出張旅費規程とは?義務の有無・記載項目・作り方とひな形を解説

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  • 規程の意味と作成義務の有無がわかる
  • 通達9-3を踏まえた作り方がわかる
  • 国内出張向けの条文ひな形も確認できる

出張旅費規程とは、出張したときの交通費・宿泊費・日当の支給基準と、申請から精算までの手順を定めた社内規程のことです。会社に作成を一律で義務づける法律の条文は確認できた範囲では見当たりませんが、日当をいくら支給するかは会社の定めが根拠になり、非課税で支給できるかどうかも、国税庁の通達が示す「通常必要な範囲か」で判断されます。支給の基準を文書にして社内で統一しておくと、出張のたびの個別判断や精算の行き違いを減らせます。この記事では、規程の意味と作成の義務の有無、記載する項目、所得税基本通達9-3を条文に落とす考え方、国内出張向けの条文のひな形、一人社長や海外出張など迷いやすいケースまでを、公的資料に沿って整理します。日当の金額の相場と税務の詳細は別の記事に任せ、この記事では規程そのものに絞って解説します。

出張旅費規程の悩み、どこから見直す?2問で診断

Q1. いま一番知りたいのは?

目次

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  1. 出張旅費規程とは?定める内容と旅費の3つの区分
  2. 出張旅費規程は作成が義務?作るメリットと、節税の考え方の注意点
  3. 出張旅費規程に書く項目と、公開されている規程例の章立て
  4. 非課税で支給できる規程にする|所得税基本通達9-3を条文に落とす
  5. 出張旅費規程の作り方|6ステップ
  6. 出張旅費規程のひな形|国内出張向けの条文例
  7. 迷いやすいケース|一人社長・役員・パート・海外出張・赴任
  8. 規程を作ったあとの運用|守られているかを確かめる仕組み
  9. 出張旅費規程に関するよくある質問(FAQ)
  10. まとめ|出張旅費規程づくりで押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

出張旅費規程とは?定める内容と旅費の3つの区分

出張旅費規程とは、出張時の交通費・宿泊費・日当の支給基準と、申請から精算までの手順を定めた社内規程のことです。出張のたびに「いくらまで認めるか」「どの交通手段を使うか」を個別に判断せず、会社として同じ基準で処理できるようにするために作ります。

規程で扱う旅費は、大きく3つに分かれます。

  • 交通費: 鉄道・航空機・バス・タクシーなど移動にかかる費用。経済的で合理的な経路の実費とするのが基本で、新幹線や航空機を使える条件、タクシーを使える場面を規程で決めます
  • 宿泊費: 宿泊にかかる費用。実費、上限付きの実費、定額のいずれかで支給し、金額は役職や地域で分ける会社もあります
  • 日当: 出張中の食事代や諸雑費を補うために、1日あたり定額で支給する手当。領収書を集める代わりに、あらかじめ決めた額を支給します

財務省が令和5年に旅費規程等を持つ上場企業を対象に行ったアンケートでは、国内宿泊料の支給方法は「上限付き実費支給」が43.7%で最も多く、「定額支給」が28.9%、「実費支給」が24.0%でした(財務省「旅費等実態調査(民間企業の旅費規程等に関する実態調査)」)。国家公務員の旅費は「国家公務員等の旅費に関する法律」で定められていますが、民間企業の旅費は、会社ごとに規程で決めるのが基本です。

出張が増えるほど、規程どおりの運用が難しくなる

規程を作っても、出張の手配や精算が出張者ごとにばらばらだと、規程どおりに運用されているかを確かめるのが難しくなります。出張者がそれぞれ別のサイトで航空券やホテルを予約して立て替え、帰社後に精算書と領収書を提出する流れでは、経理は規程の上限や区分に合っているかを1件ずつ見ることになり、会社全体の出張費もまとまって把握できません。

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出張旅費規程は作成が義務?作るメリットと、節税の考え方の注意点

出張旅費規程の作成を、すべての会社に一律で義務づける法律の条文は、確認できた範囲では見当たりません。ただし、日当などを支給する根拠は会社の就業規則や規程になるため、基準を文書で残しておく意味は大きくなります。

作成義務の有無と、就業規則との関係

厚生労働省の派遣に関するQ&Aは、出張時の日当について「法律上は、出張者に日当を支給する義務はありません」とし、日当を支給するかどうかは会社の就業規則等を根拠とすると説明しています(厚生労働省「派遣社員の出張時は日当を支給するのでしょうか」)。支給するかどうかも、金額も、会社が決めてよいということです。支給すると決めたなら、その基準を規程にしておく必要が出てきます。

就業規則の面では、常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があります(労働基準法第89条、第90条)。厚生労働省の説明では、賃金の決定・計算・支払の方法などは必ず記載する事項、「労働者のすべてに適用される定め」は定めをする場合に記載する事項とされています(厚生労働省「就業規則で、記載が必須な事項はありますか?」)。出張旅費規程を就業規則の本体に含めるか、別の規程にするかは会社によって異なります。10人以上の事業場は、届出の要否や形式を社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に確認してください。10人未満の会社でも、旅費の基準を文書にしておくと運用が安定します。

規程を作るメリット

立場メリット補足
会社(経理・総務)支給基準がそろい、出張のたびに可否や金額を個別に判断しなくてよくなる役職・距離・宿泊の有無などの区分を決めておけば、申請内容を確認するときの物差しになる
会社(税務の説明)旅費の金額がどういう基準で決まっているかを、文書で説明できる所得税基本通達9-3は、支給額が役員と使用人の全体を通じて適正なバランスの基準で計算されているかを勘案するとしている
出張者出張の前に、立替の範囲・日当・精算の期限がわかる申請の方法と期限が決まっていると、精算の行き違いや再提出が減る

「節税になる」と言われる理由と、押さえたい限界

出張旅費規程は、節税の文脈で語られることがあります。仕組みは次のとおりです。従業員にとっては、旅行に通常必要と認められる範囲の旅費は、所得税が非課税です。会社にとっては、規程に沿って支給した旅費は旅費交通費として扱えます。消費税では、国内出張の旅費・宿泊費・日当のうち旅行に通常必要と認められる部分は課税仕入れとなり、適格請求書の交付を受けられなくても、一定の事項を記載した帳簿の保存で仕入税額控除ができます(国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A 問107」)。海外出張や海外転勤のために支給した旅費は、原則として課税仕入れに該当しません(国税庁「No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」)。

一方で、限界もあります。非課税になるのはあくまで「通常必要と認められる範囲」で、日当を増やせば得になる仕組みではありません。範囲を超える部分は、所得税基本通達9-4により、給与所得を得ている人が職務のために行った旅行であれば給与所得の収入金額に算入されます。役員に支給する場合は、法人が役員に支給する給与のうち定期同額給与・事前確定届出給与・一定の業績連動給与のいずれにも当たらないものが損金に算入されない、という役員給与のルールとも関わります(国税庁「No.5211 役員に対する給与」)。個別の判断は、税理士に確認してください。

出張旅費規程に書く項目と、公開されている規程例の章立て

出張旅費規程に書く項目は、目的と適用範囲、出張の定義、申請と報告、旅費の種類と金額、精算の方法、附則の6つが基本です。海外出張や赴任がある会社は、国内とは別の条を設けます。

項目書く内容の例決めるときの注意
目的・適用範囲何のための規程か。役員、従業員、パート、アルバイトなど、誰に適用するか通達9-3は役員と使用人の全体を通じたバランスを見るため、対象者を明記しておく
出張の定義勤務地からの距離、宿泊の有無で、出張と通常の外出を分ける距離の基準は法律で決まっていない。次のH3で公開例を比べる
申請・報告出張の事前申請(出張命令)、帰任後の報告書、予定が変わったときの連絡出張の目的や日程を記録に残す手続きにもなる
旅費の種類と金額交通費の経路と等級、宿泊費の上限または定額、日当の区分ごとの額、減額する条件金額は別表にまとめると、改定のときに条文を直さずに済む
精算概算払い・仮払いの有無、精算の期限、領収書の要否、過不足の返納日当と実費の二重申請を防ぐため、日当に含める費用を明記する
海外出張・赴任国内と別規程にするか、条を分けるか海外は為替や地域で金額が変わるため、国内の金額を流用しない
附則施行日、改廃の手続き、規程にない事項の扱い施行日以降の出張から適用する。過去の出張には遡らない

公開されている規程例の章立てを見比べる

章立てや条文の細かさは会社によって大きく違います。公開されている2つの規程例を見比べると、次のような違いがあります。

規程例構成の特徴出張の距離の基準
プラスソーシャルインベストメント株式会社「国内出張旅費規程」(8ページ)第1章総則(目的・定義・出張命令・出張計画・出張報告・出張中の労働時間)、第2章旅費の計算等、第3章旅費の区分及び額の3章構成。旅費の種類は鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・日当・宿泊料・移転料・着後手当。日当は別表の定額で、午後に出発した場合などは半額とする減額条件を置き、宿泊料は別表の上限額の範囲内の実費「在勤地」を勤務地から片道100キロメートル以内の地域と定義
csc-japan.orgで公開されている「出張旅費規程」(3ページ)適用範囲、出張の区分、旅費の定義、休日の扱い、出張手続きと仮払い、出張報告と精算などを21条で定めたコンパクトな構成。旅費は交通費・出張手当・宿泊費日帰り出張は勤務地から片道50キロメートルを超える地域、宿泊出張は片道150キロメートル以上

同じ「出張旅費規程」でも、条文の数も、出張の距離の基準も、会社や団体によって異なります。公開されている規程は、構成を知る参考にはなりますが、金額や基準をそのまま自社に当てはめられるわけではありません。自社の出張の実態に合わせて決める必要があります。

出張の定義と距離の基準|何キロから出張にするか

何キロ以上を出張とするかを定めた法律上の決まりはなく、会社が規程で決めます。財務省のアンケートでは、国内出張で日当を支給する要件として「往復行程(距離)により判断している」が49.4%で最も多く、「宿泊の有無により判断している」が44.8%でした。一方で「日当は支給しない」会社も11.6%あります(財務省「民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート 報告書」)。

  • 距離で決める: 勤務地から片道何キロ以上を出張とする。公開例では50キロメートル超・100キロメートル・150キロメートル以上と分かれる
  • 宿泊の有無で決める: 日帰りと宿泊を伴う出張で、日当や宿泊費の扱いを分ける
  • 所要時間で決める: 半日以上の用務かどうかなど、拘束時間で区分する

出張と、日常の業務に伴う社用外出の線引きは、「出張」と「社用外出」の違いとは|日帰りor宿泊の判断基準や各種手当、出向など類似項目についても解説で詳しく解説しています。この記事では、その線引きを規程の条文にどう書くか、という作る側の視点で扱います。

日当・宿泊費の書き方|金額は別表、減額条件は条文に

日当は定額、宿泊費は上限付きの実費とする書き方が、前述の財務省のアンケートでも多く見られました。規程では、金額を別表にまとめ、条文には「どんな場合に減らすか、支給しないか」を書きます。たとえば、会社が食事を手配した場合、半日に満たない出張の場合、休日に移動だけをした場合などです。日当の金額の相場、非課税の条件、仕訳は、日当とは?出張手当の意味・相場・税金の扱いをわかりやすく解説で整理しています。

非課税で支給できる規程にする|所得税基本通達9-3を条文に落とす

出張旅費が非課税になるのは、その旅行に通常必要とされる費用の範囲内の金品です。所得税基本通達9-3は、その判定で、支給額が役員と使用人の全体を通じて適正なバランスの基準で計算されているか、同業種・同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当か、の2点を勘案するとしています。

通達は、旅行の目的、目的地、行路や期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容や地位などからみて通常必要とされる費用かどうかを見る、としています(国税庁「所得税基本通達 9-3(非課税とされる旅費の範囲)・9-4」)。この考え方を、規程と運用の備えに置き換えると、次のとおりです。

通達の確認点規程・運用での備え注意したい点
役員と使用人の全体を通じて、適正なバランスの基準で計算されているか適用範囲に役員と従業員を明記し、金額の区分は役職・距離・宿泊の有無など、説明できる基準で決める特定の人だけ別の基準で支給すると、バランスが保たれていないと見られやすい
同業種・同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当か財務省のアンケートや同業の水準と比べ、金額を決めた根拠をメモに残す根拠なく相場より高い額を設定しない。上場企業中心の調査は、中小企業の水準と異なる場合がある
旅行の目的・期間・宿泊の要否などからみて、通常必要か出張命令と出張報告で、目的・行き先・日程を記録する私的な旅行に日当を支給しない。実態のない出張は支給の対象にならない
範囲を超える部分の扱い規程の上限を超えた分は支給しない、または給与として扱うと定めておく超える部分は給与所得として課税される(通達9-4)。役員は役員給与のルールも関わる

本記事は国税庁などの公開情報をもとにした一般的な解説であり、税務・法律上の助言ではありません。金額や適用範囲の最終判断は、顧問税理士や社会保険労務士に確認してください。

規程があっても指摘されやすい運用

税理士法人の解説では、規程があっても、規程と実際の支給額が一致しない場合、役員と従業員で恣意的に適用した場合、規程を事後的に変更して過去の出張に遡って適用した場合などが、否認のリスクとして挙げられています(BASE ONE税理士法人「出張旅費規程を活用した節税対策の実務ポイント」)。通達9-3の2つの確認点に照らしても、規程どおりに支給し、実態を記録に残すことが、規程の効力を保つ土台になります。

出張旅費規程の作り方|6ステップ

出張旅費規程の作り方は、出張の実績を整理し、適用範囲と出張の定義を決め、金額の基準を定めて条文にし、社内の手続きを経て周知・施行する6ステップです。

ステップやること決める・残すもの
1. 出張の実績を整理する過去1年ほどの出張の件数、行き先、日帰りと宿泊の割合、精算の方法を確認する現状のメモ
2. 適用範囲と出張の定義を決める役員・従業員・パート等のどこまで適用するか、距離や宿泊の有無で出張を定義する対象者と出張の定義
3. 金額の基準を決める交通費は経済的な経路の実費、宿泊費は上限付き実費、日当は区分ごとの定額などと決める金額と、その根拠メモ
4. 条文にする次の章のひな形をもとに、条文と別表を作る規程案と別表
5. 社内の手続きを進める就業規則との関係を確認し、10人以上の事業場は意見聴取と届出の要否を確認する。役員の旅費の扱いは税理士に確認する承認の記録
6. 周知・施行し、見直す施行日を決めて周知し、物価や出張の形態の変化に合わせて見直す時期を決める施行日と改定の履歴

金額の根拠を残す

ステップ3で大切なのは、金額を決めた理由を後から説明できる形で残すことです。財務省のアンケートの平均額、同業種の水準、自社の出張で実際にかかっている費用を並べ、「この区分はこの根拠でこの額にした」とメモにします。通達9-3が見る「同業種・同規模の水準に照らして相当か」に答える材料になります。

精算のルール|概算払い・仮払い・立替をどうするか

精算のルールでは、概算払い(仮払い)の有無、精算の期限、領収書の要否、過払いの返納を決めます。公開されている規程例では、帰任後5日以内に精算する例や、概算払いを受けた場合は出張の完了後2週間以内に精算する例があります。期限を決めても、出張者が先に立て替える運用が残ると、立替が長引き、経理は月末に精算書と領収書をまとめて確認することになります。

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出張旅費規程のひな形|国内出張向けの条文例

国内出張を想定した条文の例です。ここまでの内容と、公開されている複数の規程例の構成を参考に、この記事のために作成しました。金額・日数・距離など自社で決める部分は「○○」としています。そのまま使うのではなく、自社の実態に合わせて決めたうえで、税理士や社会保険労務士に確認してください。

出張旅費規程(例)

第1条(目的) この規程は、株式会社○○(以下「会社」という。)の役員及び従業員が、業務のために国内へ出張する場合の旅費の支給基準と手続きを定めることを目的とする。

第2条(適用範囲) この規程は、会社のすべての役員及び従業員(パートタイマー等を含む。)に適用する。

第3条(出張の定義) 出張とは、業務のため、勤務地から片道○○キロメートル以上離れた地に赴くことをいう。勤務地から片道○○キロメートル未満の用務は外出とし、日当は支給しない。

第4条(出張命令と事前申請) 出張は所属長の命令による。出張者は、出発前に、目的・行き先・日程・概算の旅費を所定の方法で申請し、承認を得る。

第5条(出張報告) 出張者は、帰任後○営業日以内に、出張の内容を報告書で所属長に提出する。

第6条(旅費の種類) 旅費は、交通費、宿泊費及び日当とする。

第7条(交通費) 交通費は、経済的かつ合理的な経路及び方法による実費とする。新幹線・特急の座席は○○まで、航空機は○○の場合に利用できる。タクシーは、公共交通機関がない場合その他やむを得ない場合に限り利用できる。

第8条(宿泊費) 宿泊を伴う出張には、別表に定める上限額の範囲内で、実際に支払った額を支給する。

第9条(日当) 日当は、別表に定める額を、出張の日数に応じて支給する。ただし、会社が食事を提供した場合その他別表に定める場合は、減額し、又は支給しない。

第10条(精算) 出張者は、帰任後○営業日以内に、領収書等を添えて旅費を精算する。概算払いを受けた場合は、過不足を精算する。

第11条(規程にない事項) この規程に定めのない事項は、○○(部署又は役職)が協議して決定する。

第12条(改廃) この規程の改廃は、会社の定める手続きにより行う。

附則 この規程は、○年○月○日から施行し、施行日以後の出張から適用する。

別表(旅費の金額表)の枠は、次のとおりです。空欄の金額は、ステップ3で決めた基準と根拠をもとに、自社で記入します。

区分(役職など)日当(日帰り)日当(宿泊を伴う)宿泊費の上限(1泊)備考
役員○○円○○円○○円減額・不支給の条件を記載
管理職○○円○○円○○円同上
一般従業員○○円○○円○○円同上

空欄の「○○」を決めるときは、距離の基準は自社の出張の実態から、金額は財務省のアンケートや同業種の水準から決め、その根拠を残してください。条文の数を増やしすぎると運用が重くなるため、最初は必要な項目に絞り、運用しながら見直すのが現実的です。作った規程が実際の運用と合っているかは、次のセルフチェックで点検できます。

自社の出張旅費規程と運用、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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迷いやすいケース|一人社長・役員・パート・海外出張・赴任

一人社長の会社でも、出張旅費規程は作れます。ただし、自分に支給する旅費も、旅行に通常必要な範囲かどうかが問われる点は、従業員がいる会社と変わりません。

一人社長の場合

所得税基本通達9-3は、役員と使用人の全体を通じた基準かどうかを見るとしており、旅費の非課税の考え方は役員にも及びます。使用人がいない会社でも、社長自身の出張について、目的・日程・金額の根拠を記録に残しておくことが、規程を運用している実態の裏づけになります。規程の適用範囲は「役員及び従業員」と書いておくと、将来従業員を雇ったときに作り直さずに済みます。社長に支給する金額が通常必要な範囲を超えると、その部分は給与として扱われ、役員給与のルールにも関わります(前述のNo.5211)。金額の決め方は、顧問税理士に確認してください。個人事業主の場合は、この記事の対象外です。必要経費の扱いは税務署や税理士に確認してください。

役員の旅費と日当

役員の旅費は、通達9-3が「役員及び使用人の全て」を通じた基準を求めているため、役員だけを高く設定した別基準にしないのが基本です。役職によって金額に差をつける場合も、役職ごとの区分として規程に明記し、差をつける理由を説明できるようにしておきます。

パート・アルバイト・派遣社員

パートやアルバイトに出張がある場合は、適用範囲に含めるかを条文に書きます。派遣社員の出張時の日当は、派遣元と派遣労働者の間で決まる労働条件が基本です。厚生労働省のQ&Aは、派遣先の規程どおりに自動的に日当を支給する必要はなく、派遣元の就業規則に沿って処理されると説明しています。

海外出張

海外出張は、為替、地域による物価の差、安全面の対応が加わるため、国内とは別の規程か別の条で定めるのが一般的です。財務省のアンケートも、海外出張(宿泊)の日当・食事代・宿泊料を国内とは別の設問で集計しています。消費税では、海外出張のために支給した旅費は原則として課税仕入れに該当しないため、国内の旅費と分けて経理できるようにしておく必要があります(前述のNo.6459)。

転勤・赴任

転勤や赴任に伴う引っ越し費用は、出張とは性質が異なります。公開されている規程例でも、移転料や着後手当は出張の日当・宿泊料とは別の種目として定められています。出張旅費規程の中で赴任の扱いまで書くか、赴任旅費の規程を別に作るかは、赴任の頻度に応じて決めます。

規程を作ったあとの運用|守られているかを確かめる仕組み

規程を作ったあとの課題は、規程どおりに申請され、確認され、精算されているかを、手間をかけずに確かめることです。出張が増えるほど、次の3つの場面で手作業の確認が負担になります。

  • 申請内容の確認: 日当と実費の二重申請、宿泊費の上限超過、必須項目の抜けを、経理が目視で確認する
  • 立替と精算書の回収: 出張者が立て替え、帰社後に精算書と領収書を提出し、月末に集中する
  • 手配のばらつき: 出張者ごとに予約サイトが違い、規程の範囲内で手配されているか、全体でいくらかかっているかが見えにくい

精算の流れの全体像は出張精算とは?出張費の意味や精算の流れ、出張精算の注意点を解説、出張管理システムの機能と選び方は出張管理システムとは?出張管理システムの機能・メリットを解説でも解説しています。

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  • ビジネスカードで経費を支払うため、社員の立替経費をなくせる
  • 領収書の受取から仕訳・保管までオンラインで一元管理
  • 経費精算に関するさまざまな課題を解決でき、社員の負担を軽減
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気になる…

  • 初期費用が発生し、月払いではなく年額での支払い
評価・口コミ(一部抜粋)
4.3
  • 簡単に領収書を撮影しすぐに経費申請ができることが一番ありがたかった。導入前の経費申請は領収書をPDF化してシステムから申請、という古いタイプだったためかなり利便性が向上した(使用していたほぼすべての社員が満足していた印象)

  • テレワークに伴い、こちらのサービスを導入した経緯があります。今まで紙で届いた請求書に上長の押印、明細などを添えて経理に提出していましたが、一気にペーパレスできましたし、経理担当者の処理時間も大幅に減ったのではないでしょうか。請求書を受理する現場担当者も入力作業がありますが、データをアップロードすればAIが読み取ってある程度データ化してくれるのでとても便利だと思いました。

  • 経費立替からの精算という流れを変えたことで業務効率化がはかれました。領収書をメールやチャットで提出したりする必要がなく、クラウドにアップロードすれば共有できるのでとにかく楽です。本来の業務に時間を使えるのがメリットです。

導入事例では、新日本プロレスリング株式会社が、選手やスタッフの出張費などで月間1,000件以上の立替経費が発生していたと紹介されています。導入後は月1,000件の経費をビジネスカードで支払い、経費の約9割が法人カードでの支払いになったとあります。カード利用後に領収書の督促メールが自動で届くため、提出漏れを減らせる点も挙げられています(Sansan株式会社「新日本プロレスがバックオフィスDXを推進」)。

3サービスの役割の違い

ここまでに紹介した3サービスは、規程の運用で手間がかかる場面が異なります。優劣ではなく、自社の課題に合うものを選ぶための整理です(商品ページで確認した内容。確認日2026年10月22日)。

サービス合う課題商品ページで確認できる特徴注意したい点
ピカパカ出張DX出張の手配が個別で、費用を把握しにくい国内外の出張手配をひとつのサービスで行え、法人一括精算(月末締め翌月払い)にできる詳しい料金や取り扱いは、資料請求や問い合わせで確認する
Bill One経費出張費の立替や、領収書の回収を減らしたいビジネスカードで支払うことで立替経費をなくせ、領収書はスマートフォンの撮影で提出できる初期費用がかかり、年額払い。無料トライアルは設けられていない
ジンジャー経費申請内容を、規定にあわせて確認したい規定にあわせた確認機能(金額差異のアラートなど)、出張費・交通費の申請に対応導入までに最長3か月ほどかかる場合がある

3サービスとも、資料を無料でダウンロードできます。自社の規程と運用のどこに手間がかかっているかを整理したうえで、課題に近いサービスの資料を比べてみてください。

ジンジャー経費

出張費や交通費の申請内容を、規定にあわせて確認したい会社に

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出張旅費規程に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 出張旅費規程は作成が義務ですか?

A. 出張旅費規程の作成を、すべての会社に一律で義務づける法律の条文は、確認できた範囲では見当たりません。厚生労働省のQ&Aも、法律上は出張者に日当を支給する義務はなく、支給するかどうかは就業規則等が根拠になると説明しています。常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則の作成と届出の義務があるため、旅費の定めを就業規則に含めるかどうかは、社会保険労務士に確認してください。

Q2. 出張日当は出張旅費規程に含まれますか?

A. はい。日当は、交通費・宿泊費と並ぶ旅費の種類のひとつで、金額や支給の条件、減額する場合を出張旅費規程に書きます。金額は別表にまとめると改定しやすくなります。日当の相場や税金の扱いは、日当とは何かを解説した記事で詳しく説明しています。

Q3. 出張旅費規程の作り方は?

A. 出張の実績を整理し、適用範囲と出張の定義を決め、金額の基準と根拠を定めて条文にし、社内の手続きを経て周知・施行する6ステップで進めます。条文は本記事のひな形を参考にでき、金額は別表にまとめます。非課税で支給するには、所得税基本通達9-3の2つの確認点(役員と使用人の全体を通じたバランス、同業種・同規模の水準)を踏まえて金額を決め、根拠を残します。

Q4. 旅費規程の相場はいくらですか?

A. 法律で決まった相場はありません。財務省の民間企業向けアンケート(上場企業が中心)では、国内出張で日当を支給している487社の日当の平均額は2,621円、国内宿泊料を定額+上限付き実費で支給している400社の宿泊料の平均額は10,672円でした。調査の対象は上場企業が中心のため、中小企業の水準とは異なる場合があります。金額の決め方は、同業種の水準や自社の出張の実態とあわせて判断してください。

Q5. 一人社長の出張旅費規程は?

A. 一人社長の会社でも作成できます。規程の適用範囲を「役員及び従業員」としておけば、将来従業員を雇ったときにも作り直さずに済みます。社長自身に支給する旅費も、旅行に通常必要な範囲かどうかが問われ、範囲を超える部分は給与として扱われる場合があります。金額の決め方は、顧問税理士に確認してください。

Q6. 出張旅費規程は何キロから適用しますか?

A. 何キロ以上を出張とするかを定めた法律の決まりはなく、会社が規程で決めます。公開されている規程例では、日帰り出張を片道50キロメートルを超える地域、宿泊出張を片道150キロメートル以上とする例や、勤務地から片道100キロメートル以内を在勤地とする例があります。距離のほか、宿泊の有無や所要時間で決める会社もあるため、自社の出張の実態に合わせて決めてください。

まとめ|出張旅費規程づくりで押さえたい6つのこと

  1. 出張旅費規程は、旅費の支給基準と申請・精算の手順を決める社内規程です。作成を一律に義務づける条文は確認できた範囲では見当たりませんが、日当の支給の根拠は会社の就業規則や規程になります
  2. 書く項目は、目的と適用範囲、出張の定義、申請と報告、旅費の種類と金額、精算、附則が基本です。金額は別表にまとめます
  3. 非課税で支給するには、所得税基本通達9-3の2つの確認点を踏まえて金額を決め、決めた根拠と出張の記録を残します
  4. 作り方は、出張の実績の整理から周知・見直しまでの6ステップです。ひな形の空欄は、自社の実態と根拠から決めます
  5. 一人社長・役員・パート・海外出張・赴任は、適用範囲と別規程にするかを確認します。税務の判断は税理士、就業規則との関係は社会保険労務士に確認します
  6. 規程を作ったあとは、申請内容の確認・立替・出張手配のどこに手間がかかっているかを整理し、経費精算や出張管理のサービスの資料を比べて検討します

参考文献

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