカンパニー制を導入した。その後の変更と廃止の経緯は、経営学論集第85集の報告要旨にある
トヨタ自動車2016年3月2日に発表。同年4月に新体制(組織改正は4月18日付)製品群ごとの7カンパニー体制へ移行。目的は、開発から製造まで一体で「もっといいクルマづくり」と人材育成を行うこと、意思決定を速めて完結させること、中長期のビジョンと経営戦略の策定機能を強めること。責任と権限は各カンパニーのプレジデントに集約
パナソニック2020年11月13日に持株会社制への移行を決定。2022年4月1日に移行移行に先立ち2021年10月に現行のカンパニー制を廃止する予定と公表。2022年4月1日、持株会社・事業会社制へ移行し、新たなパナソニック株式会社は5つの社内分社を中心に事業を展開

出典:経営学論集第85集「ソニーにおける組織構造の変遷」報告要旨、トヨタ自動車「新体制を公表」(2016年3月2日)、パナソニック「持株会社制への移行について」(2020年11月13日)、パナソニック「グループの新体制移行により新たなパナソニック株式会社が発足」(2022年4月1日)。トヨタの7カンパニーは、先進技術開発、Toyota Compact Car Company、Mid-size Vehicle Company、CV Company、Lexus International Co.、パワートレーン、コネクティッドです。

導入企業の一覧では、パナソニックをカンパニー制の例として紹介する解説もあります。同社は2022年4月に持株会社・事業会社制へ移行しているため、現在の体制の話か過去の体制の話かを確かめて読むのが安全です。また、ここで確認できたのは公表資料のある3社だけで、これ以外の会社の導入状況は、各社の公表資料で確認してください。

3社の例からは、カンパニー制は固定された制度ではなく、事業環境や経営課題に応じて強めたり、持株会社制へ移ったり、やめたりしながら使われていることがうかがえます。導入を考えるときは、「導入するか」だけでなく、「どの権限を、どこまで、いつまで渡すか」を見直す前提で設計しておくと、後の組織変更に対応しやすくなります。

カンパニー制を導入するときの進め方と注意点

カンパニー制の導入は、目的を決め、カンパニーの単位と権限の範囲を決め、評価基準を揃え、社員に説明する順で進めます。解説に共通する要点を、手順にまとめます。

  1. 目的を決める:責任の明確化、意思決定の速さ、経営人材の育成のうち、何を一番に求めるかを決める
  2. カンパニーの単位を決める:事業や製品群のまとまりで切り、まずは各カンパニーの損益の大まかな数字を把握する
  3. 権限の範囲を決める:人事・投資・資金のどこまでを渡すか、本社に残すかを文書にする
  4. 本社機能と間接部門の扱いを決める:人事・経理などを本社に残すか、カンパニーに置くか。段階的に分ける方法もある
  5. 評価基準・等級を揃える:カンパニーごとに基準が違うと、社員の不満や離職につながる
  6. 社員に説明する:組織図や変更点を分かりやすく伝え、不安を減らすため数回に分けて説明する

出典:カオナビ人事用語集「カンパニー制」、BOXIL Magazine「カンパニー制とは」、Indeed「カンパニー制は事業部制と何が違う?」。手順の順序や粒度は会社によって異なります。

導入で失敗しやすい4つの注意点

注意点起きやすいこと対応の考え方
本社が口を出しすぎるカンパニーの独立性が失われ、形だけの制度になる権限の範囲を文書にし、本社は結果の確認と全社の調整に役割を絞る
評価基準が揃っていない不公平感が生まれ、社員のモチベーションが下がる等級・評価の物差しは全社で揃え、カンパニー固有の指標は別に持つ
カンパニー間の連携が薄れる新規事業や技術・アイデアの共有が進まない人材交流やプロジェクトで、カンパニーをまたぐ接点をつくる
間接部門の重複でコストが増える人事・経理などの重複で経費がふくらむ共通業務は本社に集約するか、外部の資源も含めて見直す

出典:カオナビ人事用語集「カンパニー制」、BOXIL Magazine「カンパニー制とは」、Indeed「カンパニー制は事業部制と何が違う?」。

取締役会で決める事項と、カンパニーの責任者の位置づけ

カンパニー制を敷いても、会社法上は1つの株式会社のままです。取締役会設置会社では、「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」と「支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止」は、重要な業務執行の決定として取締役に委任できない事項に挙げられています(会社法362条4項3号・4号。会社法(e-Gov法令検索))。カンパニーの新設や再編、責任者の選任がこれらにあたるかは、組織の規模や実態によって判断が分かれるため、条文だけでは決まりません。導入前に、取締役会の決議事項と社内規程を確かめておくと安心です。

なお、カンパニーの責任者(プレジデント)は、会社法上の機関ではなく、会社が定める社内の役職です。代表権があるかどうかは、代表取締役に選ばれているかで決まります。役職と権限の考え方は、社長と代表取締役の違いを解説した記事や、執行役員とは何かを解説した記事で詳しく整理しています。以上は条文の紹介であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士などの専門家にご相談ください。

ステップ5の「評価基準・等級を揃える」と、ステップ3の「人事権をどこまで渡すか」では、人事情報の持ち方が実務の壁になります。カンパニーごとにExcelや台帳で人員・役職・評価を管理していると、基準を揃える前に、まず現状の把握に時間がかかります。従業員の情報を1つのデータベースにまとめ、役職や所属の履歴を時系列で確認したい場合の一例が、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー人事労務」です。商品ページでは、1つのデータベースで人事情報を一元管理でき、ペーパーレス化や業務効率化につながる点と、従業員に関する情報が自動で時系列にまとめられ、いつでも確認できる点が紹介されています。企業ごとにカスタマイズできる点も特徴とされています。注意点として、申し込みから運用開始まで最低でも2-3か月程度かかるとされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。なお、商品ページにカンパニー制専用の機能の記載はなく、権限規程や評価制度の設計は別に行う必要があります。

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出典:ジンジャー人事労務

導入企業:株式会社モスフードサービス、エイブル保証株式会社など

口コミ

ジンジャー導入前は、システム間のデータ連携処理に相当な時間がかかっていました。
月中に入社する社員もいるため週次でこの処理が発生するのですが、人事から勤怠、人事から給与…とそれぞれで連携処理をおこなう必要があり、各連携には1時間ほどかかっていましたね。週で換算すると10時間ほどかかっていたと思います。

ジンジャーではこの連携処理にかかる時間がゼロになったので、業務が止まってしまったり、PCの動作が重くなったりすることもなく助かっています。

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ここまでの内容を、自社の運営に当てはめて確かめてみてください。下のチェックは、カンパニー制の運営で人事情報の面でつまずきやすい点を並べたものです。

カンパニー制の運営、人事情報の持ち方は今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

チェックが2つ以上当てはまる場合は、役職・所属・評価・異動の情報を全社で共通の形に集め、カンパニーごとの違いを後から比べられるようにすると、評価基準を揃える作業や組織変更の負担を減らせます。比べて検討するなら、3サービスの資料をまとめて取り寄せると、機能や運用の違いを見比べやすくなります。

カンパニー制の人事情報の整え方|異動・評価・経営人材を全社で見える化する

カンパニー制で全社共通にしておきたい人事情報は、役職・所属・兼務の履歴、等級と評価の基準、スキルと経歴、カンパニー別の人員と異動の5つです。

カンパニー制は人事権もカンパニーへ渡すため、放っておくと人事情報の持ち方まで別々になります。解説が共通して挙げる「評価基準の統一」「経営人材の育成」「カンパニー間の連携」は、いずれも全社で比べられる人事情報が土台になります。それぞれに必要な情報を整理すると、次のとおりです。

全社で揃えたい情報なぜ必要か関係する論点(出典)
役職・所属・兼務の履歴カンパニーの組織変更や責任者の交代のたびに、組織図と人員表が食い違いやすい。いつ誰がどのカンパニーにいたかを後から確認できると、評価や異動の根拠をたどれる組織図や変更点の周知(Indeed)
等級・評価の基準カンパニーごとに基準が違うと、不公平感が生まれる。基準は全社で揃え、固有の指標は別に持つ人事管理や業績評価の統一(カオナビ)、評価基準の明確化(Indeed)
スキル・経歴経営人材の候補を、カンパニーをまたいで探せる。カンパニーの責任者の経験は、将来の経営人材の育成にもつながる次世代リーダーの育成(カオナビ、BOXIL)
カンパニー別の人員と異動カンパニー間の人材交流やプロジェクトを進めるには、どこに誰がいるかが見える必要があるカンパニー間の協力関係・シナジー(BOXIL、カオナビ)
説明・周知の履歴制度変更を社員に数回に分けて説明する際、誰にどこまで伝えたかを残しておくと、抜けや重複を防げる事前説明(カオナビ、BOXIL)

出典:カオナビ人事用語集「カンパニー制」、BOXIL Magazine「カンパニー制とは」、Indeed「カンパニー制は事業部制と何が違う?」。「なぜ必要か」は、これらの解説の論点を人事情報の面から整理したもので、各社の調査結果ではありません。

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出典:タレントパレット

導入企業:パナソニック株式会社、ソフトバンク株式会社など

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初見で感じたのは、やはりUIのわかりやすさです。日本人的な感覚にとてもマッチしているなと感じました。機能面では分析機能が非常に充実しています。いずれも見せかけの機能ではなく、人事情報を扱う側に立ち「これ、必要だよね」と話しかけてくるような機能が多数あり衝撃を受けました。タレントパレットの作りが、我々が目指している形そのものになっていて。何より集積したデータの分析によって、組織をより良くしていきたいという思想を感じたんですよね。マーケティングが基盤にあり、数字を根拠に結果を出していくという考え方で開発されているので、説得力があるなと感じています。

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3
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  • 上司との面談の際は、こちらのツールをみながらフィードバックなどをもらっています。考課の際は進捗状況などこちらを確認すればOKです。オンライン研修もできるのは便利だと思いました。

  • 自身のスキルや経験を可視化できるため、これまで意識していなかった強みやキャリアの方向性を客観的に見直すきっかけになりました。 また、性格テストから自分の仕事観等が分かり、新たな発見も期待できる点、メンバーの仕事の価値観も参照すれば、どのように接してほしいか等のヒントが見つかるかもしれない点がメリットかもしれないです。

「これまでの人事異動は上司の主観的な評価を元に行われがちでした。」

リコージャパン株式会社の導入事例より(タレントパレットの導入事例)

カンパニー制を導入した後は、カンパニーをまたぐ異動や、経営人材の候補の比較など、全社でデータを見て判断する場面が増えていきます。カンパニーの数や人数が増えてきた段階で、人事情報の持ち方を見直したい場合は、3つのサービスの資料を取り寄せて、運用の負担と比べてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. カンパニー制とは何ですか?

A. 事業部門を社内の独立した会社のように位置づけ、各カンパニーに損益の責任と、人事・投資を含む広い権限を持たせる経営の仕組みです。法人は分かれず、同じ会社の社内組織として運営します。法律上の定めはなく、権限の範囲は会社ごとに異なります。

Q2. 事業部制とカンパニー制の違いは何ですか?

A. 権限と責任の範囲が違います。事業部制は事業運営の権限が中心で、人事や投資の権限は本社に残るのが一般的です。カンパニー制は、人事権や投資権を含む独立した会社に近い権限を持ち、責任も損益に加えて貸借対照表にまで及びます。

Q3. ホールディングス制(持株会社制)とカンパニー制の違いは何ですか?

A. 法人が分かれるかどうかが違いです。持株会社制は、持株会社が株式を持つ傘下の会社を別法人として運営します。カンパニー制は、会社は1社のまま、社内に独立採算の単位を複数置いて運営します。決算も、持株会社制は法人ごと、カンパニー制は会社として1つです。

Q4. カンパニー制を導入している企業は?

A. 公表資料で確認できる例として、日本で最初に導入したソニー(1994年導入、2005年廃止)と、2016年に製品群ごとの7カンパニー体制へ移行したトヨタ自動車があります。パナソニックはカンパニー制から2022年4月に持株会社・事業会社制へ移行しました。他の企業は各社の公表資料でご確認ください。

Q5. ソニーはカンパニー制を廃止した理由は何ですか?

A. ソニー自身が公表した理由は、今回確認した資料の中にはありません。経営学論集第85集の報告要旨は、部門の切り分けが難しかったこと、EVAと個人業績の連動でカンパニー間の調整が難しくなったこと、本社が投資家的な機能に特化して調整が難しくなったことを、背景として挙げています。

Q6. カンパニー制のメリットとデメリットは?

A. メリットは、損益と責任の所在が明確になること、意思決定が速くなること、組織の活性化、資本効率への意識、経営人材の育成です。デメリットは、間接部門の重複によるコスト増、カンパニー間の連携の弱まり、不正の見えにくさ、評価基準の不公平、全社の統一的な判断の難しさです。

まとめ|カンパニー制で押さえたい6つのこと

  1. カンパニー制は、事業部門を社内の独立した会社のように扱い、損益と人事・投資の権限を各カンパニーに委ねる仕組みで、法人は分かれない
  2. 事業部制より権限が広く、持株会社制と違って法人が分かれない。違いは、法人格と、人事・投資・資金の権限で確かめる
  3. メリットは責任の明確化と意思決定の速さ。デメリットは、間接部門の重複、カンパニー間の連携の弱まり、評価基準の不公平
  4. ソニー(1994年導入、2005年廃止)、トヨタ(2016年に7カンパニー)、パナソニック(2022年に持株会社・事業会社制へ)のように、事業環境に応じて見直されている
  5. 導入では、目的、カンパニーの単位、権限の範囲、評価基準、社員への説明の順に決め、取締役会の決議事項と社内規程も確かめる
  6. カンパニー間の異動や評価を全社で比べるために、人事情報を共通の形に集める仕組みの資料を取り寄せて比べる

参考文献

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